JP4449294B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂の製膜による積層体の製造方法に関し、詳細には押出ラミネーションやインフレーションや押出キャストなどにおいて、引き取り性や延展性の悪い樹脂や低結晶性あるいは非結晶性で、その樹脂自体に粘着性のある樹脂、あるいは熱などにより容易に架橋し得る樹脂などの単膜を含む積層体を得るのに好適な積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂を製膜する方法としては、押出ラミネーション、インフレーション、押出キャストなど、樹脂の軟化点以上で加温/溶融させた後に製膜を行う方法と、樹脂を溶媒などで溶解させた後に、溶媒を除去することで製膜を行う溶媒キャスト法と、樹脂を軟化点以上に加温した後、複数のロールで圧延させることで製膜を行うカレンダー方法などが挙げられる。
【0003】
上述した製膜方法は、各樹脂の物性に応じて様々に展開されている。しかしながら、押出ラミネーション成形、インフレーション成形、キャスト成形については、溶融張力の無い樹脂や延展性の無い樹脂については加工適性が低い。また、低結晶性樹脂あるいは非結晶性でガラス転移温度(Tg)が室温より低い樹脂については粘着性の発現により、離ロール性、フィルム同士のブロッキングなどの問題が発現する。さらに、上述した製法は押出機を用いて製膜を行うが、これらの装置は押出機内に樹脂が滞留している時間が長いため、熱劣化しやすい樹脂、熱架橋性の樹脂あるいは樹脂組成物については加工が困難である。
【0004】
溶媒キャスト法については、樹脂を一度溶媒に溶かす必要が有るため、溶媒に溶ける樹脂の制約と溶媒の選定が困難である。また溶媒を用いることは、人体や環境に影響を与えるなど環境的な側面、そして溶媒の乾燥に伴う加工速度の低速化(1m/min以下)など生産能力的な側面の問題を抱えている。
【0005】
カレンダー成形についても、粘着性の高い樹脂には不向きな製法であり、かつ薄膜製膜が困難であるといった問題点がある。
【0006】
上述した各製膜方法において不利に働く樹脂物性は、裏を返すとその樹脂独自の機能となり、粘着性樹脂や架橋性樹脂などは、様々な機能性フィルムとして今後の市場動向が期待される。そのような意味で、上記製膜方法を改良することで、従来の製法では困難であった機能性樹脂の新しい製膜方法の登場が期待されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情を考慮したものであり、詳細には押出ラミネーションやインフレーションや押出キャストなど、引き取り性や延展性の低い樹脂や、低結晶性あるいは非結晶性で、その樹脂自体に粘着性のある樹脂、あるいは熱などにより容易に架橋しうる樹脂などの単膜を得るのに好適な積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために考え出されたものであり、
請求項1に係る発明は、樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメーター(sp値)の差が0.1以上である前記樹脂Aを樹脂BからなるフィルムDで挟み込み、前記樹脂Aの軟化点より高く、前記樹脂Bの融点より低い製膜温度条件下でロールを用いて樹脂Aを圧延して、該樹脂Aの両面にフィルムDを積層した積層体を得た後に、該積層体の片面から、前記フィルムD層を引き剥がして前記樹脂Aの表面を露呈させ、露呈させた該樹脂Aの面に基材Fをラミネートすることにより、引き剥がし可能なフィルムDと、樹脂A及び基材Fとをこの順に積層した積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法である。
【0009】
請求項2に係る発明は、樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメーター(sp値)の差が0.1以上である前記樹脂Aを樹脂Bからなるコート層を設けた樹脂CからなるフィルムDで、前記コート層が接する状態で挟み込み、前記樹脂Aの軟化点より高く、前記樹脂Bの融点より低い製膜温度条件下でロールを用いて樹脂Aを圧延して、樹脂Aの両面にフィルムDを積層した積層体を得た後に、該積層体の片面から、前記フィルムD層を引き剥がして前記樹脂Aの表面を露呈させ、露呈させた該樹脂Aの面に基材Fをラミネートすることにより、引き剥がし可能なフィルムDと、樹脂A及び基材Fとをこの順に積層した積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法である。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に係る積層体の製造方法において、樹脂Bからなる前記フィルムDあるいは該樹脂Bからなるコート層を設けた樹脂Cからなる前記フィルムDで挟み込んだ樹脂Aを、少なくとも2本以上のロールを用いて圧延させ、樹脂Aの層厚を10〜100μmの範囲で製膜することを特徴とする積層体の製造方法である。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項1乃至3のいずれか1項に係る積層体の製造方法において、樹脂Aが融点150℃以下の結晶性あるいは低結晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする積層体の製造方法である。
【0012】
請求項5に係る発明は、上記請求項1乃至3のいずれか1項に係る積層体の製造方法において、樹脂Aがガラス転移温度100℃以下の非結晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする積層体の製造方法である。
【0013】
請求項6係る発明は、上記請求項1乃至5のいずれか1項に係る積層体の製造方法において、樹脂Aがポリオレフィン樹脂あるいはその変性物、エチレン系共重合体あるいはその変性物、ポリエステル樹脂あるいはその変性体、ポリエーテルやポリエーテル系共重合体あるいはその変性物であることを特徴とする積層体の製造方法である。
【0014】
請求項7に係る発明は、上記請求項1乃至6のいずれか1項に係る積層体の製造方法において、樹脂Bがシリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、あるいはこれらの誘導体であることを特徴とする積層体の製造方法である。
【0015】
【発明の実施形態】
以下に本発明の積層体の製造方法について、その実施の形態を詳細に説明する。
本発明である樹脂の製膜の基本原理は、樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメーター(sp値)の差が|sp値(樹脂A)−sp値(樹脂B)| ≧0.1、好ましくは≧1の関係を有する樹脂の組み合わせにおいて、樹脂Aを樹脂Bあるいは樹脂Bからなるコート層を設けた樹脂Cからなるフィルムを用いて挟み込み、(樹脂Aの軟化温度)<製膜温度<(樹脂Bあるいは樹脂Cからなるフィルムの融点)の条件下で、カレンダー成形などのロールなどを用いて圧延させて積層体を得た後、その積層体の片面から、樹脂Bあるいは樹脂Cからなるフィルム層を引き剥がして樹脂Aを露呈させ、露呈させた該樹脂Aの表面に基材をラミネートすることを特徴としている。
【0016】
基材がラミネートされる樹脂Aの単膜を得るためには、樹脂Bと樹脂Aの間で熱融着、感熱接着、粘接着といった接着現象を防ぐ必要がある。そのような意味で、樹脂Aと樹脂Bの組み合わせには、溶解度パラメーター(sp値)の制御が必要である。溶解度パラメーター(sp値)は、樹脂の相溶性の指標となる値でも有り、樹脂Aと樹脂Bのそれぞれ溶解度パラメーター(sp値)の差の絶対値、即ち、|sp値(樹脂A)−sp値(樹脂B)| が≧0.1(0.1以上)、好ましくは≧1(1以上)であることが、両者が相溶せず親和性が低いことを示している。
【0017】
溶解度パラメーター(sp値)は様々な方法で算出することが可能である。例えて言うならば、small法、Hoy法などが挙げられる。溶解度パラメーターは樹脂の分子量、密度、モル吸引力定数から算出され、small法あるいはHoy法によるグループモル吸引力定数を用いて得ることが可能である。
【0018】
しかしながら、溶解度パラメーターは分子間相互作用を考慮していないため、樹脂A、樹脂B間では水素結合、双極子−双極子相互作用、イオン−双極子相互作用、π電子−π電子相互作用などといった分子間相互作用を持たない樹脂組み合わせが好ましい。
【0022】
上述した関係を満たす樹脂A、樹脂Bであれば特に制限を受けることはない。樹脂Aについて言えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体に代表されるポリオレフィン樹脂が挙げられる。
【0023】
また、上述したポリオレフィン樹脂をグラフト反応により、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、ビニルあるいはアクリル系シランなどで変成させた変性物でも使用可能である。
【0024】
さらに、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸の各種エステル化物、エチレン−(メタ)アクリル酸の各種イオン架橋物や、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体も使用可能である。
【0025】
また、さらに上述した樹脂をグラフト反応により、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、ビニルあるいはアクリル系シランなどで変成させた変性物も使用可能である。
【0026】
また、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのジカルボン酸を、エチレングリコール、1,4 −ブタンジオール、1,6 −ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのジオールで共重合させた共重合ポリエステルや脂肪族ポリエステル、乳酸などのオキシ酸あるいはカプロラクトンのようにオキシ酸の分子内環化物の重合体であるポリ乳酸やポリεカプロラクトンに代表されるポリエステル樹脂あるいはその変性体でも使用可能である。
【0027】
また、これらのポリエステル樹脂をトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネート単量体あるいはアダクト、ビューレット、イソシアヌレートなどの形で3官能以上にさせた多官能イソシアネートを用いて伸長させたポリエステルウレタンも使用が可能である。
【0028】
また、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)を主成分としたポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドのようなポリエーテル系樹脂を用いても構わなく、また、これらのポリエーテル系重合体に上述したイソシアネート化合物を作用させて得られたポリエーテルウレタンなども使用可能である。
【0029】
これらの樹脂Aを用いたフィルムは、必要に応じて粘着付与剤、架橋材、各種塩などの各種添加剤を配合することにより粘着性フィルム、架橋フィルム、生分解フィルム、接着性フィルム、帯電防止フィルム、電解質フィルムといった各種機能膜として使用することが可能である。
【0030】
樹脂Bとしては、上述したように樹脂Aと溶解度パラメーター(sp値)や、分子間相互作用が無い組み合わせが好ましい。即ち、樹脂Aの選定によって様々に選定することが可能であり、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂やポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。しかしながら、非常に好ましくは、これら記載の樹脂を樹脂Cとし、樹脂Bとしてシリコーン系やテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系の樹脂を用いた方が、その骨格にも影響を受けるが、上述した樹脂Aとの溶解度パラメータの差(sp値)が容易に≧1(1以上)になること、そして粘接着性のある樹脂に対しても、これらの樹脂については濡れ性が低いことから、易剥離性を有するフィルムとして好適に使用することが可能である。
【0031】
上述した樹脂Aの製膜温度としては、樹脂Aの軟化点以上、樹脂BあるいはCからなるフィルムの融点以下の温度でカレンダーなどを用いて製膜した方が好ましい。この場合、二本以上のロールにあらかじめ上述した樹脂B、あるいは樹脂Bからなるコート層を設けた樹脂Cからなるフィルムを通し、そのロール間に、必要に応じて事前混練しておいた樹脂Aをセットし、上記温度設定で加温しておいたロールで圧延することにより、樹脂Aを樹脂Bからなるフィルムあるいは樹脂Aを樹脂Bからなるコート層を設けた樹脂Cからなるフィルムを用いて挟み込んだ状態の樹脂Aの製膜フィルムを積層体として得ることが可能である。
【0032】
図1に、ロールが二本の時の例を示す。この製法を行うことで、従来の方法では製膜が困難であった樹脂Aを容易に、かつ薄膜製膜することが可能であり、得られた樹脂Aのフィルムは次工程で冷却、架橋などの工程を踏むことで、樹脂Aの製膜フィルムを挟み込んだ状態の積層体の片面の樹脂Bあるいは樹脂Cからなるフィルムを剥がすことで、積層体の片面に樹脂Aの単膜を得ることが可能である。
【0033】
このように本発明の積層体の製造方法では、樹脂Bあるいは樹脂Bをコートした樹脂Cを剥がすことにより、積層体の片面に樹脂Aの単膜を得た後、図2に示すように、次工程で熱ラミネーションや樹脂A事体の粘着性を利用することで基材をラミネートして、各種積層体を得ることが可能である。
【0034】
【実施例】
本発明の積層体の製造方法における樹脂の製膜について、以下に具体的実施例を挙げて説明する。
【0035】
まず下記の実施例において使用する樹脂A、B、Cの各使用樹脂材料を示す。
<使用樹脂材料>
・樹脂A
A1:超低密度ポリエチレン(密度d=0.89g/cm3 ):Tm=70〜80℃
A2:エチレン−アクリル酸エチルとエチレン−酢酸ビニル共重合体のアクリル酸グリシジルとアクリル系シラングラフト共重合体からなるブレンド物:Tm=80〜90℃
A3:ポリエステルウレタン(酸成分:テレフタル酸−イソフタル酸−アジピン酸、ジオール成分:1,4 −ブタンジオール、イソシアネート:トリレンジイソシアネート):Tg=30℃
・樹脂B
B1:シリコーン(樹脂A1〜A3の溶解度パラメーターとの差は1以上)
・樹脂C
C1:ポリエステル(シリコーン処理ポリエステルフィルム、厚さ50μm)
【0036】
<実施例1>
図1(a)に示すように、対向する二本の圧延ロール1、1を用いて、そのロール1、1間に樹脂B(B1)をコートした樹脂C(C1)からなる二条のフィルムD、Dを導入して重ね合わせ加圧しながら、その重ね合わせ間に予備混練を施した樹脂A(A1)を供給して、ロール温度温度150〜170℃、フィルムDの送行加工速度10m/minで巻き取りながら圧延製膜を施して積層体Eを得た。その結果、図1(b)のM部分拡大側断面図に示すように、膜厚20μmの樹脂A(A1)からなる薄膜層を2枚のフィルムD、Dにて挟み込んだ積層体Eが得られた。
その後、図2に示すように、巻き取った前記積層体Eを巻き出しながら、剥離用ロール2にて、積層体Eの片面側から、樹脂B(B1)をコートした樹脂C(C1)からなるフィルムD層(樹脂B1、C1層、図2(b)参照)を剥がし、積層体Eの片面側に樹脂A(A1)層の表面を露呈させ、続いて樹脂A(A1)、B(B1)層、C(C1)層となった積層体E(図2(c)参照)と、該積層体Eの樹脂A(A1)層側に坪量80g/m2 の紙基材Fとを対向する二本の熱プレスロール3、3間に導入して重ね合わせ加熱プレスを行い、ラミネートして積層体Gを得た。その結果、図2(d)に示すように、紙基材Fの片面の樹脂A(A1)層から易剥離可能な易剥離フィルムD(樹脂B(B1)層、C(C1)層)を設けた積層体Gが得られた。即ち、積層体Gの片面の樹脂C(C1)層は感熱接着性樹脂であり、紙基材Fからなる感熱接着タイプの積層体Gを得ることができた。
【0037】
<実施例2>
図1(a)に示すように、対向する二本の圧延ロール1、1を用いて、そのロール1、1間に樹脂B(B1)をコートした樹脂C(C1)からなる二条のフィルムD、Dを導入して重ね合わせ加圧しながら、その重ね合わせ間に予備混練を施した樹脂A(A2)を供給し、後は上記実施例1と同じ条件で積層体Eを得た。その結果、膜厚30μmの樹脂A(A2)からなる薄膜層を2枚のフィルムD、Dにて挟み込んだ積層体Eが得られた。
その後、図2に示すように、巻き取った前記積層体Eを巻き出しながら、剥離ロール2にて、積層体Eの片面側から、樹脂B(B1)をコートした樹脂C(C1)からなるフィルムD層(樹脂B1、C1層、図2(b)参照)を剥がし、積層体Eの片面側に樹脂A(A1)層の表面を露呈させ、続いて該樹脂A(A1)層の表面にインラインでコロナ処理を施し、続いて樹脂A(A1)、B(B1)層、C(C1)層となった積層体E(図2(c)参照)と、該積層体Eのコロナ処理を施した樹脂A(A1)層側にポリウレタン系接着剤コーティング層を有するポリエステル基材Fとをドライラミネート機の対向する二本の熱プレスロール3、3間に導入して重ね合わせ加熱プレスを行い、ポリウレタン系接着剤コーティング層を介してラミネートして積層体Gを得た。その結果、図2(d)に示すように、ポリエステル基材Fの片面の樹脂A(A1)層から易剥離可能な易剥離フィルムD(樹脂B(B1)層、C(C1)層)を設けた積層体Gが得られた。
即ち、積層体Gの片面の樹脂C(C1)層は感熱接着性樹脂であり、ポリエステル基材Fを備えた感熱接着タイプの積層体Gを得ることができた。
【0039】
<比較例1>
上記実施例1において、圧延ロール1、1間に樹脂B(B1)をコートした樹脂C(C1)からなる一条のフィルムDのみを導入して、樹脂A1を加熱溶融押し出しにて供給した以外は、実施例1と同様にして積層体Eを得ようと試みた。
しかしながら、樹脂A1のもつ粘着性の影響で、圧延ロール1に対する離ロール性が非常に悪く、膜を得ることができなかった。
【0040】
<比較例2>
上記実施例1において、圧延ロール1、1間に樹脂B(B1)をコートした樹脂C(C1)からなる二条のフィルムD、Dを用いず、樹脂A1を加熱溶融押し出しにて供給した以外は、実施例1と同様にして積層体Eを得ようと試みたが、樹脂A(A1)のもつ粘着性の影響で、圧延ロール1に対する離ロール性が悪く、膜を得ることができなかった。
【0041】
<比較例3>
上記実施例2において、圧延ロール1、1間に樹脂B(B1)をコートした樹脂C(C1)からなる一条のフィルムDを導入して、樹脂A(A2)を加熱溶融押し出しにて供給した以外は、実施例2と同様にして積層体Eを得ようと試みたが、樹脂A(A2)は200℃以下の温度では引き取り性が低く、230℃を超える加工では、シラン部位の架橋によりゲルが多発し、製膜は可能であったが、外観不良を伴った。
【0043】
【発明の効果】
本発明の積層体の製造方法は、従来の積層体の製造における製膜では、樹脂Aが持つ特性が故に製膜加工が困難であったものを可能とすることができ、樹脂Aの特性を活かしながらも、かつ薄膜に製膜することが可能であり、そのため粘着性、架橋性、接着性など、従来では製膜が困難であった樹脂でも製膜することが可能になり、例えば、樹脂Aには、必要に応じて各種添加剤を配合することで、様々な機能性フィルムとして使用することが可能なフィルムの製膜された積層体の製造を可能とするものである。
【0044】
また、本発明の積層体の製造方法は、今後期待される電解質膜や各種エラストマーなどの機能性フィルムを製膜した積層体を製造する有効な積層体の製造方法として効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の積層体の製造方法における製膜工程の前工程を説明する側面図、(b)は、その前工程におけるM部分の積層体の側断面図。
【図2】 (a)は、本発明の積層体の製造方法における製膜工程の後工程を説明する側面図、(b)は、その後工程におけるN部分の剥離したフィルムの側断面図、(c)は、その後工程におけるO部分の積層体の側断面図、(d)は、その後工程におけるP部分の積層体の側断面図。
【符号の説明】
A…樹脂A(製膜層)
B…樹脂B
C…樹脂C
D…剥離性フィルム
E…中間積層体
F…基材
G…感熱接着タイプの剥離フィルムを備える積層体
1…圧延ロール
2…剥離用ロール
3…熱プレスロール(熱ラミロール)
Claims (7)
- 樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメーター(sp値)の差が0.1以上である前記樹脂Aを樹脂BからなるフィルムDで挟み込み、前記樹脂Aの軟化点より高く、前記樹脂Bの融点より低い製膜温度条件下でロールを用いて樹脂Aを圧延して、該樹脂Aの両面にフィルムDを積層した積層体を得た後に、該積層体の片面から、前記フィルムD層を引き剥がして前記樹脂Aの表面を露呈させ、露呈させた該樹脂Aの面に基材Fをラミネートすることにより、引き剥がし可能なフィルムDと、樹脂A及び基材Fとをこの順に積層した積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法。
- 樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメーター(sp値)の差が0.1以上である前記樹脂Aを樹脂Bからなるコート層を設けた樹脂CからなるフィルムDで、前記コート層が接する状態で挟み込み、前記樹脂Aの軟化点より高く、前記樹脂Bの融点より低い製膜温度条件下でロールを用いて樹脂Aを圧延して、樹脂Aの両面にフィルムDを積層した積層体を得た後に、該積層体の片面から、前記フィルムD層を引き剥がして前記樹脂Aの表面を露呈させ、露呈させた該樹脂Aの面に基材Fをラミネートすることにより、引き剥がし可能なフィルムDと、樹脂A及び基材Fとをこの順に積層した積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法。
- 樹脂Bからなる前記フィルムDあるいは該樹脂Bからなるコート層を設けた樹脂Cからなる前記フィルムDで挟み込んだ樹脂Aを、少なくとも2本以上のロールを用いて圧延させ、樹脂Aの層厚を10〜100μmの範囲で製膜することを特徴とする請求項1または2記載の積層体の製造方法。
- 樹脂Aが融点150℃以下の結晶性あるいは低結晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の積層体の製造方法。
- 樹脂Aがガラス転移温度100℃以下の非結晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の積層体の製造方法。
- 樹脂Aがポリオレフィン樹脂あるいはその変性物、エチレン系共重合体あるいはその変性物、ポリエステル樹脂あるいはその変性体、ポリエーテルやポリエーテル系共重合体あるいはその変性物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の積層体の製造方法。
- 樹脂Bがシリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、あるいはこれらの誘導体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の積層体の製造方法。
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