JP2004160765A - 樹脂の製膜方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】押出機あるいはバッチ式の混練機など混練部(I) を用いて溶融可塑化された溶融樹脂Aを、易剥離ロール部(III) に導入して供給樹脂量と供給幅とを調整しながら、少なくとも1乃至2枚の易剥離可能な基材フィルムCで挟み込み、カレンダー成形部(II)に通して圧延し、積層フィルムDを作製し、基材フィルムCで挟み込まれた樹脂Aを製膜する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂の製膜方法に関し、詳細には押出ラミネーションやインフレーションや押出キャストなどにおいて、引き取り性や延展性の悪い樹脂や、低結晶性あるいは非結晶性で、その樹脂自体に粘着性のある樹脂、あるいは熱などにより容易に架橋し得る樹脂など、製膜性は困難であるが各種機能性を有する樹脂の単膜あるいは各種基材との積層体を得るのに好適な樹脂の製膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂を製膜する方法としては、押出ラミネーション、インフレーション、押出キャストなど、樹脂の軟化点以上で加温/溶融させた後に製膜を行う方法と、樹脂を溶媒などで溶解させた後に溶媒を除去することで製膜を行う溶媒キャスト法と、樹脂を軟化点以上に加温した後、複数のロールで圧延させることで製膜を行うカレンダー成形法などが挙げられる。
【0003】
上述した製膜方法は、各樹脂の物性に応じて様々に展開されている。しかしながら、押出ラミネーション成形、インフレーション成形、キャスト成形については、溶融張力の無い樹脂や延展性の無い樹脂については加工適性が低い。また、低結晶性樹脂あるいは非結晶性でガラス転移温度(Tg)が室温より低い樹脂については、粘着性の発現により、離ロール性、フィルム同士のブロッキングなどの問題が発現する。さらに、上述した製法は押出機を用いて製膜を行うが、これらの装置は、押出機内に樹脂が滞留している時間が長いため、熱劣化しやすい樹脂、熱架橋性の樹脂あるいは樹脂組成物については加工が困難である。
【0004】
溶媒キャスト法については、樹脂を一度溶媒に溶かす必要が有るため、溶媒に溶ける樹脂の制約と溶媒の選定が困難である。また溶媒を用いることは、人体や環境に影響を与えるなど環境的な側面、そして溶媒の乾燥に伴う加工速度の低速化(1m/min以下)など生産能力的な側面の問題を抱えている。
【0005】
カレンダー成形についても、粘着性の高い樹脂には不向きな製法であり、かつ薄膜製膜が困難であるといった問題点がある。
【0006】
上述した各製膜方法において不利に働く樹脂物性は、裏を返すと、その樹脂独自の機能となり、粘着性樹脂や架橋性樹脂などは、様々な機能性フィルムとして今後の市場動向が期待される。そのような意味で、上記製膜方法を改良することで、従来の製法では困難であった機能性樹脂の新しい製膜方法の登場が期待されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情を考慮したものであり、詳細には押出ラミネーションやインフレーションや押出キャストなどにおいて引き取り性や延展性の低い樹脂や、低結晶性あるいは非結晶性で、その樹脂自体に粘着性のある樹脂、あるいは熱などにより容易に架橋しうる樹脂などの単膜あるいは各種基材との積層体を得るのに好適な樹脂の製膜方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために考え出されたものであり、
本発明の請求項1に係る発明は、押出機あるいはバッチ式の混練機など混練部(I) を用いて溶融可塑化された樹脂Aを、少なくとも1種以上の基材フィルムで挟み込み、カレンダー成形部(II)を用いて圧延して、樹脂Aを製膜することを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0009】
本発明の請求項2に係る発明は、押出機あるいはバッチ式の混練機など混練部(I) を用いて溶融可塑化された樹脂Aを、易剥離処理が施された対向する2本の易剥離ロールからなる易剥離ロール部(III)に導入し、樹脂Aの供給を制御しながら、少なくとも1種以上の易剥離可能な基材フィルムで挟み込み、カレンダー成形部(II)を用いて圧延して、樹脂Aを製膜することを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0010】
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は2記載の樹脂の製膜方法において、前記樹脂Aを製膜するとともに、該樹脂Aと1種以上の前記基材フィルムからなる積層フィルムを製膜することを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0011】
本発明の請求項4に係る発明は、上記請求項1又は2記載の樹脂の製膜方法において、前記樹脂Aを製膜するとともに、1種以上の前記基材フィルムを剥離することにより、樹脂Aの単膜又は樹脂Aと基材フィルムからなる二層以上の積層フィルムを製膜することを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0012】
本発明の請求項5に係る発明は、上記請求項1乃至4のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法において、前記カレンダー成形部(II)を用いて圧延する際に、(樹脂Aの融点)<製膜温度<(基材フィルムの融点)のカレンダー成形条件下で圧延することを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0013】
本発明の請求項6に係る発明は、上記請求項1乃至5のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法において、前記樹脂Aを挟み込む1種以上の前記基材フィルムのうち、少なくとも1枚の基材フィルムには、前記樹脂Aと接する面に易剥離処理が施されていることを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0014】
本発明の請求項7に係る発明は、上記請求項1乃6のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法において、前記樹脂Aを、層厚を10〜100μmの範囲で製膜することを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0015】
本発明の請求項8に係る発明は、上記請求項1乃至7のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法において、前記樹脂Aが、融点150℃以下の結晶性あるいは低結晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0016】
本発明の請求項9に係る発明は、上記請求項1乃至7のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法において、前記樹脂Aが、ガラス転移温度100℃以下の非結晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0017】
本発明の請求項10に係る発明は、上記請求項1乃至9のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法において、前記樹脂Aが、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体に代表されるポリオレフィン樹脂あるいはその変性物、エチレン−α,β不飽和カルボン酸、エチレン−α,β不飽和カルボン酸のエステル化物、エチレン−α,β不飽和カルボン酸のイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体などに代表されるエチレン系共重合体あるいはその変性物、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステル、オキシ酸あるいはその分子内環化物の重合体に代表されるポリエステル樹脂あるいはその変性体、ポリエーテルやポリエーテル系共重合体あるいはその変性物であることを特徴とする樹脂の製膜方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に図1を用いて詳細に説明する。
本発明の樹脂の製膜方法において、製膜する装置は、大きく分けて押出機1やバンバリーミキサー2など樹脂Aを混練する混練部(I) と、カレンダー成形部(II)とからなる。
また、図1に示すように、混練部(I) と、カレンダー成形部(II)との間には、対向して回転する2本の易剥離ロール11、11からなる易剥離ロール部(III) を配置することにより、押出機1であれば連続的に、またバンバリーミキサー2であればバッチ的に供給される溶融可塑化した樹脂Aを、カレンダー成形部(II)に供給する際に、安定した樹脂供給量、供給幅を保証することができる。しかし、この易剥離ロール部(III) は、樹脂Aの溶融粘度、溶融張力などの製膜に及ぼす諸物性に応じて設置するものであり、場合によっは設置しなくてもよい。
【0019】
混練部(I) は、樹脂Aを溶融可塑化させるためのユニットであり、必要に応じては各種添加剤を配合するなどの目的でも使用される。混練部(I) の混練装置としては、押出機1あるいはバンバリーミキサーのようなミキサー2などを用いることが可能であり、押出機1であれば単軸あるいは二軸押出機など、その種類、形状の制約は受けない。また、押出機1であればダイの形状もTダイ、ストランドダイなど種類を選ばない。
【0020】
カレンダー成形部(II)は、鏡面仕上げされた平滑な周面を持つ対向して回転する2本のカレンダーロール21、21からなり、そのロール形状、サイズ、本数に制約を受けない。例えば、図1左側のカレンダー成形部(II)のように、対向する2本のカレンダーロール21、21からなる2本ロールタイプのものや、図1右側のカレンダー成形部(II)のように、対向する2本のカレンダーロール21、21と、そのうちの1本のカレンダーロール21の真下に、さらに対向して全体に逆L字型となる対向して回転する2本のカレンダーロール22、22を配置した四本ロールタイプなど種々選択が可能である。また、カレンダーロールでは圧力を押出ラミネーターよりも高圧に加えることが可能であるため、複数のロールを用いて、膜厚制御および熱ラミネーションをインラインで行うことも可能である。この時カレンダー成形部(II)には、以下に示す樹脂Aを製膜するに当たっては、図1に示すように、1種以上の長尺状の基材フィルムCを巻き取り部(V) にて巻き取りながら通すことで、樹脂Aを挟み込みながら製膜した方が好ましい。
【0021】
上述した方法は、従来のようなカレンダー成形に基材フィルムCを通した方法を付加した方法となるが、基材フィルムCを通すことで以下の利点が得られる。
【0022】
まず第1に、樹脂Aが粘着性の著しい樹脂や、溶融張力がなく、引き取り性・延展性に劣るような樹脂の場合でも、カレンダーによる圧延成形が可能になる。第2に、従来のカレンダー成形では薄膜フィルムの製膜は困難であったが、通し基材フィルムCを用いることで、引き取り性が向上し、樹脂Aの薄膜化が可能である。この方法を用いることで10μmの薄膜フィルムを製膜することが可能である。第3に、カレンダー成形は、上述したように熱および圧力が掛けられるため、製膜だけでなく熱ラミネーションの効果を付与することが可能である。そのような意味で、紙基材に樹脂Aを積層させたり、金属箔基材に接着性樹脂などの樹脂Aを積層させることも可能である。さらに、基材フィルムCとして、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂などの易剥離性を付与したコート層を有する基材フィルムCを用いることで、易剥離性多層フィルムや、樹脂Aの単膜を得ることも可能である。これらの基材フィルムCについては後述する。
【0023】
2本の易剥離ロール11、11からなる易剥離ロール部(III) は、上述したように、必要に応じて設置が可能である。しかしながら、図1に示すように、カレンダー成形部(II)のようにカレンダーロール21、21間で、供給された溶融樹脂Aの溜まり場であるバンク23(樹脂溜まり)が形成され、圧力により薄膜化する際に、通し基材フィルムCが有ると、バンク23によって樹脂供給部を起点にして皺が入る可能性がある。しわを極力減少させるためには、カレンダー成形部(II)のロール21、21間に供給する樹脂Aの量を常に一定にし、かつカレンダーロール21、21間に供給する樹脂の製膜幅の制御を行う必要が有るが、この易剥離ロール部(III) の2本の易剥離ロール11、11を配置することにより、カレンダー成形部(II)への安定した樹脂Aの供給量を保証し、膜厚制御や、皺の改善に繋げることができる。また、易剥離ロール11、11への易剥離処理は、シリコーンあるいはテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))などの処理を施しておいた方が、粘着性のある樹脂Aを用いても、カレンダー成形部(II)に樹脂Aを円滑に供給することが可能にある。
【0024】
このような製膜装置を用いることにより、以下に示すどのような樹脂Aに対しても、膜厚精度が良好な膜を製膜することが可能である。また、必要に応じて、カレンダー成形後、架橋処理装置(樹脂Aの架橋硬化処理)や、表面処理装置、スリッターなどを搭載してもかまわない。
【0025】
上述した図1に示す製膜装置を用いて製膜できる樹脂Aとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体に代表されるポリオレフィン樹脂が挙げられる。
【0026】
また、上述したポリオレフィン樹脂をグラフト反応により、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、ビニルあるいはアクリル系シランなどで変成させた変性物でも使用可能である。
【0027】
さらに、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸の各種エステル化物、エチレン−(メタ)アクリル酸の各種イオン架橋物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体も使用可能である。
【0028】
また、さらに上述した樹脂を、グラフト反応により、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、ビニルあるいはアクリル系シランなどで変成させた変性物も使用可能である。
【0029】
また、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのジカルボン酸を、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのジオールで共重合させた共重合ポリエステルや、脂肪族ポリエステル、乳酸などのオキシ酸あるいはカプロラクトンのようにオキシ酸の分子内環化物の重合体であるポリ乳酸やポリεカプロラクトンに代表されるポリエステル樹脂あるいはその変性体でも使用可能である。
【0030】
また、これらのポリエステル樹脂をトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネート単量体、あるいはアダクト、ビューレット、イソシアヌレートなどの形で3官能以上にさせた多官能イソシアネートを用いて伸長させたポリエステルウレタンも使用可能である。
【0031】
また、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)を主成分としたポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイドのようなポリエーテル系樹脂を用いてもよく、またこれらのポリエーテル系重合体に上述したイソシアネート化合物を作用させて得られたポリエーテルウレタンなども使用可能である。
【0032】
これら樹脂Aを用いて製膜したフィルムは、必要に応じて樹脂A中に粘着付与剤、架橋剤、各種塩などの各種添加剤を配合することにより、粘着性フィルム、架橋フィルム、生分解フィルム、接着性フィルム、帯電防止フィルム、電解質フィルムといった各種機能膜として使用することが可能である。
【0033】
基材フィルムCとしては、様々なものを使用することが可能である。例を挙げると、ポリエチレン、ポリピロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、紙基材、金属箔など様々である。また、これらの基材フィルムは、必要に応じて各種表面処理を施してもかまわない。またテトラフルオロエチレン系やシリコーン系のコート層を設けた易剥離処理フィルムでもかまわない。
【0034】
これらの樹脂Aおよび基材フィルムCを用いた製膜事例として、まず、上記製膜装置を用いて、1枚又は2枚の基材フィルムCで樹脂Aを挟み込み、熱/圧を利用して、基材フィルムC/樹脂A/基材フィルムCの積層フィルムDが製膜可能である。この時、カレンダー成形部(II)に導入する2枚の基材フィルムC、Cは同種材料でも異種材料でも構わない。
【0035】
次に、基材フィルムCの一つを易剥離処理フィルムにすることで、基材フィルムC/樹脂A/易剥離処理フィルムした基材フィルムCの構成の積層フィルムDが製膜可能である。この構成は、樹脂Aに感圧型接着性樹脂、感熱型接着性樹脂を用いることで、易剥離処理フィルム(基材フィルムC)によるセパレータを設けた粘着ラベルなどとして使用することが可能である。
【0036】
また、基材フィルムCの双方を易剥離処理フィルムにすることで、易剥離処理フィルムC/樹脂A/易剥離処理フィルムCの構成の積層フィルムDが製膜可能であり、最終工程で易剥離処理フィルムC、Cの双方を剥離することで、樹脂Aの単膜を得ることも可能である。
【0037】
上述した積層構成の積層フィルムDを製膜するに当たって、製膜温度としては(樹脂Aの融点)<製膜温度<(基材フィルムCの融点)の条件下で、カレンダー成形部(II)により圧延することで、樹脂Aの膜を製膜する必要がある。樹脂Aの融点以下では圧延成形ができず、基材フィルムCの融点以上では膜厚精度や引き取り性に影響を与える。好ましくは、基材フィルムCであるフィルムが熱収縮しない温度以下で製膜した方が好ましい。
【0038】
【実施例】
以下に本発明の樹脂の製膜方法について、具体的実施例を挙げて詳細に説明する。
【0039】
(使用材料)
・樹脂A
A1:超低密度ポリエチレン:(密度d=0.89g/cm3 ):融点Tm=70〜80℃
A2:エチレン−アクリル酸エチルとエチレン−酢酸ビニル共重合体のアクリル酸グリシジルとアクリル系シラングラフト共重合体からなるブレンド
物:融点Tm=80〜90℃
A3:ポリエステルウレタン(酸成分:テレフタル酸−イソフタル酸−アジピン酸、ジオール成分:1,4−ブタンジオール、イソシアネート:トリレンジイソシアネート):融点Tg=30℃
A4:共重合ポリエステル(酸成分:テレフタル酸−イソフタル酸−アジピン酸):融点Tm=85℃
・基材フィルムC
C1:シリコーン処理易剥離ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚さ50μm
C2:酸化チタン含有白色ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚さ188μm
C3:紙基材:坪量80g/m2
C4:ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚さ25μm
C5:アルミニウム箔:厚さ40μm
【0040】
(製膜装置)
【0041】
<実施例1>
図1に示すように、混練部(I)の単軸押出機1により予め予備混練を施した溶融樹脂A1(超低密度ポリエチレン)を、易剥離ロール部(III) の易剥離ロール11、11間に、ロール軸方向に離間対向するバンク12の離間距離を600mmに設定して供給し、樹脂A1の供給幅と供給量を易剥離ロール11、11の対向隙間にて調整しながら、溶融樹脂A1を、基材フィルムC3(紙基材:坪量80g/m2 )、C4(ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚さ25μm)にて挟み込みながらカレンダー成形部(II)のカレンダーロール21、21間に供給し、易剥離ロール11の加工温度110〜150℃、カレンダーロール21の加工温度150〜170℃、加工速度10m/minに設定して、溶融樹脂A1の製膜を行った。
その結果、厚さ20μmの樹脂A1による樹脂膜を基材フィルムC3、C4にて挟み込んだ積層フィルムDが得られた。この樹脂A1(超低密度ポリエチレン)は、基材フィルムC3(紙基材)とC4(ポリエチレンテレフタレートフィルム)に対して接着良好であることから、紙/PET間の接着性樹脂として機能することが可能となった。
【0042】
<実施例2>
実施例1と同じ条件(但し易剥離ロール11の加工温度110〜150℃、カレンダーロール21の加工温度210℃)で、樹脂A2(エチレン−アクリル酸エチルとエチレン−酢酸ビニル共重合体のアクリル酸グリシジルとアクリル系シラングラフト共重合体からなるブレンド物)を基材フィルムC1(シリコーン処理易剥離ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚さ50μm)、C5(アルミニウム箔:厚さ40μm)で挟み込み製膜した。その結果、30μmの樹脂A2による樹脂膜を基材フィルムC1、C5にて挟み込んだ積層フィルムDが得られた。この樹脂A2は基材フィルムC5と接着性が良好であり、基材フィルムC1に対して剥離性が良好であることから、易剥離フィルムとしての基材フィルムC1に感熱接着タイプの樹脂A2による樹脂膜を積層した感熱接着フィルムとして使用することが可能であった。
【0043】
<実施例3>
実施例1と同じ条件で、樹脂A3(ポリエステルウレタン)を2枚の基材フィルムC1(シリコーン処理易剥離ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚さ50μm)で挟み込み製膜した。その結果、30μmの樹脂A3からなる樹脂膜を基材フィルムC1にて挟み込んだ積層フィルムDが得られた。この樹脂A3は基材フィルムC1に対して剥離性が良好であることから、積層フィルムDから基材フィルムC1を剥離することにより、樹脂A3による単膜フィルムを得ることが可能であった。
【0044】
<実施例4>
実施例1と同じ条件で、樹脂A4(共重合ポリエステル)を基材フィルムC1(シリコーン処理易剥離ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚さ50μm)と基材フィルムC2(酸化チタン含有白色ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚さ188μm)で挟み込み製膜した。その結果、30μmの樹脂A4からなる樹脂膜を基材フィルムC1、C2にて挟み込んだ積層フィルムDが得られた。この樹脂A2は基材フィルムC2と接着性が良好であり、C1に対しては剥離性が良好である。この樹脂A4(共重合ポリエステル)はポリエステルフィルムとのヒートシール性に優れることから、易剥離フィルムとしての基材フィルムC1に感熱接着タイプの樹脂A4による樹脂膜を積層したポリエステル樹脂接着用の感熱接着フィルムとして使用することが可能であった。
【0045】
<比較例1>
実施例1において、樹脂A1(超低密度ポリエチレン)を押出しラミネート法により得ようと試みたが、樹脂のもつ粘着性の影響で離ロール性が非常に悪く、膜を得ることができなかった。
【0046】
<比較例2>
実施例2において、樹脂A2(エチレン−アクリル酸エチルとエチレン−酢酸ビニル共重合体のアクリル酸グリシジルとアクリル系シラングラフト共重合体からなるブレンド物)を押出ラミネート法により製膜を試みたが、200℃以下の温度では引き取り性が低く、230℃を超える加工では、シラン部位の架橋によりゲルが多発し、製膜は可能であるが外観不良を伴った。
【0047】
<比較例3>
実施例3において、押出ラミネート法により製膜を試みたが、樹脂の粘度が非常に高くドローダウン性に劣り、引き取りの際に膜割れが発生し、製膜不可能であった。
【0048】
<比較例4>
実施例4において、押出ラミネート法により製膜を試みたが、溶融張力が小さくサージングが顕著であったため、幅方向および流れ方向の膜厚精度に課題を残した。また、離ロール性が悪く加工が非常に困難であった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の樹脂の製膜方法によれば、押出ラミネーションやインフレーションや押出キャストなどにおいて引き取り性や延展性の低い樹脂や、低結晶性あるいは非結晶性で、その樹脂自体に粘着性のある樹脂、あるいは熱などにより容易に架橋しうる樹脂として、上述した樹脂A(例えばA1〜A4)を、単膜あるいは各種基材との積層体として製膜でき、好適な樹脂の製膜方法を提供できるものである。
【0050】
また、樹脂Aが持つ特性が故に、従来の製膜方法では製膜加工が困難であったものが、本発明の製膜方法によれば、樹脂Aの特性を活かしながらも、かつ薄膜に製膜することが可能になり、粘着性、架橋性、接着性など、従来では製膜が困難であった樹脂でも製膜することが可能になる。
【0051】
また、上述した樹脂Aは、必要に応じて各種添加剤を配合して、様々な機能性フィルムとして製膜することができ、今後期待される電解質膜や各種エラストマーなどの機能性フィルムを製膜する有効な方法として優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂の製膜方法を説明する製膜装置の概要図。
【図2】本発明の樹脂の製膜方法により得られる積層フィルムの側断面図。
【符号の説明】
(I) …混練部 (II)…カレンダー成形部 (III) …易剥離ロール部
1…押出機 2…ミキサー
11…易剥離ロール 12…バンク
21…カレンダーロール 22…カレンダーロール
A…樹脂A C…基材フィルム D…積層フィルム
Claims (10)
- 押出機あるいはバッチ式の混練機など混練部(I) を用いて溶融可塑化された樹脂Aを、少なくとも1種以上の易剥離可能な基材フィルムで挟み込み、カレンダー成形部(II)を用いて圧延して、樹脂Aを製膜することを特徴とする樹脂の製膜方法。
- 押出機あるいはバッチ式の混練機など混練部(I) を用いて溶融可塑化された樹脂Aを、易剥離処理が施された対向する2本の易剥離ロールからなる易剥離ロール部(III)に導入し、樹脂Aの供給を制御しながら、少なくとも1種以上の基材フィルムで挟み込み、カレンダー成形部(II)を用いて圧延して、樹脂Aを製膜することを特徴とする樹脂の製膜方法。
- 前記樹脂Aを製膜するとともに、該樹脂Aと1種以上の前記基材フィルムからなる積層フィルムを製膜することを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂の製膜方法。
- 前記樹脂Aを製膜するとともに、1種以上の前記基材フィルムを剥離することにより、樹脂Aの単膜又は樹脂Aと基材フィルムからなる二層以上の積層フィルムを製膜することを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂の製膜方法。
- 前記カレンダー成形部(II)を用いて圧延する際に、(樹脂Aの融点)<製膜温度<(基材フィルムの融点)のカレンダー成形条件下で圧延することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法。
- 前記樹脂Aを挟み込む1種以上の前記基材フィルムのうち、少なくとも1枚の基材フィルムには、前記樹脂Aと接する面に易剥離処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法。
- 前記樹脂Aを、層厚を10〜100μmの範囲で製膜することを特徴とする請求項1乃6のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法。
- 前記樹脂Aが、融点150℃以下の結晶性あるいは低結晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法。
- 前記樹脂Aが、ガラス転移温度100℃以下の非結晶性の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法。
- 前記樹脂Aが、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体に代表されるポリオレフィン樹脂あるいはその変性物、エチレン−α,β不飽和カルボン酸、エチレン−α,β不飽和カルボン酸のエステル化物、エチレン−α,β不飽和カルボン酸のイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体などに代表されるエチレン系共重合体あるいはその変性物、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステル、オキシ酸あるいはその分子内環化物の重合体に代表されるポリエステル樹脂あるいはその変性体、ポリエーテルやポリエーテル系共重合体あるいはその変性物であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の樹脂の製膜方法。
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