JP6269761B2 - 電池外装用ラミネートフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電池外装用ラミネートフィルムと、その製造方法に関する。より具体的には、本発明は、リチウム電池(リチウム一次、二次電池)、リチウムイオン二次電池、ポリマー電池等の電池において、液体、ゲル状高分子体、又は固体の電解質を有する電池本体を包装するための電池外装用ラミネートフィルムと、その製造方法に関する。本発明はまた、この電池外装用ラミネートフィルムを用いた電池に関する。
近年、携帯電話、パーソナルコンピュータ、自動車等に用いられる薄型・小型電池として、リチウム電池、リチウムイオン二次電池等が開発されている。従来、これらの電池の外装材としては、金属製の缶タイプが用いられてきたが、近年では、電池の設計自由度が高く、より軽量化が可能であることから、基材層とシーラント層に高分子フィルムを用い、バリア層に金属箔を用い、これらを積層一体化してなる基材層/バリア層/シーラント層の積層フィルムを、シーラント層同士を熱シールして、袋状或いはケース状に加工したものが用いられるようになってきた。
電池外装材には、電池本体の包装形式により、パウチタイプ、エンボスタイプと称されるものがある。パウチタイプは、三方シール、四方シール、ピロータイプ等の袋形状のものであり、一方、エンボスタイプには、一方又は双方の外装材に凹部を形成してこの凹部に電池本体を収納し、周辺の鍔部をヒートシールして密封した形状のものがある。
これらの電池外装材を構成する電池外装用積層フィルムには、基本的なパッケージング部材としての高シール強度性、外部からの応力に対する強い耐突き刺し性が求められるが、さらに、以下の理由から、耐電解液性に優れ、高温環境下における高いシール性と層間接着性も要求されている。
即ち、リチウム電池には、電池内容物として正極材、負極材とともに、電解液として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等の極性溶媒に、電解質としてLiPF、LiBF等のリチウム塩を配合したものが用いられている。これらの電解液の溶媒は、高分子フィルムへの浸透性が高いために、電解液の溶媒が外装材の積層フィルムに浸透することによるシール部の接着強度の低下や、各層間の接着強度の低下が問題となっている。
更には、電池内部では、電極、活物質、電解液等に含まれる僅かな水分や、シール層断面を通して外部から浸入する水分と、電解質のリチウム塩とで加水分解反応が起こり、フッ化水素酸が生成する。このフッ化水素酸が外装材の積層フィルムのシーラント層に浸透してバリア層の金属腐食を発生させ、シーラント層とバリア層との接着性の低下、シール部の接着強度の低下をより一層促進させることとなる。
また、リチウム電池には、真夏の車内に放置されたことを想定し、60〜80℃での高温環境下に放置された場合でも、シール強度、各層間の接着強度を維持する耐熱性も必要となる。
このようなことから、電池外装材としての積層フィルムには、シーラント層同士のシール性、各層間の接着強度について、他用途の包装材と比較しても格段に優れたものであることが要求される。
従来、電解液から発生するフッ化水素酸に対する耐腐食性を付与するために、バリア層に用いるアルミニウム箔に表面処理を施すことが提案されている。
例えば、特許文献1には、基材層、接着層、化成処理層、アルミニウム、化成処理層、酸変性PP皮膜層、最内層から構成された積層体であって、化成処理がリン酸クロメート処理であることを特徴とするポリマー電池用包装材料が提案されている。
また、特許文献2には、フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液でアルミニウム箔を化成処理したものを用いた積層体が提案されている。
特許文献3には、アミノ化フェノール重合体、3価クロム化合物及びリン化合物を含有する化成処理液で化成処理したアルミニウム箔を用いた電池用包装材が提案されている。
しかし、これら特許文献1〜3で行われている化成処理は、塗布型化成処理とも言われ、処理液は人体への影響があり、環境負荷が大きく、しばしば土壌汚染などの環境汚染が問題となっているため、このような化成処理をバリア層のアルミニウム箔に施すことは好ましくない。
電池外装材用積層フィルムには、更に次のようなものも提案されている。
特許文献4には、最外層/バリア層/サンド樹脂層/シーラント層からなる積層体において、ベーマイト処理したアルミニウム箔をバリア層として用い、シーラント層として密度0.925g/cm以上、融解熱量のピークトップが115℃以上であるエチレン−αオレフィン共重合体からなる層を使用した電池外装材が提案されている。この特許文献4では、接着層であるサンド樹脂層の成形にサンドイッチラミネーション法を採用している。
特許文献5には、耐電解液性の優れた積層体として、リン酸クロメート処理によって化成処理層を設けたアルミニウム箔に、酸変性オレフィン樹脂の単層ないし酸変性オレフィン樹脂とオレフィン樹脂との共押出しフィルムをサーマルラミネーション法で貼合せたことを特徴とする積層体が提案されている。
特許文献6、7には、電池用の包装材料の製造方法として、アルミニウムの両面にフェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸からなる水溶液で化成処理を施し、一方の面に基材をドライラミネートした後、他方の面にヒートシール性フィルム層としてのポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムを、酸変性ポリエチレン樹脂又は酸変性ポリプロピレン樹脂を接着樹脂としてサンドイッチラミネート法によりラミネートして得られた積層体を、後加熱により接着樹脂の軟化点以上に加熱することを特徴とした製造方法が開示されている。
特許文献8、9には、ポリマー電池用包装材料の製造方法として、アルミニウムの両面にリン酸クロメート処理を施し、一方の面に基材をドライラミネートした後、他方の面に接着樹脂と最内層樹脂(ヒートシール層)とを共押出しして積層体とし、後加熱により接着樹脂の軟化点以上の条件で加熱する方法が開示されている。
特許文献10には2軸延伸ポリエステルフィルム層、2軸延伸ナイロンフィルム層、金属箔層、熱接着性樹脂層からなる積層体で形成された電池用積層フィルムであって、熱接着性樹脂層に、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンを用いるものが提案されている。この特許文献10には、熱接着性樹脂層と金属箔層との積層方法として、金属箔層と熱接着性樹脂層のフィルムとの間に、酸変性ポリプロピレンなどの熱接着性樹脂を膜状に押し出すことが記載されている。
特開2011−138789号公報 特開2004−98409号公報 特開2003−236980号公報 特開2003−62932号公報 特開2004−74419号公報 特開2001−307684号公報 特開2001−202927号公報 特開2001−229887号公報 特開2001−202928号公報 特開2011−142091号公報
シーラント層として、エチレン−αオレフィン共重合体からなる層を使用した特許文献4の電池外装材では、その実施例で具体的に製造された積層体のヒートシール強度は6.5N/15mm程度の弱いものであり、電池外装材として使用できるものではない。また、接着層であるサンド樹脂層の成形にインフレーション成形法ではなく、サンドイッチラミネーション法を採用しているため、MFRの高い高流動性の樹脂を選定しなければならず、シール時に接着樹脂層が流動化し、厚みが薄くなりバリア層のアルミニウム箔との接着強度が不足する問題がある。即ち、サンドイッチラミネート法で押し出される樹脂はインフレーション法で押し出される場合とは異なり、通常、融点より50〜100℃、或いはそれ以上の高温で押し出されるため、耐熱性の低い酸変性樹脂では高温下での押し出し時に熱劣化を引き起こし、シール強度及び耐電解液性が悪化する。
特許文献5の積層体では、アルミニウム箔と酸変性樹脂とを強固に接着させるために、化成処理層を酸変性オレフィン樹脂の軟化点以上、融点以下に加熱し、サーマルラミネーション法で貼り合わせて中間積層体とした後、更に、中間積層体を酸変性オレフィン樹脂の融点以上となるように再加熱する二段階加熱処理を行う必要があり、加工コストがかかる。また、この特許文献5においても、特許文献1〜3と同様に、リン酸クロメート処理による化成処理に起因する環境汚染が問題となる。
特許文献6、7の方法では、接着樹脂層の形成にサンドイッチラミネーション法を採用しているため、特許文献4と同様、シール時に接着樹脂層が流動化し、厚みが薄くなりバリア層のアルミニウム箔との接着強度が不足する問題や、高温下での押出し時の熱劣化でシール強度及び耐電解液性が悪化する問題がある。
特許文献8、9の方法は、共押出し法により直接アルミニウム面に接着樹脂を押出し製膜する所謂押出ラミネーション法によるものであり、サンドイッチラミネーション法と同様、接着樹脂としてMFRの高い高流動性の樹脂を選定しなければならず、シール時に接着樹脂層が流動化し、厚みが薄くなりアルミニウムとの接着強度が不足する問題、高温下での押し出し時の熱劣化でシール強度及び耐電解液性が悪化する問題がある。また、特許文献1〜3と同様に、リン酸クロメート処理に起因する環境汚染の問題もある。
特許文献10では、接着強化樹脂層として酸変性ポリプロピレンを使用しているため、耐電解液性が劣る。
このように、従来において、電池外装材として各種の積層フィルムは提案されているものの、接着層及びシーラント層の樹脂特性と成膜方法、更には貼り合わせ加工方法等において最適な選択がなされていないため、シール強度、層間接着強度が高く、耐電解液性、耐熱性に優れ、しかも、環境汚染の問題もなく、安価に製造することができるものが提供されていないのが実状である。
本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、シール強度、層間接着強度が高く、耐電解液性、耐熱性に優れ、環境負荷の少ない方法で安価に製造することができる電池外装用ラミネートフィルムを提供するものである。
本発明者等は鋭意検討した結果、少なくとも基材層、第1の接着層、バリア層、第2の接着層、シーラント層がこの順で積層されてなる電池外装用ラミネートフィルムにおいて、第2の接着層の接着樹脂として、特定の直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)を主成分とした高粘度、高密度の酸変性ポリエチレン樹脂を用いることにより、バリア層に環境負荷の大きいクロメート処理等の化成処理をすることなく、耐電解液性、耐熱性、高接着強度を得ることができること、更には、第2の接着層の形成に、その製膜材料を環状ダイから押し出すインフレーション成形法を採用すると、縦横の引張り強度や伸び等の物性に差のない、均質な接着用フィルムを得ることができ、このフィルムを、熱ラミネーション法にてバリア層の金属箔と貼り合わせることにより、酸変性ポリエチレン樹脂の結晶性を促進させて耐電解液性、耐熱性、層間接着性に優れた電池外装用ラミネートフィルムを得ることができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 少なくとも基材層、第1の接着層、バリア層、第2の接着層、シーラント層がこの順で積層されてなる電池外装用ラミネートフィルムの製造方法であって、該第2の接着層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)を主成分とするポリエチレン樹脂よりなり、該ポリエチレン樹脂の少なくとも一部は酸変性されており、該バリア層と該シーラント層とを該第2の接着層を介して熱ラミネーション法により貼り合わせる熱ラミネーション工程を含み、該熱ラミネーション工程において、該シーラント層側の非貼り合わせ面に融点200℃以上の耐熱フィルムを重ねて熱ラミネーションし、その後、該耐熱フィルムを該シーラント層から剥離させることを特徴とする電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
[2] 前記熱ラミネーション工程において、得られる電池外装用ラミネートフィルムの前記基材層側の温度を170℃未満とし、前記シーラント層側の温度を170℃以上とし、該基材層側の温度とシーラント層側の温度差を20℃以上とすることを特徴とする[1]に記載の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
[3] 前記第2の接着層の製膜材料を環状ダイから押し出すインフレーション成形法により第2の接着層形成用フィルムを製膜するインフレーション成形工程を更に含み、前記熱ラミネーション工程において、該第2の接着層形成用フィルムを熱ラミネーション法により前記バリア層に貼り合わせることを特徴とする[1]又は[2]に記載の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
[4] 前記インフレーション成形工程において、前記第2の接着層の製膜材料を、前記シーラント層の製膜材料と共に環状ダイから共押し出しする共押出インフレーション成形を行うことを特徴とする[3]に記載の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
[5] 前記第2の接着層の酸変性ポリエチレン樹脂は、MFR0.1g/10min以上3g/10min以下、密度0.920g/cm 以上0.950g/cm 以下、引張り弾性率100MPa以上1000MPa以下であることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
本発明によれば、シール強度、層間接着強度が高く、耐電解液性、耐熱性に優れ、環境負荷の少ない方法で安価に製造することができる電池外装用ラミネートフィルムが提供され、この電池外装用ラミネートフィルムを用いて、電池の軽量・薄肉・小型化と、低コスト化、長期耐久性、信頼性の向上を図ることができる。
本発明の電池外装用ラミネートフィルムの実施の形態を示す断面図である。 本発明の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法の一例を示す熱ラミネーション工程の概略図である。 本発明の電池外装用ラミネートフィルムを用いた電池外装材の一例を示す斜視図である。
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の電池外装用ラミネートフィルムの実施の形態を示す断面図であり、図2は、本発明の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法の一例を示す熱ラミネーション工程の概略図、図3は、本発明の電池外装用ラミネートフィルムを用いた電池外装材の一例を示す斜視図である。ただし、図1〜3は、本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明の電池外装用ラミネートフィルム、電池外装材は、何ら図1,3に示すものに限定されるものではない。また、本発明の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法も何ら図2に示す熱ラミネーション工程を経るものに限定されるものではない。
なお、本明細書において、樹脂又は樹脂組成物の引張り弾性率は、ISO1184−1970に基づき15mm幅の短冊状のサンプルを、チャック間距離100mmでテンシロン型引張り試験機にて1mm/minで測定された値である。また、MFR(メルトフローレート)は、JISK7210A法に基づき、ポリエチレン樹脂又は酸変性されたポリエチレン樹脂或いはこれらを主成分とする樹脂組成物の場合は、190℃、2.16kgf荷重にて測定された値であり、ポリプロピレン樹脂又はポリプロピレン系樹脂組成物の場合は、230℃、2.16kgf荷重にて測定された値である。また、樹脂の密度はJISK7112A法(水中置換法)により求められたものである。
[電池外装用ラミネートフィルム]
図1に示すように、本発明の電池外装用ラミネートフィルム10は、少なくとも基材層1、第1の接着層2、バリア層3、第2の接着層4、シーラント層5がこの順で積層されてなり、第2の接着層4が、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)を主成分とするポリエチレン樹脂よりなり、該ポリエチレン樹脂の少なくとも一部は酸変性されており、且つ、MFRが0.1g/10min以上3g/10min以下で、密度が0.920g/cm以上0.950g/cm以下で、引張り弾性率が100MPa以上1000MPa以下であることを特徴とする。
<基材層>
本発明における基材層1は、突き刺し等による外部からの力によるバリア層3の破損を防ぐために、バリア層3を補強すると共に、電池外装用ラミネートフィルムの加工時の電池外装用ラミネートフィルム自体の破損を防止するための層であり、単層であっても2層以上の積層であってもよい。
基材層1は、機械的強度に優れ、耐熱性にも優れていることが要求され、引張り弾性率の高い樹脂フィルムよりなることが好ましい。
基材層1に用いられる好ましい樹脂としては、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリアセタール(POM)、ポリアリレート(Par)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのポリアルキレンテレフタレート(PAT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフェニレンオキシド(PPE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリオキシベンジレン(POB)、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリビスアミドトリアゾール、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリルなどの熱可塑性樹脂の1種又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリアルキレンテレフタレート(PAT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)が好ましい。
基材層1は無延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよいが、機械的強度及び耐熱性の観点から延伸フィルムであることが好ましく、中でも2軸延伸フィルムであることが好ましい。特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム又は2軸延伸ポリアミドフィルムからなるものは、引張り弾性率が高く、安価であり好ましい。
基材層1は、電池としての組み立ての際の外部からの突き刺し等の変形によるバリア層2のピンホール発生を阻止するための役割と、パウチ、エンボス加工する際に一般的に行われるプレス加工や張り出し加工時における電池外装用ラミネートフィルムの破損を防止するための役割を担うために、ある程度の弾性率と厚みが必要である。
基材層1の引張り弾性率は通常2000MPa以上、好ましくは2200MPa以上であり、特に好ましくは2400MPa以上である。この引張り弾性率の上限は特に定めないが、上述のような好適樹脂の引張り弾性率は通常6000MPa以下である。
また、基材層1の厚みは、好ましくは10μm以上50μm以下である。基材層1の厚みが50μmよりも厚いと、電池外装用ラミネートフィルムの剛性が高くなりすぎ、プレス加工等の加工がしにくくなるばかりか、面密度が大きくなり軽量化が図れなくなる傾向にある。また、基材層1の厚みが10μmより薄いと耐突き刺し性に影響が出る場合がある。基材層1の厚みは特に12μm以上30μm以下であることが好ましい。
電池外装用ラミネートフィルムを図3に例示されるようなエンボスタイプの外装材とする場合、基材層1にはプレス成形時の金型との滑り性も必要となるため、基材層1の表面(電池外装用ラミネートフィルムの最表面)に滑剤を塗布したり、凹凸を付与するなどして滑り性を高めることが好ましい。
ただし、滑剤を用いた場合は、滑剤による金型汚染の問題が懸念されるため、特に基材層1の表面に凹凸をつけて金型との摩擦係数を低下させた構成とすることが好ましい。この場合、基材層1の表面の凹凸は、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK8500によりレンズ100倍、ピッチ0.01μm、シャッタースピードAUTO、ゲイン835の測定条件にて40μm×40μmのエリアで測定された表面粗さRaを4点測定した平均値で0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。Raが上記下限より小さいと滑り性が不足する傾向があり、上記上限よりも大きいと凹凸にごみが付着しやすくなる傾向がある。好ましい基材層1の表面粗さRaは0.35μm以上0.70μm以下である。
<第1の接着層>
第1の接着層2は、基材層1とバリア層3とを接着するための層であり、基材層1とバリア層3とをドライラミネーション法により貼り合わせる場合には、ドライラミネーション用の接着剤、例えば、脂肪族ポリエステル系、芳香族ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリエーテル系、シアノアクリレート系、ウレタン系、有機チタン系、ポリエーテルウレタン系、エポキシ系、ポリエステルウレタン系、イミド系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、シリコーン系、アクリル系などの各種の接着剤を用いることができる。
これらの接着剤の中でも、芳香族ポリエステル系、ポリオレフィン系、アクリル系の接着剤が耐電解液性に優れ、好ましい。
更なる耐電解液性が必要とされる場合には、第1の接着層2に酸変性樹脂フィルムを用いて熱ラミネーション法により基材層1とバリア層3とを貼り合わせてもよい。
第1の接着層2の厚みは限定されないが、通常1〜10μm程度である。
<バリア層>
バリア層3は、外部からの水分が電池内部に浸入することを防止(バリア)するための層であり、ピンホールが無いこと、電池外装用ラミネートフィルムとしての高い引張強度を有していること、エンボス加工、パウチ加工時の変形及び伸びに対する耐クラック性を有していること等が要求される。
バリア層3としては金属箔(金属層)が好ましく、特に好ましいのはアルミニウム箔である。またプレス加工やエンボス加工時の耐クラック性の面から、伸び性に優れたアルミニウム箔が好ましく、鉄を0.3重量%以上、3.0重量%以下含有するアルミニウム箔が好ましい。鉄の含有量がこの範囲より少ないと伸びが十分でない傾向にあり、この範囲より多い場合には、電解液から発生するフッ化水素酸等によるバリア層3の腐食の問題が発生する傾向にある。アルミニウム箔の好ましい鉄含有量は0.5重量%以上1.7重量%以下である。
また、アルミニウム箔には、硬質アルミニウム箔と軟質アルミニウム箔とが存在するが、焼鈍処理を施してある軟質アルミニウム箔が柔軟性を有しているため好ましい。
アルミニウム箔等のバリア層3の厚みは、9μm以上60μm以下、特に20μm以上50μm以下であることが、薄膜化とバリア性を両立させる上で好ましい。
なお、バリア層3は、通常、予め成形された金属箔(金属層)を用いるが、例えば、蒸着法や塗布法によってバリア層3を形成する態様も包含する。
<アルミニウム箔の表面処理>
本発明におけるバリア層として好適なアルミニウム箔の表面は、耐腐食性を付与するための表面処理を施したものであってもよい。ただし、本発明において、アルミニウム箔の表面処理は必ずしも必要とされない。
即ち、本発明においては、後述するように、第2の接着層の製膜材料として特定の物性の酸変性ポリエチレン樹脂を用いて、インフレーション成形法により製膜したフィルムを、温度勾配をつけた熱ラミネーション法によりアルミニウム箔に貼り合わせることにより、表面処理を施していないアルミニウム箔にも、第2の接着層を強固に接着させることができ、耐電解液性、耐腐食性を十分に確保することができるため、本発明において、アルミニウム箔の表面処理は必ずしも必要とされず、特に後述するクロム系化成処理のような環境汚染の問題のある表面処理は行わないことが好ましい。
バリア層としてのアルミニウム箔に表面処理を行う場合、表面処理としては公知の処理が用いられ、例えば、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、リン酸−クロム酸塩処理、クロム酸塩処理、アルカリクロム酸塩処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の塗布型ノンクロム系処理や、ベーマイト処理、陽極酸化処理等が挙げられる。これらの処理以外にも、コロナ処理、プラズマ処理又は火炎処理等のアルミニウム箔表面に極性基を付与する処理を行って、第2の接着層との接着性を高めることにより耐腐食性を付与してもよい。また、これらの処理を2つ以上組み合わせて行ってもよい。ただし、クロム系化成処理については、上述の如く、行わないことが好ましい。
上記の表面処理のうち、環境負荷が少なく、安価に表面処理可能なベーマイト処理が好ましいものとして挙げられる。
ベーマイト処理とは、高温のベーマイト処理水中に一定時間アルミニウム箔を保持することにより、アルミニウム箔の表面にベーマイトの結晶構造を有するアルミニウム水和酸化皮膜(ベーマイト皮膜)を形成する処理である。
好ましいベーマイト処理水は、脱イオン水に、トリエタノールアミン、アンモニアのようなアルカリを、0.1重量%以上2重量%以下、好ましくは0.3重量%以上1重量%以下、より好ましくは0.6重量%以上1重量%以下の濃度に添加したものであり、ベーマイト処理は、このようなベーマイト処理水を90〜100℃に加熱し、アルミニウム箔を20秒〜5分間、好ましくは20秒〜1分間浸漬させることにより行うことができる。
このようなベーマイト処理により、厚みが好ましくは0.1μm以上1μm以下、より好ましくは0.1μm以上0.8μm以下、更に好ましくは0.2μm以上0.4μm以下のベーマイト皮膜を形成したアルミニウム箔であれば、第2の接着層の酸変性ポリエチレン樹脂層との熱ラミネーションにおいて、強固な接着性が得られ、耐電解液性に優れた電池外装用ラミネートフィルムとすることができる。ベーマイト皮膜の厚みが上記範囲よりも薄いとベーマイト処理による接着性の向上効果を十分に得ることができず、上記範囲よりも厚いと、ベーマイト結晶がアルミニウム箔との界面から脱離しやすくなり好ましくない。
<第2の接着層>
第2の接着層4はバリア層3とシーラント層5とを接着するための層であり、本発明においては直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)を主成分とするポリエチレン樹脂を含有し、且つ、特定の物性を有する。なお、本発明において、第2の接着層4は、上記の条件を満たすものであれば、ポリエチレン樹脂以外の他の成分を含んでいてもよい。
ポリエチレン樹脂はポリプロピレン樹脂より融点は低いが、熱が繰り返し加えられることにより分子が架橋するポリマーであり、電池外装材としての用途で必要な80〜90℃の高温環境下での長時間暴露に対し、分子切断しにくく、ポリプロピレンより長期耐熱性が優れている。
更にポリエチレンは、溶融張力も高く、柔軟性があり、電池外装材として加工される場合の変形に対しても強く、変形時の白化もしにくく、耐寒性にも優れる。また、ポリエチレンはポリプロピレンより密度が高く、外部からの水分や電解液の極性溶媒であるカーボネート系溶媒への耐性も強い。
このようなポリエチレンを酸変性させた樹脂は、バリア層を構成するアルミニウム箔等の金属箔との接着性も優れ、アルミニウム箔に環境汚染を引き起こすクロム系化成処理や、リン系の化成処理を施さなくても、強固な接着力を得ることができる。
本発明では、ポリエチレン樹脂の中でも、適度な柔軟性を有し、アルミニウム箔等のバリア層との接着性に優れることから、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)を主成分としたポリエチレン樹脂を用いる。
ここでいう主成分とは、複数の成分を配合してなる材料において、当該配合材料中で最
も多く含まれている成分をさす。
本発明において直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)とは、エチレンと炭素数4〜20程度のα−オレフィンとの共重合体を意味し、α−オレフィンで構成される分岐側鎖の具体例としては、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1、テトラセン−1、オクタデセン−1等の各種コモノマーが挙げられる。これらのα−オレフィンは2種以上を併用してもよい。また、炭素数4〜20程度のα−オレフィンをコモノマーとして用いていれば、さらにプロピレンをコモノマーとしてもよい。直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)としては、第2の接着層のMFR、密度及び引張り弾性率を特定の範囲とすることができるものであれば、いずれも用いることができる。その中でも特に、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1のうち少なくとも何れかの側鎖がついた直鎖状低密度ポリエチレンが適度な柔軟性を有するため好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)の製造方法は限定されないが、ポリオレフィン樹脂を製造する公知の方法を採用することが出来る。
本発明におけるポリエチレン樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)以外のポリエチレン樹脂も配合することができる。直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)以外のポリエチレン樹脂は限定されないが、具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)や中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。ここで低密度ポリエチレン(LDPE)とは、前記の直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)は含まず、通常、高圧法低密度ポリエチレンと呼ばれるものが挙げられる。高密度ポリエチレン(HDPE)や中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)の製造方法は限定されず、公知の方法を採用することが出来るが、通常、チーグラー系触媒等によって製造することが好ましい。
好ましい酸変性ポリエチレン樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)と、高密度ポリエチレン(HDPE)とのブレンド材の酸変性ポリエチレン樹脂であり、このブレンド材はLLPEが50重量%以上98重量%以下、HDPEが2重量%以上50重量%以下であることが、耐熱性、耐電解液浸透性の点で好ましい。更にインフレーション成形安定性を付与するために、低密度ポリエチレン(LDPE)を第3成分として配合してもよく、その場合の配合割合は、LLPE50重量%以上95重量%以下、HDPE5重量%以上40重量%以下、LDPE1重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
本発明で用いるポリエチレン樹脂は、少なくとも一部が酸変性されており、このような酸変性ポリエチレン樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をグラフト重合で変性することで製造することができる。
その不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸の誘導体としては、特に限定されるものではないが、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等のジカルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水メサコン酸等のジカルボン酸無水物やアミド、イミド、エステルなどの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸を用いるのが好ましく、特に無水マレイン酸が好適である。
ポリエチレン樹脂の変性方法としては特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン樹脂を有機溶媒に溶解させ、これをラジカル発生剤の存在下に酸(無水マレイン酸など)と反応させる溶液法、ポリエチレン樹脂を加熱溶融させ、これをラジカル発生剤の存在下に酸(無水マレイン酸など)と反応させる溶融法等が挙げられる。
なお、酸変性するポリエチレン樹脂としては、主成分である直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)であってもよいし、これと併用することの出来る他のポリエチレン樹脂、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)や低密度ポリエチレン(LDPE)等であってもよい。更に、酸変性されたポリエチレン樹脂と、酸変性されていないポリエチレン樹脂とを適宜配合して用いることができる。
また、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)と共に他のポリエチレン樹脂を併用する場合においては、これらのポリエチレン樹脂を混合または共存させた状態で酸変性してもよいし、少なくとも何れかのポリエチレン樹脂を予め酸変性しておき、これと、酸変性されていない他のポリエチレン樹脂とを混合して用いてもよい。
酸変性ポリエチレン樹脂の変性率(酸変性ポリエチレン樹脂中の酸基の含有量)は、少な過ぎると酸変性したことによる接着性の向上効果を十分に得ることができない場合があり、多過ぎると酸変性ポリエチレン樹脂の耐熱性が低下する傾向にあるため、0.05重量%以上10重量%以下、特に0.2重量%以上5重量%以下であることが好ましい。ここで、酸変性ポリエチレン樹脂の変性率は、例えば、赤外吸収スペクトル分析(IR)や、滴定法などの手段で確認することができる。なお、酸変性されたポリエチレン樹脂と、酸変性されていないポリエチレン樹脂とを配合して用いる場合においては、当該変性率とは、酸変性されていないポリエチレン樹脂を含む全ポリエチレン樹脂中における変性率を意味するものとする。
なお、酸変性ポリエチレン樹脂としては、市販品を用いることも出来、例えば、三菱化学社製、モディック(商品名)シリーズや、三井化学社製、アドマー(商品名)等の中から、上記に該当するものを適宜選択して使用することができる。
第2の接着層4には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のポリエチレン樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。ポリエチレン樹脂以外の樹脂は限定されないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体や、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のエチレンとα−オレフィン以外のコモノマーとを共重合したエチレン系樹脂;プロピレン系樹脂;塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。なお、第2の接着層4として、ポリエチレン樹脂以外の樹脂を多量に含有する場合には、前記したポリエチレン樹脂を用いることによる効果を損なう場合があるため、これらの樹脂は、第2の接着層中に、20重量%以下、好ましくは15重量%以下の範囲で用いることが好ましい。
更に、第2の接着層4には、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等のオレフィン系エラストマーや、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の各種エラストマー成分、酸化防止剤、熱安定剤、各種可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
第2の接着層は、MFR0.1g/10min以上3g/10min以下、密度0.920g/cm以上0.950g/cm以下、引張り弾性率100MPa以上1000MPa以下である。
第2の接着層4のMFRが、3g/10minより大きいと、流動性が高過ぎてシール時に樹脂の溶融による流動が発生し、シール部の厚みが不足してシール強度の低下を引き起こすことがあり好ましくない。更には、分子量が低くなり、電解液から発生するフッ化水素酸に対しての浸透性が高くなり、バリア層を腐食させてしまうため好ましくない。第2の接着層4の好ましいMFRは2g/10min以下、さらに好ましくは1.5g/10min以下である。第2の接着層4のMFRの下限は、インフレーション成形法で製膜する場合において、製膜性に問題が無いレベルであることが好ましいため0.1g/10min以上であり、特に0.3g/10min以上であれば、インフレーション成形における高速成形性と高シール強度を維持できるため好ましい。
また、第2の接着層4の密度としては、0.920g/cm以上である必要がある。これより密度が小さいと、耐溶媒性、耐電解液性が悪化する。外部からの水分を遮断し、また電解液と水分との加水分解で発生するフッ化水素酸に対する耐性を高めるためにも、第2の接着層4の密度は高い方がよく、好ましい密度の下限は0.923g/cm以上であり、特に好ましくは0.925g/cm以上である。第2の接着層4の密度の上限は、ポリエチレン樹脂の柔軟性を損なわなければ特に制限されるものではないが、通常、密度の上限は0.950g/cm以下であり、バリア層との接着性、耐フッ化水素酸性、プレス或いは張り出し加工での耐白化性を考慮すると、密度の上限は好ましくは0.945g/cm以下である。
第2の接着層4の密度を上記範囲とするための手段は限定されないが、酸変性に用いるポリエチレン樹脂の最適化、変性率の最適化のほか、前記の通り、酸変性されていないポリエチレン樹脂やポリエチレン樹脂以外の樹脂等を併用し、それら配合比率を最適化することなどが挙げられる。
また、第2の接着層4の引張り弾性率は、柔軟性を付与しすぎると変形等の外力が作用した時に材料破壊を引き起こしやすくなるため100MPa以上であり、反対に硬くなりすぎると脆くなりやすくバリア層との界面で剥離しやすくなるため1000MPa以下である。第2の接着層4の引張り弾性率はより好ましくは130MPa以上800MPa以下、特に好ましくは180MPa以上600MPa以下である。
なお、前述のMFR、密度、引張り弾性率の値は、第2の接着層4を構成する材料の特性を意味し、ポリエチレン樹脂として複数のポリエチレン樹脂を併用する場合や、ポリエチレン樹脂以外の樹脂を含有する場合においては、樹脂組成物としての値を意味するものである。
第2の接着層4の厚みは、3μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上40μm以下、特に好ましくは12μm以上35μm以下である。第2の接着層4の厚みが上記範囲よりも薄いと、バリア層3とシーラント層5との接着に十分な接着強度を得ることができない場合があり、上記範囲よりも厚いと、シーラント層の厚みを薄くしなければならなくなり、耐電解液性が劣る場合がある。
<シーラント層>
シーラント層5には、電池外装材としての加工時のヒートシール性と、耐電解液性が必要とされる。シーラント層5を構成する材料は限定されないが、第2の接着層4の酸変性ポリエチレン樹脂よりも変性率の少ない酸変性ポリオレフィン樹脂か、或いは酸変性していないポリオレフィン樹脂層よりなることが好ましい。シーラント層は、単層であってもよく、2層以上の積層であってもよい。
酸変性した樹脂は、酸変性していない樹脂に比較して耐熱性が低く、特に高温で製膜するサンドラミネーション方式や、押し出しラミネーション方式での製膜時には、低分子量成分が析出する場合がある。このような層を最内層、即ち、電解液と直接接触する層に使用した場合、低分子量成分が析出した部分から電解液の溶媒または電解液の加水分解で発生するフッ化水素酸の内層への浸透を速めることになり、耐電解液性に問題がでてくる場合がある。このため、シーラント層5は、変性率の少ない酸変性ポリオレフィン樹脂か或いは酸変性していないポリオレフィン樹脂層であることが好ましい。
ここで「変性率の少ない」とは、具体的には変性率0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下を意味する。
シーラント層5の構成材料としては、ポリオレフィン樹脂であれば問題無く使用することができ、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)、エチレンとのランダム共重合ポリプロピレン、エチレンとのブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂の1種又はこれらのポリオレフィン樹脂の2種以上の混合物を用いることができる。
シーラント層5の好ましい構成材料は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)や、LLPEと高密度ポリエチレン(HDPE)とのブレンド材であり、特にLLPE50重量%以上100重量%以下、HDPE0重量%以上50重量%以下のLLPE単独又はブレンド材が、耐熱性、耐電解液浸透性の点で好ましい。更にインフレーション成形安定性を付与するために低密度ポリエチレン(LDPE)を第3成分として配合してもよく、その場合の配合割合は、LLPE50重量%以上95重量%以下、HDPE5重量%以上40重量%以下、LDPE1重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
前述の如く、直鎖状低密度ポリエチレンには、分岐側鎖としてブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1等の各種コモノマー種を共重合させたものがあり、シーラント層として好適な後述の密度とMFRを満たすものであればよく、特に制限はないが、その中でも特に好ましいのが、ヘキセン−1、オクテン−1のうち少なくとも何れかの側鎖がついた直鎖状低密度ポリエチレンを50重量%以上含むものであり、このような直鎖状低密度ポリエチレンに更に高密度ポリエチレン及び/又は低密度ポリエチレンを2重量%以上50重量%以内で配合したブレンド材が、耐電解液性、タブシール層との接着性、インフレーション成形性、熱ラミネーション加工時の耐熱性、第2の接着層との接着性、耐フッ化水素酸性、プレス或いは張り出し加工での耐白化性等において優れ、好ましい。
本発明では、第2の接着層4に特定の酸変性ポリエチレン樹脂層を使用しているため、この酸変性ポリエチレン樹脂層だけでも耐電解液性は維持できるが、より耐性を求めるならば、シーラント層5は酸変性していない直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする層を少なくとも一層(以下、この層を「高密度層」と称す場合がある。)有することが好ましく、この高密度層を構成する樹脂は、MFRが0.1g/10min以上3g/10min以下で、密度0.920g/cm以上0.950g/cm以下で、第2の接着層の酸変性ポリエチレン樹脂よりも高密度あることが好ましい。この高密度層の密度が上記範囲よりも小さいと耐溶媒性、耐電解液性が悪化する。外部からの水分を遮断し、また電解液と水分との加水分解で発生するフッ化水素酸に対する耐性を高めるためにも、密度は高い方が好ましく、高密度層の密度の下限はより好ましくは0.923g/10min以上であり、更に好ましくは0.925g/10min以上、特に好ましくは0.935g/10min以上である。また、高密度層の密度の上限はポリエチレンの柔軟性を損なわず、引張り弾性率として1200MPa以下となるような密度であればよく、特に制限はないが、好ましい密度の上限は0.95g/10min以下であり、第2の接着層4との接着性、耐フッ化水素酸性、プレス或いは張り出し加工での耐白化性を考慮すると、より好ましい密度の上限は0.945g/10min以下である。
また、高密度層は第2の接着層4を構成する酸変性ポリエチレン樹脂よりも高密度の層であることが好ましく、第2の接着層4を構成する酸変性ポリエチレン樹脂の密度よりも0.001g/cm以上、好ましくは0.002g/cm以上密度が高いことが、耐溶媒性、耐電解液性の面で好ましい。なお、この密度差は、通常0.060g/cm以下である。
また、上記高密度層のMFRが3g/10minより大きいと、流動性が高すぎてシール時に樹脂の溶融による流動が発生し、シール部の厚みが不足してシール強度の低下を引き起こす場合がある。更には、分子量が低くなり、電解液から発生するフッ化水素酸に対しての浸透性が高くなり、バリア層3を腐食させてしまう場合がある。高密度層のより好ましいMFRは2g/10min以下、さらに好ましくは1.5g/10min以下である。一方、このMFRの下限は特に制限はなく、インフレーション成形で製膜する場合において、製膜性に問題が無いレベルで用いられるが、好ましいMFRの下限は0.1g/10min以上であり、特に0.3g/10min以上であれば、インフレーション成形による製膜に際しての高速成形性と高シール強度を維持できるため好ましい。
また、シーラント層の最内層(第2の接着層と反対側の表面)は直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とするものであっても、電極タブ部に用いられるシール部材がランダム系ポリプロピレンであれば十分なシール強度が得られるため問題がないが、タブとのシール性が低い場合には、シーラント層を多層構造とし、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする層と、ランダムポリプロピレン層又はブロックポリプロピレンの最表層との積層構造としてもよい。
シーラント層5の厚みについては、前述の高密度層については、10μm以上、特に15μm以上であることが、耐溶媒性、耐電解液性等の面で好ましい。ただし、この高密度層の厚みは80μm以下、特に60μm以下であることがシーラント層5の適度な柔軟性を得ることができ、電池外装用ラミネートフィルムとしてのフレキシビリティが得られるため好ましい。
多層積層構造のシーラント層の場合も、合計の厚みが上記範囲となるようにすることが好ましい。
なお、シーラント層5は、基材層1と同様、エンボス加工時の滑り性を高めるために、電池外装用ラミネートフィルムの最表面となる面(第2の接着層4と反対側の面)に凹凸を付与することが、金型汚染の問題のある滑剤を不要とすることができ、好ましい。この場合、シーラント層5の凹凸付与面の表面粗さRaは、0.02〜0.08μm、特に0.03〜0.07μm程度であることが好ましい。ここで、シーラント層5の表面粗さRaは、前述の基材層1の表面粗さRaと同様にして測定された値である。この表面凹凸は、後述の熱ラミネーション工程で付与することができる。
[電池外装用ラミネートフィルムの製造方法]
本発明の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法としては特に制限はないが、少なくとも第2の接着層については、インフレーション成形法により製膜し、その後、熱ラミネーション法でバリア層、シーラント層と貼り合わせることが好ましい。
また、共押出インフレーション成形法(多層インフレーション成形法)により予め第2の接着層とシーラント層との積層フィルムを製膜し、その後、熱ラミネーション法により金属箔/第2の接着層/シーラント層の積層フィルムとしてもよいし、第2の接着層、シーラント層を予め別々に製膜し、熱ラミネーション時にこれらを同時に貼り合わせて金属箔/第2の接着層/シーラント層の積層フィルムとしてもよい。何れの場合でも高密度かつ低MFRの樹脂を選択していれば、高温の熱ラミネーションに耐えうるフィルムとなり、またフィルムの結晶性が高まり、第2の接着層の酸変性ポリエチレン樹脂の結晶ラメラがバリア層の金属箔表面に入り込みやすくなり、高い接着強度と耐熱性、耐電解液性が得られる。
また、熱ラミネーションに供するバリア層の金属箔は、予めドライラミネーション法等により第1の接着層を介して基材層を貼り合わせた積層フィルムとして用いた方が、熱ラミネーション時に第2の接着層側がよりゆっくりと冷却されるようになり、結晶化が進行して、耐熱性、耐電解液性に優れた電池外装用ラミネートフィルムを得ることができるため好ましい。
以下、インフレーション成形法により第1の接着層、好ましくは第1の接着層とシーラント層との積層フィルムを成形し、これを熱ラミネーションによりバリア層、好ましくは基材層を第1の接着層で貼りあわせたバリア層と貼り合わせて本発明の電池外装用ラミネートフィルムを製造する方法について説明する。
<インフレーション成形>
インフレーション成形法とは、環状ダイより押し出された製膜材料の溶融チューブの中に空気等を入れ、環状ダイの直径より大きく膨らまし、空冷または水冷により冷却固化させつつ連続的に引き取り製膜する溶融押出成形法である。
インフレーション成形法では、押出機から押し出された溶融樹脂はチューブ状に成形され、インフレーションダイで溶融樹脂は環状の流路を流れる。この流路は外側ダイと内部マンドレルの間にある。溶融樹脂フィルムが、環状ダイから出た後、すぐ空気圧をチューブ内部に加え、それを膨張させる。膨張したチューブはニップロールで締め付けられて空気圧を保つように構成されている。膨張したチューブ(バブル)はダイ出口の上の冷却リングからの空気で冷却される。
バブルは押出方向(MD方向)、円周方向(TD方向)で大きくなるので、ニップロールでのフィルム速度はダイ出口でのチューブの速度よりはるかに速いものでなければならない。MD方向ではフィルムは延伸され、TD方向では膨張する。延伸比は最終フィルム速度と初期速度の比、ブローアップ比は最終チューブ径と初期径(環状ダイ径)の比で表されるが、ブローアップ比の大きさは1:1から10:1の範囲が好ましく、1.3:1から5:1の範囲が特に好ましい。
一般的に、電池外装用フィルムに用いられる樹脂としては、耐熱性の観点から、ポリプロピレンが用いられる場合が多く、また、低コストを重視するため、押出ラミネーション法、サンドラミネーション法又はキヤスト法で製膜したポリプロピレンを使用する場合が多い。しかしながら、これらは全てT型の金型(帯状の樹脂吐出口)から押し出した溶融樹脂を冷却して製膜するため、MD方向とTD方向とで引張強度、伸度、引張り弾性率といった物性に差が発生しやすい。そのため、電池外装用フィルムとして使用する際の、プレス加工や張り出し加工時には、その方向による機械物性の差のために、加工時のシワが発生しやすい傾向がある。
また、前述の如く、基材層の高弾性フィルムも通常Tダイで延伸成形されるため、MD/TD方向の差がでやすい。
このようなことから、本発明においては、第2の接着層、更にはシーラント層はインフレーション成形でMD/TD方向での物性の差を出にくくし、また、基材層の物性とのバランスを考慮し、電池外装用ラミネートフィルムとして、異方性がなくなるように上述のブローアップ比の範囲で調整して製膜することが好ましい。
このように、インフレーション成形法により製膜されるフィルムは、押出方向(MD方向)と押出方向と垂直な円周方向(TD方向)との機械的物性の差が出にくく、プレス加工や張り出し加工される積層フィルムとしてはその方向により機械物性の差が少ないため、加工時のシワが発生しにくいといった利点がある。
また、インフレーション成形法に適合する樹脂原料には、MFRが低く、高分子量であるとともに、溶融張力が大きいといった特性が必要となり、また、製膜時の加工温度も低くする必要がある点において、高温で成形加工され、かつ高MFR、高流動の樹脂特性を必要とする押出ラミネート法又はサンドイッチラミネート法で使用される樹脂とはその特性が異なる。このため、本発明では第2の接着層の酸変性ポリエチレン樹脂、更にはシーラント層の樹脂として、前述のような低MFRの樹脂を用いるが、これらの樹脂は、低MFR性と高溶融張力性により、高シール強度が得られやすいといった利点もある。
本発明では、インフレーション成形法によるフィルムの異方性の少なさをより生かしつつ、電池外装用フィルムとしての機械物性、シール性、耐熱性、成形性等の各種特性を付与すために、インフレーション成形法に使用されるその樹脂特性に着目し、前記した特定の樹脂及び特定の物性を有する第2の接着層を構成することにより、バリア層であるアルミニウム箔にクロム系化成処理を施さずともアルミニウム箔との接着性に優れ、水分の浸入を阻止することができ、耐電解液性に優れた、高シール強度を有する電池外装用ラミネートフィルムが得られる。
<熱ラミネーション法>
本発明において、インフレーション法により製膜された第2の接着層(第2の接着層形成用フィルム)、好ましくは、第2の接着層とシーラント層との積層フィルムを熱ラミネーション法により熱圧着してバリア層と接着させることは、耐電解液性の向上のために重要である。
熱ラミネーション法とは、2つ以上のロールを用いてロール間に2種以上のフィルムを挟み込み、少なくとも一方のロールを回転駆動させながらフィルムを移送させ、かつ、少なくとも一方のロールを加熱しながらフィルムを加熱して接着させるラミネート方法である。本方法ではドライラミネーション、押出ラミネーション法と比べて、ライン速度は遅いが、冷却過程が急速ではないため、樹脂の結晶化を促進させる加工条件を作りやすい。
本発明では、第2の接着層に高密度、高結晶性の直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする酸変性ポリエチレン樹脂を用い、熱ラミネーション法でこの第2の接着層を溶融させて熱圧着させる方法を採用することにより、第2の接着層の結晶化を図り、さらに冷却過程でゆっくりと冷却させることによる結晶化の促進で、この第2の接着層に発達した結晶ラメラがバリア層の金属箔と強固な接着を生み出す結果、接着強度が高められる上に、第2の接着層の結晶化が促進されることにより、この接着層の耐電解液性、耐熱性も向上するという効果が得られる。この第2の接着層の結晶ラメラは、特に、ベーマイト皮膜を形成したアルミニウム箔のベーマイト皮膜の細孔内に入り込み、より一層高い接着強度と耐電解液性を実現する。
図2は、熱ラミネーション法による第2の接着層とシーラント層との積層フィルム14と、基材層を第1の接着層でバリア層と予め積層一体化した基材層/バリア層積層フィルム12とを貼り合わせる工程の一例を示す図であり、第2の接着層/シーラント層積層フィルムの巻回体13から送り出された第2の接着層/シーラント層積層フィルム14と基材層/バリア層積層フィルムの巻回体11から送り出された基材層/バリア層積層フィルム12と、更に耐熱フィルムの巻回体15から送り出された耐熱フィルム16とが加熱ロール17A,17B間で加熱加圧されることにより、第2の接着層/シーラント層積層フィルム14の第2の接着層側14Aと、基材層/バリア層積層フィルム12のバリア層側12Aとが熱ラミネートされる。
熱ラミネートされた電池外装用ラミネートフィルム10は送りロール18A,18B間を通過して巻き取りロール20に巻き取られる。
一方、耐熱フィルム16は、電池外装用ラミネートフィルム10から剥離されて巻き取りロール19に巻き取られる。
このような熱ラミネーション法での、ロール17A,17B間での加熱温度は、第2の接着層が溶融する温度に到達する温度で任意に設定できるが、熱ラミネーションにおける加熱温度は、第2の接着層側の温度、即ち、加熱ロール17Aの温度とバリア層側の温度、即ち、加熱ロール17Bの温度とで温度差をつけた方が、第2の接着層の酸変性ポリエチレン樹脂の結晶の配向性がより一層高められ、厚み方向の結晶成長が促進され、より強度にバリア層と接着するようになるため好ましい。この場合、第2の接着層側の温度、即ち、加熱ロール17Aの温度は170℃以上、例えば200℃以上260℃以下とし、バリア層側の温度、即ち、加熱ロール17Bの温度は170℃未満、例えば120℃以上165℃以下とし、両者に20℃以上、好ましくは25℃以上70℃以下の温度差をつけることが望ましい。加熱ロール17A,17Bの温度が低過ぎると十分な接着を行うことができないが、高過ぎると樹脂が劣化したり、溶融流動し接着層厚みが薄くなり、結果として十分な接着を行うことができなくなる傾向がある。また、両者の温度差が小さ過ぎると、温度差を設けることによる結晶成長の促進効果を十分に得ることができず、また、この温度差を過度に大きくすることは、各々の加熱ロール設定温度条件を満たす上で困難である。
また、このような高温下で熱ラミネーションを行う場合、加熱ロールにシーラント層の樹脂が溶着する場合がある。この溶着を防止する目的と、バリア層表面への第2の接着層の結晶ラメラの成長やシーラント層の第2の接着層への結晶ラメラの成長を促進させ、層間の接着をより強固にする目的で、シーラント層の更に外側(非貼り合わせ面)に、図2に示すように耐熱フィルム16を重ね、熱ラミネーション後に、耐熱フィルム16を剥がすようにすることが好ましい。
この時、耐熱フィルムの少なくともシーラント層と接触する側に、予めマット処理等により表面粗さRa0.1μm以上1μm以下、好ましくは0.25μm以上0.75μm以下の凹凸をつけた耐熱フィルムを用いると、熱ラミネーション時に耐熱フィルムの凹凸がシーラント層に熱転写されて適度な凹凸がシーラント層の表面に付与され、エンボス加工時等に必要な金型との滑り性が得られるため、好ましい。
この耐熱フィルム16としては、熱ラミネーション時の加熱温度に耐え得る耐熱性を有するもの、例えば融点200℃以上、好ましくは220〜350℃の耐熱性を有するものが用いられ、具体的には、前述の基材層と同様な熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。耐熱フィルム16の厚みは、通常25μm以上125μm以下である。耐熱フィルムの厚みが薄過ぎると耐熱フィルムを設けたことによる結晶ラメラの成長促進効果を十分に得ることができない場合があり、厚過ぎると熱ラミネーション時の加熱効率が悪くなる傾向がある。
[電池外装材]
本発明の電池外装用ラミネートフィルムは、常法に従って、電池外装材に加工することができる。
電池外装材とは、電池本体を包装する外装体を形成するものであって、その形式によりパウチタイプ、エンボスタイプがある。
図3はエンボスタイプの外装材の一実施形態を示し、第1の外装材31には、電池本体30の収容部31bとなる凹部が形成され、その開口周縁に鍔部(フランジ)31aが形成されている。第2の外装材32はこの第1の外装材31の開口を覆う蓋材となるものである。第1の外装材31は収容部31bの内壁側がシーラント層となり、第2の外装材32は、第1の外装材31への当接面側がシーラント層となる。この第2の外装材32を、電極タブ30A,30Bを引き出した状態で第1の外装材31にかぶせ、周縁をヒートシールして密閉することにより、電池が組み立てられる。
エンボスタイプの外装材には、このように片側に凹部を形成したものの他に、両方の外装材に凹部を形成したタイプのものもある。また、第1の外装材の一側辺の鍔部から第2の外装材に相当する蓋片部が延出したタイプのものもある。
一方、パウチタイプは、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ等の袋形状がある。
本発明の電池外装用ラミネートフィルムは、エンボスタイプ、パウチタイプ等含め、各種の電池外装材として用いることができる。
[電池]
本発明の電池は、本発明の電池外装用ラミネートフィルムよりなる外装材に電池本体を封入したものであり、各種リチウム電池や燃料電池等の電池において、軽量・薄肉・小型化と、低コスト化、長期耐久性、信頼性の向上を図ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、第2の接着層及びシーラント層の製膜に用いた材料は以下の通りである。
尚、第2の接着層として使用した酸変性LLPE−1〜4の何れにおいても、主成分のLLPEは側鎖としてブテン−1を有するものを用いた。
Figure 0006269761
[実施例1〜9、比較例1〜3]
以下の方法で電池外装用ラミネートフィルムを作製した。
バリア層としては、厚み40μmのJIS 8079−O材(鉄を1.0重量%含む軟質アルミニウム箔)の両面にベーマイト処理を施したものを用いた。
ベーマイト処理は、脱イオン水にトリエタノールアミンを0.5重量%の濃度で添加した95℃のベーマイト処理水に、上記のアルミニウム箔を1分間浸漬させることにより行い、厚さ0.3μmのベーマイトの針状結晶皮膜を形成した。
次に、基材層として、厚み25μm、表面粗さRa0.03μmの片面コロナ処理した二軸延伸ポリアミドフィルム(引張り弾性率2500MPa)を用い、ドライラミネーション法により厚み3.5μmの芳香族ポリエステルとポリイソシアネートとの2液混合系ドライラミ用接着剤層(第1の接着層)を介して上記のアルミニウム箔の片面と二軸延伸ポリアミドフィルムのコロナ処理面とを貼り合わせた。
第2の接着層、シーラント層のフィルムは、表2に記載の材料を用い、第2の接着層を直径(バレル内径)75mmの押出機から押し出し、シーラント層を直径55mmの押出機から押し出す2層共押出インフレーション成形機を用い、第2の接着層がチューブ外側となるよう環状ダイ径φ300mm、ダイギャップ3mmのスパイラル型環状ダイより押し出し成形し、チューブ径φ560mm、ブローアップ比1.87、引取り速度15m/minで引き取り、第2の接着層、シーラント層の厚みをそれぞれ表1に記載の所定の厚みになるよう、押出機の押出量を調整しつつ、第2の接着層/シーラント層の2層積層フィルムを製膜した。
上述の方法で得られた第2の接着層/シーラント層の2層積層フィルムを用い、図2に示すように第2の接着層の面がアルミニウム箔側となるように、二軸延伸ナイロンフィルム/アルミニウム箔のドライラミネーション積層フィルムと、熱ラミネーション法により貼り合わせた。この熱ラミネーションにおいて、第2の接着層/シーラント層積層フィルム側の加熱ロール17Aの温度は230℃とし、二軸延伸ナイロンフィルム/アルミニウム箔積層フィルム側の加熱ロール17Bの温度は160℃とした。また、耐熱フィルム16としては、厚み75μmのPETフィルム(融点260℃)を用いた。このPETフィルムのシーラント層に接する面側は、表面粗さRa0.06μmに凹凸を設けてある。
このようにして得られた電池外装用ラミネートフィルムについて、以下の方法でラミネート強度、シーラント強度、耐電解液性の評価を行って、結果を表2に示した。
なお、耐熱フィルムとして用いたPETフィルムの表面凹凸により、得られた電池外装用ラミネートフィルムのシーラント層表面には、表面粗さRa0.06μmの凹凸が形成された。
<ラミネート強度>
アルミニウム箔と第2の接着層との間のラミネート強度は、15mm幅の短冊状にカットしたサンプルを用い、アルミニウ箔と第2の接着層側との界面の180°ピール強度を、テンシロン引張り試験機を用いて50mm/minの引張り速度の条件で測定し、この値をラミネート強度とした。
<シール強度>
予め65mm×65mmに切った2枚の電池外装用ラミネートフィルムのシーラント層同士を、富士インパルス社製片側ヒータ付きヒートシーラ「OPL−200−10」を用い、シール幅10mm、長さ65mmにわたって、220℃、シール圧0.15MPa、ヒートシール時間5秒の条件でヒートシールし、その後、シール部分を幅15mmの短冊に裁断してシール強度測定用サンプルとした。
上記のシール強度測定用サンプルのシーラント層同士を引き剥がすようにして、テンシロン引張り試験機を用いて、引張り速度300mm/minでシール強度を測定した。
<耐電解液性(電解液浸漬後のラミネート強度とシール強度)>
混合溶媒として、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(容積比)を用い、6フッ化リン酸リチウム1molをこの混合溶媒に溶解させて、6フッ化リン酸リチウム1mol/L溶液の電解液を調製した。
この電解液をPFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)製のブローボトルの中に入れ、その電解液中に上記のシール強度測定用サンプルとシールしていないラミネート強度測定用サンプルとを入れて蓋を閉め、80℃の恒温水槽の中に12時間放置とその後常温に戻し12時間放置の熱サイクルを3回繰り返し(合計80℃36時間、常温36時間放置)、その後サンプルを取り出し、水洗し、それぞれ上記と同様にラミネート強度とシール強度を測定した。
Figure 0006269761
表2より、本発明で規定されるMFR、密度、引張り弾性率を満たす酸変性ポリエチレン樹脂よりなる第2の接着層を有する電池外装用ラミネートフィルムは、層間接着性、シール性、耐熱性、耐電解液性に優れることが分かる。これに対して、第2の接着層がポリプロピレンで構成される比較例1〜3では、耐熱性、耐電解液性に劣る。
なお、表2において「総合評価」は、電池外装用ラミネートフィルムとして以下の基準で判断した。
○: ラミネート強度、シール強度が非常に優れている。
△: ラミネート強度、シール強度が使用可能なレベルにある。
×: ラミネート強度、シール強度が不十分である。
1 基材層
2 第1の接着層
3 バリア層
4 第2の接着層
5 シーラント層
10 電池外装用ラミネートフィルム
12 基材層/バリア層積層フィルム
14 第2の接着層/シーラント層積層フィルム
16 耐熱フィルム
17A,17B 加熱ロール
30 電池本体
31 第1の外装材
32 第2の外装材

Claims (5)

  1. 少なくとも基材層、第1の接着層、バリア層、第2の接着層、シーラント層がこの順で積層されてなる電池外装用ラミネートフィルムの製造方法であって、
    該第2の接着層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPE)を主成分とするポリエチレン樹脂よりなり、該ポリエチレン樹脂の少なくとも一部は酸変性されており、
    該バリア層と該シーラント層とを該第2の接着層を介して熱ラミネーション法により貼り合わせる熱ラミネーション工程を含み、該熱ラミネーション工程において、該シーラント層側の非貼り合わせ面に融点200℃以上の耐熱フィルムを重ねて熱ラミネーションし、その後、該耐熱フィルムを該シーラント層から剥離させることを特徴とする電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
  2. 前記熱ラミネーション工程において、得られる電池外装用ラミネートフィルムの前記基材層側の温度を170℃未満とし、前記シーラント層側の温度を170℃以上とし、該基材層側の温度とシーラント層側の温度差を20℃以上とすることを特徴とする請求項1に記載の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
  3. 前記第2の接着層の製膜材料を環状ダイから押し出すインフレーション成形法により第2の接着層形成用フィルムを製膜するインフレーション成形工程を更に含み、前記熱ラミネーション工程において、該第2の接着層形成用フィルムを熱ラミネーション法により前記バリア層に貼り合わせることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
  4. 前記インフレーション成形工程において、前記第2の接着層の製膜材料を、前記シーラント層の製膜材料と共に環状ダイから共押し出しする共押出インフレーション成形を行うことを特徴とする請求項3に記載の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
  5. 前記第2の接着層の酸変性ポリエチレン樹脂は、MFR0.1g/10min以上3g/10min以下、密度0.920g/cm 以上0.950g/cm 以下、引張り弾性率100MPa以上1000MPa以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電池外装用ラミネートフィルムの製造方法。
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