JP4090812B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池、特に電解質(液体や固体電解質)を有するリチウム電池の外装体として使用される密封性、防湿性、耐内容物性に優れた積層体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウム電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、電解質として固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で起電する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム2次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)からなるリチウム電池本体およびそれらを包装する外装体等からなる。リチウムイオン二次電池は、その高い体積効率、重量効率から電子機器、電子部品、特に携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラなどに広く用いられている。
【0003】
前記リチウム電池の外装体としては、金属板や金属箔などをプレス成形加工し、円柱状や直方体状とした金属製の缶が生産性や品質の安定性から一般的に用いられているが、金属製の缶を用いた場合には電池自体の形状や意匠性において制約が多い上に、この金属製の缶からなる電池を搭載する電子機器、電子部品内の該電池収納部の形状や意匠性にも制約が課せられ、結果として電子機器や電子部品自体の形状が意図する形状にできないといった問題があり、電子機器や電子部品のさらなる小型化や軽量化の障害となっていた。また、他方において、金属製の缶からなる電池は電池が高温下で使用されて内部圧力が異常に高まった場合、爆発、発火が起こるまで外装体が耐えるために危険であるといった問題があった。
【0004】
そこで、柔軟性を有するために電子機器や電子部品の適当な空間に合わせた形状とすることができ、電子機器や電子部品自体の形状をある程度自由に設計することができ、さらなる小型化、軽量化を図ることができる、あるいは、熱接着部で密封されるために電池が高温下で使用されて内部圧力が異常に高まった場合、内部圧力を熱接着部が剥離して逃がすことができる安全弁として機能するために電池としての機能は失われるものの金属製缶からなる外装体に比べて爆発、発火の危険性を少なくすることができるなどの理由から、プラスチックフィルム、アルミニウム等の金属箔を積層した後述するような構成からなる積層体を用いて、たとえば、この積層体を製袋加工して周縁熱接着部で図2(a)に示すように袋状〔図2(a)上はピロータイプの包装袋であるが三方タイプ、四方タイプ等の包装袋であってもよい〕にして、リチウム電池本体(図示せず)の正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封するなりした図2(b)に示す袋タイプ、あるいは、前記積層体を図3(a)に示すようにプレス成形して凹部を形成し、この凹部に前記リチウム電池本体(図示せず)の正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納すると共に別途用意したシート状の前記積層体(図示せず)で前記凹部を被覆すると共に四周縁を熱接着して密封するなりした図3(b)に示すエンボスタイプの外装体(以下、包装体と呼称する)からなるリチウム電池が用いられるようになってきた。なお、図2、3上で示す符号1’は積層体、符号Dはリチウム電池、符号Sは熱接着部、Tは金属端子を示す。
【0005】
前記包装体には、リチウム電池として求められる物性、すなわち、防湿性、密封性、耐突刺し性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐蝕性(電解質の劣化や加水分解により発生するフッ酸に対する耐性)等が必要不可欠なものとして求められる。その結果、前記包装体としては耐突刺し性や外部との通電を阻止するための外層、防湿性を確保するためのアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層、密封性を確保するための内層で構成される積層体が一般的には用いられる。各層間の接着強度(以下、ラミネート強度と呼称する)が十分でない場合、たとえば、前記バリアー層と前記内層とのラミネート強度が十分でないと外部から水分が浸入する原因となり、リチウム電池を構成する電解質と浸入した水分とが反応してフッ化水素を生成し、これが前記バリアー層を腐蝕して前記バリアー層と前記内層との間にデラミネーションが発生し易いといった問題、また、たとえば、前記外層と前記バリア−層とのラミネート強度が十分でないと上記したエンボスタイプの包装体において、エンボス加工時に前記外層と前記バリア−層との間にデラミネーションが発生する虞があるといった問題があった。
【0006】
そこで、本出願人は、特開2001−176462号公報において、アルミニウム等の金属箔からなるバリアー層の両面にリン酸クロメート処理からなる化成処理層を形成し、この化成処理層の内層側の面に酸変性ポリプロピレン樹脂のエマルジョンをロールコート法等の方法を用いて塗布乾燥し、到達温度170〜200℃の条件で加熱(焼付け)して固形分として2〜5g/m2の酸変性ポリプロピレン樹脂皮膜を形成し、この酸変性ポリプロピレン樹脂皮膜面とキャストポリプロピレンフィルムから内層とをサーマルラミネーション法で貼合した積層体(ポリマー電池用包装材料)を提案し、上記した一般的な仕様に比べて前記バリアー層と前記内層との間のラミネート強度が強く、水分透過量の少ない積層体(ポリマー電池用包装材料)を得ることができた。
【0007】
しかしながら、前記酸変性ポリプロピレン樹脂皮膜の形成は、焼付けに時間がかかり生産効率が悪いといった問題や、耐電解液性に対して一定の成果が得られたものの、十二分に満足できる耐性までには至っているものではなく、さらなる改善を図ることとした。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、密封性に優れると共にラミネート強度が強く、リチウム電池の包装体としたときに水分透過量が少なく、特に耐電解液性に優れた積層体の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の積層体の製造方法は、外層と少なくとも一方の面に化成処理層を設けたアルミニウム箔の他方の面とを貼合する工程と、酸変性オレフィン樹脂の単層フィルムないし前記酸変性オレフィン樹脂と1以上のオレフィン樹脂との共押出しフィルムからなる内層を前記化成処理層が前記酸変性オレフィン樹脂の軟化点以上融点以下の温度となるように加熱すると共に前記内層の前記酸変性オレフィン樹脂が前記化成処理層と当接するようにしてサーマルラミネーション法で貼合して中間積層体を作製する工程と、その後に前記中間積層体を前記酸変性オレフィン樹脂の融点以上の温度に加熱する工程とからなることを特徴とするものである。このような積層体の製造方法を採ることにより、水分透過量が少なく、かつ、耐電解液性に対して満足できる耐性を有する積層体を生産効率よく製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる積層体の一実施例の層構成を図解的に示す図、図2はリチウム電池に用いる包装体の一実施例を説明する図、図3はリチウム電池に用いる包装体の他の実施例を説明する図であり、図中の1、1’は積層体、10は外層、20は化成処理層、30はアルミニウム箔、40は接着層、50は内層をそれぞれ示す。
【0020】
図1は本発明にかかる積層体の一実施例の層構成を図解的に示す図であって、積層体1は外層10と化成処理層20を両面に設けたアルミニウム箔30の一方の面とが接着層40を介して貼合され、前記アルミニウム箔30の他方の面に、前記化成処理層20と当接する樹脂層が酸変性オレフィン樹脂からなると共に前記化成処理層面と前記酸変性オレフィン樹脂の単層フィルムないし前記酸変性オレフィン樹脂と1以上のオレフィン樹脂との共押出しフィルムからなる内層50をサーマルラミネーション法で貼合したものである。
【0021】
最初に前記外層10について説明する。前記外層10としては、アルミニウム箔30を保護し、特に突刺しのような外力に対する耐性を向上させて、アルミニウム箔30の穴開きや破断を防止することを目的として設けられるものであって、単層であって複層であっても構わないが、特に単層である場合はそれ自体で上記目的を達成する必要があり、機械的強度に優れると共に少なくとも包装体とする際の熱接着温度(ヒートシール温度)に対する寸法安定性が要求され、これらを考慮すると二軸方向に延伸した、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート等のポリエステルフィルム、ないし、二軸方向に延伸した、たとえば、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドフィルムが適当であるが、本発明の積層体をエンボスタイプの包装体とする場合には、二軸延伸ポリエステルフィルムに比べて伸びが大きい二軸延伸ポリアミドフィルムが好ましい。このように前記外層10を単層で形成する場合、少なくともその厚さは6μm以上が適当である。この理由としては、6μmより厚さが薄いと、それ自体にピンホールが存在する可能性があると共に外力に対するアルミニウム箔30の保護効果が減少し、特にプレス成形をするエンボスタイプの包装体にあってはアルミニウム箔30にピンホールや破断が発生し易く成形不良を起こし易いからであり、より好ましくは12μm以上である。また、前記外層10が単層であれ、複層であれ、25μmより厚い場合は外力に対するアルミニウム箔30の保護という点で顕著な効果が認められず、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に、費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。
【0022】
また、エンボスタイプの包装体とする場合にあっては、プレス成形時に金型に対して前記積層体1が部分的に密着するのを防止して厚みムラ(厚みバラツキ)のない均一なプレス成形品を得る目的(プレス成形時の成形性を向上させる目的)で前記外層10の表面に、たとえば、流動パラフィンなどの炭化水素系、ステアリン酸などの脂肪酸系、ステアリルアミドなどの脂肪酸アミド系、金属石鹸、天然ワックス、シリコーンなどの滑剤を適当な溶媒で溶液化するなどの塗布可能な状態にして、たとえば、グラビアコート法、ロールコート法、あるいは、パターン状に形成する場合にはグラビア印刷法等の周知の塗布法で滑剤層を形成してもよいものである。
【0023】
次に、前記アルミニウム箔30について説明する。前記アルミニウム箔30としては、外部から電池内部に特に水蒸気が浸入するのを防止するために設けられるものであって、水蒸気バリアー性の確保と加工時の加工適性を考慮すると、20〜80μmの厚さのものが適当である。20μmより厚さが薄い場合は、アルミニウム箔単体のピンホールが危惧され、水蒸気の浸入の危険性が高くなり、80μmより厚さ厚い場合は、アルミニウム箔のピンホールに顕著な効果が認められず、水蒸気バリアー性の更なる向上が期待できず、逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。
【0024】
また、前記アルミニウム箔30は鉄分を0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%含有したものが鉄分を含有しないものと比較して延展性に優れると共に折り曲げに対するピンホールの発生が少なく、特にプレス成形時に偏肉のない均一な成形品が得られるためにエンボスタイプの包装体に好適である。なお、鉄含有量が0.3重量%未満ではピンホール発生の防止や延展性において効果が認められず、鉄含有量が9.0重量%超ではアルミニウム箔として柔軟性が阻害されるために製袋加工時の製袋適性が低下する。
【0025】
また、前記アルミニウム箔30は冷間圧延で製造されるが、焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性、腰の強さ、硬さが変化するが、本発明に用いるアルミニウム箔は焼きなましをしていない硬質処理品よりも多少ないし完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウム箔がよい。また、柔軟性、腰の強さ、硬さを決めるアルミニウム箔の焼きなまし条件は、包装体(袋タイプやエンボスタイプ)のタイプにより適宜決めればよいものである。
【0026】
次に、前記アルミニウム箔30の両面に設ける前記化成処理層20について説明する。前記化成処理層20は、前記アルミニウム箔30と前記外層10および前記内層50とを強固に接着させてプレス成形時のデラミネーションを防止すると共に、前記アルミニウム箔30の前記内層50側の面を電解液、あるいは、電解液の加水分解により発生するフッ酸から保護するために設けるものである。また、前記化成処理層20は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等により前記アルミニウム箔30面に形成されるものである。なお、上記した化成処理の中では、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点から塗布型化成処理が最も好ましい。この塗布型化成処理は、たとえば、フェノールやポリアクリル酸等の水溶性高分子と3価クロム化合物とフッ化物とリン酸とからなるクロム系水性処理液、あるいは、フェノールやポリアクリル酸等の水溶性高分子とジルコニウム塩とからなる非クロム系水性処理液を用いて、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法でアルミニウム箔面に塗布し、乾燥する処理である。なお、前記乾燥条件は前記アルミニウム箔30の表面温度が170〜200℃以上に到達する条件で行って皮膜形成する。また、前記塗布型化成処理の前に、予めアルミニウム箔の前記塗布型化成処理を施す面に、たとえば、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、前記塗布型化成処理の機能を最大限に発現させると共に、長期間維持することができる点から好ましい。なお、前記アルミニウム箔30の前記外層10側に設ける前記化成処理層20は、袋タイプの包装体とする場合にあっては、設けなくてもよいものである。
【0027】
次に前記内層50について説明する。前記内層50としては、単層でも複層でもよいのであって、要するに前記化成処理層20と当接する樹脂層が酸変性オレフィン樹脂からなるオレフィン樹脂フィルムであればよいものである。この理由としては、前記化成処理層20と前記内層50とを強固に接着させるために、本発明の積層体は前記外層10と前記アルミニウム箔30とを前記接着層40を介して貼合し、その後に前記化成処理層20が前記酸変性オレフィン樹脂の軟化点以上融点以下の温度となるように適宜な加熱処理方法、たとえば、熱ロール接触式、熱風式、近ないし遠赤外線等の1ないし2以上の加熱処理方法で加熱して前記化成処理層20と前記内層50とをサーマルラミネーション法で貼合して中間積層体とし、その後に該中間積層体を上記したような適宜な加熱処理方法で前記酸変性オレフィン樹脂の融点以上となるように再加熱する二段階加熱処理方法を採るからである。
【0028】
前記内層50を構成する前記酸変性オレフィン樹脂としては、不飽和カルボン酸でグラフト変性したオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体、あるいは、金属架橋ポリオレフィン樹脂等を用いることができるが、不飽和カルボン酸でグラフト変性したオレフィン樹脂がより好ましい。この理由としては、不飽和カルボン酸でグラフト変性したオレフィン樹脂はエチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィンに比べて、耐熱性に優れるからである。前記内層50は前記酸変性オレフィン樹脂単層からなるフィルムであってもよいが、前記酸変性オレフィン樹脂と1以上のオレフィン樹脂からなる共押出しフィルムであってもよく、
【0029】
また、前記内層50は前記酸変性オレフィン樹脂単層からなるフィルムであってもよいが、前記酸変性オレフィン樹脂と1以上のオレフィン樹脂(以下、一般オレフィン樹脂と呼称する)からなる共押出しフィルムであってもよく、前記一般オレフィン樹脂としては、エチレン樹脂として、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体等を挙げることができ、また、プロピレン樹脂として、ホモタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等を挙げることができる。
【0030】
前記内層50の総厚としては、25μm以上あればよく、好ましくは30〜50μmである。25μmより薄いと十分なヒートシール強度を得ることができないために、内容物の洩れや内圧上昇による破袋の虞は生じる。尚、コストや体積および重量エネルギー密度を考慮すると、内層50の総厚としては100μm以下とすることが望ましい。また、前記内層50を共押出しフィルムとする場合にあっては、前記酸変性オレフィン樹脂の厚さとしては、5μm以上、好ましくは10μm以上である。5μm未満であると十分なヒートシール強度が得られない。
【0031】
また、前記接着層40としては、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて周知のドライラミネーション法で形成すればよい。前記ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール等を挙げることができ、イソシアネート成分としては、TDI、MDI、HDI、PIDI、XDI等のジイソシアネートおよびこれらを出発原料とする変性体を挙げることができ、その厚さとしては2〜5μm、好ましくは3〜4μmである。
【0032】
なお、通常、リチウム電池は、図2、3に示すように蓄電された電気を取出すためのアルミニウムやニッケル等の金属端子が外部に突設されるが、本発明の積層体を用いた包装体においては最内層が酸変性オレフィン樹脂の場合には、金属端子部を十分に密封することができるが、最内層がオレフィン樹脂の場合には、前記最内層と前記金属端子との双方と熱接着可能な、たとえば、酸変性オレフィン樹脂からなるフィルムを前記最内層と前記金属端子との間に介在させることにより、金属端子部を十分に密封することができるものである。
【0033】
【実施例】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
まず、予め、フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)して両面に化成処理層を有するアルミニウム箔(40μm厚さ)の一方の面と25μm厚さの二軸延伸ナイロンフィルムとを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介して貼合して一次積層体を作製した。
【0034】
実施例1
上記で作製した一次積層体の化成処理層面に50μm厚さの不飽和カルボン酸でグラフト変性した不飽和カルボン酸グラフト変性ランダムポリプロピレン(以下、R−PPaと呼称する)フィルムを前記化成処理層面が120℃となるように加熱してサーマルラミネーション法で貼合した中間積層体を作製し、その後に該中間積層体を180℃となるように再加熱して本発明の積層体を得た。
【0035】
実施例2
上記で作製した一次積層体の化成処理層面に50μm厚さの不飽和カルボン酸でグラフト変性した不飽和カルボン酸グラフト変性線状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEaと呼称する)フィルムを前記化成処理層面が110℃となるように加熱してサーマルラミネーション法で貼合した中間積層体を作製し、その後に該中間積層体を160℃となるように再加熱して本発明の積層体を得た。
【0036】
実施例3
上記で作製した一次積層体の化成処理層面に5μm厚さのLLDPEaと55μm厚さの線状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと呼称する)からなる2層共押出しフィルムを前記化成処理層面に前記LLDPEaが当接するようにすると共に前記化成処理層面が110℃となるように加熱してサーマルラミネーション法で貼合した中間積層体を作製し、その後に該中間積層体を160℃となるように再加熱して本発明の積層体を得た。
【0037】
実施例4
上記で作製した一次積層体の化成処理層面に10μm厚さのR−PPaと20μm厚さのランダムポリプロピレン(以下、R−PPと呼称する)からなる2層共押出しフィルムを前記化成処理層面に前記R−PPaが当接するようにすると共に前記化成処理層面が120℃となるように加熱してサーマルラミネーション法で貼合した中間積層体を作製し、その後に該中間積層体を180℃となるように再加熱して本発明の積層体を得た。
【0038】
実施例5
上記で作製した一次積層体の化成処理層面に5μm厚さのR−PPaと20μm厚さのホモポリプロピレン(以下、H−PPと呼称する)と10μm厚さのR−PPからなる3層共押出しフィルムを前記化成処理層面に前記R−PPaが当接するようにすると共に前記化成処理層面が120℃となるように加熱してサーマルラミネーション法で貼合した中間積層体を作製し、その後に該中間積層体を180℃となるように再加熱して本発明の積層体を得た。
【0039】
実施例6
上記で作製した一次積層体の化成処理層面に10μm厚さの不飽和カルボン酸でグラフト変性した不飽和カルボン酸グラフト変性ホモポリプロピレン(以下、H−PPaと呼称する)と20μm厚さのH−PPとからなる2層共押出しフィルムを前記化成処理層面に前記H−PPaが当接するようにすると共に前記化成処理層面が120℃となるように加熱してサーマルラミネーション法で貼合した中間積層体を作製し、その後に該中間積層体を180℃となるように再加熱して本発明の積層体を得た。
【0040】
比較例1
上記で作製した一次積層体の化成処理層面に
R−PPa粒子をトルエン中に分散して25重量%としたディスパージョンを用いてロールコート法で塗布すると共に180℃で乾燥して5μm厚さのR−PPa皮膜を形成し、その後に前記R−PPa皮膜が140℃となるように加熱して前記R−PPa皮膜面に30μm厚さのR−PPフィルムをサーマルラミネーション法で貼合して比較例とする積層体を得た。
【0041】
上記で作製した実施例1〜6、および、比較例1についてラミネート強度、耐電解液性、水分透過量を下記評価方法で評価し、その結果を表1に纏めて示した。
【0042】
【表1】
Figure 0004090812
※)ラミネート強度:
アルミニウム箔の化成処理層と内層間の接着強度をテンシロンを用いて、50mm/分の引張り速度で測定した。尚、測定値は20サンプルの平均値である。
※)耐電解液性:
3gの電解液〔6フッ化リン酸リチウムを混合液〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)に溶解し、1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液としたもの〕を充填した内寸が30×50mmでヒートシール幅が7mmの三方シール袋を85℃の恒温槽に336時間保存した後のアルミニウム箔の化成処理層と内層間の接着強度をテンシロンを用いて、50mm/分の引張り速度で測定した。尚、測定値は20サンプルの平均値である。
※)水分透過量:
3gの混合液〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〕を充填した内寸が30×50mmでヒートシール幅が7mmの三方シール袋を60℃、90%RHの恒温恒湿槽に1440時間保存し、水分増加量をカールフィッシャー法で測定した。なお、測定値は5サンプルの平均値である。
【0043】
表1からも明らかなように、実施例1〜6の積層体は比較例1に比べて、特に耐電解液に対して耐性を有し、ラミネート強度の低下の極めて少ない積層体とすることができた。
【0044】
【発明の効果】
以上縷々説明したように、本発明の積層体の製造方法は、密封性に優れると共にラミネート強度が強く、リチウム電池の包装体としたときに水分透過量が少なく、特に耐電解液性に優れるという極めて顕著な効果を奏する積層体を生産効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる積層体の一実施例の層構成を図解的に示す図である。
【図2】リチウム電池に用いる包装体の一実施例を説明する図である。
【図3】リチウム電池に用いる包装体の他の実施例を説明する図である。
【符号の説明】
1、1’ 積層体
10 外層
20 化成処理層
30 アルミニウム箔
40 接着層
50 内層

Claims (1)

  1. 外層と少なくとも一方の面に化成処理層を設けたアルミニウム箔の他方の面とを貼合する工程と、酸変性オレフィン樹脂の単層フィルムないし前記酸変性オレフィン樹脂と1以上のオレフィン樹脂との共押出しフィルムからなる内層を前記化成処理層が前記酸変性オレフィン樹脂の軟化点以上融点以下の温度となるように加熱すると共に前記内層の前記酸変性オレフィン樹脂が前記化成処理層と当接するようにしてサーマルラミネーション法で貼合して中間積層体を作製する工程と、その後に前記中間積層体を前記酸変性オレフィン樹脂の融点以上の温度に加熱する工程とからなることを特徴とする積層体の製造方法。
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