JP4449179B2 - 感光性ペーストおよびそれを用いたディスプレイ用部材、並びにディスプレイ用部材の製造方法 - Google Patents

感光性ペーストおよびそれを用いたディスプレイ用部材、並びにディスプレイ用部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性ペーストおよびそれを用いたディスプレイ用部材の製造方法に関するものであり、プラズマディスプレイ、プラズマアドレス液晶ディスプレイ、フィールドエミションディスプレイをはじめとする各種のディスプレイ、回路材料などのパターン加工およびその製造に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、回路材料やディスプレイにおいて小型化・高精細化が進んでおり、これに対応することができるパターン加工技術が求められている。特に、プラズマディスプレイの隔壁形成には、ガラスなどの無機材料を高精度かつ高アスペクト比でパターン加工ができる材料が望まれている。
【0003】
従来、無機材料のパターン加工を行う場合、無機粉末と有機バインダからなるペーストによるスクリーン印刷が多く用いられている。しかしながら、スクリーン印刷は精度の高いパターンが形成できないという欠点があった。
【0004】
この問題を改良する方法として、特開平1−296534号公報、特開平2−165538号公報、特開平5−342992号公報では、感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ技術でパターンを形成する方法が提案されている。しかしながら、感光性ペーストの感度や解像度が低いために高アスペクト比、高精細の隔壁が得られないために、例えば80μmを越えるような厚みのものをパターン加工する場合、複数回の加工工程(塗布、露光、現像)を必要とするため、工程が長くなる欠点があった。
【0005】
また、特開平10−333324号公報では、乾燥後膜厚50μmで測定した場合のg線波長領域での全光線透過率が50%以上である感光性ペーストが開示されている。これとて、乾燥後膜厚250μmを越える感光性ペースト層においては全光線透過率が不十分であるため活性光線を照射してパターンを形成することができなかった。また、乾燥後膜厚180μm程度であっても、光線透過率が不足し、感光性ペースト層の上部と下部で到達する光線量の違いから硬化の程度に差が生じ、均質な硬化が得られなかった。この結果、現像時にパターンの蛇行が発生し易いという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に着目し、高アスペクト比かつ高精細度のパターン加工を1回の加工工程で可能にする感光性ペーストであって、例えば乾燥後250μmを越えるような厚膜のパターンが形成可能であり、蛇行の発生のない、厚み方向に均質な硬化が可能な感光性ペーストを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1発明の感光性ペーストは、下記の構成を有する。すなわち、40〜90重量%の無機微粒子と60〜10重量部の有機成分からなる感光性ペーストであって、塗布・乾燥後のペースト膜のg線に対する全光線透過率T(%)と乾燥後膜厚d(μm)が、d≧100においてT≧90−0.25dなる関係を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2発明の感光性ペーストは、40〜90重量%の無機微粒子と60〜10重量部の有機成分からなる感光性ペーストであって、塗布・乾燥後のペースト膜のg線に対する全光線透過率が乾燥後膜厚200μmにおいて50%以上であることを特徴とする。
【0009】
また、上記感光性ペーストを基板上に塗布し、露光、現像を経てパターンを形成し、さらに焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材およびプラズマディスプレイの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明の第1発明の感光性ペーストは、40〜90重量%の無機微粒子と60〜10重量部の有機成分からなり、フォトリソグラフィーを用いたパターン形成後に焼成を行い、実質的に無機物からなるパターンを形成する目的で使用する。より少ない感光性ペーストで効率よく無機物のパターンを形成するためには、より多くの無機物を含有する感光性ペーストを使用することが好ましいが、一方でパターン形成に用いる光線の透過性が低下する。感光性ペースト中の無機微粒子の含有量が40重量%未満の場合は目的の厚みの無機物のパターンを形成するために多くの感光性ペーストを要するため、工業的に不利である。感光性ペースト中の無機微粒子の含有量が90重量%を越えると光線透過率が不足し、実質的にパターン形が不可である。
【0011】
なお、本発明の有機成分とは、感光性ペーストのうち無機成分を除いた成分全体を意味し、通常、反応性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーから選ばれた少なくとも1種、および必要に応じてバインダポリマー、光重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤、増感剤、増感助剤、紫外線吸収剤、有機染料、分散剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸、塩基、沈降防止剤、酸化防止剤などの添加剤成分を加えて構成される。ここで、反応性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおける反応性とは、感光性ペーストが活性光線の照射を受けた場合に、反応性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーが光架橋、光重合、光解重合、光変性などの反応を通して化学構造が変化することを意味する。
【0012】
また、ここで言う活性光線とはこのような化学反応を起こさしめる250〜1100nmの波長領域の光線を指し、具体的には超高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外光線、ハロゲンランプなどの可視光線、ヘリウム−カドミウムレーザー、ヘリウム−ネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザーなどの特定の波長のレーザー光線を挙げることができる。
【0013】
本発明で用いられる有機成分としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく用いられる。このような重合性モノマーとしては、1個以上の光重合可能な(メタ)アクリレート基またはアリル基を有するモノマーなどが挙げられる。これらの具体例としては、アルコール類(例えば、エタノール、プロパノール、ヘキアノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、カルボン酸(例えば、酢酸プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメテキシリレンジアミンとの反応生成物、アミド誘導体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物などを挙げることができる。また、多官能モノマーにおいて、不飽和基は、アクリル、メタクリル、ビニル、アリル基が混合して存在しても良い。これらは単独で用いても良く、また組み合わせて用いても良い。
【0014】
上記有機成分において、エチレン性不飽和基を有する化合物としてエチレン性不飽和化合物を有するポリマーを用いても良い。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
【0015】
本発明における有機成分として用いるポリマーとしては、カルボキシル基を有することが好ましい。カルボキシル基を有するポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシアクリレートなどのモノマを選択し、アゾビスイソブチロニトリルのような開始剤を用いて共重合することにより得られる。
【0016】
カルボキシル基を有するポリマーとしては、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸を共重合成分とするコポリマーが好ましく用いられる。とりわけ、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。
【0017】
カルボキシル基を有するコポリマーの樹脂酸価は50〜150mgKOH/gであることが好ましい。酸価が150を越えると、現像許容幅が狭くなる。また、酸価が50未満では未露光部の現像液に対する溶解性が低下する。現像液濃度を高くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細なパターンが得られにくくなる。
【0018】
側鎖にエチレン性不飽和結合を導入する方法として、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライド、マレイン酸などのカルボン酸を反応させて作る方法がある。
【0019】
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどが挙げられる。とりわけ、CH2=CCH3COOCH2CHOHCH2−が好まく用いられる。
【0020】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量反応させることが好ましい。
【0021】
エチレン性不飽和結合を有するアミン化合物の調製は、エチレン性不飽和結合を有するグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物等をアミノ化合物と反応させればよい。複数のエチレン性不飽和基含有化合物を混合して用いてもよい。
【0022】
バインダー成分が必要な場合にはポリマーとして、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ブチルメタクリレート樹脂などを用いることができる。
【0023】
本発明に用いる光重合開始剤は、ラジカル種を発生するものから選んで用いられる。光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2ーヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジルメトキシエチルアセタール、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、N−フェニルグリシン、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられる。
【0024】
本発明では、これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性有機成分に対し、0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜10重量%である。重合開始剤の量が少なすぎると光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎる場合には露光部の残存率が小さくなるおそれがある。
【0025】
光重合開始剤と共に増感剤を使用し、感度を向上させたり、反応に有効な波長範囲を拡大することができる。
増感剤の具体例としては、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニルビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。
【0026】
また、増感色素を用いることも好ましい。例えば、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、キサンテン系色素、チオキサンテン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ベーススチリル系色素、ローダシアニン系色素、オキソノール系色素などを挙げることができる。
【0027】
本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量は感光性有機成分に対して通常0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなる恐れがある。
【0028】
本発明では酸化防止剤を添加することも好ましい。酸化防止剤とは、ラジカル連鎖禁止作用、三重項の消去作用、ハイドロパーオキサイドの分解作用をもつものでをいう。感光性ペーストは多くの無機微粒子成分を分散状態で含有するので、露光光によるペースト内部の光散乱は避け難く、それに起因すると考えられるパターン形状の太りやパターン間の埋り(残膜形成)が発生しやすい。パターンの壁は垂直に切り立ち、矩形になることが望ましい。理想的には、ある露光量以下では現像液に溶解し、それ以上では現像液に不溶となることである。つまり、光散乱によって低い露光量で硬化しても現像液に溶解し、パターン形状の太りやパターン間の埋まりが解消され、露光量を多くしても解像できる範囲が広いことが好ましい。
【0029】
感光性ペーストに酸化防止剤を添加すると、酸化防止剤がラジカルを捕獲したり、励起された光重合開始剤や増感剤のエネルギー状態を基底状態に戻したりすることにより散乱光による余分な光反応が抑制され、酸化防止剤で抑制できなくなる露光量で急激に光反応が起こることにより、現像液への溶解、不溶のコントラストを高くすることができる。
【0030】
具体的には、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−キシロキノン、p−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、ヒドラジン塩酸塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、フェニル−β−ナフチルアミン、パラベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、ピクリン酸、キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピロガロール、タンニン酸、トリエチルアミン塩酸塩、ジメチルアニリン塩酸塩、クペロン、(2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)−2−エチルヘキシルアミノニッケル−(II)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられるがこれらに限定されない。本発明では、これらを1種以上使用することができる。
【0031】
酸化防止剤の添加量は、感光性ペースト中に0.1〜30重量%、より好ましくは、0.5〜20%の範囲である。これらの範囲より少ない場合、現像液への溶解、不溶のコントラストが小さく、またこの範囲を越えると感光性ペーストの感度が低下し、多くの露光量を必要としたり、重合度が上がらずパターン形状が維持できなくなる。
【0032】
また、紫外線吸収剤を添加することで、露光光によるペースト内部の散乱光を吸収し、散乱光を弱めることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリチル酸系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、インドール系化合物、無機系の微粒子酸化金属などが挙げられる。これらの中でもベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、インドール系化合物が特に有効である。これらの具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、インドール系の吸収剤であるBONASORB UA−3901(オリエント化学社製)、BONASORB UA−3902(オリエント化学社製)SOM−2−0008(オリエント化学社製)などが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、これら紫外線吸収剤の骨格にメタクリル基などを導入し反応型として用いてもよい。本発明では、これらを1種以上使用することができる。
【0033】
紫外線吸収剤の添加量は、ペースト中に0.001〜10重量%、より好ましくは、0.005〜5%の範囲である。これらの範囲を外れると、透過限界波長および波長傾斜幅が変化し、散乱光の吸収能力が不足したり、露光光の透過率が下がり、感光性ペーストの感度が低下するので注意を要する。
【0034】
また、本発明では、露光、現像の目印として有機系染料を添加することができる。染料を添加して着色することにより視認性が良くなり、現像時にペーストが残存している部分と除去された部分との区別が容易になる。有機染料としては、特に限定はされないが、焼成後の絶縁膜中に残存しないものが好ましい。具体的には]系染料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム系染料、キノンイミン系染料、メチン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、フタルイミド系染料、ペリノン系染料などが使用できる。特に、h線とi線付近の波長の光を吸収するもの、例えばベーシックブルー等のカルボニウム系染料を選択すると、本発明の効果がより出やすくなり好ましい。有機染料の添加量は0.001〜1重量%であることが好ましい。
【0035】
感光性ペーストを基板に塗布する時の粘度を塗布方法に応じて調整するために有機溶媒が使用される。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0036】
また、本発明における無機微粒子とは、ガラス、セラミックス、Au、Ni、Ag、Pd、Ptなどの導電性粉末の微粒子であり、特に有用であるのは、ガラス粉末を用いた場合である。
【0037】
ガラス粉末としては、ガラス転移点430〜500℃、軟化点が470〜580℃のガラス粉末をペースト中に50重量%以上含有することが好ましい。通常のディスプレイに用いられる基板上にパターン加工が容易にできる傾向があるためである。
【0038】
また、無機微粒子の平均屈折率が1.5〜1.65の範囲内にあることが好ましい。ガラス微粒子の屈折率が1.5〜1.65になるように金属酸化物を配合してなるガラス微粒子を用いることにより、ガラス粉末と感光性有機成分の屈折率と整合させ、光散乱を抑制することにより高精度のパターン加工が可能になる傾向にある。例えば、酸化ケイ素:22、酸化アルミニウム:23、酸化硼素:33、酸化リチウム:9、酸化マグネシウム:7、酸化バリウム:4および酸化亜鉛2(重量%)からなるガラス粉末は、ガラス転移点:490℃、軟化点:528℃そしてg線波長(436nm)においての屈折率:1.59であり、本発明の無機微粒子として好ましく使用することができる。
より好ましくは、1.53〜1.62の範囲内にあることである。
【0039】
本発明の感光性ペーストに用いる無機微粒子として好ましく使用できるガラス粉末は例えば下記の組成を有するものである。
Figure 0004449179
【0040】
上記のように、酸化リチウム、酸化ナトリウムまたは酸化カリウムのアルカリ金属酸化物のうち少なくとも1種を用い、その合計量が3〜15重量%、さらには3〜10重量%であることが好ましい。
【0041】
アルカリ金属酸化物は、ガラスの荷重軟化点、熱膨張係数のコントロールを容易にするのみならず、ガラスの屈折率を低くすることができるため、感光性有機成分との屈折率差を小さくすることが容易になる。アルカリ金属酸化物の合計量が3重量%以上とすることでガラスの低融点化の効果を得ることができ、15重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持すると共に熱膨張係数を小さく抑えることができる。アルカリ金属としては、ガラスの屈折率を下げることやイオンのマイグレーションを防止することを考慮するならリチウムを選択するのが好ましい。
【0042】
酸化ケイ素の配合量は5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。酸化ケイ素は、ガラスの緻密性、強度や安定性の向上に有効であり、また、ガラスの低屈折率化にも効果がある。熱膨張係数をコントロールしてガラス基板とのミスマッチによる剥離などを防ぐこともできる。5重量%以上とすることで、熱膨張係数を小さく抑えガラス基板に焼き付けた時にクラックを生じない。また、屈折率を低く抑えることができる。30重量%以下とすることで、ガラス転移点、荷重軟化点を低く抑え、ガラス基板への焼き付け温度を低くすることができる。
【0043】
酸化ホウ素は、低屈折率化にも有効であり、20〜45重量%、さらには20〜40重量%の範囲で配合することが好ましい。20重量%以上とすることで、ガラス転移点、荷重軟化点を低く抑えガラス基板への焼き付けを容易にする。また、45重量%以上とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0044】
酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムのうち少なくとも1種を用い、その合計量が2〜15重量%、さらには2〜10重量%であることが好ましい。これらの成分は、熱膨張係数の調整に有効であり、焼き付け温度の基板の耐熱性への適用、電気絶縁性、形成される隔壁の安定性や緻密性の点でも好ましい。2重量%以上とすることで結晶化による失透を防ぐこともできる。また、15重量%以下とすることにより、熱膨張係数を小さく抑え、屈折率も小さく抑えることができる。またガラスの化学的安定性も維持できる。
【0045】
酸化アルミニウムはガラス化範囲を広げてガラスを安定化する効果があり、ペーストのポットライフ延長にも有効である。10〜25重量%の範囲で配合することが好ましく、この範囲内とすることでガラス転移点、荷重軟化点を低く保ち、ガラス基板上への焼き付けを容易とすることができる。
【0046】
さらに、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは、ガラスを溶融しやすくすると共に熱膨張係数を制御するために配合されることが好ましい。酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは合計で2〜15重量%配合するのが好ましい。合計量が2重量%以上とすることで結晶化によるガラスの失透を防ぎ、15重量%以下とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0047】
また、上記の組成には表記されていないが、酸化亜鉛や酸化チタン、酸化ジルコニウムなどを含有させることも好ましい。
【0048】
ガラス粉末の作製法としては、例えば原料である酸化リチウム、酸化ケイ素、酸化硼素、酸化バリウムおよび酸化アルミニウムなどを所定の配合組成となるように混合し、900〜1200℃で溶融後、急冷し、ガラスフリットにしてから粉砕して1〜5μmの微細な粉末にする。原料は高純度の炭酸塩、酸化物、水酸化物などを使用できる。また、ガラス粉末の種類や組成によっては99.99%以上の超高純度なアルコキシドや有機金属の原料を使用し、ゾル・ゲル法で均質化に作製した粉末を使用すると高電気抵抗で緻密な気孔の少ない、高強度な絶縁層が得られるので好ましい。
【0049】
上記において使用されるガラス粉末粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、粉末は、50重量%粒子径(平均粒子径)が2〜3.5μm、トップサイズ15μm以下であることが好ましい。さらに、10重量%粒子径が0.6〜1.5μm、90重量%粒子径が4〜8μm、比表面積1.5〜2.5m2/gを有していることが好ましい。より好ましくは平均粒子径2.5〜3.5μm、比表面積1.7〜2.4m2/gである。この範囲にあると紫外線露光時に光が十分透過し、上下で線幅差の少ない隔壁パターンが得られる。平均粒子径2.0μm以下、比表面積2.5m2/gを越えると粉末が細かくなり過ぎて露光時において光が散乱されて未露光部分を硬化させるので好ましくない。
【0050】
また、本発明の第1発明の感応性ペーストは、塗布・乾燥後のペースト膜のg線に対する全光線透過率T(%)と乾燥後膜厚d(μm)が、d≧100において、T≧90−0.25dなる関係を有することが必要である
T<90−0.25dの場合には、光線透過率が不十分であるため、厚さ250μmを越えるパターンを形成できないだけでなく、厚さ250μm未満のパターンであっても感光性ペースト層の上部と底部に達する光線量が異なり、底部の光線量が上部に比べると格段に少なくなるため、上部と底部の光硬化の程度に大きな差が生じる。上部を十分に硬化させると、底部の硬化が不十分となり、現像時に現像液により硬化不十分な底部が大きく膨潤して蛇行が発生する。このような蛇行は、焼成後も蛇行として残り、ディスプレイとして使用したときに輝度ムラの原因となり問題である。
【0051】
一方、底部を十分に硬化させると、上部は必要以上にパターンの幅が太くなりすぎ、隔壁の形状が上部太りの状態に陥る。この場合は発光に必要な空間が確保できず、使用不可である。
【0052】
いずれにせよ、厚み方向の硬化の不均質は、厚さが厚くなればなるほど大きくなるため、問題が顕在化する。より光線透過率の高い感光性ペーストが厚みも大きく、また設計通りのパターンが得られる点で望ましい。
【0053】
また、さらに塗布・乾燥後のペースト膜のi線に対する全光線透過率T(%)と乾燥後膜厚d(μm)が、d≧100においてT≧90−0.25dなる関係を有する感光性ペーストであることが好ましい。T<90−0.25dの場合には、光線透過率が不十分であるため、厚さ250μmを越えるパターンを形成できないだけでなく、厚さ250μm未満のパターンであっても感光性ペースト層の上部と底部に達する光線量が異なり、底部の光線量が上部に比べると格段に少なくなるため、上部と底部の光硬化の程度に大きな差が生じる。上部を十分に硬化させると、底部の硬化が不十分となり、現像時に現像液により硬化不十分な底部が大きく膨潤して蛇行が発生する。このような蛇行は、焼成後も蛇行として残り、ディスプレイとして使用したときに輝度ムラの原因となり問題である。
【0054】
一方、底部を十分に硬化させると、上部は必要以上にパターンの幅が太くなりすぎ、隔壁の形状が上部太りの状態に陥る。この場合は発光に必要な空間が確保できず、使用不可である。
【0055】
いずれにせよ、厚み方向の硬化の不均質は、厚さが厚くなればなるほど大きくなるため、問題が顕在化する。より光線透過率の高い感光性ペーストが厚みも大きく、また設計通りのパターンが得られる点で望ましい。。
【0056】
また、本発明の第2発明の感光性ペーストは、40〜90重量%の無機微粒子と60〜10重量部の有機成分からなる感光性ペーストであって、塗布・乾燥後のペースト膜のg線に対する全光線透過率が乾燥後膜厚200μmにおいて50%以上であることが必要である。乾燥後膜厚200μmにおける全光線透過率が50%未満であると、光線透過率が不十分であるため、厚さ250μmを越えるパターンを形成できないだけでなく、厚さ250μm未満のパターンであっても感光性ペースト層の上部と底部に達する光線量が異なり、底部の光線量が上部に比べると格段に少なくなるため、上部と底部の光硬化の程度に大きな差が生じる。上部を十分に硬化させると、底部の硬化が不十分となり、現像時に現像液により硬化不十分な底部が大きく膨潤して蛇行が発生する。このような蛇行は、焼成後も蛇行として残り、ディスプレイとして使用したときに輝度ムラの原因となり問題である。さらに、塗布・乾燥後のペースト膜のi線に対する全光線透過率が乾燥後膜厚200μmにおいて50%以上であることが好ましい
ここで、本発明において、全光線透過率の測定は、UV−3101PC型自記分光光度計(島津製作所製)を用いる。測定条件は次の通りである。
【0057】
試料厚み :20〜300μm
試料セル :石英
スリット幅:7.5mm
測定速度 :SLOW(約100nm/分)
光源 :ハロゲンランプ
測定波長 :g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)
白板 :BaSO4(サンプル側)
副白板 :BaSO4(レファレンス側)
入射角 :0゜
試料室 :マルチパーパス大型試料室ユニット(島津製作所MPC−3100型)
積分球 :60φ積分球
積分球窓 :入口窓 12(W)×20(H)mm
出口窓 :12(W)×24(H)mm
ホトマル窓(球の下側) :16mmφ
PbSセル窓(球の上側):16mmφ
積分球の開口比率 :12.9%
検出器 :ホトマルおよびPbSセル
具体的には、石英セル上に乾燥後厚みが所定の厚さとなるように感光性ペーストを塗布した後、試料の上から石英セルを載せて、測定サンプルを調製し、上記の仕様・条件で全光線透過率を測定する。
【0058】
本発明において、全光線透過率を高くする手法としては、全光線透過率が高い有機成分および無機成分を用いること、有機成分中の各成分がより均質に分散していること、無機微粒子自体の光線透過率が高いこと、無機微粒子内部の組成は均一であること、気泡などの組成ムラのないことなどが挙げられる。
【0059】
特に効果があるのは、無機微粒子として用いるガラス微粒子の平均屈折率と有機成分の平均屈折率を整合させることである。好ましくは平均屈折率が1.55〜1.65のガラス粉末を用い、また、有機成分としては好ましくは屈折率が1.55〜1.8のエチレン性不飽和基を含有するポリマーやモノマーを用い、有機成分の平均屈折率を無機微粒子のそれに近づけることが望ましい。
【0060】
感光性ペーストは、通常、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、感光性有機成分、有機染料、分散剤、吸光剤、および溶媒などの各種成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し作製する。
【0061】
ペーストの粘度は無機微粒子、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈降防止剤など添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cps(センチ・ポイズ)であることが好ましい。例えば、基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、2000〜5000cpsが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、5万〜20万cpsが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、1万〜5万cpsが好ましい。
【0062】
感光性ペーストを用いてパターン加工を行う一例について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0063】
基板上に、感光性ペーストを全面塗布、もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどの方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0064】
ここでペーストを基板上に塗布する場合、基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理を行うことができる。表面処理液としては、シランカップリング剤、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど、あるいは有機金属例えば、有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウムなどである。シランカップリング剤あるいは有機金属を有機溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの表面処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に80〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表面処理ができる。
【0065】
塗布した後、露光装置を用いて露光を行う。露光装置としては、プロキシミティ露光機などを用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、基板上に感光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0066】
露光後、露光部分と未露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、浸漬法やスプレー法、ブラシ法で行う。現像液には、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を用いることが好ましい。また、該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0067】
有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。
【0068】
アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させる。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0069】
次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0070】
焼成温度は通常400〜1000℃で行う。ガラス基板上にパターン加工する場合は、通常480〜610℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行うことが好ましい。
【0071】
本発明の感光性ペーストは、実質的に無機物からなるパターンを形成する目的で使用する。また、本発明の感光性ペーストはフォトリソグラフィを用いたパターン形成後に焼成を行い、実質的に無機物からなるパターンを形成する目的で使用する。
【0072】
本発明の感光性ペーストを用いて製造された実質的に無機物からなるパターンは、ディスプレイ用途、とりわけプラズマディスプレイ用途において、プラズマディスプレイパネル背面板の隔壁やプラズマディスプレイ前面板または背面板の電極として好適に用いられる。
【0073】
プラズマディプレイの製造においては、通常ガラス基板上にアドレス電極パターンを形成し、アドレス電極を被覆するように誘電体層を形成することが好ましい。次いで、誘電体層上、もしくは電極が形成された基板上に隔壁を形成する。隔壁の高さは、80〜200μmが適している。80μm以上とすることで蛍光体と前面板に形成した電極の距離が近づき過ぎるのを防ぎ、放電による蛍光体の劣化を抑制できる。また、200μm以下とすることで、スキャン電極の放電と蛍光体の距離が離れすぎるのを防ぎ、十分な輝度を得ることができる。隔壁のピッチ(P)は、100μm≦P≦500μmのものがよく用いられる。100μm以上とすることで放電空間が狭くなるのを防ぎ十分な輝度を得ることができ、500μm以下とすることで画素が細かく美しい画像表示ができる。
【0074】
隔壁は、無機微粒子と有機バインダーからなるガラスペーストを隔壁の形状にパターン形成した後に、400〜600℃に焼成して隔壁を形成する方法が一般的である。ガラスペーストを用いて隔壁パターンを形成する方法としては、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性ペースト法、フォト埋め込み法、加圧成型法等の方法によって形成可能であるが、各種の隔壁形成方法の中で、高精細化・工程の簡便性の点で、本発明の感光性ペースト法が優れている。
【0075】
隔壁を形成した後に、RGBの各色に発光する蛍光体層を形成する。蛍光体粉末、有機バインダーおよび有機溶媒を主成分とする蛍光体ペーストを所定の隔壁間に塗布することにより、蛍光体層を形成することができる。その方法としては、スクリーン印刷版を用いてパターン印刷するスクリーン印刷法、吐出ノズルの先端から蛍光体ペーストをパターン吐出するディスペンサー法、また、感光性を有する有機成分を有機バインダーとする感光性蛍光体ペーストを用いる感光性ペースト法などを採用することができる。
【0076】
蛍光体層を形成した基板を必要に応じて、400〜550℃で焼成し、本発明のディスプレイ用部材の一例として、プラズマディスプレイ用背面板を作製するとができる。
【0077】
次いで、プラズマディスプレイ用の前面板は、基板上に所定のパターンで透明電極、バス電極、誘電体、保護膜(MgO)を形成して作製することができる。前面板のバス電極にも、本発明の感光性ペーストが適用可能である。背面板上に形成されたRGB各色蛍光体層に一致する部分にカラーフィルター層を形成しても良い。また、コントラストを向上させるために、ブラックストライプを形成しても良い。
【0078】
かくして、得られた背面板と前面板とを封着後、両部材間の基板間隔に形成された空間に、ヘリウム、ネオン、キセノン、などから構成される放電ガスを封入後、駆動回路を装着して本発明のプラズマディスプレイを作製できる。
【0079】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
光重合開始剤1:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)(イルガキュア369;チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
光重合開始剤2:テトラブシルアンモニウム(1+)n−ブチルトリフェニルボレート(1−)
光重合開始剤3:ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(イルガキュア784;チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
光重合開始剤4:η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)(イルガキュア261;チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
光重合開始剤5:N−フェニルグリシン
増感剤1:2,4−ジエチルチオキサントン
増感剤2:2−[3−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−1−プロペニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウム アイオダイド
増感剤3:ケトクマリン系色素
ポリマー1:スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマ(重量組成比30/30/40)にコポリマ100重量部に対してグリシジルメタアクリレートを40重量部付加させたポリマー(重量平均分子量31000、樹脂酸価114)
モノマー1:キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート=1モル/4モル付加物
モノマー2:ポリオキシプロピレンジアミンH2N−CHCH3CH2−(OCH2CHCH3)n−NH2(分子量約400)/グリシジルメタアクリレート=1モル/4モル付加物
モノマー3:イソプロピルアミン/グリシジルメタクリレート=1モル/2モル付加物
(実施例1)
感光性ペーストは、有機成分の各成分および光吸収剤とコート処理した無機微粒子を添加し、混練機で混練するという手順で作製した。
【0080】
光線透過率を測定するためのサンプルは、30cm角の石英基板上に、80℃で30分間乾燥した後、所望の厚みの感光性ペースト層が形成されるように溶媒を含む感光性ペーストを塗布した。光線透過率の測定は、島津製作所製の分光光度計(UV−3101PC)を用いて、g線(436nm)、i線(365nm)の波長の光に対して行った。
【0081】
パターン形成用のサンプルは、ソーダガラス基板上に、スクリーン印刷により、均一に塗布した。塗布膜にピンホールなどの発生を回避するために塗布、乾燥を数回以上繰り返し行い、乾燥厚みが180μm、または300μmになるように塗布した。途中の乾燥は、80℃で15分間行った。その後、80℃で60分間乾燥した。
【0082】
プラズマディスプレイ用の隔壁パターン形成を目的としたフォトマスク(ストライプ状パターン、パターンピッチ150μm、線幅20μm)を介して露光を行った。この時、マスクが汚染されるのを防ぐため、マスクと塗膜面に100μmのギャップを設けた。その後、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.3重量%水溶液をシャワーで120秒間かけることにより現像を行い、光硬化していないスペース部分を除去してガラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形成した。さらに、シャワースプレーを用いてパターンの水洗浄を行った。
【0083】
隔壁パターンを顕微鏡で観察し、露光部の剥がれ、パターンの蛇行およびパターン間の埋まり(残膜)が発生しない露光量を調べた。その露光量の下限をEmin、上限をEmax、その中央値を最適露光量Eavとした。また、露光量許容幅(%)は、(Emax−Emin)/Eavから算出した。露光量許容幅の値が大きい方が生産時の露光量の変動に対する生産安定性が優れていると言える。また、露光量許容幅が0%の場合に、パターン形成不可(表1には×と表示)と判断した。
【0084】
最適露光量で隔壁パターン形成を終えたガラス基板を80℃で15分乾燥した後、560℃で15分焼成し隔壁を形成した。この焼成により、約30%程度の収縮が生じた。
【0085】
無機微粒子としては、組成が、Li2O:9%、SiO2:22%、Al2O3:23%、B2O3:33%、BaO:4%、ZnO:2%、MgO:7%であるガラス微粒子を用いた。このガラス微粒子の平均屈折率は1.586、ガラス転移点、軟化点はそれぞれ476℃、519℃、平均粒子径(D50)は2.6μm、D10が0.9μm、D90が7.8μm、最大粒子径22μmである。また、比表面積は、2.10m2/gである。
【0086】
ガラス微粒子として、この組成のガラス粉末に対して、光吸収剤をコーティング処理したガラス微粒子を使用した。また、光吸収剤として、スダンIVを用い、ガラス微粒子に対して0.10重量%を使用した。
【0087】
感光性ペーストは、ポリマー1が15重量部、モノマー2が15重量部に光重合開始剤2が0.2重量部、増感色素として増感剤2(シアニン系;吸収極大波長545nm)が0.01重量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル30重量部、を上記のガラス微粒子70重量部と混練して用いた。
【0088】
評価は、塗布乾燥後の厚み180μm、300μmのパターンの形成が可能かどうかを調べた。良好なパターン形成の場合は○、現像時にパターンが剥がれたものは×で示した。また、全光線透過率の測定は、先に記載した方法にしたがって、g線およびi線に対して、厚み100μm、200μm、300μmで行って、Tの値が90−0.25d(dは乾燥時のペースト厚み)以上であることを確認した。評価結果を表1に示した。
【0089】
(実施例2)
感光性ペーストは、ポリマー1が15重量部、モノマー3が15重量部に光重合開始剤3が0.3重量部、γ−ブチロラクトンが40重量部、を実施例1と同じガラス微粒子60重量部と混練して用いた。
【0090】
上記の感光性ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
【0091】
(実施例3)
感光性ペーストは、ポリマー1が10重量部、モノマー2が15重量部に光重合開始剤4が0.5重量部、増感色素として増感剤3(ケトクマリン系)が0.005重量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル10重量部、を実施例1と同じガラス微粒子75重量部と混練して用いた。
【0092】
上記の感光性ペーストを用いたこと以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
【0093】
(比較例1)
実施例1のガラス微粒子70重量部に配合した有機成分は、ポリマー1が10重量部、モノマー1が20重量部、光重合開始剤1が3.0重量部、増感剤1が1.8重量部を配合した。これらの有機成分の平均屈折率の計算値は1.59であり、ガラス微粒子の平均屈折率と近似している。
【0094】
これらのガラス微粒子および有機成分を配合した感光性ペーストの光透過スペクトルは、g線波長領域に透過率のピークを有し、厚さ50μmの感光性ペースト膜で測定したg線波長領域での全光線透過率は60%であった。評価結果を表1に示した。
【0095】
(比較例2)
実施例1と同じガラス微粒子を使用し、塗布厚み180μm、および300μm、有機成分の組成をポリマー1が15重量部、モノマー2が15重量部を混合したペーストに、光重合開始剤1が7.2重量部、重合禁止剤ハイドロキノンモノメチルエーテルが0.5重量部、分散剤として“ノプコスパース”092(サンノプコ社製)が0.5重量部、および紫外線吸収剤1.7重量部とした以外は実施例1と同様に行った。紫外線吸収剤としては、1,2,3−ベンゾトリアゾールが1.2重量部、“ユビナール”3039(BASFジャパン社製)が0.5重量部を用いた。また、ペーストの粘度を調整する溶媒としてはγ−ブチロラクトンを用いた。厚さ50μmの感光性ペースト膜で測定したg線波長領域での全光線透過率は70%であった。
【0096】
得られたパターンの断面形状は、高さ(厚さ)180μm、半値幅36μmであり、高アスペクト比の隔壁パターンが得られた。さらに、565℃で15分間焼成を行った。焼成後に得られた隔壁パターンの観察を行ったところ、断面は矩形形状で、高さ125μm、半値幅25μmの隔壁であった。
【0097】
評価結果を表1、表2に示した。
【0098】
【表1】
Figure 0004449179
【0099】
【表2】
Figure 0004449179
【0100】
表1、表2の結果から、塗布・乾燥後のペースト膜のg線またはi線に対する全光線透過率T(%)が乾燥後膜厚d(μm)に対して、T>=90−0.25dなる関係を満たす感光性ペーストを使用すると、膜厚300μmにおいてもパターン形成が可能であり、また膜厚180μmにおいても露光量許容幅が広く、安定した生産が可能であることが分かる。比較例で示した従来の感光性ペーストの50μm厚みにおける全光線透過率が本実施例の感光性ペーストでは300μm厚みにおいて実現できている。この意味で、全光線透過率がT>=90−0.25dなる関係を満たす条件は、従来技術に比べて格段に高いレベルであり、この結果厚膜パターン形成性が向上し、蛇行が抑制できたものと考えられる。
【0101】
(実施例4)
高歪み点ガラス基板上に電極パターンを形成した。
【0102】
感光性ペーストは、銀微粒子(平均粒子径1.5μm、比表面積1.10m2/g)66重量部、ポリマー2が7重量部、モノマーとしてプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(TPA330;日本化薬(株)製、分子量471、3官能)7重量部、光重合開始剤として(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)3重量部、有機染料(ベーシックブルー26、吸収極大波長592nm)0.01重量部、硼珪酸ビスマスガラス微粒子2重量部、溶媒としてγ−ブチロラクトン15重量部を混練して得られた銀微粒子ペーストをスクリーン印刷により塗布して、乾燥厚み6μmを得た。その後、フォトマスク(ストライプ状パターン、パターンピッチ230μm、線幅100μm)を介して露光を行った。さらに、35℃に保持した炭酸ナトリウム水溶液を60秒間シャワースプレイして現像を行い、ストライプ状の電極パターンを得た。電極パターン加工の終了したガラス基板を80℃で15分間乾燥した後、580℃で15分間焼成し、電極を形成した。
【0103】
電極を製造したガラス基板上に、さらに誘電体層を形成した。酸化ビスマスを75重量%含有する低融点ガラス微粒子を60重量部、平均粒子径0.3μmの酸化チタン微粒子を10重量部、エチルセルロース15重量部、テルピネオール15重量部を混練して得られたガラスペーストをスクリーン印刷により、表示エリア部分のアドレス電極が覆われるように20μmの厚みで塗布した後に、570℃で15分間の焼成を行って、背面誘電体層を形成した。
【0104】
誘電体層上に、実施例1の方法により隔壁パターンを形成した。フォトマスクは、開口部線幅30μmのマスクを用いた。
【0105】
次に、隣り合う隔壁間に蛍光体層を形成した。蛍光体の塗布は、256ヶ所の穴(口径130μm)が形成されたノズル先端から蛍光体ペーストを吐出するディスペンサー法により行った。蛍光体層が隔壁側面に焼成後厚み25μm、誘電体層上に焼成後厚み25μmになるように塗布した後に、500℃で10分間の焼成を行い、本発明のディスプレイ用部材として、プラズマディスプレイ用の背面板を完成した。
【0106】
次に、前面版を作製した。ソーダガラス基板上に、ITOを用いて、ピッチ375μm、線幅150μmのスキャン電極を形成した。また、その基板上に背面板のアドレス電極形成に用いた感光性ペーストを塗布した後に、フォトマスクを介したマスク露光、0.3重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いた現像、580℃で15分間の焼成工程を経て、線幅50μm、厚み3μmのバス電極を形成した。
【0107】
次に、酸化鉛を75重量%含有する低融点ガラス微粒子を70重量部、エチルセルロース20重量部、テルピネオール10重量部を混練して得られたガラスペーストをスクリーン印刷により、表示エリア部分のバス電極が覆われるように20μmの厚みで塗布した後、570℃で15分間の焼成を行って、前面誘電体を形成した。
【0108】
誘電体層を形成した基板上に電子ビーム蒸着により厚み0.5μmの酸化マグネシウム層を形成して前面板を作製した。
【0109】
かくして得られた前面板と背面板を封着ガラスを用いて封着し、Xe5%含有のNeガスを内部ガス圧66500Paになるように封入し、駆動回路を実装してプラズマディスプレイを作製した。
【0110】
このプラズマディスプレイに電圧を印加して表示を行ったところ、全てのセルが良好な表示状態を示した。
【0111】
【発明の効果】
本発明の感光性ペーストは、非常に高い光線透過性を有しているため、より厚さの厚いパターンをより均質に形成することできる。したがって、ディスプレイ、回路材料などの高精度のパターン加工が可能になり、精細性の向上、生産性の向上に有用である。特に、プラズマディスプレイパネルの隔壁形成を低コストで歩留まり良く製造する場合に好適である。

Claims (9)

  1. 40〜90重量%の無機微粒子と60〜10重量部の有機成分からなる感光性ペーストであって、塗布・乾燥後のペースト膜のg線に対する全光線透過率T(%)と乾燥後膜厚d(μm)が、d≧100においてT≧90−0.25dなる関係を有することを特徴とする感光性ペースト。
  2. さらに、塗布・乾燥後のペースト膜のi線に対する全光線透過率T(%)と乾燥後膜厚d(μm)が、d≧100においてT≧90−0.25dなる関係を有することを特徴とする請求項1に記載の感光性ペースト。
  3. 40〜90重量%の無機微粒子と60〜10重量部の有機成分からなる感光性ペーストであって、塗布・乾燥後のペースト膜のg線に対する全光線透過率が乾燥後膜厚200μmにおいて50%以上であることを特徴とする感光性ペースト。
  4. さらに塗布・乾燥後のペースト膜のi線に対する全光線透過率が乾燥後膜厚200μmにおいて50%以上であることを特徴とする請求項3記載の感光性ペースト。
  5. 無機微粒子の平均屈折率が1.5〜1.65の範囲であるガラス粉末を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感光性ペースト。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性ペーストを用いて製造したことを特徴とするディスプレイ用部材。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性ペーストを用いて製造したことを特徴とするプラズマディスプレイ用部材。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性ペーストを基板上に塗布し、露光、現像を経てパターンを形成し、さらに焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用隔壁の製造方法。
  9. 請求項8記載の方法により基板上に隔壁を形成する工程を含むことを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法。
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