JPH10275564A - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法

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JPH10275564A
JPH10275564A JP7819697A JP7819697A JPH10275564A JP H10275564 A JPH10275564 A JP H10275564A JP 7819697 A JP7819697 A JP 7819697A JP 7819697 A JP7819697 A JP 7819697A JP H10275564 A JPH10275564 A JP H10275564A
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glass
plasma display
display panel
partition
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豪 守屋
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Yuichiro Iguchi
雄一朗 井口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】蛍光体塗布の歩留まりの高い高精細隔壁を有
し、輝度むらのないプラズマディスプレイを提供する。 【解決手段】ガラス基板に緩衝層を設け、該緩衝層上に
隔壁を形成したプラズマディスプレイパネルであって、
該隔壁形状がストライプ状であり、その線幅Lと隔壁の
振れ量Ldとが、Ld/L=1〜1.5の関係にあるこ
とを特徴とするプラズマディスプレイパネルにより達成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル(以下PDPと略す)に関する。より詳細に
は、高精細の隔壁を焼成して形成する際の隔壁の振れを
防止するためにガラス基板と隔壁間に緩衝層を形成した
PDPに関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイパネル(PDP)
は液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、且つ大
型化が容易であることから、OA機器および広報表示装
置などの分野に浸透している。また高品位テレビジョン
の分野などでの進展が非常に期待されている。
【0003】このような用途の拡大にともなって、繊細
で多数の表示セルを有するカラーPDPが注目されてい
る。PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間
に備えられた放電空間内で対抗するアノードおよびカソ
ード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内
に封入されているガスから発生した紫外線を、放電空間
内に設けた蛍光体にあてることにより表示を行うもので
ある。この場合、放電の広がりを一定領域に押さえ、表
示を規定のセル内で行わせると同時に、且つ均一な放電
空間を確保するために隔壁(障壁、リブともいう)が設
けられている。上記の隔壁の形状は、およそ幅30〜8
0μm、高さ100〜200μmであるが、通常は前面
ガラス基板や背面ガラス基板にガラスからなる絶縁ペー
ストをスクリーン印刷法で印刷・乾燥し、この印刷・乾
燥工程を10〜20回繰り返して所定の高さにした後、
焼成して形成している。しかしながら、通常のスクリー
ン印刷法では、特にパネルサイズが大型化した場合に、
あらかじめ前面透明平面板上に形成された放電電極と絶
縁ガラスペーストの印刷場所との位置あわせが難しく、
位置精度が得られ難い問題がある。しかも10〜20回
のガラスペーストの重ね合わせ印刷を行うことによって
隔壁および壁体の側面エッジ部の波打ちや裾の乱れが生
じ、高さの精度が得られないため、表示品質が悪くな
り、また作業性が悪い、歩留まりが低いという問題があ
る。特に、パターン幅が50μm、ピッチが100μm
以下になると隔壁底部がペーストのチクソトロピー性に
より滲みやすく、シャープで残渣のない隔壁形成が難し
くなる問題がある。
【0004】PDPの大面積化、高解像度化にともな
い、このようなスクリーン印刷による方法では、高アス
ペクト比、高精細の隔壁の製造がますます技術的に困難
となり、且つコスト的に不利になってきている。
【0005】これらの問題を改良する方法として、特開
平1−296534号公報、特開平2−165538号
公報、特開平5−342992号公報、特開平6−29
5676号公報では、隔壁を感光性ペーストを用いてフ
ォトリソグラフィ技術により形成する方法が提案されて
いる。しかしながら、これらの方法では、感光性絶縁ペ
ーストのガラス含有量が少ないために焼成後に緻密な隔
壁が得られなかったり、感光性絶縁ペーストの感度や解
像度が低い問題があった。このためにスクリーン印刷・
露光・現像の工程を繰り返し行うことによって高アスペ
クト比の隔壁を得る必要があった。しかしながら、印刷
・露光・現像を繰り返し行うのでは、位置あわせの問題
が生じたり、低コスト化に限界があった。
【0006】特開平8−50811号公報では、感光性
ペースト法を用いて、隔壁を1回の露光で形成する方法
が提案されている。しかしながら、この方法では線幅を
細くしたパターンを形成すると、焼成して隔壁を得る際
に、隔壁振れが生じやすく、その振れの程度によって
は、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体の塗り分け
の際に、蛍光体の塗布を精度よく行えず、混色が起こっ
たり,蛍光体の剥がれが生じてしまい歩留まりが低下す
る。また隔壁振れから起こる隔壁ピッチのばらつきか
ら、輝度ムラが起きる問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高精
細の隔壁を形成する際、焼成時の隔壁振れを防止し、歩
留まりが高く、輝度ムラのない、放電特性の優れた高輝
度、高精細のプラズマディスプレイを提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明は、ガラス基板に緩衝層を設け、該緩衝層上
に隔壁を形成したプラズマディスプレイパネルであっ
て、該隔壁形状がストライプ状であり、その線幅Lと隔
壁の振れ量Ldとが、Ld/L=1〜1.5の関係にあ
ることを特徴とするプラズマディスプレイパネルからな
る。
【0009】
【発明の実施の形態】高精細な隔壁においては、隔壁の
振れの主な要因としては、隔壁と基板との接着面積が小
さいことに起因する密着力不足があげられる。また、隔
壁が焼成の際はがれる場合もある。
【0010】本発明は高精細の隔壁を緩衝層上に設け、
ガラス基板上に形成する場合に比べて隔壁の密着性を増
大して隔壁の振れを下記の範囲に抑制することで、蛍光
体塗布の歩留まりが良く、輝度ムラがなくなることを見
いだした。
【0011】Ld/L=1〜1.5 なお、Ldは振れ量を、Lは線幅を示す。
【0012】Ld/Lが1の時は、隔壁の振れが全くな
い理想形状に該当する。Ld/Lが1.5より大きい
と、蛍光体塗布する際、隣接した隔壁溝にも塗布する塗
布誤りが生じやすくなり、歩留まりが落ちるため好まし
くない。また、隔壁ピッチがばらつくことによる輝度ム
ラが顕著になる。
【0013】ここでいう線幅は、隔壁断面においての、
上面幅、半値幅、下面幅のいずれを測定してもよいが、
測定の容易さから、図1に示すように、隔壁の断面形状
においての上面幅が好ましい。
【0014】振れ量も、特に限定しないが、線幅と同一
条件下での計測が好ましく、上面幅の振れ量を計測する
のが好ましい。具体的な計測法法としては、図2に示す
ように、隔壁のうねり幅を計測する。振れ量の測定範囲
は、隔壁に沿って、少なくとも隔壁ピッチの10倍以上
の長さにわたるのが好ましく、その範囲での最大振れ幅
で振れ量を定義する。本発明の隔壁各部の形状は、ピッ
チをP、線幅をL、高さをHとすると、次のような関係
にあるのが、パネルの精細性、輝度、放電寿命の点です
ぐれていることから好ましい。
【0015】・P=80〜140μmの時L=15〜4
0μm、H=80〜140μm ・P=140〜160μmの時L=20〜50μm、H
=120〜170μm ・P=160〜220μmの時L=30〜60μm、H
=130〜170μm 線幅については、上記下限より小さいと、パターン形成
時のはがれ、倒れ、また焼成後に断線、はがれ、振れが
生じやすくなる。上記上限より大きいと開口率が小さく
なることによる輝度の低下が起こり、好ましくない。
【0016】高さについては、上記下限より小さいと、
放電空間が狭くなり、プラズマ領域が蛍光体に近くな
り、蛍光体がスパッタされるため、寿命の点で好ましく
ない。上記上限より大きいと放電により発生した紫外線
が、蛍光体に届くまでに吸収されてしまうために輝度が
下がり、好ましくない。
【0017】本発明の緩衝層の厚みは、5〜30μm、
より好ましくは10〜20μmであることが均一な緩衝
層の形成のために好ましい。厚みが30μmを越える
と、焼成の際、脱媒が困難であるためクラックが生じや
すく、またガラス基板へかかる応力が大きいために基板
がそる等の問題が生じる。また、5μm未満では厚みの
均一性を保持するのが困難である。
【0018】本発明のPDPは、基板上に電極を設けた
場合、その上に、2層以上、好ましくは2〜3層の緩衝
層を設けることで、電極の凹凸面に起因する緩衝層の亀
裂と、それに伴う隔壁の振れを抑制することができる。
緩衝層を1層とした場合は、焼成収縮による応力が電極
付近に集中しやすく、緩衝層に亀裂が入ったり、隔壁が
振れたりする場合がある。また3層を越えると緩衝層が
厚くなりすぎて放電特性が落ちたり、焼成時に基板ガラ
スへかかる応力が大きくなり基板が反ったりする。
【0019】緩衝層を2層以上設ける際は、まず電極形
成面にガラスペーストの塗布、乾燥および焼成の工程を
経て少なくとも1層の緩衝層を形成し、電極の凹凸を解
消する。この際の緩衝層の厚みとしては、電極厚み以上
であることが好ましいことから、5〜20μmの厚みが
好適に用いられる。
【0020】緩衝層上に隔壁を形成する際、最表層の緩
衝層用ペーストを塗布、乾燥してもうけた塗布膜に隔壁
パターンを形成し、塗布膜と隔壁パターンを同時に焼成
する方法と、緩衝層をまず焼成し、その上に、隔壁パタ
ーンを形成し、これを焼成して隔壁を形成する方法の二
つがある。前者の焼成方法は、隔壁と緩衝層間の接着不
足に起因する昇温の際のはがれを防止する効果があるた
め好適に用いられる。隔壁と同時焼成して形成する緩衝
層の厚みは5〜15μmであることが好ましい。厚みが
15μmを越えると、焼成の際、脱媒が困難であるため
クラックが生じやすく、また、全緩衝層の厚みを30μ
m以下にすることが難しくなる。また、5μm未満では
厚みの均一性を保持するのが困難である。
【0021】また、隔壁パターンを感光性ペースト法に
よって形成した場合は、パターンが光硬化の不均一によ
って歪み応力が生じやすいため、焼成の際に剥がれや振
れが生じやすい。隔壁パターンと緩衝層用ペースト塗布
膜を同時に焼成する方法は、隔壁の密着性が増大しては
がれが抑制され、歩留まりが向上するため、感光性ペー
スト法による隔壁形成において特に好適に用いられる。
【0022】上記の同時焼成法によって隔壁形成する際
は、隔壁パターン形成に用いる現像液によって、緩衝層
用ペースト塗布膜が浸食されるのを防ぐために、感光性
を付与した緩衝層用ペーストを塗布、乾燥、露光を行
い、光硬化することも有効な方法である。
【0023】緩衝層用ペーストに感光性を付与する方法
としては、ペースト中に感光性モノマー、感光性オリゴ
マー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選ば
れる感光性成分を含有し、さらに必要に応じて、光重合
開始剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤
などの添加剤成分を加えることも行われる。
【0024】緩衝層は、50〜400℃の範囲の熱膨張
係数(α)50400が70〜85×10-7/°K、より好
ましくは72〜80×10-7/°Kであるガラスからな
ることが、基板ガラスの熱膨張係数と整合し、焼成の際に
ガラス基板にかかる応力を減らすので好ましい。85×
10-7/°Kを越えると、緩衝層の形成面側に基板が反
るような応力がかかり、70×10-7/°K未満では緩
衝層のない面側に基板が反るような応力がかかる。この
ため、基板の加熱、冷却を繰り返すと基板が割れる場合が
ある。また、前面基板との封着の際、基板のそりのため
に両基板が平行にならず封着できない場合もある。
【0025】また緩衝層に含まれるガラスには、ガラス
転移点Tgが430〜500℃、軟化点Tsが450〜
550℃のものをもちいることが好ましい。緩衝層を形
成する際、ガラス転移点が500℃、熱軟化点が550
℃より高いと、高温で焼成しなければならず、焼成の際
にガラス基板に歪みが生じる。またガラス転移点が43
0℃、熱軟化点が450℃より低い材料は、その後の工
程で、蛍光体を塗布、焼成する際に緩衝層に歪みが生
じ、膜厚精度が保たれないので好ましくない。
【0026】緩衝層には、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化
亜鉛のうち少なくとも1種類をガラス中に10〜80重
量%含むガラス微粒子を用いることによって熱軟化温
度、熱膨張係数のコントロールが容易になる。酸化ビス
マス、酸化鉛、酸化亜鉛の添加量は80重量%を越える
とガラスの耐熱温度が低くなり過ぎてガラス基板上への
焼き付けが難しくなる。
【0027】酸化ナトリウム、酸化カリウムを含むガラ
ス微粒子を用いることによっても熱軟化温度、熱膨張係
数をコントロールすることができるが、その含有率は3
重量%以下、好ましくは1重量%以下にすることによっ
て、ペーストの安定性を向上することができる。3重量
%を越えると基板ガラスとのイオン交換などの化学反応
による基板の変形が起きたり、電極に用いている金属と
の反応により着色して輝度や色純度が低下する。
【0028】上記ガラスのうち特に、酸化ビスマスを1
0〜80重量%含有するガラスを用いることは、ペース
トのポットライフが長いことなどの利点がある。
【0029】酸化ビスマスを含むガラス組成としては、
酸化物換算表記で 酸化ビスマス 15〜80重量部 酸化珪素 8〜80重量部 酸化ホウ素 10〜40重量部 酸化バリウム 8〜20重量部 酸化亜鉛 10〜30重量部 の組成であることがが好ましい。
【0030】酸化珪素は8〜80重量%の範囲で配合す
ることが好ましく、8重量%未満の場合はガラス層の緻
密性、強度や安定性が低下する。また80重量%を越え
ると、熱軟化点が高くなり、600℃以下での焼成が困
難になる。
【0031】酸化ホウ素は10〜40重量%の範囲で配
合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨張係数、
絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を向上
することができる。また、40重量%を越えるとガラス
の安定性が低下する。
【0032】酸化バリウムは8〜20重量%の範囲で配
合することが好ましい。酸化バリウムは、ガラスの軟化
点や熱膨張係数を制御するのが容易であるので好ましく
添加される。また、電気絶縁性がよいので放電特性や耐
食性、ガラスの安定性が優れるようになる。8重量%未
満では、ガラス焼き付け温度及び電気絶縁性を制御する
のが難しくなる。又、20重量%を越えるとガラス層の
安定性、緻密性が低下する。酸化亜鉛は10〜30重量
%の範囲で配合することが好ましい。30重量%を越え
ると、絶縁抵抗が低くなるので好ましくない。
【0033】上記において使用されるガラス粉末の粒子
径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ば
れるが、50重量%粒子径が0.1〜10μmが好まし
い。
【0034】緩衝層用ペーストに用いる有機成分は、有
機バインダー、可塑剤、溶媒および必要に応じ分散剤や
レベリング剤などの添加物が含まれる。有機バインダー
の具体的な例としては、ポリビニルアルコール、セルロ
ース系ポリマー、シリコンポリマー、ポリエチレン、ポ
リビニルピロリドン、ポリスチレン、ポリアミド、高分
子量ポリエーテル、ポリビニルブチラール、メタクリル
酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリ
ル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メ
チルスチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などが
あげられる。緩衝層用ペーストを塗布、乾燥して得た塗
布面上に感光性ペースト法により隔壁パターンを形成す
る場合は、隔壁の現像液に溶解しないバインダーを選択
する必要がある。また、感光性を付与した緩衝層用ペー
ストを塗布、乾燥、露光を行い、光硬化することも有効
な方法である。
【0035】緩衝層用ペーストに感光性を付与する方法
としては、ペースト中に感光性モノマー、感光性オリゴ
マー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選ば
れる感光性成分を含有し、さらに必要に応じて、光重合
開始剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤
などの添加剤成分を加えることも行われる。
【0036】緩衝層用ペーストの粘度を調整する際は、
バインダー成分の溶媒を用いるのが好ましい。溶媒とし
ては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセト
ン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチル
アルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフ
ラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、
ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、
ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸な
どやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物
が用いられる。
【0037】緩衝層用ペーストの粘度ρは、3000〜
80000cps、より好ましくは、4000〜600
00cpsであることが、電極上に緩衝層を形成する
際、焼成収縮応力に起因する緩衝層亀裂を抑制する効果
があり好ましい。3000cps未満では、塗布むらが
できやすくなり、80000cpsを越えると、電極付
近に焼成収縮応力が集中しやすく、亀裂が発生しやすく
なる。
【0038】また、ペースト中に可塑剤を含むこともで
きる。可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、
グリセリンなどがあげられる。
【0039】本発明の隔壁の作製方法は特に限定しない
が、工程が少なく、微細なパターン形成が可能である感
光性ペースト法で作製するのが好ましい。
【0040】感光性ペースト法は、主としてガラス粉末
からなる無機成分と感光性を持つ有機成分からなる感光
性ペーストを用いて、露光によりフォトマスクのパター
ンを焼き付け、現像により、隔壁パターンを形成し、そ
の後焼成して隔壁を得る方法である。
【0041】本発明の隔壁に用いられるガラス材料とし
ては、屈折率1.5〜1.65であることが好ましい。
一般に絶縁体として用いられるガラスは、1.5〜1.
9程度の屈折率を有しているが、感光性ペースト法を用
いる場合、有機成分の平均屈折率がガラス粉末の平均屈
折率と大きく異なる場合は、ガラス粉末と感光性有機成
分の界面での反射・散乱が大きくなり、精細なパターン
が得られない。一般的な有機成分の屈折率は1.45〜
1.7であるため、ガラス粉末と有機成分の屈折率を整
合させるためには、ガラス粉末の平均屈折率を1.5〜
1.65にすることが好ましい。
【0042】プラズマディスプレイやプラズマアドレス
液晶ディスプレイの隔壁に用いる場合は、ガラス転移
点、熱軟化点の低いガラス基板上にパターン形成するた
め、隔壁のガラス材質として、ガラス転移点が430〜
500℃、熱軟化温度が470〜580℃のガラス材料
を用いることが好ましい。
【0043】感光性ペースト法に用いるガラス粉末の量
は、ガラス粉末と有機成分の和に対して65〜85重量
%であるのが好ましい。65重量%より小さいと、焼成
時の収縮率が大きくなり、隔壁の断線、剥がれの原因と
なるため、好ましくない。またパターン太り、現像時の
残膜の発生が起こりやすい。85重量%より大きいと、
感光性成分が少ないことにより、パターンの形成性が悪
くなる。
【0044】隔壁のガラス材質の組成としては、酸化ナ
トリウム、酸化リチウム、酸化カリウム等のアルカリ金
属の酸化物を合計で2〜10重量%含有するものを用い
ることによって、熱軟化温度、熱膨張係数のコントロー
ルが容易になるだけでなく、ガラスの平均屈折率を低く
することができるため、有機物との屈折率差を小さくす
ることが容易になる。2%より小さい時は、熱軟化温度
の制御が難しくなる。10%より大きい時は、放電時に
アルカリ金属酸化物の蒸発によって輝度低下をもたら
す。さらにアルカリ金属の酸化物の添加量はペーストの
安定性を向上させるためにも、10重量%より小さいこ
とが好ましく、より好ましくは8重量%以下である。
【0045】特に、アルカリ金属の中では酸化リチウム
を用いることによって、比較的ペーストの安定性を高く
することができ、また、酸化カリウムを用いた場合は、
比較的少量の添加でも屈折率を制御できる利点があるこ
とから、アルカリ金属酸化物の中でも、酸化リチウムと
酸化カリウムの添加が有効である。
【0046】酸化リチウムを含むガラス組成としては、
酸化物換算表記で 酸化リチウム 2〜15重量部 酸化珪素 15〜50重量部 酸化ホウ素 15〜40重量部 酸化バリウム 2〜15重量部 酸化アルミニウム 6〜25重量部 の組成を含むものを50重量%以上含有することが好ま
しい。
【0047】この結果、ガラス基板上に焼き付け可能な
熱軟化温度を有し、平均屈折率を1.5〜1.65にす
ることができ、有機成分との屈折率差を小さくすること
が容易になる。 また、上記組成で、酸化リチウムの代
わりに、酸化ナトリウム、酸化カリウムを用いても良
い。
【0048】酸化珪素はガラス中に、3〜60重量%の
範囲で配合することが好ましく、3重量%未満の場合は
ガラス層の緻密性、強度や安定性が低下し、また熱膨張
係数が所望の値から外れ、ガラス基板とのミスマッチが
起こりやすい。また60重量%以下にすることによっ
て、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可
能になるなどの利点がある。
【0049】酸化ホウ素はガラス中に、5〜50重量%
の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱
膨張係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的
特性を向上することができる。50重量%を越えるとガ
ラスの安定性が低下する。
【0050】また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウ
ム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど、特に酸化アルミ
ニウム、酸化バリウム、酸化亜鉛を添加することによ
り、高度や加工性を改良することができるが、熱軟化
点、熱膨張係数、屈折率の制御の点からは、その含有量
は40重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量
%以下である。酸化ビスマスを含有するガラスは熱軟化
温度や耐水性向上の点から好ましいが、酸化ビスマスを
10重量%以上含むガラスは、屈折率が1.6以上にな
るものが多い。これに対し、酸化ナトリウム、酸化リチ
ウム、酸化カリウムなどのアルカリ金属の酸化物と酸化
鉛を併用することによって、熱軟化温度、熱膨張係数、
耐水性、屈折率のコントロールが容易になる。
【0051】本発明におけるガラス材質の屈折率測定
は、感光性ペースト法で露光する光の波長で測定するこ
とが効果を確認する上で正確である。特に、350〜6
50nmの範囲の波長の光で測定することが好ましい。
さらには、i線(365nm)もしくはg線(436n
m)での屈折率測定が好ましい。
【0052】感光性ペーストの有機成分は、感光性モノ
マー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうち少なく
とも1種類から選ばれる感光性成分を含有し、さらに必
要に応じて、バインダー、光重合開始剤、紫外線吸収
剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、
有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈
殿防止剤などの添加剤成分を加えることも行われる。
【0053】感光性成分としては、光不溶化型のものと
光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、 (A)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性の
モノマー、オリゴマー、ポリマーを含有するもの (B)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機
ハロゲン化合物などの感光性化合物を含有するもの (C)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物な
どいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの等がある。
【0054】また、光可溶型のものとしては、 (D)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレック
ス、キノンジアゾ類を含有するもの (E)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結
合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフト
キノン−1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル
等がある。
【0055】本発明において用いる感光性成分は、上記
のすべてのものを用いることができる。感光性ペースト
として、無機微粒子と混合して簡便に用いることができ
る感光性成分は、(A)のものが好ましい。
【0056】感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽
和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−
ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、te
rt−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレー
ト、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブト
キシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコ
ールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシ
クロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロ
ールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデ
カフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イ
ソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−
メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコ
ールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアク
リレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノ
キシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ト
リフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシル
ジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチ
レングリコールジアクリレート、ジエチレングリコール
ジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリ
トールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチ
ロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジア
クリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレ
ングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルア
ミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレー
ト、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレ
ート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリ
レート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノ
ールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジア
クリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメ
ルカプタンアクリレート等のアクリレート、また、これ
らの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭
素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−
メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチ
レン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルス
チレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチル
スチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルス
チレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレ
ン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、およ
び、上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくは
すべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピ
ロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種ま
たは2種以上使用することができる。
【0057】これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽
和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上する
ことができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として
は、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロト
ン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれ
らの酸無水物などがあげられる。
【0058】これらモノマーの含有率は、ガラス粉末と
感光性成分の和に対して、5〜30重量%が好ましい。
これ以外の範囲では、パターンの形成性の悪化、硬化後
の硬度不足が発生するため好ましくない。
【0059】バインダーとしては、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合
体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−
メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重
合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。
【0060】また、前述の炭素−炭素二重結合を有する
化合物のうち少なくとも1種類を重合して得られたオリ
ゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際
に、これら光反応性モノマーの含有率が、10重量%以
上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他
の感光性のモノマーと共重合することができる。
【0061】共重合するモノマーとしては、不飽和カル
ボン酸等の不飽和酸を共重合することによって、感光後
の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の
具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イ
タコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル
酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
【0062】こうして得られた側鎖にカルボキシル基等
の酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価
(AV)は50〜180、さらには70〜140の範囲
が好ましい。酸価が50未満であると、現像許容幅が狭
くなる。また、酸価が180を越えると未露光部の現像
液に対する溶解性が低下するようになるため現像液濃度
を濃くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細なパタ
ーンが得られにくい。
【0063】以上示した、ポリマーもしくはオリゴマー
に対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させ
ることによって、感光性を持つ感光性ポリマーや感光性
オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応
性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチ
レン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリ
ル基、メタクリル基などがあげられる。
【0064】このような側鎖をオリゴマーやポリマーに
付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ
基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基や
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やア
クリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはア
リルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
【0065】グリシジル基を有するエチレン性不飽和化
合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グ
リシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル
酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロト
ン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエ
ーテルなどがあげられる。
【0066】イソシアネート基を有するエチレン性不飽
和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネー
ト、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等があ
る。
【0067】また、グリシジル基やイソシアネート基を
有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライ
ド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライド
は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカ
ルボキシル基に対して0.05〜1モル当量付加させる
ことが好ましい。
【0068】感光性ペースト中の感光性ポリマー、感光
性オリゴマーおよびバインダーからなるポリマー成分の
量としては、パターン形成性、焼成後の収縮率の点で優
れていることから、ガラス粉末と感光性成分の和に対し
て、5〜30重量%であることが好ましい。この範囲外
では、パターン形成が不可能もしくは、パターンの太り
がでるため好ましくない。
【0069】光重合開始剤としての具体的な例として、
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,
4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−
ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジク
ロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフ
ェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,
2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−
2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチル
ジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチル
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソ
プロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベ
ンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキ
シエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ
ーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、
2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキ
ノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズ
アントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、
4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p
−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビ
ス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキ
サノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o
−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロ
パンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシ
ム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o
−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−
エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)
オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチ
ルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノ
ン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホ
ニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4
−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィ
ド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホル
フィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモ
フェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、
メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン
酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどが
あげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使
用することができる。
【0070】光重合開始剤は、感光性成分に対し、0.
05〜20重量%の範囲で添加され、より好ましくは、
0.1〜15重量%である。重合開始剤の量が少なすぎ
ると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎ
れば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがあ
る。
【0071】紫外線吸収剤を添加することも有効であ
る。紫外線吸収効果の高い化合物を添加することによっ
て高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外
線吸収剤としては有機系染料からなるもの、中でも35
0〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有
機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染
料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン
系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベン
ゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリ
アジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用でき
る。有機系染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成
後の絶縁膜中に残存しないで吸光剤による絶縁膜特性の
低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ
系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。
【0072】有機染料の添加量はガラス粉末に対して
0.05〜1重量部が好ましい。0.05重量%以下で
は紫外線吸光剤の添加効果が減少し、1重量%を越える
と焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。よ
り好ましくは0.1〜0.18重量%である。
【0073】有機染料からなる紫外線吸光剤の添加方法
の一例を上げると、有機染料を予め有機溶媒に溶解した
溶液を作製し、それをペースト作製時に混練する方法以
外に、該有機溶媒中にガラス微粒子を混合後、乾燥する
方法があげられる。この方法によってガラス微粒子の個
々の粒子表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル
状の微粒子が作製できる。
【0074】本発明において、無機微粒子に含まれるP
b、Fe、Cd、Mn、Co、Mgなどの金属および酸
化物がペースト中に含有する場合、感光性成分と反応し
てペーストが短時間でゲル化し、塗布できなくなる場合
がある。このような反応を防止するために安定化剤を添
加してゲル化を防止することが好ましい。用いる安定化
剤としては、トリアゾール化合物が好ましく用いられ
る。トリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール
誘導体が好ましく用いられる。この中でも特にベンゾト
リアゾールが有効に作用する。本発明において使用され
るベンゾトリアゾールによるガラス微粒子の表面処理の
一例を上げると、無機微粒子に対して所定の量のベンゾ
トリアゾールを酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコ
ール、メチルアルコールなどの有機溶媒に溶解した後、
これら微粒子が十分に浸すことができるように溶液中に
1〜24時間浸積する。浸積後、好ましくは20〜30
℃下で自然乾燥して溶媒を蒸発させてトリアゾール処理
を行った微粒子を作製する。使用される安定化剤の割合
(安定化剤/無機微粒子)は0.05〜5重量%が好ま
しい。
【0075】増感剤は、感度を向上させるために添加さ
れる。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビ
ス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、
2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘ
キサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザ
ル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、
4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、
4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビ
ス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシ
ンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリ
デンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビ
ニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−
ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニ
ル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、
3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリ
ン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N
−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノール
アミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミ
ノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソア
ミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾー
ル、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラ
ゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種また
は2種以上使用することができる。なお、増感剤の中に
は光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤
を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量
は感光性成分に対して通常0.05〜10重量%、より
好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少
なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感
剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎる
おそれがある。
【0076】重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上さ
せるために添加される。重合禁止剤の具体的な例として
は、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、
N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−
t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロ
ラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤
を添加する場合、その添加量は、感光性ペースト中に、
通常、0.001〜1重量%である。
【0077】可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフ
タレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコ
ール、グリセリンなどがあげられる。
【0078】酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系
共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の
具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t
−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−
メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6
−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2
−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−
ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエス
テル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニル
ホスファイトなどが挙げられる。
【0079】酸化防止剤を添加する場合、その添加量は
通常、添加量は、ペースト中に、通常、0.001〜1
重量%である。
【0080】本発明の感光性ペーストには、溶液の粘度
を調整したい場合、有機溶媒を加えてもよい。このとき
使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケト
ン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロ
ペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアル
コール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシ
ド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベン
ゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安
息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上
を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0081】有機成分の屈折率とは、露光により感光性
成分を感光させる時点におけるペースト中の有機成分の
屈折率のことである。つまり、ペーストを塗布し、乾燥
工程後に露光を行う場合は、乾燥工程後のペースト中の
有機成分の屈折率のことである。例えば、ペーストをガ
ラス基板上に塗布した後、50〜100℃で1〜30分
乾燥して屈折率を測定する方法などがある。
【0082】本発明における屈折率の測定は、一般的に
行われるエリプソメトリー法やVブロック法が好まし
く、測定は露光する光の波長で行うことが効果を確認す
る上で正確である。特に、350〜650nmの範囲中
の波長の光で測定することが好ましい。さらには、i線
(365nm)もしくはg線(436nm)での屈折率
測定が好ましい。
【0083】また、有機成分が光照射によって重合した
後の屈折率を測定するためには、ペースト中に対して光
照射する場合と同様の光を有機成分のみに照射すること
によって測定できる。
【0084】また、増感剤は、露光波長に吸収を有して
いるものが用いられる、この場合、吸収波長近傍では屈
折率が極端に高くなるため、増感剤を多量に添加するこ
とによって、有機成分の屈折率を向上することができ
る。この場合の増感剤の添加量は3〜10重量%添加す
ることができる。
【0085】緩衝層用ペーストおよび隔壁用感光性ペー
ストは、通常、上記の無機および有機の各種成分を所定
の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で
均質に混合分散し作製する。
【0086】ペーストの粘度は無機微粒子、増粘剤、有
機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によっ
て適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cp
s(センチ・ポイズ)である。例えばガラス基板への塗
布をスクリーン印刷法以外にスピンコート法で行う場合
は、200〜5000cpsが好ましい。スクリーン印
刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、3
000〜20万cpsが好ましい。
【0087】次に、緩衝層用ペーストおよび隔壁用感光
性ペーストを用いて、電極を形成した基板上に緩衝層お
よび隔壁を形成する一例について説明するが、本発明は
これに限定されない。
【0088】ガラス基板の上に緩衝層用ペーストを5〜
30μmの厚みで塗布する。塗布方法としては、スクリ
ーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコータ
ー、ブレードコーター等の方法を用いることができる。
塗布厚みは、塗布回数、ペーストの粘度を選ぶことによ
って調整できる。電極を形成した基板上に平坦に塗布す
るためには、緩衝層用ペーストの粘度は3000〜80
000cpsが好ましい。
【0089】ここでペーストを基板上に塗布する場合、
基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理
を行うことができる。表面処理液としてはシランカップ
リング剤、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−
(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキ
シプロピル)トリメトキシシラン、γ(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ランなどあるいは有機金属例えば有機チタン、有機アル
ミニウム、有機ジルコニウムなどである。シランカップ
リング剤あるいは有機金属を有機溶媒、例えばエチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.
1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの表面
処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に8
0〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表
面処理ができる。
【0090】緩衝層用ペーストの塗布の後、ペースト中
の溶媒を除去するため、乾燥を行う。この後、緩衝層用
ペースト中に、光もしくは熱重合性の成分が含まれる際
は、光、または熱架橋により硬化し、隔壁パターン形成
の際の現像液による浸食を防ぐ。形成した緩衝層上に隔
壁用感光性ペーストを全面塗布、もしくは部分的に塗布
する。
【0091】塗布した後、露光装置を用いて露光を行
う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるよう
に、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的
である。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によっ
て、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。ま
た、フォトマスクを用いずに、赤色や青色のレーザー光
などで直接描画する方法を用いても良い。
【0092】露光装置としては、ステッパー露光機、プ
ロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大
面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感
光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行う
ことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積
を露光することができる。
【0093】この際使用される活性光源は、たとえば、
可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー
光などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好まし
く、その光源としてはたとえば低圧水銀灯、高圧水銀
灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用
できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。
露光条件は塗布厚みによって異なるが、1〜100mW
/cm2 の出力の超高圧水銀灯を用いて0.5〜30分
間露光を行なう。
【0094】塗布した感光性ペースト表面に酸素遮蔽膜
を設けることによって、パターン形状を向上することが
できる。酸素遮蔽膜の一例としては、ポリビニルアルコ
ール(PVA)やセルロースなどの膜、あるいは、ポリ
エステルなどのフィルムが上げられる。
【0095】PVA膜の形成方法は濃度が0.5〜5重
量%の水溶液をスピナーなどの方法で基板上に均一に塗
布した後に70〜90℃で10〜60分間乾燥すること
によって水分を蒸発させて行う。また水溶液中にアルコ
ールを少量添加すると絶縁膜との塗れ性が良くなり蒸発
が容易になるので好ましい。さらに好ましいPVAの溶
液濃度は、1〜3重量%である。この範囲にあると感度
が一層向上する。PVA塗布によって感度が向上するの
は次の理由が推定される。すなわち感光性成分が光反応
する際に、空気中の酸素があると光硬化の感度を妨害す
ると考えられるが、PVAの膜があると余分な酸素を遮
断できるので露光時に感度が向上すると考えられる。
【0096】ポリエステルやポリプロピレン、ポリエチ
レン等の透明なフィルムを用いる場合は、塗布後の感光
性ペーストの上に、これらのフィルムを張り付けて用い
る方法もある。
【0097】露光後、感光部分と非感光部分の現像液に
対する溶解度差を利用して、現像を行なうが、この場
合、浸漬法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法で行な
う。用いる現像液は、感光性ペースト中の有機成分が溶
解可能である有機溶媒を使用できる。また該有機溶媒に
その溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感
光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合
物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アル
カリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、
水酸化カルシウム水溶液などのような金属アルカリ水溶
液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼
成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0098】有機アルカリとしては、アミン化合物を用
いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウム
ヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常
0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量
%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去され
ず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離さ
せ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり好ましくな
い。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うこ
とが工程管理上好ましい。
【0099】次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気
や、温度はペーストや基板の種類によって異なるが、空
気中、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成炉とし
ては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用
いることができる。ガラス基板上にパターン加工する場
合は、540〜610℃の温度で10〜60分間保持し
て焼成を行う。
【0100】また、以上の塗布や露光、現像、焼成の各
工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加
熱工程を導入しても良い。
【0101】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に
説明する。ただし、本発明はこれに限定はされない。な
お、実施例、比較例中の濃度(%)は特にことわらない
限り重量%である。
【0102】実施例1〜5 表1に示す各溶媒およびポリマをそれぞれ40%溶液と
なるように混合し、攪拌しながら60℃まで加熱し、す
べてのポリマを均質に溶解させた。
【0103】ついで溶液を室温まで冷却し、それ以外の
有機成分を表1に示す割合で加えて溶解させ有機成分A
1、A2およびA3をそれぞれ得た。その後、この溶液
を400メッシュのフィルターを用いて濾過し、有機ビ
ヒクルを作製した。
【0104】ポリマ1:40モル%のメタアクリル酸
(MAA)、30モル%のメチルメタアクリレート(M
MA)および30モル%のスチレン(St)からなる共
重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジ
ルメタアクリレート(GMA)を付加反応させた重量平
均分子量43000、酸価95の感光性ポリマ ポリマ2:エチルセルロース(非感光ポリマ)、置換
度:1.5、重量平均分子量50000 有機染料:スダンIV:アゾ系有機染料、化学式C2420
4O、分子量380.45 モノマ:TPA330:トリメチロールプロパントリア
クリレート・モディファイドPO モノマ:TMPTA :トリメチロールプロパントリア
クリレート 開始剤:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニ
ル]−2−モルフォリノプロパノン 増感剤:2,4−ジエチルチオキサントン 増感助剤:p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル 可塑剤:ジブチルフタレート(DBP) 増粘剤:酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチルに溶
解させたSiO2 (濃度15%) 溶媒:γ−BL:ガンマブチロラクトン、BCA:ブチ
ルカルビトールアセテート
【表1】
【0105】得られた有機成分A1、A2およびA3の
ビヒクルに下記に示す各ガラス粉末(1)、(2)およ
び(3)を表2に示す割合で添加し、3本ローラで混合
・分散することによって隔壁用感光性ペーストB1およ
び緩衝層用ペーストB2、B3、B4を製造した。ガラ
ス粉末は、あらかじめアトラクターにて微粉末にしたも
のを用いた。ペーストの粘度はの粘度はB1が2500
0cps、B2、B3、B4が4000cpsであっ
た。
【0106】ガラス粉末(1):組成(Li2O 9%、
SiO2 22%、B23 33%、BaO 4%、Al2
3 23%、ZnO 2%、MgO 7%)、平均粒
径2.6μmの非球状粉末、Tg(ガラス転移点)48
0℃、Ts(軟化点)520℃、熱膨張係数 79×1
-7/°K、g線(436nm)での屈折率1.59 ガラス粉末(2):組成(Bi23 28%、SiO2
14%、B23 18%、BaO 14%、Al23
4%、ZnO 21%、Na2O 1%)、平均粒径
3.4μmの非球状粉末、Tg 486℃、Ts 53
1℃、熱膨張係数75×10-7/°K ガラス粉末(3):組成(Bi23 38%、SiO2
7%、B23 20%、BaO 12%、Al23
%、ZnO 20%)、平均粒径3.4μmの非球状粉
末、Tg 476℃、Ts 521℃、熱膨張係数 7
5×10-7/°K
【表2】
【0107】次にガラス基板として交流方式のプラズマ
ディスプレイパネル部材作製を目的としてサイズ240
×300mm(A4サイズ)の背面板用ガラスおよび前
面板用ガラス基板を使用した。
【0108】背面板用ガラス基板に、アドレス電極とし
て感光性銀ペーストを用いてフォトリソ法により電極を
形成した。ピッチ、線幅、焼成厚みは以下の2種類のも
のを作製した。
【0109】(1)ピッチ220μm、線幅80μm、
焼成厚み6μm (2)ピッチ150μm、線幅40μm、焼成厚み6μ
m 前面板用ガラス基板には、バス電極付き透明電極を形成
した。すなわち、透明電極は、ITOをスパッタ法で形
成後、レジスト塗布し、露光・現像処理、エッチング処
理によって焼成厚み0.1μm、線幅200μmの透明
電極を形成した。その上に、黒色銀粉末からなる感光性
銀ペーストを用いて、フォトリソ法により、以下の2種
類の電極パターンを形成した。
【0110】(1)ピッチ220μm、線幅80μm、
焼成厚み10μm (2)ピッチ150μm、線幅50μm、焼成厚み10
μm さらに、前面板用ガラス基板上に誘電体ペーストを20
μm塗布し、430℃で20分間保持して焼き付けた。
次に、形成した透明電極、黒色電極、誘電体層を一様に
被覆するように電子ビーム蒸着機を用いて、MgOを蒸
着した。蒸着膜の厚みは0.5μmである。
【0111】得られた緩衝層用ペーストB2またはB4
を背面板用ガラス基板上に、325メッシュのスクリー
ンを用いてスクリーン印刷による塗布、乾燥を行い、厚
み10〜15μmの緩衝層用ペースト塗布膜を得た。塗
布厚みはスキージ角度と速度によって調整した。こうし
て得た基板を、空気中で570℃で15分間焼成を行
い、緩衝層を得た。この緩衝層を2層以上とする場合
は、上記の緩衝層上に上記手順を繰り返して2層目以降
の緩衝層を形成した。
【0112】次に緩衝層用ペーストB2またはB3を上
記の緩衝層上に、上記と同様の方法で塗布、乾燥して厚
み12μmの塗布膜を得た。緩衝層ペーストB3を用い
て塗布膜を形成した場合は、この膜に上面から50mW
/cm2 出力の超高圧水銀灯で全面紫外線露光し、光硬
化を行った。露光量は1J/cm2 であった。
【0113】次に塗布膜上に、隔壁用感光性ペーストB
1を上記と同じ方法で塗布、乾燥を繰り返し塗布厚みを
200μm(ピッチ220μm用)または180μm
(ピッチ150μm用)に調整した。その後、80℃で
1時間保持して乾燥した。
【0114】続いて、フォトマスクを介して上面から5
0mW/cm2 出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。
露光量は10J/cm2 であった。マスクは隔壁ピッチ
に応じて次の2種類を用いた。
【0115】マスクA:ピッチ220μm、線幅50μ
mのネガ型のクロムマスク マスクB:ピッチ150μm、線幅20μmのネガ型の
クロムマスク 次に、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.3
重量%の水溶液を120秒間シャワーすることにより現
像し、その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬
化していないスペース部分を除去して緩衝層を設けたガ
ラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形成した。
【0116】このようにして緩衝層、緩衝層用ペースト
塗布膜および隔壁パターンを形成した背面板用ガラス基
板を、空気中で570℃で15分間焼成を行い、隔壁を
作製した。
【0117】隔壁を形成した背面板用ガラス基板の隔壁
内の所定の溝に感光性ペースト法を用いて、蛍光体層を
形成した。すなわち、赤(R)を形成する場合、Rの感
光性蛍光体ペーストを用いて、印刷・フォトマスクの位
置あわせ・露光・現像・焼成(500℃、30分)を行
い、所定の位置に形成する。緑(G)、青(B)に関し
ても同様の操作を行い、3色の蛍光体を所定の位置に形
成した。
【0118】次に、前面板および背面板用ガラス基板に
シール剤となる低融点ガラスペーストを設け、所定の配
置になるよう位置合わせして対向配置し、450℃、3
0分間処理してガラス基板を封止した。その後、表示領
域内内部の排気およびHe99%、Xe1%の混合ガス
の封入を行ってプラズマディスプレイパネルを完成させ
た。
【0119】形成した隔壁の断面形状を、走査型電子顕
微鏡で観察し、隔壁高さ、上面幅、緩衝層厚みを測定
し、3サンプルの平均値を算出した。また、隔壁に沿っ
て、約1mmにわたって隔壁の振れ量を測定し、3サン
プルの平均値を算出した。また、蛍光体塗布の均一性を
評価するため、隣接した隔壁溝への蛍光体のはみ出し、
隔壁上面部への蛍光体の塗布の有無を観察した。塗布均
一性に問題のない場合は○、ある場合は×で示した。さ
らに色別の発光を行い、目視で輝度むらのあるものは
×、問題のあるものは×とした。結果を表3に示す。
【0120】比較例1 表2に示す隔壁用感光性ペーストB1を用いて、緩衝層
なしで隔壁を形成した。隔壁用感光性ペーストの塗布、
露光、現像、焼成の各条件は実施例1と同様である。結
果を表3に示す。
【0121】比較例2 緩衝層用ペーストB2を電極上に塗布、乾燥して厚み5
0μmの塗布膜を得た後、この上に隔壁用感光性ペース
トB1を用いて、実施例1と同様の方法で隔壁パターン
形成、焼成を行った。結果を表3に示す。
【0122】
【表3】
【0123】
【発明の効果】本発明によれば、蛍光体塗布の歩留まり
が良く、輝度ムラがなくなり、高精細のプラズマディス
プレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の隔壁の断面形状を示す簡略図である。
【図2】隔壁の振れ量の測定方法を示す上部からみた簡
略図である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板に緩衝層を設け、該緩衝層上に
    隔壁を形成したプラズマディスプレイパネルであって、
    該隔壁形状がストライプ状であり、その線幅Lと隔壁の
    振れ量Ldとが、Ld/L=1〜1.5の関係にあるこ
    とを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 【請求項2】隔壁が線幅(L)15〜60μm、ピッチ
    (P)80〜220μm、高さ(H)80〜170μm
    であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディス
    プレイパネル。
  3. 【請求項3】緩衝層の厚みが、5〜30μmであること
    を特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネ
    ル。
  4. 【請求項4】ガラス基板に設けた電極上に緩衝層を形成
    したことを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプ
    レイパネル。
  5. 【請求項5】緩衝層が少なくとも2層からなることを特
    徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 【請求項6】基板側から1層目の緩衝層厚みが5〜20
    μm、2層目以降の厚みが5〜15μmであることを特
    徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. 【請求項7】緩衝層が、酸化ビスマスを10〜80重量
    %含むガラスからなることを特徴とする請求項1記載の
    プラズマディスプレイパネル。
  8. 【請求項8】緩衝層が下記組成のガラス材料から構成さ
    れていることを特徴とする請求項7記載のプラズマディ
    スプレイパネル。 酸化ビスマス 15〜80重量部 酸化珪素 8〜30重量部 酸化ホウ素 10〜40重量部 酸化バリウム 8〜20重量部 酸化亜鉛 10〜30重量部
  9. 【請求項9】緩衝層が酸化ナトリウム、酸化カリウムの
    含有率の合計が3重量%以下のガラスからなることを特
    徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  10. 【請求項10】緩衝層が、50〜400℃の熱膨張係数
    (α)50400が70〜85 ×10-7/°Kのガラス
    からなることを特徴とする請求項1記載のプラズマディ
    スプレイパネル。
  11. 【請求項11】緩衝層が、Tg(ガラス転移点)が43
    0〜500℃、Ts(軟化点)が450〜550℃のガ
    ラスからなることを特徴とする請求項10記載のプラズ
    マディスプレイパネル。
  12. 【請求項12】隔壁が、屈折率1.5〜1.65のガラ
    スからなることを特徴とする請求項1記載のプラズマデ
    ィスプレイパネル。
  13. 【請求項13】基板上にガラス粉末と有機成分を必須成
    分とするガラスペーストの塗布し、乾燥および焼成工程
    を経て少なくとも2層の緩衝層、および、その上にさら
    に隔壁を形成することを特徴とする、請求項1記載のプ
    ラズマディスプレイパネルの製造方法。
  14. 【請求項14】最表層の緩衝層と隔壁を同時焼成して形
    成することを特徴とする請求項13記載のプラズマディ
    スプレイパネルの製造方法。
  15. 【請求項15】最表層の緩衝層と隔壁をガラス粉末と感
    光性有機成分を必須成分とする感光性ペーストを用いて
    形成することを特徴とする請求項13記載のプラズマデ
    ィスプレイパネルの隔壁形成方法。
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