JP4448968B1 - 餡の製造方法及び餡の製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 こくと風味があり、漉し餡風の舌触りが良く、かつ栄養的、健康的に価値ある皮の成分を含む餡を製造すること。
【解決手段】 本発明の餡の製造方法は、原料の豆を煮熟する豆煮工程と、前記豆煮工程を経た豆に砂糖を加えて浸透させる蜜漬工程と、前記蜜漬工程を経た豆をカッターにより粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程を経た豆を加熱して煮詰める餡練り工程とを連続して行うことを特徴とし、本発明の餡の製造方法は、上記の工程をひとつの釜内で連続して行うために必要な、加熱部と注水部と水切り部と粉砕部と練り部とを備えた。
【選択図】図8

Description

栄養価が高く収量の増加をもたらす餡の製造方法とその製造装置技術に関するものである。
餡は煮熟した小豆等に砂糖を加え加熱煉り上げたものである。餡には粒餡と漉し餡とがある。漉し餡は、豆を煮熟後潰し水を加えて漉し、皮を除去し、豆の身の部分(豆汁)をろ過して得られる。粒餡は、濾さずに小豆の粒(皮)が残った状態のより小豆風味の強い餡である。
しかし、前記した漉し餡の製造過程で除去される皮部分は、食物繊維とポリフェノールを含み栄養的に価値のある成分である。又、皮には小豆本来の色素と風味(香りと風味)を多く含むが、従来の漉し餡の製造方法では、これら皮部分が除去されてしまっていた。そのため、分離された皮が廃棄物として排出され、環境に対しての悪影響があった。また、水の使用量や、排水量が多い問題があった。
従来技術として、漉し餡の製造時に分離された皮を破砕機あるいはマスコロイダーなどのグラインダー機により磨砕して、餡煉り時に添加する方法が実施されている。しかし、この場合は、豆を煮熟後潰し、水を加えて漉し、皮を除去する過程で水側に風味成分が移動する結果、風味の残存が殆どなくなってしまう。この方法では、皮は単なる増量材として利用されるに過ぎない。
また、他の従来技術として、豆を煮熟工程、摩砕工程、糖化発酵工程、酵素失活及び殺菌工程を経て餡を製造する方法があるが(特許文献1参照)、この方法は糖化発酵についての発明であり、豆を皮と一緒に摩砕するのかどうかは記載が無く、また、単純に摩砕しただけでは、豆粒子が細かくなりすぎて製造された餡の粘度が高すぎてしまう問題があった。
特開2007−282529号公報
解決しようとする問題点は、こくと風味があり、漉し餡風の舌触りが良く、かつ栄養的、健康的に価値ある皮の成分を含む餡を製造する方法及びその製造装置がなかった点である。
本発明の餡の製造方法は、原料の豆を煮熟する豆煮工程と、前記豆煮工程を経た豆に砂糖を加えて浸透させ鹿の子豆にすることで餡粒子を丈夫にして次工程でのカッター粉砕に対し餡粒子の破壊を減少させるための蜜漬工程と、前記蜜漬工程を経た豆を皮ごとカッターにより粉砕して前記皮の舌触りを感じさせない大きさにする粉砕工程と、前記粉砕工程を経た豆を加熱攪拌して煮詰める餡練り工程とを行うことを特徴とする。
また、本発明の餡の製造方法は、原料の豆を煮熟する豆煮工程と、前記豆煮工程を経た豆に砂糖を加えて浸透させる蜜漬工程と、前記蜜漬工程を経た豆を皮ごとカッターにより粉砕して、前記皮を大きな皮の舌触りを感じさせない大きさにする粉砕工程とを連続して同じ装置で行い、その後、前記粉砕工程を経た豆を別装置にて、加熱攪拌して煮詰める餡練り工程を行うことを特徴とする。
本発明の餡の製造方法は、前記餡の製造方法であって、前記粉砕工程により前記粉砕される皮について、平均1000マイクロメートル以下の大きさに粉砕することを特徴としてもよい。
本発明の餡の製造方法は、前記餡の製造方法であって、前記豆煮工程の後に前記煮熟した豆に水を加えて渋をとる晒工程を挟んだことを特徴としてもよい。
本発明の餡の製造装置は、単独の釜内において、原料の豆から餡を製造するためのすべての工程を完結可能な餡の製造装置であって、前記釜に前記豆を煮熟及び煮詰めるための加熱部と、前記豆をカッターにより粉砕する粉砕部と、前記煮熟した豆を餡にするための練りを行う練り部とを備えた、ことを特徴とする。
また、本発明の餡の製造装置は、前記餡の製造装置であって、前記釜内の圧力を加圧・減圧可能な圧力可変部を備えたことを特徴としてもよい。
また、本発明の餡の製造装置は、前記餡の製造装置であって、前記豆に水を加えて渋をとる晒工程を行うための注水部と水切り部とを備えたことを特徴としてもよい。
本発明の餡の製造方法は、原料の豆を煮熟する豆煮工程と、前記豆煮工程を経た豆に砂糖を加えて浸透させ鹿の子豆にすることで餡粒子を丈夫にして次工程でのカッター粉砕に対し餡粒子の破壊を減少させるための蜜漬工程と、前記蜜漬工程を経た豆を皮ごとカッターにより粉砕して前記皮の舌触りを感じさせない大きさにする粉砕工程と、前記粉砕工程を経た豆を加熱攪拌して煮詰める餡練り工程とを行う
このため、煮熟後の豆を皮ごと粉砕して餡を製造するため、皮が持つ色素と風味を多く含み、さらに健康的、栄養的に有効な食物繊維及び各種のポリフェノールを含んだ舌触りの良い漉し餡風の独特の餡を得ることが可能となる。
本発明の餡の製造方法は、原料の豆を煮熟する豆煮工程と、前記豆煮工程を経た豆に砂糖を加えて浸透させ鹿の子豆にすることで餡粒子を丈夫にして次工程でのカッター粉砕に対し餡粒子の破壊を減少させるための蜜漬工程と、前記蜜漬工程を経た豆を皮ごとカッターにより粉砕して前記皮の舌触りを感じさせない大きさにする粉砕工程と、前記粉砕工程を経た豆を加熱攪拌して煮詰める餡練り工程とを行うことを特徴とする。
このため、煮熟後の豆を皮ごと粉砕して餡を製造するため、皮が持つ色素と風味を多く含み、さらに健康的、栄養的に有効な食物繊維及び各種のポリフェノールを含んだ舌触りの良い漉し餡風の独特の餡を得ることが可能となる。また、製造装置を簡単化した2台の製造装置に分けることが可能となり、従来型の汎用装置を用いても本発明の餡の製造を行うことが可能なる。
本発明の餡の製造方法は、前記餡の製造方法であって、前記粉砕工程により前記粉砕される皮について、平均1000マイクロメートル以下の大きさに粉砕することを特徴としてもよい。
このため、皮と豆を同時に粉砕して餡を生成しても、皮を舌触りによって感ずることなく、また豆粒子が粉砕により細かくなり、粘度が高すぎることのない餡を製造可能となる。
本発明の餡の製造方法は、前記餡の製造方法であって、前記豆煮工程の後に前記煮熟した豆に水を加えて渋をとる晒工程を挟んだことを特徴としてもよい。
このため、晒工程により豆の渋が洗い流されて、さっぱりした風味の漉し餡風の独特の餡を得ることができる。
本発明の餡の製造装置は、単独の釜内において、原料の豆から餡を製造するためのすべての工程を完結可能な餡の製造装置であって、前記釜に前記豆を煮熟及び煮詰めるための加熱部と、前記豆をカッターにより粉砕する粉砕部と、前記煮熟した豆を餡にするための練りを行う練り部とを備えた、ことを特徴とする。
このため、漉し餡の製造装置が有する煮熟した粉砕された豆に水を加えて皮を分離する装置や、豆汁のスラリーを脱水して生餡のケーキを得る装置などが不要となる。更に、単独の釜内で全ての工程を完結可能なため、製造時間が短縮され、また、工程間での熱の逃げを防ぐために省エネ化が実現される。さらに、異物混入の可能性や衛生上の汚染の恐れが大きく低減される。
また、本発明の餡の製造装置は、前記餡の製造装置であって、前記釜内の圧力を加圧・減圧可能な圧力可変部を備えたことを特徴としてもよい。
このため、減圧により水分蒸発が促進されるため餡練り時間の短縮化が実現し、餡ヤケ防止効果がある。また、減圧により砂糖の溶解を促進可能である。さらに、加圧により釜内の沸点を高めて煮熟することにより、豆を短時間に煮熟可能となる。
また、本発明の餡の製造装置は、前記餡の製造装置であって、前記豆に水を加えて渋をとる晒工程を行うための注水部と水切り部とを備えたことを特徴としてもよい。
このため、晒工程も同一釜内で行うことが可能となる。
餡の製造方法及び製造装置において、こくと風味があり、漉し餡風の舌触りが良く、かつ栄養的、健康的に価値ある皮の成分を含む餡を製造が出来ないという問題点を原料の豆を煮熟後、皮ごと粉砕して餡を製造する方法により実現した。
[構成]
図1に本発明実施例1の餡の製造装置101の三面図を示す。図1(A)が正面図、図1(B)が上面図、図1(C)が側面図である。また、シャーリングカッター111の拡大底面図(d)、拡大側面図(e)及びシャーリングカッターのブレード部分の拡大斜視図(f)を右上囲み枠内に示す。
餡の製造装置101は、釜103、攪拌子105(練り部)、渋切パンチング板107(水切部)、釜傾動軸109、シャーリングカッター111(粉砕部)、蒸気ジャケット113(加熱部)、釜蓋115、蒸気導入部117(加熱部)、蓋ノズル119(注水部)、釜蓋開閉軸121、側面制御部123、圧力可変部125、攪拌子回転軸127(練り部)とを有する。
釜103内には、攪拌子105が、又、釜103の上部の釜蓋115との間には渋切パンチング板107が装着されており、一台の釜内で豆煮工程、晒し工程、蜜漬工程、粉砕工程、餡煉り工程の全てを完結することができる。
豆煮工程のための加熱は、蒸気導入部117から導入された蒸気による熱が蒸気ジャケット113を通して釜103に伝わり、釜103内の豆を煮熟及び煮詰める。
釜蓋115には、釜103内の圧力を加圧及び減圧可能な圧力可変部125が取り付けられている。釜103内を加圧減圧するのは、以下の理由による。釜103内を減圧することにより、煮熟豆中に投入された砂糖が数分で溶解することが出来る。また、減圧により餡煉り時には水分蒸発が促進されると共に品温が70℃前後に下がるため、餡ヤケ防止に効果がある。常圧で煮熟豆と砂糖のみで溶解しようとすると、非常に焦げ易いため砂糖溶解に30分以上掛かる。加圧は高温煮熟による皮の軟化に効果があり食味した時により皮の抵抗(存在感)が感じられなくなる。また、皮が柔らかい分カッター粉砕が容易になる。
釜蓋115は、釜蓋開閉軸121を中心に図1(A)の矢印Yのように釜蓋115を開閉可能となっている。
釜103は、釜蓋115が上下に解放された状態で釜傾動軸109を中心に図1(C)の矢印Xに示すように前傾可能となっており、釜103内への材料の投入、釜103からの調理物の取り出し、パンチング板107を通しての水切が可能となっている。
釜103内の攪拌子105は、攪拌子回転軸127を中心に回転して、練り工程での練りを行う。
釜蓋115が開いた状態で、釜103上部より図1(A)に示すようにシャーリングカッター111を差込み、豆を粉砕可能である。シャーリングカッター111の拡大底面図(d)、拡大側面図(e)、シャーリングカッターのブレード部分の拡大斜視図(f)を図1右上の囲み枠内に示す。
図1(e)に示すように、シャーリングカッター111は、カッターを回転するモーターに接続されて下方に延びる回転軸111aと、該回転軸に固定された回転ディスク111dと、回転ディスクの周囲部下面に突起状に配置された回転ブレード111bとを有する(図1(d)及びブレード部分のみの拡大図図1(f))。前記モータの回転により、回転ブレード111bが回転して、煮熟して柔らかくなった豆を皮ごと粉砕する。
釜蓋115上部には、晒工程や豆煮工程に必要な水を供給する蓋ノズル119が備わっている。
釜103の右側面には、餡の製造各工程の制御及び釜103の傾動及び釜蓋115の開放、攪拌子105の回転制御を行う側面制御部123を有する。
[餡の製造工程]
以下に実施例1を用いた餡の製造工程について説明する。
図8(A)に示すように餡の製造工程は、以下の順序で行われる。
(S1:豆煮工程→S2:晒工程→S3:蜜漬工程→S4:粉砕工程→S5:餡煉り工程)
以下に各工程について詳細に説明する。
<豆煮工程>
原穀小豆15kgと90℃湯60kgを釜103に入れ、沸騰したら弱火にして20分ボイルする。釜103を後傾させてパンチング板107より煮汁のみ切る。小豆は25kg迄膨潤する。水40kgを入れそのまま5分間放置して、再び釜103を後傾させ水を切る。この時小豆は30.6kg迄膨潤する。90℃湯を20kg加え沸騰したら弱火にて25分間ボイルすると指で摘むと簡単に潰れるくらいに炊き上がる。加熱を止めてそのまま5分間蒸らす。
<晒工程>
蓋ノズル119より水60kgを加えて煮熟豆を水に5分間水に晒し、釜後傾してパンチング板107より排水する。この時に蓋ノズル119からシャワーが釜内の煮熟豆目掛けて1分間噴射して煮熟豆を洗浄する。この時の煮熟豆の質量は41kgとなる。
この工程を晒工程と言うが、この工程の実施回数で粘りと風味が異なる餡が製造できる。つまり、晒工程を実施しないと粘るが風味が強い(こく)餡となり、晒し回数が増すと粘りが少なくなるが風味の乏しいあっさりした餡となる。
<蜜漬工程>
晒し水を切り煮熟豆だけになったところに砂糖18kgを加え、圧力可変部125から減圧(−0.09MPaG)を掛けながら砂糖を加熱溶解させ、30分程度蜜漬けして煮熟豆に砂糖を浸透させ鹿の子豆状にする。この蜜漬工程の理由は、鹿の子豆にすることで餡粒子が丈夫になり、次工程でのカッター粉砕に対して餡粒子の破壊が減少する効果がある。
<粉砕工程>
蜜漬け終了後、釜底に装着されたカッターが3000r/minで回転して10分間鹿の子豆を粉砕する。粉砕する程度は皮の大きさが500マイクロメートル前後とする。この大きさでは食味した時ほとんど皮の存在が感じられない。
理想は皮の大きさを豆粒子と同じ大きさの100マイクロメートルにするのが良いが、皮を細かく粉砕するほど豆粒子の破壊がおおくなって粘度の高い餡となる。漉し餡として好まれる粘度を越えてしまい望ましくない。そこで、カッター3000r/minで10分掛けると、皮の大きさが500マイクロメートルとなり豆粒子の破壊も少ない。
以上のように粉砕工程により、粉砕された皮の粒子径が平均1000マイクロメートル以下の間が、できあがった餡の舌触りに皮を感ずることなく、かつ、豆粒子が細かくなりすぎて餡の粘度が高くなりすぎるようなことのない最適な条件である。
<餡煉り>
蒸気ジャケット113の蒸気圧0.15〜0.20MPaGで沸騰させ、続けて10分間常圧で沸騰させる。この時の品温は102℃まで昇温する。ここで十分に餡を殺菌してから、真空により品温70℃前後で質量51kg迄水分蒸発させる。所要時間は20分から25分である。それから釜内を常圧に戻しさらに煮詰めて質量49kg、Brix52%で終了する。
[実施例1の効果;練り餡収量の比較]
3,煉り餡収量の比較
通常の製法で原穀小豆15kgを製餡した場合は、含水率63%の生餡が25kg取れ、皮は6kg(含水率80%)排出される。生餡25kgに砂糖17.5kg(配糖率7割)と水10kgを加えて標準的な餡(並餡という)に仕上げると質量は42kgとなる。
これに対して、皮入り漉餡状餡は同じ原穀小豆15kgが煮熟後41kgとなり、これに砂糖18kgを加えて並餡にすると仕上質量49kgでありBrix52%となる。通常の皮無し漉餡と比較すると7kg増え、16%の歩留まりが向上した。
[実施例1の他の効果]
従来の漉し餡を製造する場合に比べて、本発明実施例により大きく使用水量及び排水量も削減された。従来の漉し餡製造方法の場合には、原穀30kgに対して、使用水量450kg程度必要であったが、本発明実施例による方法では、原穀30kgに対して、使用水量は150kgと少なく、3分の1に削減された。
[構成]
図2に本発明実施例2の餡の製造装置201の三面図を示す。図2(A)が正面図、図2(B)が上面図、図2(C)が側面図、図2(D)が釜内の様子を示す側面断面図である。
実施例2の餡の製造装置201は、実施例1の餡の製造装置と同様な部分が多いため、実施例2の説明においては、実施例1の餡の製造装置101との違いについて説明する。
実施例2の餡の製造装置201は、釜203、攪拌子205(練り部)、蒸気ジャケット213(加熱部)、釜蓋215、蒸気導入部217(加熱部)、蓋ノズル219(注水部)、側面制御部223、圧力可変部225、攪拌子回転軸227(練り部)、シャーリングカッター229(粉砕部)、シャーリングカッターモーター231、釜開閉棒233、渋切弁235(水切部)とを有する。
実施例2の餡の製造装置201は、実施例1の餡の製造装置101が有していた渋切パンチング板107、釜傾動軸109、シャーリングカッター111、釜蓋開閉軸121を有さない。
実施例2の釜203は、実施例1の釜103のように傾動しない。そのため釜203と釜蓋215の間に渋切パンチング板は存在せず、代わりに釜203下部に渋切弁235を有する。
渋切弁235の詳細な構造を図4に示す。渋切弁235は、釜203の下部に取り付けられる。渋切弁235の最下部には、渋切弁先端部235vの位置を制御するための空気圧シリンダ235sが取り付けられている。空気圧シリンダ235sへの空気の制御により、シリンダは三段階に位置を換える。通常は、実線で描かれる渋切先端部235v−Aのように、渋切先端部235vの上端が釜底部と同じ高さにあり、釜内での豆煮、蜜漬、粉砕、餡練の工程を行う。晒工程における水切の場合には、空気圧シリンダ235sが点線の渋切先端部235v−Bの様に、渋切先端部235vを釜203内に押し上げて、先端部にあいたスリットから、釜203内の水を渋切弁の排水口235eより釜203外に排出する。さらに、全工程を終えて製造された餡を取り出す場合には、図4の点線の渋切先端部235v−Cの様に、渋切先端部235vを排水口235eより下げて、内容物の餡を排水口235eから取出しが可能となっている。
実施例2の渋切弁235により、実施例1の釜を傾動して排水を行う方法に比べて晒工程が簡単になり、釜の傾動機構が不要となった。さらに、内容物の取り出しに関しても渋切弁235の排水口235eより可能となり、生成物の取り出しが簡単になり、調理工程以降の成形・梱包工程などの自動化が可能となった。
実施例2の餡の製造装置201には、実施例1の上部から差込式のシャーリングカッター111の代わりに、釜底部に斜めに据え付けられたシャーリングカッター229が取り付けられている。図2(D)に示すようにシャーリングカッター229は、シャーリングモーター231により矢印Pのように回転して煮熟した豆を皮ごと粉砕する。シャーリングカッター229の拡大斜視図を図6に示す。シャーリングカッター229には、直立設置された4枚のカッターブレード229bが配置されており、シャーリングカッター229の回転により、煮熟して柔らかくなった豆が皮ごと粉砕される。カッターの縁には、円状に直立したカッター縁部229cがあり、粉砕して小さくなった豆及び皮は、カッター縁部229c上にあいたスリット229sから押し出されて、釜203内を循環して再度シャーリングカッター229により粉砕される。
再度図2(D)に戻って説明を続けると攪拌子205は、釜蓋上部より斜めに差し込まれた攪拌子回転軸227により矢印Q方向に回転して練りを行う。攪拌子の先端には攪拌羽根205bが装着されており、釜203内面の豆をこそげ落としつつ攪拌を行う。攪拌子205は、練り工程だけでなく豆煮工程、粉砕工程及び蜜漬工程において用いてもよい。
釜蓋215は、釜開閉棒233により上下動作を行って、釜を開放する。
製造方法及び製造工程に関しては、実施例1に示したものと同様であるので省略する。
[構成]
図3に本発明実施例3の餡の製造装置301の三面図を示す。図3(A)が正面図、図3(B)が上面図、図3(C)が側面図である。
実施例3の餡の製造装置301は、実施例2の餡の製造装置と同様な部分が多いため、実施例3の説明においては、実施例2の餡の製造装置201との違いについて説明する。
実施例3の餡の製造装置301は、釜303、攪拌子305(練り部)、オープンカッター311、蒸気ジャケット313(加熱部)、釜蓋315、蒸気導入部317(加熱部)、蓋ノズル319(注水部)、側面制御部323、圧力可変部325、攪拌子回転軸327(練り部)、渋切弁335とを有する。
実施例3の餡の製造装置301と実施例2の餡の製造装置201との違いは、実施例2の餡の製造装置に備わっていたシャーリングカッター229の代わりに、オープンカッター311が備わっていることである。実施例3の餡の製造装置のオープンカッター311は、釜蓋315に固定されて取り付けられており、実施例1のシャーリングカッター111使用の際のように釜蓋を開ける必要がない。そのため、粉砕工程中の温度の低下や不純物の混入などを抑制することが可能となる。
オープンカッター311の側面斜視図を図6に、カッター部分の拡大図を図7に示す。図6に示すように、オープンカッター311は、カッターを回転するモータに接続するオープンカッター基部311mと、該基部に固定されて下方に延びる回転軸311aと、該回転軸に固定された回転ディスク311dと、回転ディスクの上面及び下面に突起状に配置された回転ブレード311bとを有する(図7、拡大図)。前記モータの回転により、回転ブレード311bが回転して、煮熟して柔らかくなった豆を皮ごと粉砕する。
[実施例1から3の効果]
本発明実施例1から3の餡の製造装置及び製造方法により、以下のことが可能となる。
漉し餡の製造過程において、従来は除去されていた小豆の皮を豆の煮熟後に豆ごと粉砕して漉し餡風の餡を製造可能としたために、豆本来の色素と風味(香りと味)を併せもち、舌触りが良い独特の良い餡を製造可能になった。また、この餡は皮成分の食物繊維と各種のポリフェノールを有し、栄養的、健康的に価値があるものである。言い換えると、従来の漉し餡、粒餡とは食感・風味が異なる、新しいタイプの餡である。
また、皮を除去せずに製造する方法により、廃棄物としての皮が発生せずに、対環境性の高い製造方法となった。また、それに伴い水の使用量と排水量がともに大きく削減されて同じく環境性が高まった。
また、豆と皮を同時にひとつの釜内で粉砕する際に、粉砕された皮の粒子を平均1000マイクロメートル以下とすることにより、製造された餡に皮の舌触りを感じさせること無く、また、豆粒子が細かくなりすぎて粘度が高すぎてしまうことを防ぐことが可能となった。
更に製造装置は、ひとつの釜内ですべての工程が完結可能なため、装置のコストが低減し、製造時間が短縮され、燃料費を削減可能となった。
[その他]
蜜漬工程と粉砕工程の順序を変えた図8(B)は、参考図である。S6:豆煮工程→S7:晒工程→S8:粉砕工程→S9:蜜漬工程→S10:餡練り工程である。
又、図8(A)及び図8(B)に示すいずれの工程においても、晒工程を省くとしても良い。
本発明実施例1の餡の製造装置の三面図(正面図(A)、上面図(B)、側面図(C))とシャーリングカッターの拡大底面図(d)、拡大側面図(e)、シャーリングカッターのブレード部分の拡大斜視図(f)である。 本発明実施例2の餡の製造装置の三面図(正面図(A)、上面図(B)、側面図(C))である。 本発明実施例3の餡の製造装置の三面図(正面図(A)、上面図(B)、側面図(C))である。 本発明実施例2,3の餡の製造装置の渋切弁での正面図と側面図である。 本発明実施例2の餡の製造装置のシャーリングカッターの斜視図である。 本発明実施例3の餡の製造装置のオープンカッターの刃先部の拡大斜視図である。 本発明実施例3の餡の製造装置のオープンカッターの側面の斜視図である。 (A)は、本発明実施例1,2,3の餡の製造方法のフローチャート、(B)は、参考図である。
符号の説明
101 餡の製造装置(実施例1)
103 釜(実施例1)
105 攪拌子(練り部)(実施例1)
107 渋切パンチング板(水切部)(実施例1)
109 釜傾動軸(実施例1)
111 シャーリングカッター(粉砕部)(実施例1)
113 蒸気ジャケット(加熱部)(実施例1)
115 釜蓋(実施例1)
117 蒸気導入部(加熱部)(実施例1)
119 蓋ノズル(注水部)(実施例1)
121 釜蓋開閉軸(実施例1)
123 側面制御部(実施例1)
125 圧力可変部(実施例1)
127 攪拌子回転軸(練り部)(実施例1)
201 餡の製造装置(実施例2)
203 釜(実施例2)
205 攪拌子(練り部)(実施例2)
213 蒸気ジャケット(加熱部)(実施例2)
215 釜蓋(実施例2)
217 蒸気導入部(加熱部)(実施例2)
219 蓋ノズル(注水部)(実施例2)
223 側面制御部(実施例2)
225 圧力可変部(実施例2)
227 攪拌子回転軸(練り部)(実施例2)
229 シャーリングカッター(粉砕部)(実施例2)
231 シャーリングモーター(粉砕部)(実施例2)
233 釜蓋開閉棒(実施例2)
235 渋切弁(水切部)(実施例2)
301 餡の製造装置(実施例3)
303 釜(実施例3)
305 攪拌子(練り部)(実施例3)
311 オープンカッター(粉砕部)(実施例3)
313 蒸気ジャケット(加熱部)(実施例3)
315 釜蓋(実施例3)
317 蒸気導入部(加熱部)(実施例3)
319 蓋ノズル(注水部)(実施例3)
323 側面制御部(実施例3)
325 圧力可変部(実施例3)
327 攪拌子回転軸(練り部)(実施例3)
333 釜蓋開閉棒(実施例3)
335 渋切弁(水切部)(実施例3)

Claims (7)

  1. 原料の豆を煮熟する豆煮工程と、
    前記豆煮工程を経た豆に砂糖を加えて浸透させ鹿の子豆にすることで餡粒子を丈夫にして次工程でのカッター粉砕に対し餡粒子の破壊を減少させるための蜜漬工程と、
    前記蜜漬工程を経た豆を皮ごとカッターにより粉砕して前記皮の舌触りを感じさせない大きさにする粉砕工程と、
    前記粉砕工程を経た豆を加熱攪拌して煮詰める餡練り工程とを行う
    ことを特徴とする餡の製造方法。
  2. 原料の豆を煮熟する豆煮工程と、
    前記豆煮工程を経た豆に砂糖を加えて浸透させ鹿の子豆にすることで餡粒子を丈夫にして次工程でのカッター粉砕に対し餡粒子の破壊を減少させるための蜜漬工程と、
    前記蜜漬工程を経た豆を皮ごとカッターにより粉砕して前記皮の舌触りを感じさせない大きさにする粉砕工程とを連続して同じ装置で行い、
    その後、前記粉砕工程を経た豆を別装置にて加熱攪拌して煮詰める餡練り工程と行う
    ことを特徴とする餡の製造方法。
  3. 請求項1又は2の餡の製造方法であって、
    前記粉砕工程により前記粉砕される皮について、平均1000マイクロメートル以下の大きさに粉砕する
    ことを特徴とする餡の製造方法。
  4. 請求項1からのいずれか餡の製造方法であって、
    前記豆煮工程の後に前記煮熟した豆に水を加えて渋をとる晒工程を挟んだ
    ことを特徴とする餡の製造方法。
  5. 請求項1から4に記載の餡の製造方法に用いられ、単独の釜内において、原料の豆から餡を製造するためのすべての工程を完結可能な餡の製造装置であって、
    前記釜に
    前記豆を煮熟及び煮詰めるための加熱部と、
    前記豆をカッターにより粉砕する粉砕部と、
    前記煮熟した豆を餡にするための練りを行う練り部とを備えた、
    ことを特徴とする餡の製造装置。
  6. 請求項5の餡の製造装置であって、
    前記釜内の圧力を加圧・減圧可能な圧力可変部を備えた
    ことを特徴とする餡の製造装置。
  7. 請求項5又は6の餡の製造装置であって、
    前記豆に水を加えて渋をとる晒工程を行うための注水部と水切り部とを備えた
    ことを特徴とする餡の製造装置。
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