JP4336740B2 - 松茸を含む味噌の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、松茸を含む味噌の製造方法に関し、より詳細には、松茸の加工段階、松茸加工物と味噌玉麹との混合段階、及び味噌玉麹の発酵・熟成段階からなる松茸を含む味噌の製造方法において、前記松茸の加工段階は、加熱又は乾燥処理していない自然状態の松茸を粉砕して松茸粉砕物を得る段階、穀類を炊飯し熟成させて乾燥処理した後、粉砕して穀類粉末を得る段階、及び前記松茸粉砕物を前記穀類粉末と混合して練ってから、乾燥して松茸加工物を得る段階からなる松茸を含む味噌の製造方法に関する。
松茸は、血中コレステロールの抑制効果、血液循環増進、動脈硬化、心臓病、糖尿病等の予防及び抑制効果と二日酔いの除去効果があると知られており、その他の薬理効果が報告されたこともあり、このような生理活性機能のため、最近もっと注目されるようになった食品素材である。しかし、このような機能性はさておき、松茸は、従来その独特な味と香りにより多様な形態で食品に応用されてきたが、現在はこのような松茸特有の味と香り及び栄養生理的な価値を高めることができる調理法の開発が続けられている。
一方、味噌は、大韓民国の代表的な発酵食品であり、主な材料として大豆を用いるが、大豆は高蛋白の食品素材でありながらも、サポニン、イソフラボン、イプリフラボン等の生理活性物質を含んであり、抗癌作用、骨粗鬆症の予防等の効果を示し、大豆を始めとする味噌等の大豆加工食品らは、健康食品として認識されており、大豆中のこのような有効成分らは、味噌玉麹を作って発酵される過程の中に醤油又は味噌等に相当量が移っていくと知られている。従って、大豆の加工食品においては、大豆中の有効成分らを最大限利用することができる方法が模索されている。
従来は、味噌玉麹を塩水に入れて発酵、熟成させて固形分と液体とを分離して味噌と醤油を製造することが一般的であり、この際に味噌と醤油とを分離する過程で、大根、ジャガイモ、梨等の副材料を添加して味噌を製造したり、青唐辛子、胡麻の葉、豆の葉等を入れて醤油を製造する方法があった。最近では消費者の健康及び栄養に対する関心だけでなく、味と香りに対する関心も高くなるにつれ、伝統醤類の素材として用いなかった無花果、緑茶、リンゴ、桑黄、松茸等の多様な副材料を醤類に利用する方法が開発されている趨勢である。
特に、松茸を味噌の副材料として利用する例として、特許文献1は、松茸を煮込んで出汁し、一般の味噌材料と混合して松茸味噌を製造する方法を開示しており、特許文献2は、自然の松茸を90〜100℃の水蒸気で15分間蒸煮し、更に60〜80℃の水蒸気で10分間蒸煮して徐々に冷ました後、更に20〜25℃の乾燥機で徐々に12時間乾燥して在来式醤類に添加する方法を開示しており、特許文献3は、1次熟成させた味噌に、一定の模様に切った自然の松茸を約10%程度配合して6ヶ月以上熟成させた味噌を開示している。その他に特許文献4は、松茸菌糸体を培養した後、菌糸体と培養液を醤油、味噌及びコチュジャンに添加する機能性醤類及びその製造方法を開示している。
しかし、開示された発明におけるように、松茸を煮込んで出汁したり、蒸煮して乾燥処理したりする場合、又は松茸をそのまま太陽乾燥処理する場合、松茸の独特の味と香りだけでなく、栄養分の損失が大きいという問題点がある。また、松茸を何の前処理なく自然状態のまま味噌玉麹と混合して熟成させる場合、松茸から出た汁が味噌とうまく混合されず、味噌に水気が浮かび上がるようになり、結果的に味噌が薄くなる問題点がある。
従って、松茸を含む味噌を製造するに当たって、松茸特有の味と香りを最大限保ちながらも、栄養生理的な価値も高めることができる効果的な松茸の前処理方法が要求されてきた。
また、従来には味噌玉麹を塩水に入れ、発酵及び熟成させる過程で発生した液体を取り出し、残った固形分で味噌を製造したことで、栄養分の含量が少なくなり、味を始めとする味噌の品質が低下されるという問題点があった。従って、大豆の栄養成分を十分に含む味噌を製造する必要がある。
そこで、本発明は、松茸を含む味噌を製造するに当たって、松茸を加熱処理又は乾燥処理せずに、松茸特有の味と香り、栄養分を最大限保つことができる松茸の加工方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、通常の味噌の製造方法とは異なり、味噌の製造過程で発生する液体を分離せずに利用することにより、大豆の栄養成分を最大限含むことができる松茸を含む味噌の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、松茸を加工する段階、松茸加工物を味噌玉麹と混合する段階、及び松茸加工物と混合された味噌玉麹の発酵及び熟成段階からなる松茸を含む味噌の製造方法において、前述の松茸の加工段階は、加熱又は乾燥処理していない自然状態の松茸を粉砕して松茸粉砕物を得る段階、穀類を炊飯し熟成させて乾燥処理した後、粉砕して穀類粉末を得る段階、及び前記松茸粉砕物を前記穀類粉末と混合して練ってから、乾燥して松茸加工物を得る段階からなることを特徴とする松茸を含む味噌の製造方法を提供する。
本発明による松茸を含む味噌の製造方法によると、松茸の独特の味と香り、栄養分を最大化することができ、従来の味噌に比べて大豆の栄養分をもっと多く摂取することができるので、消費者の栄養学的な要求だけでなく、更に高まった味と香りに対する期待も満たすことができる優れた味噌を得ることができる。
以下、添付の図面に基づいて本発明を詳細に説明すると、次のとおりである。
先ず、松茸を含む味噌の製造方法において、松茸の加工段階は、加熱又は乾燥処理していない自然状態の松茸を粉砕して松茸粉砕物を得る段階、穀類を炊飯し熟成させて乾燥処理した後、粉砕して穀類粉末を得る段階、及び前記松茸粉砕物を前記穀類粉末と混合して練ってから、乾燥して松茸加工物を得る段階からなる(図1参照)。
松茸は主に秋に収穫するが、6〜7月にも一部収穫することもある。松茸を収穫して綺麗に洗浄して粉砕機、ミキサー、臼等を利用して組織を粉砕する。松茸を含む味噌を製造するに当たって、松茸を煮込んで出汁したり、蒸煮して乾燥処理したりする場合、又は松茸をそのまま太陽乾燥処理する場合、松茸の独特の味と香りだけでなく、栄養分の損失が大きくなる。また、松茸を何の前処理なく、自然状態のまま味噌玉麹と混合して熟成させる場合、松茸から出た汁が味噌とうまく混合されず、味噌に水気が浮かび上がるようになり、結果的に味噌が薄くなる。そして、松茸を乾燥処理した後、粉砕する場合には松茸の香りが多く損失されるため、自然状態の松茸をそのまま粉砕することが最も好ましい。しかし、自然状態の松茸を粉砕して味噌の製造過程に混合する場合には味噌が薄くなるため、穀類粉末を製造して松茸粉砕物と混合し、練って乾燥処理する過程が更に必要である。
松茸加工物を得るために準備される穀類としては、精麦小麦粒、小麦粉、うる米、もち米、麦等を利用することができる。この中でも麦が松茸と一番調和が取れているので、以下においては麦を中心に記述する。
麦は、初夏に収穫した殻麦を搗いて、ぬかを剥がした穀類を言い、このような麦は、松茸が収穫される以前に入手されるため、別途の加工過程が必要である。即ち、入手した麦を洗浄してご飯を作った後、これを24時間程度室温(17〜25℃)で熟成させる。熟成が完了すると、麦ご飯が褐色に変色されるが、これを自然乾燥処理した後、粉砕して麦粉末として準備してから、松茸が収穫されるまで待つ。ここで‘熟成’とは、麦で作ったご飯を容器が開放された状態で室温で一定時間置いて若干饐えた味と香りを有するようになることを言う。
それから、麦粉末と松茸粉砕物とを1:1の重量比率で混合して練る。そうすると、組織がぬるぬるした状態となるが、このような状態の混合練り物を自然乾燥処理する。この際に特有の味と香り、栄養分が損失される前の松茸の状態を保つためには、日差しが良い日に2〜3日程度速く乾燥させることが好ましい。乾燥した松茸加工物は、翌年の春までうまく保管しなければならない。
次に、味噌玉麹を準備する過程は、次のとおりである(図2参照)。
藁を利用し発酵させて製造した第1の味噌玉麹を製造するために、洗浄した味噌玉麹用の大豆を1日程度水に浸した後、蒸煮し、味噌玉麹用の大豆を粉砕して味噌玉麹の形状に成形してから、30日乃至35日程度自然乾燥させる。乾燥された味噌玉麹に亀裂ができれば、稲わらを利用して27〜40℃で約20日程度発酵させてから、これを破砕して第1の味噌玉麹粉末を得る。
そして、麹菌を添加し発酵させて製造した第2の味噌玉麹を製造するために、洗浄した味噌玉麹用の大豆を1日程度水浸した後、蒸煮し、ここに麹菌を混合した後、2〜3日間発酵させて白くムチンができれば、1週から10日程度太陽乾燥処理してから、これを破砕して第2の味噌玉麹粉末を得る。
この際に、第1の味噌玉麹又は第2の味噌玉麹をそれぞれ100%として味噌を製造することもできるが、この場合、味噌の深い味がなくなる問題点がある。従って、前記第1の味噌玉麹と前記第2の味噌玉麹とを混合したほうが、味噌の味が更によく、栄養価も更によいので、各味噌玉麹を混合した混合味噌玉麹粉末を用いることが好ましく、特に前記第1の味噌玉麹と前記第2の味噌玉麹との混合比率が4:1の重量比となるように混合することが最も好ましい。
最後に、翌年陰暦3月頃になると、図3に図示したように、前記松茸加工物と前記混合味噌玉麹粉末に適当量の塩水を混合した後、これを発酵及び熟成させる。通常の味噌の製造時には、前記味噌玉麹の発酵及び熟成段階において、固形分と液体とを分離し、固形分は破砕することにより味噌を製造し、液体は殺菌過程を経て醤油に製造するのに対し、本発明においては、液体を分離せずに、固形分と共に引き続き熟成させる方式で味噌を製造する。液体を分離して残った固形分のみで味噌を製造する場合、味噌玉麹の相当部分が醤油に移されてしまう状態となるため、大豆の有効成分の相当量を損失するようになり、栄養分を始めとする味噌の味と品質の面において好ましくないためである。
前記松茸加工物と前記混合味噌玉麹粉末との混合比率は5:95(重量比)とすることが好ましい。松茸の含量が多過ぎると、製造単価が高くなるだけでなく、松茸のほろ苦い味と香りがかえって拒否感をもたらす恐れがあり、松茸の含量が少な過ぎると、松茸特有の味と香りを感じることができなくなる。
そして、前記松茸加工物と前記混合味噌玉麹粉末とを混合する段階において、好みに応じて水飴、唐辛子粉末等を混合することもできる、水飴は完成した味噌の塩味を調節する役割をし、見掛けもよくするのに助けになる。唐辛子粉末は味噌に少し辛い味を加える役割をする。
前記味噌玉麹の発酵及び熟成過程は、約6〜10ヶ月が所要される。
次に、本発明の具体的な実施例を以って、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が実施例に従って実施することができるようにする。
5月頃の新麦を購入して洗浄してから、麦ご飯を炊いて24時間17〜25℃に置いた。褐色に変色した麦ご飯を太陽を利用して乾燥させてから、搗いて粉末(麦粉末)として準備しておいた。
6〜7月が過ぎ、松茸が収穫されると、これを洗浄してミキサー又は臼を利用し、粉砕して松茸粉砕物を得てから、前記準備した麦粉末と前記松茸粉砕物とが1:1の重量比率になるように混合して練った。その結果、ぬるぬるした固まり状態の混合物が得られるが、これを日差しが良い日に48時間乾燥させて松茸加工物を準備した。このように準備した松茸加工物は、翌年の春まで保管しておいた。
11月〜12月頃に味噌玉麹用の大豆を購入して洗浄した後、味噌玉麹を作った。第1の味噌玉麹を製造するために、味噌玉麹用の大豆を10時間水浸してから、豆が柔らかくなる程度によく煮込んで、この状態の味噌玉麹用の大豆を臼で搗いて粉砕した。その後、木枕形状に味噌玉麹を作って土の匂いが染みることができる環境で30日間自然乾燥させた。そして、稲わらを敷いて27〜40℃の温度と70〜80%の湿度を維持するようにした醗酵室に置いて20日間発酵させた後、これを破砕して第1の味噌玉麹粉末を準備した。
第2の味噌玉麹を製造するためには、洗浄した味噌玉麹用の大豆を10時間水浸してから、豆が柔らかくなる程度によく煮込んで、この状態の味噌玉麹用の大豆に麹菌を混合して48時間発酵させた。味噌玉麹用の大豆に白くムチンができれば、そのまま太陽に乾かすが、1週間乾燥させた。その後、これを破砕して第2の味噌玉麹粉末を準備した。
翌年の正月頃、第1の味噌玉麹粉末と第2の味噌玉麹粉末とを4:1の重量比で混合して準備した混合味噌玉麹粉末95%(重量比)に、予め準備しておいた松茸加工物5%(重量比)を混合し、味噌玉麹用の大豆1枡当たり水飴3kgと唐辛子粉末200gの比率で、前記混合味噌玉麹粉末と松茸加工物との混合物に水飴と唐辛子粉末を添加した。その後、第1の味噌玉麹粉末と第2の味噌玉麹粉末の混合味噌玉麹粉末、松茸加工物、水飴及び唐辛子粉末を混合した全体の混合物20kg当たり塩1.2kgと水8kgの比率からなる塩水を添加して味噌を漬けた。味噌を漬けた日から6ヶ月間発酵及び熟成させて松茸を含む味噌を完成した。
本発明によると、従来の松茸を含む味噌に比べて松茸の独特の味と香り、栄養分を最大化することができ、大豆の栄養分をもっと多く含むことができ、品質に優れた松茸を含む味噌を製造することができるので、産業上の利用可能性が極めて高い。
Claims (6)
- 松茸を加工する段階、前記松茸加工物に味噌玉麹を混合する段階、及び前記松茸加工物と混合された味噌玉麹を発酵及び熟成させる段階からなる松茸を含む味噌の製造方法において、
前記松茸の加工段階は、
加熱又は乾燥処理していない自然状態の松茸を粉砕して松茸粉砕物を得る段階と、
前記松茸粉砕物と混合される穀類を炊飯し熟成させて乾燥処理した後、粉砕して穀類粉末を得る段階と、
前記松茸粉砕物を前記穀類粉末と混合して練ってから、乾燥して松茸加工物を得る段階とからなることを特徴とする松茸を含む味噌の製造方法。 - 前記松茸の加工段階の前記穀類は麦であり、
前記松茸加工物は、前記松茸粉砕物と前記穀類粉末の重量比が1:1となるように混合されることを特徴とする請求項1に記載の松茸を含む味噌の製造方法。 - 前記松茸加工物に混合される味噌玉麹は、藁を利用し発酵させて製造した第1の味噌玉麹と麹菌を添加し発酵させて製造した第2の味噌玉麹とを混合したことを特徴とする請求項2に記載の松茸を含む味噌の製造方法。
- 前記第1の味噌玉麹と第2の味噌玉麹の混合比は、重量比が4:1となるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の松茸を含む味噌の製造方法。
- 前記松茸加工物に味噌玉麹を混合する段階は、前記味噌玉麹95%(重量)に対して前記松茸加工物5%(重量)の比率で混合することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の松茸を含む味噌の製造方法。
- 前記混合された味噌玉麹を発酵及び熟成させる段階は、味噌玉麹に塩水が混合されて発酵及び熟成される過程で発生する液体を分離せずに、発酵及び熟成させることを特徴とする請求項5に記載の松茸を含む味噌の製造方法。
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