JP4446458B2 - 簡易容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は簡易容器に係り、とくに上部が開口になっている簡易容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の食品や飲料を供給するための容器として、紙を主材料とする簡易容器が広く利用されている。また使捨て式の容器として、紙コップから成る簡易容器が用いられている。
【0003】
この種の簡易容器は、例えば扇形の原紙を巻いてカップ状の胴部を形成するとともに、別部材から成る底板を底部に組合わせるようにして構成されている。あるいはまた円形の板紙を絞り加工してカップ状の形状に成形している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような簡易容器は、その上部、とくに開口縁部の強度が弱いと、容器としての形状を保つ性質、すなわち保形性が損われることになる。また被せ蓋によって上部開口を閉塞するように装着する場合に、被せ蓋の嵌合が難しい等の問題がある。そこでとくに容器の上部の強度を向上させるために、材料を工夫するか、あるいはまた開口縁部にリムやカール部を設けるようにしている。
【0005】
開口縁部にリムあるいはカール部を設けることによって、容器の上部のとくに開口縁部の強度が向上する。強度をさらに向上させるためにはリムまたはカール部の少なくとも一部を接着させることが好ましい。ところがリムまたはカール部の一部だけを効果的にかつ簡易的に接着するための適正形状が提案されていない。また熱可塑性樹脂がラミネートされた紙を用いた簡易容器の場合には、この熱可塑性樹脂を接着剤の代りに使用することが可能だが、熱可塑性樹脂が容器加工用ツール類に溶着し易くなり、加工に支障を来たす場合がある。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、容器の上部のとくに開口縁部の強度が十分な値を有し、これによって高い保形性を有する簡易容器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願の一発明は、上部が開口になっている簡易容器において、
上部開口の周縁部を外側に折返して胴部の上端側の外周面に沿うように折返し部を形成するとともに、折返されて形成された前記折返し部の高さ方向の中間部であって前記胴部の外表面と連続する表面を開口縁部の外側の前記胴部の外表面上に接着するとともに、前記折返し部の下端の先端部が前記胴部の外表面に接着されないようにしたことを特徴とする簡易容器に関するものである。
【0008】
ここで、主材料が紙から構成されるとともに、紙の少なくとも前記胴部の外表面と対応する表面に高分子フィルムが接合されており、開口の周縁部が折返されたときに前記高分子フィルムが接合された表面が互いに接するようになされ、前記高分子フィルムの熱溶着によって前記折返し部の中間部が接着されてよい。また開口縁部の外側に前記折返し部の中間部が接着剤または糊剤によって接着するようにしてよい。また折返された前記折返し部の先端よりも開口縁部側において接着されるとともに、折返された前記折返し部の下端の先端側が開口縁部の外側の外表面から離間してよい。また前記折返し部の前記胴部に接着された中間部と開口縁部の外側の外表面との間に空間が形成されてよい。またこのような簡易容器は、底板が別部材から成る組立て容器、あるいは底部が一体になっている絞り容器であってよい。
【0009】
【作用】
本願の上記一発明によれば、上部開口の周縁部が外側に折返されるとともに、折返されて形成された折返し部の高さ方向の中間部が開口縁部の外側の外表面上に接着されている。従って折返し部分が接着されて固定されることになり、これによって折返し部分の変形が阻止され、上部のとくに開口縁部の強度が向上する。従ってこのような開口縁部の強度によって、高い保形性を有する簡易容器が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図示の実施の形態によって説明する。まず第1の実施の形態を図1〜図3によって説明する。この簡易容器は、扇形原紙を巻いて形成される逆円錐台状の胴部10を有している。なお異形の扇形原紙を用いて逆多角錐台状の形状としてもよい。そしてこのような胴部10の底部開口が底板11によって閉塞されるようになっている。図2に示すように底板11はその外周側の部分が下方に折曲げられて周壁部12を構成し、このような周壁部12が胴部10の下端と折曲げ部13とによって挟着され、これによって底板11が胴部10の底部に結合されている。
【0011】
このようなカップ状をなす簡易容器は、その上部開口17の周縁部が外側へ折返されて折返し部18が形成されている。折返し部18の内側であって開口縁部との間には図3に示すように空間19が上部開口17の周縁部に沿って形成されるようになっている。しかも折返し部18の先端部20は開口縁部の外側の外表面から離間されている。そして先端部20よりも開口縁部側において、接着部21のところで折返し部18が胴部10の外表面上に接着されている。
【0012】
このような簡易容器は、紙を主材料とする簡易容器であって、図3に示すように紙25の両面にそれぞれラミネートフィルム26、27を接合したものである。ここでラミネートフィルム26、27はそれぞれ適当な融点の熱可塑性樹脂から選択される。そしてとくに図3に示すように、折返し部18を外側に折返されたときに胴部10の外表面に接合されているラミネートフィルム27が互いに接するようになり、このようなラミネートアフィルム27の熱溶着によって接着部21が形成されるようになっている。
【0013】
このように本実施の形態の簡易容器は、図3に示すように紙25の両面にラミネートフィルム26、27を積層した3層構造の原紙から構成されており、外側のラミネートフィルム27の熱溶着によって接着部21を形成するようにしている。ここでラミネートフィルム27による熱溶着は、ホットエア、あるいはフレーム加熱の後圧着を行なうようにしている。なおこのような熱溶着に代えて、熱板圧着やホットエアとヒータとの組合わせによる加熱後の圧着、あるいはまた超音波溶着による接着を行なうようにしてもよい。
【0014】
ラミネートフィルム27を用いた熱溶着の場合において、このような熱溶着を行なう際の熱で折返されたときの折返し部18の外側に露出するように位置するラミネートフィルム26がダメージを受ける可能性がある。そこでラミネートフィルム27よりもラミネートフィルム26の方が融点が高い熱可塑性樹脂を選択し、適当な加熱温度を選択することによって、外表面のラミネートフィルム26を溶解することなくしかももう一方の表面のラミネートフィルム27によって接着部21を良好に形成することが可能になる。
【0015】
ここで図3に示すように、折返し部18の先端部20が開口縁部の外側の表面から離間されている。これは先端部20と対応する位置において、胴部10の外表面のラミネートフィルム27が加熱溶着時あるいは圧着時にダメージを受けることを防止するためである。すなわち圧着体の大きさを、接着部21の部分を効果的に押圧する大きさにし、先端部20の部分を押圧しない大きさに限定するようにしている。従って先端部20の内側において胴部10の外表面がダメージを受けることが防止される。なお超音波等の適切な方法で接着させる場合は、先端部20まで圧着させるようにしてもよい。
【0016】
このような簡易容器は、胴部10の上部開口17の周縁部を外側に折返して接着部21の部分を熱溶着するようにしているために、簡易な加工でしかも折返し部18の成形を行なうことが可能になり、これによって簡易容器のコストの上昇を防止できるようになる。しかも折返し部18が接着部21のところで開口縁部の外側の外表面上に接着されているために、このような折返し部18によってとくに開口縁部の部分の円周方向の強度を高めることが可能になる。従って容器の保形性が改善されることになり、容器を持ったときにおいて持った部分が内側に変形することがなくなる。また被せ蓋を装着する場合において、被せ蓋と容器の開口縁部との嵌合の密着性が改善されることになる。また接着部21を有する折返し部18によってとくに容器の上部の強度が大きくなるとともに保形性が改善されることから、材料原紙の厚さを薄くすることが可能になり、これによってコストの低減が図られることになる。
【0017】
次に第2の実施の形態を図4および図5によって説明する。この実施の形態は、胴部10の底部開口を閉塞する底板11の構造が異なっている。すなわち底板11の外周側には上方へ折曲げられた周壁部12が形成されており、このような周壁部12が胴部10の内周面に接合されて底部開口が閉塞されるようになっている。
【0018】
またこのような簡易容器は、その上部開口17の周縁部を外側に折返して成る折返し部18の上端側の部分が図5に示すようにほぼ円弧状をなしており、内側に空間19が形成されている。とくに折返し部18の断面形状を円弧状とすることによって、図3に示す第1の実施の形態よりも折返し部18の強度を高めることが可能になり、保形性がさらに改善される。また先端部20が胴部10の外周側から大きく離間しているために、上記実施の形態と同様に先端部20の内側の胴部10の外周面のダメージが防止されることになる。なお超音波等のダメージの少ない方法で接着する場合は、先端部20を胴部10の外周面に近接あるいは接触させてよい。
【0019】
次にさらに別の実施の形態を図6および図7によって説明する。この実施の形態は胴部10の底部開口を閉塞する底板11の外周側に形成されている周壁部12が胴部10の下端側の外表面に接合されるようになっている。
【0020】
またここでは上部開口17の周縁部を外側へ折返して成る折返し部18の全体の形状が上記第2の実施の形態とほぼ同様の形状をなすとともに、とくに図7に示すように、先端部20の外周側への逃がし量を少なくしている。すなわち接着部21を形成するための熱溶着の際の圧着の治具を変更することによって、先端部20の外周側への逃がし量を少なくするようにしたものである。
【0021】
次にさらに別の実施の形態を図8および図9によって説明する。この実施の形態は、容器それ自体をほぼ円形の単一の板紙から成形した絞り容器に関するものであって、底板11が胴部10と連続する単一の板紙によって絞り成形されたものである。
【0022】
そしてここで上部開口17の周縁部を外側に折返すことによって、図9に示すように2段に円弧状断面を有する形状としている。そしてこのように2段に形成されている折返し部18のとくに高さ方向の中間位置において折返し部18を接着部21の接着によって胴部10の外表面に接着するようにしている。
【0023】
一般に単一の円形の板紙から成る絞り容器の場合には、胴の部分を絞るようにしているために、胴の部分の円周方向の強度が弱く、内容物を入れて持ったときに容器が内容物の重さで開いて変形する可能性がある。すなわち内容物の重さによって胴の部分が開くと、これによって内容物がこぼれ落ちたり流出したりする可能性がある。ところが図8および図9に示す構成によれば、とくに開口縁部を外側へ折返して成る折返し部18が接着部21のところで接着されており、このような接着部21が円周方向の強度をこの容器に対して与え、このために内容物を入れて容器を持ったときにおいても、この容器が開くように変形することがなく、このために内容物がこぼれることも防止される。
【0024】
次にさらに別の実施の形態を図10および図11によって説明する。この実施の形態は、円形の板紙によってとくに外周側の部分を絞って胴部10を形成したものである。従って底板11と胴部10とは連続した単一の板紙から構成される。しかも上部開口17の周縁部を外側に折返すことによって、折返し部18が形成されている。ここで折返し部18はとくに図11に示すように、胴部10の上端側であって開口縁部の外側の部分にその高さ方向の全長においてほぼ重なるようになっている。しかも折返し部18の高さ方向の中間位置において接着部21によって折返し部18が胴部10の外表面に接着されている。従ってこのような絞り容器によれば、とくに開口縁部を外側へ折返して成る折返し部18によって、この容器に保形性が与えられ、内容物を入れて持ったときにおいてこの容器が変形することがない。
【0025】
次にさらに別の実施の形態を図12および図13によって説明する。この実施の形態の簡易容器は、円形の板紙を絞り成形して成る絞り容器であって、底板11と胴部10とが連続する単一の板紙から構成されており、図12に示すようにほぼ皿状をなす形状になっている。
【0026】
しかもこのような簡易容器の上部開口17の周縁部が外側へ折返されて折返し部18が形成されている。ここで折返し部18はその高さ方向の中間位置において接着部21のところで開口縁部の外側の外表面上に接着されている。またこのような折返し部18の下端側の部分であって先端部20は外側へ屈曲されており、胴部10の部分の外表面から離間している。
【0027】
従ってこのような容器においても、胴部10側の折返し部18によってこの容器に対して円周方向の強度が与えられ、容器が高い保形性を有するようになる。従って内容物を入れてこの容器を持っても、内容物の重さによって容器が開いたり変形したりすることが防止される。また折返し部18の外周側へ屈曲する先端部20によってとくにその内側の部分におけるラミネートフィルム27の損傷が防止されるようになり、外観を損なうことがない。
【0028】
次にさらに別の実施の形態を図14〜図16によって説明する。この実施の形態はほぼ矩形状をなす板紙原紙を用いて偏平なトレー状容器を形成するようにしたものである。すなわち矩形の原紙の周縁部を絞ることによって、周縁部によって胴部10を形成するとともに、このような胴部10の上端側を外側へ折返して2重のフランジ構造としたものである。折返し部18はその上面が図16Aに示すように接着剤21によって折返し部分の上側の平坦なフランジ状部分に接着されている。なおここで図16Bに示すように、折返し部18の先端部20をさらに下方に折曲げるようにしてもよい。
【0029】
このような構造によれば、紙を絞ったトレー状の容器の周縁部の2重のフランジ構造によってその保形性、すなわち元の形態を維持する機能がより高められた簡易容器が提供されることになる。
【0030】
以上本発明を図示の実施の形態によって説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本発明の技術的思想に基いて各種の変更が可能である。例えば容器の形状については、上記実施の形態の形状に限定されることなく、その他各種の形態の簡易容器に広く適用可能である。また上記実施の形態においては、ラミネートフィルム27の熱溶着によって折返し部18の熱溶着を行なうようにしているが、このような熱溶着に代えて、ホットメルト型、その他の接着剤あるいは糊剤によって接着を行なうことが可能である。
【0031】
また上記実施の形態においては、図3、図5、図7、図9、図11、図13、および図16に示すように、紙25の両側にラミネートフィルム26、27が接合された原紙を用いるようにしているが、ラミネートフィルム26、27を溶着の手段として用いない場合には、紙のみから成る単層の原紙によって容器を形成するようにしてもよい。あるいはまた一方の面にのみラミネートフィルムが接合された紙によって容器を形成するようにしてもよい。この他に上記3層以外の構成の原紙を用いて容器を形成することも可能である。
【0032】
また上記の主要な実施の形態は、カップ状、あるいはまた皿状の円形の容器に関するものであるが、本願発明は必ずしもこのような円形の容器に限定されるものではない。すなわち例えば矩形の原紙を用い、このような矩形の原紙を絞り加工して矩形の絞り容器を形成してもよい。あるいはまたトレー状の容器にも適用可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明は、上部が開口になっている簡易容器において、上部開口の周縁部を外側に折返して胴部の上端側の外周面に沿うように折返し部を形成するとともに、折返されて形成された折返し部の高さ方向の中間部であって胴部の外表面と連続する表面を開口縁部の外側の胴部の外表面上に接着するとともに、折返し部の下端の先端部が胴部の外表面に接着されないようにしたものである。
【0034】
従ってこのような容器によれば、上部開口の周縁部を外側に折返すとともに、少なくとも一部を開口縁部の外側の外表面上に接着した折返し部によって、この容器の開口縁部に対して円周方向の強度を与えるとともに、容器の上部側の部分の保形性を大幅に改善することが可能になる。従って内容物の重さによって容器が変形することが防止され、あるいはまた被せ蓋を装着する場合に、被せ蓋との密着性が改善されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の簡易容器の外観斜視図である。
【図2】同簡易容器の縦断面図である。
【図3】折返し部の構造を示す拡大縦断面図である。
【図4】別の実施の形態の簡易容器の縦断面図である。
【図5】折返し部の構造を示す拡大縦断面図である。
【図6】さらに別の実施の形態の簡易容器の縦断面図である。
【図7】折返し部の構造を示す要部拡大断面図である。
【図8】さらに別の実施の形態の簡易容器の縦断面図である。
【図9】同簡易容器の折返し部の構造を示す拡大縦断面図である。
【図10】さらに別の実施の形態の簡易容器の縦断面図である。
【図11】同簡易容器の折返し部の構造を示す拡大縦断面図である。
【図12】さらに別の実施の形態の簡易容器の構造を示す縦断面図である。
【図13】折返し部の構造を示す拡大縦断面図である。
【図14】さらに別の実施の形態のトレー状簡易容器の構造を示す斜視図である。
【図15】同簡易容器の縦断面図である。
【図16】折返し部の構造を示す拡大縦断面図である。
【符号の説明】
10 胴部
11 底板
12 周壁部
13 折曲げ部
17 上部開口
18 折返し部
19 空間
20 先端部
21 接着部
25 紙
26、27 ラミネートフィルム
Claims (7)
- 上部が開口になっている簡易容器において、
上部開口の周縁部を外側に折返して胴部の上端側の外周面に沿うように折返し部を形成するとともに、折返されて形成された前記折返し部の高さ方向の中間部であって前記胴部の外表面と連続する表面を開口縁部の外側の前記胴部の外表面上に接着するとともに、前記折返し部の下端の先端部が前記胴部の外表面に接着されないようにしたことを特徴とする簡易容器。 - 主材料が紙から構成されるとともに、紙の少なくとも前記胴部の外表面と対応する表面に高分子フィルムが接合されており、開口の周縁部が折返されたときに前記高分子フィルムが接合された表面が互いに接するようになされ、
前記高分子フィルムの熱溶着によって前記折返し部の中間部が接着されることを特徴とする請求項1に記載の簡易容器。 - 開口縁部の外側に前記折返し部の中間部が接着剤または糊剤によって接着されていることを特徴とする請求項1に記載の簡易容器。
- 折返された前記折返し部の先端よりも開口縁部側において接着されるとともに、折返された前記折返し部の下端の先端側が開口縁部の外側の外表面から離間していることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の簡易容器。
- 前記折返し部の前記胴部に接着された中間部と開口縁部の外側の外表面との間に空間が形成されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の簡易容器。
- 底板が別部材から成る組立て容器であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の簡易容器。
- 底部が一体になっている絞り容器であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の簡易容器。
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