JP3744284B2 - 紙製容器のトップシール方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙製容器のトップシール方法に関するものであり、特に開口部周縁の巻き込みが不十分な口縁部を有する紙製容器のトップシールの方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば入浴剤、粉末洗剤、インスタントコーヒー、粉ミルク等の水分を嫌う物質を内容物として収納するための容器としては、金属製容器、プラスチック成形容器、あるいは、紙を主体とする帯体をスパイラルに巻いた紙筒を側壁とし、成形した金属板を天板あるいは底板とした紙と金属からなる紙筒容器等様々な材料から成る容器が使用されている。
【0003】
ところが、容器包装リサイクル法が施行されたことにより、分別廃棄が容易な包装材料の単一素材化とか、廃棄処理が容易な紙とプラスチックを主体とする複合容器化の動きがあり、密封性を有する紙製容器が注目されている。
【0004】
この場合には、開口部周縁が外方にカールした口縁部を有する紙製容器の口縁部に、開口部を覆うように載置される蓋材とを、口縁部周縁で密封シールする方法がとられる。
【0005】
基材として概ね400g/m2 以下の坪量を有する板紙を使用した紙製容器の場合には、開口部周縁を外方に完全に巻き込むことができるので、外方にカールした口縁部を上下から押圧して偏平に潰すことが可能になり、図4(a)に示すように、広いシール面積51を有し、十分な接着面積を確保することができ、落下や振動を与えても完全な密封性が保たれている。
【0006】
ところが、基材として概ね400g/m2 以上の坪量を有する板紙を使用した紙製容器の場合には、開口部周縁を外方に完全に巻き込むことができず、従って口縁部を上下から押圧して偏平に潰すことが不可能となるため、図4(b)に示すように、シールは線状のシールとなって、狭いシール面積52となり、十分な接着面積が確保できず、その結果、接着強度が不足し、落下や振動を与えるとトップシールが剥離し易いという問題点を有している。
【0007】
しかしながら、収納量が500グラム以上の液体または粉体等の紙製容器は、容器の自立性、外観寸法、形状を維持するため、基材には400g/m2 以上の坪量を有する板紙を使用する必要がある。
この程度の坪量を有する板紙は、剛度が大のため、上記の問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、坪量が400g/m2 以上の板紙を使用した、巻き込みが不十分な口縁部を有する紙製容器に関する以上のような問題点に着目してなされたもので、坪量が400g/m2 以上の板紙を使用した、巻き込みが不十分な口縁部を有する紙製容器に対しても強い接着強度を有するトップシールの方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、胴部と底部とからなり、開口部周縁が外方にカールした口縁部を有する紙製容器の口縁部と、開口部を覆うように載置される蓋材とを、口縁部周縁で密封シールする紙製容器のトップシール方法であって、第1次シールとして、先ず、上下方向の力で口縁部天面とそれに該当する蓋材とを熱シールし、ついで第2次シールとして、上下方向の力で第1次シールで熱シールさせた天面に重なるように外方にカールした口縁部に沿って口縁部とそれに該当する蓋材とを熱シールし、最後に第3次シールとして、水平方向の力で外方にカールした口縁部とそれに該当する蓋材とを熱シールし、紙製容器の天面から外方にカールした口縁部までを連続して熱シールさせることを特徴とする紙製容器のトップシール方法である。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記第1次シールと同時に開口部に被せた蓋材の周縁をトリミングすることを特徴とする紙製容器のトップシール方法である。
【0011】
上記のように本発明によれば、第1次シールとして、上下方向の力で口縁部天面とそれに該当する蓋材とを熱シールし、ついで第2次シールとして、上下方向の力で第1次シールで熱シールさせた天面に重なるように外方にカールした口縁部に沿って口縁部とそれに該当する蓋材とを熱シールし、最後に第3次シールとして、水平方向の力で外方にカールした口縁部とそれに該当する蓋材とを熱シールし、紙製容器の天面から外方にカールした口縁部までを連続して熱シールしているので、巻き込みが不十分な口縁部を有する紙製容器に対しても、シール面積が広く、十分な接着面積を確保することができ、完全な密封性を維持できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の紙製容器のトップシール方法を用いて、蓋材をシールした紙製容器を示し、図2は本発明の紙製容器のトップシール方法を示す模式説明図である。
【0013】
先ず、胴部材として、〔容器外側〕ポリエチレン(PE)/板紙(坪量;400g/m2 )/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/PE〔容器内側〕構成からなる総厚みが0.49mmの複合シートを準備した。
また底部材として、〔容器外側〕PE/板紙(坪量;350g/m2 )/PET/PE〔容器外側〕構成からなる総厚みが0.41mmの複合シートを準備した。
【0014】
この胴部材と底部材を用いて、一般的な紙カップ成形機を使用して紙製容器10を作製した。
【0015】
ただし、この紙製容器10は、胴部材に使用した板紙の剛度が高いため、胴部の端縁の周縁は外側に完全には巻き込まれず、図1または図3に示すような状態の口縁部13を形成する。
【0016】
別に、蓋材用として、〔容器外側〕PET/アルミニウム箔(Al)/PE〔容器内側〕構成からなる総厚みが0.067mmの複合シートを準備した。
この複合シートから打ち抜き機を用いて、紙製容器の開口部14とほぼ同じ外形を持ち、開口部から突出するつまみ21を有する蓋材20を作製した。
【0017】
こうして得られた蓋材20を、紙製容器10の開口部14に開口部を覆うように被せて開口部周縁を上下、左右から加熱押圧して密封シールした。
【0018】
この開口部周縁の密封シール方法について、図2(a)、(b)、(c)に基づき詳細に述べる。
【0019】
先ず、第1次シールとして、口縁部13天面と蓋材20とを上下方向に加圧可能な環状天面ヒータ1で溶融接着させる。
その際、シールと同時に開口部周縁の蓋材の不要な部分をトリミングカッター4により切り落としても良い(図2(a)参照)。
【0020】
ついで、第2次シールとして、第1次シールで溶融接着させた天面に重なるように、外方にカールした口縁部の巻き込み曲面に沿って、口縁部と蓋材とを、上下方向に加圧可能な口縁部の巻き込み曲面と略同じ曲面を有する帽子状天面ヒータ2で溶融接着させる(図2(b)参照)。
【0021】
最後に、第3次シールとして、口縁部曲面と蓋材とを、水平方向に加圧可能な内方に口縁部の巻き込み曲面と略同じ曲面を有する口縁部押さえヒータ3で溶融接着させる(図2(c)参照)。
【0022】
以上の3段階に分けて行われる加圧加熱により、蓋材20は、口縁部13の曲面に沿って広いシール面積を有して完全接着される。
【0023】
【発明の効果】
このように、本発明の紙製容器のトップシールの方法を用いると、口縁部の曲面に沿って蓋材が熱融着されるので、広い面積で紙製容器の口縁部と蓋材とが熱融着され、強い接着力を有する紙製容器ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙製容器のトップシール方法を使用して作製した紙製容器と蓋材とをトップシールした状態を示す、(a)は斜視説明図であり、(b)は部分断面説明図である。
【図2】本発明の紙製容器のトップシール方法を模式的に表した説明図であり、(a)は第1次シール、(b)は第2次シール、(c)は第3次シールを示す。
【図3】本発明の紙製容器のトップシール方法を用いて、紙製容器に蓋材を熱融着させた状況を示す要部断面説明図である。
【図4】従来の紙製容器のトップシール方法を用いて、紙製容器に蓋材を熱融着させた状況を示す要部断面説明図であり、(a)は基材に400g/m2 以下の坪量の板紙を使用した紙製容器、(b)は基材に400g/m2 以上の坪量の板紙を使用した紙製容器の場合である。
【符号の説明】
1‥‥環状天面ヒータ
2‥‥帽子状天面ヒータ
3‥‥口縁部押さえヒータ
4‥‥トリミングカッター
10‥‥紙製容器
11‥‥胴部
12‥‥底部
13‥‥口縁部
14‥‥開口部
20‥‥蓋材
21‥‥つまみ
51‥‥広いシール面積
52‥‥狭いシール面積
Claims (2)
- 胴部と底部とからなり、開口部周縁が外方にカールした口縁部を有する紙製容器の口縁部と、開口部を覆うように載置される蓋材とを、口縁部周縁で密封シールする紙製容器のトップシール方法であって、
第1次シールとして、先ず、上下方向の力で口縁部天面とそれに該当する蓋材とを熱シールし、ついで第2次シールとして、上下方向の力で第1次シールで熱シールさせた天面に重なるように外方にカールした口縁部に沿って口縁部とそれに該当する蓋材とを熱シールし、最後に第3次シールとして、水平方向の力で外方にカールした口縁部とそれに該当する蓋材とを熱シールし、紙製カップ状容器の天面から外方にカールした口縁部までを連続して熱シールさせることを特徴とする紙製容器のトップシール方法。 - 前記第1次シールと同時に開口部に被せた蓋材の周縁をトリミングすることを特徴とする請求項1記載の紙製容器のトップシール方法。
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