JP4437746B2 - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、粒子線や電子線のような活性放射線の照射により現像液に対する溶解性が変化する感放射線性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、保護膜、平坦化膜、電気絶縁膜などの電子部品用樹脂膜であって透明性に優れた樹脂パターン膜を形成するための材料として好適な感放射線性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品や、液晶ディスプレイ用カラーフィルタなどには、その劣化や損傷を防止するための保護膜、素子表面や配線を平坦化するための平坦化膜、電気絶縁性を保つための電気絶縁膜等、機能性の電子部品用樹脂膜が設けられている。また、薄膜トランジスタ型液晶表示素子や集積回路素子には、層状に配置される配線の間を絶縁するために層間絶縁膜が機能性の電子部品用樹脂膜として設けられている。
しかし、従来から電子部品形成用材料として知られている熱硬化性材料を用いても十分な平坦性を有する層間絶縁膜が形成できない場合があり、微細なパターニングが可能な新しい感放射線性絶縁膜形成材料の開発が求められてきた。また、近年、配線やデバイスの高密度化にともない、これらの材料に低誘電性が求められるようになってきた。
このような要求に対応して、エステル基含有ノルボルネン系単量体を開環重合し、水素添加した後、エステル基部分を加水分解して得られるカルボキシル基が結合したアルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂と、酸発生剤と、架橋剤とを含有する組成物が提案されている(特開平10−307388号公報、特開平11−52574号公報)。
しかしながら、本発明者は、前記2つの公報記載の感放射線性樹脂組成物を用いて形成した樹脂膜は、誘電率、吸水性、平坦性、耐溶剤性、耐熱寸法安定性などには優れるものの保存安定性と現像性に劣ることを確認した。通常、工業生産においては、感放射線性樹脂組成物は、適当な容器内で調製された後、これを基板等に塗布するための装置に移された後、使用に供されるため、組成物の保存安定性は極めて重要である。
かかる知見の下、本発明者は、工業生産に適した感放射線性樹脂組成物を得ることを目的として、鋭意検討した結果、前記公報の実施例に具体的に記載されたような、タングステンを含有する触媒(タングステン触媒)存在下で、アルキルオキシカルボニル基を有する脂環式オレフィン単量体を開環重合し、水素添加後に、加水分解してカルボン酸に変換した脂環式オレフィン樹脂の代わりに、ルテニウムを含有する触媒(ルテニウム触媒)存在下で、カルボキシル基のような酸性基を有する脂環式オレフィン単量体を重合し、水素添加すると、加水分解工程を経ずにアルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂が得られ、この樹脂が工業生産に適した保存安定性を有し、更に現像性も向上した感放射線性樹脂組成物を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
【特許文献1】
特開平10−307388号公報
【特許文献2】
特開平11−52574号公報
【発明の開示】
かくして本発明によれば、アルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂(A)、酸発生剤(B)、架橋剤(C)、及び溶剤(D)を含有する感放射線性樹脂組成物であって、前記アルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂が、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体を含む重合性単量体を、ルテニウムを含有する触媒存在下で開環重合し、水素添加して得られた酸性基を有する開環重合体であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、当該感放射線性樹脂組成物を用いて成る樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜に活性放射線を照射して、前記樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて、基板上に樹脂パターン膜を形成する方法が提供される。
更に本発明によれば、当該方法により形成された透明樹脂パターン膜が提供され、当該樹脂パターン膜の電気絶縁膜が提供される。
すなわち、本発明は、
(1)アルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂(A)、酸発生剤(B)、架橋剤(C)、及び溶剤(D)を含有する感放射線性樹脂組成物であって、前記アルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂が、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体を含む重合性単量体を、ルテニウムを含有する触媒存在下で開環重合し、水素添加して得られた酸性基を有する開環重合体であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物、
(2)酸性基がカルボキシル基又はフェノール性水酸基である第1項記載の感放射線性樹脂組成物、
(3)酸性基を有する脂環式オレフィン単量体が、次式(1)で示される脂環式オレフィン単量体である第1項記載の感放射線性樹脂組成物、
【化1】
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子又は−Xm−R'(Xは、二価の基であり、mは0又は1であり、R'は置換基を有しても良い炭素数1〜7のアルキル基、芳香族基、又は酸性基である)であり、R1〜R4のうち1つ以上はR'が酸性基の−Xm−R'である。nは0〜2の整数である。)
(4)ルテニウムを含有する触媒が、中性の電子供与性配位子が配位している有機ルテニウム化合物を主成分とする触媒である第1項記載の感放射線性樹脂組成物、
(5)中性の電気供与性配位子が含窒素複素環式カルベン化合物である第4項記載の感放射線性樹脂組成物、
(6)重合性単量体として、更に、芳香族基と非プロトン性の極性基とを有する基が結合した脂環式オレフィン単量体を用いる第1項記載の感放射線性樹脂組成物、
(7)第1〜6項のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物を用いて成る樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜に活性放射線を照射して、前記樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて、基板上に樹脂パターン膜を形成する方法、
(8)第7項記載の方法により形成される透明樹脂パターン膜、及び
(9)第8項記載の樹脂パターン膜の電子部品用樹脂膜、
を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の感放射線性樹脂組成物に用いられる(A)成分であるアルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂は、重合性単量体として、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体(不飽和脂肪族環状炭化水素)を用いて、ルテニウムを含有する触媒存在下で重合した後、水素添加して得られた開環重合体である。この開環重合体は、酸性基を有するため、アルカリ性溶液への溶解性を示す。ここで酸性基は、ブレンステッド酸を生じる基であり、カルボキシル基やフェノール性水酸基(ヒドロキシフェニル基)が好ましい例として挙げられる。
本発明においては、重合性単量体として、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体以外の重合性単量体(以下、他の単量体という)を1種類以上用いることもできる。
(A)成分であるアルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂を得るのに用いる全重合性単量体のうち、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体の割合は、通常10〜100モル%、好ましくは15〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、最も好ましくは25〜70モル%である。この範囲であれば、透明性、耐熱変色性、現像性がバランスされるので好ましい。
脂環式オレフィン単量体の有する酸性基の数に格別な制限はないが、好ましくは1又は2である。酸性基を有する脂環式オレフィン単量体として、酸性基が分子内に2以上を有するものを用いる場合、その割合は、上述した範囲の中で低め(具体的には通常10〜50モル%、好ましくは20〜40モル%、より好ましくは25〜35モル%)でも、良好なパターンニング性能が得られる。逆に、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体として、酸性基を1つだけ有する脂環式オレフィン単量体のみを用いる場合、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体の割合は、上述した範囲の中でも高め(具体的には通常50〜90モル%、好ましくは55〜80モル%、より好ましくは60〜75モル%)に設計するのがよい。
また、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体は、酸性基の他に、芳香族基やアルコール性水酸基、カルボニル基などの酸性を示さない他の基を有していても良い。
酸性基を有する脂環式オレフィン単量体の好ましい例として、次式(1)で表されるものが挙げられる。
【化2】
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子又は−Xm−R'(Xは、二価の基であり、mは0又は1であり、R'は置換基を有しても良い炭素数1〜7のアルキル基、芳香族基、又は酸性基である)であり、R1〜R4のうち1つ以上はR'が酸性基の−Xm−R'である。nは0〜2の整数である。)
式(1)において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子又は−Xm−R'(Xは、二価の基であり、mは0又は1であり、R'は置換基を有しても良い炭素数1〜7のアルキル基、芳香族基、又は酸性基である)であり、これらのうち、1つ以上、好ましくは1又は2つはR'が酸性基の−Xm−R'である。特に、R1〜R4のうち、1又は2つが−Xm−R'(R'は酸性基である)であり、残りは水素原子であるのが好ましい。R1〜R4のうち、いずれか二つが、R'が酸性基である−Xm−R'の場合、異なる炭素に結合している(例えば、R1とR3との組み合わせ)のが好ましい。
式(1)においてXは二価の基であり、具体的には、アルキレン基、アリーレン基、−O−、−R−C(=O)−R−(Rはアルキレン基又はアリーレン基)などが挙げられ、安定性の観点からアルキレン基やアリーレン基が好ましい。
式(1)においてmは、0又は1であり、生産性の観点から0であるのが好ましい。
アルキル基は、直鎖、分岐又は環状の炭素数1〜7の飽和炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−エチルブチル基、3−メチルペンチル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2−エチル−3−メチルブチル基、イソヘプチル基、シクロヘプチル基、3−メチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
また、これらのアルキル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基(アルコール性水酸基)、−C(=O)−R、−OR、−C(=O)−O−R、−OC(=O)−R(Rは、いずれもアルキル基又はアリール基である)のような置換基を有していても良い。
重合性単量体として用いることのできる他の単量体は、脂環式オレフィン単量体(但し酸性基を有しない)であっても、エチレンのような、非脂環式単量体(不飽和脂肪族鎖状炭化水素)であっても良いが、耐熱性の観点から、用いる重合性単量体全量に対して、非脂環式単量体の使用量は、通常50モル%以下、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、特に好ましくは20モル%以下となる範囲である。
好ましい他の単量体としては、芳香族基と非プロトン性極性基とを有する基を含む脂環式オレフィン単量体、極性基を有さない脂環式オレフィン単量体及び芳香族基を有さず非プロトン性極性基を有する脂環式オレフィン単量体が挙げられる。
芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレン基などが挙げられ、感度の良好さからフェニル基が好ましい。またこれらの芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子などの他の原子や、アルキル基などの有機基に置換されていても良い。
非プロトン性極性基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などの非共有電子対を有するヘテロ原子を含む一価又は多価の非プロトン性原子団であれば良く、例えば、N,N−ジ置換アミノ基、カルボニル基、カルボニルオキシカルボニル基、オキシカルボニル基、エーテル基、チオエーテル基、N−置換アミド基、N−置換イミド基などが挙げられる。
芳香族基と非プロトン性極性基とを含む基の好ましい例としては、N−フェニルジカルボキシイミド基などのN−フェニル置換イミド基;N−フェニルアミド基などのN−フェニル置換アミド基;フェノキシカルボニル基やメトキシカルボニルオキシフェニル基などのフェニルエステル基;等が挙げられる。特に好ましい芳香族基と非プロトン性極性基とを有する基はN−フェニルジカルボキシイミド基である。
極性基を有さない脂環式オレフィン単量体は、フェニル基のような芳香族炭化水素基やメチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基などの脂肪族炭化水素基のような非極性基を有していても良い。
本発明に関わる脂環式オレフィン樹脂(A)を得るのに用いることのできる重合性単量体の具体例は後述する。
本発明に関わる脂環式オレフィン樹脂(A)は、重合性単量体として、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体や必要に応じて用いられる他の単量体を、ルテニウム触媒存在下で開環重合した後、水素添加(主鎖二重結合を水素添加)することにより得られる。
本発明において使用されるルテニウム触媒は、開環重合を促進する、ルテニウムを含有する触媒であり、好ましくは中性の電子供与性配位子が配位している有機ルテニウム化合物を主成分とする触媒である。当該有機ルテニウム化合物を構成する中性の電子供与性配位子は、中心金属(すなわちルテニウム)から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子である。
また、本発明に用いる好適な有機ルテニウム化合物には、アニオン性配位子が配位している。アニオン性配位子は、ルテニウムから引き離されたときに負の電荷を持つ配位子である。また、有機ルテニウム化合物には、さらに対アニオンが存在していてもよい。対アニオンは、ルテニウム陽イオンとイオン対を形成する陰イオンをいい、こうした対を形成できる陰イオンであれば特に限定されない。
本発明に用いる好適な有機ルテニウム化合物の代表例として次式(2)で表されるものが挙げられる。
[(L2)c(Y2)dRu=(C=)eCQ2]y (2)
(式(2)中、L2はそれぞれ独立に中性の電子供与性配位子を表し、Y2はそれぞれ独立にアニオン性の配位子を表す。Qはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜20個の炭化水素基(ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子、硫黄原子を含んでいてもよい)を表す。c、d及びyはそれぞれ独立に1〜4の整数を表し、eは0または1を表す。)
中性電子供与性配位子としては、酸素、水、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、エ−テル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スチビン類、スルホキシド類、チオエーテル類、アミド類、芳香族類、ジオレフィン類(環状であってもよい)、オレフィン類(環状であってもよい)、イソシアニド類、チオシアネ−ト類、含窒素複素環式カルベン化合物などが挙げられる。なかでも、ビピリジンなどのピリジン類;トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのホスフィン類;p−シメンなどの芳香族類;シクロペンタジエンなどの環状ジオレフィン類;又は1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデンなどの含窒素複素環式カルベン化合物が配位していると重合活性が高くなる場合がある。
アニオン性配位子としては、F、Br、Cl、Iなどのハロゲン、ヒドリド、アセチルアセトナート基などのジケトナート基、シクロペンタジエニル基、アリル基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボキシル基、カルボキシル基、アルキルまたはアリールスルフォネート基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基などを挙げることができる。なかでも、ハロゲン、シクロペンタジエニル基、アリル基、アルキル基又はアリール基が配位していると重合活性の点で優れている。
上記一般式(2)におけるQの具体例としては、水素、アルケニル基、アルキニル基、アルキル基、アルキリデン基、アリール基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基などを挙げることができる。なかでも、炭素数1〜100のアルキル基、アルキリデン基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基が配位していると触媒の共重合活性が高くなる場合がある。
一般式(2)で表される重合触媒の例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)−3,3−ジフェニルプロペニリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
また、上述した重合触媒の重合活性を高める方法として、ピリジン類;ホスフィン類;前述の1,3−ジイソプロピルイミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデンなどの、含窒素複素環式カルベン化合物などの中性の電子供与性化合物をルテニウム金属に対して、重量比で1〜100倍の割合で添加することもできる。
さらに、式(2)で表される重合触媒を使用する場合には、重合活性を高めるために、例えば、N2CHCOOEtなどのジアゾ化合物、フェニルアセチレンなどのアセチレン化合物またはEt2SiH、Ph2MeSiHなどのシリル化合物を、ルテニウム金属に対して、重量比で1〜100倍の割合で添加することもできる。Etはエチル基、Phはフェニル基、Meはメチル基である。
開環重合反応は溶媒中で行っても、無溶媒中で行ってもよいが、重合反応後、重合体を単離せずにそのまま水素添加反応ができるので、溶媒中で重合する方が好ましい。重合溶媒は、重合性単量体を溶解し、かつ重合反応を阻害しない溶媒であれば特に限定されない。重合溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどの含窒素系炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどの含ハロゲン系炭化水素が挙げられる。これらの溶媒の中でも、比誘電率が2〜5、好ましくは2.1〜4.5の範囲に含まれる溶媒、又は2種以上の溶媒を混合して上記比誘電率の範囲に含まれるようにした混合溶媒が好ましい。溶媒の比誘電率は”Organic solvent”第2版、John A. Riddick and Emory E. Toops Jr.,1955に開示されている。
重合を溶媒中で行う場合には、重合性単量体の濃度は、1〜50重量%とすることが好ましく、2〜45重量%とすることがより好ましく、5〜40重量%とすることが特に好ましい。重合性単量体の濃度が1重量%未満では重合体の生産性が悪くなることがあり、50重量%を超えると共重合後の粘度が高すぎて、その後の水素添加反応が遅くなることがある。
重合触媒の量は、重合触媒中の脂環式オレフィン単量体に対する金属ルテニウムのモル比(金属ルテニウム:単量体)で、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000である。触媒量が1:100の比よりも多くなると触媒除去が困難となることがある。1:2,000,000の比よりも少なくなると十分な共重合活性が得られないことがある。重合温度は特に制限はないが、通常、−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜180℃、より好ましくは−30℃〜160℃、最も好ましくは0℃〜140℃である。重合時間は、通常1分〜100時間であり、重合の進行状況によって適宜調節することができる。
水素添加反応は、通常、水素添加触媒の存在下に水素を導入し、開環重合体の主鎖中の不飽和二重結合を飽和単結合にする反応である。
水素添加反応に用いる水素添加触媒は、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものであればよい。
水素添加触媒としては、酢酸コバルトとトリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナートとトリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリドとn−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリドとsec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネートとジメチルマグネシウムのごとき遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなるチーグラー系触媒;上記一般式(2)で示される有機ルテニウム化合物、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムや、特開平7−2929号公報、特開平7−149823号公報、特開平11−209460号公報、特開平11−158256号公報、特開平11−193323号公報などに記載されているルテニウム化合物のごとき貴金属錯体触媒などの均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムなどの金属を、カーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた不均一触媒;具体的にはニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ、ルテニウム/シリカ、ルテニウム/アルミナ、ルテニウム/カーボン、白金/シリカ、白金/アルミナ、ロジウム/アルミナ、ロジウム/カーボンなどが挙げられる。
これらの水素添加触媒のうち、官能基が変性するなどの副反応が起きず、重合体中の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素添加できる点から、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属錯体触媒が好ましく、電子供与性の高い含窒素複素環式カルベン化合物若しくはホスフィン類が配位したルテニウム触媒が特に好ましい。
ルテニウム触媒は、前述のごとく重合触媒でもあるので、開環重合反応に引き続いて、水素添加反応を行うことができる。このとき、あるいはエチルビニルエーテルなどのビニル化合物やα−オレフィンなどの触媒改質剤を添加してルテニウム触媒の活性を高めることができる。
水素添加反応は、通常、有機溶媒中で実施する。有機溶媒は生成する水素添加物の溶解性により適宜選択することができ、前記重合溶媒と同様の有機溶媒を使用することができる。したがって、重合反応後、溶媒を入れ替えることなくそのまま水素添加触媒を添加して反応させることもできる。
水素添加反応の好適な条件は、使用する水素添加触媒によって異なるが、開環重合により、脂環式オレフィン単量体より生じるC=C二重結合以外の不飽和結合を水素化しない範囲を選択するのが好ましい。この観点から、反応温度は、通常−20〜250℃、好ましくは−10〜220℃、より好ましくは0〜200℃であり、水素圧力は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.05〜8MPa、より好ましくは0.1〜5MPaである。反応温度が−20℃未満では反応速度が遅くなり、逆に250℃を超えると副反応が起こりやすい。また、水素圧力が0.01MPa未満では水素添加速度が遅くなり、10MPaを超えると高耐圧反応装置が必要となる。水素添加反応時間は、水素添加率をコントロールするために適宜選択される。水素添加反応時間が0.1〜50時間の範囲では、共重合体中の主鎖の炭素−炭素二重結合のうち、50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上を水素添加することができる。
本発明において用いられる脂環式オレフィン樹脂(A)の重量平均分子量は通常500〜20,000、好ましくは1,000〜15,000、より好ましくは2,000〜10,000である。
以下に、脂環式オレフィン樹脂(A)の原料となる重合性単量体を例示する。
本発明に関わる重合性単量体である酸性基を有する脂環式オレフィン単量体として、前式(1)記載の化合物が挙げられる。
式(1)で表される化合物の具体例としては、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8,9−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8,9−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−カルボキシメチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、11−ヒドロキシカルボニルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エン、11,12−ジヒドロキシカルボニルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エン、11−メチル−11−ヒドロキシカルボニルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エン、11−カルボキシメチル−11−ヒドロキシカルボニルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エン;などが挙げられる。
他の単量体としては以下のものが例示される。
芳香族基と非プロトン性極性基とを含む基を有する脂環式オレフィン単量体としては、N−(4−フェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、N−(4−フェニル)−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)、2−(4−メトキシフェニル)−5−ノルボルネン、2−(4−メトキシフェニル)−5−ノルボルネン、2−ベンジロキシカルボニル−5−ノルボルネンのように芳香環を含む基に非プロトン性極性基が直接結合している単量体;などが挙げられる。
極性基を有さない脂環式オレフィン単量体由来の構造単位を与える単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[7.4.0.110,13.02,7]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(別名:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[8.4.0.111,14.02,8]テトラデカ−3,5,7,12−11−テトラエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12 , 5.17 , 10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12 , 5.17 , 10]ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6.5.1.13 , 6.02 , 7.09 , 13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.0.13 , 6.110 , 13.02 , 7]ペンタデカ−4,11−ジエン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、ビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[6.6.0.12,5.18,13]テトラデカ−3,8,10,12−テトラエン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
芳香族基を有さず非プロトン性の極性基を有する脂環式オレフィン単量体としては、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8,9−ジカルボン酸無水物、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エン−11,12−ジカルボン酸無水物、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなども用いることができる。
非脂環式単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレン又はα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;等の不飽和炭化水素化合物を用いることもできる。これらの中でも、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン化合物やジエン化合物は、単量体全量に対して0.1〜10モル%程度を添加すると、開環重合体の分子量調整剤としても機能することが知られている。
本発明に用いる酸発生剤(B)は、活性放射線の照射により酸を発生させる化合物である。
ポジ型パターンを与える酸発生剤としては、キノンジアジドスルホン酸エステルが挙げられる。キノンジアジドスルホン酸エステルは、一般的に感光剤として用いられている、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドなどのキノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を1つ以上有するフェノール類とのエステル化合物である。フェノール類としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、ノボラック樹脂のオリゴマー、フェノール類とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー(特許第3090991号公報)などが挙げられる。
酸発生剤の量は、脂環式オレフィン樹脂100重量部に対して、通常0.5〜100重量部であり、好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは10〜30重量部である。酸発生剤が少なすぎると残膜率や解像性が悪くなるおそれがあり、逆に、酸発生剤が多すぎると、耐熱性や光透過性が低下する可能性がある。
本発明において架橋剤(C)は、加熱により架橋剤分子間に架橋構造を形成するものや、脂環式オレフィン樹脂と反応して脂環式オレフィン樹脂間に架橋構造を形成するものであり、具体的には、2以上の反応性基を有する化合物である。かかる反応性基としては、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基などが好ましい。
架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン類;4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族ポリアミン類;2,6−ビス(4'−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4'−ジアジドジフェニルスルフォンなどのアジド化合物;ナイロン、ポリヘキサメチレンジアミンテレレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミドなどのポリアミド類;N,N,N',N',N",N"−(ヘキサアルコキシメチル)メラミンなどのメラミン類;N,N',N",N"'−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリルなどのグリコールウリル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート樹脂などのアクリレート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネートなどのイソシアネート系化合物;水添ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート;1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)ノルボルナン;1,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン;脂環式構造含有のエポキシ化合物又は樹脂などが挙げられる。
架橋剤の量は、格別制限されず、パターンに求められる耐熱性の程度を考慮して任意に設計すればよいが、脂環式オレフィン樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは10〜70重量部、最も好ましくは20〜50重量部である。架橋剤が多すぎても少なすぎても耐熱性が低下する傾向にある。
本発明において溶剤(D)は、上述してきた各成分を溶解する溶剤を用いればよい。このような溶剤として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトンなどの非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。
本発明の感放射線性樹脂組成物には、ストリエーション(塗布すじあと)の防止、現像性の向上などの目的で、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンジラウレートなどのノニオン系界面活性剤、新秋田化成株式会社製エフトップシリーズ、大日本インキ化学工業株式会社製メガファックシリーズ、住友スリーエム株式会社製フロラードシリーズ、旭硝子株式会社製アサヒガードシリーズなどのフッ素系界面活性剤、信越化学工業株式会社製オルガノシロキサンポリマーKPシリーズなどのシラン系界面活性剤、共栄社化学株式会社製ポリフローKLシリーズなどのアクリル酸共重合体系界面活性剤などの各種界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤は、感放射線性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、通常、2重量部以下、好ましくは1重量部以下の量で必要に応じて用いられる。
本発明の感放射線性樹脂組成物には、基板との接着性を向上させる目的で、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの官能性シランカップリング剤などを接着助剤として添加しても良い。接着助剤の量は、脂環式オレフィン樹脂100重量部に対して、通常20重量部以下、好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。
さらに本発明の感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて帯電防止剤、保存安定剤、消泡剤、顔料、染料、酸化防止剤、増感剤などを含んでいてもよい。
上述してきた、本発明の組成物を構成する各成分は、それぞれ1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、各成分を、常法に従って混合して得られる溶液である。本発明の感放射線性樹脂組成物の固形分濃度は、必要な樹脂膜の厚みを考慮して、任意に設定すればよいが、操作性の観点から、通常5〜40重量%である。
調製された感放射線性樹脂組成物は、0.1〜5μm程度のフィルタ等を用いて異物などを除去した後、使用に供することが好ましい。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、ディスプレイ表示素子、集積回路素子などの素子や、液晶ディスプレイ用カラーフィルタなどの保護膜、素子表面や配線を平坦化するための平坦化膜、電気絶縁性を保つための絶縁膜(薄型トランジスタ型液晶表示素子や集積回路素子の電気絶縁膜である層間絶縁膜やソルダーレジスト膜などを含む)のような各種の電子部品用樹脂パターン膜の材料として好適である。
上述してきた本発明の感放射線性樹脂組成物から成る樹脂膜を、基板に積層し、マスクパターンを介して活性放射線を照射して、前記樹脂膜中に潜像パターンを形成し、潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることにより樹脂パターンを顕在化させて基板上に樹脂パターン膜を形成する。
基板に樹脂膜を積層する方法に格別な制限はなく、例えば基板表面に本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布、乾燥して基板上に流動性のない樹脂膜を形成する方法などが挙げられる。
基板表面や支持体に本発明の感放射線性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法などの各種の方法を採用することができる。次いでこの塗膜を、加熱により乾燥し、流動性のない樹脂膜を得る。基板表面に直接樹脂膜を形成する場合の加熱条件は、各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、通常60〜120℃で10〜600秒間程度である。基板表面に感放射線性樹脂組成物を塗布、乾燥して基板上に直接樹脂膜を形成する方法において、乾燥のための加熱を、一般に「プリベーク(Pre−Bake)」と言う。
得られた樹脂膜に活性放射線を照射し、樹脂膜に潜像パターンを形成する。活性放射線の種類は特に制限されず、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、プロトンビーム線などが挙げられ、特に可視光線、紫外線が好ましい。照射する放射線量は、樹脂膜の種類や厚みにより任意に設定することができる。また、パターンの形成は、マスクを介して照射線を照射することによっても、電子線などで直接描画することによってもよい。
現像液はアルカリ性化合物を水に溶解した水性液であり、アルカリ性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、N−メチルピロリドンなどの第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンなどの環状アミン類;等が挙げられる。これらアルカリ性化合物は1種類を単独で、又は2種類以上を混合して用いることができる。
現像液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加することもできる。
現像時間は、特に制限されないが、通常30〜180秒間である。また現像液と潜像パターンを有する樹脂膜との接触方法は特に制限されず、例えば、パドル法、スプレー法、ディッピング法などによればよい。
現像温度は、特に制限されないが、通常15〜35℃、好ましくは20〜30℃である。
このようにして基板上に目的とする樹脂パターン膜を形成した後、必要に応じて、基板上、基板裏面、基板端部に残る不要な現像残渣を除去するために、この基板とリンス液とを常法により接触させることができる。リンス液と接触させた基板は、通常、圧縮空気や圧縮窒素で乾燥させることによって、基板上のリンス液を除去する。さらに、必要に応じて、基板の樹脂パターン膜のある面に活性放射線を全面照射することもできる。
基板上に形成された樹脂パターン膜は、必要に応じて、加熱(ポストベーク:Post Bake)により硬化される。加熱することは、樹脂パターン膜の耐熱性向上の観点から好ましい。加熱の方法に格別な制限はなく、例えばホットプレート、オーブンなどの加熱装置により行われる。加熱温度に格別な制限はなく、通常150〜300℃、好ましくは200〜250℃であり、加熱時間に格別な制限はなく、例えばホットプレートを用いる場合、通常5〜60分間、オーブンを用いる場合、通常30〜90分間である。
本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂パターン膜は、透明性に優れた透明樹脂膜である。この本発明の樹脂パターン膜は、例えば、半導体素子、発光ダイオード、各種メモリー類のごとき電子素子;ハイブリッドIC、MCM、プリント配線基板などのオーバーコート材;多層回路基板の層間絶縁膜;液晶ディスプレイの絶縁層など、各種の電子部品用の樹脂膜として好適に用いることができる。
実施例
以下に合成例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
[合成例1]
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン100部、1−ヘキセン1.3部、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.05部、テトラヒドロフラン400部を、窒素置換したガラス製耐圧反応容器に仕込み、70℃に加熱して2時間攪拌して反応溶液を得た。この反応溶液中に、モノマーが残留していないことをガスクロマトグラフィーにて確認した。得られた反応溶液を大量のn−ヘキサン中に注いで固形分を析出させた。得られた固形分をn−ヘキサンで洗浄した後、100℃で18時間減圧乾燥し、白色固体の開環メタセシス共重合体を得た。攪拌機付きオートクレーブに、この開環メタセシス共重合体100部、テトラヒドロフラン400部、水素添加触媒としてパラジウム/カーボン(10%パラジウム)5部を添加して、水素圧1.0MPa、60℃で8時間水素添加した。この反応溶液をろ過した後、上記と同様に大量のn−ヘキサン中で凝固、乾燥して、カルボキシル基を有する脂環式オレフィン樹脂であるポリマーAを得た。このポリマーの水素添加率は100%であり、カルボキシル基は全て残存していることを1H−NMRスペクトルにより確認した。尚、ここで水素添加率は、開環重合により脂環式オレフィン単量体より生じた脂肪族性のC=C結合に対する割合である。
[合成例2]
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンの代わりに、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンとビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンとの混合物(80/20(モル比))100部を用いたこと以外は合成例1と同様にして、カルボキシル基を有する脂環式オレフィン樹脂であるポリマーBを得た。このポリマーの水素添加率は100%であり、カルボキシル基は全て残存していることを、1H−NMRスペクトルで確認した。
[合成例3]
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンの代わりに、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンと8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンとの混合物(95/5(モル比))100部を用いたこと以外は合成例1と同様にして、酸性基を有する脂環式オレフィン樹脂であるポリマーCを得た。このポリマーの水素添加率は100%であり、また、カルボキシル基は全て残存していることを、1H−NMRスペクトルにより確認した。
[合成例4]
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンの代わりに、8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンと8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンとビシクロ[2.2.1.]ヘプト−2−エンとの混合物(78/2/20(モル比))100部を用いたこと以外は合成例1と同様にして、酸性基を有する脂環式オレフィン樹脂であるポリマーDを得た。このポリマーの水素添加率は100%であり、また、カルボキシル基及びエステル基は全て残存していることを、1H−NMRスペクトルにより確認した。
[比較合成例1]
特開平10−307388号公報の合成例1に開示されている、タングステン触媒を用いた重合方法に準じて、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンを開環重合し、重量平均分子量が16,800の開環重合体を得た。重合転化率はほぼ100%であった。次いで得られた開環重合体を水素添加した後、加水分解反応を190℃で4.5時間実施して水素添加率100%、加水分解率95%の、極性基を有する脂環式オレフィン樹脂(ポリマーE)を得た。
[比較合成例2]
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンの代わりに、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンと5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンとの混合物(80/20(モル比))100部を用いたこと以外は合成例1と同様にして開環重合反応、水素添加反応し、次いで比較合成例1と同様にして加水分解を行い水素添加率100%、加水分解率97%の、極性基を有する脂環式オレフィン樹脂(ポリマーF)を得た。
得られた各ポリマー中のカルボキシル基及びメチルオキシカルボニル基のモル分率を第1表に示す。
【表1】
[実施例1]
合成例1で得られた酸性基を有する脂環式オレフィン樹脂(ポリマーA)100重量部と、溶剤としてシクロヘキサノン550部、酸発生剤として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物20重量部、架橋剤としてCYMEL300 25部、接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5部、界面活性剤としてメガファックF172(大日本インキ化学工業株式会社製)0.05部を混合し溶解させた後、孔径0.45μmのミリポアフィルタで濾過して感放射線性樹脂組成物溶液を調製した。この溶液をシリコン基板上、ガラス基板上、及び1μmの段差を有するシリコン酸化膜基板(以下、有段差基板という)上に、それぞれスピンコートした後、90℃にて2分間ホットプレート上でプリベークして、膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜付きのシリコン基板、ガラス基板及び有段差基板上に所定のパターンを有するマスクを置き、波長365nm、光強度5mW/cm2の紫外線を空気中で40秒間照射した。次いで0.3%のテトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、25℃×60秒間の現像処理を行った。その後、超純水でリンス処理を1分間行い、ポジ型のパターンを有する薄膜を形成した。その後、全面に365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を60秒間照射した。このパターンが形成されたシリコン基板とガラス基板及び1μm段差を有するシリコン酸化膜基板をホットプレート上で200℃、30分間加熱することにより、パターン及び塗膜のポストベークを行い、パターン状薄膜を形成したシリコン基板、ガラス基板、及び有段差基板を得た。
[実施例2〜4]
ポリマーAの代わりに、ポリマーB〜Dを用いる以外は実施例1と同様にして、パターン状薄膜を形成したシリコン基板、ガラス基板、及び有段差基板を得た。
[比較例1,2]
ポリマーAの代わりに、ポリマーE(比較例1)、ポリマーF(比較例2)を用いる以外は実施例1と同様にして、パターン状薄膜を形成したシリコン基板、ガラス基板、及び有段差基板を得た。
以上、実施例及び比較例において得られた各種のシリコン基板はいずれも、JIS C6481に準じて測定された10kHz(室温)での比誘電率(ε)が2.85未満であり、また基板を220℃のオーブンで60分間加熱した後の膜厚が、加熱前の膜厚の95%以上であり、比誘電率と耐熱寸法安定性に優れることが確認された。さらに、実施例及び比較例において得られた各種のガラス基板はいずれも、日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計(V−570)を用いて測定された400〜800nmの波長での最低光線透過率(t)が90%以上、基板を220℃のオーブンで60分間加熱した後、同様に測定された最低光線透過率(t')と加熱前の最低光線透過率(t)との差が5%未満、基板を70℃のジメチルスルホキシド中に30分間浸漬して膜厚変化率(S)が10%未満と、透明性、耐熱変色性及び耐溶剤性に優れていることが確認された。そして、パターン状薄膜が形成された段差有基板について、段差を接触式膜厚測定器で測定したところ、いずれも0.1μm未満と高い平坦性のあることが確認された。
これらの評価の他、各実施例及び比較例で用いた樹脂(ポリマーA〜F)の現像性と保存安定性を、以下の方法により評価した。その結果を第2表に示した。
(1)現像性
シリコン基板上に形成したポジ型レジストパターンについて、現像後のスカムや現像残りの程度を、走査型電子顕微鏡にて観察した。現像後のスカムも現像残りもないものを「良好」、現像残りはないが現像後のスカムのあるものを「スカム発生」、現像後のスカムはないが現像残りがあるものを「現像残りあり」、現像後のスカムも現像残りもあるものを「不良」と評価した。
(2)保存安定性
各実施例で調製された感放射線性樹脂組成物をガラスアンプル中に入れて密閉し、室温で放置して1週間後に溶液を観察し、全く変化が見られない時を○、僅かな粘度上昇があり、やや白濁した時を△、白化してゲル状になった時を×と評価した。
【表2】
この結果より、カルボキシル基を有する脂環式オレフィン単量体を含む重合性単量体を、ルテニウム触媒を用い重合し、水素添加して得られた化合物は、比誘電率、透明性、耐熱寸法安定性、耐溶剤性、平坦性の特性バランスを維持したまま、優れた現像性と保存安定性を確保している(実施例1〜4)。一方、特開平10−307388号公報に記載されたような、アルキルオキシカルボニル基を有する脂環式オレフィン単量体を、タングステン触媒を用いて開環重合し、水素添加した後、加水分解してカルボキシル基に変換した脂環式オレフィン樹脂を用いると、現像性と保存安定性に劣ることが判る(比較例1)。また、ルテニウム触媒を用いて開環重合、水素添加した樹脂であっても、加水分解により酸性基を生じさせたものでは、現像性と保存安定性が低下していることが判る(比較例2)。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、比誘電率、透明性、耐熱寸法安定性、耐溶剤性、平坦性に優れるばかりでなく、良好な現像性と保存安定性をもつ感放射線性樹脂組成物を得ることができ、この組成物を用いて得られる樹脂膜は、優れた透明性を有することから、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子等の電子部品や、液晶ディスプレイ用カラーフィルタ、保護膜、平坦化膜、電気絶縁膜などの電子部品用樹脂膜であって透明性に優れた透明樹脂パターン膜を与えることができる。
Claims (9)
- アルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂(A)、酸発生剤(B)、架橋剤(C)、及び溶剤(D)を含有する感放射線性樹脂組成物であって、前記アルカリ可溶性脂環式オレフィン樹脂が、酸性基を有する脂環式オレフィン単量体を含む重合性単量体を、ルテニウムを含有する触媒存在下で開環重合し、水素添加して得られた酸性基を有する開環重合体であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
- 酸性基がカルボキシル基又はフェノール性水酸基である請求項1記載の感放射線性樹脂組成物。
- ルテニウムを含有する触媒が、中性の電子供与性配位子が配位している有機ルテニウム化合物を主成分とする触媒である請求項1記載の感放射線性樹脂組成物。
- 中性の電気供与性配位子が含窒素複素環式カルベン化合物である請求項4記載の感放射線性樹脂組成物。
- 重合性単量体として、更に、芳香族基と非プロトン性の極性基とを有する基が結合した脂環式オレフィン単量体を用いる請求項1記載の感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物を用いて成る樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜に活性放射線を照射して、前記樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて、基板上に樹脂パターン膜を形成する方法。
- 請求項7記載の方法により形成される透明樹脂パターン膜。
- 請求項8記載の樹脂パターン膜の電子部品用樹脂膜。
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