JP5401835B2 - ポジ型の感放射線性樹脂組成物、隔壁及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Description
この発光体部の周囲には、他の素子や配線と電気的に絶縁するため、隔壁(画素分離膜、画素定義膜、素子分離膜ともいう)が設けられている。
この隔壁の形成には、アルカリ溶解性樹脂と、1,2−キノンジアジド化合物の組み合わせからなる感放射線性樹脂組成物が使用されてきた。しかしながら、この樹脂組成物を用いて有機EL素子用の隔壁を形成した場合、ガスが発生する(脱ガスとも言う)ために素子の発光部分にシュリンク(ダークエリア)が発生し、寿命の長い有機EL素子を安定的に製造することが困難であった。
また、上記特性を有する隔壁を有する、高輝度で信頼性に優れた有機EL素子を提供することを目的としてなされたものである。
また、上記特性を有する隔壁を有する、高輝度で信頼性に優れた有機EL素子を提供することができる。
これを用いて、信頼性に優れ、長寿命の有機EL表示装置を得ることができる。
本発明において、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体に結合しているプロトン性極性基の数に特に限定はなく、また、相異なる種類のプロトン性極性基が含まれていてもよい。
環状オレフィン重合体の全構造単位中、環状オレフィン単量体単位の割合は、通常、30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。
本発明において、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体は、単量体(a)と、単量体(b)及び/又は単量体(c)とから構成されることが好ましく、単量体(a)と単量体(b)とから構成されることが更に好ましい。
エステル基を有する環状オレフィンとしては、例えば、5−アセトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−アセトキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−エトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等が挙げられる。
シアノ基を有する環状オレフィンとしては、例えば、9−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
ハロゲン原子を有する環状オレフィンとしては、例えば、9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等が挙げられる。
これらのプロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィン単量体(b)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの極性基を一切持たない環状オレフィン単量体(c)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの環状オレフィン以外の単量体(d)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
プロトン性極性基を有しない重合体は、前記単量体(b)〜(d)を任意に組み合わせて重合することによって得ることができる。
このような化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、アトロパ酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸;アリルアルコール、メチルビニルメタノール、クロチルアルコール、メタリルアルコール、1−フェニルエテン−1−オール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、4−メチル−4−ぺンテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール等の不飽和アルコール;等が挙げられる。
この変性剤を用いる環状オレフィン重合体の変性反応は、常法に従えばよく、通常、ラジカル発生剤の存在下で行われる。
重合触媒としては、例えば、モリブデン、ルテニウム、オスミウム等の金属錯体が好適に用いられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。重合触媒の量は、重合触媒中の金属化合物:環状オレフィンのモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。
水素添加触媒としては、例えば、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、チーグラータイプの均一系触媒、貴金属錯体触媒、及び担持型貴金属系触媒等が利用できる。
これらの水素添加触媒のうち、官能基が変性する等の副反応が起きず、重合体中の主鎖の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素添加できる点から、ロジウム、ルテニウム等の貴金属錯体触媒が好ましく、電子供与性の高い含窒素複素環式カルベン化合物又はホスフィン類が配位したルテニウム触媒が特に好ましい。
水素化率は、1H−NMRスペクトルにより、測定することができる。例えば、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の、水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として求めることができる。
R’で示される、置換基を有していてもよいアルキル基は、通常、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜7のアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族基は、通常、炭素数6〜10の芳香族基であり、その例としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。これらのアルキル基や芳香族基の置換基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;等が挙げられる。
R’で示されるプロトン性極性基としては、上述したような基が挙げられる。
プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体の分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、測定することができる。例えば、テトラヒドロフラン等の溶媒を溶離液とし、ポリスチレン換算分子量として求めることができる。
架橋剤(B)としては、1)加熱により架橋剤分子間に架橋構造を形成するものや、2)プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体と反応し得る官能基を、分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上有するものが用いられる。架橋剤(B)の有する官能基はバインダー樹脂中の官能基や不飽和結合等と反応しうるものであれば、特に限定されないが、プロトン性極性基と反応し得るものが好ましい。
このような架橋剤(B)としては、アミノ基を有する化合物、カルボキシ基を有する化合物、水酸基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、ブロック基により保護されたイソシアネート基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、及びアルコキシメチル基を有する化合物、及びこれらの基を複数有する化合物等が挙げられ、より好ましくは、エポキシ基を有する化合物、ブロック基により保護されたイソシアネート基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、及びアルコキシメチル基を有する化合物であり、エポキシ基を有する化合物が最も好ましい。
その具体例としては、環状脂肪族エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル、エポキシアクリレート重合体等を挙げることができる。
芳香族アミン型多官能エポキシ化合物(商品名「H−434」、東都化成工業社製)、クレゾールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「EOCN」、日本化薬社製)、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「エピコート152」、ジャパンエポキシレジン社製)、ナフタレン骨格を有する多官能エポキシ化合物(商品名「EXA4700」、大日本インキ化学社製)、鎖状アルキル多官能エポキシ化合物(商品名「SR−TMP」、坂本薬品工業社製)、多官能エポキシ化ポリブタジエン(商品名「エポリードPB3600」、ダイセル化学工業社製)、グリセリンのグリシジルポリエーテル化合物(商品名「SR−GLG」、阪本薬品工業株式会社製)、ジグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−DGE」、阪本薬品工業株式会社製、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−4GL」、阪本薬品工業株式会社製)等の脂環構造を有しないエポキシ基が3個以上の多官能エポキシ化合物;
これらの中でも、架橋剤(B)としては、多官能エポキシ化合物が好ましく、透明性に優れ、ガスの発生が少なく、加熱焼成時の収縮が小さいことから、脂環構造を有し且つエポキシ基が3個以上の多官能エポキシ化合物が、特に好ましい。
感放射線化合物(C)を含有する樹脂組成物は、パターン形成工程において、ドライエッチ用のレジストや、ドライエッチ装置を用いることなく、フォトリソグラフィー法により、パターン形成をすることも、できる。
本発明で使用する感放射線化合物(C)は、紫外線や電子線等の放射線の照射により、化学反応を引き起こすことのできる化合物である。本発明において感放射線化合物(C)は、樹脂組成物から形成される樹脂膜の現像液への溶解性を制御できるものが好ましい。
本発明においては感放射線化合物(C)として光酸発生剤を使用することが好ましい。
これらの中でも、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール性水酸基を有する化合物との縮合物が好ましく、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(2.5モル)との縮合物がより好ましい。
これらの感放射線化合物(C)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、樹脂組成物の成分として、光安定剤を含有することが好ましい。
光安定剤は、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、金属錯塩系等の紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系(HALS)等、光により発生するラジカルを捕捉するもの等のいずれでもよい。これらのなかでも、HALSはピペリジン構造を有する化合物で、本発明の組成物に対し着色が少なく、安定性がよいため好ましい。具体的な化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
接着助剤としては、例えば、官能性シランカップリング剤等が挙げられ、その具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
界面活性剤は、ストリエーション(塗布筋あと)の防止、現像性の向上等の目的で使用される。その具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;メタクリル酸共重合体系界面活性剤;アクリル酸共重合体系界面活性剤;等が挙げられる。
本発明で使用できる溶媒には、格別な制限はなく、例えば、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのグリコールエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ペプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトンなどの非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。
この中でも、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロペンタノン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルが特に好ましい。
混合の方法は特に限定されないが、樹脂組成物の各構成成分を溶媒に溶解又は分散して得られる溶液又は分散液を混合するのが好ましい。これにより、本発明の樹脂組成物は、溶液又は分散液の形態で得られる。
本発明の有機EL素子用隔壁は、例えば、次の方法によって形成される。
本発明の樹脂組成物を、基板、具体的には透明電極層(陽極)を有する透明基板上に、スピンナーなどで塗布し、乾燥して樹脂膜を設け、フォトリソグラフィー法により、樹脂膜を所望のパターンに形成し、裾広がり型形状(テーパ形状)の隔壁を得ることができる。
基板表面に塗布された本発明の樹脂組成物を乾燥する方法としては、各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、通常50〜150℃で0.5〜10分間程度である。その後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク処理)を行うことができる。ポストベーク処理は、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置により、所定温度、例えば150〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上なら5〜30分間、オーブン中では30〜90分間加熱処理をすることにより行うことができる。
このようにしてパターン化された樹脂膜をパターニングされた透明電極層(陽極)を有する透明基板上に形成したのち、所望により、該基板上、該基板裏面及び該基板端部の現像残渣を除去するために、アレイ基板を超純水などのリンス液を用いてリンスしてもよい。
さらに、所望により、感放射線化合物を失活させるために、パターン化樹脂膜を有する基板全面に活性放射線を照射したり、それと同時に又は照射後、樹脂膜を加熱してもよい。加熱方法としては、例えば、基板をホットプレートやオーブン内で加熱する方法が挙げられる。加熱温度は、通常、100〜300℃である。
加熱は所望により、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
上述の方法により形成される隔壁の厚さは、0.2〜10μm、好ましくは0.25〜8μm、より好ましくは0.3〜6μmの範囲である。
本発明の樹脂組成物を用いて平坦化層を形成させる場合には、本発明の樹脂組成物を、基板表面に塗布・乾燥して樹脂膜を形成し、フォトリソグラフィー法により、樹脂膜を所望のパターンに形成し、所望により架橋反応等を行うことにより形成させることができる。塗布方法、乾燥方法、パターン形成方法等は、本発明の樹脂組成物を用いて隔壁を形成させる方法と同様の方法を用いることができる。
なお、本実施例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ、「重量部」及び「重量%」である。
(1)重合転化率
重合転化率は、ガスクロマトグラフィーにより、残留単量体量を測定し、その測定値から算出する。
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)
テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算値として測定する。
(3)水素化率
水素化率は、1H−NMRにより測定し、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として、その測定値から算出する。
シリコンウェハー上に樹脂組成物をスピンコートしたのち、ホットプレートを用いて90で2分間プリベークして、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成する。次いで、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で60秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄して樹脂膜を形成する。さらに、オーブンを用いて、230℃で60分間加熱するポストベークを行い、樹脂膜が形成されたシリコンウェハーを得る。これを3mm×10mmの短冊上に切断し、測定試料を得る。
GC−MS(Agilent社製、「GC6890N/MSD5973(製品名)」)を用いて、220℃、30分間焼成し、測定する。脱ガス量は、ノルマルデカン換算値としてトータル脱ガス量を測定し、これを測定試料に含まれる樹脂硬化膜の重量で除して、算出する。
(5)熱収縮率
シリコンウェハー上に樹脂組成物をスピンコートしたのち、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークして、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成した。次いで、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で60秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄して樹脂膜を形成する。さらに、オーブンを用いて、230℃で60分間加熱するポストベークを行う。ポストベーク前の膜厚FT1とポストベーク後の膜厚FT2を測定し、熱収縮率:100−(FT2/FT1×100)を算出する。
(6)透過率
ガラス基板(コーニング社製、「コーニング1737(製品名)」)上に、樹脂組成物をスピンコートしたのち、ホットプレートを用いて90で2分間プリベークして、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成する。次いで、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で60秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄して樹脂膜を形成する。さらに、オーブンを用いて、230℃で60分間加熱するポストベークを行う。
樹脂膜を形成した基板を、分光光度計(日本分光株式会社製、「紫外可視分光光度計V−560(製品名)」を用いて、波長400nmでの透過率の測定を行う。樹脂膜の透過率は、樹脂膜が付いていないガラス基板をブランクにして、樹脂膜厚が2μmとしたときの換算値を算出する。
シリコンウェハー上に樹脂組成物をスピンコートしたのち、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークして、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成する。次いで0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で30秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄処理を行う。この際の減膜量を浸漬時間で除した値を未露光部の減膜速度V1(μm/秒)とする。なお、減膜量は、光干渉式膜厚測定装置(ラムダエースVM1200、大日本スクリーン社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液浸漬前後の樹脂膜の膜厚を測定し、測定結果の差の絶対値を減膜量とする。上記と同様にして作成した樹脂膜に365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を30秒間照射した後に0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で30秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄処理を行う。この際の減膜量を浸漬時間で除した値を露光部の減膜速度V2(μm/秒)とする。V1とV2の比率から下記基準でパターニング特性を判断する。すなわち、V1/V2の値が小さすぎる(0.05以下)と現像感度が低下、又は現像マージンが狭くなるという問題があり、V1/V2の値が大きすぎる(0.15を超える)と未露光部の減膜量が大きくなり膜に凹凸ができ、良好なパターンが得られないという問題がある。
○:0.05<V1/V2≦0.15
△:V1/V2≦0.05
×:V1/V2>0.15
(プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体の製造)
プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体として8−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン60部、プロトン性極性基を有さない環状オレフィン単量体としてN−フェニル−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)40部、1,5−ヘキサジエン2.8部、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.05部及びジエチレングリコールエチルメチルエーテル400部を、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、撹拌下に80℃で2時間重合反応を行って開環メタセシス重合体1Aを含有する重合反応溶液を得た。重合転化率は、99.9%以上であった。この重合体1Aの重量平均分子量は3,200、数平均分子量は1,900、分子量分布は1.68であった。
なお、前記重合体1A及び水素化物1Bの重量平均分子量及び数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶離液とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、品名HLC−8020)を用いて、ポリスチレン換算分子量として求めた。
水素化率は、1H−NMRスペクトルにより、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の、水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として求めた。
(アクリル樹脂の製造)
スチレン20部、ブチルメタクリレート25部、2−エチルヘキシルアクリレート25部、メタクリル酸30部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.5部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300部を窒素気流中で撹拌しながら80℃で5時間加熱した。得られた樹脂溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度35%のアクリル樹脂溶液を得た。
プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体として、製造例1で得られた水素化物1Cを含有する環状オレフィン重合体溶液(固形分35重量%)100重量部、架橋剤(B)としてエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状4官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT401」。ダイセル化学工業社製)20重量部、感放射線化合物(C)として感放射線化合物(C):1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(2.5モル)との縮合物25重量部、光安定剤として(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート5重量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部及びシリコーン系界面活性剤(信越化学工業社製、「KP341(製品名)」)0.05重量部を混合し、更に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテルを、溶液濃度が25%となるように添加して混合攪拌した。混合物は、5分以内に均一な溶液になった。この溶液を孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して、樹脂組成物1Dを得た。樹脂組成物1Dを用いて樹脂膜を形成し、この脱ガス量、熱収縮率、透過率を評価した。結果を、表1に示す。
表1に示す種類と量の各成分を用い、実施例1と同様にして各樹脂組成物を調製した。
次に、各樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして樹脂膜を形成し、この脱ガス量、熱収縮率、透過率、パターニング特性を評価した。結果を、表1に示す。
なお、実施例2及び4において用いた、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートは、ダイセル化学工業社性の商品名「セロキサイド2021」である。
これに対して、本発明で規定するプロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体(A)又は架橋剤(B)を使用しない、又は感放射線化合物(C)の量が規定範囲外の場合、比較例1〜4の樹脂組成物では、脱ガス量が多く、加熱焼成時の収縮が大きく、透明性、又はパターニング特性に劣る。
Claims (6)
- プロトン性極性基、脂環構造又は芳香環構造、及び炭素−炭素二重結合を備える環状オレフィン単量体の、単独重合体又は共重合体である環状オレフィン重合体(A)と、架橋剤(B)と、感放射線化合物(C)とを含んでなり、
前記感放射線化合物(C)が、キノンジアジド化合物であり、
前記感放射線化合物の含有量が、前記環状オレフィン重合体100重量部に対して10〜45重量部である有機エレクトロルミネッセンス素子の隔壁形成用のポジ型の感放射線性樹脂組成物。 - 架橋剤(B)が、エポキシ基を有する化合物である、請求項1に記載のポジ型の感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のポジ型の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された、有機エレクトロルミネッセンス素子の隔壁。
- 請求項3に記載の隔壁を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が、透明基板、平坦化層、陽極、隔壁、有機発光層、及び陰極を有し、平坦化層及び隔壁が請求項1又は2に記載のポジ型の感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項4又は5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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