JP5401835B2 - ポジ型の感放射線性樹脂組成物、隔壁及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

ポジ型の感放射線性樹脂組成物、隔壁及び有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンスを「EL」と略記する。)、その隔壁、これを形成するための樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、透明性、耐熱性、耐熱透明性(追加の加熱処理においても透明性が悪化しない)、耐溶剤性等の各特性に優れ、更に、密着性に優れ、低脱ガスの有機EL素子用隔壁及びこれを形成するための、加熱焼成時の収縮が小さい樹脂組成物に関する。
有機EL素子は、自己発光のため視認性が高く、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。この有機EL素子の発光体部の構成としては、陽極/正孔注入輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極を含む構成が一般的である。該正孔注入輸送層は、陽極より注入された正孔を有機発光層に伝達する機能を有し、また、電子注入層は陰極より注入された電子を有機発光層に伝達する機能を有する。
この発光体部の周囲には、他の素子や配線と電気的に絶縁するため、隔壁(画素分離膜、画素定義膜、素子分離膜ともいう)が設けられている。
この隔壁の形成には、アルカリ溶解性樹脂と、1,2−キノンジアジド化合物の組み合わせからなる感放射線性樹脂組成物が使用されてきた。しかしながら、この樹脂組成物を用いて有機EL素子用の隔壁を形成した場合、ガスが発生する(脱ガスとも言う)ために素子の発光部分にシュリンク(ダークエリア)が発生し、寿命の長い有機EL素子を安定的に製造することが困難であった。
このような問題に対応するため、例えば、特許文献1や特許文献2には、ノボラック樹脂、メラミン系架橋剤、有機溶媒を含有する樹脂組成物が開示されている。しかし、この樹脂組成物から形成された隔壁は、透明性が不十分で、十分な輝度が得られない問題や、加熱焼成時の収縮が大きく、十分な加工精度や密着性が得られないという問題があった。そのため、この隔壁を有する有機EL素子は、寿命が十分ではないという問題があった。
一方、特許文献3には、透明性、耐熱性、耐熱透明性、耐溶剤性等の各特性に優れ、有機EL素子等の画素分離膜等に用いられる樹脂組成物である、プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体として8−ヒドロキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンを含むモノマーから得られる樹脂、架橋剤としてエポキシ化合物、有機溶媒、シリカ微粒子を含有する樹脂組成物が開示されている。しかし、この樹脂組成物から隔壁を形成しようとすると、ドライエッチング等の煩雑な工程が必要となり歩留まりが悪化する問題や、高温条件下でガスが発生し、有機EL素子の発光が経過時間とともに減光する問題があった。
特開2006−179423号公報 特開2005−148391号公報 特開2006−206798号公報
本発明は、このような事情のもとで、透明性、耐熱性、耐熱透明性、耐溶剤性等の各特性に優れ、更に、密着性に優れ、低脱ガスの有機EL素子用隔壁、これを形成するための、加熱焼成時の収縮が小さい樹脂組成物を提供することを目的としてなされたものである。
また、上記特性を有する隔壁を有する、高輝度で信頼性に優れた有機EL素子を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、前記所望の特性を有する有機EL素子の製造には、特定の樹脂に架橋剤及び特定量の感放射線化合物を組み合わせてなる樹脂組成物を用いて、有機EL素子の隔壁を形成するのが非常に有効であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、プロトン性極性基、脂環構造又は芳香環構造、及び炭素−炭素二重結合を備える環状オレフィン単量体の、単独重合体又は共重合体である環状オレフィン重合体(A)、架橋剤(B)と、感放射線化合物(C)を含んでなり、前記感放射線化合物(C)が、キノンジアジド化合物であり、前記感放射線化合物の含有量が、前記環状オレフィン重合体100重量部に対して10〜45重量部である有機エレクトロルミネッセンス素子の隔壁形成用のポジ型の感放射線性樹脂組成物が提供される。
架橋剤(B)が、エポキシ基を有する化合物であることが好ましい。
また、本発明によれば、上述した本発明のポジ型の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された、有機エレクトロルミネッセンス素子の隔壁が提供される。
また、本発明によれば、隔壁を有する有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
有機エレクトロルミネッセンス素子が、透明基板、平坦化層、陽極、隔壁、有機発光層、及び陰極を有し、平坦化層及び隔壁が、上述した本発明のポジ型の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された有機エレクトロルミネッセンス素子であることが好ましい。
また、本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置が提供される。
本発明によれば、透明性、耐熱性、耐熱透明性、耐溶剤性等の各特性に優れ、更に、密着性に優れ、低脱ガスの有機EL素子用隔壁、これを形成するための、加熱焼成時の収縮が小さい樹脂組成物を提供することができる。
また、上記特性を有する隔壁を有する、高輝度で信頼性に優れた有機EL素子を提供することができる。
これを用いて、信頼性に優れ、長寿命の有機EL表示装置を得ることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の隔壁形成用の樹脂組成物は、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体(A)、架橋剤(B)及び感放射線化合物(C)を含有してなる。
プロトン性極性基とは、周期律表第15族又は第16族に属する原子に水素原子が直接結合している原子を含む基をいう。周期律表第15族又は第16族に属する原子は、好ましくは周期律表第15族又は第16族の第1又は第2周期に属する原子であり、より好ましくは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
プロトン性極性基の具体例としては、水酸基、カルボキシ基(ヒドロキシカルボニル基)、スルホン酸基、及びリン酸基等の、酸素原子を有する極性基;第一級アミノ基、第二級アミノ基、第一級アミド基、第二級アミド基(イミド基)等の窒素原子を有する極性基;チオール基等の硫黄原子を有する極性基;等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子を有するものが好ましく、より好ましくはカルボキシ基である。
本発明において、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体に結合しているプロトン性極性基の数に特に限定はなく、また、相異なる種類のプロトン性極性基が含まれていてもよい。
本発明において環状オレフィン重合体とは、環状構造(脂環又は芳香環)と炭素−炭素二重結合とを有する環状オレフィン単量体の、単独重合体又は共重合体である。環状オレフィン重合体は、環状オレフィン単量体以外の単量体から導かれる単位を有していてもよい。
環状オレフィン重合体の全構造単位中、環状オレフィン単量体単位の割合は、通常、30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。
プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体において、プロトン性極性基は、環状オレフィン単量体単位に結合していても、環状オレフィン単量体以外の単量体単位に結合していてもよいが、環状オレフィン単量体単位に結合しているのが望ましい。
プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体を構成するための単量体としては、プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(a)、プロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィン単量体(b)、極性基を持たない環状オレフィン単量体(c)、及び環状オレフィン以外の単量体(d)(これらの単量体を以下、単に単量体(a)〜(d)という。)が挙げられる。ここで、単量体(d)は、プロトン性極性基又はこれ以外の極性基を有していてもよく、極性基を全く有していなくてもよい。
本発明において、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体は、単量体(a)と、単量体(b)及び/又は単量体(c)とから構成されることが好ましく、単量体(a)と単量体(b)とから構成されることが更に好ましい。
単量体(a)の具体例としては、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9,10−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のカルボキシ基含有環状オレフィン;5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等の水酸基含有環状オレフィン等が挙げられ、中でもカルボキシ基含有環状オレフィンが好ましい。これらのプロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(a)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィン単量体(b)が有する、プロトン性極性基以外の極性基の具体例としては、エステル基(アルコキシカルボニル基及びアリーロキシカルボニル基を総称していう。)、N−置換イミド基、エポキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボニルオキシカルボニル基(ジカルボン酸の酸無水物残基)、アルコキシ基、カルボニル基、第三級アミノ基、スルホン基、アクリロイル基等が挙げられる。中でも、エステル基、N−置換イミド基及びシアノ基が好ましく、エステル基及びN−置換イミド基がより好ましく、N−置換イミド基が特に好ましい。
単量体(b)の具体例としては、以下のような環状オレフィンが挙げられる。
エステル基を有する環状オレフィンとしては、例えば、5−アセトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−アセトキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−エトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等が挙げられる。
N−置換イミド基を有する環状オレフィンとしては、例えば、N−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−[(2−エチルブトキシ)エトキシプロピル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
シアノ基を有する環状オレフィンとしては、例えば、9−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
ハロゲン原子を有する環状オレフィンとしては、例えば、9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等が挙げられる。
これらのプロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィン単量体(b)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性基を一切持たない環状オレフィン単量体(c)の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(「ノルボルネン」ともいう。)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(「テトラシクロドデセン」ともいう。)、9−メチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10]ペンタデカ−5,12−ジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、9−フェニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10]ペンタデカ−12−エン等が挙げられる。
これらの極性基を一切持たない環状オレフィン単量体(c)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
環状オレフィン以外の単量体(d)の具体例としては、鎖状オレフィンが挙げられる。鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。
これらの環状オレフィン以外の単量体(d)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に使用するプロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体は、単量体(a)を、所望により単量体(b)〜(d)から選ばれる単量体と共に、重合することにより得られる。重合により得られた重合体を更に水素化してもよい。水素添加された重合体も、本発明に使用する、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体に包含される。
また、本発明で使用するプロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体は、プロトン性極性基を有しない環状オレフィン重合体に、公知の変性剤を利用してプロトン性極性基を導入し、所望により水素添加を行なう方法によっても得ることができる。水素添加は、プロトン性極性基導入前の重合体について行なってもよい。また、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体に、更に変性してプロトン性極性基を導入してもよい。
プロトン性極性基を有しない重合体は、前記単量体(b)〜(d)を任意に組み合わせて重合することによって得ることができる。
プロトン性極性基を導入するための変性剤としては、通常、一分子内にプロトン性極性基と反応性の炭素−炭素不飽和結合とを有する化合物が用いられる。
このような化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、アトロパ酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸;アリルアルコール、メチルビニルメタノール、クロチルアルコール、メタリルアルコール、1−フェニルエテン−1−オール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、4−メチル−4−ぺンテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール等の不飽和アルコール;等が挙げられる。
この変性剤を用いる環状オレフィン重合体の変性反応は、常法に従えばよく、通常、ラジカル発生剤の存在下で行われる。
単量体(a)を、所望により単量体(b)〜(d)から選ばれる単量体と共に、重合するための重合方法は、常法に従えばよく、例えば、開環重合法や付加重合法が採用される。
重合触媒としては、例えば、モリブデン、ルテニウム、オスミウム等の金属錯体が好適に用いられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。重合触媒の量は、重合触媒中の金属化合物:環状オレフィンのモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。
各単量体を重合して得られた重合体の水素添加は、通常、水素添加触媒を用いて行われる。
水素添加触媒としては、例えば、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、チーグラータイプの均一系触媒、貴金属錯体触媒、及び担持型貴金属系触媒等が利用できる。
これらの水素添加触媒のうち、官能基が変性する等の副反応が起きず、重合体中の主鎖の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素添加できる点から、ロジウム、ルテニウム等の貴金属錯体触媒が好ましく、電子供与性の高い含窒素複素環式カルベン化合物又はホスフィン類が配位したルテニウム触媒が特に好ましい。
水素添加された重合体の主鎖の水素化率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上である。水素化率がこの範囲にある時に、水素添加された重合体は、特に耐熱性に優れ好適である。
水素化率は、H−NMRスペクトルにより、測定することができる。例えば、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の、水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として求めることができる。
本発明においてプロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体としては、特に、以下に示すような、式(I)で表される構造単位を有するものが好適であり、式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される構造単位を有するものがより好適である。
Figure 0005401835
〔式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は−X−R’基(Xは二価の有機基であり;nは0又は1であり;R’は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基、又はプロトン性極性基である。)である。R〜Rのうち少なくとも1つは、R’がプロトン性極性基である−X−R’基である。mは0〜2の整数である。〕
Figure 0005401835
〔式(II)中、R〜Rは、任意の組み合わせで、それらが結合している2つの炭素原子と共に、環構成原子として酸素原子又は窒素原子を含む、3〜5員の複素環構造を形成し、この複素環は、当該複素環に置換基を有していてもよい。kは0〜2の整数である。〕
一般式(I)において、Xで示される二価の有機基の例としては、メチレン基、エチレン基及びカルボニル基等が挙げられる。
R’で示される、置換基を有していてもよいアルキル基は、通常、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜7のアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族基は、通常、炭素数6〜10の芳香族基であり、その例としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。これらのアルキル基や芳香族基の置換基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;等が挙げられる。
R’で示されるプロトン性極性基としては、上述したような基が挙げられる。
一般式(II)において、R〜Rが、任意の組み合わせで、それらが結合している2つの炭素原子と共に形成する3員複素環構造としては、エポキシ構造等が挙げられる。また、同じく5員複素環構造の例としては、ジカルボン酸無水物構造〔−C(=O)−O−C(=O)−〕、ジカルボキシイミド構造〔−C(=O)−N−C(=O)−〕等が挙げられる。当該複素環に結合した置換基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
本発明で使用されるプロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは1,500〜100,000、より好ましくは2,000〜10,000の範囲である。
プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体の分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、測定することができる。例えば、テトラヒドロフラン等の溶媒を溶離液とし、ポリスチレン換算分子量として求めることができる。
本発明において、樹脂組成物の必須成分として、架橋剤(B)を含有する。
架橋剤(B)としては、1)加熱により架橋剤分子間に架橋構造を形成するものや、2)プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体と反応し得る官能基を、分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上有するものが用いられる。架橋剤(B)の有する官能基はバインダー樹脂中の官能基や不飽和結合等と反応しうるものであれば、特に限定されないが、プロトン性極性基と反応し得るものが好ましい。
このような架橋剤(B)としては、アミノ基を有する化合物、カルボキシ基を有する化合物、水酸基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、ブロック基により保護されたイソシアネート基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、及びアルコキシメチル基を有する化合物、及びこれらの基を複数有する化合物等が挙げられ、より好ましくは、エポキシ基を有する化合物、ブロック基により保護されたイソシアネート基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、及びアルコキシメチル基を有する化合物であり、エポキシ基を有する化合物が最も好ましい。
架橋剤(B)の分子量は、特に限定されないが、通常、100〜100,000、好ましくは100〜50,000、より好ましくは150〜5,000である。架橋剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤(B)の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ポリアミン類;2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフォン等のアジド類;ナイロン、ポリヘキサメチレンジアミンテレレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;N,N,N’,N’,N”,N”−(ヘキサアルコキシメチル)メラミン等のメラミン類;N,N’,N”,N”’−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリル等のグリコールウリル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアクリレート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)ノルボルナン;1,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン;各種の多官能エポキシ化合物;等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物の更に具体的な例としては、エポキシ基を2つ以上、好ましくはエポキシ基を3つ以上有するエポキシ化合物であって、脂環式構造を有するもの、クレゾールノボラック骨格を有するもの、フェノールノボラック骨格を有するもの、ビスフェノールA骨格を有するもの、ナフタレン骨格を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、環状オレフィン重合体との相溶性の良好さから、特に、脂環式構造を有し、且つエポキシ基を2つ以上、より好ましくは3つ以上有する多官能エポキシ化合物が好ましい。
その具体例としては、環状脂肪族エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル、エポキシアクリレート重合体等を挙げることができる。
市販されている多官能エポキシ化合物の具体例としては、ジシクロペンタジエンを骨格とする3官能性のエポキシ化合物(商品名「XD−1000」。日本化薬社製)、[2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(シクロヘキサン骨格及び末端エポキシ基を有する15官能性の脂環式エポキシ樹脂。商品名「EHPE3150」。ダイセル化学工業社製)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状3官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT301」。ダイセル化学工業社製)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状4官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT401」。ダイセル化学工業社製)等の脂環構造を有し且つエポキシ基が3個以上の多官能エポキシ化合物;
芳香族アミン型多官能エポキシ化合物(商品名「H−434」、東都化成工業社製)、クレゾールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「EOCN」、日本化薬社製)、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「エピコート152」、ジャパンエポキシレジン社製)、ナフタレン骨格を有する多官能エポキシ化合物(商品名「EXA4700」、大日本インキ化学社製)、鎖状アルキル多官能エポキシ化合物(商品名「SR−TMP」、坂本薬品工業社製)、多官能エポキシ化ポリブタジエン(商品名「エポリードPB3600」、ダイセル化学工業社製)、グリセリンのグリシジルポリエーテル化合物(商品名「SR−GLG」、阪本薬品工業株式会社製)、ジグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−DGE」、阪本薬品工業株式会社製、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−4GL」、阪本薬品工業株式会社製)等の脂環構造を有しないエポキシ基が3個以上の多官能エポキシ化合物;
ビスフェノールA型二官能エポキシ化合物(商品名「エピコート828」、ジャパンエポキシレジン社製)、ビスフェノールF型型二官能エポキシ化合物(商品名「エピコート506」、ジャパンエポキシレジン社製)、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021」、ダイセル化学工業社製)、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物(商品名「EXA7015」、大日本インキ化学社製)等のエポキシ基が2個の多官能エポキシ化合物;を挙げることができる。
これらの中でも、架橋剤(B)としては、多官能エポキシ化合物が好ましく、透明性に優れ、ガスの発生が少なく、加熱焼成時の収縮が小さいことから、脂環構造を有し且つエポキシ基が3個以上の多官能エポキシ化合物が、特に好ましい。
架橋剤(B)の使用量は、格別制限されず、隔壁に求められる耐熱性の程度を考慮して任意に設定すればよいが、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体100重量部に対して、通常、1〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、より好ましくは5〜100重量部、最も好ましくは10〜50重量部である。架橋剤が多すぎても少なすぎても耐熱性が低下する傾向がある。
本発明において、樹脂組成物の必須成分として、感放射線化合物(C)を含有する。
感放射線化合物(C)を含有する樹脂組成物は、パターン形成工程において、ドライエッチ用のレジストや、ドライエッチ装置を用いることなく、フォトリソグラフィー法により、パターン形成をすることも、できる。
本発明で使用する感放射線化合物(C)は、紫外線や電子線等の放射線の照射により、化学反応を引き起こすことのできる化合物である。本発明において感放射線化合物(C)は、樹脂組成物から形成される樹脂膜の現像液への溶解性を制御できるものが好ましい。
本発明においては感放射線化合物(C)として光酸発生剤を使用することが好ましい。
感放射線化合物(C)としては、例えば、アセトフェノン化合物、トリアリールスルホニウム塩、キノンジアジド化合物等のアジド化合物等が挙げられるが、好ましくはアジド化合物、特に好ましくはキノンジアジド化合物である。
キノンジアジド化合物としては、例えば、キノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を有する化合物とのエステル化合物を用いることができる。キノンジアジドスルホン酸ハライドの具体例としては、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド等が挙げられる。フェノール性水酸基を有する化合物の代表例としては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール等が挙げられる。これら以外のフェノール性水酸基を有する化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ノボラック樹脂のオリゴマー、フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー等が挙げられる。
これらの中でも、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール性水酸基を有する化合物との縮合物が好ましく、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(2.5モル)との縮合物がより好ましい。
光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物の他、オニウム塩、ハロゲン化有機化合物、α,α’−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α’−スルホニルジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等、公知のものを用いることができる。これらの中でもポジ型の感放射製組成物を調製できることからキノンジアジド化合物が好ましい。
これらの感放射線化合物(C)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
感放射線化合物(C)の使用量は、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体(A)100重量部に対して、10〜45重量部、好ましくは15〜40重量部、より好ましくは20〜40重量部の範囲である。感放射線化合物(C)の使用量がこの範囲にあれば、任意の基板上に形成した本発明の樹脂組成物からなる樹脂膜をパターン化する際に、放射線照射部と放射線未照射部との現像液への溶解度差が大きくなり、現像によるパターン化が容易で、かつ、放射線感度も高くすることができる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、所望により、光安定剤、接着助剤、界面活性剤、消泡剤、染料等のその他の配合剤;等を含有していてもよい。
本発明において、樹脂組成物の成分として、光安定剤を含有することが好ましい。
光安定剤は、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、金属錯塩系等の紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系(HALS)等、光により発生するラジカルを捕捉するもの等のいずれでもよい。これらのなかでも、HALSはピペリジン構造を有する化合物で、本発明の組成物に対し着色が少なく、安定性がよいため好ましい。具体的な化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
本発明において、樹脂組成物の成分として、接着助剤を含有することが好ましい。
接着助剤としては、例えば、官能性シランカップリング剤等が挙げられ、その具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明において、樹脂組成物の成分として、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤は、ストリエーション(塗布筋あと)の防止、現像性の向上等の目的で使用される。その具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;メタクリル酸共重合体系界面活性剤;アクリル酸共重合体系界面活性剤;等が挙げられる。
本発明において、樹脂組成物は、上記プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体、架橋剤(B)、感放射線化合物(C)を必須成分として、必要に応じてその他の成分を加え、これを通常は溶媒に溶解又は分散させて得ることができる。
本発明で使用できる溶媒には、格別な制限はなく、例えば、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのグリコールエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ペプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなどのエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトンなどの非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。
この中でも、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロペンタノン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルが特に好ましい。
これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量は、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体100重量部に対して、通常、20〜10,000重量部、好ましくは50〜5,000重量部、より好ましくは100〜1,000重量部の範囲である。
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されず、本発明の樹脂組成物の各構成成分、即ち、プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体であるプロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体(A)、架橋剤(B)、感放射線化合物(C)並びに所望により使用するその他の成分を公知の方法により混合すればよい。
混合の方法は特に限定されないが、樹脂組成物の各構成成分を溶媒に溶解又は分散して得られる溶液又は分散液を混合するのが好ましい。これにより、本発明の樹脂組成物は、溶液又は分散液の形態で得られる。
本発明の樹脂組成物の各構成成分を溶媒に溶解又は分散する方法は、常法に従えばよい。具体的には、攪拌子とマグネティックスターラーを使用した攪拌、高速ホモジナイザー、ディスパー、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミル、三本ロール等を使用して行なうことができる。また、各成分を溶媒に溶解又は分散した後に、例えば、孔径が0.5μm程度のフィルター等を用いて濾過してもよい。
本発明の樹脂組成物の固形分濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。固形分濃度がこの範囲にあれば、溶解安定性、基板上への塗布性や形成される樹脂膜の膜厚均一性、平坦性等が高度にバランスされ得る。
本発明の樹脂組成物を用いて、有機EL素子の隔壁を形成する。
本発明の有機EL素子用隔壁は、例えば、次の方法によって形成される。
本発明の樹脂組成物を、基板、具体的には透明電極層(陽極)を有する透明基板上に、スピンナーなどで塗布し、乾燥して樹脂膜を設け、フォトリソグラフィー法により、樹脂膜を所望のパターンに形成し、裾広がり型形状(テーパ形状)の隔壁を得ることができる。
本発明の有機EL素子用隔壁が設けられる基板としては、透明基板上にパターニングされた透明電極層(陽極)を有するものを用いることができる。上記透明基板としては、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上であり、かつ平滑な基板が望ましい。このような透明基板としては、例えばガラス板、ポリマー板等が挙げられる。ガラス板としては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が好ましく挙げられる。またポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。これらの中で、通常ガラス板が好ましく用いられる。
上記陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とする透明電極が好ましく用いられる。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/cm以下のものが好ましい。このようなものとしては、ITO(スズドープ酸化インジウム)、SnO、ZnO、In−Zn−Oなどの導電性材料を電極物質とするものを挙げることができる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させればよい。陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
また、上記透明基板としては、有機EL素子の表示(発光)を制御するためのスイッチング素子(TFT)が形成されていることが好ましい。さらに、スイッチング素子を覆うようにして基板を平坦化させるための樹脂膜(平坦化層)が形成されていることが好ましい。前記樹脂膜はスイッチング素子と透明電極層(陽極)とを接続させるためのコンタクトホールが形成されていることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を透明基板表面に塗布する方法としては、適宜の方法、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法などの各種の方法を採用することができる。
基板表面に塗布された本発明の樹脂組成物を乾燥する方法としては、各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、通常50〜150℃で0.5〜10分間程度である。その後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク処理)を行うことができる。ポストベーク処理は、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置により、所定温度、例えば150〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上なら5〜30分間、オーブン中では30〜90分間加熱処理をすることにより行うことができる。
次いで、パターニングされた透明電極層(陽極)を有する透明基板上に設けられた樹脂膜に活性放射線を照射して樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで現像液を接触させることにより潜像パターンを顕在化させて、樹脂膜をパターン化する。
活性放射線は、感放射線化合物を活性化させ、本発明の樹脂組成物のアルカリ可溶性を変化させることができるものであれば特に限定されず、例えば、紫外線、g線やi線などの単一波長の紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光などの光線;電子線などの粒子線;などを挙げることができる。これらの活性放射線を選択的にパターン状に照射して潜像パターンを形成する方法としては、例えば、縮小投影露光装置などにより、紫外線、g線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光などの光線を、マスクパターンを介して照射する方法、電子線などの粒子線により描画する方法などを挙げることができる。活性放射線を照射したのち、所望により、樹脂膜を60〜130℃で、1〜2分間加熱処理してもよい。
活性放射線により形成された潜像パターンを現像して顕在化させるための現像液としては、アルカリ性化合物の水性溶液を用いることができる。アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの無機化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドやテトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機化合物のいずれをも用いることができる。アルカリ水性溶液の水性媒体としては、水;メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を使用することができる。アルカリ水性溶液は、界面活性剤などを適当量添加したものであってもよい。
潜像パターンを有する樹脂膜に現像液を接触させる方法としては、例えば、パドル法、スプレー法、ディッピング法などを挙げることができる。現像温度は、通常、5〜55℃であり、現像時間は、通常、30〜180秒間である。
このようにしてパターン化された樹脂膜をパターニングされた透明電極層(陽極)を有する透明基板上に形成したのち、所望により、該基板上、該基板裏面及び該基板端部の現像残渣を除去するために、アレイ基板を超純水などのリンス液を用いてリンスしてもよい。
さらに、所望により、感放射線化合物を失活させるために、パターン化樹脂膜を有する基板全面に活性放射線を照射したり、それと同時に又は照射後、樹脂膜を加熱してもよい。加熱方法としては、例えば、基板をホットプレートやオーブン内で加熱する方法が挙げられる。加熱温度は、通常、100〜300℃である。
このようにしてパターニングされた透明電極層(陽極)を有する透明基板上にパターン化樹脂膜を形成した後に、樹脂の架橋反応を行うのが好ましい。基板上に形成された樹脂膜を架橋する方法は、使用した架橋剤の種類に応じて適宜選択することができるが、通常は加熱により行う。加熱は、例えば、ホットプレート、オーブンなどを用いて行うことができる。加熱温度は、通常は180〜250℃であるのが好ましく、加熱時間は、樹脂膜の大きさ、厚さ、使用機器などに応じて適宜選択することができる。例えば、ホットプレートを用いる場合は、通常は5〜60分間、オーブンを用いる場合は、通常は30〜90分間であるのが好ましい。
加熱は所望により、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
上述の方法により形成される隔壁の厚さは、0.2〜10μm、好ましくは0.25〜8μm、より好ましくは0.3〜6μmの範囲である。
上記のようにして形成された隔壁は、透明性、加工性、密着性、低脱ガス性に優れたものである。本発明の隔壁はこのような特性を有するので、高温条件下で有機EL素子の発光が、経過時間とともに減光することがなく、高輝度で信頼性に優れた有機EL素子の効率よい製造に資する。また、この有機EL素子を用いて、信頼性に優れ、長寿命の有機EL表示装置を得ることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前記平坦化層及び隔壁が、本発明の樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。これにより隔壁の脱ガスが少なくなることに加えて平坦化層からの脱ガスも低減されるため、より信頼性の高い有機EL表示素子及び有機EL表示装置を得ることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて平坦化層を形成させる場合には、本発明の樹脂組成物を、基板表面に塗布・乾燥して樹脂膜を形成し、フォトリソグラフィー法により、樹脂膜を所望のパターンに形成し、所望により架橋反応等を行うことにより形成させることができる。塗布方法、乾燥方法、パターン形成方法等は、本発明の樹脂組成物を用いて隔壁を形成させる方法と同様の方法を用いることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、透明基板、平坦化層、陽極、隔壁以外の要素、例えば、有機発光層、陰極等は従来使用されているものを使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、本実施例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ、「重量部」及び「重量%」である。
各特性は、以下の方法により評価する。
(1)重合転化率
重合転化率は、ガスクロマトグラフィーにより、残留単量体量を測定し、その測定値から算出する。
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)
テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算値として測定する。
(3)水素化率
水素化率は、H−NMRにより測定し、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として、その測定値から算出する。
(4)脱ガス量
シリコンウェハー上に樹脂組成物をスピンコートしたのち、ホットプレートを用いて90で2分間プリベークして、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成する。次いで、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で60秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄して樹脂膜を形成する。さらに、オーブンを用いて、230℃で60分間加熱するポストベークを行い、樹脂膜が形成されたシリコンウェハーを得る。これを3mm×10mmの短冊上に切断し、測定試料を得る。
GC−MS(Agilent社製、「GC6890N/MSD5973(製品名)」)を用いて、220℃、30分間焼成し、測定する。脱ガス量は、ノルマルデカン換算値としてトータル脱ガス量を測定し、これを測定試料に含まれる樹脂硬化膜の重量で除して、算出する。
(5)熱収縮率
シリコンウェハー上に樹脂組成物をスピンコートしたのち、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークして、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成した。次いで、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で60秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄して樹脂膜を形成する。さらに、オーブンを用いて、230℃で60分間加熱するポストベークを行う。ポストベーク前の膜厚FT1とポストベーク後の膜厚FT2を測定し、熱収縮率:100−(FT2/FT1×100)を算出する。
(6)透過率
ガラス基板(コーニング社製、「コーニング1737(製品名)」)上に、樹脂組成物をスピンコートしたのち、ホットプレートを用いて90で2分間プリベークして、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成する。次いで、0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で60秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄して樹脂膜を形成する。さらに、オーブンを用いて、230℃で60分間加熱するポストベークを行う。
樹脂膜を形成した基板を、分光光度計(日本分光株式会社製、「紫外可視分光光度計V−560(製品名)」を用いて、波長400nmでの透過率の測定を行う。樹脂膜の透過率は、樹脂膜が付いていないガラス基板をブランクにして、樹脂膜厚が2μmとしたときの換算値を算出する。
(7)パターニング特性
シリコンウェハー上に樹脂組成物をスピンコートしたのち、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークして、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成する。次いで0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で30秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄処理を行う。この際の減膜量を浸漬時間で除した値を未露光部の減膜速度V1(μm/秒)とする。なお、減膜量は、光干渉式膜厚測定装置(ラムダエースVM1200、大日本スクリーン社製)を用いて、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液浸漬前後の樹脂膜の膜厚を測定し、測定結果の差の絶対値を減膜量とする。上記と同様にして作成した樹脂膜に365nmにおける光強度が5mW/cmである紫外線を30秒間照射した後に0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で30秒間浸漬処理を行ったのち、超純水で30秒間洗浄処理を行う。この際の減膜量を浸漬時間で除した値を露光部の減膜速度V2(μm/秒)とする。V1とV2の比率から下記基準でパターニング特性を判断する。すなわち、V1/V2の値が小さすぎる(0.05以下)と現像感度が低下、又は現像マージンが狭くなるという問題があり、V1/V2の値が大きすぎる(0.15を超える)と未露光部の減膜量が大きくなり膜に凹凸ができ、良好なパターンが得られないという問題がある。
○:0.05<V1/V2≦0.15
△:V1/V2≦0.05
×:V1/V2>0.15
(製造例1)
(プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体の製造)
プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体として8−カルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン60部、プロトン性極性基を有さない環状オレフィン単量体としてN−フェニル−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)40部、1,5−ヘキサジエン2.8部、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.05部及びジエチレングリコールエチルメチルエーテル400部を、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、撹拌下に80℃で2時間重合反応を行って開環メタセシス重合体1Aを含有する重合反応溶液を得た。重合転化率は、99.9%以上であった。この重合体1Aの重量平均分子量は3,200、数平均分子量は1,900、分子量分布は1.68であった。
次いで、水素添加触媒としてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチレンルテニウムジクロリド0.1部を重合反応溶液に加え、水素を4MPaの圧力で5時間溶存させて、水素添加反応を進行させたのち、活性炭粉末1部を添加し、オートクレーブに入れて撹拌しつつ150℃で水素を4MPaの圧力で3時間溶存させた。次いで、溶液を取り出して孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して活性炭を分離して開環メタセシス重合体1Aの水素化物1Bを含有する水素添加反応溶液476部を得た。ろ過は、滞りなく行なうことができた。ここで得られた水素化物1Bを含有する水素添加反応溶液の固形分濃度は20.6%であり、水素化物1Bの収量は98.1部であった。得られた水素化物1Bの重量平均分子量は4,430、数平均分子量は2,570、分子量分布は1.72であった。水素化率は99.9%であった。
なお、前記重合体1A及び水素化物1Bの重量平均分子量及び数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶離液とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製、品名HLC−8020)を用いて、ポリスチレン換算分子量として求めた。
水素化率は、H−NMRスペクトルにより、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の、水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として求めた。
得られた水素化物1Bの水素添加反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度を35%に調整して、水素化物1C(プロトン性極性基としてカルボキシ基を有する環状オレフィン重合体)の溶液を得た。濃縮の前後で収量、水素化物の重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布に変化はなかった。
(製造例2)
(アクリル樹脂の製造)
スチレン20部、ブチルメタクリレート25部、2−エチルヘキシルアクリレート25部、メタクリル酸30部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.5部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300部を窒素気流中で撹拌しながら80℃で5時間加熱した。得られた樹脂溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度35%のアクリル樹脂溶液を得た。
(実施例1)
プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体として、製造例1で得られた水素化物1Cを含有する環状オレフィン重合体溶液(固形分35重量%)100重量部、架橋剤(B)としてエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状4官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT401」。ダイセル化学工業社製)20重量部、感放射線化合物(C)として感放射線化合物(C):1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(2.5モル)との縮合物25重量部、光安定剤として(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート5重量部、密着助剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部及びシリコーン系界面活性剤(信越化学工業社製、「KP341(製品名)」)0.05重量部を混合し、更に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテルを、溶液濃度が25%となるように添加して混合攪拌した。混合物は、5分以内に均一な溶液になった。この溶液を孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して、樹脂組成物1Dを得た。樹脂組成物1Dを用いて樹脂膜を形成し、この脱ガス量、熱収縮率、透過率を評価した。結果を、表1に示す。
(実施例2〜4)、(比較例1〜4)
表1に示す種類と量の各成分を用い、実施例1と同様にして各樹脂組成物を調製した。
次に、各樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして樹脂膜を形成し、この脱ガス量、熱収縮率、透過率、パターニング特性を評価した。結果を、表1に示す。
なお、実施例2及び4において用いた、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートは、ダイセル化学工業社性の商品名「セロキサイド2021」である。
Figure 0005401835
表1の結果から、樹脂としてプロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体(A)、架橋剤(B)、感放射線化合物(C)を含有し、感放射線化合物(C)を前記環状オレフィン重合体100重量部に対して10〜45重量部含有する実施例1〜4の樹脂組成物では、脱ガス量が少なく、加熱焼成時の収縮が小さく、透明性及びパターニング特性に優れる。
これに対して、本発明で規定するプロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体(A)又は架橋剤(B)を使用しない、又は感放射線化合物(C)の量が規定範囲外の場合、比較例1〜4の樹脂組成物では、脱ガス量が多く、加熱焼成時の収縮が大きく、透明性、又はパターニング特性に劣る。
実施例の樹脂組成物を用いて、透明性、耐熱性、耐熱透明性、耐溶剤性等の各特性に優れ、更に、密着性に優れ、低脱ガスの有機EL素子用隔壁を得ることができる。この隔壁を用いて、高輝度で信頼性に優れた有機EL素子を得ることができる。これを用いて、信頼性に優れ、長寿命の有機EL表示装置を得ることができる。更に実施例の樹脂組成物を用いて透明性、耐熱性、耐熱透明性、耐溶剤性等の各特性に優れ、更に、密着性に優れ、低脱ガスの有機EL素子用平坦化層を形成することができる。さらに、隔壁膜及び平坦化膜を構成する組成物として実施例の樹脂組成物を用いることにより、上記表示装置よりも更に信頼性に優れ、長寿命の有機EL表示装置を得ることができる。

Claims (6)

  1. プロトン性極性基、脂環構造又は芳香環構造、及び炭素−炭素二重結合を備える環状オレフィン単量体の、単独重合体又は共重合体である環状オレフィン重合体(A)、架橋剤(B)と、感放射線化合物(C)を含んでなり、
    前記感放射線化合物(C)が、キノンジアジド化合物であり、
    前記感放射線化合物の含有量が、前記環状オレフィン重合体100重量部に対して10〜45重量部である有機エレクトロルミネッセンス素子の隔壁形成用のポジ型の感放射線性樹脂組成物。
  2. 架橋剤(B)が、エポキシ基を有する化合物である、請求項1に記載のポジ型の感放射線性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポジ型の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された、有機エレクトロルミネッセンス素子の隔壁。
  4. 請求項3に記載の隔壁を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が、透明基板、平坦化層、陽極、隔壁、有機発光層、及び陰極を有し、平坦化層及び隔壁が請求項1又は2に記載のポジ型の感放射線性樹脂組成物を用いて形成されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項4又は5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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