JP2010199390A - 薄膜トランジスタの製造方法、及び薄膜トランジスタ並びに表示装置 - Google Patents

薄膜トランジスタの製造方法、及び薄膜トランジスタ並びに表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間で簡便なプロセスにより効率よく製造ができ、信頼性が高く、かつ透明性が高い薄膜トランジスタとその製造方法を提供。
【解決手段】基板21上に、ゲート電極22、ゲート絶縁膜23、半導体層24及びソース・ドレイン電極26を形成する工程、チャネル領域29を形成する工程、チャネル領域29の半導体層24表面の酸化膜を除去する工程、並びに前記酸化膜を除去する工程に次いで有機材料を含んでなるパッシベーション膜を成膜する工程、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、薄膜トランジスタの製造方法、この製造方法により得られる薄膜トランジスタ、及び表示装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、簡便で効率よく低コストで製造でき、輝度が高く、しかも信頼性に優れる薄膜トランジスタの製造方法及び薄膜トランジスタ並びに表示装置に関する。
薄膜トランジスタは、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極と呼ばれる端子を有するスイッチング素子で、アクティブマトリックス型液晶ディスプレイや有機ELなどの表示装置のアクティブマトリックス基板のアクティブ素子等に広く応用されている。
図1は、従来の薄膜トランジスタの概要を示した図である。図1に示す薄膜トランジスタでは、ゲート電極11に印加される電圧に応じて、ソース電極12から半導体層13を介してドレイン電極14に流れる電流が変化する。この原理により表示装置の各画素の輝度などが制御されている。
従来の薄膜トランジスタは、半導体層表面に、スパッタ法、蒸着法、またはCVD法によりシリコン窒化物からなるパッシベーション膜が形成された構成を有するものが多い。また、薄膜トランジスタの製造方法においては、半導体層以外の特定の層とパッシベーション膜との密着性向上を目的として、フッ酸を用いて特定の層表面の酸化膜を除去したりすることがある。
例えば、特許文献1には、シリサイド層からなる、電極表面の酸化膜を取り除く工程が開示されている。また、酸化膜が取り除かれたシリサイド層上にCVD法により、酸化層あるいは窒化層、ならびに酸化層あるいは窒化層を含む混合層からなるパッシベーション膜を形成する工程が開示されている。また、前記工程を経ることで、電極とパッシベーション膜との密着性が改良されることが開示されている。
また、特許文献2には、基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層及びソース・ドレイン電極を形成する工程、前記半導体層そのものをフッ酸を用いてウェットエッチングを行う工程並びにチャネル領域形成のためのエッチング工程が開示されている。また、前記工程を経た後に、SiN膜(シリコン窒化膜)からなるパッシベーション膜を形成する工程が開示されている。前記の工程に加えて、透明導電膜を特定の層間に形成し、その形状を制御することにより、高い信頼性を有する薄膜トランジスタが製造されることが開示されている。
しかしながら、特許文献1、2とも、無機材料からなるパッシベーション膜の成膜は、真空中で材料をプラズマ化させたりイオン化させた状態で膜を形成する必要があり、設備が大規模で、操作が煩雑であるという問題や、製造される基板の透明性が低いという問題がある。また、無機材料からなるパッシベーション膜を除去したり、材料や製造法を、より簡便なプロセスの成膜法で成膜できるものや方法に変更しようとしたりすると、信頼性が悪化するというような問題がある。
特開平10−335258号公報 特開2007−329298号公報
従って、本発明の目的は、短時間で簡便なプロセスにより効率よく製造ができ、信頼性が高く、かつ透明性が高い薄膜トランジスタ及びこの製造方法を提供することにある。
更に本発明のほかの目的は、前記薄膜トランジスタを有する表示装置を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、薄膜トランジスタの製造方法において、有機材料を含んでなるパッシベーション膜を用い、該パッシベーション膜が積層される半導体層のうち、チャネル領域という特定部分の該半導体層表面の酸化膜を除去することにより、簡便なプロセスで効率よく、透明性の高い薄膜トランジスタを製造することができると同時に、デバイス信頼性にも優れることを見出した。以上の知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層及びソース・ドレイン電極を形成する工程、チャネル領域を形成する工程、前記チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程、前記酸化膜を除去する工程に次いで有機材料を含んでなるパッシベーション膜を成膜する工程、を有する薄膜トランジスタの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層及びソース・ドレイン電極を形成する工程、ウェットエッチングによりチャネル領域を形成する工程、前記チャネル領域を形成する工程に次いで有機材料を含んでなるパッシベーション膜を成膜する工程、を有する薄膜トランジスタの製造方法が提供される。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法において、酸化膜を除去する工程が、フッ酸を含有する溶液を用いるものであることが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法において、ウェットエッチングによりチャネル領域を形成する工程が、フッ酸を含有する溶液を用いるものであることが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法において、パッシベーション膜が樹脂及び有機溶剤を含有する樹脂組成物により形成される膜であることが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法において、前記樹脂組成物がさらに酸性基を有する化合物を含有するものであることが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法において、前記樹脂組成物がさらに、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子及びジルコニウム原子の中から選ばれる1つの原子を有し、該原子に結合したヒドロカルビルオキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物を、含有するものであることが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法において、前記樹脂組成物がさらに酸性基を有する化合物、並びに、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子及びジルコニウム原子の中から選ばれる1つの原子を有し、該原子に結合したヒドロカルビルオキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物を、含有するものであることが好ましい。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法において、前記樹脂が、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、カルド樹脂、ポリシロキサン樹脂及びポリイミド樹脂からなる郡から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記製造方法により得られる薄膜トランジスタが提供される。
また、本発明によれば、上記製造方法により得られる薄膜トランジスタを有する表示装置が提供される。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法によれば、透明性が高く、過酷な雰囲気下でも高い信頼性有する薄膜トランジスタを、製造時に煩雑な操作を必要としないため簡便に、低コストで製造することができる。
従来の薄膜トランジスタの具体的な態様を表す図である。
本発明を実施する形態の具体的な態様の一例を表す図である。
11…ゲート電極
12…ソース電極
13…半導体層
14…ドレイン電極
21…基板
22…ゲート電極
23…ゲート絶縁膜
24…半導体層
25…不純物添加半導体層
26…ソース・ドレイン電極
27…ソース電極
28…ドレイン電極
29…チャネル領域
30…ソース電極が存在する領域にある不純物添加半導体層
31…ドレイン電極が存在する領域にある不純物添加半導体層
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層及びソース・ドレイン電極を形成する工程、チャネル領域を形成する工程、前記チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程、前記酸化膜を除去する工程に次いで有機材料を含んでなるパッシベーション膜を成膜する工程、を有する。
また、本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層及びソース・ドレイン電極を形成する工程、ウェットエッチングによりチャネル領域を形成する工程、前記チャネル領域を形成する工程に次いで有機材料を含んでなるパッシベーション膜を成膜する工程、を有する。
本発明において、用いる基板は特に限定されず、例えばガラス基板、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板、プラスチック基板(フィルム形状のものも含む)、を用いることができる。なお、基板はその表面に、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化アルミニウムのような絶縁膜を形成したものであっても良い。前記絶縁膜は例示したような無機材料に限らず、有機材料からなる膜であっても良い。
本発明において、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極を構成する材料としては、特に限定されないが、例えばCr、Mo、Al、Cu、Ag、Au、Ti、Ta、Nb、W、Fe、Ni、Co、Rh、Nd、Pbなどの金属や、これらを含む合金又はシリサイドを用いることができる。その他にITOやIZOなどの導電性材料などを用いることができる。電極は前記材料を単独で使用して1層で形成されていても、前記材料を複数使用して複数層(2層以上)で形成されていても構わない。
本発明において、半導体層材料としては、特に限定されず、ペンタセンやポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリアリルアミン誘導体、ポリアセチレン誘導体、アセン誘導体、オリゴチオフェンなどに代表される有機半導体材料、InGaZnO系、ZnGaO系、InZnO系、InO系、GaO系、SnO系、あるいはそれらの混合物等に代表される、In、Ga、Zn、O等の元素から構成される酸化物半導体材料、アモルファスシリコン、ポリシリコンなどのシリコン系半導体材料などを用いることができる。これらの中でもシリコン系材料であることが好ましく、アモルファスシリコンであることがより好ましい。
本発明において、ゲート絶縁膜としては特に限定されないが、SiNx、SiOx等の無機膜やプルランを主成分とする有機材料薄膜等の有機膜などを用いることができる。
以下、添付図面2(a)〜(g)を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、添付の図面は発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎず、これによりこの発明が特に限定されるものではない。したがって、本発明の説明に不要な要素は省略し、また図示した各要素の形状、寸法比なども実際のものを必ずしも反映していない。また、本発明は、請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が出来るものであるということは当技術分野の通常の知識を有している者には自明である。
まず、図2(a)に示すように、ガラス基板等の絶縁性基板21上に、スパッタリング法によりゲート電極22を形成する。
次いで、フォトレジストをマスクとし、ドライエッチングまたはウェットエッチングによりゲート電極22を図2(b)に示すようにパターニングする。
次いで、図2(c)に示すように、CVD法によりゲート絶縁膜23、半導体層24、不純物添加半導体層25を順に堆積する。なお、不純物添加半導体層25は、半導体層24をアモルファスシリコン半導体層とする場合には形成することが多いが、他の材料を半導体層とする場合は、形成しなくてもよい。
次いで、図2(d)に示すように、フォトレジストをマスクとし、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって、半導体層24及び不純物添加半導体層25をパターニングすることで、半導体層24と不純物添加半導体層25とから構成される島状の半導体構造を形成する。
次いで、図2(e)に示すように、スパッタリング法により、ソース・ドレイン電極26を形成する。以上、図2(a)〜(e)で説明した工程が、本発明の請求の範囲に記載した、「基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層及びソース・ドレイン電極を形成する工程」、に該当する。
次いで、フォトレジストをマスクとし、エッチングによってソース・ドレイン電極26を図2(f)に示すようにパターニングし、ソース電極27とドレイン電極28を形成する。すなわち、ソース電極27とドレイン電極28は、ソース・ドレイン電極26がパターニングにより分離されて形成されたものであり、ソース・ドレイン電極26とソース電極27とドレイン電極28とは全て同一材料により構成される。一般にソース・ドレイン電極のエッチングはウェットエッチングにより行われるが、ドライエッチングであっても構わない。
次いで、ソース・ドレイン電極26のパターニングで利用したフォトレジストをそのまま利用して不純物添加半導体層25をエッチングすることにより、図2(g)に示したようなチャネル領域を形成する。一般に不純物添加半導体層のエッチングはドライエッチングにより行われるが、ウェットエッチングであっても構わない。ここで、チャネル領域とは、ソース電極27及びソース電極が存在する領域にある不純物添加半導体層30の、ゲート電極側端部と、ドレイン電極28及びドレイン電極が存在する領域にある不純物添加半導体層31の、ゲート電極側端部と、の間に挟まれた部分の半導体層29を示す。すなわち、図2(g)の点線に挟まれた矢印で示した部分の半導体層がチャネル領域である。従って、図2(f)〜図2(g)にかけての工程が、本発明の請求の範囲に記載した、「チャネル領域を形成する工程」、に該当する。すなわち、「チャネル領域を形成する工程」とは、半導体層に基板とは反対側で接する層を除去することで、半導体層表面の一部を露にする工程である。前記工程で露になった半導体層表面が、本願請求の範囲に記載の「チャネル領域の半導体層表面」に該当する。
次いで、パターニング時に利用したフォトレジストを剥離液を用いて除去する。除去時に基板上に有機物残渣が残ったり汚染などが生じたりする可能性があるため、フォトレジストを剥離液を用いて剥離した後に、UV照射を用いる洗浄工程や、酸素を主体とし、CFやNなどを混合したガスを用いてプラズマを発生させ、生成した酸素ラジカルを用いるアッシング工程や、それらの組み合わせの工程等、を適宜組み入れることが可能である。
次いで、チャネル領域の半導体層29の表面の酸化膜の除去を行う。酸化膜を除去する方法としては、アルゴンイオンやCFガスなどを用いたスパッタエッチング;アニール等の物理的処理;や、硝酸、フッ酸、バッファードフッ酸、塩酸、硫酸、酢酸、蓚酸等の酸性液やそれらの水溶液、それらの混合物などを用いたケミカルエッチング等の化学的処理;が挙げられる。ここで、半導体層表面の酸化膜とは、チャネル領域を形成する工程により露になった半導体層上表面に存在する、半導体材料が酸化された膜のことを示す。半導体層の材料が、有機半導体材料の場合は、表面に存在する有機物の酸化物層や半導体層内部よりも酸素比率が高い表面の酸化物層が、酸化物半導体材料の場合は、半導体層内部よりも酸素比率が高い表層の酸化物層が、シリコン系半導体材料の場合は、酸化シリコン層や半導体層内部よりも酸素比率が高い表面の酸化シリコン層が、それぞれ酸化膜に該当する。
前記酸化膜除去工程の中でも、酸化膜の除去能が高いことにより、製造リードタイムを低減でき、薄膜トランジスタの製造コストを低減できること、製造歩留まりを向上できること、また大型基板上に複数の薄膜トランジスタを製造する際においても、均一に薄膜トランジスタ特性の安定性を向上できることから、フッ酸を含有する溶液を用いた酸化膜除去が好ましく、フッ酸を用いた酸化膜除去がより好ましい。また、大型基板上に複数の薄膜トランジスタを製造する際においても均一に薄膜トランジスタ特性の安定性を向上できることから、フッ酸の濃度は0.01%〜10%であることが好ましく、0.1%〜5%であることがより好ましく、0.1%〜1%であることが更に好ましい。ここでフッ酸を含有する溶液とは、フッ化水素以外の酸を添加した溶液、フッ化アンモニウムを添加させた溶液、界面活性剤などの添加剤を添加した溶液、などを指す。ここでフッ酸とはフッ化水素水溶液を指す。
なお、チャネル領域を形成する工程をウェットエッチングで行うことにより、チャネル領域を形成する工程と、前記チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程と、の両者を兼ねることが出来る。チャネル領域を形成する工程と前記チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程とを兼ねる場合の方法としては、ソース・ドレイン電極26をエッチングする工程、次いで前記ソース・ドレイン電極26のエッチング時に利用したフォトレジストを、剥離液を用いて除去する工程、次いでチャネル領域を形成する工程として不純物添加半導体層25をウェットエッチングする工程を行う方法が挙げられる。また、チャネル領域を形成する工程と前記チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程とを兼ねる場合の別の方法としては、ソース・ドレイン電極26をエッチングする工程、次いで、チャネル領域を形成する工程としてソース・ドレイン電極26のパターニングで利用したフォトレジストをそのまま利用して不純物添加半導体層25をエッチングする工程を行う方法が挙げられる。この場合、チャネル領域を形成する工程と前記チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程と、の両者を兼ねた工程の後に、フォトレジストを剥離する工程を行う。両者の方法において、必要に応じて、不都合がない程度に、UV照射を用いたりする洗浄工程や、酸素を主体とし、CFやNなどを混合したガスを用いてプラズマを発生させ、精製した酸素ラジカルを用いるアッシング工程等を適宜組み入れることが可能である。
なお、チャネル領域を形成する工程をウェットエッチングで行う際に用いるエッチング液は、チャネル領域が形成でき、かつ酸化膜を除去できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、硝酸、フッ酸、バッファードフッ酸、塩酸、硫酸、酢酸、蓚酸等の酸性液やそれらの水溶液、それらの混合物などが挙げられる。なかでも、ウェットエッチングが容易であること、かつ酸化膜の除去能が高いことにより、製造リードタイムを低減でき、薄膜トランジスタの製造コストを低減できること、製造歩留まりを向上できること、また大型基板上に複数の薄膜トランジスタを製造する際においても、均一に薄膜トランジスタ特性の安定性を向上できることから、フッ酸を含有する溶液を用いた酸化膜除去が好ましい。
次いで、有機材料からなるパッシベーション膜を成膜する。なお、図2(a)〜(g)までの一連の工程と、有機材料からなるパッシベーション膜を成膜する工程と、の間においては、図2(a)〜(g)の工程で説明したチャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去した効果が失われない程度に、薄膜トランジスタが形成された基板を放置したりその他の工程を入れてもよい。しかしながら、チャネル領域の半導体層表面は図2(a)〜(g)の工程を経て露になっているため、長時間の大気中への放置や過酷な工程を挿入することにより再度チャネル領域の半導体層表面に酸化膜が形成される可能性がある。従って、酸化膜除去の効果が失われるほどの長時間の放置や、多数の工程または過酷な工程を途中に入れることは避けなければならない。以上、図2(f)〜図2(g)にかけての、本発明の請求の範囲に記載した「チャネル領域を形成する工程」の後の工程から、前記有機材料からなるパッシベーション膜を成膜する工程までが、本発明の請求の範囲に記載した、「前記酸化膜を除去する工程に次いで有機材料を含んでなるパッシベーション膜を成膜する工程」、に該当する。
本発明において、有機材料からなるパッシベーション膜は、特に限定されないが、プラズマCVD法や蒸着法、フィルム積層法、塗布法などにより成膜することができる。中でも簡便で効率的に、膜を形成できることからフィルム積層法または塗布法が好ましく、塗布法がより好ましい。
塗布法による成膜においては、有機材料からなるパッシベーション膜は、高い信頼性を有する薄膜トランジスタを、簡便で短時間のプロセスで作成できることから、樹脂及び有機溶剤を含有する樹脂組成物により形成されることが好ましい。
塗布法は、樹脂組成物を、チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程まで経た薄膜トランジスタが形成されている基板上に塗布したのち、溶媒を除去する方法である。樹脂組成物を前記基板上に塗布する方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、回転塗布法、バー塗布法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。溶媒除去は、塗布膜を乾燥、好ましくは加熱乾燥することにより行う。その場合乾燥温度は、各成分の種類や配合剤に応じて適宜選択することができるが、通常、30〜250℃である。乾燥時間は、各成分の種類や配合割合に応じて適宜選択することができるが、通常、0.5〜150分間である。
フィルム積層法は、樹脂組成物を、樹脂フィルムや金属フィルム等のBステージフィルム形成用基板上に塗布し、溶媒を除去してBステージフィルムを得、次いで、このBステージフィルムを前記基板上に積層する方法である。溶媒除去は、塗布後のBステージフィルム形成用基板を乾燥、好ましくは加熱乾燥することにより行う。その場合、乾燥条件は、各成分の種類や配合割合に応じて適宜選択することができるが、乾燥温度は、通常、30〜150℃であり、乾燥時間は、通常、0.5〜90分間である。フィルム積層は、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータ等の圧着機を用いて行うことができる。
以上により、薄膜トランジスタが形成された基板上に有機材料からなるパッシベーション膜が成膜される。パッシベーション膜の厚さは、通常、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μm、最も好ましくは0.5〜10μmである。パッシベーション膜の膜厚が前記範囲にあることにより、過酷な雰囲気においても高い信頼性を有する薄膜トランジスタを簡便に製造することが可能になる。パッシベーション膜の膜厚が薄すぎると、保護性能が落ちて信頼性が悪化したり、製造時のパーティクル等が原因で歩留まりが悪化し不良品率が高くなったりする。厚すぎると、パッシベーション膜の応力が増加することにより保護性能が落ちて信頼性が悪化する。
本発明において、樹脂(A)は、特に限定されず、例えば環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、カルド樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。なかでも、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、カルド樹脂、ポリシロキサン及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであることが好ましく、これらの中でも、薄膜トランジスタの信頼性の観点から、環状オレフィン樹脂がより好ましく、プロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂が特に好ましい。
これらの樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
プロトン極性基とは、周期律表第15族又は第16族に属する原子に水素原子が直接結合している原子を含む基をいう。周期律表第15族又は第16族に属する原子は、好ましくは周期律表第15族又は第16族の第1又は第2周期に属する原子であり、より好ましくは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
プロトン性極性基の具体例としては、水酸基、カルボキシ基(ヒドロキシカルボニル基)、スルホン酸基、リン酸基等の酸素原子を有する極性基;第一級アミノ基、第二級アミノ基、第一級アミド基、第二級アミド基(イミド基)等の窒素原子を有する極性基;チオール基等の硫黄原子を有する極性基;等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子を有するものが好ましく、より好ましくはカルボキシ基である。
本発明において、プロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂に結合しているプロトン性極性基の数に特に限定はなく、また、相異なる種類のプロトン性極性基が含まれていてもよい。
本発明において環状オレフィン樹脂とは、環状構造(脂環又は芳香環)と炭素−炭素二重結合とを有する環状オレフィン単量体の、単独重合体又は共重合体である。環状オレフィン樹脂は、環状オレフィン単量体以外の単量体から導かれる単位を有していてもよい。
環状オレフィン樹脂の全構造単位中、環状オレフィン単量体単位の割合は、通常、30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%である。
プロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂において、プロトン性極性基は、環状オレフィン単量体単位に結合していても、環状オレフィン単量体以外の単量体単位に結合していてもよいが、環状オレフィン単量体単位に結合しているのが望ましい。
プロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂を構成するための単量体としては、プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(a)、プロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィン単量体(b)、極性基を持たない環状オレフィン単量体(c)、及び環状オレフィン以外の単量体(d)(これらの単量体を以下、単に単量体(a)〜(d)という。)が挙げられる。ここで、単量体(d)は、プロトン性極性基又はこれ以外の極性基を有していてもよく、極性基を全く有していなくてもよい。
本発明において、プロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂は、単量体(a)と、単量体(b)及び/又は単量体(c)とから構成されることが好ましく、単量体(a)と単量体(b)とから構成されることが更に好ましい。
単量体(a)の具体例としては、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9,10−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のカルボキシ基含有環状オレフィン;5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等の水酸基含有環状オレフィン等が挙げられ、中でもカルボキシ基含有環状オレフィンが好ましい。これらのプロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体(a)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィン単量体(b)が有する、プロトン性極性基以外の極性基の具体例としては、エステル基(アルコキシカルボニル基及びアリーロキシカルボニル基を総称していう。)、N−置換イミド基、エポキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボニルオキシカルボニル基(ジカルボン酸の酸無水物残基)、アルコキシ基、カルボニル基、第三級アミノ基、スルホン基、アクリロイル基等が挙げられる。中でも、エステル基、N−置換イミド基及びシアノ基が好ましく、エステル基及びN−置換イミド基がより好ましく、N−置換イミド基が特に好ましい。
単量体(b)の具体例としては、以下のような環状オレフィンが挙げられる。 エステル基を有する環状オレフィンとしては、例えば、5−アセトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−アセトキシテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−エトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等が挙げられる。
N−置換イミド基を有する環状オレフィンとしては、例えば、N−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−[(2−エチルブトキシ)エトキシプロピル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
シアノ基を有する環状オレフィンとしては、例えば、9−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−シアノテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
ハロゲン原子を有する環状オレフィンとしては、例えば、9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等が挙げられる。
これらのプロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィン単量体(b)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性基を一切持たない環状オレフィン単量体(c)の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(「ノルボルネン」ともいう。)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(「テトラシクロドデセン」ともいう。)、9−メチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10]ペンタデカ−5,12−ジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、9−フェニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10]ペンタデカ−12−エン等が挙げられる。
これらの極性基を一切持たない環状オレフィン単量体(c)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
環状オレフィン以外の単量体(d)の具体例としては、鎖状オレフィンが挙げられる。鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。
これらの環状オレフィン以外の単量体(d)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に使用するプロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂は、単量体(a)を、所望により単量体(b)〜(d)から選ばれる単量体と共に、重合することにより得られる。重合により得られた重合体を更に水素化してもよい。水素添加された重合体も、本発明に使用する、プロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂に包含される。
また、本発明で使用するプロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂は、プロトン性極性基を有しない環状オレフィン樹脂に、公知の変性剤を利用してプロトン性極性基を導入し、所望により水素添加を行なう方法によっても得ることができる。水素添加は、プロトン性極性基導入前の重合体について行なってもよい。また、プロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂に、更に変性してプロトン性極性基を導入してもよい。
プロトン性極性基を有しない重合体は、前記単量体(b)〜(d)を任意に組み合わせて重合することによって得ることができる。
プロトン性極性基を導入するための変性剤としては、通常、一分子内にプロトン性極性基と反応性の炭素−炭素不飽和結合とを有する化合物が用いられる。
このような化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、アトロパ酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸;アリルアルコール、メチルビニルメタノール、クロチルアルコール、メタリルアルコール、1−フェニルエテン−1−オール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、4−メチル−4−ぺンテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール等の不飽和アルコール;等が挙げられる。
この変性剤を用いる環状オレフィン樹脂の変性反応は、常法に従えばよく、通常、ラジカル発生剤の存在下で行われる。
単量体(a)を、所望により単量体(b)〜(d)から選ばれる単量体と共に、重合するための重合方法は、常法に従えばよく、例えば、開環重合法や付加重合法が採用される。
重合触媒としては、例えば、モリブデン、ルテニウム、オスミウム等の金属錯体が好適に用いられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。重合触媒の量は、重合触媒中の金属化合物:環状オレフィンのモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。
各単量体を重合して得られた重合体の水素添加は、通常、水素添加触媒を用いて行われる。
水素添加触媒としては、例えば、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、チーグラータイプの均一系触媒、貴金属錯体触媒、及び担持型貴金属系触媒等が利用できる。
これらの水素添加触媒のうち、官能基が変性する等の副反応が起きず、重合体中の主鎖の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素添加できる点から、ロジウム、ルテニウム等の貴金属錯体触媒が好ましく、電子供与性の高い含窒素複素環式カルベン化合物又はホスフィン類が配位したルテニウム触媒が特に好ましい。
水素添加された重合体の主鎖の水素化率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上である。水素化率がこの範囲にある時に、樹脂(A)は、特に耐熱性に優れ好適である。
樹脂(A)の水素化率は、H−NMRスペクトルにより、測定することができる。例えば、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の、水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として求めることができる。
本発明においてプロトン性極性基を有する環状オレフィン樹脂としては、特に、以下に示すような、式(I)で表される構造単位を有するものが好適であり、式(I)で表される構造単位及び式(II)で表される構造単位を有するものがより好適である。
Figure 2010199390
〔式(I)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子又は−X−R’基(Xは二価の有機基であり;nは0又は1であり;R’は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基、又はプロトン性極性基である。)である。R〜Rのうち少なくとも1つは、R’がプロトン性極性基である−X−R’基である。mは0〜2の整数である。〕
Figure 2010199390
〔式(II)中、R〜Rは、任意の組み合わせで、それらが結合している2つの炭素原子と共に、環構成原子として酸素原子又は窒素原子を含む、3〜5員の複素環構造を形成し、この複素環は、当該複素環に置換基を有していてもよい。kは0〜2の整数である。〕
一般式(I)において、Xで示される二価の有機基の例としては、メチレン基、エチレン基及びカルボニル基等が挙げられる。
R’で示される、置換基を有していてもよいアルキル基は、通常、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜7のアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族基は、通常、炭素数6〜10の芳香族基であり、その例としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。これらのアルキル基や芳香族基の置換基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、キシリル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;等が挙げられる。
R’で示されるプロトン性極性基としては、上述したような基が挙げられる。
一般式(II)において、R〜Rが、任意の組み合わせで、それらが結合している2つの炭素原子と共に形成する3員複素環構造としては、エポキシ構造等が挙げられる。また、同じく5員複素環構造の例としては、ジカルボン酸無水物構造〔−C(=O)−O−C(=O)−〕、ジカルボキシイミド構造〔−C(=O)−N−C(=O)−〕等が挙げられる。当該複素環に結合した置換基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
本発明で使用するアクリル樹脂は、特に限定されないが、アクリル基を有するカルボン酸、アクリル基を有するカルボン酸無水物、又はエポキシ基含有アクリレート化合物から選ばれる少なくとも1つを必須成分とする単独重合体又は共重合体が好ましい。
アクリル基を有するカルボン酸の具体例としては、(メタ)アクリル酸、マイレン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等;
アクリル基を有するカルボン酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物等;
エポキシ基含有アクリレート化合物の具体例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル;等が挙げられる。
これらのうち、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル等が好ましい。本発明で「(メタ)」とは、メタクリルとアクリルのいずれかを意味する。
アクリル樹脂は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びエポキシ基含有不飽和化合物から選ばれる少なくとも一つと、その他のアクリレート系単量体又はアクリレート以外の共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。その他のアクリレート系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、、t−ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうち、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
アクリレート以外の共重合可能な単量体としては、上記アクリル基を有するカルボン酸、アクリル基を有するカルボン酸無水物又はエポキシ基含有アクリレート化合物と共重合可能な化合物ならば特に制限はないが、例えば、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン等のビニル基含有ラジカル重合性化合物が挙げられる。
これらの化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記単量体の重合方法は、常法に従えばよく、例えば、懸濁重合法,乳化重合法,溶液重合法等が採用される。
カルド樹脂とは、カルド構造、即ち、環状構造を構成している4級炭素原子に二つの環状構造が結合した骨格構造、を有する樹脂である。カルド構造の一般的なものはフルオレン環にベンゼン環が結合したものである。
環状構造を構成している4級炭素原子に二つの環状構造が結合した骨格構造の具体例としては、フルオレン骨格、ビスフェノールフルオレン骨格、ビスアミノフェニルフルオレン骨格、エポキシ基を有するフルオレン骨格、アクリル基を有するフルオレン骨格等が挙げられる。
本発明で使用するカルド樹脂は、このカルド構造を有する骨格がそれに結合している官能基間の反応等により重合して形成される。カルド樹脂は、主鎖と嵩高い側鎖が一つの元素で繋がれた構造(カルド構造)をもち、主鎖に対してほぼ垂直方向に環状構造を有している。
エポキシグリシジルエーテル構造を有するカルド構造の例を式(III)に示す。
Figure 2010199390
(式(III)中、nは0〜10の整数を表す。)
カルド構造を有する単量体は、例えば、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂;ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂とアクリル酸との縮合物;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノ−ル類;9,9−ビス(シアノメチル)フルオレン等の9,9−ビス(シアノアルキル)フルオレン類;9,9−ビス(3−アミノプロピル)フルオレン等の9,9−ビス(アミノアルキル)フルオレン類;等が挙げられる。
カルド樹脂は、カルド構造を有する単量体を重合して得られる重合体であるが、その他の共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。
上記単量体の重合方法は、常法に従えばよく、例えば、開環重合法や付加重合法等が採用される。
本発明で使用するポリシロキサンの構造は特に限定されないが、好ましくは式(IV)で表されるオルガノシランの1種以上を混合、反応させることによって得られるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 2010199390
式(IV)のRは水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも置換基を有していてもよく、また置換基を有していない無置換体であってもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基が挙げられる。
式(IV)のR10は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR10はそれぞれ同じでも異なっていても良い。また、これらのアルキル基、アシル基はいずれも置換基を有していてもよく、また置換基を有していない無置換体であってもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としてはフェニル基が挙げら得る。
式(IV)のnは0から3の整数を表す。n=0の場合は4官能性シラン、n=1の場合は3官能性シラン、n=2の場合は2官能性シラン、n=3の場合は1官能性シランである。
式(IV)で表されるオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、などの4官能性シラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、n−へキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどの2官能性シラン;トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシランなどの1官能性シラン;が挙げられる。
これらのオルガノシランのうち、本発明の樹脂組成物から得られる樹脂膜の耐クラック性や硬度の点から3官能性シランが好ましく用いられる。また、これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明におけるポリシロキサンは、上述のオルガノシランを加水分解および部分縮合させることにより得られる。加水分解および部分縮合には一般的な方法を用いることができる。例えば、混合物に溶媒、水、必要に応じて触媒を添加し、加熱攪拌する。攪拌中、必要に応じて蒸留によって加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)や縮合副生物(水)を留去してもよい。
本発明で使用するポリイミドは、テトラカルボン酸無水物とジアミンを反応させて得たポリイミド前駆体を熱処理することで得ることができる。ポリイミド樹脂を得るための前駆体としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリイソイミド、ポリアミド酸スルホンアミド等がある。
ポリイミドの原料として使用できる酸二無水物としては、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物や、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族のテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらの酸二無水物は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリイミドの原料として使用できるジアミンの具体的な例としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらのジアミンは、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明で使用するポリイミドは公知の方法によって合成される。すなわち、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを選択的に組み合わせ、これらをN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、γ−ブチロラクトン、シクロペンタノン等の極性溶媒中で反応させる等、公知の方法によって合成される。
本発明で使用される樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは1,500〜100,000、より好ましくは2,000〜10,000の範囲である。
樹脂(A)の分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、測定することができる。例えば、テトラヒドロフラン等の溶媒を溶離液とし、ポリスチレン換算分子量として求めることができる。
本発明で使用される有機溶媒(B)は、特に限定されない。その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のアルキレングリコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、等のアルキレングリコールモノエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルエステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;等が挙げられる。
この中でも、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロペンタノン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
これらの有機溶媒(B)は、それぞれ単独で用いてもよく又は2種以上を併用してもよい。有機溶媒(B)の使用量は、樹脂100重量部に対して、通常、20〜10,000重量部、好ましくは50〜5,000重量部、より好ましくは100〜1,000重量部の範囲である。
本発明の樹脂組成物においては、さらに酸性基を有する化合物(C)を含有することが好ましい。酸性基を有する化合物(C)は、特に限定されないが、好ましくは脂肪族化合物、芳香族化合物、複素環化合物であり、更に好ましくは芳香族化合物、複素環化合物である。
これらの化合物(C)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる
酸性基の数は、特に限定されないが、2つ以上の酸性基を有するものが好ましく、特に2つの酸性基を有するものが好ましい。酸性基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
酸性基は、酸性の官能基であればよく、その具体例としては、スルホン酸基、リン酸基等の強酸性基;カルボキシ基、チオール基及びカルボキシメチレンチオ基等の弱酸性基;が挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基、チオール基またはカルボキシメチレンチオ基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。また、これらの酸性基の中でも、酸解離定数pKaが3.5以上5.0以下の範囲にあるものが好ましい。なお、酸性基が2つ以上ある場合は第一解離定数pKa1を酸解離定数とする。なお、pKaは、希薄水溶液条件下で、酸解離定数Ka=[HO+][B-]/[BH]である。ここでBHが有機酸を表し、B-は有機酸の共役塩基を表す。pKaはpKa=−logKaである。
また、pKaの測定方法は、例えばpHメーターを用いて水素イオン濃度を測定し、該当物質の濃度と水素イオン濃度から算出することができる。
本発明において、これらの酸性基を有する化合物(C)を使用することにより、本発明の樹脂組成物から形成されるパッシベーション膜は、薄膜トランジスタの信頼性向上に優れる。
本発明において、前記化合物(C)は、酸性基以外の置換基を有していてもよい。
このような置換基としては、アルキル基、アリール基等の炭化水素基のほか、ハロゲン原子;アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基;アルキル基又はアリール基又は複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基;アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基;等のプロトンを有しない極性基、これらのプロトンを有しない極性基で置換された炭化水素基、等を挙げることができる。
化合物(B)の具体例としては、メタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、グリコール酸、グリセリン酸、エタン二酸(「シュウ酸」ともいう。)、プロパン二酸(「マロン酸」ともいう。)、ブタン二酸(「コハク酸」ともいう。)、ペンタン二酸、ヘキサン二酸(「アジピン酸」ともいう。)、1、2―シクロヘキサンジカルボン酸、2−オキソプロパン酸、2−ヒドロキシブタン二酸、2−ヒドロキシプロパントリカルボン酸、メルカプトこはく酸、ジメルカプトこはく酸、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2,3−トリメルカプトプロパン、2,3,4−トリメルカプト−1−ブタノール、2,4−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、1,3,4−トリメルカプト−2−ブタノール、3,4−ジメルカプト−1,2−ブタンジオール、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン等の脂肪族化合物;
安息香酸、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸、o−ヒドロキシベンゼンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、メチル安息香酸、ジメチル安息香酸、トリメチル安息香酸、3−フェニルプロパン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、ジメトキシ安息香酸、ベンゼン−1,2−ジカルボン酸(「フタル酸」ともいう。)、ベンゼン−1,3−ジカルボン酸(「イソフタル酸」ともいう。)、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸(「テレフタル酸」ともいう。)、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、2−(カルボキシメチル)安息香酸、3−(カルボキシメチル)安息香酸、4−(カルボキシメチル)安息香酸、2−(カルボキシカルボニル)安息香酸、3−(カルボキシカルボニル)安息香酸、4−(カルボキシカルボニル)安息香酸、2−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、2−メルカプト−6−ナフタレンカルボン酸、2−メルカプト−7−ナフタレンカルボン酸、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン等の芳香族化合物;
ニコチン酸、イソニコチン酸、2−フロ酸、ピロール−2,3−ジカルボン酸、ピロール−2,4−ジカルボン酸、ピロール−2,5−ジカルボン酸、ピロール−3,4−ジカルボン酸、イミダゾール−2,4−ジカルボン酸、イミダゾール−2,5−ジカルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、ピラゾール−3,4−ジカルボン酸、ピラゾール−3,5−ジカルボン酸等の窒素原子を含む五員複素環化合物;チオフェン−2,3−ジカルボン酸、チオフェン−2,4−ジカルボン酸、チオフェン−2,5−ジカルボン酸、チオフェン−3,4−ジカルボン酸、チアゾール−2,4−ジカルボン酸、チアゾール−2,5−ジカルボン酸、チアゾール−4,5−ジカルボン酸、イソチアゾール−3,4−ジカルボン酸、イソチアゾール−3,5−ジカルボン酸、1,2,4−チアジアゾール−2,5−ジカルボン酸、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジカルボン酸、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3,5−ジメルカプト−1,2,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−(5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール−3−イルスルファニル)こはく酸、2−(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルスルファニル)こはく酸、(5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール−3−イルチオ)酢酸、(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)酢酸、3−(5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール−3−イルチオ)プロピオン酸、2−(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、3−(5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール−3−イルチオ)コハク酸、2−(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)コハク酸、4−(3−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール−5−イル)チオブタンスルホン酸、4−(2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−イル)チオブタンスルホン酸等の窒素原子と硫黄原子を含む五員複素環化合物;
ピリジン−2,3−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリダジン−3,4−ジカルボン酸、ピリダジン−3,5−ジカルボン酸、ピリダジン−3,6−ジカルボン酸、ピリダジン−4,5−ジカルボン酸、ピリミジン−2,4−ジカルボン酸、ピリミジン−2,5−ジカルボン酸、ピリミジン−4,5−ジカルボン酸、ピリミジン−4,6−ジカルボン酸、ピラジン−2,3−ジカルボン酸、ピラジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、トリアジン−2,4−ジカルボン酸、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−ジプロピルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン等の窒素原子を含む六員複素環化合物;が挙げられる。
これらの中でも、薄膜トランジスタの安定性を更に良好にするという観点から、酸性基の数は、2つ以上であることが好ましく、2つが特に好ましい。
酸性基を2つ有する化合物としては、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、1,2―シクロヘキサンジカルボン酸、ベンゼン−1,2−ジカルボン酸(「フタル酸」ともいう。)、ベンゼン−1,3−ジカルボン酸(「イソフタル酸」ともいう。)、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸(「テレフタル酸」ともいう。)ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、2−(カルボキシメチル)安息香酸、3−(カルボキシメチル)安息香酸、4−(カルボキシメチル)安息香酸、2−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、2−メルカプト−6−ナフタレンカルボン酸、2−メルカプト−7−ナフタレンカルボン酸、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオールの2つの酸性基を有する芳香族化合物;ピロール−2,3−ジカルボン酸、ピロール−2,4−ジカルボン酸、ピロール−2,5−ジカルボン酸、ピロール−3,4−ジカルボン酸、イミダゾール−2,4−ジカルボン酸-、イミダゾール−2,5−ジカルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、ピラゾール−3,4−ジカルボン酸、ピラゾール−3,5−ジカルボン、チオフェン−2,3−ジカルボン酸、チオフェン−2,4−ジカルボン酸、チオフェン−2,5−ジカルボン酸、チオフェン−3,4−ジカルボン酸、チアゾール−2,4−ジカルボン酸、チアゾール−2,5−ジカルボン酸、チアゾール−4,5−ジカルボン酸、イソチアゾール−3,4−ジカルボン酸、イソチアゾール−3,5−ジカルボン酸、1,2,4−チアジアゾール−2,5−ジカルボン酸、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジカルボン酸、(5−メルカプト−1,2,4−チアジアゾール−3−イルチオ)酢酸、(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)酢酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリダジン−3,4−ジカルボン酸、ピリダジン−3,5−ジカルボン酸、ピリダジン−3,6−ジカルボン酸、ピリダジン−4,5−ジカルボン酸、ピリミジン−2,4−ジカルボン酸、ピリミジン−2,5−ジカルボン酸、ピリミジン−4,5−ジカルボン酸、ピリミジン−4,6−ジカルボン酸、ピラジン−2,3−ジカルボン酸、ピラジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、トリアジン−2,4−ジカルボン酸の2つの酸性基を有する複素環化合物;が好ましい。
これらの化合物を使用することにより、本樹脂組成物から形成される有機パッシベーション膜を有する薄膜トランジスタの安定性を更に良好にするという効果を得ることができる。
本発明においては、用いる樹脂組成物における、酸性基を有する化合物(C)の含有量は、樹脂(A)100重量部に対して、通常、5〜45重量部、好ましくは7〜40重量部、更に好ましくは10〜30重量部の範囲である。酸性基を有する化合物(C)の使用量がこの範囲にあれば、樹脂組成物を製造後に保管しても、樹脂組成物の物性変化が原因となり樹脂組成物の特性が変化するというようなことがない、液状安定性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
本発明において、用いる樹脂組成物は、さらに、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、及びジルコニウム原子の中から選ばれる1つの原子を有し、かつ該原子に結合したヒドロカルビルオキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物(D)を含有してなるものであることが好ましい。
さらに、前記化合物(D)の中でも、ケイ素原子又はチタン原子に結合したヒドロカルビルオキシ基を有する化合物が好ましい。
また、前記ヒドロカルビルオキシ基は、炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基であることが好ましい。
また、化合物(D)は、樹脂(A)が、プロトン性極性基を有するものであるとき、プロトン性極性基と反応し得る官能基を有することが、特に好ましい。
このプロトン性極性基と反応し得る官能基は、イソシアネート基、メルカプト基、エポキシ基、又はアミノ基であることが好ましく、エポキシ基であることが、更に好ましい。
化合物(D)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−エチル(トリメトキシシリルプロポキシメチル)オキセタン、3−エチル(トリエトキシシリルプロポキシメチル)オキセタン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのトリアルコキシシラン類、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−へプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン類の他、
メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシラン、商品名X−12−414、KBP−44(信越化学工業株式会社製)、217FLAKE、220FLAKE、233FLAKE、z6018(東レダウコーニング株式会社製)等のケイ素原子含有化合物;
(テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジステアレート、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタンの他、プレンアクトシリーズ(味の素ファインテクノ株式会社製))等のチタン原子含有化合物;
(アセトアルコキシアルミウムジイソプロピレート)等のアルミニウム原子含有化合物;
(テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムものブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシステアレート)等のジルコニウム原子含有化合物;が挙げられる。
前記化合物(D)として、これらの中でも、ケイ素原子含有化合物、チタン原子含有化合物が好ましく、プロトン性極性基と反応し得る官能基を有することが特に好ましい。前記官能基を有することにより、薄膜トランジスタの安定性を更に良好にする。
前記プロトン性極性基と反応し得る官能基を有する化合物としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−n−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランが特に好ましい。
これらの化合物(D)は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる樹脂組成物における化合物(D)の含有量は、バインダー樹脂(A)100重量部に対して、1〜40重量部、好ましくは3〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部の範囲である。化合物(D)の使用量がこの範囲にあれば、薄膜トランジスタの安定性を更に良好にすることができる。
本発明に用いる樹脂組成物においては、感放射線化合物(E)をさらに含有してなることが好ましい。
本発明で使用する感放射線化合物(E)は、紫外線や電子線等の放射線の照射により、化学反応を引き起こすことのできる化合物である。本発明において感放射線化合物(E)は、樹脂組成物から形成される樹脂膜のアルカリ溶解性を制御できるものが好ましい。
本発明においては感放射線化合物(E)として光酸発生剤を使用することが好ましい。
感放射線化合物(E)としては、例えば、アセトフェノン化合物、トリアリールスルホニウム塩、キノンジアジド化合物等のアジド化合物等が挙げられるが、好ましくはアジド化合物、特に好ましくはキノンジアジド化合物である。
キノンジアジド化合物としては、例えば、キノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を有する化合物とのエステル化合物を用いることができる。キノンジアジドスルホン酸ハライドの具体例としては、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド等が挙げられる。フェノール性水酸基を有する化合物の代表例としては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール等が挙げられる。これら以外のフェノール性水酸基を有する化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ノボラック樹脂のオリゴマー、フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー等が挙げられる。
これらの中でも、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール性水酸基を有する化合物との縮合物が好ましく、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド(2.5モル)との縮合物がより好ましい。
光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物の他、オニウム塩、ハロゲン化有機化合物、α,α’−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α’−スルホニルジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等、公知のものを用いることができる。
これらの感放射線化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる樹脂組成物における感放射線化合物(E)の含有量は、樹脂(A)100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部の範囲である。感放射線化合物(E)の使用量がこの範囲にあれば、任意の基板上に形成した樹脂組成物からなる樹脂膜をパターン化する際に、放射線照射部と放射線未照射部との現像液への溶解度差が大きくなり、現像によるパターン化が容易で、かつ、放射線感度も高くなるので好適である。
本発明において、樹脂組成物の成分として、架橋剤(F)をさらに含有することが好ましい。
架橋剤(F)としては、樹脂(A)と反応し得る官能基を、分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上有するものが用いられる。架橋剤(F)の有する官能基はバインダー樹脂中の官能基や不飽和結合等と反応しうるものであれば、特に限定されないが、プロトン性極性基と反応し得るものが好ましい。
かかる官能基としては、例えば、アミノ基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられ、より好ましくはアミノ基、エポキシ基及びイソシアネート基であり、更に好ましくはエポキシ基である。
架橋剤(F)の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ポリアミン類;2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフォン等のアジド類;ナイロン、ポリヘキサメチレンジアミンテレレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;N,N,N’,N’,N”,N”−(ヘキサアルコキシメチル)メラミン等のメラミン類;N,N’,N”,N”’−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリル等のグリコールウリル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアクリレート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)ノルボルナン;1,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサン;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル、エポキシアクリレート重合体等のエポキシ化合物;を挙げることができる。
このようなエポキシ化合物の具体例としては、ジシクロペンタジエンを骨格とする3官能性のエポキシ化合物(商品名「XD−1000」。日本化薬社製)、[2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(シクロヘキサン骨格及び末端エポキシ基を有する15官能性の脂環式エポキシ樹脂。商品名「EHPE3150」。ダイセル化学工業社製)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状3官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT301」。ダイセル化学工業社製)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状4官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT401」。ダイセル化学工業社製)等の脂環構造を有するエポキシ化合物;
芳香族アミン型多官能エポキシ化合物(商品名「H−434」、東都化成工業社製)、クレゾールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「EOCN−1020」、日本化薬社製)、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物(エピコート152、154、ジャパンエポキシレジン社製)、ナフタレン骨格を有する多官能エポキシ化合物(商品名EXA−4700、大日本インキ化学株式会社製)、鎖状アルキル多官能エポキシ化合物(商品名「SR−TMP」、坂本薬品工業社製)、多官能エポキシポリブタジエン(商品名「エポリードPB3600」、ダイセル化学工業社製)、グリセリンのグリシジルポリエーテル化合物(商品名「SR−GLG」、阪本薬品工業株式会社製)、ジグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−DGE」、阪本薬品工業株式会社製、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル化合物(商品名「SR−4GL」、阪本薬品工業株式会社製)等の脂環構造を有さないエポキシ化合物;を挙げることができる。
これらの中でも、エポキシ化合物が好ましく、脂環構造を有するエポキシ化合物が、本樹脂組成物から形成される有機パッシベーション膜を有する薄膜トランジスタの安定性を更に良好にするため、更に好ましい。
架橋剤(F)の分子量は、特に限定されないが、通常、100〜100,000、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1,000〜10,000である。架橋剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の樹脂組成物における架橋剤(F)の含有量は、樹脂(A)100重量部に対して、通常、0.1〜200重量部、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは5〜100重量部の範囲である。架橋剤の使用量がこの範囲にあれば、十分な耐熱性が得られ、好ましい。
本発明に用いる樹脂組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、所望により、増感剤、界面活性剤、潜在的酸発生剤、酸化防止剤、光安定剤、消泡剤、顔料、染料等のその他の配合剤;等を含有していてもよい。
増感剤の具体例としては、2H−ピリド−(3,2−b)−1,4−オキサジン−3(4H)−オン類、10H−ピリド−(3,2−b)−1,4−ベンゾチアジン類、ウラゾール類、ヒダントイン類、バルビツール酸類、グリシン無水物類、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール類、アロキサン類、マレイミド類等が挙げられる。
本発明において、樹脂組成物の成分として、界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤は、ストリエーション(塗布筋あと)の防止、現像性の向上等の目的で使用される。その具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;メタクリル酸共重合体系界面活性剤;アクリル酸共重合体系界面活性剤;等が挙げられる。
潜在的酸発生剤は、本発明の樹脂組成物の耐熱性及び耐薬品性を向上する目的で使用される。その具体例としては、加熱により酸を発生するカチオン重合触媒である、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、スルホニウム塩及びベンゾチアゾリウム塩が好ましい。
酸化防止剤としては、通常の重合体に使用されている、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤等が使用できる。例えば、フェノール類として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、p−メトキシフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、アルキル化ビスフェノール等を挙げることができる。リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、イオウ系としては、チオジプロピオン酸ジラウリル等が挙げられる。
本発明において、樹脂組成物の成分として、光安定剤を含有することが好ましい。
光安定剤は、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、金属錯塩系等の紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系(HALS)等、光により発生するラジカルを捕捉するもの等のいずれでもよい。これらのなかでも、HALSはピペリジン構造を有する化合物で、本発明の組成物に対し着色が少なく、安定性がよいため好ましい。具体的な化合物としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
本発明に用いる樹脂組成物の調製方法は、特に限定されず、樹脂組成物の各構成成分、即ち、樹脂(A)、及び有機溶媒(B)、並びに所望により使用するその他の成分を公知の方法により混合すればよい。
混合の方法は特に限定されないが、樹脂組成物の各構成成分を有機溶媒(B)に溶解又は分散して得られる溶液又は分散液を混合するのが好ましい。これにより、本発明の樹脂組成物は、溶液又は分散液の形態で得られる。
本発明の樹脂組成物の各構成成分を有機溶媒(B)に溶解又は分散する方法は、常法に従えばよい。具体的には、攪拌子とマグネティックスターラーを使用した攪拌、高速ホモジナイザー、ディスパー、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミル、三本ロール等を使用して行なうことができる。また、各成分を有機溶媒(B)に溶解又は分散した後に、例えば、孔径が0.5μm程度のフィルター等を用いて濾過してもよい。
本発明の樹脂組成物の各構成成分を有機溶媒(B)に溶解又は分散するときの固形分濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。固形分濃度がこの範囲にあれば、溶解安定性、基板上への塗布性や形成される樹脂膜の膜厚均一性、平坦性等が高度にバランスされ得る。
本発明においては、チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程を経た薄膜トランジスタを有する基板上にパッシベーション膜を形成した後に、該パッシベーション膜を架橋させることができる。
前記基板上に形成されたパッシベーション膜の架橋は、樹脂(A)の架橋反応により行うことができ、好ましくは架橋剤を用いる。架橋は、架橋剤の種類に応じて適宜方法を選択すればよいが、通常、加熱により行なう。加熱方法は、例えば、ホットプレート、オーブン等を用いて行なうことができる。加熱温度は、通常、180〜250℃であり、加熱時間は、パッシベーション膜の大きさや厚さ及び使用機器等により適宜選択され、例えばホットプレートを用いる場合は、通常、5〜90分間、オーブンを用いる場合は、通常、30〜120分間の範囲である。加熱は、必要に応じて不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。不活性ガスとしては、酸素を含まず且つパッシベーション膜を酸化させないものであればよく、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトン等が挙げられる。これらの中でも窒素とアルゴンが好ましく、特に窒素が好ましい。特に、酸素含有量が0.1体積%以下、好ましくは0.01体積%以下の不活性ガス、特に窒素が好適である。これらの不活性ガスは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、前記パッシベーション膜はパターン化されていてもよい。
基板上に形成されたパッシベーション膜のパターン化は、例えば、フォトレジストをマスクとしてドライエッチングをする方法や、樹脂組成物に感放射線性物質を含有させ、該樹脂組成物を用いて形成した樹脂膜に活性放射線を用いて潜像パターンを形成し、現像液を用いて潜像パターンを顕在化させる方法などにより行うことができる。
活性放射線としては、光酸発生剤を活性化させ、光酸発生剤を含む架橋性組成物のアルカリ可溶性を変化させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、紫外線、g線やi線等の単一波長の紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線;電子線のような粒子線;等を用いることができる。これらの活性放射線を選択的にパターン状に照射して潜像パターンを形成する方法としては、常法に従えばよく、例えば、縮小投影露光装置等により、紫外線、g線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線を所望のマスクパターンを介して照射する方法、又は電子線等の粒子線により描画する方法等を用いることができる。活性放射線として光線を用いる場合は、単一波長光であっても、混合波長光であってもよい。照射条件は、使用する活性放射線に応じて適宜選択されるが、例えば、波長200〜450nmの光線を使用する場合、照射量は、通常10〜1,000mJ/cm、好ましくは50〜500mJ/cmの範囲であり、照射時間と照度に応じて決まる。このようにして活性放射線を照射した後、必要に応じ、樹脂膜を60〜130℃程度の温度で1〜2分間程度加熱処理する。
次に、パッシベーション膜に形成された潜像パターンを現像して顕在化させる。本発明では、このような工程を「パターン化」といい、パターン化されたパッシベーション膜を「パターン化パッシベーション膜」という。現像液としては、通常、アルカリ性化合物の水性溶液が用いられる。アルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属塩、アミン、アンモニウム塩を使用することができる。アルカリ性化合物は、無機化合物であっても有機化合物であってもよい。これらの化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア水;エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第二級アミン;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、N−メチルピロリドン等の環状アミン類;等が挙げられる。これらアルカリ性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ水性溶液の水性媒体としては、水;メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を使用することができる。アルカリ水性溶液は、界面活性剤等を適当量添加したものであってもよい。
潜像パターンを有するパッシベーション膜に現像液を接触させる方法としては、例えば、パドル法、スプレー法、ディッピング法等の方法が用いられる。現像は、通常、0〜100℃、好ましくは5〜55℃、より好ましくは10〜30℃の範囲で、通常、30〜180秒間の範囲で適宜選択される。
このようにして目的とするパターン化パッシベーション膜を形成した後、必要に応じて、基板上、基板裏面及び基板端部の現像残渣を除去するために、基板をリンス液でリンスすることができる。リンス処理の後、残存しているリンス液を圧縮空気や圧縮窒素により除去する。
更に、必要に応じて、光酸発生剤を失活させるために、パターン化パッシベーション膜を有する基板全面に活性放射線を照射することもできる。活性放射線の照射には、上記潜像パターンの形成に例示した方法を利用できる。照射と同時に又は照射後にパッシベーション膜を加熱してもよい。加熱方法としては、例えば、基板をホットプレートやオーブン内で加熱する方法が挙げられる。温度は、通常、100〜300℃、好ましくは120〜200℃の範囲である。
本発明において、基板上にパターン化樹脂を形成した後に、パターン化樹脂の架橋反応を行なうことができる。
架橋は、上述した基板上に形成されたパッシベーション膜の架橋と同様に行なえばよい。
本発明の製造方法により得られる薄膜トランジスタは、アクティブマトリックス型液晶ディスプレイや、アクティブマトリックス型有機ELなどの表示装置に使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、本実施例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ、「重量部」及び「重量%」である。
各特性は以下の方法により評価した。
(1)薄膜トランジスタ特性
半導体パラメータアナライザ(Agilent社製4156A)を用いて、作成直後の測定用試料(薄膜トランジスタを有する基板)の、ゲート電圧の変化に対するソースドレイン間電流の変化を測定した。ゲート電圧が−3Vの時のソースドレイン間電流の値と、ゲート電圧が10Vの時のソースドレイン間電流の値との比率をON/OFF比として観測した。続いて、測定用試料を温度60℃、湿度90%に設定した恒温恒湿槽(エスペック社製プラチナスPR−2KP)のなかに設置した。設置後、5時間ごとに前記方法によりON/OFF比を測定した。その後、ON/OFF比が初期の値から10分の1になった時間を薄膜トランジスタ特性として観測した。評価基準は下記に従った。この分析によれば、薄膜トランジスタ特性が長いほど、薄膜トランジスタの信頼性が高くなる。
A+:400時間以上
A:300時間以上400時間未満
B:200時間以上300時間未満
C:100時間以上200時間未満
D:100時間未満
(2)透過率
作成直後の測定用試料(薄膜トランジスタを有する基板)を、分光光度計(日本分光株式会社製、「紫外可視分光光度計V−560(製品名)」を用いて、波長400nmでの透過率の測定を行った。なお、透過率測定に際しては、測定用試料の基板上において、ガラス基板、ゲート絶縁膜及びパッシベーション膜が積層されている部分であって、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、半導体層及び不純物添加半導体層を含まない部分を用いて測定を行った。波長400nmにおける透過率が80%以上あれば非常に透明性が高い。この分析によれば、透過率が高いほど、薄膜トランジスタ基板の透明性が高くなる。
〔製造例1〕
(プロトン性極性基を有する環状オレフィン重合体の製造)
プロトン性極性基を有する環状オレフィン単量体として9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンを60部、プロトン性極性基を有さない環状オレフィン単量体としてテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(「テトラシクロドデセン」ともいう。)を40部、1,5−ヘキサジエン2.8部、触媒として(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.05部及び溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル400部を、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、撹拌下に80℃で2時間重合反応を行って開環メタセシス重合体a1を含有する重合反応溶液を得た。重合転化率は、99.9%以上であった。この重合体a1の重量平均分子量は3,200、数平均分子量は1,900、分子量分布は1.68であった。
次いで、水素添加触媒としてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチレンルテニウムジクロリド0.1部を重合反応溶液に加え、水素を4MPaの圧力で5時間溶存させて、水素添加反応を進行させたのち、活性炭粉末1部を添加し、オートクレーブに入れて撹拌しつつ150℃で水素を4MPaの圧力で3時間溶存させた。次いで、溶液を取り出して孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して活性炭を分離して開環メタセシス重合体a1の水素化物a2を含有する水素添加反応溶液476部を得た。ろ過は、滞りなく行なうことができた。ここで得られた水素化物a2を含有する水素添加反応溶液の固形分濃度は20.6%であり、水素化物a2の収量は98.1部であった。得られた水素化物a2の重量平均分子量は4,430、数平均分子量は2,570、分子量分布は1.72であった。水素化率は99.9%であった。
得られた水素化物a2の水素添加反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度を35%に調整して、水素化物a3(プロトン性極性基としてカルボキシル基を有する環状オレフィン重合体)の溶液を得た。濃縮の前後で収量、水素化物の重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布に変化はなかった。
〔実施例1〕
樹脂(A)(製造例1で得られた水素化物a3)100重量部(固形分換算)、シリコーン系界面活性剤〔信越化学工業社製、KP341(商品名)〕0.05重量部及び溶媒(B)(ジエチレングリコールエチルメチルエーテル)を、固形分濃度が24%となるように溶媒(B)の量をして添加し、混合、攪拌し、混合物溶液を得た。混合物は、5分以内に均一な溶液になった。この溶液を孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して、樹脂組成物a4を調整した。
ガラス基板(コーニング社、製品名コーニング1737)上に、ゲート電極となる200nm厚のクロム膜をスパッタリング法により形成した。次いで、前記クロム膜をパターニングしてゲート電極とするため、エッチングのマスクとして使用するポジ型フォトレジスト(日本ゼオン社製ZPP−1800U3)をスピンコート法により前記クロム膜上に塗布し、ホットプレートを用いて溶媒を除去することで1.5μmのレジスト膜を形成した。次いで、露光工程、現像工程を行い、レジスト膜をパターニングした。次いで、硝酸二アンモニウムセリウムをエッチング液に用いて、ウェットエッチングによりクロム膜のパターニングを行いゲート電極を形成した。次いで、レジスト膜を、モノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶液(MEA/DMSO=7/3)の剥離液を用いて除去した。
次いで、ゲート電極を覆ってゲート絶縁膜となる450nm厚のシリコン窒化物膜、半導体層となる250nm厚のa−Si層(アモルファスシリコン層)、不純物添加半導体層となる50nm厚のn+Si層をそれぞれCVD法により順に形成した。次いで、前記半導体層及び不純物添加半導体層を島状にパターニングするため、エッチングのマスクとして使用するポジ型フォトレジスト(日本ゼオン社製ZPP−1800U3)をスピンコート法により不純物添加半導体層上に塗布し、ホットプレートを用いて溶媒を除去することで1.5μmのレジスト膜を形成した。次いで、露光工程、現像工程を経てレジスト膜をパターニングした。次いで、ドライエッチングにより、不純物添加半導体層と半導体層とをアイランド状にパターニングした。次いで、レジスト膜を、モノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶液(MEA/DMSO=7/3)の剥離液にて除去した。次いで、ゲート絶縁膜及び不純物添加半導体層の上に、ソース・ドレイン電極となる200nm厚のクロム膜をスパッタリング法により形成した。次いで、前記ソース・ドレイン電極をパターニングしてソース電極とドレイン電極を形成するため、エッチングのマスクとして使用するポジ型フォトレジスト(日本ゼオン社製ZPP−1800U3)をスピンコート法によりソース・ドレイン電極上に塗布し、ホットプレートを用いて溶媒を除去することで1.5μmのレジスト膜を形成した。次いで、露光工程、現像工程を経てレジスト膜をパターニングした。次いで、硝酸二アンモニウムセリウムをエッチング液に用いて、ウェットエッチングによりソース・ドレイン電極をパターニングした。次いで、ソース・ドレイン電極のパターニングの際に利用したフォトレジストを利用して、n+Si層を六フッ化硫黄ガスを用いてドライエッチングを行った。次いで、レジスト膜をモノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶液(MEA/DMSO=7/3)の剥離液を用いて除去した。次いで、前記工程まで経た基板を25℃の0.5%フッ酸溶液に3分間浸漬させることにより、ソース電極及びソース電極が存在する領域にある不純物添加半導体層の、ゲート電極側端部と、ドレイン電極及びドレイン電極が存在する領域にある不純物添加半導体層の、ゲート電極側端部と、の間に形成されたチャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去した。次いで、前記工程まで経た基板を超純水で30秒間リンスを行い、リンス時に付着した超純水を窒素を利用して基板表面から除去した。次いで、有機材料を含んでなるパッシベーション膜となる前記の樹脂組成物a4をスピンコート法により前記工程まで経た基板上に塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間加熱乾燥(プリベーク)して、膜厚2.5μmの樹脂膜を形成した。次いで、230℃で60分間加熱した。これにより、有機パッシベーション膜が形成された薄膜トランジスタを得た。
次いで、得られた薄膜トランジスタの特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、硝酸二アンモニウムセリウムをエッチング液に用いて、ウェットエッチングによりソース・ドレイン電極をパターニングする工程と、次いでソース・ドレイン電極のパターニングの際に利用したフォトレジストを利用して、n+Si層を六フッ化硫黄ガスを用いてドライエッチングする工程と、次いでレジスト膜をモノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶液(MEA/DMSO=7/3)の剥離液を用いて除去する工程と、次いで0.5%フッ酸溶液を用いて半導体層表面の酸化膜を除去する工程と、の4つの工程を、硝酸二アンモニウムセリウムをエッチング液に用いて、ウェットエッチングによりソース・ドレイン電極をパターニングし、次いでレジスト膜をモノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶液(MEA/DMSO=7/3)の剥離液を用いて除去し、次いで基板を室温の硝酸水溶液(61%硝酸水溶液)とフッ酸(50%フッ化水素水溶液)との混合溶液(重量比が硝酸とフッ酸を体積比率で100:0.5の比率で混合させた溶液)に5秒間浸漬させることによりウェットエッチングを行い、前記ウェットエッチング時に同時に半導体層表面の酸化膜を除去を行う工程に変更した以外は、実施例1と同様にして薄膜トランジスタを作製し、評価を行った。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1において、樹脂組成物として、樹脂組成物a4に、さらに酸性化合物(C)として、フタル酸を10重量部加えて固形分濃度が24%となるように調整した樹脂組成物a5を用いて有機パッシベーション膜を形成した以外は、実施例1と同様にして薄膜トランジスタを作成し、評価を行った。その結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例3において、樹脂組成物として、樹脂組成物a5に、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子及びジルコニウム原子の中から選ばれる1つの原子を有し、かつ該原子に結合したヒドロカルビルオキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物(D)として、2―(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを10重量部加えて固形分濃度が24%となるように調整した樹脂組成物a6を用いて有機パッシベーション膜を形成した以外は、実施例3と同様にして薄膜トランジスタを作成し、評価を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、パッシベーション膜を、シランガスとアンモニウムガスを原料としたCVD法により成膜したシリコン窒化膜(SiNx膜)に変更した以外は実施例1と同様にして薄膜トランジスタを作成し、評価を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、フッ酸による酸化膜を除去する工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして薄膜トランジスタを作成し、評価を行った。その結果を表1に示す。
なお、酸化膜が除去されたか否かは、フッ酸処理前後の基板をX線光電子分光分析装置(ESCA)により表面分析を行うことで確認した。なお、測定は、測定用試料において表面分析を行うのに十分な面積を有する部分を用いて行った。実施例および比較例において、酸化膜を除去する工程を行った基板は、表面分析から確かに酸化膜が除去されていることを確認できた。
また各実施例、比較例の薄膜トランジスタの信頼性評価においては、作成直後の測定用試料は、全て10以上の良好なON/OFF比を有していた。
Figure 2010199390
表1の結果から、酸化膜を除去する工程を行った薄膜トランジスタは、過酷な雰囲気においても特性が悪化することなく、非常に信頼性が高かった。また、有機材料を含んでなるパッシベーション膜を用いた薄膜トランジスタ基板は、無機膜からなるパッシベーションを用いたものよりも煩雑な工程がなく簡便に製造することが出来た。さらに、有機材料を含むパッシベーション膜を用いた薄膜トランジスタ基板は透明性が高かった。
実施例で製造した薄膜薄膜トランジスタを用いると、信頼性に優れ、簡便で効率的に製造でき、かつ明るい表示装置を得ることができる。

Claims (11)

  1. 基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層及びソース・ドレイン電極を形成する工程、
    チャネル領域を形成する工程、
    前記チャネル領域の半導体層表面の酸化膜を除去する工程、
    並びに前記酸化膜を除去する工程に次いで有機材料を含んでなるパッシベーション膜を成膜する工程、を有する薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層、ソース・ドレイン電極を形成する工程、
    ウェットエッチングによりチャネル領域を形成する工程、
    並びに前記チャネル領域を形成する工程に次いで有機材料を含んでなるパッシベーション膜を成膜する工程、を有する薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 酸化膜を除去する工程が、フッ酸を含有する溶液を用いるものである請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  4. ウェットエッチングによりチャネル領域を形成する工程が、フッ酸を含有する溶液を用いるものである請求項2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  5. パッシベーション膜が、樹脂(A)及び有機溶剤(B)を含有する樹脂組成物により形成される膜である請求項1または2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 樹脂組成物が、さらに酸性基を有する化合物(C)を含有するものである請求項5に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  7. 樹脂組成物が、さらに、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子及びジルコニウム原子の中から選ばれる1つの原子を有し、かつ該原子に結合したヒドロカルビルオキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物(D)を、含有するものである請求項5に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  8. 樹脂組成物が、さらに酸性基を有する化合物(C)、並びに、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子及びジルコニウム原子の中から選ばれる1つの原子を有し、かつ該原子に結合したヒドロカルビルオキシ基又はヒドロキシ基を有する化合物(D)を、含有するものである請求項5に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  9. 樹脂(A)が、環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、カルド樹脂、ポリシロキサン樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項5〜8のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られる薄膜トランジスタ。
  11. 請求項10に記載の薄膜トランジスタを有する表示装置。
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