JPH072929A - 開環重合体水素化物の製造方法 - Google Patents

開環重合体水素化物の製造方法

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JPH072929A
JPH072929A JP16839293A JP16839293A JPH072929A JP H072929 A JPH072929 A JP H072929A JP 16839293 A JP16839293 A JP 16839293A JP 16839293 A JP16839293 A JP 16839293A JP H072929 A JPH072929 A JP H072929A
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Japan
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ring
polymer
opening
compound
hydrogenation
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JP16839293A
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Akira Iio
章 飯尾
Masaji Yoshinari
正司 吉成
Noboru Oshima
昇 大嶋
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、高い水素化率の水素化反応を行う
ことのできる、開環重合体水素化物の製造方法を提供す
ることを目的とする。 【構成】 少なくとも1種のノルボルネン誘導体よりな
る単量体またはこの単量体およびこれと共重合可能な共
重合性単量体を開環重合させて得られる開環重合体中に
存在する非芳香族性炭素−炭素間二重結合を水素化触媒
の存在下に水素化することにより開環重合体水素化物を
製造する方法において、ルテニウム化合物およびアルカ
リ金属化合物からなる水素化触媒、または、ルテニウム
化合物、アルカリ金属化合物および有機アルミニウム化
合物からなる水素化触媒を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、開環重合体水素化物の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン誘導体の開環重合体(開環
共重合体を含む。以下について同じ。)の水素化物は、
優れた光学特性および耐熱性を有する透明樹脂として有
用なものであり、各種の開環重合体水素化物およびその
製造方法が提案されている。
【0003】斯かる開環重合体水素化物として、例えば
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセンをW、
Mo、Re、Tiなどの遷移金属化合物から選ばれた重
合触媒、あるいは前記の遷移金属と、Li、Mg、A
l、Snなどの有機金属化合物とを組み合わせてなる重
合触媒の存在下で開環重合反応を行って得られる開環重
合体を更に水素化して得られる開環重合体水素化物が知
られている。
【0004】一方、炭素−炭素間二重結合を有する重合
体を水素化する方法として、 Ti、Co、Niなどの有機酸塩またはアセチルア
セトン塩と、Li、Mg、Al、Snなどの有機金属化
合物を組み合わせてなる、いわゆるチグラータイプの均
一系触媒を用いる方法、 パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムなどの貴
金属をカーボン、アルミナ、シリカ・アルミナ、ケイソ
ウ土などの担体に担持してなる担持型貴金属系触媒を用
いる方法、 ニッケルなどの卑金属を用いた固体触媒を用いる方
法、 Rh、Ruなどの貴金属錯体触媒を用いる方法など
が知られている。
【0005】しかしながら、これらの方法は、いずれ
も、工業的には十分に満足すべきものではない。すなわ
ち、の方法は、不均一系反応であるの方法に比し
て、少量の触媒でしかも低い反応温度と低い水素圧の穏
やかな水素化反応条件で反応が進行する特長があるが、
このの方法においては、触媒が空気、水、その他の極
性化合物によって失活しやすく、このため、失活の原因
となる物質を予め除去したり、水素化反応それ自体を空
気や水を十分に遮断した状態で行う必要があるなど、取
扱いが煩雑である。しかも極性の大きい溶媒を使用する
場合には反応活性が低下するため、使用することのでき
る溶媒の範囲に制約がある。
【0006】特に極性置換基を有するノルボルネン系重
合体などの極性基を有する重合体を水素化する場合にお
いて必要とされる、当該重合体に対して高い溶解性を有
ししかも十分に高い反応活性が維持される溶媒の選択
は、実際上、困難である。
【0007】上記の方法は、水素化されるべき重合体
が極性基を有するものであっても水素化率が低下するこ
とがなく、水素化反応系に水が存在しても反応活性に大
きな影響を与えず、更に使用に供した触媒を単に濾過を
するだけで簡単に回収することができる利点があるが、
反面、高い水素化率を得るためには多量の触媒を使用す
ることが必要であり、また触媒の寿命が極めて短く、例
えば水素化反応をバッチ式で行って触媒を再使用する
と、第二回目の水素化率は第一回目の水素化率に比して
大幅に低下してしまうという工業上致命的な欠点を有す
る。
【0008】の方法は、使用する触媒は安価ではある
が、重合体の水素化反応においては十分な水素化率を得
ることができない、という欠点を有する。
【0009】の方法は、使用する触媒が高価であって
しかもその活性が十分な高いものでなく、触媒の回収お
よび再使用が困難であり、結局、製造コストが非常に高
いものとなる、という欠点を有する。
【0010】以上のように、上記の方法はいずれも工業
的に実施する上で必ずしも好適な方法ではなく、具体的
な重合体水素化物の性質などに応じて各種の触媒系が選
択されているのが実情である。
【0011】また、例えばの方法において、貴金属元
素の中では比較的安価なRu金属の特定の錯体を用いる
技術が報告されている(特開昭64−45403号公
報、特開昭64−45404号公報、特開平1−113
407号公報参照)。これらの技術は、共役ジエン化合
物の重合体を水素化するためのものであるが、当該水素
化触媒は、工業的な実施という観点から十分な活性を有
するものではないため、例えば水素化されるべき重合体
に対して、Ru金属として約800ppmもの多量の触
媒を使用する必要がある。また、水素化反応のための重
合体の溶液の濃度が低く制限され、従ってこの点におい
ても有利な方法ということはできない。
【0012】以上のように、これら〜の方法におい
て用いられている水素化触媒は常に良好な触媒作用を発
揮するものではなく、水素化されるべき重合体の種類、
水素化反応の条件などによって実際に得られる触媒効率
が異なり、ある重合体に対して高い水素化率が達成され
るからといって、他の重合体に対しても同様の水素化率
が期待できるものではない。
【0013】特に、重合体が水素化されるべき炭素−炭
素間二重結合の近傍に大きな原子団による基を有するテ
トラシクロドデセン化合物の開環重合体である場合に
は、嵩高いトリシクロドデカン環が存在するため、立体
障害が大きくて高い水素化率で水素化させることは困難
とされていた。
【0014】このような事情に基づいて、本発明者ら
は、先に、極性基を有する特定のテトラシクロドデセン
化合物の開環重合体であっても、これを高い水素化率で
水素化することができ、しかも容易に水素化反応を実行
することのできる方法として、特定のルテニウム化合物
を水素化触媒として用いる開環重合体水素化物の製造方
法を提案した(特開平4−202404号公報参照)。
【0015】本発明者らの提案したこの方法は、特定の
テトラシクロドデセン化合物の開環重合体の水素化反応
を少ない触媒使用量で実行することができる点で、上記
〜の方法に比べて優れたものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特定の
ルテニウム化合物を構成するルテニウムは、高価な貴金
属であり、このような貴金属触媒の使用量が、前記開環
重合体水素化物の製造コストを大きく左右することにな
る。
【0017】従って、特定のテトラシクロドデセン化合
物の開環重合体について、高い水素化率の水素化反応を
より少ない量の貴金属触媒で実行することができる触媒
系の開発(開環重合体水素化物の製造方法)が強く望ま
れていた。
【0018】本発明は、以上のような事情に基づいてな
されたものであって、本発明の目的は、特定のテトラシ
クロドデセン化合物の開環重合体について、非常に高い
水素化率の水素化反応を、従来の触媒系を用いる場合よ
りも少ない量の貴金属触媒で実行することができ、製造
コストの点から極めて有利な開環重合体水素化物の製造
方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の開環重合体水素
化物の製造方法は、下記化2で表される少なくとも1種
のノルボルネン誘導体よりなる単量体またはこの単量体
およびこれと共重合可能な共重合性単量体を開環重合さ
せて得られる開環重合体中に存在する非芳香族性炭素−
炭素間二重結合を水素化触媒の存在下に水素化すること
により開環重合体水素化物を製造する方法において、
〔A〕下記一般式(1)で表されるルテニウム化合物お
よび下記一般式(2)で表されるアルカリ金属化合物か
らなる水素化触媒、または、〔B〕下記一般式(1)で
表されるルテニウム化合物、下記一般式(2)で表され
るアルカリ金属化合物および下記一般式(3)で表され
る有機アルミニウム化合物からなる水素化触媒を用いる
ことを特徴とする。
【0020】
【化2】
【0021】〔化2中、AおよびBは水素原子または炭
素数1〜10の炭化水素基であり、XおよびYは水素原
子、ハロゲン原子または一価の有機基を示し、mは0ま
たは1である。〕
【0022】一般式(1):RuHk n p q 〔式中、Qはハロゲン原子を示し、TはCO、NOおよ
びCH3 COCH2 COCH3 から選ばれた1種以上の
原子団を示し、ZはPR1 2 3 (R1 、R2、R3
はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基、アルケニル
基またはフェニル基を示す。)を示し、kは0、1また
は2であり、nは0、1または2であり、pは1または
2であり、qは2または3である。〕
【0023】一般式(2):R4 1 〔式中、R4 はアルキル基、アリール基、アルコキシ基
またはフェノキシ基を示し、M1 はリチウム原子、ナト
リウム原子またはカリウム原子を示す。〕
【0024】一般式(3):R5 6 7 Al 〔式中、R5 はアルキル基またはアリール基を示し、R
6 、R7 はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基、ア
リール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子
または水素原子を示す。〕
【0025】以下、本発明について具体的に説明する。
本発明においては、特定単量体をメタセシス触媒によっ
て開環重合して得られる開環重合体を、更に水素化させ
る場合において、上記一般式(1)で表されるルテニウ
ム化合物、一般式(2)で表されるアルカリ金属化合
物、および必要に応じて一般式(3)で表される有機ア
ルミニウム化合物をそれぞれ水素化触媒として用いる。
【0026】<特定単量体>本発明によって水素化され
るべき開環重合体を得るための原料として使用される特
定単量体は、上記化2で表わされるノルボルネン構造を
有する化合物である。
【0027】特定単量体のうち、上記化2におけるXま
たはYが極性基、特に式−(CH2n COOR8 で表
わされる基である特定単量体は、得られる重合体の水素
化物が高いガラス転移温度と低い吸湿性を有するものと
なる点で好ましい。
【0028】上記の式において、R8 は炭素原子数1〜
12の炭化水素基である。また、nの値が小さいものほ
ど、得られる重合体のガラス転移温度が高くなるので好
ましく、更にnが0である特定単量体は、その合成が容
易である点で、また、得られる重合体のガラス転移温度
が高いものとなる点で好ましい。
【0029】更に、上記化2におけるAおよびBはアル
キル基、特にメチル基であることが好ましく、特に、こ
のアルキル基が、上記の−(CH2 n COOR8 で表
わされる基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合
されていることが好ましい。また、上記化2においてm
が1である特定単量体は、ガラス転移点の高い重合体が
得られる点でmが0のものより好ましい。上記化2で表
わされる特定単量体の具体例としては、ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.
0.12,5 . 17,10]−3−ドデセン、ヘキサシクロ
[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘプタ
デセン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセ
ン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]−4−ペンタデセン、ヘプタシクロ[8.7.
0.12,9 .14,7 .111,17 .03,8 .012,16 ]−
5−イコセン、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3
−デセン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカル
ボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−
メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5 . 17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メト
キシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 . 1
7,10]−3−ドデセン、9−メチル−8−メトキシカル
ボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 . 17,10]−
3−ドデセン、エチリデン−2−ノルボルネン、その他
を挙げることができる。
【0030】上記の特定単量体は必ずしも単独で用いら
れる必要はなく、二種以上を用いて開環共重合すること
もできる。
【0031】<共重合性単量体>開環重合体は、上記の
特定単量体を単独で開環重合させたものであってもよい
が、当該特定単量体と共重合性単量体とを開環共重合さ
せたものであってもよい。この場合に使用される共重合
性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペン
テン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ
[5.2.1.02,6 ]−3−デセンなどのシクロオレ
フィンを挙げることができる。更にポリブタジエン、ポ
リイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボル
ネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を含む不飽和炭
化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体を開環重合
させてもよい。そして、この場合に得られる開環共重合
体の水素化物は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有
用である。
【0032】<開環重合触媒>開環重合反応は、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金などの
白金族化合物の存在下に行われる。また、(a)W、M
oおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、
(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、N
a、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、
IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、III A族
元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばS
i、Sn、Pbなど)あるいはIVB族元素(例えばT
i、Zrなど)の化合物であって、少なくとも1つの当
該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有する
ものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触
媒であってもよく、またこの場合に触媒の活性を高める
ために、後述の添加剤(c)が添加されたものであって
もよい。
【0033】(a)成分として適当なW、Moあるいは
Reの化合物の代表例としては、WCl6 、MoC
5 、ReOCl3 など特願平1−240517号公報
に記載の化合物を挙げることができる。
【0034】(b)成分の具体例としては、n−C4
9 Li、(C2 5 3 Al、(C2 52 AlC
l、LiHなど特願平1−240517号公報に記載の
化合物を挙げることができる。
【0035】添加剤である(c)成分の代表例として
は、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類
などが好適に用いることができるが、更に特開平1−2
40517号公報に示される化合物を使用することがで
きる。
【0036】(a)成分と(b)成分との割合は、金属
原子比で(a):(b)が、通常1:1〜1:100、
好ましくは1:2〜1:50、更に好ましくは1:3〜
1:30の範囲とされる。(a)成分と(c)成分との
割合は、モル比で(c):(a)が0.005:1〜1
0:1、好ましくは0.05:1〜2:1の範囲とされ
る。
【0037】<開環重合反応溶媒>開環重合反応におい
て用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカ
ン類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタ
ン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメ
ンなどの芳香族炭化水素、クロルブタン、ブロムヘキサ
ン、塩化メチレン、ジクロルエタン、ヘキサメチレンジ
ブロミド、クロルベンゼンなどのハロゲン化アルカン、
アリールなどの化合物、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、
酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチルなどの飽和カ
ルボン酸エステル類、ジブチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げ
ることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ま
しい。
【0038】<開環重合体の分子量>本発明において水
素化反応の対象とされる開環重合体は、分子量の大きさ
が固有粘度(ηinh )で0.2〜5.0である範囲のも
のが好適である。一般的に分子量が大きくなるに従って
高い水素化率を得ることが困難となるが、本発明によれ
ば高分子量の重合体であっても比較的容易に高い水素化
率を得ることができる。
【0039】開環重合体の分子量は重合温度、触媒の種
類、溶媒の種類によっても調整することができるが、よ
り好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテンなどのα−オレフィン類などを反応系
に共存させ、その量を変えることによって調整すること
が好ましい。
【0040】<水素化触媒>本発明においては、上記の
一般式(1)で表されるルテニウム化合物(以下、「特
定のルテニウム化合物」ともいう。)と、上記の一般式
(2)で表されるアルカリ金属化合物(以下、「特定の
アルカリ金属化合物」ともいう。)とを水素化触媒とし
て用いること、並びに、前記特定のルテニウム化合物お
よび前記特定のアルカリ金属化合物とともに、上記の一
般式(3)で表される有機アルミニウム化合物(以下、
「特定の有機アルミニウム化合物」ともいう。)を水素
化触媒として用いることに特徴を有する。
【0041】(1)特定のルテニウム化合物 水素化触媒である特定のルテニウム化合物は、一般式
(1)〔RuHk n p q 〕で表される化合物であ
る。従って、本発明においては、ルテニウム金属やルテ
ニウム金属を多孔性担体に担持させたものは用いられな
い。
【0042】上記の一般式(1)において、Qはフッ素
原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選ばれ
た1種以上のハロゲン原子であって特に塩素原子が好ま
しい。Tは、CO、NOおよびCH3 COCH2 COC
3 から選ばれた1種以上の原子団を示す。また、Zは
PR1 2 3 (R1 、R2 、R3 はそれぞれ同一もし
くは異なるアルキル基、アルケニル基またはフェニル基
を示す。)である。そして、kは0、1または2、nは
0、1または2、pは1または2、qは2または3であ
る。
【0043】本発明において、水素化触媒として好適に
用いられるルテニウム化合物の具体例としては、例えば
RuHCl(CO)[P(C6 533 、RuHC
l(CO)[P(C6 4 CH333 、RuHCl
(CO)〔P[C6 3 (CH323 3 、RuH
Cl(CO)[P(C4 933 、RuH2 (C
O)[P(C6 533 、RuH2 (CO)2 [P
(C6 532 、RuH(NO)[P(C6 5
33 、RuH(NO)[P(C6 4 CH3
33 、RuHCl(CH3 COCH2 COCH3
[P(C6 533 RuCl2 (CO)[P(C6 533 などを挙げ
ることができる。これらのうち、RuHCl(CO)
[P(C6 533 が好ましい。
【0044】これらのルテニウム化合物は純粋なもので
ある必要はなく、不純物を含むものであってもよい。こ
れらのルテニウム化合物の合成法については、「INO
RGANIC SYNTHSIS」あるいは「J.CH
EM.SOC.DALTONTRANS.,1973,
1912」に記載されている。
【0045】本発明において、上記のルテニウム化合物
の使用量は、水素化されるべき開環重合体に対し、Ru
金属の濃度で3〜300ppmであり、好ましくは5〜
200ppm、特に好ましくは10〜100ppmであ
る。ルテニウム化合物の使用量が3ppmの未満の場合
には反応速度が遅くなり、一方300ppmを超える場
合には、水素化触媒を多量に用いることに比例した効果
を得ることはできず、しかも使用に供された触媒を十分
に回収することが困難となるので、コストが高いものと
なる。本発明においてルテニウム化合物は予め別に調製
したものを用いてもよいし、ルテニウム化合物を形成す
るための各原料を反応系に添加してもよい。
【0046】(2)特定のアルカリ金属化合物 水素化触媒である特定のアルカリ金属化合物は、一般式
(2)〔R4 1 〕で表される化合物である。
【0047】上記の一般式(2)において、R4 はアル
キル基、アリール基、アルコキシ基またはフェノキシ基
を示し、M1 はリチウム原子、ナトリウム原子またはカ
リウム原子を示す。
【0048】本発明において、水素化触媒として好適に
用いられるアルカリ金属化合物の具体例としては、例え
ばエチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチ
ウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、
ヘキシルリチウム、1,4−ジリチオブタン、ブチルリ
チウムとジビニルベンゼンとの反応生成物、アルキレン
ジリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、
イソプロペニルベンゼンジリチウム、リチウムナフタリ
ド、トリメチルシリルリチウム、(t−ブチルジメチル
シリル)リチウム、メトキシリチウム、エトキシリチウ
ム、n−プロポキシリチウム、i−プロポキシリチウ
ム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウ
ム、t−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、
ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オ
クチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチ
ルフェノキシリチウム、2,6−ジ−t−ブチル−4−
メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、
t−ブチルナトリウム、フェニルナトリウム、ナトリウ
ムナフタリド、トリメチルシリルナトリウム、メトキシ
ナトリウム、エトキシナトリウム、t−ブチルカリウ
ム、カリウムナフタリド、メトキシカリウムなどを挙げ
ることができる。
【0049】本発明において、上記のアルカリ金属化合
物の使用量は、開環重合触媒の種類・使用量、他の水素
化触媒成分(ルテニウム化合物および有機アルミニウム
化合物)の種類・使用量によっても異なるが、通常、水
素化されるべき開環重合体100重量部に対し、0.0
05〜5重量部であり、好ましくは0.01〜3重量
部、特に好ましくは0.05〜1重量部である。アルカ
リ金属化合物の使用量が0.005重量部未満の場合に
は、水素化活性の十分な改良効果が得られず、一方5重
量部を超える場合には、アルカリ金属化合物の過剰添加
によって却って水素化活性が低下してしまう。
【0050】上記のアルカリ金属化合物は、このアルカ
リ金属化合物に対して不活性な有機溶媒に溶解された状
態で使用することが好ましい。斯かる有機溶媒の具体例
としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油など
の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、
メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;および
これらの混合物などを挙げることができる。これらのう
ち、特に脂肪族炭化水素が好ましい。
【0051】(3)特定の有機アルミニウム化合物 必要に応じて、前記特定のルテニウム化合物および前記
特定のアルカリ金属化合物とともに使用される特定の有
機アルミニウム化合物は、一般式(3)〔R56 7
Al〕で表される化合物である。
【0052】上記の一般式(3)において、R5 はアル
キル基またはアリール基を示し、R6 、R7 はそれぞれ
同一もしくは異なるアルキル基、アリール基、アルコキ
シ基、フェノキシ基、ハロゲン原子または水素原子を示
す。
【0053】本発明において、水素化触媒として好適に
用いられる有機アルミニウム化合物の具体例としては、
例えばジメチルアルミニウムクロライド、メチルアルミ
ニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、エチルアルミニウムジクロライド、メチルアルミニ
ウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロ
ライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、フェニ
ルアルミニウムジクロライド、(2−エチルヘキシル)
アルミニウムジクロライドなどを挙げることができる。
これらのうち、工業的に得られやすく、取扱が容易であ
るなどの観点から、ジエチルアルミニウムクロライド、
エチルアルミニウムジクロライドが好ましい。
【0054】本発明において、上記の有機アルミニウム
化合物の使用量は、開環重合触媒の種類・使用量、他の
水素化触媒成分(ルテニウム化合物およびアルカリ金属
化合物)の種類・使用量によっても異なるが、通常、水
素化されるべき開環重合体100重量部に対し、0.0
01〜5重量部であり、好ましくは0.01〜3重量
部、特に好ましくは0.05〜1重量部である。有機ア
ルミニウム化合物の使用量が0.001重量部未満の場
合には、水素化活性の十分な改良効果が得られない場合
があり、一方5重量部を超える場合には、有機アルミニ
ウム化合物の過剰な添加によって却って水素化活性が低
下してしまう。なお、開環重合触媒として有機アルミニ
ウム化合物を使用している場合には、その残留量も含ま
れることとする。
【0055】有機アルミニウム化合物は、この有機アル
ミニウム化合物に対して不活性な有機溶媒に溶解された
状態で使用することが好ましい。斯かる有機溶媒の具体
例としては、アルカリ金属化合物に対する不活性溶媒と
して例示した脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素並び
にこれらの混合物などを挙げることができる。
【0056】<極性化合物>本発明においては、上記の
水素化触媒とともに、極性化合物、例えばテトラヒドロ
フラン、メタノールなどを添加することが好ましい。極
性化合物を添加することにより、アルカリ金属化合物の
添加に伴う溶液粘度の上昇が防止され、攪拌効果を向上
させることができる。なお、水素化反応溶媒として極性
化合物を使用する場合には、さらに極性化合物を添加す
る必要はない。
【0057】<水素化反応溶媒>本発明による水素化反
応は、水素化されるべき開環重合体が液体である場合お
よび比較的低温で溶融するものである場合には、溶媒を
用いることなしに行うことが可能であるが、通常は開環
重合体を溶媒に溶解し、この溶液について水素化反応を
行う。
【0058】本発明の方法において使用される水素化触
媒は、溶媒の種類によって反応活性が影響されないもの
であり、従って本発明において溶媒として用いられるも
のは、対象とする開環重合体を溶解ししかもそれ自体が
水素化されないものであれば、いずれの溶媒であっても
よい。具体的には前記開環重合反応溶媒と同様のものを
挙げることができ、これらのうち、芳香族炭化水素、特
にキシレン、エチルベンゼンおよびこれらの混合物など
が好ましい。
【0059】水素化反応処理に付される開環重合体溶液
の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、1〜
80重量%であることが好ましく、更に好ましくは5〜
50重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。
一般に、開環重合体溶液の濃度が小さい場合は経済的に
不利であり、濃度が過大であると溶液の粘度が大きくな
るため、反応速度が低下する傾向があるが、本発明にお
いては、高濃度であっても比較的水素化しやすい。
【0060】<水素化反応>水素化反応の温度は通常、
0〜200℃とされ、好ましくは60〜180℃、更に
好ましくは80〜170℃である。この温度が低い場合
には大きい反応速度が得られず、一方温度が高過ぎると
触媒が失活するおそれがあるので好ましくない。
【0061】反応系の圧力は通常、1〜200kg/c
2 とされ、好ましくは2〜150kg/cm2 であ
り、更に好ましくは5〜120kg/cm2 である。圧
力が低過ぎる場合には大きい反応速度が得られず、一方
圧力を高くすると大きい反応速度が得られるが、装置と
して高価な耐圧装置が必要になるので経済的でない。反
応に要する時間は、開環重合体の濃度、圧力とも関連す
るが、通常、10分間〜100時間の範囲で選定され
る。
【0062】本発明において用いられるルテニウム化合
物は、開環重合触媒が(a)タングステン化合物、モリ
ブデン化合物、チタン化合物およびルテニウム化合物か
ら選ばれる1種以上の化合物と、(b)有機アルミニウ
ム、有機リチウム、有機スズから選ばれる1種以上の化
合物とからなる場合には、この開環重合触媒によって被
毒されない。従って、水素化触媒(ルテニウム化合物、
アルカリ金属化合物、有機アルミニウム化合物)の各々
を、開環重合反応後の重合体溶液に添加して、開環重合
触媒の共存下で水素化反応を行い、水素化反応終了後に
開環重合触媒と水素化触媒を同時に除去する手段を採用
することができる。そしてこの場合には、重合体溶液か
らの開環重合触媒の除去工程、開環重合体の回収工程お
よび開環重合体の溶媒への溶解工程などの工程が省略さ
れるので、工業的実施において好適である。
【0063】開環重合触媒の共存下で水素化反応を行う
場合、開環重合反応終了後の重合体溶液に水素化触媒
の各々を直接添加して水素化反応を行う方法と、開環
重合反応終了後の重合体溶液に活性水素化合物を添加
し、その後に水素化触媒の各成分を添加して水素化反応
を行う方法のいずれかが用いられる。
【0064】開環重合反応終了後の重合体溶液に水素化
触媒の各々を直接添加して水素化反応を行うの方法に
おいては、ルテニウム化合物の添加を、アルカリ金属化
合物(および有機アルミニウム化合物)の添加後、1分
間〜100時間経過後に行うことが肝要である。アルカ
リ金属化合物(および有機アルミニウム化合物)の添加
前にルテニウム化合物を添加すると、水素化活性が大幅
に低下することがある。
【0065】一方、開環重合反応終了後の重合体溶液に
活性水素化合物を添加した後、水素化触媒の各々を添加
して水素化反応を行う方法において、用いられる活性水
素化合物として、水、アルコール、フェノール、アミ
ン、カルボン酸、無機酸などを好ましく挙げることがで
き、特に好ましいものは水、アルコールおよびアミンで
ある。活性水素化合物の添加量は開環重合触媒の金属に
対し当量比で通常0.1〜1000倍とされ、好ましく
は0.5〜500倍、更に好ましくは1〜100倍であ
る。活性水素化合物の添加量が過大である場合には水素
化反応活性が低下することがある。
【0066】本発明においては、上述の方法のうち、開
環重合反応終了後の重合体溶液に活性水素化合物を添加
することなく、水素化触媒の各々を直接添加するの方
法を用いることが好ましい。
【0067】上記開環重合触媒の共存下で水素化反応を
行う手段において、開環重合触媒として有機リチウム化
合物(アルカリ金属化合物)が用いられている場合に
は、当該有機リチウム化合物が水素化触媒としての作用
を有するものであるため、開環重合反応終了後の重合体
溶液へのアルカリ金属化合物の添加操作を省略し、また
は、その添加量を少なくすることができる。
【0068】更に、上記開環重合触媒の共存下で水素化
反応を行う手段において、開環重合触媒として有機アル
ミニウム化合物が用いられている場合には、当該有機ア
ルミニウム化合物が水素化触媒としての作用を有するも
のであるため、開環重合反応終了後の重合体溶液への有
機アルミニウム化合物の添加操作を省略し、または、そ
の添加量を少なくすることができる。
【0069】<水素化触媒の除去>水素化反応の終了
後、水素化触媒は吸着剤による吸着分離法、有機酸およ
び/または無機酸の存在下に水または低級アルコールに
よる洗浄除去法など公知の手段により、反応溶液から分
離回収される。
【0070】反応溶液から開環重合体水素化物を分離回
収するためには、重合体溶液から重合体を回収する際に
通常使用される方法をそのまま用いればよく、例えば反
応溶液と水蒸気を直接接触させる水蒸気凝固法、反応溶
液に貧溶媒を添加して重合体を沈澱させる方法、反応溶
液を容器内で加熱して溶媒を留去させる方法、ベント付
押出機で溶媒を除去しながらペレット化まで行う方法な
どを挙げることができ、開環重合体水素化物および用い
た溶媒の性質などに応じて適宜の方法を採用することが
できる。
【0071】本発明によって得られる開環重合体水素化
物には、その目的に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、
滑剤、着色剤、顔料などを添加することができる。その
添加手段としては、水素化反応終了後の重合体溶液に添
加する手段、開環重合体水素化物をペレット化する時に
添加する手段などがあり特に限定されるものではない。
【0072】本発明によって得られる開環重合体水素化
物は耐熱性、耐候性、耐オゾン性が大きいものであり、
広範囲の用途に使用することができ、例えばレンズ、光
ディスク基板、光ファイバーなどの光学材料のほか窓ガ
ラス、自動車ガラス、フィルム、シートおよび一般成形
材料として各種成形品の製造に用いることができる。
【0073】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれらによって限定されるものではない。
【0074】なお、以下の実施例および比較例におい
て、水素化率の値は、100MHzで測定された核磁気
共鳴吸収スペクトル(NMR)において、δ=4.5〜
6.0ppmの炭素−炭素二重結合に帰属されるピーク
が水素化反応によって減少する大きさを基礎として算出
されたものである。
【0075】<開環重合体の合成例> 合成例1 窒素ガスで置換された反応容器内に、8−メチル−8−
カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5
7.10]−3−ドデセン〔特定単量体〕500gと、ト
ルエン1700mlと、1−ヘキセン〔分子量調節剤〕
45gと、WCl6 のトルエン溶液〔開環重合触媒:W
Cl6 の10gをトルエン504mlに懸濁させた後、
メタノール2.4gを加えて攪拌して調製した濃度0.
05M/lの溶液〕8.5mlと、パラアルデヒドのト
ルエン溶液〔開環重合触媒:濃度0.1M/l〕4.3
mlと、ジエチルアルミニウムクロリドのトルエン溶液
〔開環重合触媒(有機アルミニウム化合物):濃度0.
8M/l〕11mlとを加え、80℃で3時間開環重合
反応を行って重合体溶液を得た。この重合体溶液を多量
のメタノール中に投入して開環重合体を析出させて破
砕、濾別し、洗浄および乾燥して495gの開環重合体
1を得た。 合成例2 合成例1と同様の方法により開環重合反応を行って濃度
25重量%の開環重合体溶液2を得た。
【0076】 合成例3 トルエンを混合キシレンに代えたこと以外は合成例2と
同様の方法により開環重合反応を行い、これにメタノー
ルを5g添加して濃度24重量%の開環重合体溶液3を
得た。
【0077】 合成例4 窒素ガスで置換された反応容器内に、テトラシクロ
[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン〔特定
単量体〕350gと、ペンタシクロ[6.5.1.1
3,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン〔特定単量
体〕150gと、トルエン2000mlと、1−ヘキセ
ン〔分子量調節剤〕7.5mlと、TiCl4のトルエ
ン溶液〔開環重合触媒:濃度1.0M/l〕15ml
と、トリエチルアミンのトルエン溶液〔開環重合触媒:
濃度0.1M/l〕20mlと、トリエチルアルミニウ
ムのトルエン溶液〔開環重合触媒(有機アルミニウム化
合物):濃度1.0M/l〕80mlとを加え、25℃
で2.5時間開環重合反応を行って重合体溶液を得た。
この重合体溶液を多量のメタノール中に投入して開環重
合体を析出させて破砕、濾別し、洗浄および乾燥して2
60gの開環重合体4を得た。
【0078】 合成例5 特定単量体として8−メチル−8−カルボキシメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデ
セン450gと、5−メチル−5−メトキシカルボニル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン50gとを用
いたこと以外は、合成例2と同様にして開環重合反応を
行って開環重合体溶液5を得た。
【0079】 合成例6 特定単量体として8−メチル−8−カルボキシメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデ
セン450gと、ジシクロペンタジエン50gとを用い
たこと以外は合成例2と同様にして開環重合反応を行っ
て開環重合体溶液6を得た。
【0080】 合成例7 1−ヘキセンの使用量を36gに変更したこと以外は、
合成例2と同様にして開環重合反応を行って開環重合体
溶液7を得た。
【0081】〔実施例1〕合成例1で得た開環重合体1
の80gを十分乾燥した後、無水トルエン220gに溶
解して重合体溶液を調製し、この重合体溶液を、電磁誘
導撹拌機を備えてなる高圧オートクレーブ内に仕込み、
更に、テトラヒドロフラン〔極性化合物〕20gと、ブ
チルリチウムのn−ヘキサン溶液〔アルカリ金属化合
物:濃度1.22モル/l〕1.50mlと、ジエチル
アルミニウムクロリドのトルエン溶液〔有機アルミニウ
ム化合物:濃度0.8M/l〕1.78mlと、RuH
Cl(CO)[P(C6 533 〔「INORGA
NIC SYSNTHESISVOL.15」に従って
製造したルテニウム化合物〕23mgとを添加した。次
いで、高圧オートクレーブ内に水素ガスを導入した後、
撹拌しながら165℃まで昇温させた。このときの圧力
は40kg/cm2 であった。この温度で4時間保って
水素化反応させ、温度を室温まで戻し、水素ガスを放出
させ、その後反応溶液を塩酸−メタノール溶液で凝固さ
せ、真空乾燥して開環重合体水素化物1を得た。この開
環重合体水素化物1の水素化率は99.7%であった。
【0082】〔実施例2〕合成例2で得た開環重合体溶
液2の400gを、電磁誘導撹拌機を備えてなる高圧オ
ートクレーブ内に仕込み、ブチルリチウムのn−ヘキサ
ン溶液〔アルカリ金属化合物:濃度1.22モル/l〕
1.86mlを添加した。更に、テトラヒドロフラン
〔極性化合物〕5.0gを添加した後、RuHCl(C
O)[P(C6 533 23mgを添加した。次い
で、高圧オートクレーブ内に水素ガスを導入した後、撹
拌下165℃まで昇温させた。このときの圧力は40k
g/cm2 であった。水素ガスの供給を継続しながら、
この温度および圧力で4時間保って水素化反応させ、温
度を室温まで戻し、水素ガスを放出させ、その後反応溶
液を塩酸−メタノール溶液で凝固させ、真空乾燥して開
環重合体水素化物2を得た。この開環重合体水素化物2
の水素化率は99.8%であった。
【0083】〔実施例3〕開環重合体溶液2に代えて、
合成例3で得た開環重合体溶液3の400gを用い、極
性化合物として、テトラヒドロフランに代えてメタノー
ル1gを用いたこと以外は実施例2と同様の操作を行っ
て開環重合体水素化物3を得た。この開環重合体水素化
物3の水素化率は99.3%であった。
【0084】〔実施例4〕開環重合体1に代えて、合成
例4で得た開環重合体4の80gを用い、RuHCl
(CO)[P(C6 533 の添加量を38mgに
変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行って開環
重合体水素化物4を得た。この開環重合体水素化物4に
おいては、NMRによる炭素−炭素二重結合に帰属され
るピークが認められず、その水素化率は99.9%以上
であった。
【0085】〔実施例5〕開環重合体溶液2に代えて合
成例5で得た開環重合体溶液5の400gを用い、ブチ
ルリチウムのn−ヘキサン溶液に代えてナトリウムブチ
ラート0.18gを加えたこと以外は実施例2と同様の
操作を行って開環重合体水素化物5を得た。この開環重
合体水素化物5の水素化率は99.4%であった。
【0086】〔実施例6〕開環重合体溶液2に代えて合
成例6で得た開環重合体溶液6の400gを高圧オート
クレーブに仕込み、ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液
に代えてナトリウムナフタレンのトルエン溶液(濃度
0.5M/l)4.5mlを加えたこと以外は実施例2
と同様の操作を行って開環重合体水素化物6を得た。こ
の開環重合体水素化物6の水素化率は99.5%であっ
た。
【0087】〔実施例7〕開環重合体溶液2に代えて、
合成例7で得た開環重合体溶液7の400gを用い、ル
テニウム化合物としてRuH2 (CO)[P(C6
533 22mgを用い、ブチルリチウムのn−ヘキ
サン溶液の添加量を2.80mlに変更したこと以外は
実施例2と同様の操作を行って開環重合体水素化物7を
得た。この開環重合体水素化物7の水素化率は99.4
%であった。
【0088】〔実施例8〕開環重合体溶液2に代えて、
合成例7で得た開環重合体溶液7の400gを用い、ル
テニウム化合物としてRuCl2 (CO)[P(C6
533 24mgを用い、ブチルリチウムのn−ヘキ
サン溶液の添加量を1.40mlに変更したこと以外は
実施例2と同様の操作を行って開環重合体水素化物8を
得た。この開環重合体水素化物8の水素化率は99.4
%であった。
【0089】〔実施例9〕ジエチルアルミニウムクロリ
ドのトルエン溶液を添加しなかったこと以外は実施例1
と同様の操作を行って開環重合体水素化物9を得た。こ
の開環重合体水素化物9の水素化率は99.0%であっ
た。
【0090】〔比較例1〕ブチルリチウムのn−ヘキサ
ン溶液およびジエチルアルミニウムクロリドのトルエン
溶液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作
を行って開環重合体水素化物10を得た。この開環重合
体水素化物10の水素化率は97.4%に止まった。
【0091】〔比較例2〕ブチルリチウムのn−ヘキサ
ン溶液を添加しなかったこと以外は実施例2と同様の操
作を行って開環重合体水素化物11を得た。この開環重
合体水素化物11の水素化率は88.2%に止まった。
【0092】以上の結果をまとめた後記表1の結果から
理解されるように、特定のルテニウム化合物、特定のア
ルカリ金属化合物および特定の有機アルミニウム化合物
からなる水素化触媒系を用いた実施例1〜8によれば、
水素化されるべき重合体が、炭素−炭素間二重結合の近
傍に大きな原子団による基を有するテトラシクロドデセ
ン化合物の開環重合体であっても、非常に少ない量のル
テニウムによって極めて高い水素化率で水素化すること
ができる。
【0093】
【表1】
【0094】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定のルテニウ
ム化合物とともに、特定のアルカリ金属化合物、また
は、特定のアルカリ金属化合物および特定の有機アルミ
ニウム化合物を水素化触媒として併用しているので、特
定のルテニウム化合物を単独で用いる場合よりも更に高
い効率で、特定のテトラシクロドデセン化合物の開環重
合体を水素化することができる。従って、当該開環重合
体における好適な水素化反応を非常に少ない量の貴金属
触媒(ルテニウム)によって実行することができ、製造
コストの点から極めて有利な製造方法である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で表される少なくとも1種のノ
    ルボルネン誘導体よりなる単量体またはこの単量体およ
    びこれと共重合可能な共重合性単量体を開環重合させて
    得られる開環重合体中に存在する非芳香族性炭素−炭素
    間二重結合を水素化触媒の存在下に水素化することによ
    り開環重合体水素化物を製造する方法において、 〔A〕下記一般式(1)で表されるルテニウム化合物お
    よび下記一般式(2)で表されるアルカリ金属化合物か
    らなる水素化触媒、または、〔B〕下記一般式(1)で
    表されるルテニウム化合物、下記一般式(2)で表され
    るアルカリ金属化合物および下記一般式(3)で表され
    る有機アルミニウム化合物からなる水素化触媒を用いる
    ことを特徴とする開環重合体水素化物の製造方法。 【化1】 〔化1中、AおよびBは水素原子または炭素数1〜10
    の炭化水素基であり、XおよびYは水素原子、ハロゲン
    原子または一価の有機基を示し、mは0または1であ
    る。〕 一般式(1):RuHk n p q 〔式中、Qはハロゲン原子を示し、TはCO、NOおよ
    びCH3 COCH2 COCH3 から選ばれた1種以上の
    原子団を示し、ZはPR1 2 3 (R1 、R2、R3
    はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基、アルケニル
    基またはフェニル基を示す。)を示し、kは0、1また
    は2であり、nは0、1または2であり、pは1または
    2であり、qは2または3である。〕 一般式(2):R4 1 〔式中、R4 はアルキル基、アリール基、アルコキシ基
    またはフェノキシ基を示し、M1 はリチウム原子、ナト
    リウム原子またはカリウム原子を示す。〕 一般式(3):R5 6 7 Al 〔式中、R5 はアルキル基またはアリール基を示し、R
    6 、R7 はそれぞれ同一もしくは異なるアルキル基、ア
    リール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子
    または水素原子を示す。〕
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