JP2008045118A - 環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法および該製造方法で得られる環状オレフィン系開環重合体水添物 - Google Patents
環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法および該製造方法で得られる環状オレフィン系開環重合体水添物 Download PDFInfo
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Abstract
【効果】本発明によれば、従来の水素添加方法では高反応率で水素添加することが困難な、同一炭素原子に2つの官能基を有するノルボルネンから誘導される構成単位を有する特定の環状オレフィン系開環重合体を、容易に高反応率で水素添加することができ、従来提供することのできなかった、前記特定の環状オレフィン系開環重合体を高度に水素添加した水添物を提供することができる。
【選択図】なし
Description
h3)3 は、ポリマー中の炭素−炭素間二重結合を水素化する、優れた触媒であることが報告されている(特許文献1参照)。また、エステル基が導入された金属ヒドリド錯体としてCH3CO2基またはCF3CO2基が導入されたルテニウムヒドリド錯体が報告されており(非特許文献1参照)、オレフィンやアセチレンなどの炭素−炭素不飽和結合の水素化反応に対して高い触媒活性を有することが知られている。
下記式(1−1)で表される構造単位および下記式(1−2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも一種の構造単位(1)を有し、該構造単位(1)中のAが−CH=CH−で表される基である環状オレフィン系開環重合体(A)を、
下記式(2)で表される金属ヒドリド錯体の存在下に水素添加して、
全構造単位(1)中、Aが−CH2CH2−で表される基である構造単位が90モル%以上である環状オレフィン系開環重合体水添物(B)を得ることを特徴としている。
M(OCOR5)aHbXc(PR6R7R8)d …(2)
(式(2)中、Mは、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、またはイリジウム原子を表し、Hは水素原子を表し、R5は直鎖、分岐、または環状の炭素数20以下の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、XはCOまたはNOを表し、PR6R7R8は有機リン化合物を表し、R6、R7、およびR8はそれぞれ同一でも異なってもよく、それぞれ独立に直鎖または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を示す。aおよびbはそれぞれ独立に1または2を表し、cおよびdはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つa、b、c、およびdの合計は4、5、または6である。)。
本発明の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法では、水素添加反応時の反応液温度が50〜200℃であることが好ましい。
本発明の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法では、前記式(2)中のMがルテニウムであることが好ましく、また、前記式(2)中のa、bおよびcが1であり、かつdが2であることも好ましい。
では高反応率で水素添加することが困難な、同一炭素原子に2つの官能基を有するノルボルネンから誘導される構成単位を有する特定の環状オレフィン系開環重合体を、容易に高反応率で水素添加することができる。このため、本発明の製造方法によれば、従来提供することのできなかった、前記特定の環状オレフィン系開環重合体を高度に水素添加した水添物を提供することができる。
本発明の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法では、
上記式(1−1)で表される構造単位および上記式(1−2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも一種の構造単位(1)を有し、該構造単位(1)中のAが−CH=CH−で表される基である環状オレフィン系開環重合体(A)を、
上記式(2)で表される金属ヒドリド錯体の存在下に水素添加して、
全構造単位(1)中、Aが−CH2CH2−で表される基である構造単位が90モル%以上である環状オレフィン系開環重合体水添物(B)を得る。
本発明で用いる環状オレフィン系開環重合体(A)は、上記式(1−1)で表される構造単位および上記式(1−2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも一種の構造単位(1)を有し、該構造単位(1)中のAが−CH=CH−で表される基である重合体であれば、単独重合体であってもよく、2種以上の構造単位(1)を有する共重合体であってもよく、構造単位(1)以外の構造単位を有する共重合体であってもよく、混合物であってもよい。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基などが挙げられる。これらの炭化水素基は置換されていてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基、シアノ基等があげられる。
2種以上が組合さって連なったものが挙げられる。
カルボニルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;
アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;
アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;
トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;
トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、
アルコキシシリル基としては例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
本発明で用いる環状オレフィン系開環重合体(A)は、下記式(1a)で表されるノルボルネン誘導体(1a)の1種以上を必須成分とする単量体(あるいは単量体組成物)を開環(共)重合して得ることができる。
上記式(1a)で表されるノルボルネン誘導体としては、例えば以下のようなものを列挙することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
5,5−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
れぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基;または
極性基を表す。ただし、前記式(1a)で表される単量体構造と同一のものは除く。R15とR16、またはR17とR18とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R15またはR16とR17またはR18とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。)
式(1b)中、R9〜R18で示される基のうち、ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、
窒素原子、またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換または非置換の炭素数1〜
30の炭化水素基;または極性基としては一般式(1)に関して例示した基を挙げることができる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
セン
セン
ン
ドデセン
ドデセン
]−3−ドデセン
−ドデセン
−ドデセン
]−3−ドデセン
]−3−ドデセン
−3−ドデセン
3−ドデセン
セン
イコセン
−ドデセン
−ドデセン
デセン
.17,10]−3−ドデセン
−エン−5,7−ジオン
テトラデカ−12−エン−5,7−ジオン
本発明で用いる環状オレフィン系開環重合体(A)を製造するのに好適に用いることのできる、開環重合用の触媒としては、例えば、(I)Olefin Metathesis and Metathesis
Polymerization(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が
好ましく用いられる。このような触媒としては、例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)アルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca)、第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hg)、第13族元素(例えば、B、Al)、第14族元素(例えば、Si、Sn、Pd)等の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合または当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなるメタセシス触媒が挙げられる。該触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
H5)2AlCl、(C2H5)1.5AlCl1.5、(C2H5)AlCl2、メチルアルモキサン、L
iH等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(II)周期表第4族〜第8族の遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体等からなるメタセシス触媒を用いることができる。
u)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh3)2Cl2、Ru(=CHPh2)[P(C6H11)3]2Cl2等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
・分子量調節剤
本発明で用いる環状オレフィン系開環重合体(A)の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類等を調整することによっても行うことができるが、分子量調節剤を開環共重合の反応系に共存させることにより調節することが好ましい。分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類およびスチレンが好ましく、これらのうち、1−ブテンおよび1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この分子量調節剤の使用量は、全単量体1モル当り、通常、0.005〜0.6モル、好ましくは0.
02〜0.5モルである。このような分子量調節剤の使用量範囲内で製造される環状オレフィン系開環重合体の、ウッベローデ型粘度計を用い、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃で測定した対数粘度は、好ましくは0.4〜0.8dL/g、より
好ましくは0.41〜0.78dL/g、さらに好ましくは0.42〜0.76dL/gである。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算値)による平均分子量の測定では、前記開環重合体の数平均分子量(Mn)は、通常、1000〜50万、好ましくは2000〜30万、更に好ましくは5000〜30万であり、重量平均分子量(Mw)は、通常、5000〜200万、好ましくは1万〜100万、更に好ましくは3万〜50万である。
であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が5000未満であると、本発明のノルボルネン系開環重合体水添物から得られる成形物の強度が著しく低下する場合がある。一方、対数粘度(ηinh) が0.8をこえるか、数平均分子量(Mn)が50万をこえるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が200万をこえると、前記開環重合体水添物の溶融粘度または溶液粘度が高くなりすぎて、所望の成形品を得ることが困難になる場合がある。
開環共重合反応において用いられる溶媒(即ち、単量体、開環重合触媒、分子量調節剤等を溶解する溶媒)としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール等の化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられ、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この開環重合反応用溶媒の使用量は、「溶媒:全単量体」の重量比が、通常、1:1〜10:1となる量であり、好ましくは1:1〜5:1となる量であるのが望ましい。
触媒を添加する時のモノマー溶液の温度は、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50℃〜180℃である。30℃未満の場合は重合体の収率が低下することがあり、200℃を超える場合は分子量コントロールが困難になることがある。
環共重合反応を行う際の反応時間は通常0.1〜10時間であるが、好ましくは0.1〜9時間、より好ましくは0.1〜8時間である。
本発明では、上述した環状オレフィン系開環重合体(A)を、水素添加触媒の存在下に水素添加する。
本発明では、環状オレフィン系開環重合体(A)を、下記式(2)で表される金属ヒドリド錯体を水素添加触媒として用いて、その存在下に水素添加する。
上記式(2)中、Mは、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、またはイリジウム原子を表すが、最も安価であり、かつ、触媒活性の高いルテニウムが好ましい。
基を表すが、具体的には下記のものを列挙することができる。
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、ジメチルプロピル基(CH3CH2C(CH3)2-)、 ((CH3)3 CCH2-)、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、メチルペンチル基(CH3CH2CH2 CH2CH(CH3)-)、(CH3CH2CH(CH3)CH2CH2-)、エチルヘキシル基(CH3CH2CH2CH2CH2CH(CH3CH2)-)、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロエチル基(CF3CH2-)、テトラフルオロエチル基(CHF2CF2-)、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基(CF3CF2CF2CF2-)、ペンタフルオロフェニル基、フルオロフェニル基、メチルフェニル基、トリデカフルオロヘキシル基(CF3CF2CF2CF2CF2CF2-)、ドデカフルオロヘキシル基(CHF2CF2CF2CF2CF2CF2-)、フェニル基、p-メチルフェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-エチルフェニル基、o-エチルフェニル基、m-エチルフェニル基、p-プロピルフェニル基、o-プロピルフェニル基、m-プロピルフェニル基、p-ブチルフェニル基、o-ブチルフェニル基、m-ブチルフェニル基、p-ペンチルフェニル基、o-ペンチルフェニル基、m-ペンチルフェニル基、p-ヘキシルフェニル基、o-ヘキシルフェニル基、m-ヘキシルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、2,4−ジペンチルフェニル基、2,4−ジヘキシルフェニル基、2−メチル−4−エチルフェニル基、2−メチル−4−プロピルフェニル基、2−メチル−4−プロピルフェニル基、2−メチル−4−ブチルフェニル基、2−メチル−4−ペンチルフェニル基、2−メチル−4−ヘキシルフェニル基。
aおよびbはそれぞれ独立に1または2を表し、cおよびdはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つ、a、b、c、およびdの合計は4、5、または6であるが、好ましくはa、b、およびcが1で、且つdが2である。
化合物、あるいは、以下に示す化合物中のルテニウムが、ロジウム、オスミウム、またはイリジウムで置換された化合物が挙げられる。
RuH(OCOCH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOCF3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOCH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOCH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOCH2CH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOCH2CH2CH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOCH2CH2CH2CH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOPh)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOC6H4CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOC6H4CH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOC6H4CH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOC6H4CH2CH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOC6H4CH2CH2CH2CH2CH3)(CO)(PPh3)2、
RuH(OCOPh)(CO)(P(cyclohexyl)3)2
(各式中Phはフェニル基を示し、C6H4はフェニレン基を示す。)。
本発明において、水素添加触媒として使用する、上記式(2)で表される金属ヒドリド錯体の使用量は、環状オレフィン系開環重合体(A)に対して1〜10000ppm、好ましくは1〜5000ppm、さらに好ましくは1〜2500ppmである。触媒の使用量がこの範囲を超えると水素添加率が不十分であったり、使用した触媒の除去工程において負荷が大きくなり生産性の低下を招く場合がある。
媒の追添加を実施する際には高温高圧状態で追添加してもよく、反応途中で一旦冷却した後に触媒を追添加して再度昇温してもよく、水素ガス圧を一度脱圧してもしなくてもよい。
本発明で得られる環状オレフィン系開環重合体水添物(B)は、前記式(1−1)および(1−2)で表される全構造単位(1)中、Aが−CH2CH2−で表される基である構造単位が90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。換言すれば、本発明に係る環状オレフィン系開環重合体水添物(B)は、前記式(1−1)および(1−2)中のAが−CH2CH2−で表される構造単位と−CH=CH−で表される構造単位との割合が、(−CH2CH2−)/(−CH=CH−)=90/10〜100/0(mol/mol)であり、好ましくは95/5〜100/0(mol/mol)、より好ましくは99/1〜100/0(mol/mol)である。残留する−CH=CH−の割合がこの範囲を超えると重合体が酸化劣化しやすくなって強度が低下したり、着色したりするといった問題を生じる場合がある。
得られる重合物を高度に水素添加することを特徴としている。それらの水素以外の置換基の導入は近年の環状オレフィン系開環重合に要求される高度な特性を発現するための解決手段の一つであり、例えば芳香族環を導入することにより屈折率や複屈折を調整することができ、極性基の導入により他材料への密着性を調整することが出来る。
って優れた成形性と、導入する置換基の特性を反映した様々な光学的、化学的、および物理的特性を付与された重合体である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。また、室温とは25℃である。
・重量平均分子量および分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、商品名:HLC-8020)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ポリスチレ
ン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
・重合体分子構造
超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE500)を用い、重水素化クロロホルム中で1H−NMRを測定し、共重合組成比および水素添
加率を算出した。
[合成例1]
水酸化カリウム1.98gをn-ブタノール99.5gに溶解し、この溶液20.7gをRuHCl(CO)[P(C6H5)3]3 0.956g(1mmol)を計り入れたガラス製フラスコ中に加えた。こ
の溶液を加熱還流させ1時間反応を行った。その後、酢酸1.021g(17mmol)を加えさらに30
分間反応を行った。次にこの溶液を20℃まで冷却しメタノール20mLを加え、さらに5
℃まで冷却した。10時間後、析出物を濾取し、その際に濾取物をメタノールで2回、水で
2回、メタノールで1回の順に洗浄した。得られた固体を60℃で5時間真空乾燥することによりRuH(OCOCH3)(CO)[P(C6H5)3]2を得た。
[合成例2]
酢酸の代わりにトリフルオロ酢酸17mmolを用いたこと以外は合成例1と同様にしてRuH (OCOCF3)(CO)[P(C6H5)3]2を得た。
[合成例3]
酢酸の代わりに2−エチルヘキサン酸17mmolを用いたこと以外は合成例1と同様にしてRuH (OCOCH(CH2CH3)CH2CH2CH2CH3)(CO)[P(C6H5)3]2を得た。
[合成例4]
酢酸の代わりにp−ペンチル安息香酸17mmolを用いたこと以外は合成例1と同様にしてRuH[OCO(C6H4)CH2CH2CH2CH2CH3](CO)[P(C6H5)3]2を得た。
単量体として、既報(公開特許公報:特開2005-126576)の記載に従い合成した6−(2
,4−ジメトキシフェニル)−6−アザテトラシクロ[9.2.1.02,10.04,8]テ
トラデカ−12−エン−5,7−ジオン(下記式A、以下単量体Aと呼ぶ)123.7g(0.34mol)、5−メトキシカルボニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(下記式B、以下単量体Bと呼ぶ)100g(0.60mol)、分子量調節剤として1−へキセン2.0g(0.024mol)、およびトルエン895gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(トリエチルアルミニウム濃度0.61mol/L)2.47mL、メタノール変性WCl6のトルエン溶液(メタノール変性WCl6濃度0.025mol/L)7.52mLを加え、80℃で1時間反応させることにより重合体を得た。
0.040g添加し、水素ガスを10MPaのゲージ圧となるように添加し、 160〜
165℃に加熱して3時間の反応を行った。反応終了後多量のメタノールに沈殿させることにより水素添加体を回収し、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥した。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=111523、分子量分布(Mw/Mn)=2.84であり、収率は90%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.9%であり、芳香環残存率は100%であった。また、NMRにより求めた単量体Aおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ35および65mol%であった。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図1に示す。
水素添加触媒をRuH (OCOCF3)(CO)[P(C6H5)3]2に変更したこと以外は実施例1と同様に水素添加反応を行った。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=109800、分子量分布(Mw/Mn)=2.86であり、収率は93%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.2%であり、芳香環残存率は100%であった。また、NMRにより求めた単量体Aおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ35および65mol%であった。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図2に示す。
水素添加触媒をRuH (OCOCH(CH2CH3)CH2CH2CH2CH3)(CO)[P(C6H5)3]2に変更したこと以外は実施例1と同様に水素添加反応を行った。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=110430、分子量分布(Mw/Mn)=2.85であり、収率は93%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.2%であり、芳香環残存率は100%であった。また、NMRにより求めた単量体Aおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ35および65mol%であった。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図3に示す。
単量体として、8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(下記式C、以下単量体Cと呼ぶ)585g(2.518mo
l)、単量体B 315g(1.895mol)、分子量調節剤として1−へキセン35.2g(0.419mol)、およびトルエン1350gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(トリエチルアルミニウム濃度0.61mol/L)4.70mL、メタノール変性WCl6のトルエン溶液(メタノール変性WCl6濃度0.025mol/L)17.65mLを加え、80℃で1時間反応させることにより共重合体を得た。
0.032g添加後、水素ガスを10MPaのゲージ圧となるように添加し、圧力を10MPaに保ったまま160〜165℃に加熱して3時間反応を行った。反応終了後、多量のメタノールに沈殿させることにより水素添加体を回収し、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥した。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=74395、分子量分布(Mw/Mn)=3.86であり、収率は90%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.2%であった。また、NMRにより求めた単量体Cおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ66および34mol%であった。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図4に示す。
水素添加触媒をRuH[OCO(C6H4)CH2CH2CH2CH2CH3](CO)[P(C6H5)3]2に変更して0.038g添加したこと以外は実施例4と同様に水素添加反応を行った。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=76534、分子量分布(Mw/Mn)=3.82であり、収率は91%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.3%であった。また、NMRにより求めた単量体Cおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ66および34mol%であった。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図5に示す。
反応時間を2時間に変更したこと以外は実施例5と同様に水素添加反応を行った後、反応液を40℃以下に冷却後、水素を放出して系内を常圧に戻した。得られた反応溶液に、水素添加触媒RuH[OCO(C6H4)CH2CH2CH2CH2CH3](CO)[P(C6H5)3]20.038gをトルエン1.5mLに溶解した溶液を添加後、水素ガスを10MPaのゲージ圧となるように添加し、圧力を10MPaに保ったまま160〜165℃に加熱して更に2時間反応を行った。反応終了後、多量のメタノールに沈殿させることにより水素添加体を回収し、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥した。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=75428、分子量分布(Mw/Mn)=3.78であり、収率は92%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.7%であった。また、NMRにより求めた単量体Cおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ66および34mol%であった。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図6に示す。
水素添加触媒としてRuH[OCO(C6H4)CH2CH2CH2CH2CH3](CO)[P(C6H5)3]2を0.075g添加して、反応時間を6時間に変更したこと以外は実施例5と同様に水素添加反応を行った。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=73967、分子量分布(Mw/Mn)=3.74であり、収率は90%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.8%であった。また、NMRにより求めた単量体Cおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ66および34mol%であった。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図7に示す。
実施例4で得られた重合体溶液370gをオートクレーブに入れ、さらにトルエンを60g加え、水素ガスを10MPaのゲージ圧となるように添加後、160〜165℃に加熱した。この溶液に、水素添加触媒RuH[OCO(C6H4)CH2CH2CH2CH2CH3](CO)[P(C6H5)3]20.030gをトルエン20mLに溶解した溶液を3時間かけて添加し、圧力を10MPaに保ったまま同温度で更に1時間反応を続けた。反応終了後、多量のメタノールに沈殿させることにより水素添加体を回収し、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥した。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=74395、分子量分布(Mw/Mn)=3.82であり、収率は90%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.7%であった。また、NMRにより求めた単量体Cおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ66および34mol%であった。
水素添加触媒をRuHCl(CO)[P(C6H5)3]3に変更したこと以外は実施例1
と同様に水素添加反応を行った。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=111100、分子量分布(Mw/Mn)=2.85であり、収率は92%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は96.4%であり、芳香環残存率は100%であった。また、NMRにより求めた単量体Aおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ35および65mol%であった。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図8に示す。
水素添加触媒をRuHCl(CO)[P(C6H5)3]3に変更して0.043g添加し
たこと以外は実施例4と同様に水素添加反応を行った。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=74978、分子量分布(Mw/Mn)=3.80であり、収率は92%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は98.6%であった。
また、NMRにより求めた単量体Cおよび単量体B由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ65および35mol%であった。
単量体A 123.7g(0.34mol)、単量体C 88.7g(0.38mol)、分子量調節剤として1−へキセン2.6g(0.031mol)、およびトルエン895gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(トリエチルアルミニウム濃度0.61mol/L)1.0mL、メタノール変性WCl6のトルエン溶液(メタノール変性WCl6濃度0.025mol/L)3.1mLを加え、80℃で1時間反応させることにより重合体を得た。
g添加し、水素ガスを10MPaのゲージ圧となるように添加し、 160〜165℃に
加熱して3時間の反応を行った。反応終了後多量のメタノールに沈殿させることにより水素添加体を回収し、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥した。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=128768、分子量分布(Mw/Mn)=4.19であり、収率は90%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.8%であり、芳香環残存率は100%であった。また、NMRにより求めた単量体Aおよび単量体C由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ44および56mol%であった
。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図9に示す。
[参考例2]
単量体A 31.7g(0.087mol)、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(下記式D)19g(0.125mol)、分子量調節剤として1−へキセン0.5g(0.006mol)、およびトルエン200gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(トリエチルアルミニウム濃度0.61mol/L)0.8mL、メタノール変性WCl6のトルエン溶液(メタノール変性WCl6濃度0.025mol/L)1.6mLを加え、80℃で1時間反応させることにより重合体を得た。
g添加し、水素ガスを10MPaのゲージ圧となるように添加し、 160〜165℃に
加熱して3時間の反応を行った。反応終了後多量のメタノールに沈殿させることにより水素添加体を回収し、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥した。得られた水素添加体の重量平均分子量(Mw)=192000、分子量分布(Mw/Mn)=4.07であり、収率は90%であった。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.8%であり、芳香環残存率は100%であった。また、NMRにより求めた単量体Aおよび単量体D由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ37および63mol%であった
。得られた開環重合水添体の1H−NMRスペクトルを図10に示す。
を使用した場合でも十分な水素添加率が得られないことが明らかである。上記結果から本発明の開環重合水添体の製造方法は有用であることがわかる。
Claims (9)
- 下記式(1−1)で表される構造単位および下記式(1−2)で表される構造単位から選ばれる少なくとも一種の構造単位(1)を有し、該構造単位(1)中のAが−CH=CH−で表される基である環状オレフィン系開環重合体(A)を、
下記式(2)で表される金属ヒドリド錯体の存在下に水素添加して、
全構造単位(1)中、Aが−CH2CH2−で表される基である構造単位が90モル%以上である環状オレフィン系開環重合体水添物(B)を得ることを特徴とする環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法;
M(OCOR5)aHbXc(PR6R7R8)d …(2)
(式(2)中、Mは、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、またはイリジウム原子を表し、Hは水素原子を表し、R5は直鎖、分岐、または環状の炭素数20以下の炭化水素基また
はハロゲン化炭化水素基を表し、XはCOまたはNOを表し、PR6R7R8は有機リン化
合物を表し、R6、R7、およびR8はそれぞれ同一でも異なってもよく、それぞれ独立に
直鎖または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を示す。aおよびbはそれぞれ独立に1または2を表し、cおよびdはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つa、b、c、およびdの合計は4、5、または6である。)。 - 環状オレフィン系開環重合体(A)に対して、前記式(2)で表される金属ヒドリド錯体を1〜10,000ppmの範囲で用いて水素添加することを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法。
- 水素添加反応時の水素分圧が、3〜12MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法。
- 水素添加反応時の反応液温度が50〜200℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法。
- 水素添加反応時の溶媒使用量が、環状オレフィン系開環重合体(A)の重量の0.3〜10倍の重量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法。
- 水素添加反応の反応時間が、反応温度到達後0.5〜10時間であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法。
- 前記式(2)中のMがルテニウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法。
- 前記式(2)中のa、bおよびcが1であり、かつdが2であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の環状オレフィン系開環重合体水添物の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で得られたことを特徴とする環状オレフィン系開環重合体水添物。
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