JP5384111B2 - 水素化重合体の製造方法及び水素化重合体 - Google Patents

水素化重合体の製造方法及び水素化重合体 Download PDF

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Description

本発明は、医薬、農薬中間体の製造、エンジニアリングプラスチックの製造等に有効な水素化重合体の製造方法および該製造方法により得られる水素化重合体に関する。
従来、下記式4
Figure 0005384111
(式中、MはOsおよびRuからなる群より選ばれ、XおよびXは独立して、アニオン配位子から選ばれる。LおよびLは独立して、中性電子供与体から選ばれる。R23は水素原子、置換または未置換アルキル基および置換または未置換アリール基より選ばれる。)で示されるカルベン型錯体を用いたエチレン性二重結合の結合組替え(メタセシス反応)については広く知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、カルベン型錯体を重合反応に使用し、そのまま水素化反応の触媒として使用する方法についても知られている(例えば、特許文献2〜5および非特許文献1参照)。
ところで、メタセシス反応により得られる重合体を水素化することにより得られる重合体中には、メタセシス反応や水素化反応に使用した触媒に由来する重金属が多量に混入する。水素化重合体への多量の重金属の混入は、樹脂の着色、耐熱性の低下という問題を引き起こす。そのため、残存する触媒を除去する方法がこれまでに種々検討されてきた。このような例として、活性炭、活性白土などの吸着剤を使用した残存触媒の除去方法が知られている(特許文献6参照)。しかしながら、この方法では高分子溶液をこれらの吸着剤で処理する必要があり、吸着剤の使用量が多く経済的に不利であるだけでなく、処理工程における液圧の異常上昇などの操作性悪化を招きやすいことや、吸着剤微粒子の破砕により、これらが高分子中に混入しやすいという問題があった。また、残存触媒除去方法として、生成した重合体を貧溶媒で処理して析出させる操作を繰り返す方法が知られているが(非特許文献1参照)、このような方法は、操作が煩雑であり、工業的な手法とは言い難い。
特表平11−510807号公報 特開平10−195182号公報 特開2002−348360号公報 特表2002−509961号公報 特表2002−525397号公報 特開2001−163958号公報 ジャーナル オブ モレキュラー キャタリシス A;ケミカル 190号 2002年 177−184頁(Journal of Molecular Catalysis A;Chemical Vol.190 (2002)177−184)
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ルテニウムカルベン錯体の存在下に、環状オレフィンの開環メタセシス重合反応と、該開環メタセシス重合反応で生成した開環メタセシス重合体の水素化を、例えば、使用したルテニウムカルベン錯体以外に水素化触媒を添加せずに、順次行って水素化重合体を得る工程を経る水素化重合体の製造方法においても、ルテニウムカルベン錯体由来の残留ルテニウムの含量が極めて少ない水素化重合体を簡単かつ経済的に得ることができる方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ルテニウムカルベン錯体の存在下に環状オレフィンを開環メタセシス重合し、次いで生成した開環メタセシス重合体を水素化して得られた水素化重合体を水素溶存下で該水素化重合体の貧溶媒と接触させて析出させると、残留ルテニウム含量の極めて少ない水素化重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]ルテニウムカルベン錯体の存在下で、下記式1
Figure 0005384111
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。mおよびnはそれぞれ0〜4の整数を表し、mおよびnの数の合計は3以上である。)
で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
Figure 0005384111
(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。pおよびqはそれぞれ0〜4の整数を表し、pおよびqの数の合計は3以上である。)
で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンを開環メタセシス重合し、次いで生成した開環メタセシス重合体を水素化して水素化重合体を得た後、該水素化重合体を該水素化重合体の貧溶媒と接触させて析出させる、水素化重合体の製造方法であって、当該水素化重合体の貧溶媒との接触を水素溶存下で行うことを特徴とする水素化重合体の製造方法、
[2]ルテニウムカルベン錯体が、下記式3
Figure 0005384111
(式中、R19は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、R20、R21およびR22はそれぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、Lは、中性電子供与体から選ばれる。)
で示される構造を有する、上記[1]に記載の製造方法、
[3]開環メタセシス重合及び開環メタセシス重合体の水素化を第2級アルコールの存在下で実施する、上記[1]又は[2]に記載の製造方法、
[4]開環メタセシス重合体を水素化するに先立って、開環メタセシス重合体を含む反応液に塩基性物質を添加する、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の製造方法、
[5]開環メタセシス重合体の水素化を、連続反応方式で行う、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の製造方法、
[6]連続反応方式による開環メタセシス重合体の水素化を、完全混合槽−プラグフロー反応器にて行う、上記[5]に記載の製造方法、
[7]水素化重合体の貧溶媒が炭素数1〜6のアルコールである上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の製造方法、
[8]水素化重合体の貧溶媒が炭素数3〜6のケトンである上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の製造方法、及び
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の方法で製造された水素化重合体、に関する。
本発明の方法によれば、簡単かつ経済的に残留ルテニウム含量が極めて少ない水素化重合体を製造することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の開環メタセシス重合工程で使用するルテニウムカルベン錯体は、開環メタセシス重合反応の触媒作用を有するものであればいかなるものも使用することができ、特に制限されないが、たとえば、下記式3
Figure 0005384111
(式中、R19は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、R20、R21およびR22はそれぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、Lは、中性電子供与体から選ばれる。)で示される構造を有するものが挙げられる。
式3中のR19が表す「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基、該アルキル基が、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルキル基などが挙げられる。
また、式3中のR19が表す「置換されていてもよいアルケニル基」の好ましい例としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のアルケニル基、該アルケニル基がメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルケニル基などが挙げられる。
また、式3中のR19が表す「置換されていてもよいシクロアルキル基」の好ましい例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、該シクロアルキル基がメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換シクロアルキル基などが挙げられる。
また、式3中のR19が表す「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基などで置換されている置換アリール基などを挙げることができる。
式3中のR19が表す、これら「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいアルケニル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
該式3のルテニウムカルベン錯体において、R19は、好ましくは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基である。
式3中のR20、R21およびR22は、同一であっても異なっていてもよく、該R20、R21およびR22が表す「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜8)の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基などの炭素数が1〜10(好ましくは炭素数1〜8)の分枝状アルキル基、該直鎖状又は分枝状のアルキル基がメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルキル基などが挙げられる。
また、式3中のR20、R21およびR22が表す「置換されていてもよいシクロアルキル基」の好ましい例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、該シクロアルキル基がメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換シクロアルキル基などが挙げられる。
また、式3中のR20、R21およびR22が表す「置換されていてもよいアリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基などで置換されている置換アリール基などが挙げられる。これら「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
式3中のLは、中性電子供与体であり、例えば、式5:PR202122(式中、R20、R21およびR22は上記と同義である)で表わされるリン化合物や、下記式6
Figure 0005384111
(式中、R25およびR28は、それぞれ置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、R26およびR27は、それぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、
Figure 0005384111
は、単結合または二重結合を表す。)で示される含窒素カルベン化合物などが挙げられる。
式6中、R25およびR28は同一であっても異なっていてもよく、該R25およびR28が表す「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基、該アルキル基が、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基で置換されている置換アルキル基などが挙げられる。
また、式6中、R25およびR28が表す「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基などで置換されている置換アリール基などが挙げられる。これら「置換されていてもよいアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
当該式3のルテニウムカルベン錯体において、式6中のR25およびR28は、それぞれ、好ましくはフェニル基、4−トリル基、2−トリル基、2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントラニル基である。
式6中、R26およびR27は同一であっても異なっていてもよく、該R26およびR27で表わされる「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基、該アルキル基が、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基で置換されている置換アルキル基などが挙げられる。
また、R26およびR27で表わされる「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基などで置換されている置換アリール基などを挙げることができる。
これらR26およびR27で表わされる「置換されていてもよいアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
当該式3のルテニウムカルベン錯体において、式6中のR26およびR27は、それぞれ、好ましくは水素原子;メチル基、エチル基などの炭素数1〜8のアルキル基である。
本発明で使用するルテニウムカルベン錯体の具体例としては、例えば、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの、含窒素カルベン化合物1つとカルベン化合物以外の中性電子供与体1つが結合したルテニウムカルベン錯体;ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの、含窒素カルベン化合物が2つ結合したルテニウムカルベン錯体;(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−エトキシフェニルメチレン)ルテニウムジクロリドなどの、含窒素カルベン化合物を1つ有し、かつ配位性エーテル結合をカルベン中に有するルテニウムカルベン錯体が挙げられる。
これらの中でも、触媒溶液中での安定性、開環メタセシス重合時の活性などの観点から、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−エトキシフェニルメチレン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドを使用することが好ましい。
本発明で使用するルテニウムカルベン錯体は、市販されているものをそのまま使用しても、必要に応じて公知の方法に従い調製してもかまわない。
本発明において、使用されるルテニウムカルベン錯体の使用量は、反応の方式、目的物の構造などによっても異なり、特に限定はされないが、目的物の生産速度、生産効率の点から、通常、環状オレフィンに対して1/1,000,000モル倍〜1/10モル倍、好ましくは1/500,000モル倍〜1/100モル倍の範囲である。
本発明で使用する環状オレフィンには、下記式1
Figure 0005384111
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。mおよびnはそれぞれ0〜4の整数を表し、mおよびnの数の合計は3以上である。)で示される環状モノオレフィン、および下記式2
Figure 0005384111
(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。pおよびqはそれぞれ0〜4の整数を表し、pおよびqの数の合計は3以上である。)で示される環状ジオレフィンが含まれる。
上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、並びに、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表す「ハロゲン原子」の好ましい例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。また、「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)の直鎖状または分枝状アルキル基、該直鎖状または分枝状アルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルキル基などが挙げられる。
また、上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、並びに、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表す「置換されていてもよいシクロアルキル基」の好ましい例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基、該シクロアルキル基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのカルボニルオキシ基などで置換されている置換シクロアルキル基などが挙げられる。
また、上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、並びに、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表す「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのカルボニルオキシ基などで置換された置換アリール基などが挙げられる。
これら上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、並びに、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表す「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
また、上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、並びに、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表す「アルコキシ基」の好ましい例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、「エステル基」の好ましい例としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられ、「カルボキシル基もしくはその塩」の好ましい例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩を挙げることができる。
上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は同一であっても異なっていてもよく、また、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は同一であっても異なっていてもよい。また、上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、並びに、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれ、その内のいずれか複数個が、それらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよく、このような例としては、例えば、2個のヒドロキシル基が縮合してエポキシ基などの環状エーテルを形成したものが挙げられる。
また、上記式1のmおよびnが2〜4の整数を表す場合、複数のRとR、RとR10は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく(好ましくは同一である。)、また、mおよびnの数の合計は、4〜8であることが好ましい。また、上記式2のpおよびqが2〜4の整数を表す場合、複数のR13とR14、R17とR18は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく(好ましくは同一である。)、また、pおよびqの数の合計は、4〜8であることが好ましい。
式1で示される環状モノオレフィン(以下、「環状モノオレフィン(1)」ともいう)の具体例としては、例えば、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−ジメチル−1−シクロオクテンなどのシクロオレフィン類;1,2−ジヒドロキシ−5−シクロオクテン、1,4−ジヒドロキシ−2−シクロオクテン、1−ヒドロキシ−4−シクロヘプテンなどのヒドロキシル基を有するシクロオレフィン類;1−クロロ−5−シクロオクテンなどのハロゲン原子を有するシクロオレフィン類;1,2−ジメトキシ−5−シクロオクテン、1,4−ジメトキシ−2−シクロオクテン、1−メトキシ−4−シクロヘプテンなどのエーテル基含有シクロオレフィン類;1,2−ジアセトキシ−5−シクロオクテン、1,4−ジアセトキシ−2−シクロオクテン、1−アセトキシ−4−シクロヘプテンなどのエステル基含有シクロオレフィン類を挙げることができる。
また、式2で示される環状ジオレフィン(以下、「環状ジオレフィン(2)」ともいう)の具体例としては、例えば1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンなどの環状非共役オレフィン類などを挙げることができる。
本発明において、環状モノオレフィン(1)および環状ジオレフィン(2)は、それぞれ、1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明では、環状モノオレフィン(1)および/または環状ジオレフィン(2)を原料として開環メタセシス重合を行うことができる。本明細書中、特にことわらない限り、「環状オレフィン」というときには、「環状モノオレフィン(1)」であるか、「環状ジオレフィン(2)」であるか、又は「環状モノオレフィン(1)および環状ジオレフィン(2)」を指すものとする。
本発明では、開環メタセシス重合を溶媒の存在下に実施することが好ましい。該溶媒は特に限定はされないが、第2級アルコールを使用することが開環メタセシス重合反応を充分に進行させることができることから好ましい。また、第2級アルコールは、特に限定はされないが、例えば、イソプロパノール、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ペンタノール、シクロペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−オクタノール、3−オクタノール、シクロオクタノール等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、工業的入手性、ルテニウムカルベン錯体の安定性、生成する開環メタセシス重合体、水素化重合体の溶解度等を考慮して、2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ペンタノール、シクロペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−オクタノール、3−オクタノール、シクロオクタノールなどの炭素数4〜8のアルコールの使用が好ましい。
本発明では、開環メタセシス重合反応を行う際に、上記第2級アルコールの他に必要に応じて共溶媒を併せて使用してもよい。共溶媒の種類としては、反応を阻害しない限り特に制限されるものではなく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタンなどの飽和炭化水素;トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状エーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチルなどのエステル類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなどのスルホラン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類等が挙げられる。これらの中でも、水素化までの溶媒の共通化およびルテニウムカルベン錯体の安定化などを考慮して、環状エーテル類が好ましい。
開環メタセシス重合反応における第2級アルコールまたは第2級アルコールと共溶媒の合計の使用量は特に制限されるものではないが、生産性、操作性を考慮して、開環メタセシス重合体の濃度が0.1〜50重量%、より好ましくは、1〜30重量%になるように第2級アルコールまたは第2級アルコールと共溶媒を使用することが好ましい。第2級アルコールと共溶媒を併用する場合、共溶媒の使用比率としては、第2級アルコールと共溶媒の合計重量に対して50重量%以下であることが好ましく、重合体の操作性、水素化時の水素化重合体の溶解度を考慮して、40重量%以下がより好ましい。
本発明における開環メタセシス重合反応においては、下記式7
Figure 0005384111
(式中R29、R30は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいエステル基、またはハロゲン原子を表す)などで示される連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤を使用することにより、ルテニウムカルベン錯体の使用量を低減させることができ、また、両末端に官能基が導入された開環メタセシス重合体を得やすくなる。
式7中、R29及びR30が表す「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10の直鎖状又は分岐のアルキル基などが挙げられる。また、式7中、R29及びR30が表す「置換されていてもよいシクロアルキル基」の好ましい例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの炭素数5〜10のシクロアルキル基などが挙げられる。また、式7中、R29及びR30が表す「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜20の芳香族炭化水素などが挙げられる。また、式7中、R29及びR30が表す「置換されていてもよいアルコキシ基」の好ましい例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、メトキシメチルオキシ基などが挙げられる。また、式7中、R29及びR30が表す「置換されていてもよいアリールオキシ基」の好ましい例としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。また、式7中、R29及びR30が表す「置換されていてもよいエステル基」の好ましい例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などが挙げられる。
連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は重合体の目的の分子量によっても異なるが、環状オレフィンに対して、通常、1/1,000,000モル倍〜1/10モル倍、経済性、反応速度を考慮して、1/200,000モル倍〜1/50モル倍であることが好ましい。
連鎖移動剤の具体例としては、cis−2−ブテン、cis−3−ヘキセン、cis−4−オクテン、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、cis−2−ブテン−1,4−ジアセテート、cis−4−ヘキセン−1−オールなどを挙げることができる。
本発明における開環メタセシス重合反応は、不活性ガス下で実施することが好ましい。該開環メタセシス重合反応は、使用する連鎖移動剤、溶媒によっては不活性ガス加圧下で実施してもよい。
本発明における開環メタセシス重合反応の反応温度は特に制限されるものではないが、低すぎる温度では、開環メタセシス重合反応が進行せず、触媒の分解が起こり、触媒効率が著しく低下し、また、高すぎる温度では、触媒による重合体の再メタセシスが起こり、分子量が著しく大きくなる可能性があることに加え、使用する溶媒からの水素引き抜きなどによるルテニウムカルベン錯体の分解の可能性が高まるため、通常20〜130℃、より好ましくは、30〜110℃の範囲で実施される。
本発明における開環メタセシス重合反応の具体例としては、たとえば、反応器に先に重合原料(環状オレフィン)、溶媒などを投入し、つづいてルテニウムカルベン錯体を添加して反応させるバッチ方式で実施する方法や、ルテニウムカルベン錯体を単独でまたは重合原料(環状オレフィン)、溶媒等と混合しながら、ピストンフロー式で反応系に投入する、所謂、連続系(連続反応方式)で実施する方法などが挙げられる。
本発明の水素化重合体の製造方法では、上述のようにして得られた開環メタセシス重合体を、ルテニウムカルベン錯体の存在下に水素化する。水素化を実施するにあたっては、開環メタセシス重合体を単離せずに、開環メタセシス重合反応液をそのまま、水素雰囲気下に処理することにより、開環メタセシス重合体の水素化を行うことができる。この場合、開環メタセシス重合反応で使用したルテニウムカルベン錯体が、開環メタセシス重合体の水素化反応での触媒としても機能すると考えられる。
開環メタセシス重合体の水素化反応において、使用する溶媒としては特に制限はされないが、開環メタセシス重合反応で上記の溶媒(共溶媒を含む)を使用した場合、その溶媒が存在している状態でそのまま水素化反応を行うことができる。また、所望により、開環メタセシス重合反応において使用した上記溶媒に、さらに同一または異なる溶媒を追加してもかまわない。異なる溶媒としては、例えば、開環メタセシス重合反応で上記例示した溶媒のうち、該反応で実際に使用した溶媒以外のものが挙げられる。水素化反応において使用する溶媒としては開環メタセシス重合反応で使用した溶媒と同じ溶媒を少なくとも使用することが好ましく、特に開環メタセシス重合及び開環メタセシス重合体の水素化を第2級アルコールの存在下で実施することが好ましい。
本発明において、上記の開環メタセシス重合反応で得られた反応液をそのまま、または、所望により溶媒を追加して水素化反応を行う場合、上記したように、開環メタセシス重合反応で使用したルテニウムカルベン錯体が水素化反応触媒も兼ねるため、新たな触媒の追加は特に必要としないが、本発明の効果を損なわない範囲で、開環メタセシス重合反応において使用したものと同一または異なるルテニウムカルベン錯体を追加してもかまわない。
また、開環メタセシス重合体の水素化反応を行うに先立って、開環メタセシス重合反応で得られた反応液に塩基性物質を添加することができる。このような塩基性物質を添加すると、ルテニウムカルベン錯体は、アルコール溶媒中で水素化活性体であるヒドリド錯体を容易に形成し、該ルテニウムカルベン錯体の安定性を高めることができるため好ましい。なお、本発明においては、水素化反応は、開環メタセシス重合反応に使用したルテニウムカルベン錯体の存在下で行うことができるが、塩基性物質を添加することで、該ルテニウムカルベン錯体の一部または全部の価数や配位子等が変化してもよい。
本発明で使用することができる塩基性物質としては、特に制限されるものではないが、ルテニウムカルベン錯体の水素化条件下での安定性、水素化効率の向上の観点から、第3級アミンまたは第3級ホスフィンが好ましい。第3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、第3級ホスフィンとしては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で用いても複数種を混合して用いても構わない。特に、安定性などを考慮すると少なくともトリフェニルホスフィンの使用が好ましい。
本発明で使用される塩基性物質の使用量としては、特に制限されるものではないが、通常、使用するルテニウムカルベン錯体に対して、0.1〜10000モル倍、経済性、操作性を考慮して、0.5〜5000モル倍使用することが好ましい。これらの塩基性物質を添加する場合には、そのまま水素化前の反応液に添加しても、水素化に使用する溶媒または共溶媒に希釈して添加しても構わない。
本発明における水素化反応は、バッチ方式で行っても、連続反応方式で行ってもよいが、反応の効率(特に、容積効率)の点から、連続反応方式で行うのが好ましい。連続反応方式としては、例えば、単一の完全混合槽を使用する方式、複数の完全混合槽を接続させる方式、完全混合槽とプラグフロー反応器を接続させる方式(完全混合槽−プラグフロー反応器)などのように異なる種類の反応装置を接続させる方式などが挙げられる。
上記、単一の完全混合槽を使用する方式の具体例としては、例えば、開環メタセシス重合体の重合反応液を、所望する平均滞留時間となるように完全混合槽に連続的に供給し、その後、オーバーフローなどの方式で生成物を反応系外に抜き出す方法などが挙げられる。上記、複数の完全混合槽を接続させる方式の具体例としては、例えば、開環メタセシス重合体の重合反応液を、完全混合槽に連続的に供給し、その後、オーバーフローなどの方式で反応液を抜き出した後、この反応液を別の攪拌槽などに供給して、反応をさらに追い込む方式などが挙げられる。上記、異なる種類の反応装置を接続させる方式の具体例としては、例えば、開環メタセシス重合体の重合反応液を、完全混合槽に連続的に供給し、所望とする転化率まで反応を追い込んだ後、該反応液をプラグフロー反応器などの流通方式の反応装置に供給し、反応をさらに追い込む方式などが挙げられる。上記の方式のうち、より高い反応効率を達成できることから、完全混合槽−プラグフロー反応器などのように異なる種類の反応装置を接続させる方式を採用するのが好ましい。なお、上記した完全混合槽として、攪拌槽を使用することができるが、ループリアクターなどの反応設備を使用することで、より水素化効率を高めることができる。
水素化反応時における水素圧力としては、特に制限されるものではないが、反応速度、反応の選択性を考慮して、通常0.1MPa〜20MPa、反応器の特殊性、溶存水素による反応効率を考慮して、1MPa〜15MPaの範囲で実施することが好ましい。なお、本明細書において圧力とは絶対圧力を意味する。
本発明での水素化反応の反応温度としても特に制限されるものではないが、水素化重合体の溶解度、水素化効率を考慮して、通常30〜250℃、反応の操作性を考慮して、50〜200℃の範囲で実施することが好ましい。
本発明での水素化に要する時間(連続反応方式の場合は平均滞留時間)としては、用いる反応基質や採用する反応条件によることが大きいことは言うまでもないが、通常、平均滞留時間として1〜20時間、反応の効率を考慮して、2〜15時間の範囲であることが好ましい。
また、本発明の水素化重合体の製造方法における、水素化重合体の水添率としては、水素化重合体の用途に合わせて種々調節が可能であるが、耐候性や耐熱性等に優れる水素化重合体が得られ易いことから、該水添率としては50〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%であることがより好ましく、90〜100モル%であることがさらに好ましい。なお、本明細書における水添率とは、開環メタセシス重合体が有する全二重結合のモル数に対する、水素化に使用された水素分子のモル数の割合である。該水添率は、水素化重合体をH−NMRにより測定して求めることが可能である。
得られた水素化重合体は、水素溶存下に水素化重合体の貧溶媒と接触させることにより析出させる。ここで、「水素化重合体の貧溶媒」とは、20℃における水素化重合体の溶解度が1g/溶媒100g以下である溶媒を意味する。貧溶媒との接触によって析出した水素化重合体は、濾過やデカンテーションなどにより、開環メタセシス重合反応や水素化反応において使用した溶媒や原料と分離することができる。なお、分離した水素化重合体は、さらに、常圧下または減圧下に乾燥等に供し、残存している溶媒や原料を取り除くことが好ましい。
上記貧溶媒の具体例としては、目的とする水素化重合体の種類により適宜選択されるが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソアミルアルコール、tert−アミルアルコールなどの炭素数1〜6のアルコール(好ましくは炭素数1〜4)や、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ピナコロンなどの炭素数3〜6のケトン(好ましくは炭素数3〜5)などが挙げられる。これらの溶媒のなかでも、操作性や、入手の容易性、水素化重合体の溶解度が小さいことなどの理由から、メタノールが特に好ましい。
本発明において、水素化重合体を、水素化重合体の貧溶媒と接触させる際には、水素溶存下において接触させることが必要である。これにより、反応液中のルテニウムカルベン錯体は、溶媒中への溶解性を維持することができ、結果としてルテニウムカルベン錯体の析出による水素化重合体へのルテニウムの混入を抑制することができると考えられる。水素を溶存させる対象としては、水素化反応後の反応液(水素化重合体を含む反応液)および水素化重合体の貧溶媒の少なくとも一方であることが好ましい。
本発明において、水素化重合体を、水素溶存下に水素化重合体の貧溶媒と接触させる方法としては、例えば、水素雰囲気下で水素化反応後の反応液(水素化重合体を含む反応液)と水素化重合体の貧溶媒とを混合することにより行うことができる。その際の水素分圧としては、特に制限はされないが、例えば、雰囲気の水素分圧が0.001〜10MPaであることが好ましく、0.01〜1MPaであることがより好ましい。このような水素分圧の雰囲気とすることにより、水素化反応後の反応液(水素化重合体を含む反応液)や水素化重合体の貧溶媒に水素を十分溶存させることができる。
本発明で、水素化重合体を、水素溶存下で、水素化重合体の貧溶媒と接触させる際の温度としては特に制限されるものではないが、水素の溶解度、操作性を考慮して、0〜60℃の範囲内であることが好ましく、10〜40℃の範囲内であることがより好ましい。
本発明で、使用される水素化重合体の貧溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、析出させた水素化重合体の分散性、操作性を考慮して、水素化重合体の0.1〜1000重量倍であることが好ましく、さらに操作性、経済性を考慮して、1〜100重量倍の範囲内であることがより好ましい。
本発明の方法により、ルテニウムカルベン錯体由来の残存ルテニウム含量が極めて少ない水素化重合体を比較的簡単な工程で効率良く取得することができる。本発明の方法により製造される水素化重合体はルテニウム含量が好ましくは5ppm以下であり、より好ましくは1ppm以下であり、さらに好ましくは0.5ppm以下であり、特に好ましくは0.3ppm以下である。また、本発明の方法により得られる水素化重合体の数平均分子量は用途等により適宜調整可能であるが、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。
本発明により得られる水素化重合体は、そのまま、または、従来公知の顔料、充填剤、クレイ、薄片状クレイ、安定剤、プレス助剤、可塑剤、難燃剤、防曇剤、染料などを添加して、フィルム、シート、チューブ、繊維等の各種成形体に成形することができる。成形方法としては、射出成形、ブロー成形、押し出し成形、圧縮成形、延伸、真空成形など、各種の成形方法を採用することが可能である。また、本発明の水素化重合体と他の素材とからなる積層構造体や複合体の形態として使用することも可能である。このようにして得られた成形体は、産業資材、工業材料、家庭用品などに好適に使用することが可能である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、水素化重合体の数平均分子量及び残存ルテニウム含量は以下のように分析した。
[水素化重合体の数平均分子量]
ウォーターズ社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(150C.ALC/GPC)装置(カラム:shodex製HFIP806M)を用いて40℃で測定した。なお、測定溶媒としては、20mMトリフルオロ酢酸ナトリウム−ヘキサフルオロイソプロパノール溶液を使用した。また、標準物質としては、ポリメタクリル酸メチルを使用した。
[水素化重合体中の残存ルテニウム含量]
ジャーレルアッシュ社製のICP(誘導結合高周波プラズマ)発光分光分析測定装置(IRISAP)を用いて測定を行った。標準サンプルとしては、アルドリッチ社製Ruthenium.ICP/DCP(直流プラズマ)標準溶液を用いた。
<実施例1>
攪拌機、温度計を装着したガラス製500mL容3つ口フラスコを乾燥した窒素で置換した後、5−シクロオクテン−1,2−ジオール(45g、0.32mol)、cis−4−オクテン(197mg、1.76mmol)、シクロヘキサノール(157g)およびTHF(58g)からなる溶液(溶液−1)を仕込んだ。
ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(11.9mg、14.0μmol)を、THF(10g)に溶解させた後、すばやく、上記の混合溶液に加えて、55℃で開環メタセシス重合(ROMP)を行った。1時間後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC−14B;カラム:化学品検査協会製、G−100)により分析したところ、5−シクロオクテン−1,2−ジオールの消失を確認した。続いて、本反応液にシクロヘキサノール(30mL)を加えた溶液(溶液−2)を作製した。
8MPaに水素加圧した100mLオートクレイブ中に、上記溶液−2を5mL/時間の割合で連続的に加えて、更に、該100mLオートクレイブからは、液面を保つように5mL/時間の割合で水素化反応液を抜き取り、更に、抜き取った水素化反応液を100mLのプラグフロー反応器に8MPaの水素圧力を保つようにフィードすることにより、連続反応方式で水素化反応を行った。なお、水素化反応の反応温度は、オートクレイブおよびプラグフロー反応器とも140℃とした。溶液−2の全量を100mLオートクレイブにフィードした後、更に、全液が置換されるようにシクロヘキサノール150mLを同じ速度(5mL/時間)でフィードした。プラグフロー反応器より得られた反応液を窒素・水素雰囲気下(水素分圧:0.01MPa)で20℃のメタノール(300mL)中に連続的に注ぎ、水素化重合体を析出させ、窒素加圧下、溶媒を除去したところ、数平均分子量が58,000のポリマー(44g)を得た。得られた水素化重合体の水添率は、H−NMR分析より、98.5モル%であった。また、ICP発光法によるルテニウム残量は1ppm以下であった。
<実施例2>
実施例1において、重合終了後に、トリエチルアミン(1.0g、9.9mmol)を添加した以外は、実施例1と同様の操作を行い、数平均分子量が58,000のポリマー(44g)を得た。得られた水素化重合体の水添率は、H−NMR分析より、99.2モル%であった。また、ICP発光法によるルテニウム残量は1ppm以下であった。
<実施例3>
実施例1において、重合終了後に、トリフェニルホスフィン(1.0g、3.8mmol)、フィード速度を7ml/時間とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、数平均分子量が58,000のポリマー(44g)を得た。得られた水素化重合体の水添率は、H−NMR分析より、98.3モル%であった。また、ICP発光法によるルテニウム残量は1ppm以下であった。
<実施例4>
実施例1において、メタノール(300mL)の代わりにアセトン(300mL)を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、数平均分子量が58,000のポリマー(43g)を得た。得られた水素化重合体の水添率は、H−NMR分析より98.1モル%であった。また、ICP発光法によるルテニウム残量は1ppm以下であった。
<実施例5>
実施例1において、プラグフロー反応器から得られた反応液を窒素雰囲気下で20℃まで冷却し、窒素・水素雰囲気下(水素分圧:0.01MPa)とせずに、そのままメタノールに注いだ以外は実施例1と同様に行い、数平均分子量が58,000のポリマー(44g)を得た。得られた水素化重合体の水添率は、H−NMR分析より、98.5モル%であり、ICP発光法によるルテニウム残量は5ppmであった。
<比較例1>
実施例1において、プラグフロー反応器から得られた反応液に窒素を通じ、水素を除去、20℃まで冷却し、メタノールに注いだ以外は実施例1と同様に反応を行い、数平均分子量が58,000のポリマー(44g)を得た。得られた水素化重合体の水添率は、H−NMR分析より、98.4モル%であり、ICP発光法によるルテニウム残量は8ppmであった。
<比較例2>
実施例1において、プラグフロー反応器から得られた反応液に窒素を通じ、水素を除去、続いて、窒素置換、空気置換を順次行い、大気下にて20℃まで冷却、メタノールに注いだ以外は実施例1と同様に反応を行い、数平均分子量が58,000のポリマー(44g)を得た。得られた水素化重合体の水添率は、H−NMR分析より、98.4モル%であり、ICP発光法によるルテニウム残量は11ppmであった。
本発明によれば、残存ルテニウム含量の少ない水素化重合体を簡単かつ経済的に得ることができる。このような水素化重合体は、フィルム、シート、チューブ、繊維等の各種成形体や、他の素材とからなる積層構造体や複合体の形態として、産業資材、工業材料、家庭用品などに好適に使用できる。
本出願は日本で出願された特願2006−257863を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含される。

Claims (8)

  1. ルテニウムカルベン錯体の存在下で、下記式1
    Figure 0005384111
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。mおよびnはそれぞれ0〜4の整数を表し、mおよびnの数の合計は3以上である。)
    で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
    Figure 0005384111
    (式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。pおよびqはそれぞれ0〜4の整数を表し、pおよびqの数の合計は3以上である。)
    で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンを開環メタセシス重合し、次いで生成した開環メタセシス重合体を水素化して水素化重合体を得た後、該水素化重合体を該水素化重合体の貧溶媒と接触させて析出させる、水素化重合体の製造方法であって、当該水素化重合体の貧溶媒との接触を水素溶存下で行うことを特徴とする水素化重合体の製造方法。
  2. ルテニウムカルベン錯体が、下記式3
    Figure 0005384111
    (式中、R19は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、R20、R21およびR22はそれぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、Lは、中性電子供与体から選ばれる。)
    で示される構造を有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 開環メタセシス重合及び開環メタセシス重合体の水素化を第2級アルコールの存在下で実施する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 開環メタセシス重合体を水素化するに先立って、開環メタセシス重合体を含む反応液に塩基性物質を添加する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 開環メタセシス重合体の水素化を、連続反応方式で行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 連続反応方式による開環メタセシス重合体の水素化を、完全混合槽−プラグフロー反応器にて行う、請求項5に記載の製造方法。
  7. 水素化重合体の貧溶媒が炭素数1〜6のアルコールである請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 水素化重合体の貧溶媒が炭素数3〜6のケトンである請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
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