JPH11158256A - 環状オレフイン系開環メタセシス重合体水素添加物の製造方法 - Google Patents

環状オレフイン系開環メタセシス重合体水素添加物の製造方法

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JPH11158256A
JPH11158256A JP32458697A JP32458697A JPH11158256A JP H11158256 A JPH11158256 A JP H11158256A JP 32458697 A JP32458697 A JP 32458697A JP 32458697 A JP32458697 A JP 32458697A JP H11158256 A JPH11158256 A JP H11158256A
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ruthenium
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益瑞 大北
Tadahiro Sunaga
忠弘 須永
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率的に耐熱性の開環メタセシス重合体水素
添加物を製造するための新規な方法を提供する。 【解決手段】 環状オレフィン系開環メタセシス重合体
を、水素の存在下次の一般式 【化1】MHkmpq [式中、Mはルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリ
ジウム、パラジウム、白金またはニッケル原子を表し、
Hは水素原子を表し、Qはハロゲン原子を表し、Tはト
ルエン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを表
し、ZはPR′1R′2R′3(Pはリン原子を示し、
R′1、R′2、R′3はそれぞれ同一もしくは異なる直
鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を示
す。)で表される有機リン化合物を表し、kは0または
1、mは1〜3の整数、pは0または1、qは2〜4の
整数を表す。]で表される有機金属錯体と有機アルミニ
ウム化合物からなる水素添加触媒を用いて水素添加す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状オレフィン系
単量体の開環メタセシス重合体水素添加物の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】環状オレフィン系単量体の開環メタセシ
ス重合体及び開環メタセシス共重合体の水素添加物は優
れた光学特性、電気特性、高剛性、耐熱性及び耐候性を
有する樹脂として注目をあび各種の開環メタセシス重合
体及び該重合体水素添加物の製造方法が提案されてい
る。
【0003】環状オレフィン系開環メタセシス重合体の
主鎖の炭素−炭素間二重結合を水素添加する方法とし
て、例えば不均一触媒ではパラジウム、白金、ロジウ
ム、ルテニウム、ニッケル等の金属をカーボン、シリ
カ、アルミナ、チタニア、マグネシア、ケイソウ土、合
成ゼオライト等の単体に担持させた担持型金属触媒を用
いる方法が公知であり、特開平3−174406号公
報、特開平4−363312号公報等には、それらを使
用した開環メタセシス重合体水素添加物の製造方法が例
示されている。
【0004】また、均一系触媒ではナフテン酸ニッケル
/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナ
ート/トリイソブチルアルミニウム、オクテン酸コバル
ト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエ
チルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、ジクロ
ロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロ
ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)
ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)
ロジウム等を用いる方法が公知であり、特開平5−23
9124号公報、特開平7−41549号公報等には、
それらを使用した開環メタセシス重合体水素添加物の製
造方法が例示されている。
【0005】しかしながら、担持型金属触媒を用いる方
法は水素添加反応が不均一である為、高い水素添加率を
得る為には多量の触媒を使用することが必要であるとい
う問題点を有している。一方、均一系触媒では少量の触
媒で水素添加反応が進行する特徴があるがニッケル、コ
バルト、チタン等の有機酸塩等とアルミニウム、リチウ
ム、マグネシウム、錫等の有機金属化合物からなるチー
グラータイプの触媒では、水、空気、極性化合物等によ
り失活する為取扱いが煩雑であり極性の大きい溶媒を使
用することが出来ないという問題点がある。
【0006】また、ロジウム等の金属錯体は高価である
うえ必ずしも水素添加反応の活性が充分に高いものでは
ないという問題点を有している。これらの水素添加触媒
は特に環状オレフィン系開環メタセシス重合体の水素添
加反応は、開環メタセシス重合体中に嵩高いトリシクロ
ドデセン環が炭素−炭素間二重結合の近傍に存在する為
に立体障害が大きく高い水素添加率で水素化させること
は困難とされ、特に開環メタセシス重合体中にヒドロキ
シ、カルボニル、カルボキシルまたはニトリル基のよう
な極性置換基を有する場合は高い水素添加率で水素化さ
せることは困難とされていた。
【0007】そこで、ニトリル基等のような極性置換基
を有する環状オレフィン系開環メタセシス重合体であっ
ても、容易に高い水素添加率で水素化出来る方法の開発
が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決した、環状オレフィン系開環メタセシ
ス重合体水素添加物の新規な製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決した環状オレフィン系開環メタセシス重合体水素
添加物の製造方法について鋭意検討し、本発明を完成し
た。
【0010】即ち本発明の環状オレフィン系開環メタセ
シス重合体水素添加物の製造方法は、モノ環状オレフィ
ンまたは一般式[1]
【0011】
【化3】 (式中、R1〜R4はそれぞれ同一であっても異なっても
よく、水素、炭素数1〜12のアルキル基,アリール
基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、炭素数1
〜12のハロゲン化アルキル基、ニトリル基、カルボキ
シル基またはアルコキシカルボニル基から選ばれ、xは
0〜3の整数を表す。)で表される環状オレフィン系単
量体の開環メタセシス重合体を、水素の存在下に一般式
[2]
【0012】
【化4】MHkmpq [2] (式中、Mはルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリ
ジウム、パラジウム、白金またはニッケル原子を表し、
Hは水素原子を表し、Qはハロゲン原子を表し、Tはト
ルエン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを表
し、ZはPR′1R′2R′3(Pはリン原子を示し、
R′1、R′2、R′3はそれぞれ同一もしくは異なる直
鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を示
す。)で表される有機リン化合物を表し、kは0または
1、mは1〜3の整数、pは0または1、qは2〜4の
整数を表す。)で表される有機金属錯体と有機アルミニ
ウム化合物とからなる水素添加触媒を用いて水素添加す
ることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明における一般式[1]で表
される環状オレフィン系単量体としては、xが0である
ビシクロヘプトエンの誘導体、xが1であるテトラシク
ロドデセンの誘導体、xが2であるヘキサシクロヘプタ
デセンの誘導体、xが3であるオクタシクロドコセンの
誘導体等が挙げられる。R1〜R4はそれぞれ同一であっ
ても異なっていてもよく、水素、炭素数1〜12である
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t
−ブチル、シクロヘキシル等の(シクロ)アルキル基、
フェニル、ナフチル等の炭素数6〜18のアリール基、
ベンジル、フェネチル、フェニルイソプロピル、2−ナ
フチルメチル、2−ナフチルエチル、2−ナフチルイソ
プロピル等の炭素数7〜20のアラルキル基、メトキ
シ、エトキシ、メントキシ等の炭素数1〜12のアルコ
キシ基、塩素、臭素、沃素またはフッ素等のハロゲン、
フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ジフル
オロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、トリフ
ルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル等
の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、ニトリル
基、カルボキシル基、またはメトキシカルボニル、エト
キシカルボニル、メントキシカルボニル等の炭素数2〜
20のアルコキシカルボニル基であり、特に、R1〜R4
のうち少なくとも1つがニトリル基であるものが好まし
く用いられる。
【0014】具体例としては、5−シアノビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−5−メ
チルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジ
シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
シアノ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−シアノ−6−メトキシビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−カルボキシメ
チルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シ
アノ−6−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−シアノ−6−シアノビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−トリフルオロ
メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
シアノ−6−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−シアノー6−ジフルオロビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ−6−フェニル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノ
−6−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−シアノ−6−シクロヘキシルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン等のシアノビシクロヘプトエ
ン類、8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10〕−3−ドデセン、8−シアノ−8−メチルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセ
ン、8−ジシアノテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−メチルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−シアノ−9−メトキシテトラシクロ[4.4.
0.12,5.1 7,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9
−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−カ
ルボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−シアノ−9−シアノテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
シアノ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シアノ
−9−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17
,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−ジフルオロテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−シアノ−9−フェニルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シアノ
−9−ベンジルテトラシクロ[4.4.0.12.5.1
7,10]−3−ドデセン、8−シアノ−9−シクロヘキシ
ルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン等のシアノテトラシクロドデセン類、11−シ
アノヘキサシクロ[6.6.1.13, 6.110,13.0
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−1
1−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6
10,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−
ジシアノヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−
12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−シ
アノ−12−メトキシヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、
11−シアノ−12−カルボキシメチルヘキサシクロ
[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4
−ヘプタデセン、11−シアノ−12−カルボキシヘキ
サシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.0
9,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−シア
ノヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−
12−トリフルオロメチルヘキサシクロ[6.6.1.
3,6.110,13.02, 7.09,14]−4−ヘプタデセ
ン、11−シアノ−12−フルオロヘキサシクロ[6.
6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]―4−ヘプ
タデセン、11−シアノ−12−ジフルオロヘキサシク
ロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−
4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−フェニルヘキ
サシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.0
9,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−12−ベン
ジルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.0
2,7.09 ,14]−4−ヘプタデセン、11−シアノ−1
2−シクロヘキシルヘキサシクロ[6.6.1.
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン
等のシアノヘキサシクロヘプタデセン類、14−シアノ
オクタシクロ[8.8.0.12, 9.14,7.111,18
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−シ
アノ−14−メチルオクタシクロ[8.8.0.
2,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−
5−ドコセン、14−ジシアノオクタシクロ[8.8.
0.12,9.1,4,7、111,18.113,16.03,8.0
12,17]−5−ドコセン、14−シアノ−15−メチル
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18
1 3,16.03,8、012,17]−5−ドコセン、14−シ
アノ−15−メトキシオクタシクロ[8.8.0.1
2,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5
−ドコセン、14−シアノ−15−カルボキシメチルオ
クタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.1
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−シア
ノ−15−カルボキシオクタシクロ[8.8.0.1
2,9.14,7.111,18.113,16.0,3,8.012,17]−
5−ドコセン、14−シアノ−15−シアノオクタシク
ロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.0
3,8.012,17]−5−ドコセン、14−シアノ−15−
トリフルオロメチルオクタシクロ[8.8.0.
2,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−
5−ドコセン、14−シアノ−15−フルオロオクタシ
クロ[8.8.0.12,9.14,7.1 11,18
13,16..03,8.012,17]−5−ドコセン、14−
シアノ−15−ジフルオロオクタシクロ[8.8.0.
2,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−
5−ドコセン、14−シアノ−15−フェニルオクタシ
クロ[8.8.0.12,9.1,4,7.111,18
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−シ
アノ−15−ベンジルオクタシクロ[8.8.0.1
2,9.14,7.111,18.113,16.0,3,8.012,17]−
5−ドコセン、14−シアノ−15−シクロヘキシルオ
クタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,19.1
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン等のシアノオ
クタシクロドコセン類等を挙げることができる。
【0015】更には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−
2−エン、5−メチルビシク[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−ベンジルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−ブロモビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−6−
メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビ
シクロヘプトエン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−カルボキシテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−ベンジルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキシテトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−エトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−メチル−9−メチルテト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−メチル―9−カルボキシメチルテトラシクロ
[4.4.0.12, 5.17,10]−3−ドデセン、8−
フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5
1,7,10]−3−ドデセン等のテトラシクロドデセン誘
導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.0
9,14]−4−ヘプタデセン、11−メチルヘキサシクロ
[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4
−ヘプタデセン、11−エチルヘキサシクロ[6.6.
1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデ
セン、11−カルボキシヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、
11−ベンジルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−カ
ルボキシメチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14〕−4−ヘプタデセン、11−メ
トキシヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.0
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−エトキシヘ
キサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.0
9,14]−4−ヘプタデセン、11−メチル−12−カル
ボキシメチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,1 4]−4−ヘプタデセン等のヘキサ
シクロヘプタデセン誘導体、オクタシクロ[8.8.
0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8
12,17]−5−ドコセン、14−メチルオクタシクロ
[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.0
3,8.012,17]−5−ドコセン、14−エチルオクタシ
クロ[8.8.0.12,9.1,4,7.111,18
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−カ
ルボキシオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.113,16.03, 8.012,17]−5−ドコセン、1
4−ベンジルオクタシクロ[8.8.0.12, 9
4,7.111,18.113,16.03,6.012,17]−5−ド
コセン、14−カルボキシメチルオクタシクロ[8.
8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03, 8.0
12,17]−5−ドコセン、14−メトキシオクタシクロ
[8.8.0.12, 9.14,7.1,11,18.113,16.0
3,8.012,17]−5−ドコセン、14−エトキシオクタ
シクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18
13,16.03,8.01 2,17]−5−ドコセン、14−メ
チル−15−カルボキシメチルオクタシクロ[8.8.
0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8
12,17]−5−ドコセン等のオクタシクロドコセン誘
導体が挙げられる。
【0016】また、モノ環状オレフィンとしては、シク
ロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオ
クテン等の炭素数3〜20のシクロオレフィン類、更に
は、シクロペンタジエンの二量体を拳げることができ
る。
【0017】特に、ニトリル基を含むものを開環メタセ
シス重合体とした時、物性が良好で好ましい。
【0018】これらの環状オレフィン系単量体は必ずし
も単独で用いられる必要はなく、二種以上を任意の割合
で用いて開環共重合することもできる。
【0019】また、本発明に使用される重合触媒として
は、開環メタセシス重合する触媒であればどのようなも
のでもよいが、開環メタセシス触媒の具体例としては、
W(N−2,6−C63Pri 2)(CHBut)(OB
t2、W(N−2,6−C63Pri 2)(CHB
t)(OCMe2CF32、W(N−2,6−C63
i 2)(CHBut)(OCMe2(CF322、W
(N−2,6−C63Pri 2)(CHCMe2Ph)
(OBut2、W(N−2,6−C63Pri 2)(CH
CMe2Ph)(OCMe2CF32、W(N−2,6−
63Pri 2)(CHCMe2Ph)(OCMe2(CF
322、(式中のPriはiso−プロピル基、Bu
tはtert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェ
ニル基を表す。)等のタングステン系アルキリデン触
媒、W(N−2,6−Me263)(CHCHCMe
Ph)(O−But)2(PMe3)、W(N−2,6−
Me263)(CHCHCMe2)(O−But2(P
Me3)、W(N−2,6−Me26 3)(CHCHC
Ph2)(O−But2(PMe3)、W(N−2,6−
Me2 63)(CHCHCMePh)(OCMe2(C
3))2(PMe3)、W(N−2,6−Me263
(CHCHCMe2)(OCMe2(CF3))2(PMe
3)、W(N−2,6−Me263)(CHCHCPh
2)(OCMe2(CF3))2(PMe3)、W(N−
2,6−Me263)(CHCHCMe2)(OCMe
(CF322(PMe3)、W(N−2,6−Me26
3)(CHCHCMe)2(OCMe(CF32
2(PMe3)、W(N−2,6−Me263)(CH
CHCPh2)(OCMe(CF322(PMe3)、
W(N−2,6−Pri 263)(CHCHCMeP
h)(OCMe2(CF3))2(PMe3)、W(N−
2,6−Pri 263)(CHCHCMePh)(OC
Me(CF32 2(PMe3)、W(N−2,6−Pr
i 263)(CHCHCMePh)(OPh)2(PM
3)、(式中のPriはiso−プロピル基、But
tert−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル
基を表す。)等のタングステン系アルキリデン触媒、M
o(N−2,6−Pri 263)(CHBut)(OB
t2、Mo(N−2,6−Pri 263)(CHBu
t)(OCMe2CF32、Mo(N−2,6−Pri 2
63)(CHBut)(OCMe(CF322、Mo
(N−2,6−Pri 263)(CHCMe2Ph)
(OBut2、Mo(N−2,6−Pri 263)(C
HCMe2Ph)(OCMe2CF32、Mo(N−2,
6−Pri 263)(CHCMe2Ph)(OCMe
(CF322、(式中のPriはiso−プロピル基、
Butはtert−ブチル基、Meはメチル基、Phは
フェニル基を表す。)等のモリブデン系アルキリデン触
媒、Re(CBut)(CHBut)(O−2,6−Pr
i 2632、Re(CBut)(CHBut)(O−2
−But642、Re(CBut)(CHBut)(O
CMe2CF3)、2Re(CBut)(CHBut)(O
CMe(CF322、Re(CBut)(CHBut
(O−2,6−MeC632、(式中のButはter
t−ブチル基を表す。)等のレニウム系アルキリデン触
媒、Ta[C(Me)C(Me)CHMe3](O−
2,6−Pri 2633Py、Ta[C(Ph)C
(Ph)CHMe3](O−2,6−Pri 2633
y、(式中のMeはメチル基、Phはフェニル基、Py
はピリジン基を表す。)等のタンタル系アルキリデン触
媒、Ru(CHCHCPh2)(PPh32Cl2、(式
中のPhはフェニル基を表す。)等のルテニウム系アル
キリデン触媒やチタナシクロブタン類が挙げられる。上
記開環メタセシス触媒は、単独にまたは2種以上混合し
てもよい。また、特願平09−167488及び特願平
09−167489に記載されているような、上記遷移
金属アルキリデン錯体と連鎖移動剤としての不飽和結合
を有する化合物との組み合わせによる開環メタセシス触
媒系を採用することも可能である。
【0020】連鎖移動剤としての不飽和結合を有する化
合物としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、
ペンテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン、
ビニルトリメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ア
リルトリエチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン
などのケイ素含有オレフィン、ペンタジエン、ヘキサジ
エン、ヘプタジエンなどのジエン、スチレン、ジビニル
ベンゼンなどの芳香族ビニル、メチルメタクリレート、
メチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル
が挙げられる。
【0021】更には、0lefin Metathesis(Kenneth J I
vin,Academic Press,New York,1983)に記載されている
ような、遷移金属化合物と助触媒としてのルイス酸との
組合せによる開環メタセシス触媒系、例えぱ、モリブデ
ン、タングステン、バナジウム、チタン等の遷移金属ハ
ロゲン化物と助触媒として有機アルミニウム化合物、有
機錫化合物またはリチウム、ナトリウム、マグネシウ
ム、亜鉛、カドミウム、ホウ素等の有機金属化合物とか
ら成る開環メタセシス触媒を用いることもできる。遷移
金属ハロゲン化物の具体例としては、MoBr2、Mo
Br3、MoBr4、MoCl4、MoCl5、MoF4
MoOCl4、MoOF4、等のモリブデンハロゲン化
物、WBr2、WBr4、WCl2、WCl4、WCl5
WCl6、WF 4、WI2、WOBr4、WOCl4、WO
4、WCl(OC64Cl22、等のタングステンハ
ロゲン化物、VOCl3、VOBr3、等のバナジウムハ
ロゲン化物、TiCl4、TiBr4、等のチタンハロゲ
ン化物等が挙げられる。
【0022】また、助触媒としての有機金属化合物の具
体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルア
ルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシ
ルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェ
ニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチ
ルアルミニウムモノクロリド、ジ−n−ブチルアルミニ
ウム、ジエチルアルミニウムモノブロミド、ジエチルア
ルミニウムモノイオジド、ジエチルアルミニウムモノヒ
ドリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルア
ルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物、テ
トラメチル錫、ジエチルジメチル錫、テトラエチル錫、
ジブチルジエチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル
錫、トリオクチル錫フルオリド、トリオクチル錫クロリ
ド、トリオクチル錫ブロミド、トリオクチル錫イオジ
ド、ジブチル錫ジフルオリド、ジブチル錫ジクロリド、
ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジイオジド、ブチル
錫トリフルオリド、ブチル錫トリクロリド、ブチル錫ト
リブロミド、ブチル錫トリイオジド等の有機錫化合物、
n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物、n−ペン
チルナトリウム等の有機ナトリウム化合物、メチルマグ
ネシウムイオジド、エチルマグネシウムブロミド、メチ
ルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムブ
ロミド、t―ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグ
ネシウムクロリド等の有機マグネシウム化合物、ジエチ
ル亜鉛等の有機亜鉛化合物、ジエチルカドミウム等の有
機カドミウム化合物、トリメチルホウ素、トリエチルホ
ウ素、トリ−n−ブチルホウ素等の有機ホウ素化合物等
が挙げられる。
【0023】環状オレフィン系単量体と開環メタセシス
触媒のモル比は、環状オレフィン単量体100モルに対
してタングステン、モリブデン、レニウム、タンタル、
またはルテニウム等のアルキリデン触媒やチタナシクロ
ブタン類の場合は、0.01〜10モル、好ましくは
0.1〜5モルである。また、連鎖移動剤としての不飽
和結合を有する化合物を添加する反応系の場合に於ける
使用量は、不飽和結合を有する化合物と環状オレフィン
系単量体のモル比が該環状オレフィン単量体に対して
0.001〜0.5、好ましくは0.01〜0.2の範
囲であり、不飽和結合を有する化合物と遷移金属錯体の
モル比は、遷移金属アルキリデン錯体のアルキリデンの
1当量に対して0.1〜1000、好ましくは1〜50
0の範囲である。
【0024】更に遷移金属ハロゲン化物と有機金属化合
物から成る開環メタセシス触媒では、遷移金属ハロゲン
化物は0.001〜5モル、好ましくは0.01〜3モ
ルであり、助触媒としての有機金属化合物は0.005
〜10モル、好ましくは0.02〜5モルとなる範囲で
ある。
【0025】開環メタセシス重合において用いられる溶
媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、
ジブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル
類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンな
どの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンな
どの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、
デカリンなどの脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロリ
ド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロ
エタン、クロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハ
ロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらは2種以上混合
して使用してもよい。
【0026】さらに、分子量を制御するために、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、スチレン、
l−ヘキセン、4−メチルペンテン、ヘキサジエン等の
オレフィン存在下で開環メタセシス重合を行ってもよ
い。
【0027】開環メタセシス重合では、単量体の反応性
および重合溶媒ヘの溶解性によっても異なるが、単量体
/開環メタセシス触媒と溶媒の濃度は0.1〜100m
ol/Lの範囲が好ましく、通常―30〜150℃の反
応温度で1分〜10時間反応させ、アルデヒド類、ケト
ン類、アルコール類等の失活剤で反応を停止し、開環メ
タセシス重合体溶液を得ることができる。
【0028】開環メタセシス重合反応終了後、公知の方
法により重合体に残存する開環メタセシス触媒を除去す
ることができる。上記開環重合体溶液から金属及び金属
化合物成分を除去する方法としては例えば、窒素または
水素ガス等の雰囲気下で上記開環メタセシス重合体溶液
またはスラリーにトリメチレンジアミン、アニリン、ピ
リジン、エタンジアミド、水酸化ナトリウム等の塩基性
化合物で接触処理した後に、或いは接触処理と同時に酢
酸、クエン酸、安息香酸、塩酸等の酸性化合物を接触さ
せて処理する方法を採用することができる。
【0029】本発明の環状オレフィン系単量体の開環メ
タセシス重合体の水素添加反応は、水素の存在下に有機
金属錯体と有機アルミニウム化合物からなる水素添加触
媒を用いて水素添加することにより、水素添加率を向上
させることが可能となる。
【0030】本発明に於いて一般式[2]で表される有
機金属錯体におけるMは、ルテニウム、ロジウム、オス
ミウム、イリジウム、パラジウム、白金またはニッケル
原子を表し、Qはハロゲン原子を表し、具体例として、
塩素、フッ素、臭素または沃素原子を例示できる。更
に、Tはトルエン、アセトニトリルまたはテトラヒドロ
フランを表し、ZはPR′1R′2R′3の有機リン化合
物を表し、R′1、R′2およびR′3は同一または異な
る直鎖、分岐の炭素数1〜12のアルキル基もしくはア
ルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基もしく
はシクロアルアルケニル基、または炭素数7〜20のア
ラルキル基、または6〜18のアリール基、または炭素
数1〜12のアルコキシ基もしくは炭素数6〜18のア
リールオキシ基である。具体例として、トリメチルホス
フィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホス
フィン、トリn−プロピルホスフィン、トリt−ブチル
ホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリn−ブチ
ルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフ
ェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメ
チルフェニルホスフィン、トリo−トリルホスフィン、
トリm−トリルホスフィン、トリp−トリルホスフィ
ン、ジエチルフェニルホスフィン、ジクロロ(エチル)
ホスフィン、ジクロロ(フェニル)ホスフィン、クロロ
ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィト、トリイ
ソプロピルホスフィト、トリフェニルホスフィトを例示
できる。
【0031】一般式[2]で表される有機金属錯体の具
体例としては、ジクロロビス(トリフェニルホスフィ
ン)ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィ
ン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィ
ン)白金、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロ
ジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)オ
スミウム、ジクロロヒドリドビス(トリフェニルホスフ
ィン)イリジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホス
フィン)ルテニウム、ジクロロテトラキス(トリフェニ
ルホスフィン)ルテニウム、ジクロロビス(アセトニト
リル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジ
クロロビス(テトラヒドロフラン)ビス(トリフェニル
ホスフィン)ルテニウム、クロロヒドリド(トルエン)
トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロ
ロトリス(トリメチルホスフィン)ルテニウム、ジクロ
ロトリス(トリエチルホスフィン)ルテニウム、ジクロ
ロトリス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウ
ム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニ
ウム、ジクロロトリス(トリメチルジフェニルホスフィ
ン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリジメチルフェニ
ルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリo−
トリルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(ジク
ロロエチルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス
(ジクロロフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロ
トリス(トリメチルホスフィト)ルテニウム、ジクロロ
トリス(トリフェニルホスフィト)ルテニウム等が挙げ
られる。
【0032】一般式[2]において、Mがルテニウムで
あり、Qが塩素であり、Tがトルエン、アセトニトリル
またはテトラヒドロフランであり、Zがトリフェニルホ
スフィンであり、kが0、mが2、pが0、qが3また
は4である有機金属錯体が特に好ましい。
【0033】また、有機アルミニウム化合物の具体例と
しては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアル
ミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルア
ルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルアル
ミニウムモノクロリド、ジ−n−ブチルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムモノブロミド、ジエチルアルミニ
ウムモノイオジド、ジエチルアルミニウムモノヒドリ
ド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミ
ニウムジクロリド等を挙げることができ、特にトリエチ
ルアルミニウムを用いた場合が水素添加率の向上が著し
い。
【0034】これらの有機金属錯体または有機アルミニ
ウム化合物は、それぞれ2種以上任意の割合で併用する
こともできる。
【0035】有機金属錯体または有機アルミニウム化合
物の添加量は、環状オレフィン系単量体の開環メタセシ
ス重合体に対して有機金属錯体は、5〜50000pp
mであり、好ましくは10〜10000ppm、特に好
ましくは50〜1000ppmである。また、有機アル
ミニウム化合物は使用する有機金属錯体に対して、0.
1当量〜1000当量、好ましくは0.5当量〜500
当量、特に好ましくは1〜100当量である。
【0036】本発明に於ける有機金属錯体と有機アルミ
ニウム化合物からなる水素添加触媒は、予め有機金属錯
体と有機アルミニウム化合物を接触処理したものを用い
ても可能であるが、有機金属錯体と有機アルミニウム化
合物を予め接触処理することなく、それぞれ直接反応系
に添加してもよい。
【0037】開環メタセシス重合体の水素添加反応に於
いて用いられる溶媒としては開環メタセシス重合体を溶
解し溶媒自体が水素添加されないものであればどのよう
なものでもよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチ
ルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタンなど
のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチル
ベンゼンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、
ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘ
キサン、デカリンなどの脂肪族環状炭化水素、メチレン
ジクロリド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テト
ラクロロエタン、クロルベンゼン、トリクロルベンゼン
などのハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらは2種
以上混合して使用してもよい。 開環メタセシス重合体
の水素添加反応は、水素圧力が通常、常圧〜30MPa
G、好ましくは0.5〜20MPaG、特に好ましくは
2〜15MPaGの範囲で行われ、その反応温度は、通
常0〜300℃の温度であり、好ましくは室温〜250
℃、特に好ましくは50〜200℃の温度範囲である。
【0038】環状オレフィン系開環メタセシス重合体水
素添加物の製造は、開環メタセシス重合体溶液から開環
メタセシス重合体を単離した後、再度溶媒に溶解しても
可能であるが、単離することなく、上記有機金属錯体と
有機アルミニウム化合物からなる水素添加触媒を加える
ことにより水素添加反応を行う方法を採用することもで
きる。 水素添加反応の終了後、公知の方法により重合
体に残存する水素添加触媒を除去することができる。例
えば、吸着剤による吸着法、良溶媒による溶液に乳酸等
の有機酸と貧溶媒と水とを添加し、この系を常温下或い
は加温下に於いて抽出除去する方法、更には良溶媒によ
る溶液または重合体スラリーを窒素または水素ガスの雰
囲気下でトリメチレンジアミン、アニリン、ピリジン、
エタンジアミド、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物で
接触処理した後に、或いは接触処理と同時に酢酸、クエ
ン酸、安息香酸、塩酸等の酸性化合物を接触処理した
後、洗浄除去する方法等が挙げられる。
【0039】開環メタセシス重合体水素添加物溶液から
重合体水素化物の回収法は特に限定されず、公知の方法
を用いることができる。例えば、撹拌下の貧溶媒中に反
応溶液を排出し重合体水素化物を凝固させ濾過法、遠心
分離法、デカンテーション法等により回収する方法、反
応溶液中にスチームを吹き込んで重合体水素化物を析出
させるスチームストリッピング法、反応溶液から溶媒を
加熱等により直接除去する方法等が挙げられる。
【0040】本発明の水素添加方法を用いると水素添加
率は90%以上が容易に達成でき、95%以上、特に9
9%以上とすることが可能であり、そうして得られる環
状オレフィン系開環メタセシス重合体水素添加物は容易
に酸化されることがなく、優れた環状オレフィン系開環
メタセシス重合体水素添加物となる。
【0041】
【実施例】以下、実施例にて本発明を詳細に説明する
が、本発明がこれらによって限定されるものではない。
【0042】なお、実施例において得られた開環メタセ
シス重合体の物性値は、以下の方法により測定した。
【0043】平均分子量;GPCを使用し、得られた環
状オレフィン系開環メタセシス重合体または該重合体水
素添加物をクロロホルムに溶解し、検出器として日本分
光製830−RIおよびUVIDEC−100−VI、
カラムとしてShodexk−805,804,80
3,802.5を使用し、室温において流量1.0ml
/minでポリスチレンスタンダードによって分子量を
較正した。
【0044】ガラス転移温度;島津製作所製DSC−5
0により、窒素中10℃/分の昇温速度で、3.5mg
の環状オレフィン系開環メタセシス重合体または該重合
体水素添加物の粉末を用いて測定した。
【0045】水素添加率;環状オレフィン系開環メタセ
シス重合体水素添加物の粉末を重水素化クロロホルムに
溶解し、90MHz−NMRを用いてδ=4.5〜6.
0ppmの主鎖の炭素−炭素間二重結合に帰属するピー
クが、水素添加反応によって減少する大きさを算出し
た。
【0046】実施例1 窒素雰囲気下で磁気撹件装置を備えた50mlのフラス
コに8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン(2.0g、10.84mmo
l)を乾燥テトラヒドロフラン(80ml)に溶解し撹
件を行った。これに開環メタセシス重合触蝶としてMo
(N−2,6−C63Pri2)(CHCMe2Ph)
(0But2(60mg、0.108mmol)を加え
室温で1時間反応させた。その後、ベンズアルデヒド
(50.4mg、0.54mmol)を加え30分間撹
件し、反応を停止させた。
【0047】この開環メタセシス重合体溶液にトリメチ
レンジアミン(120mg、1.62mmol)を加
え、窒素雰囲気下で200mlのオートクレーブに移液
を行い水素圧0.5MPaG、60℃で1時間撹拌した
後、メタノール(400ml)中に加えて開環メタセシ
ス重合体を析出させ、濾別分離後真空乾燥して2.00
gの開環メタセシス重合体粉末を得た。
【0048】その後、200mlのオートクレーブにこ
の開環メタセシス重合体粉末2.00gを乾燥テトラヒ
ドロフラン(108ml)に溶解して、水素添加触媒と
して予め調製したジクロロトリス(トリフェニルホスフ
ィン)ルテニウム(1.6mg、0.0017mmo
l)とトリエチルアルミニウム(1.00mg、0.0
085mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(12m
l)溶液を加え、水素圧8.5MPaG、165℃で5
時間水素添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素
ガスを放出した。
【0049】この開環メタセシス重合体水素添加物溶液
を撹拌下のメタノール(400ml)液中に加えて開環
メタセシス重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真
空乾燥を行うことにより白色粉末状の開環メタセシス重
合体水素添加物を得た。得られた開環メタセシス重合体
水素添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は主
鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められ
ず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定し
た重量平均分子量Mwは18390、数平均分子量Mn
は18360、Mw/Mnは1.00であり、DSCで
測定したガラス転移温度は208℃であった。 実施例2 実施例1と同様に開環メタセシス重合を行い、開環メタ
セシス重合体溶液を得た。これに水素添加触媒としてジ
クロロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウ
ム(2.1mg、0.0017mmol)とトリエチル
アルミニウム(1.00mg、0.008mmol)の
乾燥テトラヒドロフラン(12ml)溶液を加え、水素
圧8.5MPaG、165℃で5時間水素添加反応を行
った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した後、ト
リメチレンジアミン(120mg、1.62mmol)
を加え、水素圧0.5MPaG、60℃で1時間撹拌を
行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した。
【0050】この開環メタセシス重合体水素添加物溶液
を撹拌下のメタノール(400ml)液中に加えて開環
メタセシス重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後、
真空乾燥を行うことにより白色粉末状の開環メタセシス
重合体水素添加物を得た。得られた開環メタセシス重合
体水素添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は
主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認めら
れず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定
した重量平均分子量Mwは18290、数平均分子量M
nは18210、Mw/Mnは1.00であり、DSC
で測定したガラス転移温度は208℃であった。
【0051】実施例3 窒素雰囲気下で磁気撹件装置を備えた200mlのフラ
スコに8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン(10.11g、54.60m
mol)及び1,5−ヘキサジエン(0.155g、
1.90mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(18m
l)に溶解し撹件を行った。これに開環メタセシス重合
触蝶としてMo(N−2,6−C63Pri2)(CH
CMe2Ph)(0But2(15mg、0.027m
mol)の乾燥テトラヒドロフラン(10ml)溶液を
加え60℃で8時間反応させた。その後、ベンズアルデ
ヒド(14.00mg、0.13mmol)を加え60
分間撹件し、反応を停止させた。
【0052】この開環メタセシス重合体溶液にトリメチ
レンジアミン(30mg、0.41mmol)を加え、
窒素雰囲気下で200mlのオートクレーブに移液を行
い水素圧0.5MPaG、60℃で13時間撹拌した
後、メタノール(400ml)中に加えて開環メタセシ
ス重合体を析出させ、濾別分離後、真空乾燥して10.
11gの開環メタセシス重合体粉末を得た。
【0053】その後、200mlのオートクレーブにこ
の開環メタセシス重合体粉末1.00gを乾燥テトラヒ
ドロフラン(54ml)に溶解して、水素添加触媒とし
て予め調製したジクロロトリス(トリフェニルホスフィ
ン)ルテニウム(0.8mg、0.0008mmol)
とトリエチルアルミニウム(0.48mg、0.004
2mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(6ml)溶液
を加え、水素圧8.5MPaG、165℃で5時間水素
添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放
出した。
【0054】この開環メタセシス重合体水素添加物溶液
を撹拌下のメタノール(200ml)液中に加えて開環
メタセシス重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後、
真空乾燥を行うことにより白色粉末状の開環メタセシス
重合体水素添加物を得た。得られた開環メタセシス重合
体水素添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は
主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認めら
れず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定
した重量平均分子量Mwは31700、数平均分子量M
nは13800、Mw/Mnは2.30であり、DSC
で測定したガラス転移温度は208℃であった。
【0055】比較例1 実施例1と同様に開環メタセシス重合を行い開環メタセ
シス重合体粉末を得た。 その後、200mlのオート
クレーブにこの開環メタセシス重合体粉末1.00gと
水素添加触媒としてジクロロトリス(トリフェニルホス
フィン)ルテニウム(0.8mg、0.0008mmo
l)を乾燥テトラヒドロフラン(60ml)に溶解し
て、水素圧8.5MPaG、165℃で5時間水素添加
反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出し
た。
【0056】この開環メタセシス重合体水素添加物溶液
を撹拌下のメタノール(200ml)液中に加えて開環
メタセシス重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後、
真空乾燥を行うことにより白色粉末状の開環メタセシス
重合体水素添加物を得た。得られた開環メタセシス重合
体水素添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は
61.8%であり、GPCで測定した重量平均分子量M
wは18310、数平均分子量Mnは18270、Mw
/Mnは1.00であり、DSCで測定したガラス転移
温度は239℃であった。
【0057】
【発明の効果】本発明の環状オレフィン系開環メタセシ
ス重合体水素添加物の製造方法は、効率的に耐熱性の開
環メタセシス重合体水素添加物を与えることができ、工
業的に極めて価値がある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノ環状オレフィンまたは一般式[1] 【化1】 (式中、R1〜R4はそれぞれ同一であっても異なっても
    よく、水素、炭素数1〜12のアルキル基,アリール
    基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、炭素数1
    〜12のハロゲン化アルキル基、ニトリル基、カルボキ
    シル基またはアルコキシカルボニル基から選ばれ、xは
    0〜3の整数を表す。)で表される環状オレフィン系単
    量体の開環メタセシス重合体を、水素の存在下に一般式
    [2] 【化2】MHkmpq [2] (式中、Mはルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリ
    ジウム、パラジウム、白金またはニッケル原子を表し、
    Hは水素原子を表し、Qはハロゲン原子を表し、Tはト
    ルエン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを表
    し、ZはPR′1R′2R′3(Pはリン原子を示し、
    R′1、R′2、R′3はそれぞれ同一もしくは異なる直
    鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アリ
    ール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を示
    す。)で表される有機リン化合物を表し、kは0または
    1、mは1〜3の整数、pは0または1、qは2〜4の
    整数を表す。)で表される有機金属錯体と有機アルミニ
    ウム化合物とからなる水素添加触媒を用いて水素添加す
    ることを特徴とする環状オレフイン系開環メタセシス重
    合体水素添加物の製造方法。
  2. 【請求項2】 Mがルテニウムであり、Qが塩素原子で
    あり、R′1、R′2およびR′3がフェニル基であり、
    kが0、mが2、pが0、qが3である請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 Mがルテニウムであり、Qが塩素原子で
    あり、R′1、R′2およびR′3がフェニル基であり、
    kが0、mが2、pが0、qが4である請求項1記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 有機アルミニウム化合物がトリエチルア
    ルミニウムである請求項1記載の方法。
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