JPH11130844A - 酸分解性重合体及びその製造方法 - Google Patents

酸分解性重合体及びその製造方法

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JPH11130844A
JPH11130844A JP9295824A JP29582497A JPH11130844A JP H11130844 A JPH11130844 A JP H11130844A JP 9295824 A JP9295824 A JP 9295824A JP 29582497 A JP29582497 A JP 29582497A JP H11130844 A JPH11130844 A JP H11130844A
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polymer
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Yoshihiro Yamamoto
喜博 山本
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忠弘 須永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レジスト材として用いられるのに必要な諸物
性を満足し、しかも狭い分子量分布を有する新規な酸分
解性重合体を提供し、かつその製造方法を提供する。 【解決手段】 構造単位として酸分解性基を有し、重量
平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/M
n)が1.0〜2.0であり、かつGPCで測定したポ
リスチレン換算の数平均分子量が500〜100,00
0であることを特徴とする酸分解性重合体であり、エス
テル基を有する環状オレフィン系単量体をリビング開環
メタセシス触媒で重合し、水素添加触媒のもとに水素添
加した後、エステル基の少なくとも一部を加水分解し、
更にビニルエーテル類と反応させることによって製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な酸分解性重
合体に関し、詳しくは、耐熱性、耐熱分解性、光透過性
等に優れた紫外線や遠紫外線(エキシマーレーザー等を
含む)を用いた半導体微細加工用フォトレジストに適し
た新規な酸分解性重合体を提供し、かつそのような重合
体の製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路は集積化が進んで
大規模集積回路(LSI)や超大規模集積回路(VLS
I)が実用化されており、また、これとともに、 集積
回路の最少パターンはサブミクロン領域に及び、今後更
に微細化する傾向にある。微細パターンの形成には、薄
膜を形成した被処理基板上をレジストで被覆し、選択露
光を行って所望パターンの潜像を形成した後に、現像し
てレジストパターンを作り、これをマスクとしてドライ
エッチングを行い、その後にレジストを除去することに
より所望のパターンを得るリソグラフィ技術の使用が必
須である。
【0003】このリソグラフィ技術において使用される
露光光源としてg線(波長436nm)、i線(波長3
65nm)の紫外線光が使用されているが、パターンの
微細化に伴い、より波長の短い遠紫外線光、真空紫外線
光、電子線(EB)、X線などが光源として使用される
ようになってきている。特に最近では、エキシマレーザ
ー(波長248nmのKrFレーザー、波長193nm
のArFレーザー)が露光光源として注目されており、
微細パターンの形成に有効であると期待されている。
【0004】より短波長である真空紫外領域の露光光を
用いてサブミクロンパターンを形成するレジスト材料に
用いられる重合体又は共重合体としては、例えば、エス
テル部にアダマンタン骨格及び酸により脱離する保護基
を有するアクリル酸エステル又はα置換アクリル酸エス
テルの重合体又は共重合体(特開平4−39665号公
報参照)、エステル部にノルボルナン骨格及び酸により
脱離する保護基を有するアクリル酸エステル又はα置換
アクリル酸エステルの重合体又は共重合体(特開平5−
257281号公報参照)、シクロヘキシルマレイミド
の重合体又は共重合体(特開平5−257285号公報
参照)、セルロース骨格を主鎖に含み該主鎖が酸により
開裂を起こす高分子化合物(特開平6−342212号
公報参照)、ポリビニルアルコールまたはポリビニルア
ルコールの誘導体(特開平7−333850号公報参
照)等数多くの重合体及び共重合体が提案されている。
しかしながら、耐ドライエッチング性、遠紫外線に対す
る透明性、レジスト溶剤に対する溶解性、及び剥離剤に
対する溶解性等レジスト材として用いられるのに必要な
諸性質全てを満足し、しかも合成容易な重合体及び共重
合体は未だなく、更なる開発が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、レジスト材
として用いられるのに必要な上記の諸性能全てを満足
し、しかも狭い分子量分布を有する(共)重合体物を提
供し、かつそのような重合体の製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するため種々検討していたところ、環状オレフィ
ン系単量体の開環メタセシス重合体及び開環メタセシス
共重合体の水素添加物が優れた光学特性、電気特性、高
剛性、耐熱性及び耐候性を有する樹脂として注目を集
め、各種の開環メタセシス重合体及び該重合体水素添加
物の製造方法が提案されていることに着目した(例え
ば、特開平1−132625、特開平1−24051
7、特開平5−155988、及び特開平7−1967
79等)。そして、開環メタセシス(共)重合体の水素
添加物についてレジスト材としての可能性を鋭意検討し
たところ、ある新規な開環メタセシス(共)重合体の水
素添加物に酸分解性基を導入し、分子量を調整し、かつ
分子量分布を狭分散性に制御すると、これらレジスト材
としての諸性能を満足することを見出し、本発明を完成
するに至った。即ち、本発明は、一般式(1)
【0007】
【化5】 (式中、R1は酸により分解する基であり、R2〜R4
それぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン、
ハロゲン化アルキル、またはニトリルから選ばれ、mは
0または1〜3の整数、xは0または1を表す。) または、一般式(2)
【0008】
【化6】 (式中、R1,R5はそれぞれ酸により分解する基であ
り、R2,R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキ
ル、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、またはニトリルか
ら選ばれ、mは0または1〜3の整数、x,yはそれぞ
れ0または1を表す。)で表される構造単位を有し、重
量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/M
n)が1.0〜2.0であり、かつGPCで測定したポ
リスチレン換算の数平均分子量が500〜100,00
0であることを特徴とする酸分解性重合体である。ま
た、本発明は、一般式(3)
【0009】
【化7】 (式中、R6は炭素数1〜20のアルキルであり、R2
4はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロ
ゲン、ハロゲン化アルキル、またはニトリルから選ば
れ、mは0または1〜3の整数、xは0または1を表
す。) または一般式(4)
【0010】
【化8】 (式中、R6,R6は炭素数1〜20のアルキルであり、
2,R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル、
ハロゲン、ハロゲン化アルキル、またはニトリルから選
ばれ、mは0または1〜3の整数、x,yはそれぞれ0
または1を表す。)で表されるエステル基を有する環状
オレフィン系単量体をリビング開環メタセシス触媒で重
合し、水素添加触媒のもとに水素添加した後、エステル
基の少なくとも一部を加水分解し、更にビニルエーテル
類と反応させることを特徴とする、一般式(1)または
一般式(2)で表される構造単位を有し、重量平均分子
量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.
0〜2.0であり、かつGPCで測定したポリスチレン
換算の数平均分子量が500〜100,000であるこ
とを特徴とする酸分解性重合体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における酸分解性重合体と
は、一般式(1)または一般式(2)の如く構造単位と
して酸分解性基を有する重合体であり、単独重合体で
も、または他の構造単位との共重合体であっても構わな
い。酸分解性基とは、酸により分解し、カルボン酸を遊
離する基であり、例えば、2−テトラヒドロピラニル、
4−メトキシ−2−テトラヒドロピラニル、2−テトラ
ヒドロフラニル等の環状エーテル化合物、1−エトキシ
エチル、1−イソプロピルエチル、メトキシメチル、1
−tert−ブトキシエチル等の非環状のアルコキシアルキ
ル基、または、tert−ブチルなどの3級アルキル基等が
挙げられる。これらのうち、環状エーテル化合物や非環
状のアルコキシアルコキシ基のようなアルコキシアルキ
ル基が好ましく、より好ましくは、2−テトラヒドロピ
ラニル、2−テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチ
ル、1−tert−ブトキシエチルが挙げられる。
【0012】本発明における酸分解性重合体の分子量
は、GPCで測定したポリスチレン換算での数平均分子
量Mnが500〜100,000である。好ましくは、
1,000〜50,000であり、特に、好ましくは
3,000〜20,000である。また、重量平均分子
量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)は1.
0〜2.0の狭い分子量分布の範囲に制限される。好ま
しくは1.0〜1.8、更に好ましくは1.0〜1.6
の範囲である。この範囲の分子量と狭い分子量分布は、
レジスト材として要求される高解像度及び高現像性を実
現するために極めて重要である。更には、レジスト材を
2−ヘプタノン、乳酸エチル及びプロピレングリコール
モノメチルエーテルアセテートなどの極性溶媒に溶解さ
せ、シリコンウェハーに回転塗布機で塗布する工程にお
いて、均一な平滑コーティング膜を形成する上でも重要
なことである。
【0013】本発明の方法では、まず、一般式(3)ま
たは一般式(4)で表されるエステル基を有する環状オ
レフィン系単量体をリビング開環メタセシス触媒で重合
する。
【0014】本発明においてリビング開環メタセシス触
媒で重合する一般式(3)または一般式(4)で表され
る環状オレフィン系単量体としては、mが0であるビシ
クロヘプトエンの誘導体、mが1であるテトラシクロド
デセンの誘導体、mが2であるヘキサシクロヘプタデセ
ンの誘導体、mが3であるオクタシクロドコセンの誘導
体等が挙げられる。また、R5は、例えば、メチル、エ
チル、イソプロピル、n−プロピル、tert−ブチル、イ
ソブチル、n−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチ
ルまたはベンジル等の炭素数1〜20のアルキルであ
り、好ましくは、メチル、エチルまたはtert−ブチルで
ある。また、R2〜R4は、それぞれ水素、メチル、エチ
ル、イソプロピル、n−プロピル、tert−ブチル、イソ
ブチル、n−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル
またはベンジル等の炭素数1〜20のアルキル、塩素ま
たはフッ素等のハロゲン、トリフルオロメチルまたはト
リクロロメチル等のハロゲン化アルキル、またはニトリ
ルから選ばれ、好ましくは、水素またはアルキルであ
る。
【0015】一般式(3)または一般式(4)の具体例
としては、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキ
シカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5−メトキシカルボニル−5−メチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボ
ニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−tert−ブトキシカルボニル−5−メチルビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメト
キシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、5,6−ジエトキシカルボニルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5,6−ジtert−ブトキシカル
ボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
メトキシカルボニル−6−メチルビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−6−
メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
tert−ブトキシカルボニル−6−メチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニル−
6−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニル−6−シアノビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボ
ニル−6−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−tert−ブトキシカルボニル−6−メトキシカ
ルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5
−メトキシカルボニルメチルビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エン、5−エトキシカルボニルメチルビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキ
シカルボニルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−tert−ブトキシカルボニル−6−メトキシ
カルボニルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン、5−tert−ブトキシカルボニル−6−tert−ブキ
シカルボニルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、5−メトキシカルボニル−6−tert−ブトキシ
カルボニルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エン等のビシクロヘプトエン類、
【0016】または、8−メトキシカルボニルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−tert−ブトキシカ
ルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−メトキシカルボニル−8−メチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、8−エトキシカルボニル−8−メチルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−tert−ブトキシカルボニル−8−メチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジメトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジエト
キシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8,9−ジtert−ブトキシカル
ボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、8−メトキシカルボニル−9−メチルテ
トラシクロ[4.4.0.12, 5.17,10]−3−ドデ
セン、8−エトキシカルボニル−9−メチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8
−tert−ブトキシカルボニル−9−メチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
メトキシカルボニル−9−シアノテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17 ,10]−3−ドデセン、8−エトキ
シカルボニル−9−シアノテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−tert−ブトキシ
カルボニル−9−シアノテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−tert−ブトキシカ
ルボニル−9−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキ
シカルボニルメチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボ
ニルメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−tert−ブトキシカルボニ
ルメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−tert−ブトキシカルボニル−9−
メトキシカルボニルメチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−tert−ブトキシ
カルボニル−9−tert−ブキシカルボニルメチルテトラ
シクロ[4.4.0.1 2,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−メトキシカルボニル−9−tert−ブトキシカル
ボニルメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン等のテトラシクロドデセン類、
【0017】または、11−メトキシカルボニルヘキサ
シクロ[6.6.1.13,6.110, 13.02,7
9,14]−4−ヘプタデセン、11−エトキシカルボニ
ルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−tert−ブ
トキシカルボニルヘキサシクロ[6.6.1.13,6
10,13.0 2,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−
メトキシカルボニル−11−メチルヘキサシクロ[6.
6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプ
タデセン、11−エトキシカルボニル−11−メチルヘ
キサシクロ[6.6.1.1 3,6.110,13.02,7.0
9,14]−4−ヘプタデセン、11−tert−ブトキシカル
ボニル−11−メチルヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、
11,12−ジメトキシカルボニルヘキサシクロ[6.
6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプ
タデセン、11,12−ジエトキシカルボニルヘキサシ
クロ[6.6.1.13,6.110,13.02, 7.09,14
−4−ヘプタデセン、11,12−ジtert−ブトキシカ
ルボニルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−メトキシ
カルボニル−12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.
3, 6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセ
ン、11−エトキシカルボニル−12−メチルヘキサシ
クロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14
−4−ヘプタデセン、11−tert−ブトキシカルボニル
−12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−メ
トキシカルボニル−12−シアノヘキサシクロ[6.
6.1.13,6.11 0,13.02,7.09,14]−4−ヘプ
タデセン、11−エトキシカルボニル−12−シアノヘ
キサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.0
9,14]−4−ヘプタデセン、11−tert−ブトキシカル
ボニル−12−シアノヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、
11−tert−ブトキシカルボニル−12−メトキシカル
ボニルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.0
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−メトキシカ
ルボニルメチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1
10,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、11−エ
トキシカルボニルメチルヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、
11−tert−ブトキシカルボニルメチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、11−tert−ブトキシカル
ボニル−12−メトキシカルボニルメチルヘキサシクロ
[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4
−ヘプタデセン、11−tert−ブトキシカルボニル−1
2−tert−ブキシカルボニルメチルヘキサシクロ[6.
6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプ
タデセン、11−メトキシカルボニル−12−tert−ブ
トキシカルボニルメチルヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン等
のヘキサシクロヘプタデセン類、
【0018】または、14−メトキシカルボニルオクタ
シクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−エ
トキシカルボニル、オクタシクロ[8.8.0.
2,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−
5−ドコセン、14−tert−ブトキシカルボニルオクタ
シクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−メ
トキシカルボニル−14−メチルオクタシクロ[8.
8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.0
12,17]−5−ドコセン、14−エトキシカルボニル−
14−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9
4,7.111,1 8.113,16.03,8.012,17]−5−ド
コセン、14−tert−ブトキシカルボニル−14−メチ
ルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、
14,15−ジメトキシカルボニルオクタシクロ[8.
8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.0
12,17]−5−ドコセン、14,15−ジエトキシカル
ボニルオクタシクロ[8.8.0.1 2,9.14,7.1
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、1
4,15−ジtert−ブトキシカルボニルオクタシクロ
[8.8.0.12,9.14,7.111 ,18.113,16.0
3,8.012,17]−5−ドコセン、14−メトキシカルボ
ニル−15−メチルオクタシクロ[8.8.0.
2,9.14,7.111,18.113,16.0 3,8.012,17]−
5−ドコセン、14−エトキシカルボニル−15−メチ
ルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、
14−tert−ブトキシカルボニル−15−メチルオクタ
シクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−メ
トキシカルボニル−15−シアノオクタシクロ[8.
8.0.12, 9.14,7.111,18.113,16.03,8.0
12,17]−5−ドコセン、14−エトキシカルボニル−
15−シアノオクタシクロ[8.8.0.12,9
4,7.111,1 8.113,16.03,8.012,17]−5−ド
コセン、14−tert−ブトキシカルボニル−15−シア
ノオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、
14−tert−ブトキシカルボニル−15−メトキシカル
ボニルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.113, 16.03,8.012,17]−5−ドコセン、1
4−メトキシカルボニルメチルオクタシクロ[8.8.
0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8
12,17]−5−ドコセン、14−エトキシカルボニル
メチルオクタシクロ[8.8.0.12, 9.14,7.1
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、1
4−tert−ブトキシカルボニルメチルオクタシクロ
[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.0
3,8.012,17]−5−ドコセン、14−tert−ブトキシ
カルボニル−15−メトキシカルボニルメチルオクタシ
クロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16
3,8.012,17]−5−ドコセン、14−tert−ブトキ
シカルボニル−15−tert−ブキシカルボニルメチルオ
クタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.1
13,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、14−メト
キシカルボニル−15−tert−ブトキシカルボニルメチ
ルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン等
のオクタシクロドコセン類を挙げることができる。
【0019】これらの環状オレフィン単量体は、単独で
もまたは2種以上を同時に用いてランダムな共重合体と
しても、または、続けて用いてブロック共重合体として
もよい。
【0020】また、本発明の方法においては、一般式
(3)または一般式(4)で表される環状オレフィン系
単量体と共に、リビング開環メタセシス触媒で重合する
他の環状オレフィン単量体を用いて共重合しても良い。
そのような他の環状オレフィン単量体としては、例え
ば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メ
チルビシク[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチ
ルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロ
ロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブロ
モビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチ
ル−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エ
ン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3
−ジカルボン酸無水物等のビシクロヘプトエン誘導体、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ
[4.4.0.12 ,5.17,10]−3−ドデセン、8−
メチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17, 10]−8−ドデセン−3,4−ジ
カルボン酸無水物等のテトラシクロドデセン誘導体、ヘ
キサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4
−ヘプタデセン、11−メチルヘキサシクロ[6.6.
1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデ
セン、11−エチルヘキサシクロ[6.6.1.
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセ
ン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.1 10,13.0
2,7.09,14]−11−ヘプタテ゜セン−4,5−ジカ
ルボン酸無水物、等のヘキサシクロヘプタデセン誘導
体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、1
4−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、
14−エチルオクタシクロ[8.8.0.12,9
4,7.111 ,18.113,16.03,8.012,17]−5−ド
コセン、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.113,16.03,8.012,17]−14−ドコセン−
5,6−ジカルボン酸無水物等のオクタシクロドコセン
誘導体、またはシクロブテン、シクロペンテン、シクロ
ヘプテン、シクロオクテン等のシクロオレフィン類等を
挙げることができる。
【0021】また、本発明の方法において使用される重
合触媒としては、リビング開環メタセシス重合する触媒
であればどのようなものでもよいが、開環メタセシス触
媒の具体例としては、W(N−2,6−C63Pri 2
(CHBut)(OBut2、W(N−2,6−C63
Pri 2)(CHBut)(OCMe2CF32、W(N−
2,6−C63Pri 2)(CHBut)(OCMe2(C
322、W(N−2,6−C63Pri 2)(CHC
Me2Ph)(OBut2、W(N−2,6−C63
i 2)(CHCMe2Ph)(OCMe2CF32、W
(N−2,6−C 63Pri 2)(CHCMe2Ph)
(OCMe2(CF322、(式中のPriはiso−
プロピル基、Butはtert−ブチル基、Meはメチ
ル基、Phはフェニル基を表す。)等のタングステン系
アルキリデン触媒、W(N−2,6−Me263
(CHCHCMePh)(O−But2(PMe3)、
W(N−2,6−Me263)(CHCHCMe2
(O−But2(PMe3)、W(N−2,6−Me2
63)(CHCHCPh2)(O−But2(PM
3)、W(N−2,6−Me263)(CHCHCM
ePh)(OCMe2(CF3))2(PMe3)、W(N
−2,6−Me263)(CHCHCMe2)(OCM
2(CF3))2(PMe3)、W(N−2,6−Me2
63)(CHCHCPh2)(OCMe2(CF3))2
(PMe3)、W(N−2,6−Me263)(CHC
HCMe2)(OCMe(CF322(PMe3)、W
(N−2,6−Me2 63)(CHCHCMe2)(O
CMe(CF322(PMe3)、W(N−2,6−M
263)(CHCHCPh2)(OCMe(C
322(PMe3)、W(N−2,6−Pri 2
63)(CHCHCMePh)(OCMe2(CF3))
2(PMe3)、W(N−2,6−Pri 263)(CH
CHCMePh)(OCMe(CF322(PM
3)、W(N−2,6−Pri 263)(CHCHC
MePh)(OPh)2(PMe3)、(式中のPri
iso−プロピル基、Butはtert−ブチル基、M
eはメチル基、Phはフェニル基を表す。)等のタング
ステン系アルキリデン触媒、Mo(N−2,6−Pri 2
63)(CHBut)(OBut2、Mo(N−2,
6−Pri 263)(CHBut)(OCMe2
32、Mo(N−2,6−Pri 263)(CHBu
t)(OCMe(CF322、Mo(N−2,6−Pr
i 263)(CHCMe2Ph)(OBut2、Mo
(N−2,6−Pri 263)(CHCMe2Ph)
(OCMe2CF32、Mo(N−2,6−Pri 26
3)(CHCMe2Ph)(OCMe(CF322
(式中のPriはiso−プロピル基、Butはtert
−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表
す。)等のモリブデン系アルキリデン触媒、Re(CB
t)(CHBut)(O−2,6−Pri 2632
Re(CBut)(CHBut)(O−2−But
642、Re(CBut)(CHBut)(OCMe2
32、Re(CBut)(CHBut)(OCMe(C
322、Re(CBut)(CHBut)(O−2,
6−MeC632、(式中のButはtert−ブチル
基を表す。)等のレニウム系アルキリデン触媒、Ta
[C(Me)C(Me)CHMe3](O−2,6−P
i 2633Py、Ta[C(Ph)C(Ph)CH
Me3](O−2,6−Pri 2633Py、(式中の
Meはメチル基、Phはフェニル基、Pyはピリジン基
を表す。)等のタンタル系アルキリデン触媒、Ru(C
HCHCPh2)(PPh32Cl2、Ru(CHCHC
Ph2)(P(C61132Cl2(式中のPhはフェ
ニル基を表す。)等のルテニウム系アルキリデン触媒や
チタナシクロブタン触媒が挙げられる。上記開環メタセ
シス触媒は、単独にまたは2種以上混合してもよい。
【0022】また、上記の他に、有機遷移金属錯体と助
触媒としてのルイス酸との組合せによるリビング開環メ
タセシス触媒系、例えぱ、モリブデン、タングステン等
の遷移金属ハロゲン錯体と助触媒として有機アルミニウ
ム化合物、有機錫化合物またはリチウム、ナトリウム、
マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ホウ素等の有機金属
化合物とから成る開環メタセシス触媒を用いることもで
きる。
【0023】有機遷移金属ハロゲン錯体の具体例として
は、W(N−2,6−C63Pri 2)(thf)(OB
t2Cl2、W(N−2,6−C63Pri 2)(th
f)(OCMe2CF32Cl2、W(N−2,6−C6
3Pri 2)(thf)(OCMe2(CF322
2、W(N−2,6−C63Pri 2)(thf)(O
But2Cl2、W(N−2,6−C63Pri 2)(t
hf)(OCMe2CF32Cl2、W(N−2,6−C
63Pri 2)(thf)(OCMe2(CF322Cl
2、(式中のPriはiso−プロピル基、Butはte
rt−ブチル基、Meはメチル基、Phはフェニル基、
thfはテトラヒドロフランを表す。)等のタングステ
ン系ハロゲン錯体と下記有機金属化合物の組み合わせか
らなる触媒、またはMo(N−2,6−Pri 263
(thf)(OBut2Cl2、Mo(N−2,6−P
i 263)(thf)(OCMe2CF32Cl2、M
o(N−2,6−Pri 263)(thf)(OCMe
(CF322Cl2、Mo(N−2,6−Pri 2
63)(thf)(OBut2Cl2、Mo(N−2,
6−Pri 263)(thf)(OCMe2CF32
2、Mo(N−2,6−Pr i 263)(thf)
(OCMe(CF322Cl2、(式中のPriはis
o−プロピル基、Butはtert−ブチル基、Meは
メチル基、Phはフェニル基、thfはテトラヒドロフ
ランを表す。)等のモリブデン系ハロゲン錯体と下記有
機金属化合物の組み合わせからなる触媒が挙げられる。
【0024】また、助触媒としての有機金属化合物の具
体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルア
ルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシ
ルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェ
ニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチ
ルアルミニウムモノクロリド、ジ−n−ブチルアルミニ
ウム、ジエチルアルミニウムモノブロミド、ジエチルア
ルミニウムモノイオジド、ジエチルアルミニウムモノヒ
ドリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルア
ルミニウムジクロリド等の有機アルミニウム化合物、テ
トラメチル錫、ジエチルジメチル錫、テトラエチル錫、
ジブチルジエチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル
錫、トリオクチル錫フルオリド、トリオクチル錫クロリ
ド、トリオクチル錫ブロミド、トリオクチル錫イオジ
ド、ジブチル錫ジフルオリド、ジブチル錫ジクロリド、
ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジイオジド、ブチル
錫トリフルオリド、ブチル錫トリクロリド、ブチル錫ト
リブロミド、ブチル錫トリイオジド等の有機錫化合物、
n−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物、n−ペン
チルナトリウム等の有機ナトリウム化合物、メチルマグ
ネシウムイオジド、エチルマグネシウムブロミド、メチ
ルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウムブ
ロミド、t―ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグ
ネシウムクロリド等の有機マグネシウム化合物、ジエチ
ル亜鉛等の有機亜鉛化合物、ジエチルカドミウム等の有
機カドミウム化合物、トリメチルホウ素、トリエチルホ
ウ素、トリ−n−ブチルホウ素等の有機ホウ素化合物等
が挙げられる。
【0025】本発明のリビング開環メタセシス重合にお
いて環状オレフィン系単量体と開環メタセシス触媒のモ
ル比は、タングステン、モリブデン、レニウム、タンタ
ル、またはルテニウム等の遷移金属アルキリデン触媒や
チタナシクロブタン触媒の場合は、環状オレフィン系単
量体が遷移金属アルキリデン錯体に対してモル比で2〜
10000であり、好ましくは10〜5000である。
また、有機遷移金属ハロゲン錯体と有機金属化合物から
成る開環メタセシス触媒の場合、環状オレフィン系単量
体が有機遷移金属ハロゲン錯体に対してモル比で2〜1
0000、好ましくは10〜5000であり、助触媒と
しての有機金属化合物が有機遷移金属ハロゲン錯体に対
してモル比で0.1〜10、好ましくは1〜5となる範
囲である。
【0026】また、本発明の開環メタセシス重合は無溶
媒でも溶媒を使用して良いが、特に使用する溶媒として
は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチル
エーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル
類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等
の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の
脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリ
ン等の脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロライド、ジ
クロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタ
ン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン
化炭化水素等が挙げられ、これらの2種類以上を混合使
用しても良い。
【0027】また、本発明において触媒効率を高めるた
めに連鎖移動剤として用いられるオレフィンとしては、
例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘ
キセン、オクテン等のα−オレフィンが挙げられ、さら
に、ビニルトリメチルシラン、アリルトリメチルシラ
ン、アリルトリエチルシラン、アリルトリイソプロピル
シラン等のケイ素含有オレフィンが挙げられ、また、ジ
エンとしては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサ
ジエン、1,6−ヘプタジエン等の非共役系ジエンが挙
げられる。さらに、これらオレフィンまたはジエンはそ
れぞれ単独または2種類以上を併用しても良い。
【0028】本発明において共存させるオレフィンまた
はジエンの使用量は、オレフィンまたはジエンが環状オ
レフィン系単量体に対して0.001〜1000、好ま
しくは0.01〜100の範囲である。また、オレフィ
ンまたはジエンが遷移金属アルキリデン錯体のアルキリ
デンの1当量に対して0.1〜1000、好ましくは1
〜500の範囲である。
【0029】開環メタセシス重合では、単量体の反応性
および重合溶媒ヘの溶解性によっても異なるが、単量体
/開環メタセシス触媒と溶媒の濃度は0.1〜100m
ol/Lの範囲が好ましく、通常零下30〜150℃の
反応温度で1分〜10時間反応させ、ブチルアルデヒド
等のアルデヒド類、アセトン等のケトン類、メタノール
等のアルコール類等の失活剤で反応を停止し、開環メタ
セシス重合体溶液を得ることができる。
【0030】本発明において、リビング開環メタセシス
重合によって得られる重合体は、開環メタセシス重合が
リビング重合反応であるため、単量体と触媒のモル比を
制御することによって、所望の分子量の重合体を得るこ
とができる。また、連鎖移動剤としてオレフィンまたは
ジエンの存在下でリビング開環メタセシス重合を行うこ
とでリビング重合反応を保ちながら、単量体と連鎖移動
剤と触媒のモル比を制御することによっても、所望の分
子量の重合体を得ることができる。このリビング重合で
得られた分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算
での数平均分子量Mnが500〜100,000であ
る。好ましくは、1,000〜50,000であり、特
に、好ましくは3,000〜20,000である。ま
た、単量体及び連鎖移動剤の性質によって多少の差異は
あるものの重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの
比(Mw/Mn)が1.0〜2.0の狭い分子量分布の
範囲に制御される。好ましくは1.0〜1.8、更に好
ましくは1.0〜1.6の範囲である。この範囲の分子
量と狭い分子量分布は、レジスト材として要求される高
解像度及び高現像性を実現するために極めて重要であ
る。更には、レジスト材を溶媒に溶解させ、シリコンウ
ェハーに回転塗布機で塗布する工程において、均一な平
滑コーティング膜を形成する上でも重要なことである。
従って、分子量及び分子量分布を決めるメタセシス重合
をリビング重合で行うことは、その後に重合体の主鎖部
分のオレフィンを水素添加し、次いで官能基を部分的に
加水分解して得られる(共)重合体のレジスト材として
の機能を発現する上で極めて重要である。
【0031】本発明の方法では、環状オレフィン系単量
体をリビング開環メタセシス触媒で重合した後、水素添
加触媒のもとに水素添加する。このような水素添加触媒
としては、公知の水素添加触媒を使用することができ
る。具体例として不均一系触媒ではパラジウム、白金、
ニッケル、ロジウム、ルテニウム等の金属をカーボン、
シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、ケイソウ
土、合成ゼオライト等の担体に担持させた担持型金属触
媒、または均一系触媒では、ナフテン酸ニッケル/トリ
エチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/
トリイソブチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n
−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルア
ルミニウムクロリド、酢酸ロジウム、ジクロロビス(ト
リフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(ト
リフェニルホスフィン)ロジウム、ジヒドリドテトラキ
ス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げら
れ、さらに、均一系触媒として水素の存在下に下記一般
式(5)
【0032】
【化9】MHkhpq (5) (式中、Mはルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリ
ジウム、パラジウム、白金またはニッケルを表し、Hは
水素を表し、Qはハロゲンを表し、TはCO、NO、ト
ルエン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランを表
し、ZはPR´1R´2R´3(Pはリンを示し、R´1
R´2、R´3はそれぞれ同一もしくは異なる直鎖、分岐
または環状のアルキル、アルケニル、アリール、アルコ
キシまたはアリロキシを示す。)で表せる有機リン化合
物を表し、kは0または1の整数、hは1〜3の整数、
pは0または1の整数、qは2〜4の整数を表す。)で
表わされる有機金属錯体とアミン化合物からなる水素添
加触媒を用いて水素添加することもできる。
【0033】一般式(4)おけるQは、ハロゲン原子を
表し具体例として、塩素、フッ素、臭素または沃素原子
を例示できる。更に、TはCO、NO、トルエン、アセ
トニトリルまたはテトラヒドロフランを表し、Zは有機
リン化合物を表し具体例として、トリメチルホスフィ
ン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィ
ン、トリn−プロピルホスフィン、トリt−ブチルホス
フィン、トリイソブチルホスフィン、トリn−ブチルホ
スフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニ
ルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチル
フェニルホスフィン、トリo−トリルホスフィン、トリ
m−トリルホスフィン、トリp−トリルホスフィン、ジ
エチルフェニルホスフィン、ジクロロ(エチル)ホスフ
ィン、ジクロロ(フェニル)ホスフィン、クロロジフェ
ニルホスフィン、トリメチルホスフィト、トリイソプロ
ピルホスフィト、トリフェニルホスフィトを例示でき
る。
【0034】一般式(4)で表せる有機金属錯体の具体
例としては、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)
ニッケル、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白
金、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウ
ム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)オスミ
ウム、ジクロロヒドリドビス(トリフェニルホスフィ
ン)イリジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフ
ィン)ルテニウム、ジクロロテトラキス(トリフェニル
ホスフィン)ルテニウム、トリクロロニトロシルビス
(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロビス
(アセトニトリル)ビス(トリフェニルホスフィン)ル
テニウム、ジクロロビス(テトラヒドロフラン)ビス
(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドリ
ド(トルエン)トリス(トリフェニルホスフィン)ルテ
ニウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニ
ルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドリドカルボニル
トリス(ジエチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ク
ロロヒドリドニトロシルトリス(トリフェニルホスフィ
ン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリメチルホスフィ
ン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリエチルホスフィ
ン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリシクロヘキシル
ホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニ
ルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリメチ
ルジフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス
(トリジメチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ジク
ロロトリス(トリo−トリルホスフィン)ルテニウム、
ジクロロトリス(ジクロロエチルホスフィン)ルテニウ
ム、ジクロロトリス(ジクロロフェニルホスフィン)ル
テニウム、ジクロロトリス(トリメチルホスフィト)ル
テニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィト)
ルテニウム等が挙げられる。
【0035】また、アミン化合物の具体例としては、メ
チルアミン、エチルアミン、アニリン、エチレンジアミ
ン、1,3−ジアミノシクロブタン等の一級アミン化合
物、ジメチルアミン、メチルイソプロピルアミン、N−
メチルアニリン等の二級アミン化合物、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、N,N−
ジメチルアニリン、ピリジン、γ−ピコリン等の三級ア
ミン化合物等を挙げることができ、特にトリエチルアミ
ンを用いた場合が水素添加率の向上が著しい。これらの
有機金属錯体またはアミン化合物は、それぞれ2種以上
任意の割合で併用することもできる。
【0036】本発明における開環メタセシス(共)重合
体を水素添加する公知の水素添加触媒を使用する場合、
開環メタセシス重合体と水素添加触媒の使用量は、公知
の水素添加触媒が開環メタセシス重合体に対して5〜5
0000ppmであり、好ましくは100〜1000p
pmである。また、有機金属錯体とアミン化合物からな
る水素添加触媒を使用する場合は、有機金属錯体が開環
メタセシス重合体に対して5〜50000ppmであ
り、好ましくは10〜10000ppm、特に好ましく
は50〜1000ppmである。また、アミン化合物は
使用する有機金属錯体に対して、0.1〜1000当
量、好ましくは0.5〜500当量、特に好ましくは1
〜100当量である。
【0037】有機金属錯体とアミン化合物からなる水素
添加触媒は、予め有機金属錯体とアミン化合物を接触処
理したものを用いても可能であるが、有機金属錯体とア
ミン化合物を予め接触処理することなく、それぞれ直接
反応系に添加してもよい。開環メタセシス重合体の水素
添加反応に於いて用いられる溶媒としては開環メタセシ
ス重合体を溶解し溶媒自体が水素添加されないものであ
ればどのようなものでもよく、例えば、テトラヒドロフ
ラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキ
シエタンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロ
ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジ
メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族環状炭化
水素、メチレンジクロリド、ジクロロエタン、ジクロロ
エチレン、テトラクロロエタン、クロルベンゼン、トリ
クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素等が挙げら
れ、これらは2種以上混合して使用してもよい。
【0038】開環メタセシス重合体の水素添加反応は、
水素圧力が通常、常圧〜30MPa、好ましくは0.5
〜20MPa、特に好ましくは2〜15MPaの範囲で
行われ、その反応温度は、通常0〜300℃の温度であ
り、好ましくは室温〜250℃、特に好ましくは50〜
200℃の温度範囲である。
【0039】本発明における開環メタセシス重合体水素
添加物の製造は、開環メタセシス重合体溶液から開環メ
タセシス重合体を単離した後再度溶媒に溶解しても可能
であるが、単離することなく、上記有機金属錯体とアミ
ン化合物からなる水素添加触媒を加えることにより水素
添加反応を行う方法を採用することもできる。
【0040】開環メタセシス重合または水素添加反応の
終了後、公知の方法により重合体に残存する開環メタセ
シス触媒または水素添加触媒を除去することができる。
例えば、濾過、吸着剤による吸着法、良溶媒による溶液
に乳酸等の有機酸と貧溶媒と水とを添加し、この系を常
温下或いは加温下に於いて抽出除去する方法、更には良
溶媒による溶液または重合体スラリーを塩基性化合物と
酸性化合物で接触処理した後、洗浄除去する方法等が挙
げられる。
【0041】開環メタセシス重合体水素添加物溶液から
重合体水素化物の回収法は特に限定されず、公知の方法
を用いることができる。例えば、攪拌下の貧溶媒中に反
応溶液を排出し重合体水素化物を凝固させ濾過法、遠心
分離法、デカンテーション法等により回収する方法、反
応溶液中にスチームを吹き込んで重合体水素化物を析出
させるスチームストリッピング法、反応溶液から溶媒を
加熱等により直接除去する方法等が挙げられる。
【0042】本発明における水素添加方法を用いると水
素添加率は90%以上が容易に達成でき、95%以上、
特に99%以上とすることが可能であり、そうして得ら
れる環状オレフィン系開環メタセシス重合体水素添加物
は容易に酸化されることがなく、優れた開環メタセシス
重合体の水素添加物となる。
【0043】本発明において開環メタセシス重合体を水
素添加し、開環メタセシス重合体の水素添加物とした後
に、エステル基の少なくとも一部を加水分解し、重合体
の構造単位の全部または一部をカルボン酸に変換する。
この加水分解反応は、硫酸、塩酸、硝酸、トルエンスル
ホン酸、トリフルオロ酢酸または酢酸等の酸性触媒存在
下で行う酸性分解、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化バリウム等のアルカリ性触媒存在下で行うア
ルカリ性分解、または酸、アルカリに代えて酢酸ナトリ
ウム、ヨウ化リチウム等を用いる中性分解のいずれで行
っても良い。
【0044】本発明における加水分解反応は、水溶媒で
も有機溶媒でも使用することができるが、特に使用する
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロ
パノールまたはtert−ブタノール等のアルコール類、ア
セトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジエチルエ
ーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキ
サン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、酢
酸等のカルボン酸、ニトロメタン等のニトロ化合物、ピ
リジン、ルチジン等のピリジン類、ジメチルホルムアミ
ド等のホルムアミド類などが挙げられ、水またはアルコ
ール類と混合しても良い。更に、これらの2種類以上を
混合使用しても良い。反応温度は、通常0〜300℃の
温度であり、好ましくは室温〜250℃の温度範囲であ
る。
【0045】また、酸性またはアルカリ性加水分解の後
にアルカリまたは酸で適宜、中和処理しても良い。加水
分解の後、開環メタセシス重合体の水素添加物溶液また
はスラリーからの重合体の回収法は特に限定されず、公
知の方法を用いることができる。例えば、溶液の場合、
攪拌下の貧溶媒中に反応溶液を排出し重合体水素化物を
沈殿させスラリーとし、濾過法、遠心分離法、デカンテ
ーション法等により回収する方法、反応溶液にスチーム
を吹き込んで重合体を析出させるスチームストリッピン
グ法、反応溶液から溶媒を加熱等により直接除去する方
法等が挙げられ、スラリーの場合、そのまま濾過法、遠
心分離法、デカンテーション法等により回収する方法等
が挙げられる。
【0046】本発明の方法では、このように加水分解し
て得られた重合体をビニルエーテル類と反応させる。ビ
ニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテ
ル、iso−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニル
エーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチル
ビニルエーテル、iso−オクチルビニルエーテル、デシ
ルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、シクロヘ
キシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエー
テル、tert−ペンチルビニルエーテル、オクタデシルビ
ニルエーテル、セシルビニルエーテル、2−メトキシエ
チルビニルエーテル、ビニル−2−(2−エトキシエト
キシ)エチルエーテル、エチレングリコールブチルビニ
ルエーテル、またはtert−アミルビニルエーテルな
どのアルコキシ置換または無置換のアルキルビニルエー
テル類、または、2,3−ジヒドロフラン、2,3−ジ
ヒドロピラン等の不飽和環状エーテル化合物等が挙げら
れる。これらのうち、メチルビニルエーテル、エチルビ
ニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、iso−プ
ロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、se
c−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテ
ル、2,3−ジヒドロフラン、または2,3−ジヒドロ
ピランが好ましく、更に好ましくは、エチルビニルエー
テル、n−プロピルビニルエーテル、iso−プロピルビ
ニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチ
ルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2,
3−ジヒドロフラン、または2,3−ジヒドロピランで
あり、最も好ましくは、エチルビニルエーテル、tert−
ブチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、また
は2,3−ジヒドロピランである。これらのビニルエー
テル類の使用量は、重合体中に含まれるカルボン酸成分
1モルに対して通常50モル以下であり、好ましくは
0.1ないし10モルの範囲であり、更に好ましくは
0.5ないし5モルの範囲である。
【0047】ビニルエーテル類と反応させる際、触媒と
して酸を用いるのが好ましい。これに用いる酸として
は、例えば、塩化水素ガス等のハロゲン化水素、硫酸、
リン酸、塩酸、もしくは臭化水素酸等の鉱酸、ヘテロポ
リ酸もしくはナフィオン等の固体酸、または、p−トル
エンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン
酸、マロン酸、シュウ酸、クロルスルホン酸・ピリジン
塩、硫酸・ピリジン塩もしくはp−トルエンスルホン酸
・ピリジン塩等の有機酸が挙げられ、これらのうち、塩
化水素ガス、塩酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンス
ルホン酸・ピリジン塩、または硫酸・ピリジン塩が好ま
しい。これらの酸は、単独でも、または2種以上を同時
または順次に使用することもできる。これらの使用量
は、使用するビニルエーテル類1モルに対して通常2モ
ル以下であり、好ましくは、0.00001ないし0.
5モルの範囲であり、更に好ましくは0.0001ない
し0.1モルの範囲である。
【0048】ビニルエーテル類との反応において、溶媒
を用いずに反応を行いうる場合もあるが、通常は溶媒の
存在下で実施される。用いる場合の溶媒としては、反応
を阻害しないものであれば何れでも使用することができ
るが、具体的には、例えば、水;n−ヘキサン、n−ペ
ンタン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族また
は脂環族の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベ
ンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタ
ン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン
等の脂肪族または芳香族ハロゲン化合物;ジエチルエー
テル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,
4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル
類;アセトン、エチルメチルケトン、アセトフェノン等
のケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニ
トリル類;および酢酸エチルやプロピオン酸エチル等の
エステル類等が挙げられる。これらは単独でもまたは2
種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒
の使用によって、反応液が均一相となることが好ましい
が、不均一な複数の相となっても構わない。
【0049】反応の実施方式は、特に限定されるもので
はなく、加水分解された重合体、ビニルエーテル類、
酸、および使用する場合の溶媒等が効果的に混合され接
触される方法であれば如何なる方法でもよく、回分式、
半回分式または連続流通式の何れでも構わない。
【0050】反応の際の温度および時間は、使用する重
合体や酸、及び使用する場合の溶媒等の種類や量により
異なり一様ではない。しかしながら、通常反応温度は零
下10ないし100℃の範囲であり、好ましくは、0な
いし60℃の範囲である。反応時間は、通常20時間以
内であり、好ましくは0.01ないし10時間の範囲で
ある。反応は場合によって減圧、常圧または加圧の何れ
でも実施できる。また、本反応は、不活性ガス雰囲気下
でも、空気などの分子状酸素の存在下でも行うことがで
きる。以上の方法により、一般式(1)または一般式
(2)で表される構造単位を有する酸分解性重合体が得
られる。この酸分解性重合体は、メタノールやヘキサン
等適当な溶剤を用いて沈殿させ、洗浄、乾燥する等通常
の方法により単離精製することができる。
【0051】
【実施例】以下、実施例にて本発明を詳細に説明する
が、本発明がこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例において得られた重合体の物性値は、以下
の方法により測定した。 平均分子量:GPCを使用し、得られた環状オレフィン
系開環メタセシス重合体、該重合体水素添加物、加水分
解した該重合体水素添加物または該酸分解性重合体をテ
トラヒドロフランに溶解し、検出器として日本分光製8
30−RIおよびUVIDEC−100−VI、カラム
としてShodex k−805,804,803,8
02.5を使用し、室温において流量1.0ml/mi
nでポリスチレンスタンダードによって分子量を較正し
た。 水素添加率:環状オレフィン系開環メタセシス重合体水
素添加物の粉末を重水素化クロロホルムに溶解し、90
MHz−NMRを用いてδ=4.5〜6.0ppmの主
鎖の炭素−炭素間二重結合に帰属するピークが、水素添
加反応によって減少する大きさを算出した。島津FTI
R−8100Mで赤外吸収スペクトル測定し、エステル
のカルボニル伸縮振動1760〜1700cm-1とカル
ボン酸のカルボニル伸縮振動1740〜1780cm-1
とから加水分解反応及びビニルエーテル類との反応を追
跡した。
【0052】実施例1 窒素下で磁気攪件装置を備えた500mlのオートクレ
ーブに環状オレフィン系単量体として8−tert−ブトキ
シカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12, 5.1
7,10]−3−ドデセン(10.0g、38.4mmo
l)をテトラヒドロフラン(300ml)(以後THF
と言う)に溶解し攪件を行った。これに開環メタセシス
重合触媒としてMo(N−2,6−C63Pri 2)(C
HCMe3)(0But2(375mg、0.77mm
ol)を加え室温で1時間反応させた。その後、ブチル
アルデヒド(278mg、3.85mmol)を加え3
0分間攪件し、反応を停止させた。この開環メタセシス
重合体溶液にトリメチレンジアミン(570mg、7.
70mmol)を加え、水素分圧0.49MPa、80
℃で1時間攪拌した後、メタノール(2000ml)中
に加えて開環メタセシス重合体を析出させ、濾過、メタ
ノール洗浄し、真空乾燥して10.0gの開環メタセシ
ス重合体粉末を得た。その後、5000mlのオートク
レーブにこの開環メタセシス重合体粉末10.0gをT
HF(800ml)に溶解して、水素添加触媒として予
め調製したジクロロテトラキス(トリフェニルホスフィ
ン)ルテニウム(5.0mg、0.004mmol)と
トリエチルアミン(2.1mg、0.020mmol)
のTHF(80ml)溶液を加え、水素圧8.1MP
a、165℃で5時間水素添加反応を行った後、温度を
室温まで戻し水素ガスを放出した。この開環メタセシス
重合体水素添加物溶液をメタノールに加えて開環メタセ
シス重合体の水素添加物を沈殿させ、濾別分離後真空乾
燥を行うことにより白色粉末状の開環メタセシス重合体
水素添加物を得た。得られた開環メタセシス重合体水素
添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖の
オレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、
その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数
平均分子量Mnは13,000、Mw/Mnは1.00
であった。得られた開環メタセシス重合体水素添加物1
0.0gを1000mlのフラスコ中でベンゼン800
ml、トリフルオロ酢酸3.0mlに加え、50℃で3
時間攪拌し、メタノールに加え、沈殿、濾過し、乾燥し
た。さらに、THFに溶解させ、メタノールに加え、沈
殿、濾過し、真空乾燥して白色粉末状の加水分解した開
環メタセシス重合体の水素添加物を得た。得られた重合
体のIRスペクトルから算出した加水分解率は95%で
あり、GPCで測定した数平均分子量Mnは10,20
0、Mw/Mnは1.01であった。この加水分解され
た重合体水素添加物5gを500mlのフラスコ中で、
溶媒として塩化メチレン300ml、ビニルエーテル類
としてエチルビニルエーテル7.2g(100mmo
l)、パラトルエンスルホン酸ピリジン塩250mg
(1mmol)と混合し、室温で3時間撹拌し反応させ
た。反応後溶媒の塩化メチレンの一部を留去して全量を
50mlとした後、メタノール500mlに加えて固体
を析出させ、濾過、乾燥して、1−エトキシエチル基を
有する酸分解性重合体を得た。得られた重合体のIRス
ペクトルから算出した分解性基の含有率は反応前の遊離
カルボン酸に対して83%であった。また、GPCで測
定した数平均分子量Mnは12,800、Mw/Mnは
1.03であった。
【0053】実施例2 実施例1において開環メタセシス重合触媒として用いた
Mo(N−2,6−C 63Pri 2)(CHCMe3
(0But2に代えて、W(N−2,6−C63
2)(CHCHCMe2)(PMe3)(0But
2(464mg、0.77mmol)を使用したこと以
外は実施例1と同様にして開環メタセシス重合及び水素
添加反応を行い、白色粉末状の開環メタセシス重合体水
素添加物を得た。得られた開環メタセシス重合体水素添
加物の1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオ
レフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、そ
の水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平
均分子量Mnは12,300、Mw/Mnは1.02で
あった。得られた開環メタセシス重合体水素添加物1
0.0gを1000mlのフラスコ中でベンゼン800
ml、トリフルオロ酢酸2.0mlに加え、50℃で4
時間攪拌し、メタノールに加え、沈殿、濾過し、乾燥し
た。さらに、THFに溶解させ、メタノールに加え、沈
殿、濾過し、真空乾燥して白色粉末状の加水分解した開
環メタセシス重合体の水素添加物を得た。得られた重合
体のIRスペクトルから算出した加水分解率は98%で
あり、GPCで測定した数平均分子量Mnは10,80
0、Mw/Mnは1.02であった。この加水分解され
た重合体水素添加物5gを500mlのフラスコ中で、
溶媒として塩化メチレン300ml、ビニルエーテル類
として2,3−ジヒドロピラン0.8g(10mmo
l)、パラトルエンスルホン酸ピリジン塩25mg
(0.1mmol)と混合し、10℃で5時間撹拌し反
応させた。反応後溶媒の塩化メチレンの一部を留去して
全量を50mlとした後、メタノール500mlに加え
て固体を析出させ、濾過、乾燥して、2−ヒドロピラニ
ル基を有する酸分解性重合体を得た。得られた重合体の
IRスペクトルから算出した分解性基の含有率は反応前
の遊離カルボン酸に対して47%であった。また、GP
Cで測定した数平均分子量Mnは11,400、Mw/
Mnは1.03であった。
【0054】実施例3 実施例1において開環メタセシス重合触媒として用いた
Mo(N−2,6−C 63Pri 2)(CHCMe3
(0But2に代えてW(N−2,6−C63Me2
(CHCHCMe2)(PMe3)(0But2(90m
g、0.15mmol)を使用し、1,5−ヘキサジエ
ン(493mg、6.0mmol)を共存させ、重合温
度を60℃で行った以外は実施例1と同様にして開環メ
タセシス重合及び水素添加反応を行い、白色粉末状の開
環メタセシス重合体水素添加物を得た。得られた開環メ
タセシス重合体水素添加物の1H−NMRから算出した
水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピ
ークが認められず、その水素添加率は100%であり、
GPCで測定した数平均分子量Mnは9,600、Mw
/Mnは1.33であった。得られた開環メタセシス重
合体水素添加物10.0gを1000mlのフラスコ中
でベンゼン800ml、トリフルオロ酢酸2.0mlに
加え、50℃で4時間攪拌し、メタノールに加え、沈
殿、濾過し、乾燥した。さらに、THFに溶解させ、メ
タノールに加え、沈殿、濾過し、真空乾燥して白色粉末
状の加水分解した開環メタセシス重合体の水素添加物を
得た。得られた重合体のIRスペクトルから算出した加
水分解率は99%であり、GPCで測定した数平均分子
量Mnは8,500、Mw/Mnは1.34であった。
この加水分解された重合体水素添加物5gを500ml
のフラスコ中で、溶媒として塩化メチレン300ml、
ビニルエーテル類としてtert−ブチルビニルエーテル
1.0g(10mmol)、パラトルエンスルホン酸ピ
リジン塩2.5mg(0.01mmol)と混合し、5
℃で8時間撹拌し反応させた。反応後溶媒の塩化メチレ
ンの一部を留去して全量を50mlとした後、メタノー
ル500mlに加えて固体を析出させ、濾過、乾燥し
て、1−tert−ブトキシエチル基を有する酸分解性重合
体を得た。得られた重合体のIRスペクトルから算出し
た分解性基の含有率は反応前の遊離カルボン酸に対して
31%であった。また、GPCで測定した数平均分子量
Mnは9,300、Mw/Mnは1.38であった。
【0055】実施例4 実施例3において環状オレフィン系単量体として用いた
8−tert−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセンに代えて8−メト
キシカルボニルメチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセンを10.0g(36.4
mmol)使用したこと以外は実施例3と同様にして開
環メタセシス重合及び水素添加反応を行い、白色粉末状
の開環メタセシス重合体水素添加物を得た。得られた開
環メタセシス重合体水素添加物の1H−NMRから算出
した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属す
るピークが認められず、その水素添加率は100%であ
り、GPCで測定した数平均分子量Mnは8,900、
Mw/Mnは1.26であった。得られた開環メタセシ
ス重合体水素添加物9.5gを1000mlのフラスコ
中でエタノール500ml、50%水酸化ナトリウム
4.6gに加え、還流下で2時間攪拌し、メタノールに
加え、沈殿物を濾過し、水洗、希塩酸で洗浄、更に水
洗、メタノールでの洗浄した後、乾燥した。さらに、T
HFに溶解させ、メタノールに加え、沈殿、濾過し、真
空乾燥して白色粉末状の加水分解した開環メタセシス重
合体の水素添加物を得た。得られた重合体のIRスペク
トルから算出した加水分解率は90%であり、GPCで
測定した数平均分子量Mnは8,200、Mw/Mnは
1.31であった。この加水分解された重合体水素添加
物5gを500mlのフラスコ中で、溶媒としてジエチ
ルエーテル300ml、ビニルエーテル類としてtert−
ブチルビニルエーテル1.0g(10mmol)、パラ
トルエンスルホン酸ピリジン塩2.5mg(0.01m
mol)と混合し、室温で6時間撹拌し反応させた。反
応後溶媒のジエチルエーテルの一部を留去して全量を5
0mlとした後、メタノール500mlに加えて固体を
析出させ、濾過、乾燥して、1−tert−ブトキシエチル
基を有する酸分解性重合体を得た。得られた重合体のI
Rスペクトルから算出した分解性基の含有率は反応前の
遊離カルボン酸に対して19%であった。また、GPC
で測定した数平均分子量Mnは8,800、Mw/Mn
は1.39であった。
【0056】
【発明の効果】本発明の酸分解性重合体及びその製造方
法は、耐熱性、耐熱分解性、光透過性等に優れた紫外線
や遠紫外線を用いた半導体微細加工用フォトレジストに
適した重合体及びその製造方法であり、工業的に極めて
価値がある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1は酸により分解する基であり、R2〜R4
    それぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン、
    ハロゲン化アルキル、またはニトリルから選ばれ、mは
    0または1〜3の整数、xは0または1を表す。) または、一般式(2) 【化2】 (式中、R1,R5はそれぞれ酸により分解する基であ
    り、R2,R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキ
    ル、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、またはニトリルか
    ら選ばれ、mは0または1〜3の整数、x,yはそれぞ
    れ0または1を表す。)で表される構造単位を有し、重
    量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/M
    n)が1.0〜2.0であり、かつGPCで測定したポ
    リスチレン換算の数平均分子量が500〜100,00
    0であることを特徴とする酸分解性重合体。
  2. 【請求項2】 R1及びR5が、アルコキシアルキル基で
    ある請求項1記載の酸分解性重合体。
  3. 【請求項3】 R1及びR5が、2−テトラヒドロピラニ
    ル、2−テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチル、
    または1−tert−ブトキシエチルである請求項1記載の
    酸分解性重合体。
  4. 【請求項4】 一般式(3) 【化3】 (式中、R6は炭素数1〜20のアルキルであり、R2
    4はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロ
    ゲン、ハロゲン化アルキル、またはニトリルから選ば
    れ、mは0または1〜3の整数、xは0または1を表
    す。) または一般式(4) 【化4】 (式中、R6,R6は炭素数1〜20のアルキルであり、
    2,R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル、
    ハロゲン、ハロゲン化アルキル、またはニトリルから選
    ばれ、mは0または1〜3の整数、x,yはそれぞれ0
    または1を表す。)で表されるエステル基を有する環状
    オレフィン系単量体をリビング開環メタセシス触媒で重
    合し、水素添加触媒のもとに水素添加した後、エステル
    基の少なくとも一部を加水分解し、更にビニルエーテル
    類と反応させることを特徴とする請求項1記載の酸分解
    性重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(3)または一般式(4)で表さ
    れる環状オレフィン系単量体をオレフィンまたはジエン
    の存在下でリビング開環メタセシス触媒で重合すること
    を特徴とする請求項4記載の酸分解性重合体の製造方
    法。
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