JP2006342212A - 開環メタセシス重合体の製造方法、並びに、開環メタセシス重合体及びそれから得られる成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 開環メタセシス重合触媒および飽和炭化水素溶媒の存在下、環状オレフィンを重合して開環メタセシス重合体を含む開環メタセシス重合反応溶液を得る工程と、該反応溶液に該反応溶液と相分離可能なアルコール化合物を添加し、該アルコール化合物の層を分離する工程とを含む、開環メタセシス重合体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、特許文献2記載の方法では、活性炭、活性白土などの吸着剤を使用し、高分子溶液から触媒を吸着して除去するため、吸着剤の使用量が多く経済的に不利であるだけでなく、液圧が高くなり、操作性が悪いことに加え、微粒子が破砕するため、高分子中に残留するなどの問題も引き起こすことがある。更に、非特許文献1の記載によると、生成したポリマーを貧溶媒に添加し、析出させる操作を繰り返し、残留金属を除去している。この方法は、非常に煩雑であり、工業的な方法とは言い難い。
(1)開環メタセシス重合触媒および飽和炭化水素溶媒の存在下、下記式1
で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンを重合して開環メタセシス重合体を含む開環メタセシス重合反応溶液を得る工程と、該反応溶液に該反応溶液と相分離可能なアルコール化合物を添加し、該アルコール化合物の層を分離する工程とを含む、開環メタセシス重合体の製造方法、
で示される構造を有する、上記(1)に記載の製造方法、
で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンを開環メタセシス重合触媒の存在下に重合して得られる開環メタセシス重合体であって、
当該開環メタセシス重合体中における、開環メタセシス重合触媒由来の金属のICP発光分析装置によって測定した際の含有量が10ppm以下である開環メタセシス重合体、
で示される構造を有する、上記(9)に記載の開環メタセシス重合体、及び
本発明の開環メタセシス重合体の製造方法は、開環メタセシ重合触媒および飽和炭化水素溶媒の存在下に環状オレフィンを重合して開環メタセシス重合体を含む開環メタセシス重合反応液を得る工程を含む。また、本発明の開環メタセシス重合体の製造方法は、上記の工程により得られた反応溶液に、該反応溶液と相分離可能なアルコール化合物を添加し、該アルコール化合物の層を分離する工程をさらに含む。
本発明において使用される開環メタセシス重合触媒としては、使用する環状オレフィンの開環メタセシス重合反応を触媒するものであれば特に制限されないが、ルテニウムカルベン錯体を好ましく使用することができる。
本発明で使用するルテニウムカルベン錯体は、開環メタセシス重合反応の触媒作用を有するものであれば、いかなるものも使用でき、特に制限はされないが、例えば、下記式3
で示される構造を有するものが挙げられる。
これら「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいアルケニル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
該式3のルテニウムカルベン錯体において、R19は、好ましくは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基である。
当該式3のルテニウムカルベン錯体において、式5中のR25およびR28は、それぞれ、好ましくはフェニル基、4−トリル基、2−トリル基、2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントラニル基である。
当該式3のルテニウムカルベン錯体において、式5中のR26およびR27は、それぞれ、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基などの炭素数1〜8のアルキル基である。
また、「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)の直鎖状または分枝状アルキル基、該直鎖状または分枝状アルキル基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルキル基などが挙げられる。
また、「置換されていてもよいシクロアルキル基」の好ましい例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基、該シクロアルキル基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基などで置換されている置換シクロアルキル基などが挙げられる。
また、「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基などで置換された置換アリール基などが挙げられる。
これら「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
また、式2で示される環状ジオレフィン(以下、「環状ジオレフィン(2)」ともいう)の具体例としては、例えば1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエンなどの環状非共役オレフィン類などを挙げることができる。
本発明の製造方法で使用される飽和炭化水素溶媒としては、炭素数7以上の炭化水素の1種または複数種が挙げられる。該炭素数7以上の炭化水素は鎖状でも、環状でもよく、例えば、ヘプタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンなどを挙げることができる。これらの中でも、工業的入手性、使用する開環メタセシス重合触媒の安定性や溶解度、生成する開環メタセシス重合体の溶解度等の点から、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタンが好ましく、ヘプタンおよびオクタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
なお、ここでの「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」、「置換されていてもよい芳香族炭化水素基」、「置換されていてもよいアルコキシ基」、「置換されていてもよいアリールオキシ基」、及び「置換されていてもよいアルコキシカルボニル基」における置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基などが挙げられる。置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
式6において、R29及びR30は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
本発明の製造方法において使用される、開環メタセシス重合反応溶液と相分離可能なアルコール化合物としては、メタノール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよびグリセリンなどの炭素数1〜3のアルコール化合物の1種または複数種が好ましく使用できるが、経済性や反応溶液との相分離能が優れていることや、さらには、開環メタセシス重合触媒を溶解する能力が高いことからメタノールがより好ましい。
なお、本明細書において「開環メタセシス重合反応溶液と相分離可能」とは、下記に記すアルコール化合物の層を分離する際の温度において、反応溶液と2層または3層以上の層に分液できることをいう。分液においてアルコール化合物の層以外の層は、アルコール化合物の一部を含んでいてもよく、また、アルコール化合物の層は、上記の飽和炭化水素溶媒やその他の成分の一部を含んでいてもよい。
分離を行う際の温度としては、特に制限されるものではないが、操作性、溶解性を考慮して、−10〜60℃の範囲であることが好ましく、0〜50℃の範囲内であることがより好ましく、5〜40℃の範囲内であることがさらに好ましい。
試料(1g)を定法に従って湿式分解した後、ICP発光分析装置(ジャーレルアッシュ社製ICP発光装置IRISAP)を用いて測定した。
ウォーターズ社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(150C.ALC/GPC)装置(カラム:shodex製HFIP806M)を用いて40℃で測定した。なお、測定溶媒としては、20mMトリフルオロ酢酸ナトリウム−ヘキサフルオロイソプロパノール溶液を使用した。また、標準物質としては、ポリメタアクリル酸メチルを使用した。
<実施例1>
攪拌機、温度計を装着したガラス製500mL容3つ口フラスコを乾燥した窒素で置換した後、シクロオクテン(110g、1mol)およびcis−4−オクテン(1.12g、10mmol)を溶解させたヘプタン250gを仕込んだ。
[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(11.9mg、14.0μmol)を、ヘプタン10gに溶解させた後、すばやく、上記の溶液に加えて、55℃で開環メタセシス重合(ROMP)をおこなった。1時間後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC−14B;カラム:化学品検査協会製、G−100)により分析したところ、シクロオクテンの消失を確認した。その後、エチルビニルエーテル(0.72g、10mmol)を添加し、更に10分間攪拌した。
得られた反応液にメタノール(100g)を添加し、55℃で10分間攪拌した後、40℃で10分間静置して分液後、着色した下層(メタノールの層)を分液、再び、メタノール(50g)を添加、55℃で10分間攪拌した後、40℃で10分間静置して分液後、下層(メタノールの層)を分液除去した。得られた反応液から溶媒であるヘプタンを減圧で留去した。更に、真空乾燥機にて、1Pa、100℃にて6時間乾燥し、数平均分子量が53,000のポリマー(109.3g)を得た。ICP発光法によるルテニウム残量は1ppm以下であった。
実施例1において、ヘプタンに代え、オクタンを溶媒として使用した以外は、実施例1と同様に反応を行ない、数平均分子量が53,000のポリマー(109.6g)を得た。ルテニウム残量は1ppm以下であった。
実施例1において、シクロオクテン(110g)に代え、シクロオクタジエン(108g)を使用した以外は、実施例1と同様に反応を行い、数平均分子量が51,000のポリマー(107.2g)を得た。ルテニウム残量は1ppm以下であった。
実施例1において、シクロオクテン(110g)に代え、シクロオクテン(55g)とシクロオクタジエン(54g)の混合物を使用した以外は、実施例1と同様に反応を行い、数平均分子量が、60,000のポリマー(107.3g)を得た。ICP発光法によるルテニウム残量は1.1ppmであった。
実施例1において、メタノールを添加しなかった以外は、実施例1と同様に反応を行い、数平均分子量が54,000のポリマー(109.5g)を得た。ICP発光法によるルテニウム残量は、12.1ppmであった。
Claims (11)
- 開環メタセシス重合触媒および飽和炭化水素溶媒の存在下、下記式1
で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンを重合して開環メタセシス重合体を含む開環メタセシス重合反応溶液を得る工程と、該反応溶液に該反応溶液と相分離可能なアルコール化合物を添加し、該アルコール化合物の層を分離する工程とを含む、開環メタセシス重合体の製造方法。 - 環状オレフィン100質量部に対して、飽和炭化水素溶媒を100〜100,000質量部使用する、請求項1または2に記載の製造方法。
- 飽和炭化水素溶媒100質量部に対して、反応溶液と相分離可能なアルコール化合物を1〜1,000質量部使用する、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
- 反応溶液と相分離可能なアルコール化合物がメタノールである請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
- 飽和炭化水素溶媒が、炭素数7以上の飽和炭化水素から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 飽和炭化水素溶媒が、ヘプタン及びオクタンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
- 下記式1
で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンを開環メタセシス重合触媒の存在下に重合して得られた開環メタセシス重合体であって、
当該開環メタセシス重合体における、開環メタセシス重合触媒由来の金属のICP発光分析装置によって測定した際の含有量が10ppm以下である開環メタセシス重合体。 - 開環メタセシス重合触媒がルテニウムカルベン錯体であり、かつ、ICP発光分析装置によって測定した際のルテニウムの含有量が10ppm以下である、請求項8に記載の開環メタセシス重合体。
- 請求項8〜10のいずれか1項記載の開環メタセシス重合体から得られる成形体。
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