JP4988161B2 - 環状オレフィンの開環メタセシス重合方法 - Google Patents

環状オレフィンの開環メタセシス重合方法 Download PDF

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Description

本発明は、医薬、農薬中間体の製造、エンジニアリングプラスチックの製造等に有効な環状オレフィンの開環メタセシス重合方法に関する。
従来、下記式4
Figure 0004988161
(式中、MはOsおよびRuからなる群より選ばれ、XおよびXは独立して、アニオン配位子から選ばれる。LおよびLは独立して、中性電子供与体から選ばれる。R23は水素原子、置換または無置換アルキル基および置換または無置換アリール基より選ばれる。)で示されるカルベン型錯体を用いたエチレン性二重結合の結合組替え(メタセシス反応)については広く知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この文献には触媒の保存方法および反応系への投入方法についての詳しい記載はない。また、式4中、MがRu(ルテニウム)である、下記式5
Figure 0004988161
(式中、X、X、L、LおよびR23は上記と同義である。)で示されるルテニウムカルベン錯体は一般に安定といわれているが、溶媒または過酸化物によって不活性化されるという問題があり、開環メタセシス重合反応においてルテニウムカルベン錯体を不活性化させない保存方法、使用形態等が求められている。
特表平11−510807号公報
本発明は、環状オレフィンの開環メタセシス重合反応において、触媒として用いるルテニウムカルベン錯体を安定に保存し、且つ、触媒が本来有する高い活性を低下させずに容易に反応に使用する方法を提供するものである。
本発明者らは上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体中に分散させることによって、酸素などの酸化性物質から遮断して安定に保存することができ、且つ、触媒が本来有する高い活性を低下させずに容易に反応に使用できること見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) ルテニウムカルベン錯体の存在下で行われる、下記式1
Figure 0004988161
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。mおよびnは0〜4の整数を表し、mおよびnの数の合計は3以上である。)
で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
Figure 0004988161
(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。pおよびqは0〜4の整数を表し、pおよびqの数の合計は3以上である。)
で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンの開環メタセシス重合方法において、該ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させた状態で使用することを特徴とする開環メタセシス重合方法、
(2) ルテニウムカルベン錯体の存在下で行われる、下記式1
Figure 0004988161
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。mおよびnは0〜4の整数を表し、mおよびnの数の合計は3以上である。)
で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
Figure 0004988161
(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。pおよびqは0〜4の整数を表し、pおよびqの数の合計は3以上である。)
で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンの開環メタセシス重合方法において、該ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させた分散体を可溶解性媒体に溶解させた後、速やかに反応系に投入することを特徴とする開環メタセシス重合方法、
(3) 可溶解性媒体が、テトラヒドロフランおよび/またはトルエンである、(2)記載の開環メタセシス重合方法、
(4) ルテニウムカルベン錯体が、下記式3
Figure 0004988161
(式中、R19は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、R20、R21およびR22はそれぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、Lは、中性電子供与体から選ばれる。)
で示される構造を有する、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の開環メタセシス重合方法、
(5) 非溶解性媒体が、飽和炭化水素および/または炭素数4以上のアルコールである(1)〜(4)のいずれか1つに記載の開環メタセシス重合方法、
(6) ルテニウムカルベン錯体の保存方法であって、該ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散することを特徴とする保存方法、
(7) ルテニウムカルベン錯体が、下記式3
Figure 0004988161
(式中、R19は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、R20、R21およびR22はそれぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、Lは、中性電子供与体から選ばれる。)
で示される構造を有する、(6)記載の保存方法、
(8) 非溶解性媒体が、飽和炭化水素および/または炭素数4以上のアルコールである(6)または(7)に記載の保存方法、
(9) ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させた、分散体、
(10) ルテニウムカルベン錯体が、下記式3
Figure 0004988161
(式中、R19は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、R20、R21およびR22はそれぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、Lは、中性電子供与体から選ばれる。)
で示される構造を有する、(9)に記載の分散体、
(11) 非溶解性媒体が、飽和炭化水素および/または炭素数4以上のアルコールである(9)または(10)に記載の分散体、
(12) (1)〜(5)のいずれか1つに記載の開環メタセシス重合方法により得られる、開環メタセシス重合体、等に関する。
本発明の方法によれば、環状オレフィンの開環メタセシス重合反応において、触媒であるルテニウムカルベン錯体が本来有する高い活性を低下させることなく保存でき、容易に反応に使用することができる。
以下に本発明の詳細な説明を行う。
本発明で使用するルテニウムカルベン錯体は、どのようなものであっても特に制限されないが、たとえば、下記式3
Figure 0004988161
(式中、R19は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、R20、R21およびR22はそれぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、Lは、中性電子供与体から選ばれる。)で示される構造を有するものを使用することができる。
式3中のR19が表す「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基、該アルキル基が、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数1〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルキル基などが挙げられる。また、「置換されていてもよいアルケニル基」の好ましい例としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のアルケニル基、該アルケニル基がメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルケニル基などが挙げられる。また、「置換されていてもよいシクロアルキル基」の好ましい例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、該シクロアルキル基がメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換シクロアルキル基などが挙げられる。また、「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基などで置換されている置換アリール基などを挙げることができる。
これら「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいアルケニル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
該式3のルテニウムカルベン錯体において、R19は、好ましくは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基である。
式3中のR20、R21およびR22は、同一であっても異なっていてもよく、該R20、R21およびR22が表す「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜8)の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基などの炭素数が1〜10(好ましくは炭素数1〜8)の分枝状アルキル基、該直鎖状又は分岐状のアルキル基がメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルキル基などが挙げられる。また、「置換されていてもよいシクロアルキル基」の好ましい例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、該シクロアルキル基がメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換シクロアルキル基などが挙げられる。また、「置換されていてもよいアリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アリール基などが挙げられる。これら「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
Lは、中性電子供与体であり、例えば、PR202122(R20、R21およびR22は上記と同義である)のようなリン化合物、下記式6
Figure 0004988161
(式中、R25およびR28は、それぞれ置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、R26およびR27は、それぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表し、
Figure 0004988161
は、単結合または二重結合を表す。)で示される含窒素カルベン化合物等を使用することができる。
式6中、R25およびR28は同一であっても異なっていてもよく、該R25およびR28が表す「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基、該アルキル基が、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルキル基などが挙げられる。また、「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基などで置換されている置換アリール基などが挙げられる。これら「置換されていてもよいアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
当該式3のルテニウムカルベン錯体において、式6中のR25およびR28は、それぞれ、好ましくはフェニル基、4−トリル基、2−トリル基、2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントラニル基である。
式6中、R26およびR27は同一であっても異なっていてもよく、該R26およびR27で表わされる「置換されていてもよいアルキル基」の好ましい例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基、該アルキル基が、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20(炭素数1〜8)のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜8)のカルボニルオキシ基などで置換されている置換アルキル基などが挙げられる。「置換されていてもよいアリール基」の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、該アリール基が、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などの炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜8)のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基などのアリール基;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜5のアルコキシ基などで置換されている置換アリール基などを挙げることができる。これら「置換されていてもよいアルキル基」および「置換されていてもよいアリール基」において、置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
当該式3のルテニウムカルベン錯体において、式6中のR26およびR27は、それぞれ、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基などの炭素数1〜8のアルキル基である。
本発明で使用するルテニウムカルベン錯体は、市販されているものをそのまま使用しても、必要に応じて公知の方法に従い調製してもかまわない。
本発明で使用する環状オレフィンには、下記式1
Figure 0004988161
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。mおよびnは0〜4の整数を表し、mおよびnの数の合計は3以上である。)で示される環状モノオレフィン、および下記式2
Figure 0004988161
(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。pおよびqは0〜4の整数を表し、pおよびqの数の合計は3以上である。)で示される環状ジオレフィンが含まれる。
上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表すハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
また、上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表すアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状または分枝状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。該アルキル基およびシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基などが挙げられる。置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表すアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。該アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基などが挙げられる。置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表すアルコキシル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、またエステル基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの炭素数2〜20のカルボニルオキシ基が挙げられる。
上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18が表すカルボキシル基の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩を挙げることができる。
また、上記式1におけるR、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10、上記式2におけるR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、これらの内のいずれか複数個が、それらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。このような例としては、例えば、2個のヒドロキシル基が縮合してエポキシ基などの環状エーテルを形成したものが挙げられる。
上記式1のmおよびnが2〜4の整数を表す場合、複数のRとR、RとR10はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
mは0〜4、nは0〜4であることが好ましく、mおよびnの数の合計は、4〜8であることが好ましい。
上記式2のpおよびqが2〜4の整数を表す場合、複数のR13とR14、R17とR18はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
pは0〜4、qは0〜4であることが好ましく、pおよびqの数の合計は、4〜8であることが好ましい。
式1で示される環状モノオレフィン(以下、環状モノオレフィン(1)という場合もある)としては、例えば、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−ジメチル−1−シクロオクテンなどのシクロオレフィン類;1,2−ジヒドロキシ−5−シクロオクテン、1,4−ジヒドロキシ−2−シクロオクテン、1−ヒドロキシ−4−シクロヘプテンなどのヒドロキシル基を有するシクロオレフィン類;1−クロロ−5−シクロオクテンなどのハロゲン含有シクロオレフィン類;1,2−ジメトキシ−5−シクロオクテン、1,4−ジメトキシ−2−シクロオクテン、1−メトキシ−4−シクロヘプテンなどのエーテル含有シクロオレフィン類;1,2−ジアセトキシ−5−シクロオクテン、1,4−ジアセトキシ−2−シクロオクテン、1−アセトキシ−4−シクロヘプテンなどのエステル基含有シクロオレフィン類を挙げることができる。これらは単独で使用しても、複数を混合して使用してもかまわない。
式2で示される環状ジオレフィン(以下、環状ジオレフィン(2)という場合もある)としては、例えば1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエンなどの環状非共役オレフィン類などを挙げることができる。これらは単独で使用しても、複数を混合して使用してもかまわない。
本発明では、環状モノオレフィン(1)、環状ジオレフィン(2)、または環状モノオレフィン(1)および環状ジオレフィン(2)を原料として開環メタセシス重合を行うことができる。本明細書中、特にことわらない限り、環状オレフィンというときには、環状モノオレフィン(1)、環状ジオレフィン(2)、ならびに環状モノオレフィン(1)および環状ジオレフィン(2)を指すものとする。
本発明では、ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させる。ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させることにより、ルテニウムカルベン錯体の触媒としての活性を低下させることなく、安定に保存することができる。非溶解性媒体としては、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ドデカン、流動パラフィンなどの飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノールなどのアルコール類を挙げることができる。ここで、水との親和性の高い媒体を使用すると、反応に悪影響を与えやすい水分を系内に持ち込み易くなることから、飽和炭化水素類および/または炭素数4以上のアルコール類を使用することが好ましい。
本発明のルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させた分散体(以下、単に分散体という)の保存状態としては、特に制限されるものではないが、ルテニウムカルベン錯体と非溶解性媒体との比重が大きく異なる場合には、ルテニウムカルベン錯体が沈降したり、浮き上がったりする場合があるので、攪拌機により緩やかに攪拌する、ポンプにより循環させる等の方法によって、均質分散を保つことが好ましい。
本発明の分散濃度としては特に制限されるものではないが、使用時の操作性、酸素混入時の影響の受けやすさ等を考慮して、非溶解性媒体100重量部に対して、ルテニウムカルベン錯体を、通常、0.01重量部〜200重量部の範囲、より好ましくは、0.1重量部〜100重量部の範囲になるように、非溶解性媒体に分散させることが好ましい。
本発明では、非溶解性媒体中に、酸化防止剤を添加してもかまわない。酸化防止剤としては、立体障害の大きいフェノール類、ホスフィン類、ホスファイト類等が挙げられるが、酸化防止剤を反応に使用した場合、開環メタセシス重合の反応速度を考慮して、ホスフィン類を使用することが好ましい。酸化防止剤の使用量は特に制限されないが、ルテニウムカルベン錯体に対して、通常、0.001モル倍〜1000モル倍、操作性、経済性、酸化防止剤の効果を考慮して、好ましくは0.01モル倍〜100モル倍の範囲である。
本発明において、分散体の保存温度は、特に制限されるものではないが、低すぎる温度では流動性が保てないために使用時の操作性が悪くなり、高すぎる温度では、万一酸素などに接触した場合にルテニウムカルベン錯体の安定性が損なわれる場合があることから、通常、−10℃〜80℃、より好ましくは、0℃〜60℃の範囲である。
本発明の開環メタセシス重合方法の1つは、ルテニウムカルベン錯体を、上述の非溶解性媒体に分散させた状態で反応に使用することにより実施することができる。ここで「使用する」とは、上記ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させたものを、例えば前述した環状オレフィンなどを含む反応系に投入することや、また、該ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させたものに、前述した環状オレフィンや後述する連鎖移動剤、可溶解性媒体を投入したり、またはこれらを混合物として投入することを含む。なお、開環メタセシス重合反応においては、該ルテニウムカルベン錯体は反応系中に溶解していても、分散した状態であってもよい。また、本発明の開環メタセシス重合方法の別の1つは、ルテニウムカルベン錯体を、上述の非溶解性媒体に分散させた分散体を可溶解性媒体に溶解させた後、速やかに反応系に投入することにより実施することができる。
上記、開環メタセシス重合方法においては、下記式7
Figure 0004988161
(式中R29、R30は同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を表す)などで示される連鎖移動剤を使用してもかまわない。
上記式7におけるR29およびR30が表すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられ、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられ、アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基などが挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびアルコキシカルボニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基などが挙げられる。置換基の数は、好ましくは0〜6個、より好ましくは0〜3個であり、置換可能な位置であればどこに置換されていてもよい。
上記式7で示されるR29およびR30は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
連鎖移動剤を使用する場合、その使用量が目的の分子量によって異なることはいうまでもないが、環状オレフィンに対して、通常、1/1,000,000モル〜1/10モル、経済性、反応速度を考慮して、1/200,000モル〜1/50モルであることが好ましい。
実際に使用される連鎖移動剤としては、cis−2−ブテン、cis−3−ヘキセン、cis−4−オクテン、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、cis−2−ブテン−1,4−ジアセテート、cis−4−ヘキセン−1−オールなどを挙げることができる。
本発明の開環メタセシス重合方法において使用することができる、上記可溶解性媒体としては、使用されるルテニウムカルベン錯体を溶解できる媒体であれば、特に制限されないが、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチルなどのエステル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化溶媒を使用することができる。該可溶解性媒体は、1種または複数種を併用して用いることができる。
本発明の開環メタセシス重合方法において、上記分散体を可溶解性媒体に溶解させた後、反応系に投入する場合には、該分散体を可溶解性媒体に溶解させた後に、速やかに反応系に投入することが必要である。そして、反応系に投入後、速やかに開環メタセシス重合反応を開始することが好ましい。これは、上記環状オレフィン等、開環メタセシス重合反応の基質となる化合物の非存在下に、ルテニウムカルベン錯体を可溶解性媒体に溶解させると、その触媒活性が急激に低下する傾向があるためである。上記分散体を可溶解性媒体に溶解させたのち、反応系に投入するまでの時間としては、0.001〜10分の範囲内であることが好ましく、0.01〜5分の範囲内であることがより好ましい。
このような、上記分散体を可溶解性媒体に溶解させた後に反応系に投入する方法を採用すると、該分散体中における個々のルテニウムカルベン錯体粒子が溶解する際の溶解速度を低下させ易くなり、これにより、分子量分布の小さい開環メタセシス重合体を得易くなる。
上記分散体を可溶解性媒体に溶解させる際に使用する可溶解性媒体の使用量は特に制限されないが、該分散体に含まれるルテニウムカルベン錯体1重量部に対して10〜1,000,000重量部の範囲内であることが好ましく、100〜100,000重量部の範囲内であることがより好ましく、1,000〜10,000重量部の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の開環メタセシス重合方法の具体例としては、たとえば、反応器に先に分散体を投入し、続いて原料、溶媒などを投入して反応させるバッチ方式で実施する方法や、分散体を単独でまたはこれらの原料等と混合しながら、ピストンフロー式で反応系に投入する所謂連続系で実施する方法などが挙げられる。
しかしながら、上記したような可溶解性媒体を開環メタセシス重合反応の溶媒として使用する場合には、開環メタセシス重合反応の基質となる環状オレフィン等の化合物がない状態で、反応器にこのような溶媒を先に投入したあとに、上述したような分散体や、その分散体を可溶解性媒体に溶解させたものを投入すると、ルテニウムカルベン錯体は、非溶解性媒体による保護が解かれて溶媒の影響を受け、Ru−Ruカップリングなどにより触媒活性が低下する場合があるので好ましくない。
反応に使用する場合の分散体の投入量は、反応の方式、目的物の構造などによって異なるため、特に制限されることはない。しかしながら、生産速度、生産効率を考慮して、ルテニウムカルベン錯体の使用量として、通常、環状オレフィンに対して1/1,000,000モル〜1/10モルの範囲である。
本発明の開環メタセシス重合反応は、不活性ガスの存在下、常圧で行なうことが可能である。また、使用する連鎖移動剤、溶媒の種類等、反応条件によって、不活性ガス加圧下でおこなってもよい。
本発明の開環メタセシス重合反応をおこなう際の反応温度は特に制限されないが、20〜100℃の範囲内であることが好ましく、30〜80℃の範囲であることがより好ましい。反応温度が該範囲より低い場合には、開環メタセシス重合反応の反応速度が遅く、反応中において触媒の分解がおこり触媒効率が著しく低下する場合がある。また、反応温度が該範囲よりも高い場合には、重合物の再メタセシスが起こり、分子量が著しく大きくなる場合がある。
本発明の分散体は、反応に使用した後、蒸留、濾過、再沈殿、カラムクロマトグラフィーなどの方法によって容易に除去することができるため、目的物を十分な純度で得ることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
攪拌機を装着したガラス製25mL容3つ口フラスコを乾燥した窒素で置換した後、流動パラフィン5.0mL、[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(5.95mg、7.01μmol)を加えて、触媒分散液を調製した。
参考例2>
攪拌機、温度計を装着したガラス製50mL容3つ口フラスコを乾燥した窒素で置換した後、実施例1で調製した触媒分散液1.0mLを1時間経過後に加え、次いで5−シクロオクテン−1,2−ジオール(4.5g、32mmol)、cis−4−オクテン(19.7mg、0.176mmol)を溶解させたテトラヒドロフラン(THF)溶液19.2mLを仕込み、55℃で開環メタセシス重合(ROMP)を行った。1時間後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC−14B;カラム:化学品検査協会製 G−100)により分析したところ、5−シクロオクテン−1,2−ジオールの消失を確認し、エチルビニルエーテル(30.3mg、0.420mmol)を加え、引き続き減圧下で溶媒を留去し、数平均分子量が58,000のポリマー4.4g(収率97%)を得た。また、該ポリマーの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は16.5であった。
参考例3>
実施例1で調製した触媒分散液を27時間窒素下で保存したものを使用した以外は、参考例2と同様に反応を行い、数平均分子量が58,000のポリマー4.4g(収率97%)を得た。
参考例4>
実施例1で調製した触媒分散液を120時間窒素下で保存したものを使用した以外は、参考例2と同様に反応を行い、数平均分子量が58,000のポリマー4.4g(収率97%)を得た。
<実施例5>
実施例1において、流動パラフィン5.0mLに代えて、1−ブタノール5.0mLを使用した以外は実施例1と同様に触媒分散液を調製した。
参考例6>
実施例5で調製した触媒分散液を使用した以外は、参考例2と同様に反応を行い、数平均分子量が58,000のポリマー4.2g(収率92%)を得た。
参考例7>
実施例5で調製した触媒分散液を27時間窒素下で保存したものを使用した以外は、参考例2と同様に反応を行い、数平均分子量が58,000のポリマー4.2g(収率92%)を得た。
<実施例8>
攪拌機、温度計を装着したガラス製50mL容3つ口フラスコを乾燥した窒素で置換した後、5−シクロオクテン−1,2−ジオール(4.5g、32mmol)、cis−4−オクテン(19.7mg、0.176mmol)を溶解させたテトラヒドロフラン(THF)溶液15mLを仕込み、10分間攪拌した。これとは別に、実施例1で調製した触媒分散液1.0mLを、触媒分散液調製後1時間放置したものを用意しておき、これをTHF(5mL)にすばやく溶解させたのち、上記の反応器にすばやく移送し(移送時間約3分)、55℃で開環メタセシス重合(ROMP)を行った。1時間後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製 GC−14B;カラム:化学品検査協会製 G−100)により分析したところ、5−シクロオクテン−1,2−ジオールの消失を確認した。これに、エチルビニルエーテル(30.3mg、0.420mmol)を加え、引き続き減圧下で溶媒を留去し、数平均分子量が58,000のポリマー4.4g(収率97%)を得た。また、該ポリマーの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は10.3であった。
<実施例9>
実施例8において、触媒分散液を溶解させる際のTHF(5mL)をトルエン(5mL)に変更した以外は、実施例8と同様の方法にしたがって、数平均分子量が58,000のポリマー4.4g(収率97%)を得た。また、該ポリマーの分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は9.8であった。
<比較例1>
攪拌機を装着したガラス製25mL容3つ口フラスコを乾燥した窒素で置換した後、テトラヒドロフラン5.0mL、[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(5.95mg、7.01μmol)を加え、触媒溶液を調製した。
<比較例2>
比較例1で調製した触媒溶液を使用した以外は、実施例2と同様に反応を行ったところ、5−シクロオクテン−1,2−ジオールの転化率は73%であり、反応を完結することはできなかった。
<比較例3>
比較例1で調製した触媒溶液を25時間窒素下で保存し使用した以外は、実施例2と同様に反応を行ったところ、5−シクロオクテン−1,2−ジオールの転化率は11%であり、反応を完結することはできなかった。

Claims (4)

  1. ルテニウムカルベン錯体の存在下で行われる、下記式1
    Figure 0004988161
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。mおよびnは0〜4の整数を表し、mおよびnの数の合計は3以上である。)
    で示される環状モノオレフィンおよび下記式2
    Figure 0004988161
    (式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基またはカルボキシル基もしくはその塩を表し、これらの内のいずれか複数個はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。pおよびqは0〜4の整数を表し、pおよびqの数の合計は3以上である。)
    で示される環状ジオレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンの開環メタセシス重合方法において、該ルテニウムカルベン錯体を非溶解性媒体に分散させた分散体を可溶解性媒体に溶解させた後、0.001〜10分の範囲内に反応系に投入することを特徴とする開環メタセシス重合方法。
  2. 可溶解性媒体が、テトラヒドロフランおよび/またはトルエンである、請求項記載の開環メタセシス重合方法。
  3. ルテニウムカルベン錯体が、下記式3
    Figure 0004988161
    (式中、R19は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、R20、R21およびR22はそれぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基および置換されていてもよいアリール基からなる群より選ばれ、Lは、中性電子供与体から選ばれる。)
    で示される構造を有する、請求項1または2記載の開環メタセシス重合方法。
  4. 非溶解性媒体が、飽和炭化水素および/または炭素数4以上のアルコールである請求項1〜のいずれか1項に記載の開環メタセシス重合方法
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