JP2002356541A - 中性子線遮蔽材料 - Google Patents

中性子線遮蔽材料

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JP2002356541A
JP2002356541A JP2001164797A JP2001164797A JP2002356541A JP 2002356541 A JP2002356541 A JP 2002356541A JP 2001164797 A JP2001164797 A JP 2001164797A JP 2001164797 A JP2001164797 A JP 2001164797A JP 2002356541 A JP2002356541 A JP 2002356541A
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neutron
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JP2001164797A
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Akira Sasaki
昭 佐々木
Toru Furubayashi
徹 古林
Yoshinori Sakurai
良憲 櫻井
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大規模の注入装置や混合分散装置を必要とせ
ず、比較的短時間に大型で中性子線遮蔽材料及び、必要
に応じて2次賦形が可能であり成形が容易である中性子
線遮蔽材料を提供する。 【解決手段】 メタセシス重合可能なシクロオレフィン
類に中性子吸収能のある粉末を配合しメタセシス重合触
媒の存在下に重合させて得られる中性子線遮蔽材料。中
性子吸収能のある粉末が、ホウ素化合物、ホウ素鉱物、
リチウム化合物、リチウム鉱物であると好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中性子遮蔽材料で
あり、中性子を吸収・遮蔽する機能を有し所定の物性を
持つ中性子線遮蔽材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、原子力産業の発展に伴い、原子
炉、核燃料再処理工場、高速増殖炉、核融合施設等の原
子力施設、また放射線医療器具から発生する中性子線の
遮蔽保護は、人体に受ける中性子線の量を極力低減さ
せ、また各種原子力施設の構造材、機器材料を中性子線
による損傷から守る目的で重要視されている。また、施
設内で作業する人々にとって安全管理上必要不可欠のも
のになっている。このために、中性子線遮蔽材料の開発
は、原子力産業の発展に伴い、同時に寄与していかなけ
ればならない重要な課題になっている。
【0003】中性子線遮蔽材料としては、従来から無機
ホウ素化合物が代表的な成分とされている。使用形態は
ホウ素化合物を含有する中性子遮蔽材料がある。例え
ば、シリコーンに炭化ホウ素を分散させたもの(特開昭
53−73000号公報)、シリコーン樹脂に炭化ホウ
素および低融点釉薬を特定比で混合したもの(特開平1
−176998号公報)、アクリル樹脂、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂等に天然ホウ素鉱物を含有させる中
性子遮蔽材料(特開平9−176496号公報)などが
提案されている。
【0004】一般的には、中性子線遮蔽材料としてコン
クリートがよく使われている。また、水素密度の高い材
料が中性子の遮蔽に有効とされ、水、パラフィン、ポリ
エチレン等も使用されている。軽量化に対して、ポリオ
レフィン系熱可塑性樹脂等に、ホウ素化合物を混合させ
て使用する提案がなされ、例えば、ポリエチレン粉末を
配合したエポキシ樹脂(特開昭60−194394号公
報)、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体粉末を
配合したエポキシ樹脂(特開平3−25398号公報)
等で構成された中性子遮蔽材が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】天然ホウ素鉱物が中性
子吸収剤として、各種の樹脂結合剤に対して安定的な塗
装化およびモルタル化できることは明らかにされてい
る。一方エポキシ樹脂や硬化剤の併用、更にホウ素化合
物及び,無機充填剤を添加してなる組成物が得られるこ
とが明らかにされている。しかしながら、各種原子力施
設の構造材、機器材料等を中性子線による損傷から守る
には大型サイズの成形品が必要であり、これには、大型設
備の成形装置が必要であり大規模な注入装置や混合分散
装置を必要とする。低圧成形が容易にでき、しかも、複
雑な形状で大型サイズの成形が可能な中性子線遮蔽材料
は見当たらなかった。
【0006】本発明は、大規模の注入装置や混合分散装
置を必要とせず、比較的短時間に大型で中性子線遮蔽材
料及び、必要に応じて2次賦形が可能で、成形が容易に
できる中性子線遮蔽材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)メタセ
シス重合可能なシクロオレフィン類に中性子吸収能のあ
る粉末を配合しメタセシス重合触媒の存在下に重合させ
て得られる中性子線遮蔽材料である。 (2)中性子吸収能のある粉末がホウ素化合物またはリ
チウム化合物である上記(1)に記載の中性子線遮蔽材
料。 (3)中性子吸収能のある粉末がホウ素鉱物またはリチ
ウム鉱物である上記(1)または(2)に記載の中性子
線遮蔽材料。 (4)メタセシス重合可能なシクロオレフィン類100
重量部に対して、中性子吸収能のある粉末(ホウ素化合
物、ホウ素鉱物またはリチウム化合物、リチウム鉱物)
を20〜500重量部配合する上記(1)ないし(3)
のいずれかに記載の中性子線遮蔽材料。 (5)メタセシス重合可能なシクロオレフィン類100
重量部に対して、さらに酸化防止剤を0.05〜5重量
部配合する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の
中性子線遮蔽材料。 (6)メタセシス重合可能なシクロオレフィン類100
重量部に対して、さらに反応調整剤を0.001〜10
重量部配合する上記(1)ないし(5)のいずれかに記
載の中性子線遮蔽材料。 (7)メタセシス重合触媒が、一般式(a)、一般式
(b)及び一般式(c)で示されるメタセシス重合触媒
の少なくとも一種である上記(1)ないし(6)のいず
れかに記載の中性子線遮蔽材料。
【化4】
【化5】
【化6】 (式(a)、(b)、(c)で、Mはルテニウム又はオ
スミウム;R、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞ
れ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2
〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル
基、アリール基、炭素数1〜20のカルボキシレート
基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20の
アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、炭素数2〜2
0のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキ
ルチオ基、炭素数1〜20のアルキルスルフォニル基、
炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜
20のアルキルセレノ基、炭素数1〜20のアルキルセ
レニニル基又は炭素数1〜20のアルキルセレノニル基
から選ばれ、それぞれは炭素数1〜5のアルキル基、ハ
ロゲン、炭素数1〜5のアルコキシ基又はフェニル類で
置換されていても良く、前記フェニル類はハロゲン、炭
素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基
で置換されていても良い;X及びX1はアニオン性配位
子;L及びL1は中性の電子供与基を示す。)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の中性子線遮蔽材料を構成
する中性子吸収能のある粉末は、ホウ素化合物またはリ
チウム化合物であると好ましい。ホウ素化合物として、
オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などのホウ酸類、
ホウ酸亜鉛、ホウ酸バリウム、ホウ酸マグネシウムなど
のホウ酸塩類、炭化ホウ素、窒素ホウ素、酸化ホウ素、
フェロボロンなどのホウ素化合物、あるいは、ホウサン
石、カッペレナイト、ハイアロテカイト、ダンブライ
ト、ダトー石、ホミライト、オノ石、デンキ石、ジュモ
ルチェ石、セレンジバイト、マナンドナイト、ベーカー
ライト、シアーレサイト、リューネブルジャイトなどの
鉱物が挙げられる。リチウム化合物として、酸化リチウ
ム、水酸化リチウムなどの酸素化合物、塩化リチウム、
フッ化リチウムなどのハロゲン化物、炭酸リチウム、リ
ン酸リチウム、硝酸リチウムなどの酸素酸塩類、あるい
はリチアキ石、ペタル石、ユークリプタイト、ベニウン
モ、チンワルドウンモ、マナンドナイト、トリフィル
石、リシオフィライト、アンブリゴ石、フレモンタイ
ト、シックラー石などのリチウム鉱物が挙げられる。ま
た、同位体質量6のリチウムを濃縮したリチウム化合物
も利用できる。配合するに当たっては、上記ホウ素化合
物、ホウ素鉱物あるいはリチウム化合物、リチウム鉱物
を単独で、または複数の組み合わせ配合することもでき
る。ホウ素鉱物やリチウム鉱物は、コスト面から天然鉱
物を使用することが好ましい。
【0009】本発明で用いられるメタセシス重合可能な
シクロオレフィン類としては、二環体以上のノルボルネ
ン類及び炭素数4以上の単環シクロオレフィン類から選
ばれる少なくとも一種が使用できる。中でも置換又は非
置換のノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロ
ジシクロペンタジエンなどのノルボルネンが好適に用い
られる。
【0010】ノルボルネン類としては、ノルボルネン、
ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノル
ボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネ
ン、ブチルノルボルネン、5−アセチル−2−ノルボル
ネン、ジメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボ
キシレート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,
3−ジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2−カル
ボニトリル、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデ
ヒド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸モノメ
チルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン
酸ジメチルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボン酸ジエチルエステル、5−ノルボルネン−2,3
−ジカルボン酸ジ−n−ブチルエステル、5−ノルボル
ネン−2,3−ジカルボン酸ジシクロヘキシルエステ
ル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸ジベンジ
ルエステル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸
無水物、3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒ
ドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカ
ルボン酸、5−ノルボルネン−2−メタノール、6−ト
リエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−ノルボルネ
ン−2−オールなどの二環ノルボルネン、ジシクロペン
タジエン(シクロペンタジエンの二量体)、ジヒドロジ
シクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジ
メチルジシクロペンタジエン、などの三環ノルボルネ
ン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセ
ン、ジメチルシクロテトラドデセンなどの四環ノルボル
ネン、トリシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの
三量体)、テトラシクロペンタジエン(シクロペンタジ
エンの四量体)などの五環以上のノルボルネンが挙げら
れる。
【0011】2個以上のノルボルネン基を有する化合
物、例えばテトラシクロドデカジエン、対称型トリシク
ロペンタジエン等を用いることもできる。ノルボルネン
系以外のシクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテ
ン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエン、
1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、1,5,7
−シクロドデカトリエン、5,6−エポキシ−1−シク
ロオクテン、3,4−エポキシ−1−シクロオクテン、
5−メトキシ−1−シクロオクテン、5−ブロモ−1−
シクロオクテン、5−イソプロポキシ−1−シクロオク
テン、5−ホルミル−1−シクロオクテン、5−メトキ
シ−1−シクロオクテン、エチル−シクロオクト−1−
エン−5−カルボキシレート、(トリメチルシリル)シ
クロオクト−1−エン−5−カルボキシレート、テトラ
ヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデンなどのシ
クロオレフィン類も使用することができる。以上の化合
物は、単独でまた複数の混合物として用いることもでき
る。
【0012】本発明で用いられるメタセシス重合触媒
は、一般式(a)、一般式(b)及び一般式(c)で示
されるメタセシス重合触媒の少なくとも一種が好ましく
使用される。
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】
【化9】 (ここで、Mはルテニウム又はオスミウム;R、R1
2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に水素、炭素数
1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル
基、炭素数2〜20のアルキニル基、アリール基、炭素
数1〜20のカルボキシレート基、炭素数1〜20のア
ルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、ア
リールオキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニ
ル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜2
0のアルキルスルフォニル基又は炭素数1〜20のアル
キルスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキルセレノ
基、炭素数1〜20のアルキルセレニニル基又は炭素数
1〜20のアルキルセレノニル基から選ばれ、それぞれ
は炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン、炭素数1〜5
のアルコキシ基又はフェニル類で置換されていても良
く、前記フェニル類はハロゲン、炭素数1〜5のアルキ
ル基、炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていても
良い;XおよびX1はそれぞれ独立にアニオン配位子を
示す。アニオン配位子は、中心金属への配位を外したと
きに陰性電荷をもつ基のことである。このような基とし
ては、例えば、水素、ハロゲン、CF3CO2、CH3
2、CFH2CO2、(CH3)3CO、(CF3)2(CH3)C
O、(CF3)(CH3)2CO、炭素数1〜5のアルキル
基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基、フェノ
キシ基、トシル基、メシル基、トルフルオロメタンスル
ホネート基等があり、特に好ましいものは両方にハロゲ
ン(特に、塩素)である。
【0016】LおよびL1はそれぞれ独立に中性の電子
供与基を示す。中性の電子供与基は、中心金属への配位
を外したときに中性電荷をもつ基のことである。このよ
うな基としては、例えば、PR234(ここで、R2
2級のアルキル基またはシクロアルキル基、R3および
4はそれぞれ独立に、アリール基、炭素数1〜10の
1級アルキル基もしくは2級アルキル基、シクロアルキ
ル基を示す。)で表されるホスフィン系電子供与基や、
ピリジン、p-フルオロピリジン、イミダゾリリデン化
合物等がある。好ましいLおよびL1は、両方共に−P
(シクロヘキシル)3、−P(シクロペンチル)3、また
は−P(イソプロピル)3であるが、LおよびL1互いに
異なる電子供与基であっても良い。
【0017】これら触媒は、従来知られているような触
媒成分と活性化剤とを組み合わせた2液系の複分解触媒
系とは異なり、空気中の酸素や水分によって容易に触媒
活性を失わずにメタセシス重合性化合物を複分解(メタ
セシス)反応で開環重合させることができる。化合物
(触媒)の具体的なものは、たとえば式(1)〜(1
6)に挙げるような触媒である、特に式(3)に挙げる
ものが好ましい。式中、Mesはメシチル基を、また、
i−Prはイソプロピル基を示す。
【0018】
【化10】
【0019】
【化11】
【0020】
【化12】
【0021】メタセシス重合触媒は、単独に又は2種類
以上を組み合わせて使用できる。このとき、触媒量はメ
タセシス重合可能なシクロオレフィン類100重量部に
対し、0.001〜20重量部、好ましくは0.01〜
5重量部である。
【0022】上記の金属カルベン化合物は、公知の合成
法により得ることができる。例えば、Organometallics
第16巻、18号、3867ページ(1997年)に示されているプ
ロパギルクロライドを使用する方法が挙げられる。以下
に触媒の合成例を示す。 (合成例)500mlのFisher−Porter
bottleにシクロオクタジエンルテニウムジクロラ
イド(21mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン
(42mmol)、水酸化ナトリウム(7.2g)、酸
素を除去したsec−ブタノール250mlを入れ、水
素0.20MPa(2気圧)下で90℃で加熱する。水
素の吸収が終了するまで数回加圧を繰り返し、一晩撹拌
を続ける。水素の圧力をかけたままで室温まで冷却し、
淡黄色の沈殿物を得る。水30mlを加え沈殿物を濾過
し、水素気流中で乾燥して、Ru(H)2(H22(P
cy32を得る(収率約80%、cyはシクロヘキシル
を示す)。次に、このRu(H)2(H22(Pcy3
2(1.5mmol)をジクロロエタン溶液30mlに
溶解し、−30℃に冷却する。3−クロロ−3−メチル
−1−ブチン(1.5mmol)を加える。溶液は即座
に赤紫に変わり、そのまま15分反応させる。冷却浴を
はずし、脱ガスしたメタノール(20ml)を加えると
紫色の結晶が沈殿する。メタノールで洗浄し、乾燥させ
て前記一般式(a)のRuカルベン触媒(Cl) 2(P
cy32Ru=CH−CH=C(CH32を得る(収率
95%)。(参考文献:Organometallics 第16巻、18
号、3867ページ(1997年))
【0023】上記したメタセシス重合触媒を用いれば、
条件(触媒の使用量、反応温度、反応調整(抑制)剤の
使用等)を適当に選ぶことで重合(メタセシス)反応の
速度を任意に調整することができる。
【0024】本発明の中性子線遮蔽材料は、上記のメタ
セシス重合可能なシクロオレフィン類とメタセシス重合
触媒が必須成分であるが、必要に応じてフィラー、ガラ
ス繊維を混入することができる。また、シランカップリ
ング剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、着色剤、光安定
剤などを本発明の目的を損なわない範囲で添加すること
ができる。その他に改質材、反応調整剤などの添加剤を
必要に応じて添加することができる。改質材としては、
ゴム系エラストマ、ポリスチレン、飽和ポリエステル、
ポリエチレン、ポリイミド、アクリル樹脂、メタクリル
樹脂、ビニル樹脂等を使用することができる。反応調整
剤としては、トリフェニルフォスフィン、トリシクロヘ
キシルフォスフィン、トリシクロペンチルフォスフィ
ン、トリブチルフォスフィン、トリイソプロピルフォス
フィン等が使用でき、通常、シクロオレフィン類100
重量部に対して0.001〜10重量部を加えることが
できる。
【0025】本発明の中性子線遮蔽材料は、ホウ素化合
物、ホウ素鉱物またはリチウム化合物、リチウム化合物
である中性子吸収能のある粉末の充填混合ができる。通
常、シクロオレフィン類100重量部に対して20〜5
00重量部を加えることができる。
【0026】本発明の中性子線遮蔽材料は、低圧注形が
容易にできる。また、反応速度を反応調整剤によって調
整ができるために、大きなサイズの成形品もできること
を特徴とする。
【0027】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中、部とは特に限定しない限り重量部
を意味する。なお各実施例、比較例で得られた硬化物
は、以下の方法で試験片を評価した。 (a)中性子遮蔽性能評価法 厚さ1cm、縦横5cmの試験片を4枚重ね、表面及び
各試験片間に金箔(厚さ50μm)を、また、表面のみ
TLD(熱蛍光線量計)を置いた。また、カドミカバー
に挟んで金箔を用いて、熱中性子と熱外中性子とを分離
した評価を行なった。照射は熱中性子モードで行なっ
た。
【0028】(実施例1) (ジシクロペンタジエン(以下DCPDとする)樹脂
液)市販の純度約99重量%のDCPD100重量部に
トリフェニルホスフィン0.125重量部を添加してD
CPD樹脂液を作製した。 (触媒分散液)(3)式で示されるRuカルベン触媒8
重量部に流動パラフィン92重量部を添加して触媒分散
液を作製した。 (中性子吸収能のある粉末を含む試験片の作製)上記D
CPD樹脂液100重量部に触媒分散液を1重量部添加
し、1分間攪拌して触媒分散液を完全に溶解させた。更
にこの樹脂液へフッ化リチウム50重量部を添加し、3
分間攪拌して完全に溶解させた。このフッ化リチウム充
填樹脂液を、ガラス板2枚と厚さ10mmのスペーサで
厚みをとった注型ガラス板に注入した。硬化条件は、第
一工程で40℃×1時間、第二工程で140℃まで30
分間かけて昇温させ、第三工程で140℃×1時間硬化
させて硬化物を作製した。硬化物は所定の評価形状にカ
ットした。この硬化物は十分な中性子吸収能を有し、中
性子線遮蔽板として機能した。
【0029】(比較例1) (DCPD樹脂液)実施例1と同様に調整した。 (触媒分散液)実施例1と同様に調整した。 (試験片の作製)上記DCPD樹脂液に触媒分散液を実
施例1と同量添加し、1分間攪拌して触媒分散液を完全
に溶解させた。この樹脂液を、ガラス板2枚と厚さ3m
mのスペーサで厚みをとった注型ガラス板に注入した。
硬化条件は、第一工程で40℃×1時間、第二工程で1
40℃まで30分間かけて昇温させ、第三工程で140
℃×1時間硬化させて硬化物を作製した。
【0030】上記で得られた各硬化物の評価結果を表1
に示す。
【表1】
【0031】厚さに方向に単調に減衰している。例え
ば、深さ3cmにおいて、実施例1では表面の1/50
程度であったのに対して、比較例1では1/4程度にし
かなっていない。フッ化リチウムの中性子吸収能の効果
が確認された。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、中性子線の遮蔽に優れ
た材料で、大サイズの成形品を成形することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CE001 DD056 DE056 DE226 DH036 DK006 FD206 GR01 4J032 CA34 CA36 CA38 CD02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタセシス重合可能なシクロオレフィン
    類に中性子吸収能のある粉末を配合しメタセシス重合触
    媒の存在下に重合させて得られる中性子線遮蔽材料。
  2. 【請求項2】 中性子吸収能のある粉末がホウ素化合物
    またはリチウム化合物である請求項1に記載の中性子線
    遮蔽材料。
  3. 【請求項3】 中性子吸収能のある粉末がホウ素鉱物ま
    たはリチウム鉱物である請求項1または請求項2に記載
    の中性子線遮蔽材料。
  4. 【請求項4】 メタセシス重合可能なシクロオレフィン
    類100重量部に対して、中性子吸収能のある粉末を2
    0〜500重量部配合する請求項1ないし請求項3のい
    ずれかに記載の中性子線遮蔽材料。
  5. 【請求項5】 メタセシス重合可能なシクロオレフィン
    類100重量部に対して、さらに酸化防止剤を0.05
    〜5重量部配合する請求項1ないし請求項4のいずれか
    に記載の中性子線遮蔽材料。
  6. 【請求項6】 メタセシス重合可能なシクロオレフィン
    類100重量部に対して、さらに反応調整剤を0.00
    1〜10重量部配合する請求項1ないし請求項5のいず
    れかに記載の中性子線遮蔽材料。
  7. 【請求項7】 メタセシス重合触媒が、一般式(a)、
    一般式(b)及び一般式(c)で示されるメタセシス重
    合触媒の少なくとも一種である請求項1ないし請求項6
    のいずれかに記載の中性子線遮蔽材料。 【化1】 【化2】 【化3】 (式(a)、(b)、(c)で、 Mはルテニウム又はオスミウム;R、R1、R2、R3
    4及びR5は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜20の
    アルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2
    〜20のアルキニル基、アリール基、炭素数1〜20の
    カルボキシレート基、炭素数1〜20のアルコキシ基、
    炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、アリールオキシ
    基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数
    1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキル
    スルフォニル基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニ
    ル基、炭素数1〜20のアルキルセレノ基、炭素数1〜
    20のアルキルセレニニル基又は炭素数1〜20のアル
    キルセレノニル基から選ばれ、それぞれは炭素数1〜5
    のアルキル基、ハロゲン、炭素数1〜5のアルコキシ基
    又はフェニル類で置換されていても良く、前記フェニル
    類はハロゲン、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜
    5のアルコキシ基で置換されていても良い;X及びX1
    はアニオン性配位子;L及びL1は中性の電子供与基を
    示す。)
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