JPH05239124A - 開環重合体水素化物の製造方法 - Google Patents

開環重合体水素化物の製造方法

Info

Publication number
JPH05239124A
JPH05239124A JP7617492A JP7617492A JPH05239124A JP H05239124 A JPH05239124 A JP H05239124A JP 7617492 A JP7617492 A JP 7617492A JP 7617492 A JP7617492 A JP 7617492A JP H05239124 A JPH05239124 A JP H05239124A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
polymer
hydrogenation
reaction
opening
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7617492A
Other languages
English (en)
Inventor
Noboru Oshima
昇 大嶋
Akira Iio
章 飯尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Synthetic Rubber Co Ltd filed Critical Japan Synthetic Rubber Co Ltd
Priority to JP7617492A priority Critical patent/JPH05239124A/ja
Publication of JPH05239124A publication Critical patent/JPH05239124A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ノルボルネン化合物の開環重合体を水素化す
る際、触媒としてPd(Y)n(X)m(Yは中性配位
子、Xはアニオン、nは1〜4の整数、mは0.2また
は4を示す。)を用いる。 【効果】 ノルボルネン化合物の開環重合体を容易に高
い率で水素化することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、開環重合体水素化物の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン誘導体の開環重合体(開環
共重合体を含む。以下について同じ。)の水素化物は、
優れた光学特性および耐熱性を有する透明樹脂として有
用なものであり、各種の開環重合体水素化物およびその
製造方法が提案されている。かかる開環重合体水素化物
としては、例えば8−メチル−8−メトキシテトラシク
ロ[4.4.0.12.5 .17.10] −3−ドデセンを
W、Mo、Re、Tiなどの遷移金属化合物から選ばれ
た重合触媒、あるいは前記の遷移金属とLi、Mg、A
l、Snなどの有機金属化合物とを組み合わせてなる重
合触媒の存在下で開環重合反応を行なって得られる開環
重合体を、さらに水素化して得られる開環重合体水素化
物が知られている。
【0003】一方、炭素−炭素間二重結合を有する重合
体を水素化する方法として、 Ti、Co、Niなどの有機酸塩またはアセチルア
セトン塩と、Li、Mg、Al、Snなどの有機金属化
合物を組み合わせてなる、いわゆるチグラータイプの均
一系触媒を用いる方法、 バラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムなどの貴
金属をカーボン、アルミナ、シリカ・アルミナ、ケイソ
ウ土などの担体に担持してなる担持型貴金属触媒を用い
る方法、 ニッケルなどの卑金属を用いた固体触媒を用いる方
法、 Rh、Ruなどの貴金属錯体触媒を用いる方法 などが知られている。
【0004】しかしながら、これらの方法は、いずれも
工業的には十分に満足すべきものではない。すなわち、
の方法は、不均一系反応であるの方法に比して、少
量の触媒でしかも低い反応温度と低い水素圧の穏やかな
水素化学反応条件で反応が進行する特長があるが、この
の方法においては、触媒が空気、水、その他の極性化
合物によって失活しやすく、このため失活の原因となる
物質を予め除去したり、水素化反応それ自体を空気や水
を十分に遮断した状態で行なう必要があるなど、取扱い
が煩雑である。しかも極性の大きい溶媒を使用する場合
には、反応活性が低下するため使用することのできる溶
媒の範囲に制約がある。特に極性置換基を有するノルボ
ルネン系重合体などの極性基を有する重合体を水素化す
る場合において必要とされる当該重合体に対して、高い
溶解性を有し、しかも十分に高い反応活性が維持される
溶媒の選択は、実際上、困難である。
【0005】上記の方法は、水素化されるべき重合体
が極性基を有するものであっても水素化率が低下するこ
とがなく、水素化反応系に水が存在しても反応活性に大
きな影響を与えず、さらに使用に供した触媒を単に濾過
するだけで簡単に回収することができる利点があるが、
反面、高い水素化率を得るためには多量の触媒を使用す
ることが必要であり、また触媒の寿命が極めて短く、例
えば水素化反応をバッチ式で行なって触媒を再使用する
と、第二回目の水素化率は第一回目の水素化率に比して
大幅に低下してしまうという工業上致命的な欠点を有す
る。の方法は、使用する触媒は安価ではあるが、重合
体の水素化反応においては十分な水素化率を得ることが
できないという欠点を有する。の方法は、使用する触
媒が高価であって、しかもその活性が十分な高いもので
なく、触媒の回収および再使用が困難であり、結局、製
造コストが非常に高いものとなるという欠点を有する。
【0006】以上のように、上記の方法はいずれも工業
的に実施する上で必ずしも好適な方法ではなく、具体的
な重合体水素化物の性質などに応じて各種の触媒系が選
択されているのが実情である。また、例えば方法にお
いて、貴金属元素の中では比較的安価なRu金属やPd
金属の特定の錯体を用いる技術が報告されている(特開
昭64−45403号公報、特開昭64−45404号
公報、特開平1−113407号公報、特開平3−25
2405号公報参照)。これらの技術は、共役ジエン化
合物の重合体を水素化するためのものであるが、当該水
素化触媒は工業的な実施という観点から十分な活性を有
するものではないため、例えば水素化されるべき重合体
に対して、Ru金属として約800ppm もの多量の触媒
を使用する必要がある。また、水素化反応のための重合
体の溶液の濃度が低く制限され、従ってこの点において
も有利な方法ということはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】以上のように、従来
知られている水素化触媒は常に良好な触媒作用を発揮す
るものではなく、水素化されるべき重合体の種類、水素
化反応の条件などによって実際に得られる触媒効率が異
なり、ある重合体に対して高い水素化率が達成されるか
らといって、他の重合体に対しても同様の水素化率が期
待できるものではない。特に、重合体が水素化されるべ
き炭素−炭素間二重結合の近傍に大きな原子団による基
を有するテトラシクロドデセン化合物の開環重合体であ
る場合には、嵩高いトリシクロドデカン環が存在するた
め、立体障害が大きくて高い水素化率で水素化されるこ
とは困難とされている。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明の目的は、極性
基を有する特定のテトラシクロドデセン化合物の開環重
合体であっても、これを極めて高い水素化率で水素化す
ることができ、しかも容易に水素化反応を実行すること
のできる開環重合体水素化物の製造方法を提供すること
にある。本発明は、下記一般式(I)で表わされる少な
くとも一種のノルボルネン誘導体よりなる単量体(以下
「特定単量体」ともいう)またはこの単量体およびこれ
と共重合可能な共重合性単量体を、開環重合させて得ら
れる開環重合体中に存在する非芳香族炭素−炭素間二重
結合を、水素化触媒の存在下に水素化することにより開
環重合体水素化物を製造する方法において、水素化触媒
として下記一般式(II)で表わされるパラジウム化合
物を用いることを特徴とする。 一般式(I)
【0009】
【化2】 [式中、AおよびBは水素原子または炭素数1〜10の
炭化水素基であり、XおよびYは水素原子、ハロゲン原
子または一価の有機基を示し、mは0または1であ
る。] 一般式(II) Pb(Y)n(X)m [Yは一種以上の中性配位子、Xはアニオン、nは1〜
4の整数、mは0、2または4を示す。]
【0010】以下、本発明について具体的に説明する。
本発明においては、特定単量体をメタセシス触媒によっ
て開環重合して得られる開環重合体を、さらに水素化さ
せる場合において、当該水素化反応を特定のパラジウム
化合物よりなる水素化触媒を用いて行なう。
【0011】<特定単量体>本発明によって水素化され
るべき開環重合体を得るための原料として使用される特
定単量体は、上記一般式(I)表わされるノルボルネン
構造を有する化合物である。特定単量体のうち、上記一
般式(I)におけるXまたはYが極性基、特に式−(C
2 )nCOOR4 で表わされるカルボン酸エステル基
である特定単量体は、得られる重合体に水素化物が高い
ガラス転移温度と低い吸湿性を有するものとなる点で好
ましい。上記の式において、R4 は炭素原子数1〜12
の炭化水素基である。また、nの値が小さいものほど、
得られる重合体のガラス転移温度が高くなるので好まし
く、さらにnが0である特定単量体は、この合成が容易
である点で、また得られる重合体のガラス転移温度が高
いものとなる点で好ましい。さらに、上記一般式(I)
におけるAおよびBはアルキル基、特にメチル基である
ことが好ましく、特に、このアルキル基が上記のカルボ
ン酸エステル基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に
結合されていることが好ましい。また、上記一般式
(I)おいてmが1である特定単量体は、ガラス転移点
の高い重合体が得られる点でmが0のものより好まし
い。
【0012】上記一般式(I)で表わされる特定単量体
の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2
−エン、テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10
−3−ドデセン、ヘキサシクロ[6.6.1.13.6
2.7 .09.14]−4−ヘプタデセン、トリシクロ
[5.2.1.02.6 ]−8−デセン、ペンタシクロ
[6.5.1.13.6 .02.7 .09.13]−4−ペンタ
デセン、ペンタシクロ[8.7.0.12.9 .14.7
11.17 .03.8 .012.16 ]−5−イコセン、トリシ
クロ[4.4.0.12.5]−3−デセン、5−メトキシ
カルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボニルテ
トラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデ
セン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシク
ロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン、9
−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン、その他を挙
げることができる。上記の特定単量体は必ずしも単独で
用いられる必要はなく、二種以上を用いて開環共重合す
ることもできる。
【0013】<共重合性単量体>開環重合体は、上記の
特定単量体を単独で開環重合させたものであってもよい
が、当該特定単量体と共重合性単量体とを開環共重合さ
せたものであってもよい。この場合に使用される共重合
性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペン
テン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ
[5.2.1.02. 6 ]−3−デセンなどのシクロオレ
フィンを挙げることができる。さらに、ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、
エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリノ
ルボルネンなどの主鎖に、炭素−炭素間二重結合を含む
不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体を
開環重合させてもよい。そして、この場合に得られる開
環共重合体の水素化物は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料
として有用である。
【0014】<開環重合触媒>開環重合反応は、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金などの
白金族化合物の存在下に行なわれる。また、(a) W、M
o およびReの化合物から選ばれた少なくとも一種と、
(b) デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、N
a、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caな
ど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、
IIIA族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素
(例えばSi、Sn、Pbなど)あるいはIVB族元素
(例えばTi、Zrなど)の化合物であって、少なくと
も1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結
合を有するものから選ばれた少なくとも一種との組み合
わせからなる触媒であってもよく、またこの場合に触媒
の活性を高めるために、後述の添加剤(c) が添加された
ものであってもよい。
【0015】(a) 成分として適当なW、MoあるいはR
eの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5
ReOCl3 など特願平1−240517号公報に記載
の化合物を挙げることができる。 (b) 成分の具体例としては、n−C4 9 Li、(C2
5 )Al、(C2 5 2 AlCl、LiHなど特願
平1−240517号公報に記載の化合物を挙げること
ができる。 添加剤である(c) 成分の代表例としては、アルコール
類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用
いることができるが、さらに特開平1−240517号
公報に示される化合物を使用することができる。 (a) 成分と(b) 成分との割合は、金属原子比で(a):
(b) が1:1〜1:20、好ましくは1:2〜1:10
の範囲とされる。 (a) 成分と(c) 成分との割合は、モル比で(c) :(a) が
0.005:1〜10:1、好ましくは0.05:1〜
2:1の範囲とされる。
【0016】<開環重合反応溶媒>開環重合反応におい
て用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカ
ン類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオンタ
ン、デカリン、ノルボルネンなどのシクロアルカン類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメ
ンなどの芳香族炭化水素、クロルブタン、ブロムヘキサ
ン、塩化メチレン、ジクロルエタン、ヘキサメチレンジ
ブロミド、クロルベンゼンなどのハロゲン化アルカン、
アリールなどの化合物、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、
酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチルなどの飽和カ
ルボン酸エステル類、ジブチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げ
ることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ま
しい。
【0017】<開環重合体の分子量>本発明において水
素化反応の対象とされる開環重合体は、分子量の大きさ
が固有粘度(ηinh )で0.2〜5.0である範囲のも
のが好適である。一般的に分子量が大きくなるに従って
高い水素化率を得ることが困難となるが、本発明によれ
ば高分子量の重合体であっても比較的容易に高い水素化
率を得ることができる。開環重合体の分子量は重合温
度、触媒の種類、溶媒の種類によっても調整することが
できるが、より好ましくは、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン
類を反応系に共存させ、その量を変えることによって調
整することが好ましい。
【0018】<水素化触媒>本発明で使用する水素化触
媒は、上記の一般式(II)で表わされるパラジウム化
合物である。従って、本発明においては、パラジウム金
属やパラジウム金属を多孔性担体に担持させたものは用
いられない。一般式(II)において、Yは一種以上の
中性配位子、Xはアニオンを示し、nは1〜4の整数、
mは0、2または4のいずれかである。
【0019】中性配位子としては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン、ブタジエン、ペンタジエンなどのオレフィ
ン類;シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、シク
ロデカジエン、シクロドデカジエン、ノルボルナジエ
ン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン化合物;ア
セトニトリル、プロピオニトリル、シアン化アリル、ベ
ンゾニトリル、シクロヘキシルイソニトリルなどのニト
リル化合物;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、
ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン類;ピリジン、
2,2′−ビピリジンなどのピリジン類;アセチルアセ
トン、プロピオニルアセトンなどのβジケトン類;トリ
フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタンなど
の有機ホスフィン化合物;ジメチルスルフィド、メチル
エチルスルフィド、エチルイソブチルスルフィドなどの
モノスルフィド類などが挙げられる。中でも安定性の点
からニトリル化合物が好ましい。
【0020】アニオンとしては、フッ素、塩素、臭素、
よう素などのハロゲン、四フッ化ほう素、過塩素酸など
が挙げられる。溶解性の点から、塩素、四フッ化ほう素
が好ましい。これらの中性配位子とパラジウム化合物か
らなる錯体は、市販品として手に入るか、または「新実
験化学講座」第8、12巻(丸善1796年刊)や「貴
金属の化学と応用」(講談社、サンエンティフイック1
984年刊)などに従って合成できる。
【0021】かかるパラジウム錯体の具体的な例として
は、ジクロロオクタジエンパラジウム、テトラキスアセ
トニトリルパラジウムテトラフロロボレート、テトラキ
スベンゾニトリルパラジウムジテトラフロロボレート、
ジクロロビスアセトニトリルパラジウム、ジクロロビス
エチレンジアミンパラジウム、ビスアセチルアセトナト
パラジウム、トリストリフェニルフォスフィンアセトニ
トリルパラジウムテトラフロロボレート、ジクロロビス
トリエチルフォスフィンパラジウム、ジクロロビス(ジ
メチルスルフィド)パラジウム、ジベンゾイルスルフィ
ドパラジウム、ビス(2,2′−ビピリジン)パラジウ
ムパークロレート、テトラキス(ピリジン)パラジウム
ジクロライドなどが挙げられる。
【0022】本発明において、上記の水素化触媒の使用
量は、水素化されるべき重合体に対し、Pd金属の濃度
で100〜2000ppm であり、好ましくは150〜2
000ppm 、特に好ましくは20〜500ppm である。
水素化触媒の使用量が10ppm の未満の場合には反応速
度が遅くなり、一方、2000ppm を超える場合には、
水素化触媒を多量に用いることに比例した効果を得るこ
とはできず、しかも使用に供された触媒を十分に回収す
ることが困難となるので、コストが高いものとなる。本
発明においてパラジウム化合物は予め別に調製したもの
を用いてもよいし、パラジウム化合物を形成するための
各原料を反応系に添加してもよい。
【0023】<水素化反応溶媒>本発明による水素化反
応は、水素化されるべき開環重合体が液体である場合お
よび比較的低温で溶融するものである場合には、溶媒を
用いずに行なうことが可能であるが、通常は開環重合体
を溶媒に溶解し、この溶液について水素化反応を行な
う。本発明の方法において使用される水素化触媒は、溶
媒の種類によって反応活性が影響されないものであり、
従って本発明において溶媒として用いられるものは、対
象とする開環重合体を溶解し、しかもそれ自体が水素化
されないものであれば、いずれの溶媒であってもよい。
【0024】具体的には前記開環重合反応溶媒と同様の
ものを挙げることができ、これらのうち、芳香族炭化水
素、特にキシレン、エチルベンゼンおよびこれらの混合
物などが好ましい。水素化反応処理に付される開環重合
体溶液の濃度は特に限定されるものではないが、通常1
〜80重量%であることが好ましく、さらに好ましくは
5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%であ
る。一般に、開環重合体溶液の濃度が小さい場合は経済
的に不利であり、濃度が過大であると溶液の粘度が大き
くなるため反応速度が低下する傾向があるが、本発明に
おいては高濃度であっても比較的水素化しやすい。
【0025】<水素化反応>水素化反応の温度は、通常
0〜200℃とされ、好ましくは60〜180℃、さら
に好ましくは80〜170℃である。この温度が低い場
合には大きい反応速度が得られず、一方、温度が高過ぎ
ると触媒が失活するおそれがあるので好ましくない。反
応系の圧力は、通常1〜200kg/cm2 とされ、好まし
くは2〜150kg/cm2 であり、さらに好ましくは5〜
120kg/cm2 である。圧力が低過ぎる場合には大きい
反応速度が得られず、一方、圧力を高くすると大きい反
応速度が得られるが、装置として高価な耐圧装置が必要
になるので経済的でない。反応に要する時間は、開環重
合体の濃度、圧力とも関連するが、通常、10分間〜1
00時間の範囲で選定される。
【0026】本発明において用いられる水素化触媒は、
開環重合触媒が(a) タングステン、モリブデン、チタン
から得らばれる一種以上の化合物と、(b) 有機アルミニ
ウム、有機リチウム、有機スズから得らばれる一種以上
の化合物とからなる場合には、この開環重合触媒によっ
て被毒されないので、開環重合反応後の重合体溶液に水
素化触媒を直接添加して水素化反応を行ない、水素化反
応終了後に開環重合触媒と水素化触媒を同時に除去する
手段を採用することができる。そしてこの場合には、重
合体溶液からの開環重合触媒の除去工程、開環重合体の
回収工程および開環重合体の溶媒への溶解工程などの工
程が省略されるので、工業的実施において好適である。
【0027】上記のにように、水素化触媒が開環重合触
媒によって被毒されない場合には開環重合反応終了後の
重合体溶液をそのまま用いて水素化反応を行なっても水
素化率が低下することはないが、水素化反応における反
応温度が高い場合には水素化反応中に重合体の分子量の
増大が起こることがあるので、開環重合反応によって得
られた重合体溶液に活性水素化合物を添加し、その後に
水素化触媒を添加することが好ましい。ここに、活性水
素化合物としては、水、アルコール、フェノール、アミ
ン、カルボン酸、無機酸などを好ましく挙げることがで
き、特に好ましいものは水、アルコールおよびアミンで
ある。活性水素化合物の添加量は、開環重合触媒の金属
に対し当量比で、通常0.1〜1000倍とされ、好ま
しくは0.5〜500倍、さらに好ましくは1〜100
倍である。活性水素化合物の添加量が過大である場合に
は反応活性が低下することがある。
【0028】<水素化触媒の除去>水素化反応の終了
後、水素化触媒は吸着剤による吸着分離法、有機酸およ
び/または無機酸の存在下に水または低級アルコールに
よる洗浄除去法など公知の手段により、反応溶液から分
離回収される。反応溶液から開環重合体水素化物を分離
回収するためには、重合体溶液から重合体を回収する際
に通常使用される方法をそのまま用いればよく、例えば
反応溶液と水蒸気を直接接触させる水蒸気凝固法、反応
溶液に貧溶媒を添加して重合体を沈殿させる方法、反応
溶液を容器内で加熱して溶媒を留去させる方法、ベント
付押出機で溶媒を除去しながらペレット化まで行なう方
法などを挙げることができ、開環重合体水素化物および
用いた溶媒の性質などに応じて適宜の方法を採用するこ
とができる。
【0029】本発明によって得られる開環重合体水素化
物には、その目的に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、
滑剤、着色剤、顔料などを添加することができる。その
添加手段としては、水素化反応終了後の重合体溶液に添
加する手段、開環重合体水素化物をペレット化するとき
に添加する手段などがあり、特に限定されるものではな
い。本発明によって得られる開環重合体水素化物は耐熱
性、耐候性、耐オゾン性が大きいものであり、広範囲の
用途に使用することができ、例えばレンズ、光ディスク
基板、光ファイバーなどの光学材料のほか、窓ガラス、
自動車ガラス、フィルム、シートおよび一般成形材料と
して各種成形品の製造に用いることができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれらによって限定されるものではない。以下
において、水素化率の値は、100MHz で測定された核
磁気共鳴吸収スペクトル(NMR)において、δ=4.
5〜6.0ppm の炭素−炭素二重結合に帰属されるピー
クが水素化反応によって減少する大きさを基礎として算
出されたものである。また、固有粘度はクロロフォルム
中、30℃、濃度0.5g/デシリットルで測定した。
【0031】<開環重合体の製造>合成例1 窒素ガスで置換された反応容器内に、特定単量体として
8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.
4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセンの500g
と、トルエン1700ミリリットルと、分子量調節剤で
ある1−ヘキセン83gと、開環重合触媒であるWCl
6 の濃度0.05M/リットルのクロルベンゼン溶液
8.5ミリリットル、パラアルデヒドの濃度0.1M/
リットルの1,2−ジクロルエタン溶液4.3ミリリッ
トルおよびジエチルアルミニウムクロリドの濃度0.8
M/リットルのトルエン溶液11ミリリットルとを加
え、60℃で4時間開環重合反応を行ない、重合体溶液
1を得た。この重合体溶液1を多量のメタノール中に投
入して開環重合体を析出させて破砕、濾別し、洗浄およ
び乾燥して492gの開環重合体1を得た。
【0032】合成例2 合成例1と同様の方法により開環重合を行なって濃度2
4重量%の重合体溶液1を得た。合成例3 トルエンを混合キシレンに代えたこと以外は合成例1と
同様の方法により開環重合を行ない、これにメタノール
を5g添加して濃度24重量%の重合体溶液3を得た。合成例4 窒素置換された反応容器内に、特定単量体としてテトラ
シクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデセン
350gと、ペンタシクロ[6.5.1.13. 6 .0
2.7 .09.13]−4−ペンタデセン150gと、トルエ
ン2000ミリリットルと、分子量調節剤である1−ヘ
キセン7.5ミリリットルと、開環重合触媒であるTi
Cl4 の濃度1.0M/リットルのトルエン溶液15ミ
リリットル、トリエチルアミン0.1M/リットルのト
ルエン溶液の20ミリリットルおよびトリエチルアルミ
ニウムの濃度1.0M/リットルのトルエン溶液の80
ミリリットルとを加え、25℃で2.5時間開環重合反
応を行なって重合体溶液4を得た。この重合体溶液4を
多量のメタノール中に投入して開環重合体を析出させて
破砕、濾別し、洗浄および乾燥して260gの開環重合
体4を得た。
【0033】合成例5 特定単量体として8−メチル−8−カルボキシメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデ
セン450gおよび5−メチル−5−メトキシカルボニ
ルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン50gを用
いたこと以外は、合成例1と同様にして開環重合反応お
よび析出処理を行なって490gの開環重合体5を得
た。合成例6 特定単量体として8−メチル−8−カルボキシメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12.5 .17.10]−3−ドデ
セン450gおよびジシクロペンタジエン50gを用い
たこと以外は、合成例1と同様にして開環重合反応およ
び析出処理を行なって490gの開環重合体6を得た。合成例7 トルエンを混合キシレンに代え、さらに1−ヘキセンの
使用量を70gに変更したこと以外は、合成例1と同様
にして開環重合反応を行ない、これにメタノールを5g
添加して重合体溶液7を得た。合成例8 トルエンを混合キシレンに代え、さらに1−ヘキセンの
使用量を60gに変更したこと以外は、合成例1と同様
にして開環重合反応を行ない、これにメタノールを5g
添加して重合体溶液8を得た。
【0034】実施例1 合成例1で得た開環重合体1の80gをトルエン320
gに溶解して濃度20重量%の重合体溶液を調製し、こ
の重合体溶液を電磁誘導撹拌機を具えてなる高圧オート
クレーブに仕込み、エヌ・イー・ケムキャット製、パラ
ジウム化合物PdCl2 (PPh3 2 を水素化触媒と
して265mg添加した。そして、高圧オートクレーブに
水素ガスを導入した後、攪拌下165℃まで昇温させ
た。このときの圧力は40kg/cm2 であった。この温度
で4時間保って水素化反応させ、温度を室温まで戻し、
水素ガスを放出させ、その後反応溶液を塩酸−メタノー
ル溶液で凝固させ、真空乾燥して開環重合体水素化物を
得た。実施例2 開環重合体1の溶液の代わりに合成例2で得た重合体溶
液1の400gを用い、水素化触媒の使用量を315mg
に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水素化反
応を行なって開環重合体水素化物を得た。実施例3 開環重合体1の溶液の代わりに合成例3で得た重合体溶
液3の400gを用い、水素化触媒の使用量を315mg
に変更したこと以外は、実施例1と同様にして水素化反
応を行なって開環重合体水素化物を得た。実施例4 開環重合体1の代わりに合成例4で得た開環重合体4の
80gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして水素
化反応を行なって開環重合体水素化物を得た。
【0035】実施例5 開環重合体1の代わりに合成例5で得た開環重合体5の
80gを用い、水素化反応溶媒としてトルエンに代えて
混合キシレンを用い、また水素化反応温度を100℃、
水素化反応の時間を12時間に変更したこと以外は、実
施例1と同様にして水素化反応を行なって開環重合体水
素化物を得た。実施例6 開環重合体1の代わりに合成例6で得た開環重合体6の
80gを用い、水素化反応溶媒としてトルエンに代えて
混合キシレンを用い、また水素化反応の温度を120
℃、水素化反応の時間を6時間に変更したこと以外は、
実施例1と同様にして水素化反応を行なって開環重合体
水素化物を得た。実施例7 重合体溶液1の代わりに合成例7で得た重合体溶液7の
400gを用いたこと以外は、実施例2と同様にして水
素化反応を行なって開環重合体水素化物を得た。実施例8 重合体溶液1の代わりに合成例8で得た重合体溶液8の
250gおよび混合キシレン150gからなる溶液を用
い、パラジウム化合物の使用量を200mgに変更したこ
と以外は、実施例2と同様にして水素化反応を行なって
開環重合体水素化物を得た。実施例9 水素化触媒として、パラジウム化合物Pd(COD)C
2 130mgを用いたこと以外は、実施例3と同様にし
て水素化反応を行なって開環重合体水素化物を得た。
【0036】実施例10 水素化触媒として、パラジウム化合物PdCl2 (CH
3 CN)2 の120mgを用いたこと以外は、実施例3と
同様にして水素化反応を行なって開環重合体水素化物を
得た。実施例11 水素化触媒として、パラジウム化合物Pd(AcAc)
2 の140mgを用いたこと以外は、実施例3と同様にし
て水素化反応を行なって開環重合体水素化物を得た。比較例1〜 2 水素化触媒として、塩化パラジウムPdCl2 80mgま
たは硝酸パラジウムPd(CN3 2 100mgを用いた
以外は、実施例3と同様にして水素化学反応を行なっ
た。水素化率を表2に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表1および表2の結果から理解されるよう
に、本発明の方法によれば、水素化されるべき重合体
が、炭素−炭素間二重結合の近傍に大きな原子団による
基を有するテトラシクロドデセン化合物の開環重合体で
あっても極めて高い水素化率で水素化することができ、
しかも開環重合体溶液がゲル化することもなく、極めて
円滑に水素化反応を実行することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定のパラジウ
ム化合物よりなる水素化触媒を用いるため、水素化され
るべき重合体が、特定のテトラシクロドデセン化合物の
開環重合体であっても極めて高い水素化率で水素化する
ことができ、しかも容易に水素化反応を実行することが
でき、また水素化反応処理に付されるものが開環重合体
溶液である場合にも、当該開環重合体溶液のゲル化が抑
制され、結局、開環重合体濃度の高い重合体溶液を水素
化反応に供することができ、この点においても、工業的
に有利に水素化反応を高い効率で実行することができ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされる少なくと
    も一種のノルボルネン誘導体よりなる単量体またはこの
    単量体およびこれと共重合可能な共重合性単量体を開環
    重合させて得られる開環重合体中に存在する非芳香族性
    炭素−炭素間二重結合を水素化触媒の存在下に水素化す
    ることにより開環重合体水素化物を製造する方法におい
    て、水素化触媒として下記一般式(II)で表わされる
    パラジウム化合物を用いることを特徴とする開環重合体
    水素化物の製造方法。 一般式(I) 【化1】 [式中、AおよびBは水素原子または炭素数1〜10の
    炭化水素基であり、XおよびYは水素原子、ハロゲン原
    子または一価の有機基を示し、mは0または1であ
    る。] 一般式(II) Pd(Y)n(X)m [Yは一種以上の中性配位子、Xはアニオン、nは1〜
    4の整数、mは0、2または4を示す。]
JP7617492A 1992-02-27 1992-02-27 開環重合体水素化物の製造方法 Pending JPH05239124A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7617492A JPH05239124A (ja) 1992-02-27 1992-02-27 開環重合体水素化物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7617492A JPH05239124A (ja) 1992-02-27 1992-02-27 開環重合体水素化物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05239124A true JPH05239124A (ja) 1993-09-17

Family

ID=13597737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7617492A Pending JPH05239124A (ja) 1992-02-27 1992-02-27 開環重合体水素化物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05239124A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6197894B1 (en) 1997-05-28 2001-03-06 Mitsui Chemicals, Inc. Preparation of hydrogenated product of cyclic olefin ring-opening metathesis polymer
KR100475546B1 (ko) * 2001-01-05 2005-03-10 삼성전자주식회사 노르보넨계 수지의 제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6197894B1 (en) 1997-05-28 2001-03-06 Mitsui Chemicals, Inc. Preparation of hydrogenated product of cyclic olefin ring-opening metathesis polymer
KR100475546B1 (ko) * 2001-01-05 2005-03-10 삼성전자주식회사 노르보넨계 수지의 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3060532B2 (ja) 開環重合体水素化物の製造方法
JP4691867B2 (ja) 環状オレフィンの開環重合体水素化物の製造方法
JP2003516437A (ja) 不飽和ポリマー特に芳香族ポリマーを水素化する方法
JPH072929A (ja) 開環重合体水素化物の製造方法
JPH02227424A (ja) 透明性重合体の製造方法
JPH11116614A (ja) α−オレフィン−環状オレフィン共重合体の製造方法
JPH05239124A (ja) 開環重合体水素化物の製造方法
KR20120083474A (ko) 폴리머의 정제 방법 및 폴리머
JPH0366725A (ja) 重合体の製造方法
JPH0543663A (ja) 熱可塑性ノルボルネン系重合体水素添加物の製造方法
JP4944787B2 (ja) 有機遷移金属錯体化合物およびメタセシス触媒の製造方法
JPH07149823A (ja) 開環重合体水素化物の製造方法
JP3696388B2 (ja) 環状オレフイン系開環メタセシス重合体水素添加物の製造方法
US6426396B2 (en) Process for producing poly (cyclic conjugated diene)
JPH04108809A (ja) 重合体の水素化方法
EP1884519B1 (en) Metal hydride complex, method of hydrogenating ring-opening polymerization polymer of cycloolefin, and process for producing product of hydrogenation of ring-opening polymerization polymer of cycloolefin
JP3928407B2 (ja) 開環重合体および開環重合体水素化物の製造方法
JP2697195B2 (ja) 開環重合体の水添方法
JP2684796B2 (ja) 重合体の水添方法
EP0375780A1 (en) Ring-opening polymers and process for their production
JPH0673168A (ja) 開環重合体の製造法
JPH03247604A (ja) 重合体の水添方法
JP3696372B2 (ja) 環状オレフィン系開環メタセシス重合体の精製方法
Novikova et al. Pd complexes of (RR)-and (SS)-1, 5-methylbenzyl-3, 7-diphenyl-1, 5-diaza-3, 7-diphosphacyclooctane as catalysts in alternating cooligomerization of CO with dienes
JP3478351B2 (ja) ジシクロペンタジエン系開環重合体水素添加物の製造方法