JP4435087B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は二次電池に関するものであり、特にエネルギー密度が高く、高容量で充放電の安定性に優れた二次電池に関する。
本発明に関する現時点での技術水準をより十分に説明する目的で、本願で引用され或いは特定される特許、特許出願、特許公報、科学論文等の全てを、ここに、参照することでそれらの全ての説明を組入れる。
近年、ノート型パソコン、携帯電話など小型あるいは携帯電子機器の急速な市場拡大に伴い、これらに用いられる電池に対して軽量化および高容量化に対する要求が高まっている。この要求に応えるために、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンを荷電担体として、その電荷授受に伴う電気化学反応を利用した二次電池が盛んに開発されている。なかでも、リチウムイオン二次電池は安定性に優れたエネルギー密度の大きな高容量電池として種々の電子機器に利用されている。このようなリチウムイオン二次電池は、活物質として正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムといったリチウム含有遷移金属酸化物、負極に炭素を用いたものであり、これら活物質へのリチウムイオンの挿入、脱離反応を利用して充放電を行っている。
しかしながら、このリチウムイオン二次電池は、特に正極に比重の大きな金属酸化物を用いているため、単位質量当たりの電池容量には改善の余地があり、より軽量の電極材料を用いて高容量電池を開発しようとする試みが検討されてきた。
例えば、米国特許第4,833,048号明細書および日本国特許第2715778号明細書には、ジスルフィド結合を有する有機化合物を正極に用いた電池が開示されている。これはジスルフィド結合の生成、解離を伴う電気化学的酸化還元反応を電池の原理として利用したものである。これらの電池は硫黄や炭素といった比重の小さな元素を主成分とする電極材料から構成されているため、高エネルギー密度の大容量電池という点において一応の効果を示すことができる。しかし、解離した結合が再度結合する効率が小さいことや活物質の電解液への拡散のため、充放電サイクルを重ねると容量が低下しやすいという問題がある。
一方、同じく有機化合物を利用した電池として、導電性高分子を電極材料に用いた電池が提案されている。これは導電性高分子に対する電解質イオンのドープ、脱ドープ反応を原理とした電池である。ここで述べるドープ反応とは、導電性高分子の酸化もしくは還元によって生ずる荷電ソリトンやポーラロン等のエキシトンを、対イオンによって安定化させる反応のことである。一方、脱ドープ反応とはその逆反応に相当し、対イオンによって安定化されたエキシトンを電気化学的に酸化もしくは還元する反応のことを示している。米国特許第4,442,187号明細書には、このような導電性高分子を正極もしくは負極の材料とする電池が開示されている。この電池は、炭素や窒素といった比重の小さな元素のみから構成されたものであり、高容量電池として開発が期待された。
しかし、導電性高分子には、酸化還元によって生じるエキシトンがπ電子共役系の広い範囲に亘って非局在化し、それらが相互作用するという性質がある。これは発生するエキシトンの濃度に限界をもたらすものであり、電池の容量を制限するものである。このため、導電性高分子を電極材料とする電池では軽量化という点では一応の効果を示すものの、大容量化という点においては未だ改善の余地があった。
以上述べたように、高容量電池を実現するために、遷移金属含有活物質を利用しない様々な電池の提案がなされている。しかし、エネルギー密度が高く、高容量で充放電の安定性に優れた電池は未だ得られていない。
上記のとおり、正極に遷移金属酸化物を用いるリチウムイオン電池では、元素の比重が大きいため、現状を上回る高容量電池の製造が原理的に困難であった。このため、高容量電池を実現するために、遷移金属含有活物質を利用しない様々な電池の提案がなされているが、エネルギー密度が高く、高容量で、充放電の安定性に優れた電池は未だ得られていない。
そこで本発明は、エネルギー密度が高く、高容量で、充放電サイクル特性に優れた二次電池を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意検討した結果、低質量の原子のみから構成されているにもかかわらず、今までに電極の活物質として利用されなかった特定の有機化合物、すなわち式(1)で表される繰り返し単位を分子中に有する重合体が電極の活物質として利用できることを見出した。本発明によれば、式(1)で表される繰り返し単位を分子中に有する重合体を電極活物質として用いることにより高容量密度の電極を得ることができるため、高エネルギー密度、高容量かつ充放電の安定性に優れた電池を提供することができる。
すなわち本発明は、少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質として、式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含むことを特徴とする二次電池に関する。
Figure 0004435087
(式(1)においてR1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、ハロゲン原子、又はR1とR3、R2とR4のいずれかもしくは両方が環状につながったアルキレン基を表す。)
また本発明は、前記重合体を正極活物質として含有する前記二次電池に関する。
二次電池において、電極活物質は電極反応により酸化もしくは還元されるため、電極活物質は出発状態と酸化もしくは還元状態の何れかの状態を取り得る。本発明において、前記重合体は、出発状態と酸化もしくは還元された状態の何れかの状態で電極中に含有され得る。
すなわち本発明は、正極および負極の少なくとも一方の電極反応における反応物もしくは生成物として、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする二次電池に関する。また本発明は、前記重合体を、正極反応における反応物もしくは生成物として含有する前記二次電池に関する。
また本発明は、正極および負極の少なくとも一方の電極反応において式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を生成し得る化合物を含有することを特徴とする二次電池に関する。前記重合体は、電極反応の中間体として電極中に含有され得る。また本発明は、前記化合物を正極に含有する前記二次電池に関する。
また本発明は、リチウム二次電池である前記いずれかの二次電池に関する。
本発明は、上記の重合体が、正極もしくは負極での電極反応に直接寄与し、電極活物質として優れていることを見出したことに基づいてなされたものである。これは、式(1)で表される繰り返し単位を分子中に有する重合体が可逆に安定した酸化還元反応を起こすことによる。すなわち、式(1)で表される繰り返し単位を分子中に有する重合体を活物質として用いることにより、充放電を安定して行うことができ、サイクル特性に優れた二次電池を提供できる。また、式(1)で表される繰り返し単位を分子中に有する重合体は、炭素、窒素、水素、酸素という質量の小さい元素のみから構成することができる。このため、活物質の質量を小さくでき、これを用いて製造した電極の単位質量あたりの容量密度は大きくなり、その結果、この活物質を用いて作製した電池は、単位質量当たりのエネルギー密度を大きくすることができる。
上記の重合体を活物質として用いる電極は正極もしくは負極のいずれかに限定されるものではない。ただし、エネルギー密度の観点から、特に正極の電極活物質としてこの重合体を用いることが好ましい。また、本発明の二次電池は、高容量が得られるという点から特にリチウム二次電池であることが好ましい。
本発明の電池の構成例を示す概略図である。
図1に本発明の電池の一実施形態の構成を示す。図1に示された電池は、正極5と負極集電体1上に配置した負極3とを電解質を含むセパレータ4を介して対向するように重ね合わせ、さらに正極5上に正極集電体6を重ね合わせた構成を有している。負極集電体1と正極集電体6との間には、両者の電気的接触を防ぐ目的で、プラスティック樹脂等の絶縁性材料からなる絶縁パッキン2が配置される。なお、固体電解質やゲル電解質を用いる場合は、セパレータに代えてこれら電解質を電極間に介在させる形態にすることもできる。
本実施形態では、このような構成において、負極3もしくは正極5または両電極に用いられる活物質として、前記式(1)で表される繰り返し単位を分子中に有する重合体を含有する。
本発明の電池は、電池容量の点から、正極活物質として前記式(1)で表される繰り返し単位を分子中に有する重合体を含有する正極を有するリチウム二次電池とすることが好ましい。
[1]活物質
本発明における電極の活物質とは、充電反応および放電反応等の電極反応に直接寄与する物質のことであり、電池システムの中心的役割を果たすものである。
本発明では活物質として前記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を用いることができる。
前記式(1)において、置換もしくは非置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状の置換もしくは非置換のアルキル基が挙げられ、これらの炭素数は1から10が好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられ、一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
前記式(1)において置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基としては、炭素数1から18のものが特に好ましい。具体的には、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フルオレニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
前記式(1)において置換または非置換の芳香族複素環基としては、炭素数1から18のものが特に好ましい。具体的には、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
前記式(1)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、一種単独または二種以上を組み合わせて有することができる。
前記式(1)において、環状につながったアルキレン基としては、エチレン基(−CH2CH2−)、トリメチレン基(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、プロピレン基(−CH(CH3)CH2−)、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基等が挙げられる。
本発明において電極に含有される式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体の骨格構造は鎖状、分岐状、網目状の何れであってよい。また、その平均分子量は特に限定されないが、1000以上であることが好ましい。これは、分子量が高いと、電池用電解液に対する重合体の溶解性が低下し、充放電サイクルの安定性が高くなるためである。
Figure 0004435087
式(1)で表される繰り返し単位としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0004435087
Figure 0004435087
Figure 0004435087
Figure 0004435087
Figure 0004435087
Figure 0004435087
式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体としては、下記式(2)で表される重合体を挙げることができる。
Figure 0004435087
式(2)においてR1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、ハロゲン原子、又はR1とR3、R2とR4のいずれかもしくは両方が環状につながったアルキレン基を表す。
式(2)中のR1、R2、R3及びR4は、式(1)中のR1、R2、R3及びR4として例示した前述のものを挙げることができる。また、式(2)中のnは正の整数を示す。式(2)で表される重合体は、繰り返し単位が一種の単独重合体であっても良いし、異なる二種以上の繰り返し単位からなる重合体であってもよい。さらに式(1)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含有する重合体であってもよい。式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体における式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、単位質量あたりの容量の点から多いほど良く、例えば60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体として、以下の式(3)から式(10)で表される構造をもつ重合体が挙げられる。式(3)〜(9)中のnは正の整数を示す。式(10)で表される重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、式中のn、mは組成比率を示す。
Figure 0004435087
Figure 0004435087
Figure 0004435087
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Figure 0004435087
Figure 0004435087
式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体は、例えば以下の方法で得ることができる。まず、下記式(11)で表されるアジリジン誘導体を合成し、これをカチオン開環重合することにより下記式(12)で表される重合体を合成する。用いることができるカチオン開環重合触媒としては三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウム、エチルアルミジクロリド、ジエチルアルミクロリド、四塩化チタン、四塩化スズ、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、りん酸、過塩素酸、硫酸ジエチルなどが挙げられる。得られた重合体を過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸等の有機過酸、ペルオキソ硫酸などの酸化剤で酸化することにより得ることができる。
Figure 0004435087
式(11)においてR1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、ハロゲン原子、又はR1とR3、R2とR4のいずれかもしくは両方が環状につながったアルキレン基を表す。
Figure 0004435087
式(12)においてR1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、ハロゲン原子、又はR1とR3、R2とR4のいずれかもしくは両方が環状につながったアルキレン基を表す。
式(11)及び式(12)中のそれぞれのR1、R2、R3及びR4は、式(1)中のR1、R2、R3及びR4として例示した前述のものを挙げることができる。また、式(12)中のnは正の整数を示す。式(12)で表される重合体は、繰り返し単位が一種の単独重合体であっても良いし、異なる二種以上の繰り返し単位からなる重合体であってもよい。
原料である式(11)で表されるアジリジン誘導体は、G.L.クロス(G.L.Closs)、S.J.ブロイス(S.J.Brois)、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(Jornal of the American Chemical Society)、82巻、6068頁〜6070頁(1960年)に記載の方法により合成することができる。
一般に、ラジカル濃度はスピン濃度で表すことができる。スピン濃度は、例えば電子スピン共鳴(ESR)スペクトルの吸収面積強度から、本発明の活物質の単位重量あたりのスピン量(spin/g)として求めることができる。本発明における活物質のスピン濃度は、たとえば1秒以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは24時間以上にわたって、通常、1020spin/g以上に保たれていることが好ましく、さらに5×1020spin/g以上に保たれていることがより好ましい。
本発明の二次電池における前記重合体は固体状態であっても、また電解質へ溶解または分散した状態であってもよい。ただし、固体状態で用いる場合は、電解液への溶解による容量低下を抑える点から、電解液に対し不溶性または低溶解性のものが好ましい。また、本発明の電池の一つの極において、活物質である式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体は、一種単独で用いることができるが、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、他の活物質と組み合わせて用いてもよい。
本発明の電池は、正極もしくは負極の一方の電極反応、または両方の電極反応における活物質として、前記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体が用いられるが、この重合体を一方の電極反応に活物質として用いる場合、他方の電極反応に用いられる活物質として従来公知のものが利用できる。
例えば負極に式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を用いる場合には、正極活物質として金属酸化物粒子、ジスルフィド化合物、導電性高分子等を用いることができる。ここで、金属酸化物としては例えばLiMnO2、LiXMn2O4(0<x<2)等のマンガン酸リチウムあるいはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLiXV2O5(0<x<2)等が挙げられ、ジスルフィド化合物としてはジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等が挙げられ、導電性高分子としてはポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。本発明ではこれらの正極材料を単独もしくは二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、正極においてこれらの正極材料と式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を混合して複合活物質として用いてもよい。
一方、前記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を正極に用いた場合には、負極活物質としてグラファイトや非晶質カーボン、リチウム金属、リチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、導電性高分子等を用いることができる。これらの形状としては特に限定されず、例えばリチウム金属では薄膜状のものの他、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であってもよい。また、これらの負極活物質を単独もしくは二種以上を組み合わせて使用できる。また、負極においてこれら従来公知の活物質と前記重合体と組み合わせて用いてもよい。
[2]補助導電材およびイオン伝導補助材
前記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を用いて電極を形成する際に、インピーダンスを低下させる目的で、補助導電材やイオン伝導補助材を混合させることもできる。これらの材料としては、補助導電材としてグラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられ、イオン伝導補助材としては高分子ゲル電解質、高分子固体電解質等が挙げられる。
[3]結着剤
電極の各構成材料間の結びつきを強めるために、電極材料に結着剤を混合することもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダが挙げられる。
[4]触媒
電極反応をより潤滑に行うために、酸化還元反応を助ける触媒を電極材料に混合することもできる。このような触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、金属イオン錯体等が挙げられる。
[5]集電体およびセパレータ
負極集電体および正極集電体として、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、金属平板、メッシュ状などの形状のものを用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたり、活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。一方、セパレータは、上記の正極と負極が短絡しないように接触しない形状や絶縁性を有するものとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルムや不織布などを用いることもできる。
[6]電解質
本発明において、電解質は、負極と正極の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には20℃で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。
電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3C等の従来公知の材料を用いることができる。
また,電解液に用いられる溶剤としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。
さらに、本発明では電解質として固体電解質を用いることもできる。これら固体電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、高分子化合物のみをそのまま用いてもよい。
[7]電池形状
本発明において、電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを採用することができる。例えば、電極積層体あるいはその巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられる。またその外観形状としては、円筒型、角型、コイン型、シート型等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[8]電池の製造方法
電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例えば、活物質を含む電極材料に溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶剤を揮発させ、その後に、セパレータを介して対極を積層し、あるいはさらにこれを巻回して、外装体で包み、電解液を注入して封止する方法がある。スラリー化のための溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等のアミン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素系溶媒等が挙げられる。
電池を製造する際には、電極材料として、前記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(ニトロキシルラジカル重合体)そのものを用いる場合と、電極反応によって前記ニトロキシルラジカル重合体に変化し得る化合物を用いる場合とがある。後者の場合、電極反応によって前記ニトロキシルラジカル重合体に変化する化合物の例としては、前記ニトロキシルラジカル重合体を還元したアニオン体とリチウムイオンやナトリウムイオンといった電解質カチオンとからなるリチウム塩やナトリウム塩、あるいは、前記ニトロキシルラジカル重合体を酸化したカチオン体とPF6−やBF4−といった電解質アニオンとからなる塩などが挙げられる。
本発明において、電極からのリードの取り出し、外装等のその他の製造条件は二次電池の製造方法として従来公知の方法を用いることができる。
<実施例>
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリ(2,2,3,3−テトラメチルエチレンニトロキシル)(式(A)で表される化合物)300mg、グラファイト粉末600mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢を用い10分間混練することにより乾式混合した。なお、ポリ(2,2,3,3−テトラメチルエチレンニトロキシル)の分子量をGPCにより測定した結果、重量平均分子量は8900(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.82であった。
得られた混合体を、圧力を掛けてローラー延伸することにより薄膜とした。これを、真空中80℃で一晩乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜き、コイン型の正極用電極を作製した。なお、この電極の質量は18.8mgであった。
次に、得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1mol/LのLiPF6電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合比3:7(体積比))を用いた。
電解液を含浸させた電極は、図1に示すように、正極集電体上に置き、その上に同じく電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを積層した。
さらに負極となるリチウムを張り合わせ銅箔を積層し、枠状の絶縁パッキンを設置し、負極集電体を重ね合わせた。これに、かしめ機によって圧力を加えて密閉し、正極活物質としてポリ(2,2,3,3−テトラメチルエチレンニトロキシル)、負極活物質として金属リチウムを用いたコイン型電池を得た。
作製したコイン型電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.6V付近で48分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.6V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン型電池の容量は、正極活物質1gあたり188mAhであった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は98.2%であった。
Figure 0004435087
(実施例2)
ポリ(2,2,3,3−テトラメチルエチレンニトロキシル)の代わりにポリ(2,2,3−トリメチル−3−プロピルエチレンニトロキシル)(式(B)で表される重合体)を用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。このコイン型電池の正極の重さは20mgであった。
作製したコイン型電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.6V付近で48分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン型電池の容量は、正極活物質1gあたり166.2mAhであった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は97.1%であった。
Figure 0004435087
(実施例3)
ポリ(2,2,3,3−テトラメチルエチレンニトロキシル)の代わりにポリ(2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルエチレンニトロキシル)(式(C)で表される重合体)を用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。このコイン電池の正極の重さは19.1mgであった。
作製したコイン型電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.6V付近で25分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン電池の容量は、正極活物質1gあたり94.8mAhであった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は97.7%であった。
Figure 0004435087
(実施例4)
ポリ(2,2,3,3−テトラメチルエチレンニトロキシル)の代わりにポリ(2,2,3,3−テトラフルオロエチレンニトロキシル)(式(D)で表される重合体)を用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。このコイン電池の正極の重さは17.2mgであった。
作製したコイン型電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.7V付近で42分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.7V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン型電池の容量は、正極活物質1gあたり181mAhであった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は95.2%であった。
Figure 0004435087
(比較例1)
ポリ(2,2,3,3−テトラメチルエチレンニトロキシル)を用いず、代わりにグラファイト粉末を900mgに増やした以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
作製した電池に対して、実施例1と同様にして充放電を行った。その結果、放電時に電圧平坦部はみられず電圧は急速に低下し、電池として十分に動作しなかった。
また、この電池に対して、1mAの定電流を流して充電を試みたところ、電圧は瞬間的に上昇して4.5Vを超えたが、これを放電したところ、電圧曲線に平坦部は認められず、この電池は二次電池として動作しないことが確認された。
(比較例2)
ポリ(2,2,3,3−テトラメチルエチレンニトロキシル)を用いず、代わりにLiCoO2を300mgを用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型電池を作製した。
以上のように作製した電池に対して実施例1と同様の方法で充放電を行い、活物質あたりの容量を計算したところ、94mAh/gであった。
本発明によれば、電極活物質として重金属を含まない軽くて安全な元素から構成される電池を作製することが可能となり、また、高容量(質量当たり)で充放電サイクルの安定性に優れた二次電池を提供できる。
エネルギー密度が高く、高容量で充放電の安定性に優れた二次電池に関するものであれば、あらゆるものに適用することが可能であり、その利用の可能性において何ら限定するものではない。
幾つかの好適な実施の形態及び実施例に関連付けして本発明を説明したが、これら実施の形態及び実施例は単に実例を挙げて発明を説明するためのものであって、限定することを意味するものではないことが理解できる。本明細書を読んだ後であれば、当業者にとって等価な構成要素や技術による数多くの変更および置換が容易であることが明白であるが、このような変更および置換は、添付の請求項の真の範囲及び精神に該当するものであることは明白である。

Claims (6)

  1. 少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質として、式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含む二次電池。
    Figure 0004435087
    ここで、式(1)においてR1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、ハロゲン原子、又はR1とR3、R2とR4のいずれかもしくは両方が環状につながったアルキレン基を表す。
  2. 前記重合体を正極活物質として含有する請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記二次電池は、リチウム二次電池である請求項1に記載の二次電池。
  4. 少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質として、式(2)で表される重合体を含む二次電池。
    Figure 0004435087
    ここで、式(2)においてR1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の芳香族複素環基、ハロゲン原子、又はR1とR3、R2とR4のいずれかもしくは両方が環状につながったアルキレン基を表す。
  5. 前記重合体を正極活物質として含有する請求項4に記載の二次電池
  6. 前記二次電池は、リチウム二次電池である請求項4に記載の二次電池。
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