JP4428515B2 - アントラピリドン化合物、水性マゼンタインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

アントラピリドン化合物、水性マゼンタインク組成物及びインクジェット記録方法 Download PDF

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本発明は、新規アントラピリドン化合物、水性マゼンタインク組成物及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェットプリンタによる記録方法としてインクの各種吐出方式が開発されているが、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。インクジェットプリンタによる記録方法は、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない為、機械音の発生がなく、またプリンタの小型化、高速化、カラー化が容易であるという特長を有する為、近年急速に普及し、今後も大きな伸長が期待されている。コンピュータのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報を、インクジェットプリンタによりカラ−で記録するには、一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色で表現される。CRTディスプレイ等のR、G、Bによる加法混色画像を減法混色画像によりできるだけ忠実に再現するためには、使用する色素、中でもY、M、Cのインクに使用される色素は、できるだけY、M、Cそれぞれの標準に近い色相を有し且つ鮮明であることが望まれる。また、インク組成物には長期の保存に対し安定であり、プリントした画像の濃度が高く、しかも耐水性、耐光性及び耐ガス性等の堅牢度に優れている事が求められる。
インクジェットプリンタの用途はOA用小型プリンタから産業用の大型プリンタにまで拡大されてきており、耐水性及び耐光性等の堅牢度がこれまで以上に求められている。耐水性については、多孔質シリカ、カチオン系ポリマー、アルミナゾル又は特殊セラミックなどインク中の色素を吸着し得る無機微粒子をPVA樹脂などとともに紙の表面にコーティングすることにより大幅に改良されたが、写真等の印刷物の保管時の耐湿性の向上等更に厳しい品質向上が求められている。又、耐光性については大幅に改良する技術は未だ確立されておらず、特にY、M、C、Kの4原色のうちマゼンタの色素はもともと耐光性が弱いものが多く、その改良が重要な課題となっている。
インクジェット記録用水溶性インクに用いられるマゼンタ色素の色素骨格としては、キサンテン系と、H酸を用いたアゾ系が例示される。しかし、キサンテン系色素については色相及び鮮明性は非常に優れるが耐光性が非常に劣る。また、H酸を用いたアゾ系色素については色相及び耐水性の点では良いものがあるが、耐光性及び鮮明性が劣る。このタイプでは鮮明性及び耐光性の優れたマゼンタ染料も開発されているが、銅フタロシアニン系色素に代表されるシアン染料やイエロー染料など他の色相の染料に比べ耐光性が依然劣る水準である。
又最近のデジタルカメラの浸透と共に、家庭でも写真をプリントする機会が増している。この写真を保管する時に、空気中の酸化性ガスによる写真画質の変色が問題視されている。
鮮明性及び耐光性の優れるマゼンタの色素骨格としてはアントラピリドン系色素(例えば、特許文献1〜7参照)があるが、色相、鮮明性、耐光性、耐水性、耐ガス性及び溶解安定性のすべてを満足させるものは得られていない。
特開昭59−74173号公報(1−3ページ) 特開平2−16171号公報(1、5−7ページ) 特開2000−109464号公報(1−2、8−12ページ) 特開2000−169776号公報(1−2、6−9ページ) 特開2000−191660号公報(1−3、11−14ページ) 特開2001−72884号公報(1−2、8−11ページ) 特開2001−139836号公報(1−2、7−12ページ)
本発明は、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、且つ記録物の耐光、耐ガス及び耐湿堅牢度に優れたマゼンタ色素を提供する事を目的とする。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったものである。即ち本発明は、
(1)式(1)
Figure 0004428515
(式(1)中、R1は水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノ若しくはジアルキルアミノアルキル基又はシアノ低級アルキル基を、Xはスルホン酸基、メトキシ基、アニリノ基、フェノキシ基で置換されていてもよいアニリノ基;メチル−スルホアニリノ基;メトキシ−スルホアニリニノ基;カルボキシ−スルホアニリノ基;カルボキシ−ヒドロキシアニリノ基;スルホン酸基で置換されていてもよいナフチルアミノ基;スルホン酸基、カルボキシ基、水酸基で置換されていてもよいモノ若しくはジアルキルアミノ基;アラルキルアミノ基;シクロアルキルアミノ基;スルホン酸基、カルボキシル基、アセチルアミノ基、アミノ基、水酸基又、フェノキシ基又はフェニル基で基で置換されていてもよいフェノキシ基;モノアルキルアミノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノアルキルアミノ基;水酸基又はアミノ基を、Yは塩素原子、水酸基、アミノ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基(アルキル基上にスルホン酸基、カルボキシ基および水酸基からなる群から選択される置換基を有してもよい)又はモルホリノ基をそれぞれ表す))
で表されるアントラピリドン化合物又はその塩、
(2)式(1)におけるR1がメチル基である(1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(3)式(1)におけるYが水酸基又はアミノ基である(1)または(2)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(4)式(1)におけるXが、アニリノ基、2−スルホアニリノ基、2,5−ジスルホアニリノ基、2−エチルヘキシルアミノ基又はシクロヘキシルアミノ基、4−メトキシ−2−スルホアニリノ基、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ基、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ基である請求項1から3のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(5)色素成分として、(1)から(4)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を含むことを特徴とする水性マゼンタインク組成物、
(6)水溶性有機溶剤を含有する(5)に記載の水性マゼンタインク組成物、
(7)アントラピリドン化合物又はその塩中の無機塩の含有量が1質量%以下である(5)又は(6)に記載の水性マゼンタインク組成物、
(8)インクジェット記録用である(5)から(7)のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物、
(9)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして(5)から(7)のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法
(10)被記録材が情報伝達用シ−トである(9)に記載のインクジェット記録方法、
(11)(5)から(7)のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物を含有する容器、
(12)(11)の容器を有するインクジェットプリンタ、
(13)(1)から(4)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を有する着色体、
に関する。
本発明の新規アントラピリドン化合物は極めて水溶解性に優れ、その水溶液は経時安定性が良く、又インク組成物製造過程でのメンブランフィルターに対する濾過性が良好であるという特徴を有する。更に、この化合物は生体に対する安全性も高い。更に、この新規アントラピリドン化合物を使用した本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。又、本発明のインク組成物をインクジェット記録用のマゼンタインクとして使用した印刷物は、耐光性、耐オゾン性及び耐湿性に優れ、優れたインクジェット記録が可能である。更に、印刷面は鮮明で理想に近いマゼンタ色であり、他のイエロー、シアンのインクと共に用いる事で、広い可視領域の色調を色出しする事ができる。このように、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用のマゼンタインクとして極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。本発明のアントラピリドン化合物又はその塩は、前記式(1)で表される。
式(1)において、R1は水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノ若しくはジアルキルアミノアルキル基又はシアノ低級アルキル基を表す。本発明におけるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基等があげられる。
また、本発明における低級アルキル基としては、上記アルキル基の中、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のものを挙げることができ、より好ましくはメチル基、エチル基又はプロピル基を挙げることができる。本発明において低級アルキル基以外のもの、例えば低級アルコールなどにおいて「低級」といった場合も同様とする。
また、R1におけるヒドロキシ低級アルキル基としては、例えばヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等があげられ、モノアルキルアミノアルキル基としては、例えばメチルアミノプロピル基、エチルアミノプロピル基等があげられ、ジアルキルアミノアルキル基としては、例えばジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノエチル基等があげられ、シアノ低級アルキル基としては、例えばシアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられる。好ましいR1としては水素原子、低級アルキル基が挙げられ、水素原子、メチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)のXにおけるスルホン酸基、カルボキシ基、メチル基、メトキシ基、アニリノ基、フェノキシ基で置換されていてもよいアニリノ基の具体例としては、例えばアニリノ、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、4−メトキシ−2−スルホアニリノ、4−メチル−2−スルホアニリノ、2−メチル−4−スルホアニリノ、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ、2−カルボキシ−4−スルホアニリノ、4−アニリノ−3−スルホアニリノ、4−メトキシ−2−スルホアニリノ、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ、4−フェノキシアニリノ等が挙げられ、スルホン酸基で置換されていてもよいナフチルアミノの具体例としては、例えば1−ナフチルアミノ基、4−スルホ−1−ナフチルアミノ、5−スルホ−1−ナフチルアミノ、5−スルホ−2−ナフチルアミノ、6−スルホ−1−ナフチルアミノ、7−スルホ−1−ナフチルアミノ、4,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、3,8−ジスルホ−1−ナフチルアミノ、3,6−ジスルホ−1−ナフチルアミノ、3,6,8−トリスルホ−2−ナフチルアミノ、4,6,8−トリスルホ−2−ナフチルアミノ、3,6,8−トリスルホ1−ナフチルアミノ等が挙げられ、スルホン酸基、カルボキシ基、水酸基で置換されていてもよいモノアルキルアミノ基の具体例としては、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、2−スルホエチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、1,2−ジカルボキシエチルアミノ、1,3−ジカルボキシプロピルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ等が挙げられ、スルホン酸基、カルボキシ基、水酸基で置換されていてもよいジアルキルアミノ基の具体例としては、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ビス(カルボキシメチル)アミノ、ビス(2−ヒドロキエチル)アミノ等が挙げられ、アラルキルアミノ基の具体例としては、例えばベンジルアミノが挙げられ、シクロアルキルアミノ基の具体例としては、例えばシクロヘキシルアミノが挙げられ、スルホン酸基、カルボキシル基、アセチルアミノ基、アミノ基、水酸基、フェノキシ基又はフェニル基で置換されていてもよいフェノキシ基の具体例としては、例えばフェノキシ、4−スルホフェノキシ、4−カルボキシフェノキシ、4−アセチルアミノフェノキシ、4−ヒドロキシフェノキシ、4−フェノキシフェノキシ、4−(4−カルボキシフェノキシ)フェノキシ、4−フェニルフェノキシ等が挙げられ、モノアルキルアミノアルキルアミノ基の具体例としては、例えば2−メチルアミノ−エチルアミノ、3−メチルアミノ−プロピルアミノ、3−エチルアミノ−プロピルアミノ等が挙げられ、ジアルキルアミノアルキルアミノ基の具体例としては、例えば3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルアミノ、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアミノ等が挙げられる。Xは2−スルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、4−メチル−2−スルホアニリノ、2−メチル−4−スルホアニリノ、4−メトキシ−2−スルホアニリノ、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ、2−カルボキシ−4−スルホアニリノが好ましく、2−スルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ、2−カルボキシ−4−スルホアニリノが特に好ましい。
式(1)におけるYとしては、クロル、ヒドロキシ、アミノ、2−スルホエチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、カルボキシメチルアミノ、1,2−ジカルボキシエチルアミノ、1,3−ジカルボキシプロピルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルアミノ、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアミノ、ビス(カルボキシメチル)アミノ、モルホリノ等が挙げられ、ヒドロキシ、アミノ、2−スルホエチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、カルボキシメチルアミノ、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピルアミノ、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルアミノ、ビス(カルボキシメチル)アミノが好ましく、特にヒドロキシ、アミノが好ましい。
1、X、Yの好ましい組み合わせとしては、例えば、R1が水素原子又はメチル基、Xがアニリノ、2−スルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ4−メトキシ−2−スルホアニリノ、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ基、2−エチルヘキシルアミノ又はシクロヘキシルアミノ、Yが水酸基又はアミノ基等である。
本発明の前記式(1)で示されるアントラピリドン化合物の具体例を表1に示す。表1中、(S)はスルホン酸基を、2(S)はジスルホン酸基を、(K)はカルボキシ基をそれぞれ意味する。
表1
No. R1 X Y
1 CH3 2,5-2(S)-アニリノ OH
2 CH3 2,5-2(S)-アニリノ NH2
3 CH3 2,5-2(S)-アニリノ モノエタノールアミノ
4 CH3 2,5-2(S)-アニリノ ジエタノールアミノ
5 CH3 アニリノ OH
7 CH3 アニリノ カルボキシエチルアミノ
8 H アニリノ スルホエチルアミノ
9 CH3 ベンジルアミノ OH
10 CH3 シクロヘキシルアミノ OH
11 CH3 シクロヘキシルアミノ シクロヘキシルアミノ
12 CH3 n-ブチルアミノ OH
13 CH3 N,N-ジエチルプロピルアミノ OH
14 CH3 N,N-ジエチルプロピルアミノ N,N-ジエチルプロピルアミノ
16 CH3 アニリノ N,N-ジエチルプロピルアミノ
17 CH3 4-フェニルフェノキシ OH
18 CH3 4-フェニルフェノキシ NH2
19 CH3 3-アミノ-アニリノ OH
20 CH3 アニリノ NH2
21 CH3 NH2 NH2
22 CH3 2-エチルヘキシルアミノ OH
23 CH3 2-エチルヘキシルアミノ NH2
24 CH3 2-エチルヘキシルアミノ 2-エチルヘキシルアミノ
25 CH3 2-エチルヘキシルアミノ モルホリノ
26 CH3 2-エチルヘキシルアミノ Cl
27 CH3 3-(S)-アニリノ OH
28 CH3 3-(S)-アニリノ NH2
29 CH3 3-(S)-アニリノ モノエタノールアミノ
30 C2H5 3-(S)-アニリノ カルボキシエチルアミノ
31 CH3 3-(S)-アニリノ スルホエチルアミノ
32 CH3 2-(S)-アニリノ OH
33 CH3 2-(S)-アニリノ NH2
34 C2H4OH 2-(S)-アニリノ 2-エチルヘキシルアミノ
35 CH3 2-(S)-アニリノ モルホリノ
36 CH3 4-メトキシ-2-(S)-アニリノ OH
37 C4H9 4-メトキシ-2-(S)-アニリノ NH2
38 CH3 2-(K)-5-(S)-アニリノ OH
39 CH3 2-(K)-4-(S)-アニリノ OH
40 CH3 4-(S)-ナフチル-1-イルアミノ OH
本発明のアントラピリドン化合物は、例えば次の方法により製造される。即ち、下記式(3)
Figure 0004428515
(式中、R1 は前記と同じ意味を表す。)
の化合物1モルと2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1〜1.3モルとを水中で、pH2〜7、5〜35℃、2〜8時間反応させて得られる1次縮合物である式(4)
Figure 0004428515
(式中、R1は前記と同じ意味を示す)
の化合物に、式(1)におけるXに対応するアミン類1モルを、pH4〜9、5〜90℃、10分〜5時間反応させることにより、Yが塩素原子である式(5)
Figure 0004428515
(式中、R1、Xは前記と同じ意味を示す)
の化合物が2次縮合物として得られる。
次いで、pH9〜12、50〜100℃、10分〜5時間加水分解するか、又はアンモニア、対応するアミン類を、pH8〜10、50〜100℃、10分〜8時間反応させることにより、3次縮合物としてYが塩素原子以外の式(6)
Figure 0004428515
(式中、R1、X、Yは前記と同じ意味を示す)
の化合物が得られる。
なお、縮合の順序は各種化合物の反応性に応じ、適宜定められ、上記に限定されない。
こうして得られる化合物は遊離酸の形で、あるいはその塩の形態で存在する。本発明では遊離酸又はその塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩またはアンモニウム塩として使用できる。好ましくはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、アンモニウム塩があげられる。また塩の作り方としては、例えば、上記で得られる3次縮合物の反応液に食塩を加えて、塩析、濾過することによってナトリウム塩をウェットケーキとして得、そのウェットケーキを再び水に溶解後、塩酸を加えてpHを1〜2に調整して得られる結晶を濾過すれば、遊離酸(あるいは一部はナトリウム塩のまま)の形で得られる。更に、その遊離酸の形のウェットケーキを水と共に撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水を添加してアルカリ性にすれば、各々カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩が得られる。
なお、式(3)のアントラピリドン化合物は、例えば次のようにして得られる。即ち、下記式(7)
Figure 0004428515
(式中R1は前記と同じ意味を示す)
で示されるアントラキノン化合物1モルにベンゾイル酢酸エチルエステル1.1から3モルをキシレン等の極性溶媒中、炭酸ナトリウム等の塩基性化合物の存在下、130〜180℃、5〜15時間反応を行い、下記式(8)
Figure 0004428515
(式中R1は前記と同じ意味を示す)
の化合物が得られる。
次いで、式(8)の化合物1モルにメタアミノアセトアニリド 1〜5モルを、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性有機溶媒中、炭酸ナトリウムのような塩基及び酢酸銅のような銅触媒の存在下、110〜150℃、2〜6時間ウルマン反応をおこなって縮合し、下記式(9)
Figure 0004428515
(式中R1は前記と同じ意味を示す)
の化合物が得られる。
次いで式(9)の化合物を8〜15%発煙硫酸中で、50〜120℃でスルホン化及びアセチルアミノ基を加水分解する事により、一般式(3)
Figure 0004428515
(式中R1は前記と同じ意味を示す)
のアントラピリドン化合物が得られる。
本発明の式(1)で表されるアントラピリドン化合物又はその塩は種々のものが着色用マゼンタとして使用することができ、特にインク用色素として好ましい。またインク用に使用するとき、該化合物は水溶性塩が好ましい。
本発明の水性マゼンタインク組成物(以下場合により単にインクともいう)は、前記式(1)で表される化合物又はその塩(以下場合により、式(1)で表される化合物又はその塩を単に式(1)の色素ともいう)を色素成分として含むもので、該組成物は該色素を水に、必要に応じて溶性有機溶剤(溶解助剤を含む。以下同様。)を含む水(以下場合により単に水性溶媒ともいう)に溶解することにより得ることができる。該インクのpHは6〜11程度が好ましい。この水性インク組成物をインクジェット記録用プリンタに使用する場合、色素成分としては金属陽イオンの塩化物及び硫酸塩等の無機物の含有量は少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば、塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含量として1質量%以下である。無機物の少ない本発明の色素成分を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は本発明の色素成分の乾燥品あるいはウェットケーキを必要な回数だけメタノール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥する方法で脱塩処理する操作を繰り返せば良い。
インクジェットプリンタにおいて、高精細な画像を供給することを目的に、シアンインクとマゼンタインクについては高濃度のインクと低濃度のインクの2種類のインクが設定されたものもある。その場合、本発明の式(1)の化合物を含有する高濃度のインクと、本発明の式(1)の化合物を含有する低濃度のインクを併用したインクセットとして使用しうる。また前記条件を備えた前記式(1)の色素に公知のマゼンタ色素を併用してもよい。
本発明のインクは上記のように水を媒体として調製される。本発明のインク中に、上記のようにして得られた前記式(1)の色素は、通常0.3〜8質量%含有される。残部は水及び必要に応じて配合される水溶性有機溶剤及びその他のインク調製剤である。水以外の必要におうじて配合される成分は本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等として使用される。その他のインク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、分散安定剤、等の公知の添加剤が挙げられる。水溶性有機溶剤の含有量はインク全体に対して通常0〜60質量%好ましくは10〜50質量%であり、その他のインク調製剤は通常0〜20質量%好ましくは0〜15質量%用いるのが良い。
上記水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、好ましくは低級脂肪族カルボン酸の低級アルキルアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン、好ましくは窒素原子を含む5〜6員環の環式ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、好ましくは炭素数1〜8の脂肪族ケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、好ましくは炭素数1〜8の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−または1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリ(C2〜C6)アルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン又はヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、好ましくは炭素数3〜8の脂肪族トリオール、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の低級多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。
上記のうち好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジまたはトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドンである。これらの水溶性有機溶剤は、単独もしくは混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンツチアゾール系、ニトチリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム、等(例えば、アベシア社製プロクセルGXL(S)、プロクセルXL−2(S)等)があげられる。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低級アルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、又はベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物があげられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等があげられる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
表面張力調整剤としては、界面活性剤があげられ、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などがあげられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノール104E、104PG50、82、465、オルフィンSTG等)、等が挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。なお、本発明のインクの表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜60mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明の水性インク組成物は前記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は狭雑物を除く為にメンブランフィルター等で濾過を行ってもよい。
本発明のインクジェット記録方法における被記録材としては、インクジェットによって記録可能な材料であれば特に限定されない。例えば、紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維及び皮革等が挙げられる。情報伝達用シートについては、表面処理されたもの、具体的にはこれらの基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオンポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸着し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニールピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは、通常インクジェット専用紙(フィルム)や光沢紙(フィルム)と呼ばれ、例えば、ピクトリコ(商品名、旭硝子社製)、カラーBJペーパー、カラーBJフォトフィルムシート(いずれも商品名、キャノン社製)、カラーイメージジェット用紙(商品名、シャープ社製)、スーパーファイン専用光沢フィルム(商品名、セイコーエプソン社製)ピクタファイン(商品名、日立マクセル社製)等として市販されている。なお、このような受容層のを設けていない普通紙も利用できることはもちろんである。
また繊維については、セルロース繊維又はナイロン、絹及びウール等のポリアミド繊維が好ましく、不織布や布状のものが好ましい。これらの繊維については、本発明のインク組成物を該繊維に付与した後、好ましくはインクジェット方法により付与した後、湿熱(例えば約80〜120℃)あるいは乾熱(例えば約150〜180℃)の固着工程を加えることで該繊維内部に色素を染着させることができ、鮮明性、耐光性及び耐洗濯性に優れた染色物を得ることができる。
本発明の容器は上記の水性マゼンタインク組成物を含有する。また、本発明のインクジェットプリンターは、この水性マゼンタインク組成物を含有する本発明の容器がインクタンク部分にセットされたものである。さらに、本発明の着色体は、上記の式(1)で表される新規アントラピリドン化合物又はその塩をそのまま又は必要に応じて添加剤を配合した組成物として使用して、被着色物を常法、例えば塗布、プリント、含浸等の方法で着色することにより得られるもので、好ましくは上記の水性マゼンタインク組成物で着色されたものである。
本発明の水性インク組成物は、鮮明で、理想に近いマゼンタ色であり、特に耐オゾン性に優れ、かつ耐光性、耐湿性、耐水性においても優れた記録物を得ることができる。他のイエロー、シアンのインクと共に用いる事で、広い可視領域の色調を色出しする事ができ、かつ耐オゾン性、耐光性、耐湿性及び耐水性の優れた既存のイエロー、シアン、ブラックと共に用いることで耐オゾン性、耐光性、耐湿性及び耐水性及びに優れた記録物を得ることができる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である
実施例1
(1)キシレン360部中に、攪拌しながら、式(7)(R1=CH3)の化合物94.8部、炭酸ナトリウム3.0部、ベンゾイル酢酸エチルエステル144.0部を順次仕込み、昇温した。140〜150℃の温度で8時間反応を行い、その間、反応で生成するエタノールと水をキシレンと共沸させながら系外へ留出させ、反応を完結させた。次いで、冷却し、30℃にてメタノール240部を添加して30分攪拌後、濾過し、メタノール360部で洗浄後、乾燥して、式(8)(R1=CH3)の化合物124.8部を淡黄色針状結晶として得た。
(2)次に、N,N―ジメチルホルムアミド300.0部中に、攪拌しながら、式(8)の化合物(R1=CH3)88.8部、メタアミノアセトアニリド75.0部、酢酸銅1水和物24.0部及び炭酸ナトリウム12.8部を順次仕込み、昇温した。120〜130℃で3時間反応を行う。約50℃に冷却下、メタノール120部を添加し、30分攪拌後、濾過し、メタノール500部で洗浄し、次いで80℃の湯で洗浄、乾燥して式(9)(R1=CH3)の化合物79.2部を青味赤色結晶として得た。
(3)次に98.0%硫酸130部に、攪拌下、水冷しながら28.0%発煙硫酸170.0部を添加して、12%発煙硫酸300部を、調製した。水冷下、式(9)(R1=CH3)の化合物51.3部を50℃以下で添加し、昇温し、85〜90℃にて4時間反応を行った。次に、氷水600部中に、上で得たスルホン化反応液を添加し、その間氷を加えながら50℃以下に保持した。水を加えて液量を1000部とし、濾過して、不溶解分を除去した。次に、母液に湯を加えて1500部とし、温度を60〜65℃に保ちながら、食塩300部を添加して3時間攪拌し、析出した結晶を濾過した。20%食塩水溶液300部で洗浄し、よく絞って式(3)(R1=CH3)の化合物59.2部を含むウェットケーキ100.3部(純度45.9%(ジアゾ分析法による。以下同様。))を赤色結晶として得た。
(4)水60部中に上記(3)で得た式(3)の化合物のウェットケーキ(純度45.9%)67.7部を添加し、次いで25%苛性ソーダ24部を添加して攪拌し、更に25%苛性ソーダを加えてPHを3〜4に調整しながら溶解させた。
一方、氷水60部にリパールOH(商品名、アニオン界面活性剤、ライオン株式会社製)0.4部を加え、溶解後シアヌルクロライド8.9部、を添加し、30分攪拌し、得られた懸濁液を、上記の式(3)を含む溶液中に添加し、10%苛性ソーダ水溶液を滴下しながら、PHを2.7〜3.0に保ち、25〜30℃で3時間1次縮合反応を行い、式(4)(R1=CH3)の化合物を含有する反応液を得た。
(5)上記(4)で得られた式(4)(R1=CH3)の化合物を含有する反応液中に、オルタニル酸8.4部(純度98.89%)、水40部、25%苛性ソーダ水溶液8部からなる溶液を添加し、更に、水を加えて液量を300部とし、昇温した。60〜70℃の温度で、10%苛性ソーダ水溶液を滴下しながら、PHを6.0〜6.5に保ち、1時間反応させ2次縮合反応を行い、式(5)(R1=CH3、X=2−スルホアニリノ基)の化合物を含む反応液を得た。
(6)上記(5)で得られた式(5)(R1=CH3、X=2−スルホアニリノ基)の化合物を含む反応液中に、25%苛性ソーダ水溶液を加えながら、PHを10.0〜10.2に保ちながら、85〜90℃の温度で、1時間反応させた。反応後、水を加えて液量を400部に調整した後、濾過して不溶解物を除去した。
得られた反応液に水を加えて液量を500部に調整した。温度を50〜55℃に保ちながら、食塩100部を添加し、次いで濃塩酸を加えてPHを0.5に調整した後、1時間攪拌し、結晶をろ別し、20%食塩水溶液200部で洗浄して、式(6)(R1=CH3、X=2−スルホアニリノ基、Y=OH)の化合物を赤色ウェットケーキとして92部を得た。
(7)上記(6)で得られたウェットケーキを、メタノール200部中に加え、60〜65℃に加熱、溶解させた後、約5℃に氷冷攪拌下1時間保持した後、析出した結晶を濾過、メタノールで洗浄、乾燥し、下記式(10)(表1におけるNo.32の化合物)の化合物25.6部を赤色結晶として得た。
λmax:545.0nm(水溶液中)
Figure 0004428515
実施例2
(1)氷水100部にリパールOH0.4部を加え溶解後、シアヌルクロライド8.9部を添加し、30分攪拌し、得られた懸濁液中に2,5−ジスルホアニリン(AS酸)13.2部(純度91.7%)を加え、25%苛性ソーダ水溶液を滴下しながらPHを2.7〜3.3に保ちながら、15〜20℃で反応を行い一次縮合反応液を得た。次に、実施例1の(3)で得られた式(3)の化合物のウェットケーキ(純度45.9%)67.7部を添加し、次いで25%苛性ソーダ24部を添加してPHを5〜6に保ちながら、60〜70℃にて4時間攪拌し、2次縮合反応を行い、式(5)(R1=CH3、X=2,5−ジスルホアニリノ基)の化合物を含む反応液を得た。
(2)上記(1)の反応液中に、25%苛性ソーダ水溶液を加えて、PHを10.8〜11.2に調整しながら、90〜95℃の温度で、1時間反応させた。反応後、水を加えて液量を400部に調整し、濾過して不溶解物を除去する。得られた反応液に水を加えて液量を500部に調整し、加熱して60〜65℃に保ちながら食塩100部を添加し、次いで塩酸を添加してPHを0.5に調整した後、30分攪拌した。得られた結晶をろ別し、20%食塩水溶液200部で洗浄し、式(6)(R1=CH3、X=2,5−ジスルホアニリノ基、Y=OH)の化合物を明赤色ウェットケーキとして73部を得た。
(3)上記(2)で得られるウェットケーキを、メタノール500部中に加え、20〜25℃で1時間攪拌した後、結晶を濾過、メタノールで洗浄後、乾燥し下記式(11)(表1におけるNo.1の化合物)の化合物31.3部を赤色結晶として得た。
λmax:543.0nm(水溶液中)
Figure 0004428515
実施例3
(A)インクの調製
実施例1、実施例2でそれぞれ得られた本発明のアントラピリドン化合物(色素成分)を含む下記表2の組成のインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより各インクジェット用水性マゼンタインク組成物を得た。
水はイオン交換水を使用した。尚、インク組成物のpHがpH=8〜10、総量100部になるように水、水酸化アンモニウムを加えた。
表2
実施例1または実施例2で得られた各色素 5.0部
(脱塩処理したものを使用)
水+水酸化アンモニウム 75.9部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
IPA(イソプロピルアルコール) 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤(サーフィノール104PG50 日信化学社製)
0.1部
計 100.0部
(B)インクジェットプリント
インクジェットプリンタ(商品名 Canon社 BJ S−630)を用いて、普通紙、プロフェッショナルフォトペーパー(PR−101(キャノン社製))、フォト光沢フィルム(HG−201(キャノン社製))、PM写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)の4種の被記録材料にインクジェット記録を行った。
(以下で使用する略称は、それぞれ、PR=プロフェッショナルフォトペーパー 、HG=フォト光沢フィルム、PM=PM写真用紙<光沢>を意味する)
印刷の際は、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り、印刷した。以下に記する試験では試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。
(C)記録画像の評価
(1)色相評価
記録画像の色相、鮮明性:記録紙を測色システム(Gretag Macbeth SpectroEye:GRETAG社製)を用いて、L*、a*、b*値を測定した。鮮明性はC*=((a*2+(b*21/2で算出した。結果を表3に示す。
(2)耐光試験
キセノンウェザーメーター(アトラス社製)を用い、24℃、60%RHにて記録画像に50時間照射した。上記の測色システムを用いて照射前後の濃度(D値)を測定し、残存率を下記式で算出した。
残存率(%)=照射後のD値/照射前のD値
結果を表3に示す。
(3)オゾン耐性試験
記録画像にプリントした試験片をオゾンウェザーメーター(スガ試験機社製 型式OMS−H)を用いて24℃、12ppm、60%RHで2時間放置し、試験前後の濃度(D値)を測定し、残存率を下記式で算出した。
残存率(%)=処理後のD値/処理前のD値
結果を表3に示す。
記録画像の色相、鮮明性、耐光性、耐オゾン性の試験結果を表3に示す。なお、実施例1で得られた化合物を用いて調製したインク組成物を評価した結果を評価例1、同様にして実施例2で得られた化合物を用いて調製したインク組成物を評価した結果を評価例2とする。また、比較例1として、特許文献3の実施例2のアントラピリドン系化合物(No.4の化合物)を用い評価を行った結果を表3に併記する。
表3
色相 鮮明性 耐光性 耐オゾン性
L* a* b* C* (残存率%)(残存率%)
評価例1
普通紙 47.7 60.4 -17.1 62.8 96 99
PR 56.7 70.2 -33.3 77.7 96 91
HG 57.1 70.8 -33.5 78.3 96 89
PM 58.0 70.2 -34.2 78.1 97 96

評価例2
普通紙 50.1 62.8 -15.7 64.7 96 99
PR 57.8 72.5 -31.7 79.1 89 97
HG 58.4 71.1 -31.1 77.7 86 98
PM 59.5 72.5 -33.2 79.4 95 99

比較例1
普通紙 52.6 57.6 - 0.6 57.6 96 99
PR 59.0 69.2 -14.0 70.6 85 51
HG 58.8 68.9 -15.8 70.7 83 61
PM 60.6 68.1 -14.8 69.7 89 65
表3より、評価例1、2のC*値は比較例1の値より高く、より鮮明度が高いものである。また、評価例1及び2の耐オゾン性は比較例1に比べて、残存率がいずれも高く、オゾンガス等による画像安定性が驚くべき向上がなされている事を示している。更に、評価例1及び2の耐光性も比較例1に比べて高く、本発明のアントラピリドン化合物はインクジェット用マゼンタ色素として優れた化合物であることがわかる。
実施例4
(1)実施例1の(5)で得られた式(5)(R1=CH3、X=2−スルホアニリノ基)の化合物を含む反応液に、濃アンモニア水(28%)24部を加え、90℃に加熱し、30分反応させた。反応後、濾過して不溶解物を除去した。得られた反応液に水を加えて液量を800部に調整した。温度を50〜60℃に保ちながら、食塩160部を添加し、次いで濃塩酸を加えて、pHを0に調整した後30分撹拌し、結晶を濾別し、20%食塩水溶液400部で洗浄して式(6)(R1=CH3、X=2−スルホアニリノ基、Y=NH2)の化合物を赤色ウェットケーキとして100部得た。
(2)上記(1)で得られたウェットケーキをメタノール800部中に加え、60〜65℃に加熱、撹拌後、濾過、メタノールで洗浄、乾燥し、下記式(12)(表1におけるNo.33の化合物)の化合物29.6部を赤色結晶として得た。
λmax:544.8nm(水溶液中)
Figure 0004428515
実施例5
(1)実施例1の(4)で得られた式(4)(R1=CH3)の化合物を含有する反応液中に、4−メトキシ−2−スルホアニリン10.2部(純度99.4%)、水40部、25%苛性ソーダ水溶液7.8部からなる溶液を添加し、更に水を加えて液量を300部とし、昇温した。60〜70℃で、25%苛性ソーダ水溶液を滴下しながら、pHを5.0〜6.0に保ち、30分間反応させ、2次縮合反応を行い、式(5)(R1=CH3、X=4−メトキシ−2−スルホアニリノ基)の化合物を含む反応液を得た。
(2)上記(1)で得られた式(5)(R1=CH3、X=4−メトキシ−2−スルホアニリノ基)の化合物を含む反応液に、25%苛性ソーダ水溶液を加えpHを10.0〜10.2に保ちながら、90℃で1時間反応させた。反応後、濾過して不溶解物を除去した。得られた濾液に水を加えて、液量を1200部に調整した。室温(約20℃)で食塩240部を添加し、次いで濃塩酸を加えて、pHを0に調整した後30分撹拌し、結晶を濾別し、20%食塩水溶液400部で洗浄して式(6)(R1=CH3、X=4−メトキシ−2−スルホアニリノ基、Y=OH)の化合物を赤色ウェットケーキとして100部得た。
(3)上記(2)で得られたウェットケーキをメタノール800部中に加え、室温(約20℃)で1時間撹拌後、濾過、メタノールで洗浄、乾燥して、下記式(13)(表1におけるNo.36の化合物)の化合物20.4部を赤色結晶として得た。
λmax:541.4nm(水溶液中)
Figure 0004428515
実施例6
(1)実施例1の(4)で得られた式(4)(R1=CH3)の化合物を含有する反応液中に、4−スルホアントラニル酸15.0部(純度76.4%)、水60部、25%苛性ソーダ水溶液16.8部からなる溶液を添加し、更に水を加えて液量を400部とし、昇温した。50〜60℃で、25%苛性ソーダ水溶液を滴下しながら、pHを4.5〜5.0に保ち、30分間反応させ、2次縮合反応を行い、式(5)(R1=CH3、X=2−カルボキシ−5−スルホアニリノ基)の化合物を含む反応液を得た。
(2)上記(1)で得られた式(5)(R1=CH3、X=2−カルボキシ−5−スルホアニリノ基)の化合物を含む反応液中に、25%苛性ソーダ水溶液を加えpHを10.0に保ちながら、85〜90℃で1時間反応させ、更にpHを11.0に保ちながら85〜90で1時間反応させた。反応後、濾過して不溶解物を除去した。得られた濾液に水を加えて、液量を600部に調整した。30〜35℃に保ちながら、食塩120部を添加し、次いで濃塩酸を加えて、pHを0.5に調整した後、1時間撹拌し、結晶を濾別し、20%食塩水溶液60部で洗浄して式(6)(R1=CH3、X=2−カルボキシ−5−スルホアニリノ基、Y=OH)の化合物を赤色ウェットケーキとして100部得た。
(3)上記(2)で得られたウェットケーキをメタノール600部及び水40部中に加え、60〜65℃で30分間撹拌後、濾過、メタノールで洗浄、乾燥して、下記式(14)(表1におけるNo.38の化合物)の化合物16.6部を赤色結晶として得た。
λmax:540.0nm(水溶液中)
Figure 0004428515
実施例7
(1)実施例1の(4)で得られた式(4)(R1=CH3)の化合物を含有する反応液中に、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリン7.9部(純度98%)、水40部、25%苛性ソーダ水溶液8部からなる溶液を添加し、更に水を加えて液量を400部とし、昇温した。50〜60℃で、25%苛性ソーダ水溶液を滴下しながら、pHを4.5〜5.0に保ち、2時間間反応させ、2次縮合反応を行い、式(5)(R1=CH3、X=3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ基)の化合物を含む反応液を得た。
(2)上記(1)で得られた式(5)(R1=CH3、X=3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ基)の化合物を含む反応液中に、25%苛性ソーダ水溶液を加えpHを10.8〜11.0に保ちながら、85〜90℃で2時間反応させた。反応後、濾過して不溶解物を除去した。得られた濾液に水を加えて、液量を600部に調整した。60〜65℃に保ちながら、食塩60部を添加し、次いで濃塩酸を加えて、pHを2.0に調整した後、30分間撹拌し、結晶を濾別し、20%食塩水溶液70部で洗浄して式(6)(R1=CH3、X=3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ基、Y=OH)の化合物を赤色ウェットケーキとして88部得た。
(3)上記(2)で得られたウェットケーキをメタノール800部中に加え、65℃に加熱し、30分間撹拌後、濾過、メタノールで洗浄、乾燥して、下記式(15)(表1におけるNo.41の化合物)の化合物33.6部を赤色結晶として得た。
λmax:539.0nm(水溶液中)
Figure 0004428515
実施例8
実施例3の(A)〜(C)と同様にして、インクを調整し、インクジェットプリント記録、次いで画像の評価を行った。ただし、プリント用紙は、普通紙、プロフェッショナルフォトペーパー(PR−101(キャノン社製))、スーパーフォトペーパー(SP−101(キャノン社製))の3種の被記録材料にインクジェット記録を行った。
(以下で使用する略称は、それぞれ、PR=プロフェッショナルフォトペーパー 、SP=スーパーフォトペーパーを意味する)
記録画像の色相、鮮明性、耐光性、耐オゾン性の試験結果を表4に示す。なお、実施例4で得られた化合物を用いて調製したインク組成物を評価した結果を評価例3、実施例5で得られた化合物を用いて調製したインク組成物を評価した結果を評価例4、実施例6で得られた化合物を用いて調製したインク組成物を評価した結果を評価例5、同様にして実施例7で得られた化合物を用いて調製したインク組成物を評価した結果を評価例6とする。
表4
色相 鮮明性 耐光性 耐オゾン性
L* a* b* C* (残存率%)(残存率%)
評価例3
普通紙 47.0 58.7 -19.9 62.0 97 99
PR 46.4 72.3 -32.3 79.2 81 92
SP 55.6 71.3 -31.2 77.8 94 94

評価例4
普通紙 49.3 59.8 -14.4 61.5 95 99
PR 49.7 69.0 -26.3 73.8 85 90
SP 58.9 68.3 -25.8 73.0 92 91

評価例5
普通紙 47.6 55.0 -19.1 58.2 96 99
PR 50.0 65.6 -33.1 73.5 90 95
SP 57.1 65.0 -30.6 71.8 94 96

評価例6
普通紙 47.8 55.8 -16.0 58.0 98 99
PR 57.7 67.3 -27.2 72.6 93 93
SP 57.7 67.2 -28.4 73.0 96 93
表4より、評価例3〜6のC*値は高く、鮮明度が高いものである。また、評価例3〜6の耐光性、耐オゾン性も極めて高く、本発明のアントラピリドン化合物はインクジェット用マゼンタ色素として優れた化合物であることがわかる。
本発明のアントラピリドン化合物は比較例の化合物よりも総合的に優れており、各メディア(被記録材)で安定した高品質を示している。さらに実施例1から3でそれぞれ得られた色素は、アルカリ性条件下(pH=8〜9)における水に対する溶解性が100g/l以上であり、インクジェット用の色素として安定なインクの調製が可能であり、又高濃度のインクの調製も可能であることから使用用途も広く使いやすい化合物である。

Claims (13)

  1. 式(1)
    Figure 0004428515
    (式(1)中、R1は水素原子、アルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、シクロヘキシル基、モノ若しくはジアルキルアミノアルキル基又は、炭素数1〜6のシアノアルキル基を、Xはスルホン酸基、メトキシ基、アニリノ基、フェノキシ基で置換されていてもよいアニリノ基;メチル−スルホアニリノ基;メトキシ−スルホアニリニノ基;カルボキシ−スルホアニリノ基;カルボキシ−ヒドロキシアニリノ基;スルホン酸基で置換されていてもよいナフチルアミノ基;スルホン酸基、カルボキシ基、水酸基で置換されていてもよいモノ若しくはジアルキルアミノ基;アラルキルアミノ基;シクロアルキルアミノ基;スルホン酸基、カルボキシル基、アセチルアミノ基、アミノ基、水酸基、フェノキシ基又はフェニル基で置換されていてもよいフェノキシ基;モノアルキルアミノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノアルキルアミノ基;水酸基又はアミノ基を、Yは塩素原子、水酸基、アミノ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基(アルキル基上にスルホン酸基、カルボキシ基および水酸基からなる群から選択される置換基を有してもよい)又はモルホリノ基をそれぞれ表す)
    で表されるアントラピリドン化合物又はその塩
  2. 式(1)におけるR1がメチル基である請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩
  3. 式(1)におけるYが水酸基又はアミノ基である請求項1または2に記載のアントラピリドン化合物又はその塩
  4. 式(1)におけるXが、アニリノ基、2−スルホアニリノ基、2,5−ジスルホアニリノ基、2−エチルヘキシルアミノ基又はシクロヘキシルアミノ基、4−メトキシ−2−スルホアニリノ基、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ基、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ基である請求項1から3のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩
  5. 色素成分として、請求項1から4のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を含むことを特徴とする水性マゼンタインク組成物
  6. 水溶性有機溶剤を含有する請求項5に記載の水性マゼンタインク組成物
  7. アントラピリドン化合物又はその塩中の無機塩の含有量が1質量%以下である請求項5又は6に記載の水性マゼンタインク組成物
  8. インクジェット記録用である請求項5から7のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物
  9. インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして請求項5から7のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法
  10. 被記録材が情報伝達用シ−トである請求項9に記載のインクジェット記録方法
  11. 請求項5から7のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物を含有する容器
  12. 請求項11の容器を有するインクジェットプリンタ
  13. 請求項1から4のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を有する着色体
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