JP4425537B2 - 試験装置、及び試験方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被試験デバイスのセットアップ試験又はホールド試験を行う試験装置に関する。特に、本発明はセットアップ試験又はホールド試験を効率よく行うことのできる試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子デバイスにおける動作速度の高速化、及び低価格化に対する要求が著しい。動作速度の高速化に伴い、電子デバイス間のデータの受け渡しにおけるセットアップタイム、及びホールドタイムの確保が困難になっている。
【0003】
電子デバイスに対して、クロックを基準として外部データの書き込みを行う場合、外部データを確実に電子デバイスに書き込むためには、外部データがクロックのエッジよりも所定の時間以上前に安定していなければならない。当該所定の時間を、セットアップタイムという。また、外部データがクロックのエッジから所定の時間以上経過するまで安定していなければならない。当該所定の時間をホールドタイムという。セットアップタイム及びホールドタイムの条件を満たさない場合、電子デバイスにおいてデータの保持が正しく行えない場合がある。
【0004】
このため、電子デバイスに対して、セットアップタイム及びホールドタイムを確保しているかを試験する必要がある。この試験は、試験装置を用いて行われる。近年、電子デバイスの製造コストにおいて、これらの電子デバイスの試験費用のしめる割合が増大している。このため、試験費用を低減するために、試験時間の短縮化、及び試験精度の向上が求められている。
【0005】
従来の試験装置では、電子デバイスに対して外部データを書き込むために必要なセットアップタイムを、クロックに対する外部データの位相を徐々にシフトさせ、電子デバイスに外部データを正しく書き込むことができたかをそれぞれ判定することにより測定している。また、ホールドタイムについても、同様な方法で測定している。外部データは、試験装置が生成するタイミング信号に応じて電子デバイスに供給される。このため、セットアップタイム及びホールドタイムを測定するためには、位相が徐々にシフトする複数のタイミング信号を生成する必要がある。
【0006】
試験装置は、タイミング信号を生成するべきタイミングを示すタイミング設定データを書き込むべき外部データに対応して格納し、当該タイミング設定データに応じてタイミング信号を生成している。つまり、セットアップタイム及びホールドタイムを測定するためには、複数のタイミング信号のそれぞれに対応するタイミング設定データを格納する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、生成するべき複数のタイミング信号の全てに対応するタイミング設定データを、全て格納することは困難である。つまり、全てのタイミング設定データを格納するためには、膨大なメモリ容量が必要となる。従来の試験装置においては、数個程度のタイミング設定データを格納できるレジスタを有している。位相が徐々にシフトするタイミング信号を生成する場合、レジスタに格納したタイミング設定データを順次書き換える必要がある。
【0008】
しかし、レジスタに新たなタイミング設定データを書き込むためには、試験装置から電子デバイスに印加する試験パターンを停止して書き込む必要があるため、電子デバイスの試験においてデッドタイムが生じている。このため、電子デバイスの試験時間の増大を招いている。更に、電子デバイスの製造コストの増大を招いている。
【0009】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる試験装置を提供することを目的とする。この目的は、特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、与えられたクロック信号に応じて、与えられたデータ信号を記憶する被試験デバイスのセットアップ試験又はホールド試験を行う試験装置であって、セットアップ試験又はホールド試験の開始前に予め与えられた第1オフセット値に基づいて、異なるタイミングを示す複数のタイミング信号を、セットアップ試験又はホールド試験の試験中に順次生成するタイミング発生部と、クロック信号及びデータ信号を生成するパターン発生部と、クロック信号に対するデータ信号の位相を、順次生成されたタイミング信号に応じて順次シフトし、クロック信号及び位相シフトされたデータ信号を被試験デバイスに順次供給する波形整形部と、被試験デバイスがデータ信号を記憶した記憶データに基づいて、被試験デバイスのセットアップタイム又はホールドタイムを算出する判定部とを備えることを特徴とする試験装置を提供する。
【0011】
タイミング発生部は、波形整形部が被試験デバイスにデータ信号を供給する毎に、異なるタイミングを示すタイミング信号を生成することが好ましい。また、タイミング発生部は、第1オフセット値に基づいて、クロック信号に対する位相シフト量が第1オフセット値ずつ増加する複数のタイミング信号を順次生成することが好ましい。
【0012】
タイミング発生部は、第1オフセット値を格納するオフセットメモリと、オフセットメモリが格納した第1オフセット値に基づいて、第1オフセット値ずつ増加する加算値を順次算出する演算部と、加算値に応じて位相シフトしたタイミング信号を順次生成する信号生成部とを有してよい。
【0013】
判定部は、波形整形部がクロック信号及びデータ信号を被試験デバイスに供給する毎に、被試験デバイスが記憶した記憶データを読み出し、読み出したそれぞれの記憶データと、位相シフト量とを対応付けて格納する解析メモリを有してよい。
【0014】
解析メモリは、位相シフト量として、対応するデータ信号が、セットアップ試験又はホールド試験において何番目に被試験デバイスに供給されたかを格納してよい。
【0015】
判定部は、記憶データのそれぞれと、被試験デバイスから読み出されるべき期待値信号とを比較し、記憶データと期待値信号との比較結果と、対応する位相シフト量とに基づいて、被試験デバイスがデータ信号を記憶するために必要なセットアップタイム又はホールドタイムを算出してよい。
【0016】
演算部は、加算値の初期値を格納するタイミングメモリと、第1オフセット値ずつ値が増加するシフト値を順次算出するシフト値算出器と、初期値とシフト値とを加算し、加算値を順次算出する加算器とを有してよい。
【0017】
シフト値算出器は、第1オフセット値を受け取り、与えられた基準クロックに応じて受け取った第1オフセット値を第1出力信号として出力する第1出力器と、第1オフセット値の2倍の値を示す第2オフセット値を算出する第1算出器と、第2オフセット値を受け取り、与えられた基準クロックに応じて受け取った第2オフセット値を第2出力信号として出力する第2出力器と、第2出力信号に、オフセットメモリに格納された第1オフセット値を加算し、第1出力器に新たに第1オフセット値として供給する第2算出器と、第2出力信号に、第1算出器が算出した第2オフセット値を加算し、第2出力器に新たに第2オフセット値として供給する第3算出器とを有し、第1出力信号と第2出力信号を、加算値として交互に出力してよい。
【0018】
解析メモリは、位相シフト量として、第1オフセット値を何回加算して、対応する加算値を算出したかを示す値を格納してよい。
【0019】
本発明の第2の形態においては、与えられたクロック信号に応じて、与えられたデータ信号を記憶する被試験デバイスのセットアップ試験又はホールド試験を行う試験方法であって、セットアップ試験又はホールド試験の開始前に予め与えられた第1オフセット値に基づいて、異なるタイミングを示す複数のタイミング信号を、セットアップ試験又はホールド試験の試験中に順次生成するタイミング発生段階と、クロック信号及びデータ信号を生成するパターン発生段階と、クロック信号に対するデータ信号の位相を、順次生成されたタイミング信号に応じて順次シフトし、クロック信号及び位相シフトされたデータ信号を被試験デバイスに順次供給する波形整形段階と、被試験デバイスがデータ信号を記憶した記憶データに基づいて、被試験デバイスのセットアップタイム又はホールドタイムを算出する判定段階とを備えることを特徴とする試験方法を提供する。
【0020】
尚、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又、発明となりうる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る、試験装置100の構成の一例を示す。試験装置100は、与えられたクロック信号に応じて与えられたデータ信号を記憶する被試験デバイス200のセットアップ試験又はホールド試験を行う。また、試験装置100は、タイミング発生部40、パターン発生部10、波形整形部20、及び判定部30を備える。
【0023】
タイミング発生部40は、セットアップ試験又はホールド試験の開始前に予め与えられた第1オフセット値に基づいて、異なるタイミングを示す複数のタイミング信号を、セットアップ試験又はホールド試験の試験中に順次生成する。例えば、タイミング発生部40は、第1オフセット値に基づいて、複数のタイミング信号を演算により順次生成する。本例において、タイミング発生部40は、第1オフセット値に基づいて、位相シフト量が第1オフセット値ずつ増加する複数のタイミング信号を順次生成する。
【0024】
ここで、セットアップ試験又はホールド試験の開始前とは、セットアップタイム又はホールドタイムを測定するために、被試験デバイス200にクロック信号及びデータ信号の供給を開始する前を指す。また、セットアップ試験又はホールド試験の試験中とは、セットアップタイム又はホールドタイムを測定するために必要な全てのクロック信号及びデータ信号を、被試験デバイス200に供給し始めてから供給を終了するまでの状態を指す。
【0025】
パターン発生部10は、被試験デバイス200に供給するクロック信号及びデータ信号を生成する。波形整形部20は、クロック信号に対するデータ信号の位相を、タイミング発生部40が順次生成したタイミング信号に応じて順次シフトし、クロック信号及び位相シフトされたデータ信号を被試験デバイス200に順次供給する。
【0026】
被試験デバイス200は、与えられたクロック信号に応じて与えられたデータ信号を順次記憶する。判定部30は、被試験デバイス200がデータ信号を順次記憶した記憶データに基づいて、被試験デバイス200に対してデータ信号を書き込むために必要なセットアップタイム又はホールドタイムを算出する。つまり、判定部30は、被試験デバイス200にデータ信号が正しく記憶されたかを、それぞれのクロック信号及び位相シフトされたデータ信号に対して判定し、判定結果に基づいてセットアップタイム又はホールドタイムを算出する。
【0027】
本例における試験装置100によれば、第1オフセット値に基づいて複数のタイミング信号を生成するため、生成するべき複数のタイミング信号に対応する複数のタイミング設定データを格納する必要がない。つまり、従来の試験装置に比べ、メモリ容量を低減することができる。また、試験中にタイミング設定データを書き換える必要がないため、セットアップ試験及びホールド試験を効率よく行うことができる。
【0028】
図2は、セットアップ試験の一例を説明する図である。セットアップ試験において、試験装置100は、クロック信号と、クロック信号に対して位相が徐々にシフトするデータ信号とを、被試験デバイス200に供給する。被試験デバイス200は、クロック信号のエッジに応じて、データ信号の値を記憶する。図2に示すように、試験装置100は、それぞれのクロック信号及び位相シフトされたデータ信号に対して、被試験デバイス200が記憶した記憶データを読み込み、読み込んだ記憶データに基づいて、被試験デバイス200がデータ信号を記憶するために必要なセットアップタイムを測定する。
【0029】
試験装置100は、読み込んだ記憶データが、供給したデータ信号と同一の値を取るか否かを判定し、記憶データとデータ信号とが異なる値を取るまで、データ信号の位相をシフトする。例えば、試験装置100は、データ信号の出力からクロック信号の立ち上がりまでの時間が徐々に短くなるように、データ信号の位相をシフトする。これにより、記憶データとデータ信号とが異なる値を取る場合の、直前に供給したデータ信号の位相シフト量から、セットアップタイムを測定することができる。
【0030】
図3は、判定部30の構成の一例を示す。判定部30は、レベル比較器32、論理比較器34、解析メモリ36、フェイルメモリ28、及びカウンタ38を有する。
【0031】
レベル比較器32は、被試験デバイスの記憶データを順次受け取り、記憶データの値を検出する。例えば、レベル比較器32には、ストローブ信号が与えられ、ストローブ信号のタイミングにおける記憶データの値が、HレベルかLレベルかを検出する。
【0032】
論理比較器34は、レベル比較器32において検出された記憶データの値が、期待値信号と同一であるか否かを比較する。期待値信号は、被試験デバイス200に供給されたデータ信号であってよい。
【0033】
フェイルメモリ28は、論理比較器34における比較結果を格納する。また、判定部30は、波形整形部20がクロック信号及びデータ信号を被試験デバイス200に供給する毎に、被試験デバイス200が記憶した記憶データを読み出す。解析メモリ36は、読み出したそれぞれの記憶データと、供給したデータ信号の位相シフト量とを対応付けて格納する。また、解析メモリ36は、記憶データが期待値信号と一致する比較結果から、記憶データが期待値信号と一致しない比較結果に変化した場合に、対応するデータ信号の位相シフト量を格納してもよい。
【0034】
カウンタ38には、データ信号を位相シフトする毎に信号が与えられ、カウンタ38はデータ信号を位相シフトした回数を計数する。解析メモリ36は、カウンタ38が計数した信号の回数を、位相シフト量として格納する。位相シフト回数と、第1オフセット値とを乗算することにより、データ信号の位相シフト量を算出することができる。
【0035】
また、カウンタ38は、対応するデータ信号が、セットアップ試験又はホールド試験において何番目に被試験デバイス200に供給されたかを計数してもよい。この場合、解析メモリ36は、位相シフト量として、対応するデータ信号が、セットアップ試験又はホールド試験において何番目に被試験デバイス200に供給されたかを格納する。判定部30は、解析メモリ36が格納した位相シフト量に基づいて、セットアップタイム又はホールドタイムを算出する手段を更に有してもよい。
【0036】
図4は、試験装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。まず、S300で第1オフセット値を取得する。次に、S302でセットアップ試験又はホールド試験を開始する。
【0037】
次に、S304で、タイミング発生部40が、被試験デバイス200に供給するべきデータ信号の位相シフト量を算出する。次にS306で、波形整形部20が、S304において算出した位相シフト量に基づいてデータ信号を位相シフトする。そして、クロック信号と位相シフトしたデータ信号とを被試験デバイス200に供給する。
【0038】
次にS308で、被試験デバイス200が記憶した記憶データを読み出し、判定部30に供給する。次にS310で、判定部30は、読み出した記憶データが変化したか否かを判定する。つまり、判定部30は、読み出した記憶データが、期待値と一致する状態から期待値と一致しない状態に変化したかを判定する。そして、読み出した記憶データが期待値と一致しない状態に変化した場合、S312において、判定部30は、対応するデータ信号の位相シフト量に基づいて、セットアップタイム又はホールドタイムを算出する。
【0039】
読み出した記憶データが期待値と一致する場合、次に被試験デバイス200に供給するべきデータ信号の位相シフト量を算出し、記憶データが変化するまで上述した処理を繰り返す。
【0040】
図5は、タイミング発生部40の構成の一例を示す。タイミング発生部40は、オフセットメモリ42、演算部44、信号生成部46、及びセットリセットラッチ56を有する。
【0041】
オフセットメモリ42は、第1オフセット値を格納する。演算部44は、オフセットメモリ42が格納した第1オフセット値に基づいて、第1オフセット値ずつ増加する加算値を順次算出する。信号生成部46及びセットリセットラッチ56は、演算部44が順次算出した加算値に応じて位相シフトしたタイミング信号を順次生成する。本例において、信号生成部46及びセットリセットラッチ56は、加算値に応じて基準クロックを遅延させ、タイミング信号を生成する。
【0042】
信号生成部46は、タイミング信号の立ち上がりエッジを生成するためのセット信号とリセット信号とを生成し、セットリセットラッチ56は、セット信号及びリセット信号に基づいて、タイミング信号を生成する。
【0043】
また、演算部44は、信号生成部46にセット信号とリセット信号とを生成させるための、セット信号用加算値と、リセット信号用加算値とを生成する。信号生成部46は、セット信号を生成するためのカウンタ48−1、リニアライズメモリ54−1、論理積回路50−1、及び可変遅延回路52−1を有する。
【0044】
演算部44は、複数のビットより構成されるディジタルデータの加算値を出力する。カウンタ48−1は、加算値の上位ビットと基準クロックとを受け取り、基準クロックの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジを計数し、加算値の上位ビットに示される回数、基準クロックのエッジを計数した場合に、論理積回路50−1に1を出力する。論理積回路50−1は、カウンタ48−1から1を受け取る毎に、可変遅延回路52−1に所定の信号を供給する。本例において、論理積回路50−1は、基準クロックを可変遅延回路52−1に供給する。つまり、カウンタ48−1及び論理積回路50−1は、基準クロックの周期の整数倍の遅延を生成する。
【0045】
リニアライズメモリ54−1は、加算値の下位ビットを受け取り、加算値の下位ビットに基づいて、可変遅延回路52−1の遅延量を制御する。つまり、リニアライズメモリ54−1及び可変遅延回路52−1は、加算値に示される遅延量のうち、基準クロックの周期以下の微小遅延を生成する。可変遅延回路52−1は、遅延させた信号をセットリセットラッチ56のセット端子に供給する。
【0046】
また、信号生成部46は、リセット信号を生成するための、カウンタ48−2、リニアライズメモリ54−2、論理積回路50−2、及び可変遅延回路52−2を有する。これらにより、セット信号を生成する場合と同様に、リセット信号を生成し、セットリセットラッチ56のリセット端子に、リセット信号を供給する。
【0047】
本例におけるタイミング発生部40によれば、オフセットメモリ42が格納した第1オフセット値に基づいて、演算部44が徐々に値が増加する加算値を算出し、信号生成部46及びセットリセットラッチ56が加算値に基づいてタイミング信号を生成するため、位相が徐々にシフトするタイミング信号を容易に生成することができる。また、タイミング信号を生成するために、第1オフセット値のみを格納すればよいため、タイミング信号の全てのタイミングをメモリに格納する場合に比べ、メモリ容量を低減することができる。また、オフセットメモリ42に格納した第1オフセット値を書き換える必要がないため、連続してタイミング信号を生成することができる。このため、セットアップ試験又はホールド試験において、試験を停止せずに連続して実行することができる。
【0048】
図6は、演算部44の構成の一例を示す。演算部44は、セット信号用加算値を算出するセット信号用演算部58−1と、リセット信号用加算値を算出するリセット信号用演算部58−2とを有する。
【0049】
セット信号用演算部58−1は、タイミングメモリ60、シフト値算出器70、フリップフロップ62、加算器66、フリップフロップ68、及び加算器64を有する。タイミングメモリ60は、生成するべきセット信号用加算値の初期値を格納する。また、シフト値算出器70は、オフセットメモリ42が格納した第1オフセット値に基づいて、徐々に値が増加するシフト値を順に算出する。
【0050】
加算器66は、シフト値算出器70が算出したシフト値に、与えられるレートデータの値を加算し、フリップフロップ68に供給する。また、タイミングメモリ60は、格納した初期値をフリップフロップ62に供給する。例えば、セット信号用加算値を18ビットのディジタルデータとして出力する場合、タイミングメモリ60は、18ビットの初期値を格納し、シフト値算出器70は、シフト値を9ビットのディジタルデータとして出力する。
【0051】
フリップフロップ62及びフリップフロップ68は、受け取ったデータを同期して加算器64に供給する。加算器64は、初期値の下位ビットにシフト値を加算して出力する。例えば、加算器64は、初期値の下位9ビットに、シフト値を加算し、セット信号用加算値として出力する。
【0052】
また、リセット信号用演算部58−2は、セット信号用演算部58−1と同一の構成を有する。本例において、セット信号用演算部58−1とリセット信号用演算部58−2のタイミングメモリ60には、同一の初期値が与えられ、それぞれのシフト値算出器70は、略同一のシフト値を算出する。また、リセット信号用演算部58−2の加算器66には、セット信号用演算部58−1の加算器66に与えられるレートデータより、生成するべきタイミング信号のパルス幅だけ大きいレートデータが与えられる。これにより、セットリセットラッチ56において、所望のパルス幅を有するタイミング信号を生成することができる。これらの場合、セット信号用演算部58−1及びリセット信号用演算部58−2は、共通のタイミングメモリ及びシフト値算出器70を有してよい。
【0053】
また、他の例においては、演算部44は、リセット信号用演算部58−2を有さなくてもよい。この場合、セット信号用演算部58−1が算出した加算値の上位ビットは、カウンタ48−1及びカウンタ48−2に与えられ、加算値の下位ビットは、リニアライズメモリ54−1及びリニアライズメモリ54−2に与えられる。例えば、リニアライズメモリ54−1とリニアライズメモリ54−2とに同一の値が与えられた場合に、可変遅延回路52−2が、可変遅延回路52−1より所定の時間だけ大きい遅延を生成するように、それぞれのリニアライズメモリ54を予めイニシャライズ又はアジャストすることにより、所定の時間のパルス幅を有するタイミング信号を生成することができる。
【0054】
図6において説明した演算部44によれば、徐々に値の増加する加算値を効率よく算出することができる。例えば、算出するべき加算値の全てを予めタイミングメモリ60に格納しておく場合に比べ、メモリ容量を低減することができる。また、本例における演算部44においては、セット信号又はリセット信号を生成するためのセット信号用演算部58−1とリセット信号用演算部58−2とを一つずつ有していたが、他の例においては、セット信号用演算部58−1とリセット信号用演算部58−2とを2つずつ有していてもよい。この場合、2つのセット信号用演算部58−1をインターリーブ動作させ、2つのリセット信号用演算部58−2をインターリーブ動作させることにより、演算部44は、より高速に動作することができる。
【0055】
図7は、シフト値算出器70の構成の一例を示す。シフト値算出器70は、複数の論理積回路(72、74、76、80、88、90)、複数の加算器(78、88、90)、及び複数のフリップフロップ(82、84、94、96)を有する。
【0056】
論理積回路72は、オフセットメモリ42から第1オフセット値を受け取り、論理積回路76及び加算器78に出力する。また、論理積回路72には、受け取った第1オフセット値を出力するか否かを制御するためのコマンド信号1−1が与えられる。受け取った第1オフセット値を出力しない場合、論理積回路72には、コマンド信号1−1として零が与えられる。
【0057】
論理積回路74は、オフセットメモリ42から第1オフセット値を受け取り、加算器78に出力する。また、論理積回路74には、受け取った第1オフセット値を出力するか否かを制御するためのコマンド信号1−2が与えられる。
【0058】
本発明に係る第1算出器の一例である加算器78は、論理積回路72と論理積回路74とが出力した信号を加算し、論理積回路80に出力する。つまり、コマンド信号1−1及びコマンド信号1−2が1である場合、加算器78は、第1オフセット値の2倍の値を示す第2オフセット値を出力する。
【0059】
論理積回路76は受け取った信号をフリップフロップ82に出力する。また、論理積回路76には、受け取った信号をフリップフロップ82に出力するか否かを制御するコマンド信号2−1が与えられる。また、論理積回路80は受け取った信号をフリップフロップ84に出力する。論理積回路80には、受け取った信号をフリップフロップ84に出力するか否かを制御するコマンド信号2−2が与えられる。本例において、コマンド信号2−1、コマンド信号2−2には0が与えられる。
【0060】
フリップフロップ82及びフリップフロップ84は、受け取った信号を保持し、且つ同期して出力する。本例において、フリップフロップ82は第1オフセット値を保持し、フリップフロップ84は第2オフセット値を保持する。
【0061】
本発明に係る第1出力器の一例であるフリップフロップ94は、まず第1オフセット値を受け取り、基準クロックに応じて第1オフセット値を第1出力信号として出力する。また、本発明に係る第2出力器の一例であるフリップフロップ96は、まず第2オフセット値を受け取り、基準クロックに応じて第2オフセット値を第2出力信号として出力する。
【0062】
論理積回路88は、第2出力信号を受け取り、加算器86に出力する。また、論理積回路88には、受け取った第2出力信号を出力するか否かを制御するコマンド信号3−1が与えられる。また、論理積回路90は、第2出力信号を受け取り、加算器92に出力する。論理積回路90には、受け取った第2出力信号を出力するか否かを制御するコマンド信号3−1及びコマンド信号3−2が与えられる。
【0063】
本発明に係る第2算出器の一例である加算器86は、第2出力信号に、フリップフロップ82が保持している第1オフセット値を加算し、新たに第1オフセット値としてフリップフロップ94に出力する。また、加算器92は、第2出力信号に、フリップフロップ84が保持している第2オフセット値を加算し、新たに第2オフセット値としてフリップフロップ96に出力する。
【0064】
フリップフロップ94及びフリップフロップ96は、受け取った第1オフセット値及び第2オフセット値を、順次第1出力信号及び第2出力信号として出力する。シフト値算出器70は、フリップフロップ94及びフリップフロップ96が出力した第1出力信号及び第2出力信号を、交互に加算値として出力する。また、シフト値算出器70のそれぞれのフリップフロップには、保持している値をリセットするか否かを制御するための制御信号が与えられる。
【0065】
本例におけるシフト値算出器70によれば、徐々に値の増加する加算値を容易に生成することができる。また、それぞれのコマンド信号を制御することにより、様々な加算値を生成することができる。また、それぞれのコマンド信号の組み合わせにより、生成した加算値のそれぞれの値が、第1オフセット値を何回加算した値であるかを判定することができる。つまり、それぞれのコマンド信号に、何回0又は1が入力されたかを計数することにより、生成したタイミング信号の位相シフト量を算出することができる。このため、図3において説明したカウンタ38は、それぞれのコマンド信号として1が入力された回数を計数してもよい。
【0066】
また、本例におけるシフト値算出器70は、徐々に値の増加する加算値を生成したが、他の例においては、シフト値算出器70は、徐々に値の減少する加算値を生成してもよい。本例におけるシフト値算出器70と同様の構成により、徐々に値の減少する加算値は容易に生成することができる。
【0067】
図8は、図7において説明したシフト値算出器70の動作の一例を示すタイミングチャートである。本例において、オフセットメモリ42には第1オフセット値として125psが格納される。図8に示すように、試験装置100は、コマンド信号1−1、コマンド信号1−2、コマンド信号2−1、及びコマンド信号2−2の組み合わせにより、フリップフロップ82が保持する第1オフセット値及びフリップフロップ84が保持する第2オフセット値を変化させる。
【0068】
フリップフロップ94及びフリップフロップ96は、フリップフロップ82が保持する第1オフセット値及びフリップフロップ84が保持する第2オフセット値と、コマンド信号3−1及びコマンド信号3−2とに基づいて、第1出力信号及び第2出力信号を出力する。
【0069】
上述したように、本例におけるシフト演算器70によれば、徐々に値の増加する加算値を容易に生成することができる。
【0070】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることができる。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0071】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明に係る試験装置によれば、セットアップ試験又はホールド試験を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る試験装置100の構成の一例を示す図である。
【図2】 セットアップ試験の一例を説明する図である。
【図3】 判定部30の構成の一例を示す。
【図4】 試験装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図5】 タイミング発生部40の構成の一例を示す。
【図6】 演算部44の構成の一例を示す。
【図7】 シフト値算出器70の構成の一例を示す。
【図8】 図7において説明したシフト値算出器70の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
10・・・パターン発生部、20・・・波形整形部、28・・・フェイルメモリ、30・・・判定部、32・・・レベル比較器、34・・・論理比較器、36・・・解析メモリ、38・・・カウンタ、40・・・タイミング発生部、42・・・オフセットメモリ、44・・・演算部、46・・・信号生成部、48・・・カウンタ、50・・・論理積回路、52・・・可変遅延回路、54・・・リニアライズメモリ、56・・・セットリセットラッチ、58・・・演算部、60・・・タイミングメモリ、62・・・フリップフロップ、64・・・加算器、66・・・加算器、68・・・フリップフロップ、70・・・シフト値算出器、72・・・論理積回路、74・・・論理積回路、76・・・論理積回路、78・・・加算器、80・・・論理積回路、82・・・フリップフロップ、84・・・フリップフロップ、86・・・加算器、88・・・論理積回路、90・・・論理積回路、92・・・加算器、94・・・フリップフロップ、96・・・フリップフロップ、100・・・試験装置、200・・・被試験デバイス
Claims (7)
- 与えられたクロック信号に応じて、与えられたデータ信号を記憶する被試験デバイスのセットアップ試験又はホールド試験を行う試験装置であって、
前記セットアップ試験又は前記ホールド試験の開始前に予め与えられた第1オフセット値に基づいて、異なるタイミングを示す複数のタイミング信号を、前記セットアップ試験又は前記ホールド試験の試験中に順次生成するタイミング発生部と、
前記クロック信号及び前記データ信号を生成するパターン発生部と、
前記クロック信号に対する前記データ信号の位相を、順次生成された前記タイミング信号に応じて順次シフトし、前記クロック信号及び位相シフトされた前記データ信号を前記被試験デバイスに順次供給する波形整形部と、
前記被試験デバイスが前記データ信号を記憶した記憶データに基づいて、前記被試験デバイスのセットアップタイム又はホールドタイムを算出する判定部と
を備え、
前記タイミング発生部は、
前記第1オフセット値を格納するオフセットメモリと、
前記オフセットメモリが格納した前記第1オフセット値に基づいて、前記第1オフセット値ずつ増加する加算値を順次算出する演算部と、
前記加算値に応じて位相シフトした前記タイミング信号を順次生成する信号生成部と
を有し、
前記演算部は、
前記加算値の初期値を格納するタイミングメモリと、
前記第1オフセット値ずつ値が増加するシフト値を順次算出するシフト値算出器と、
前記初期値と前記シフト値とを加算し、前記加算値を順次算出する加算器と
を含み、
前記シフト値算出器は、
前記第1オフセット値を受け取り、与えられた基準クロックに応じて受け取った第1オフセット値を第1出力信号として出力する第1出力器と、
前記第1オフセット値の2倍の値を示す第2オフセット値を算出する第1算出器と、
前記第2オフセット値を受け取り、与えられた前記基準クロックに応じて受け取った第2オフセット値を第2出力信号として出力する第2出力器と、
前記第2出力信号に、前記オフセットメモリに格納された第1オフセット値を加算し、前記第1出力器に新たに第1オフセット値として供給する第2算出器と、
前記第2出力信号に、前記第1算出器が算出した前記第2オフセット値を加算し、前記第2出力器に新たに第2オフセット値として供給する第3算出器と
を含み、
前記シフト値算出器は、前記第1出力信号と前記第2出力信号を、前記加算値として順次出力することを特徴とする試験装置。 - 前記タイミング発生部は、前記波形整形部が前記被試験デバイスに前記データ信号を供給する毎に、異なるタイミングを示す前記タイミング信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
- 前記判定部は、前記波形整形部が前記クロック信号及び前記データ信号を前記被試験デバイスに供給する毎に、前記被試験デバイスが記憶した記憶データを読み出し、読み出したそれぞれの前記記憶データと、前記クロック信号に対する位相シフト量とを対応付けて格納する解析メモリを有することを特徴とする請求項1または2に記載の試験装置。
- 前記解析メモリは、前記位相シフト量として、対応する前記データ信号が、前記セットアップ試験又は前記ホールド試験において何番目に前記被試験デバイスに供給されたかを格納することを特徴とする請求項3に記載の試験装置。
- 前記判定部は、前記記憶データのそれぞれと、前記被試験デバイスから読み出されるべき期待値信号とを比較し、前記記憶データと前記期待値信号との比較結果と、対応する前記位相シフト量とに基づいて、前記被試験デバイスが前記データ信号を記憶するために必要なセットアップタイム又はホールドタイムを算出することを特徴とする請求項3または4に記載の試験装置。
- 前記解析メモリは、前記位相シフト量として、前記第1オフセット値を何回加算して、対応する前記加算値を算出したかを示す値を格納することを特徴とする請求項5に記載の試験装置。
- 与えられたクロック信号に応じて、与えられたデータ信号を記憶する被試験デバイスのセットアップ試験又はホールド試験を行う試験方法であって、
前記セットアップ試験又は前記ホールド試験の開始前に予め与えられた第1オフセット値に基づいて、異なるタイミングを示す複数のタイミング信号を、前記セットアップ試験又は前記ホールド試験の試験中に順次生成するタイミング発生段階と、
前記クロック信号及び前記データ信号を生成するパターン発生段階と、
前記クロック信号に対する前記データ信号の位相を、順次生成された前記タイミング信号に応じて順次シフトし、前記クロック信号及び位相シフトされた前記データ信号を前記被試験デバイスに順次供給する波形整形段階と、
前記被試験デバイスが前記データ信号を記憶した記憶データに基づいて、前記被試験デバイスのセットアップタイム又はホールドタイムを算出する判定段階と
を備え、
前記タイミング発生段階は、
前記第1オフセット値を格納するオフセットメモリ格納段階と、
前記オフセットメモリ格納段階で格納した前記第1オフセット値に基づいて、前記第1オフセット値ずつ増加する加算値を順次算出する演算段階と、
前記加算値に応じて位相シフトした前記タイミング信号を順次生成する信号生成段階と
を有し、
前記演算段階は、
前記加算値の初期値を格納するタイミングメモリ格納段階と、
前記第1オフセット値ずつ値が増加するシフト値を順次算出するシフト値算出段階と、
前記初期値と前記シフト値とを加算し、前記加算値を順次算出する加算段階と
を含み、
前記シフト値算出段階は、
前記第1オフセット値を受け取り、与えられた基準クロックに応じて受け取った第1オフセット値を第1出力信号として出力する第1出力段階と、
前記第1オフセット値の2倍の値を示す第2オフセット値を算出する第1算出段階と、
前記第2オフセット値を受け取り、与えられた前記基準クロックに応じて受け取った第2オフセット値を第2出力信号として出力する第2出力段階と、
前記第2出力信号に、前記オフセットメモリ格納段階で格納された第1オフセット値を加算し、前記第1出力段階に新たに第1オフセット値として供給する第2算出段階と、
前記第2出力信号に、前記第1算出段階で算出した前記第2オフセット値を加算し、前記第2出力段階に新たに第2オフセット値として供給する第3算出段階と
を含み、
前記シフト値算出段階は、前記第1出力信号と前記第2出力信号を、前記加算値として順次出力させることを特徴とする試験方法。
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