以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
〔第1の実施の形態〕
図2〜図7を用いて、発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子を画素とする表示パネルの製造方法について説明する。図2〜図7は製造方法における各工程の断面図であり、工程順序は図2〜図7の順になっている。
まず、図1、図2に示すような画素回路を有したトランジスタアレイ基板1を製造する。このトランジスタアレイ基板1は、有機エレクトロルミネッセンス素子を制御する画素回路が、従来のように信号電圧による電圧制御するものではなく、後述する有機EL素子26に流れる電流のレベル(強さ)を制御することによって階調発光するものであり、気相成長法(例えば、PVD法、CVD法、スパッタリング法等)といった成膜工程、フォトリソグラフィー法、メタルマスク法といったマスク工程、エッチングといった形状加工工程を適宜行うことにより複数のトランジスタを基板2上にパターニングすることによって製造されたものである。
具体的には、図1に示すように、トランジスタアレイ基板1は、ガラス、樹脂等をシート状又は板状に形成した絶縁性の基板2と、互いに平行となるよう基板2上に配列された複数の電流線(データライン)3,3,…と、基板2を平面視して電流線3に対して直交するよう且つ互いに平行となるよう基板2上に配列された複数の走査線4,4,…と、走査線4,4,…のそれぞれの間において走査線4と平行となるよう基板2上に配列された複数の電流源ライン18,18,…並びにELライン19,19,…と、電流線3,3,…及び走査線4,4,…に沿って二次元アレイ状となるよう基板2上に配列された複数の画素回路6,6,…等とから構成されている。
画素回路6は画素ごとに画素の周辺に設けられた回路である。画素回路6は、三つの薄膜トランジスタ(以下単にトランジスタと記述する。)7,8,9と、キャパシタ10と、から構成されている。何れのトランジスタ7,8,9も、ゲート7G,8G,9G(図2等に図示)、ゲート7G,8G,9Gを被覆したゲート絶縁膜41(図2等に図示)、ゲート絶縁膜41を挟んで各ゲート7G,8G,9Gに対向した半導体層42(図2等に図示)、半導体層42のチャネル表面をエッチャントから保護するブロッキング絶縁膜43(図2等に図示)、半導体層42の両端部上に形成された不純物半導体層44,44(図2等に図示)、一方の不純物半導体層44上に形成されたドレイン7D,8D,9D(図2等に図示)、他方の不純物半導体層44上に形成されたソース7S,8S,9S(図2等に図示)等から構成されたNチャネルMOS型の電界効果トランジスタであり、特にアモルファスシリコンを半導体層42(チャネル領域)としたa−Siトランジスタであるが、ポリシリコンを半導体層42としたp−Siトランジスタであってもよい。トランジスタ7,8,9の構造は逆スタガ型であっても良いし、コプラナ型であっても良い。以下では、トランジスタ7を電流経路制御トランジスタ7と、トランジスタ8を電流データ書込み制御トランジスタ8と、トランジスタ9を電流制御トランジスタ9と称する。ここで、電流経路制御トランジスタ7及び電流データ書込み制御トランジスタ8を具備した回路が、選択期間中では電流線3に所定の電流値の記憶電流を流すとともに非選択期間中では電流線3に電流を流すことを停止するスイッチ回路に相当し、電流制御トランジスタ9及びキャパシタ10を具備した回路が、選択期間中に電流線3を介して流れる記憶電流の電流値にしたがった電流データを記憶し、その選択期間中に記憶された電流データにしたがって記憶電流の電流値と実質的に等しい電流値の駆動電流を非選択期間中に有機EL素子26(図8に図示)に供給する電流記憶回路に相当する。なお、図2〜図7は、電流制御トランジスタ9を走査線4に直交する面に沿って切断した場合の断面図であり、一画素を示す。別の画素も各工程では図2〜図7の状態になっている。
図1に示すように、電流経路制御トランジスタ7のゲート7Gは走査線4に接続され、電流経路制御トランジスタ7のソース7Sは電流線3に接続され、電流経路制御トランジスタ7のドレイン7Dは電流制御トランジスタ9のソース9Sに接続されている。電流データ書込み制御トランジスタ8のゲート8Gは走査線4に接続され、電流データ書込み制御トランジスタ8のドレイン8Dは電流制御トランジスタ9のドレイン9D及び電流源ライン18に接続され、電流データ書込み制御トランジスタ8のソース8Sは電流制御トランジスタ9のゲート9Gに接続されている。電流制御トランジスタ9のドレイン9Dは電流源ライン18に接続されている。キャパシタ10は、電流制御トランジスタ9のゲート9Gに接続された電極と、電流制御トランジスタ9のソース9Sに接続された電極と、これら二つの電極の間に介在する絶縁膜(誘電体膜)と、で構成され、電流制御トランジスタ9のゲート9Gとソース9Sとの間に電荷を蓄積する機能を有する。キャパシタ10の絶縁膜はゲート絶縁膜41に共通した膜である。
上記トランジスタ7,8,9は同一工程で同時にパターニングされたものであるので、ゲート7G,8G,9G、ゲート絶縁膜41、半導体層42、不純物半導体層44、ドレイン7D,8D,9D、ソース7S,8S,9S等の組成はトランジスタ7,8,9のあいだで同じであるが、トランジスタ7,8,9の形状、大きさ、寸法、チャネル幅、チャネル長等はトランジスタ7,8,9のそれぞれの機能に応じて異なる。
電流線3,3,…は、トランジスタ7,8,9の各ソース7S,8S,9S、ドレイン7D,8D,9Dと同一の導電膜を同一工程で同時にパターニングすることによって形成されたものである。
走査線4,4,…は、トランジスタ7,8,9の各ゲート7G,8G,9Gと同一の導電膜を同一工程で同時にパターニングすることによって形成されたものである。
また、図2に示すように、トランジスタアレイ基板1の表層には、絶縁膜11がべた一面に成膜されており、絶縁膜11によって電流線3,3,…、走査線4,4,…及び画素回路6,6,…が被覆されている。絶縁膜11は、窒化シリコン、酸化シリコン等の無機絶縁膜上にポリイミド等の感光性絶縁膜を積層したものである。なお、トランジスタアレイ基板1の各層のうち、基板2の表面から絶縁膜11の表面までの間の多層膜をトランジスタ層という。
図2に示すように、準備したトランジスタアレイ基板1に対してフォトリソグラフィー法、エッチング法等を施すことにより、各電流制御トランジスタ9のソース9Sに通じるコンタクトホール12及び各電流制御トランジスタ9のドレイン9Dに通じるコンタクトホール13を絶縁膜11に形成する。
次に、窒化シリコン又は酸化シリコンからなる有機EL分離絶縁膜14を、縦方向(列方向)に隣り合った画素の間において走査線4と平行となるようにパターニング形成する。有機EL分離絶縁膜14は、気相成長法といった薄膜形成工程、フォトリソグラフィー法といったマスク工程、エッチング法といった形状加工工程を経てパターニングする。
次に、図3に示すように、気相成長法によって金等の金属材料からなる高反射率の反射金属膜15をトランジスタアレイ基板1上の一面に成膜する。反射金属膜15は、コンタクトホール12,13内においても表面に成膜される。
次に、気相成長法によって透明金属酸化物膜16を反射金属膜15上の一面に成膜する。透明金属酸化物膜16は、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))からなる。透明金属酸化物膜16は、コンタクトホール12,13内においても表面に成膜される。
次に、スパッタリング等の気相成長法によって銅、ニッケル等の金属材料からなるメッキシード層17を透明金属酸化物膜16上の一面に成膜する。
次に、コンタクトホール13と重なり且つ行方向に沿った部分のメッキシード層17、並びに有機EL分離絶縁膜14と重なり且つ行方向に沿った部分のメッキシード層17が露出されるようなフォトレジスト膜61を形成する。続いて露出されたメッキシード層17を電極として電解メッキを行うことにより、図4に示すように、露出されたメッキシード層17上にそれぞれ膜厚2〜100μm且つ5μm〜50μm幅の銅メッキの電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…を形成する。電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…は、トランジスタ7,8,9のソース7S,8S,9S及びドレイン7D,8D,9Dの膜厚よりも厚くなるよう堆積され、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…の単位長さあたりの抵抗は、トランジスタ7,8,9のソース7S,8S,9S及びドレイン7D,8D,9Dの単位長さあたりの抵抗よりも小さい。なお、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…の抵抗率は、トランジスタ7,8,9のソース7S,8S,9S及びドレイン7D,8D,9Dの導電材料の抵抗率よりも低いことが好ましい。また、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…は、トランジスタ7,8,9のゲート7G,8G,9Gの膜厚よりも厚くなるよう堆積され、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…の単位長さあたりの抵抗は、トランジスタ7,8,9のゲート7G,8G,9Gの単位長さあたりの抵抗よりも小さい。電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…の抵抗率は、トランジスタ7,8,9のゲート7G,8G,9Gの導電材料の抵抗率よりも低いことが好ましい。なお、電流源ライン18が画素回路接続配線の導電層に相当し、走査線4に沿って同一の行に配列された画素回路6,6,…が同一の電流源ライン18に接続されている。
電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…の本数はともに、走査線4,4,…と同数であり、各行に電流源ライン18、ELライン19及び走査線4が1本ずつ設けられている。この後、フォトレジスト膜61を除去する。なお、電解メッキの代わりに、スパッタリング法、昇華蒸着法又はディスペンサー法により銅厚膜を成膜しても良い。
そして、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…で被覆された部分を除いて露出されたメッキシード層17に対してエッチングによる形状加工を行うことによって、電流源ライン18,18,…の下方にメッキシード下地層17aを形成し、ELライン19,19,…の下方にメッキシード下地層17bを形成する。
次に、図5に示すように、透明金属酸化物膜16に対してフォトリソグラフィー法、エッチング法を施すことにより、透明金属酸化物膜16を画素ごとに残留させて画素電極16aをパターニング形成するとともに、電流源ライン18,18,…をマスクとしたメッキシード下地層17aの下方に設けられた透明金属酸化物膜16を残留させて透明金属酸化物下地膜16bを形成し、シード下地層17bの下方に設けられた透明金属酸化物膜16を残留させて透明金属酸化物下地膜16cを形成する。ここで、平面視して、残留した画素電極16aがコンタクトホール12に重なり且つ、残留した画素電極16aが画素ごとに独立するよう、透明金属酸化物膜16をパターニングされている。画素電極16aは、後述する有機EL素子26(図8に図示)のアノードとして機能する。メッキシード下地層17a及び透明金属酸化物下地膜16bは電流源ライン18と形状が略同一であり、行方向に延在している。シード下地層17b及び透明金属酸化物下地膜16cはELライン19と形状が略同一であり、行方向に延在している。なお、図5は後述する図8の(V)−(V)線に沿った面であって矢印方向に見た面の断面図である。
引き続き画素電極16aをマスクとして反射金属膜15を画素電極16aと同一形状にパターニングして反射金属下地膜15aを形成し、透明金属酸化物下地膜16bの下方の反射金属膜15を残留するようにエッチングして反射金属下地膜15bを形成し、透明金属酸化物下地膜16cの下方の反射金属膜15を残留するようにエッチングして反射金属下地膜15cを形成する。なお、平面視して、反射金属下地膜15aはコンタクトホール12に重なるよう配置されている。このため、画素電極16aは、互いに画素毎に電気的に絶縁され、且つ当該画素の電流制御トランジスタ9のソース9Sと接続されている。図5の状態のトランジスタアレイ基板1の回路図が図1となる。
そして、この有機EL素子26が設けられていない構造のトランジスタアレイ基板1において、各走査線4に検査用走査ドライバを接続させ、電流源ライン18に所定の電圧を出力する検査用駆動ドライバを接続させ、電流線3に、電流線3に所定の電流値の電流が流れさせる検査用電流制御ドライバを接続させてから、走査線4、電流源ライン18に駆動ドライバから所定の電圧を印加し、電流制御ドライバから電流線3に所定の電流が流れるように駆動させて、電流源ライン18から各画素回路6の電流制御トランジスタ9のソース9S、ドレイン9D間並びに電流経路制御トランジスタ7のソース7S、ドレイン7D間を経由して電流線3に所定の電流値の電流が流れているかどうか検査することができる。このように、有機EL素子26を設ける前段階で、各画素回路6が正常であるかどうか確認することができるので仮にトランジスタアレイ基板1のある画素回路6のトランジスタ7、8、9、キャパシタ10のいずれかに動作不良があり、不良品と認定された場合、そのトランジスタアレイ基板1に有機EL素子26を形成せずに済むので生産性を向上することができる。
図8は、図5の状態における画素回路6の主要素の略平面図であり、電流源ライン18及びELライン19は走査線4に対して平行に設けられている。また、図5に示すように、平面視して、横方向(行方向)に配列された全ての画素、つまり各行の画素のコンタクトホール13に設けられたメッキシード下地層17aに対して電流源ライン18の一部が一致するように形成されているので、各行の全ての画素の電流制御トランジスタ9のドレイン9Dが、各行の電流源ライン18にそれぞれ電気的に接続した状態となる。
なお、図8において、トランジスタ7〜9のソース7S,8S,9Sと一体に形成された電流線3と、トランジスタ7〜9のゲート7G,8G,9Gと一体に形成された走査線4との間には、ゲート絶縁膜41に加えて、半導体層42と同一膜をパターニングしてなる保護膜42aが形成されている。また、電流データ書込み制御トランジスタ8のソース8Sと電流制御トランジスタ9のゲート9Gは、ゲート絶縁膜41に設けられたコンタクトホール31を介して互いに接続されている。
次に、図6に示すように、電着塗装法により電流源ライン18のみを被覆するように電流源ライン絶縁膜21を形成する。以上により、有機EL駆動基板が完成する。
なお、気相成長法、フォトリソグラフィー法、エッチング法を用いて、電流源ライン18のみを被覆するよう、窒化シリコン又は酸化シリコンからなる電流源ライン絶縁膜21をパターニングしても良い。また、マスクをした状態でスピンコート法を行って、マスクを剥がすこと(リフトオフ法)によって、電流源ライン18のみを被覆するよう、絶縁材料からなる電流源ライン絶縁膜21をパターニングしても良い。
次に、図6に示すように、PEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔輸送層22を液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、ディップコート法等の湿式成膜法によって成膜する。正孔輸送層22は、トランジスタアレイ基板1の一面に形成して全ての画素に共通させても良いし、画素ごとに独立するよう形成しても良い。図では、正孔輸送層22を含む溶液又は懸濁液が、電流源ライン18及びELライン19に囲まれた領域に充填された後、溶剤又は水分が揮発することによって正孔輸送層22が成膜されている状態を示している。
正孔輸送層22の乾燥後、ポリフルオレン系発光材料からなる発光層23を液滴吐出法(インクジェット方法)、印刷法等の湿式成膜法によって画素ごとにパターニングする。ここで、有機EL分離絶縁膜14の上に、反射金属下地膜15c、透明金属酸化物下地膜16c、メッキシード下地層17b及びELライン19が残留しているが、正孔輸送層22の膜厚や発光層23の膜厚は有機EL分離絶縁膜14の膜厚よりも薄い。そして画素領域に被覆した時の発光層23を含む溶液又は懸濁液の高さは、電流源ライン18の高さやELライン19の高さよりも低い。したがって、発光層23を含む溶液又は懸濁液は、電流源ライン18及びELライン19を越えて隣の行の画素に流出することはない。このように、電流源ライン18及びELライン19は、発光層23を含む溶液又は懸濁液の流出を防止する隔壁として機能する。したがって、電流源ライン18及びELライン19に沿って囲まれた行方向の複数の画素は同一色に発光する発光層とすれば、電流源ライン18及びELライン19間にまとめて発光層23を含む溶液又は懸濁液を流入させることで行方向の複数の画素に発光層23を一括して成膜することができる。
次に、図7に示すように、蒸着等の気相成長法によって、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属等の低仕事関数材料からなる電子注入層と、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))を有する透明導電層との二層構造の共通電極24をカソード電極として一面に成膜する。電子注入層は10nm〜200nmの厚さで可視光が透過する程度に薄いために、電流源ライン18やELライン19の段差によって切断されてもよいが、共通電極24の透明導電層は、複数の画素の有機EL素子26の一方の電極を互いに等電位にするため、電流源ライン18上の電流源ライン絶縁膜21の上を跨ぎ且つELライン19上に跨るように成膜されている。これにより、発光層23は共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、更にELライン19も共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆される。図7において、画素電極16a、正孔輸送層22、発光層23、共通電極24の順に積層したものが有機EL素子26となるが、共通電極24は全ての画素(有機EL素子26)に共通した層となっている。
次に、スピンコート法、ディップコート法、気相成長法によってオーバーコート絶縁層25を一面に成膜し、そのオーバーコート絶縁層25に透明接着樹脂を塗布して封止ガラス基板と貼り合わせる。
以上により、アクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルが完成する。
完成したエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルは図9のような回路構成となる。図9に示すように、電流源ライン18とELライン19との間において電流制御トランジスタ9と有機EL素子26が直列に接続されている。つまり、電流制御トランジスタ9のドレイン9Dが電流源ライン18に接続され、電流制御トランジスタ9のソース9Sが有機EL素子26のアノードである画素電極16a)に接続され、有機EL素子26のカソードである共通電極24がELライン19に接続されている。また、ELライン19が発光素子接続配線の導電層に相当し、走査線4に沿って同一の行に配列された有機EL素子26,26,…が同一のELライン19に接続されている。
エレクトロルミネッセンスディスプレイパネルを駆動して表示を行う際には、基板2上の複数の電流線3に電流制御ドライバが接続され、複数の走査線4に走査ドライバが接続され、複数の電流源ライン18に駆動ドライバが接続され、複数のELライン19が例えば接地されることによって一定の電圧に維持される。
このエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの駆動方法の一例を説明する。
走査ドライバが複数の走査線4にオンレベル(ハイレベル)のシフトパルスを順次出力し、それに同期するように駆動ドライバが複数の電流源ライン18にローレベル(ELライン19よりも低電位又は等電位)のシフトパルスを順次出力し、それぞれ走査線4にシフトパルスが出力されている時に、電流制御ドライバが、電流線3並びに電流制御トランジスタ9に接続された電流経路制御トランジスタ7のドレイン7D−ソース7S間を介して強制的に電流制御トランジスタ9のドレイン9D−ソース9S間に記憶電流(引抜電流)を流す。
具体的には、或る行の選択期間に、当該行の走査線4にハイレベルのシフトパルスが出力され、且つ当該行以外の複数の走査線4に、オフレベル(ローレベル)の電圧が印加されている時は、当該行の電流源ライン18に、ELライン19よりも低電位又は等電位ローレベルのシフトパルスが出力されている。そのとき、電流経路制御トランジスタ7及び電流データ書込み制御トランジスタ8がオン状態(選択状態)となる。この時、電流制御ドライバが、階調データに応じた電流値の記憶電流を電流制御トランジスタ9のドレイン9D−ソース9S間に強制的に流れるように制御する。記憶電流は、電流源ライン18から電流制御トランジスタ9のドレイン9D−ソース9S間、電流経路制御トランジスタ7のドレイン7D−ソース7S間を経由して電流線3に向かって流れる。この記憶電流の電流値は、有機EL素子26の発光輝度階調に応じて電流制御ドライバによって自動的に制御されている。
トランジスタの特性上、電流制御トランジスタ9のドレイン9D−ソース9S間に流れる電流の電流値は、電流制御トランジスタ9のゲート9G−ソース9S間電位並びに電流制御トランジスタ9のドレイン9D−ソース9S間電位に依存されるが、電流制御ドライバが、記憶電流の電流値に応じて電流制御トランジスタ9のゲート9G−ソース9S間電位並びに電流制御トランジスタ9のドレイン9D−ソース9S間電位を設定することになり、このときのゲート9G−ソース9S間の電圧のレベルは、電流制御トランジスタ9のゲート9G−ソース9S間のキャパシタ10にチャージされた電荷によってその後の発光期間にわたって保持(記憶)される。当該行の発光期間では、走査ドライバによって当該行の走査線4がローレベルになり、電流経路制御トランジスタ7及び電流データ書込み制御トランジスタ8がオフ状態となるが、オフ状態の電流データ書込み制御トランジスタ8によってキャパシタ10の電荷が保持され、電流制御トランジスタ9のゲート9G−ソース9S間の電圧がそのまま維持される。この時、電流源ライン18がハイレベル(ELライン19の電圧よりも高レベル)になることによって、電流源ライン18から電流制御トランジスタ9を介して有機EL素子26に駆動電流が流れ、有機EL素子26が発光するが、駆動電流の大きさは電流制御トランジスタ9のゲート9G−ソース9S間の電圧に依存する。そのため、発光期間における駆動電流の電流値は、選択期間における記憶電流の電流値に等しくなる。そして選択期間、発光期間を行毎にずらしていくことでエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルがフレーム表示することが可能となる。
上述したように電流線3で引き抜かれる記憶電流の電流値は、一つの有機EL素子26に流れる駆動電流の電流値に等しいため、電流線3はトランジスタ7、8、9のソース、ドレインと同じ膜を用いても十分機能する程度の抵抗に設定できる。また、走査線4は、電流経路制御トランジスタ7及び電流データ書込み制御トランジスタ8を電圧変調によってオンオフ制御するだけでよいので大電流を流す必要がないため、トランジスタ7、8、9のゲートと同じ膜を用いても十分機能する程度の抵抗に設定できる。
しかしながら、ある行の電流源ライン18は、当該行の発光期間に、当該行の複数の画素の有機EL素子26にそれぞれ流れる駆動電流の電流源になるため、大きな電流値が流れるよう低抵抗でなければならない。そして、ある行のELライン19には、当該行の発光期間に、当該行の複数の画素の有機EL素子26にそれぞれ流れる駆動電流がまとまって流れるため、大きな電流値が流れるよう低抵抗でなければならない。このような電流源ライン18及びELライン19の抵抗は、各行の画素数(有機EL素子26の数)が増えるにしたがい小さくしなければならず、画素数が十分大きいと、トランジスタ7、8、9のゲートと同じ膜を用いただけでは十分に電流を流すことができなくなってしまう恐れがある。
ここで、本実施形態では、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9を構成した導電膜とは異なる膜で形成されているので、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…は、トランジスタ7,8,9のソース7S,8S,9S,ドレイン7D,8D,9Dの膜厚よりも厚く堆積でき、ソース7S,8S,9S、ドレイン7D,8D,9Dに対して単位長さあたりの抵抗が小さく設定されることが可能となる。また、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…は、トランジスタ7,8,9のゲート7G,8G,9Gの膜厚よりも厚く堆積でき、ゲート7G,8G,9Gに対して単位長さあたりの抵抗が小さく設定されることが可能となる。そのため、電流源ライン18やELライン19の電気抵抗を低くすることができ、発光期間の開始時から有機EL素子26が所望の明るさ(階調)に発光するまでの時間の遅延を抑えたり、電流源ライン18やELライン19における電圧降下を抑えたりすることができる。更には、電流源ライン18やELライン19を低抵抗にすることによって、エレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの明るさの低下、明るさのムラ、クロストーク等の表示劣化を抑えることができる。
例えば、電流源ライン18及びELライン19を、配線幅20μm、配線長664mmと設定してさらに本発明のように膜厚5μmの銅を用いた場合、シート抵抗0.003Ω/□、抵抗111Ωになり、40mAとしたときの電圧降下は4.4Vに抑えられる。一方、従来のように、トランジスタ7,8,9のドレイン、ソースに用いた膜厚0.3μmのAl−Tiを電流源ライン18及びELライン19として利用した場合、シート抵抗0.5Ω/□、抵抗16600Ωになり、40mAとしたときの電圧降下は6644Vになってしまう。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、電流線3と交差する部分を除いた走査線4が露出するようにゲート絶縁膜41及び絶縁膜11にコンタクトホールを設けて、電流源ライン18やELライン19の成膜と同一工程において、走査線4上に電解メッキ層を形成してもよい。この場合、メッキ層は、共通電極24と絶縁するように、電流源ライン18の電流源ライン絶縁膜21と同様に、間に絶縁膜を介在させるが、トランジスタ7,8のゲートには電気的に接続する。
また、上記実施形態ではトランジスタ7,8,9がNチャネル型の薄膜トランジスタであるとして説明したが、トランジスタ7,8,9がPチャネル型の薄膜トランジスタであっても良い。トランジスタ7,8,9がPチャネル型の薄膜トランジスタである場合、ソースとドレインの接続が逆になるので、上記説明において「ソース」を「ドレイン」に置き換え、「ドレイン」を「ソース」に置き換えれば良く、信号の「ハイレベル」を「ローレベル」に置き換え、「ローレベル」を「ハイレベル」に置き換えればよい。なおこの場合でも記憶電流の向きは変わらない。
〔第2の実施の形態〕
図10〜図15を用いて、第2の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの製造方法について説明する。図10〜図15は製造方法における各工程の断面図であり、工程順序は図10〜図15の順になっている。また、図10〜図15では、第1の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの各部に対応する部分に対して同一の符号を付す。
まず、図10に示すように、トランジスタアレイ基板1を製造する。次に、絶縁膜11上に気相成長法等による反射金属膜15の成膜工程、フォトリソグラフィー法等のマスク工程、エッチング等の形状加工工程をこの順に行うことによって、画素ごとに反射金属膜15dをパターニング形成する。
次に、気相成長法を施すことによって反射金属膜15dを被覆するように絶縁膜131をべた一面に成膜する。反射金属膜15dは、絶縁膜131によって電気的に絶縁されている。このように絶縁膜131を成膜したことが、第2の実施形態と第1の実施形態の異なる点である。
次に、フォトリソグラフィー法、エッチング法等を施すことにより、各電流制御トランジスタ9のソース9Sに通じるコンタクトホール12及び各電流制御トランジスタ9のドレイン9Dに通じるコンタクトホール13を絶縁膜11及び絶縁膜131に形成する。次に、窒化シリコン又は酸化シリコンからなる有機EL分離絶縁膜14を、縦方向に隣り合った画素の間において走査線4と平行となるようにパターニングする。
次に、図11に示すように、気相成長法によって透明金属酸化物膜16を絶縁膜131上の一面に成膜する。透明金属酸化物膜16は、コンタクトホール12,13内においても表面に成膜され、電流制御トランジスタ9のドレイン9D及びソース9Sに接する。このように反射金属膜15dを絶縁膜131によって透明金属酸化物膜16と電気的に分離したことが、第2の実施形態と第1の実施形態の異なる点である。
次に、スパッタリング等の気相成長法によって銅、ニッケル等の金属材料からなるメッキシード層17を透明金属酸化物膜16上の一面に成膜する。コンタクトホール13と重なり且つ行方向に沿った部分のメッキシード層17、並びに有機EL分離絶縁膜14と重なり且つ行方向に沿った部分のメッキシード層17が露出されるようなフォトレジス膜62を形成する。
次に、電解メッキを行うことにより、図12に示すように、露出されたメッキシード層17上に、トランジスタ7,8,9のソース、ドレイン、ゲートの膜厚よりも厚い膜厚2〜100μmの銅メッキ厚膜で且つ5μm〜50μm幅の銅メッキ厚膜からなる電流源ライン18及びELライン19を形成する。これにより行方向に配列された複数の画素の電流制御トランジスタ9のドレイン9Dが共通の電流源ライン18に電気的に接続した状態となる。なお、電解メッキの代わりに、スパッタリング法又は昇華蒸着法により銅厚膜を成膜しても良い。電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…はともに、走査線4,4,…と同数であり、各行に電流源ライン18、ELライン19及び走査線4が1本ずつ設けられている。
次に、図13に示すように、フォトレジスト膜62を除去してから電流源ライン18及びELライン19をマスクとして露出されたメッキシード層17をエッチング除去し、電流源ライン18,18,…の下方にメッキシード下地層17aを形成し、ELライン19,19,…の下方にメッキシード下地層17bを形成する。さらに透明金属酸化物膜16に対してフォトリソグラフィー法、エッチング法を施すことにより、画素電極16aをパターニングするとともに、電流源ライン18をマスクとしたメッキシード下地層17aの下方に設けられた透明金属酸化物膜16を残留させて透明金属酸化物下地膜16bを形成し、シード下地層17bの下方に設けられた透明金属酸化物膜16を残留させて透明金属酸化物下地膜16cを形成する。
次に、電流源ライン18のみを被覆するように電流源ライン絶縁膜21をパターニング形成する。以上により、有機EL表示装置が完成する。
次に、図14に示すように、PEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔輸送層22を液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、ディップコート法等の湿式成膜法によって成膜する。正孔輸送層22は、トランジスタアレイ基板1の一面に形成して全ての画素に共通させても良いし、画素ごとに独立するよう形成しても良い。図では、正孔輸送層22を含む溶液又は懸濁液が、電流源ライン18及びELライン19に囲まれた領域に充填された後、溶剤又は水分が揮発することによって正孔輸送層22が成膜されている状態を示している。
正孔輸送層22の乾燥後、第1の実施形態と同様に、ポリフルオレン系発光材料からなる発光層23を液滴吐出法(インクジェット方法)、印刷法等の湿式成膜法によって画素ごとにパターニングする。によって画素ごとにパターニングする。ここで、有機EL分離絶縁膜14の上に、透明金属酸化物下地膜16c、メッキシード下地層17b及びELライン19が残留しているが、正孔輸送層22の膜厚や発光層23の膜厚は有機EL分離絶縁膜14の膜厚よりも薄い。そして画素領域に被覆した時の発光層23を含む溶液の高さは、電流源ライン18の高さやELライン19の高さよりも低い。したがって、発光層23を含む溶液又は懸濁液は、電流源ライン18及びELライン19を越えて隣の行の画素に流出することはない。このように、電流源ライン18及びELライン19は、発光層23を含む溶液又は懸濁液の流出を防止する隔壁として機能する。したがって、電流源ライン18及びELライン19に沿って囲まれた行方向の複数の画素は同一色に発光する発光層とすれば、電流源ライン18及びELライン19間にまとめて発光層23を含む溶液又は懸濁液を流入させることで行方向の複数の画素に発光層23を一括して成膜することができる。
次に、図15に示すように、蒸着等の気相成長法によって、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属等の低仕事関数材料からなる電子注入層と、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))を有する透明導電層との二層構造の共通電極24をカソード電極として一面に成膜する。電子注入層は10nm〜200nmの厚さで可視光が透過する程度に薄いために、電流源ライン18やELライン19の段差によって切断されてもよいが、共通電極24の透明導電層は、複数の画素の有機EL素子26の一方の電極を互いに等電位にするため、電流源ライン18上の電流源ライン絶縁膜21の上を跨ぎ且つELライン19上に跨るように成膜されている。これにより、発光層23は共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、更にELライン19も共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、有機EL素子26が形成される。
次に、スピンコート法、ディップコート法、気相成長法によってオーバーコート絶縁層25を一面に成膜し、そのオーバーコート絶縁層25に接着樹脂によって封止ガラス基板を貼り合わせる。
以上により、アクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルが完成する。
第2の実施形態においても、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9を構成する導電膜とは別の膜で形成されているので、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9のドレイン、ソース、ゲートや電流線3、走査線4等よりも厚膜にして単位長さ当たりの抵抗をより小さくすることができる。そのため、電流源ライン18やELライン19の電気抵抗を低くすることができ、発光期間の開始時から有機EL素子26が所望の明るさ(階調)に発光するまでの時間の遅延を抑えたり、電流源ライン18やELライン19における電圧降下を抑えたりすることができる。更には、電流源ライン18やELライン19を低抵抗にすることによって、エレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの明るさの低下、明るさのムラ、クロストーク等の表示劣化を抑えることができる。
〔第3の実施の形態〕
図16〜図21を用いて、第3の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの製造方法について説明する。図16〜図21は製造方法における各工程の断面図であり、工程順序は図16〜図21の順になっている。また、図16〜図21では、第2の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの各部に対応する部分に対して同一の符号を付す。
まず、図16に示すように、トランジスタアレイ基板1を製造する。次に、絶縁膜11上にスパッタ等の気相成長法による反射金属膜の成膜工程、フォトリソグラフィー法等のマスク工程、エッチング等の形状加工工程をこの順に行うことによって、画素ごとに反射金属膜15dをパターニング形成する。
次に、気相成長法を施すことによって反射金属膜15dを被覆するように絶縁膜131をべた一面に成膜する。反射金属膜15dは、絶縁膜131によって電気的に絶縁されている。
次に、フォトリソグラフィー法、エッチング法等を施すことにより、各電流制御トランジスタ9のソース9Sに通じるコンタクトホール12及び各電流制御トランジスタ9のドレイン9Dに通じるコンタクトホール13を絶縁膜11及び絶縁膜131に形成する。
ここで、第2の実施形態では有機EL分離絶縁膜14をパターニングしたが、本実施形態では有機EL分離絶縁膜をパターニングしない。
次に、図17に示すように、気相成長法によって透明金属酸化物膜16を絶縁膜131上の一面に成膜する。透明金属酸化物膜16は、透明金属酸化物膜16は、コンタクトホール12,13内においても表面に成膜され、電流制御トランジスタ9のドレイン9D及びソース9Sに接する。
次に、図18に示すように、気相成長法によって銅、ニッケル等の金属材料からなるメッキシード層17を透明金属酸化物膜16上の一面に成膜する。メッキシード層17におけるコンタクトホール13と重なり且つ行方向に沿った部分17a、並びに反射金属膜15dに対して部分17aと対向する辺側に行方向に沿った隔壁231が形成される部分17b、が露出されるようなフォトレジスト膜63を形成する。
次に、電解メッキを行うことにより、露出されたメッキシード層部分17a、17b上にトランジスタ7,8,9のソース、ドレイン、ゲートの膜厚よりも厚い膜厚2〜100μm、5μm〜50μm幅の銅メッキ厚膜からなる電流源ライン18及び隔壁231を形成する。これにより行方向に配列された複数の画素の電流制御トランジスタ9のドレイン9Dが共通の電流源ライン18に電気的に接続した状態となる。なお、電解メッキの代わりに、スパッタリング法又は昇華蒸着法により銅厚膜を成膜しても良い。
なお、電流源ライン18,18,…及び隔壁231,231,…をパターニングするにあたって、電流源ライン18を隔壁231に対して平行に設け、更に電流源ライン18及び隔壁231を走査線4に対して平行に設ける。また、平面視して、横方向(行方向)に配列された全ての画素のコンタクトホール13に対して電流源ライン18が重なるよう、電流源ライン18をパターニングする。更に、電流源ライン18をトランジスタアレイ基板1の縁まで延在するよう、電流源ライン18をパターニングする。
次に、図19に示すように、フォトレジスト膜63を除去してから、電流源ライン18及び隔壁231をマスクとして露出されたメッキシード層17をエッチング除去し、電流源ライン18,18,…の下方にメッキシード下地層17aを残存し、隔壁231,231,…の下方にメッキシード下地層17bを残存する。さらに透明金属酸化物膜16に対してフォトリソグラフィー法、エッチング法を施すことにより、画素電極16aをパターニングするとともに、電流源ライン18をマスクとしたメッキシード下地層17aの下方に設けられた透明金属酸化物膜16を残留させて透明金属酸化物下地膜16bを形成し、シード下地層17bの下方に設けられた透明金属酸化物膜16を残留させて透明金属酸化物下地膜16cを形成する。
次に、図20に示すように、電流源ライン18を被覆するように電流源ライン絶縁膜21を形成するとともに、隔壁231を被覆するようにELライン絶縁膜232を電流源ライン絶縁膜21と同工程で形成する。以上により、有機EL駆動基板が完成する。
次に、PEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔輸送層22を液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、ディップコート法等の湿式成膜法によって成膜する。正孔輸送層22は、トランジスタアレイ基板1の一面に形成して全ての画素に共通させても良いし、画素ごとに独立するよう形成しても良い。図では、正孔輸送層22を含む溶液又は懸濁液が、電流源ライン18及び隔壁231に囲まれた領域に充填された後、溶剤又は水分が揮発することによって正孔輸送層22が成膜された状態を示している。
正孔輸送層22の乾燥後、第1の実施形態と同様に、ポリフルオレン系発光材料からなる発光層23を液滴吐出法(インクジェット方法)、印刷法等の湿式成膜法によって画素ごとにパターニングする。ここで、正孔輸送層22の膜厚や発光層23の膜厚は隔壁231の膜厚よりも薄い。そして画素領域に被覆した時の発光層23を含む溶液又は懸濁液の高さは、電流源ライン18の高さや隔壁231の高さよりも低い。したがって、発光層23を含む溶液又は懸濁液は、電流源ライン18及び隔壁231を越えて隣の行の画素に流出することはない。このように、電流源ライン18及び隔壁231は、発光層23を含む溶液又は懸濁液の流出を防止する隔壁として機能する。したがって、電流源ライン18及び隔壁231に沿って囲まれた行方向の複数の画素は同一色に発光する発光層とすれば、電流源ライン18及び隔壁231間にまとめて発光層23を含む溶液又は懸濁液を流入させることで行方向の複数の画素に発光層23を一括して成膜することができる。
次に、図21に示すように、蒸着等の気相成長法によって、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属等の低仕事関数の材料からなる電子注入層と、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))を有する透明導電層との二層構造の共通電極24をカソード電極として一面に成膜する。電子注入層は10nm〜200nmの厚さで可視光が透過する程度に薄いために、電流源ライン18や隔壁231の段差によって切断されてもよいが、共通電極24の透明導電層は、複数の画素の有機EL素子26の一方の電極を互いに等電位にするため、電流源ライン18表面の電流源ライン絶縁膜21上に跨り且つ隔壁231表面のELライン絶縁膜232上に跨るように成膜されている。これにより、発光層23は共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、更に隔壁231も共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、有機EL素子26が形成される。隔壁231は、正孔輸送層22を含む溶液又は懸濁液、及び/又は発光層23を含む溶液又は懸濁液を所定の位置に設けるための仕切りとして用いるものであって、第一実施形態のELライン19のように電圧が印加されているわけではない。
次に、蒸着法、スパッタリング法、スクリーン印刷法、昇華蒸着法、ディスペンサー法等によって、平面視して隔壁231に重なるように、トランジスタ7,8,9のソース、ドレイン、ゲートの膜厚よりも厚い膜厚のELライン233を共通電極24上に形成する。ELライン233は、第一実施形態のELライン19に相当するもので、形状、長さ、厚さともにELライン19と同様であり、トランジスタ7,8,9のソース7S,8S,9S、ドレイン7D,8D,9D、ゲート7G,8G,9Gの膜厚よりも厚いため、これら電極よりも単位配線の長さ当たりの抵抗が低く設定されている。また、ELライン233は、第一実施形態のELライン19と同様にフォトレジスト膜61を用いて電解メッキにより堆積されてもよい。ELライン233は、隔壁231上方において全画素共通の共通電極24と接続されている。電流源ライン18,18,…及びELライン233,233,…はともに、走査線4,4,…と同数であり、各行に電流源ライン18、ELライン233及び走査線4が1本ずつ設けられている。
次に、スピンコート法、ディップコート法、気相成長法によって透明なオーバーコート絶縁層25を一面に成膜し、そのオーバーコート絶縁層25に接着樹脂によって封止ガラス基板を貼り合わせる。
以上により、アクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルが完成する。
第3の実施形態においても、電流源ライン18及びELライン233をトランジスタ7,8,9を構成する導電膜とは異なる膜で形成されているので、電流源ライン18及びELライン233をトランジスタ7,8,9のドレイン、ソース、ゲートや電流線3、走査線4等よりも厚膜にすることができる。そのため、電流源ライン18やELライン233の電気抵抗を低くすることができ、発光期間の開始時から有機EL素子26が所望の明るさ(階調)に発光するまでの時間の遅延を抑えたり、電流源ライン18やELライン233における電圧降下を抑えたりすることができる。更には、電流源ライン18やELライン233を低抵抗にすることによって、エレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの明るさの低下、明るさのムラ、クロストーク等の表示劣化を抑えることができる。
〔第4の実施の形態〕
図22〜図27を用いて、第4の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの製造方法について説明する。図22〜図27は製造方法における各工程の断面図であり、工程順序は図22〜図27の順になっている。また、図22〜図27では、第1の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの各部に対応する部分に対して同一の符号を付す。
まず、図22に示すように、トランジスタアレイ基板1を製造する。準備したトランジスタアレイ基板1に対してフォトリソグラフィー法、エッチング法等を施すことにより、各電流制御トランジスタ9のソース9Sに通じるコンタクトホール12及び各電流制御トランジスタ9のドレイン9Dに通じるコンタクトホール13を絶縁膜11に形成する。
次に、窒化シリコン又は酸化シリコンからなる有機EL分離絶縁膜14を、縦(列)方向に隣り合った画素の間において走査線4と平行となるようにパターニングして形成する。
次に、図23に示すように、気相成長法によって透明金属酸化物膜16をトランジスタアレイ基板1上の一面に成膜する。ここで、第1の実施形態では透明金属酸化物膜16の前に反射金属膜15を成膜したが、本実施形態では反射金属膜15を成膜しない。次に、気相成長法によって銅、ニッケル等の金属材料からなるメッキシード層17を透明金属酸化物膜16上の一面に成膜する。
次に、フォトリソグラフィー法によりマスクをパターニングし、蒸着法等の方法で金の薄膜を成膜し、マスクを剥離することによって金薄膜からなる画素電極331を形成する。なお、画素電極331をパターニングするにあたって、上記マスクは、後述する電流源ライン18に対応する部分、つまりコンタクトホール13と重なり且つ行方向に延在した部分、及びELライン19に対応する部分、つまり有機EL分離絶縁膜14と重なり且つ行方向に延在した部分に、それぞれ下地膜331a、331bが残存するようなマスクである。
次に、図24に示すように、コンタクトホール13と重なり且つ行方向に沿った部分の下地膜331a、並びに有機EL分離絶縁膜14と重なり且つ行方向に沿った部分の下地膜331bが露出されるようなフォトレジスト膜64を形成する。続いて露出された下地膜331a及び下地膜331bを電極として電解メッキを行うことにより、下地膜331a及び下地膜331b上にそれぞれ膜厚2〜100μm且つ5μm〜50μm幅の銅メッキ厚膜の電流源ライン18及びELライン19を形成する。電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…は、トランジスタ7,8,9のソース7S,8S,9S、ドレイン7D,8D,9D、ゲート7G,8G,9Gの膜厚よりも厚く堆積されているため、これら電極よりも単位配線の長さ当たりの抵抗が低く設定されている。電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…はともに、走査線4,4,…と同数であり、各行に電流源ライン18、ELライン19及び走査線4が1本ずつ設けられている。この後、フォトレジスト膜64を除去する。なお、電解メッキの代わりに、スパッタリング法、昇華蒸着法又はディスペンサー法により銅厚膜を成膜しても良い。
次に、図25に示すように、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…で被覆された部分を除いて露出されたメッキシード層17をエッチングして電流源ライン18,18,…の下方にメッキシード下地層17a,17a,…を形成し、ELライン19,19,…の下方にメッキシード下地層17b,17b,…を形成する。そして、電流源ライン18、ELライン19及び画素電極331をマスクとして透明金属酸化物膜16をエッチングして、それぞれ透明金属酸化物下地膜16b、透明金属酸化物下地膜16c、透明金属酸化物下地膜16dを形成する。
次に、図26に示すように、電流源ライン18を被覆するように電流源ライン絶縁膜21を形成する。以上により、有機EL駆動基板が完成する。
次に、PEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔輸送層22を液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、ディップコート法等湿式成膜法によって成膜する。正孔輸送層22は、トランジスタアレイ基板1の一面に形成して全ての画素に共通させても良いし、画素ごとに独立するよう形成しても良い。図では、正孔輸送層22を含む溶液又は懸濁液が、電流源ライン18及びELライン19に囲まれた領域に充填された後、溶剤又は水分が揮発することによって正孔輸送層22が成膜されている状態を示している。
正孔輸送層22の乾燥後、ポリフルオレン系発光材料からなる発光層23を液滴吐出法(インクジェット方法)、印刷法等の湿式成膜法によって画素ごとにパターニングする。ここで、有機EL分離絶縁膜14の上に、透明金属酸化物下地膜16c、メッキシード下地層17b及びELライン19が残留しているが、正孔輸送層22の膜厚や発光層23の膜厚は有機EL分離絶縁膜14の膜厚よりも薄い。そして画素領域に被覆した時の発光層23を含む溶液又は懸濁液の高さは、電流源ライン18の高さやELライン19の高さよりも低い。したがって、発光層23を含む溶液又は懸濁液は、電流源ライン18及びELライン19を越えて隣の行の画素に流出することはない。このように、電流源ライン18及びELライン19は、発光層23を含む溶液又は懸濁液の流出を防止する隔壁として機能する。したがって、電流源ライン18及びELライン19に沿って囲まれた行方向の複数の画素は同一色に発光する発光層とすれば、電流源ライン18及びELライン19間にまとめて発光層23を含む溶液又は懸濁液を流入させることで行方向の複数の画素に発光層23を一括して成膜することができる。
次に、図27に示すように、気相成長法によって、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属等の低仕事関数材料からなる電子注入層と、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))を有する透明導電層との二層構造の共通電極24をカソード電極として一面に成膜する。電子注入層は10nm〜200nmの厚さで可視光が透過する程度に薄いために、電流源ライン18やELライン19の段差によって切断されてもよいが、共通電極24の透明導電層は、複数の画素の有機EL素子26の一方の電極を互いに等電位にするため、電流源ライン18上の電流源ライン絶縁膜21の上を跨ぎ且つELライン19上に跨るように成膜されている。
次に、スピンコート法、ディップコート法、気相成長法によってオーバーコート絶縁層25を一面に成膜し、そのオーバーコート絶縁層25に接着樹脂によって封止ガラス基板を貼り合わせる。
以上により、アクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルが完成する。
なお、電流線3と交差する部分を除いた走査線4が露出するようにゲート絶縁膜41及び絶縁膜11にコンタクトホールを設けて、電流源ライン18やELライン19の成膜と同一工程において、走査線4上に電解メッキ層を形成してもよい。この場合、メッキ層は、共通電極24と絶縁するように、電流源ライン18の電流源ライン絶縁膜21と同様に、間に絶縁膜を介在させるが、トランジスタ7,8のゲートには電気的に接続する。
第4の実施形態においても、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9を構成する導電膜とは異なる膜で形成されているので、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9のドレイン、ソース、ゲートや電流線3、走査線4等よりも厚膜にすることができる。そのため、電流源ライン18やELライン19の電気抵抗を低くすることができ、発光期間の開始時から有機EL素子26が所望の明るさ(階調)に発光するまでの時間の遅延を抑えたり、電流源ライン18やELライン19における電圧降下を抑えたりすることができる。更には、電流源ライン18やELライン19を低抵抗にすることによって、エレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの明るさの低下、明るさのムラ、クロストーク等の表示劣化を抑えることができる。
〔第5の実施の形態〕
図28〜図33を用いて、第5の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの製造方法について説明する。図28〜図33は製造方法における各工程の断面図であり、工程順序は図28〜図33の順になっている。また、図28〜図33では、第2の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの各部に対応する部分に対して同一の符号を付す。
まず、図28に示すように、トランジスタアレイ基板1を製造する。次に、気相成長法等の成膜工程、フォトリソグラフィー法等のマスク工程、エッチング等の形状加工工程をこの順に行うことによって、画素ごとに反射金属膜15dをパターニング形成する。
次に、気相成長法を施すことによって反射金属膜15dを被覆するように絶縁膜131をべた一面に成膜する。
次に、フォトリソグラフィー法、エッチング法等を施すことにより、各電流制御トランジスタ9のソース9Sに通じるコンタクトホール12及び各電流制御トランジスタ9のドレイン9Dに通じるコンタクトホール13を絶縁膜11及び絶縁膜131に形成する。
なお、本実施形態では、第2の実施形態における有機EL分離絶縁膜14を形成しないことが、第2の実施形態と異なる。
次に、図29に示すように、気相成長法によって透明金属酸化物膜16を絶縁膜131上の一面に成膜する。透明金属酸化物膜16は、コンタクトホール12,13内においても表面に成膜され、電流制御トランジスタ9のドレイン9D及びソース9Sに接する。
次に、スパッタリング等の気相成長法によって銅、ニッケル等の金属材料からなるメッキシード層17を透明金属酸化物膜16上の一面に成膜する。
次に、図30に示すように、メッキシード層17におけるコンタクトホール13と重なり且つ行方向に沿った部分17a、並びに反射金属膜15dに対して部分17aと対向する辺側に行方向に沿ったELライン19が形成される部分17b、が露出されるようなフォトレジスト膜65を形成する。そして電解メッキを行うことにより、露出されたメッキシード層部分17a、17b上にトランジスタ7,8,9のソース、ドレイン、ゲートの膜厚よりも厚い膜厚2〜100μm、5μm〜50μm幅の銅メッキ厚膜からなる電流源ライン18及びELライン19を形成する。これにより行方向に配列された複数の画素の電流制御トランジスタ9のドレイン9Dが共通の電流源ライン18に電気的に接続した状態となる。なお、電解メッキの代わりに、スパッタリング法又は昇華蒸着法により銅厚膜を成膜しても良い。したがって、電流源ライン18,18,…及びELライン19,19,…は、走査線4に対して平行に設けられている。
次に、フォトレジスト膜65を除去してから図31に示すように、電流源ライン18及びELライン19をマスクとして露出されたメッキシード層17をエッチング除去し、電流源ライン18,18,…の下方にメッキシード下地層17aを残存し、ELライン19,19,…の下方にメッキシード下地層17bを残存する。さらに透明金属酸化物膜16に対してフォトリソグラフィー法、エッチング法を施すことにより、画素電極16aをパターニングするとともに、電流源ライン18をマスクとしたメッキシード下地層17aの下方に設けられた透明金属酸化物膜16を残留させて透明金属酸化物下地膜16bを形成し、シード下地層17bの下方に設けられた透明金属酸化物膜16を残留させて補助電極ライン16dを形成する。補助電極ライン16dはELライン19よりも幅広であることが好ましい。
次に、図32に示すように、電流源ライン18を被覆するように電流源ライン絶縁膜21を形成するとともに、ELライン19を被覆するようにELライン絶縁膜441を電流源ライン絶縁膜21と同工程で形成する。以上により、有機EL駆動基板が完成する。
次に、PEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔輸送層22を液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、ディップコート法等の湿式成膜法によって成膜する。正孔輸送層22は、トランジスタアレイ基板1の一面に形成して全ての画素に共通させても良いし、画素ごとに独立するよう形成しても良い。
正孔輸送層22の乾燥後、第1の実施形態と同様に、ポリフルオレン系発光材料からなる発光層23を液滴吐出法(インクジェット方法)、印刷法等の湿式成膜法によって画素ごとにパターニングする。ここで、正孔輸送層22の膜厚や発光層23の膜厚はELライン19の膜厚よりも薄い。そして画素領域に被覆した時の発光層23を含む溶液又は懸濁液の高さは、電流源ライン18の高さやELライン19の高さよりも低い。したがって、発光層23を含む溶液又は懸濁液は、電流源ライン18及びELライン19を越えて隣の行の画素に流出することはない。このように、電流源ライン18及びELライン19は、発光層23を含む溶液又は懸濁液の流出を防止する隔壁として機能する。したがって、電流源ライン18及びELライン19に沿って囲まれた行方向の複数の画素は同一色に発光する発光層とすれば、電流源ライン18及びELライン19間にまとめて発光層23を含む溶液又は懸濁液を流入させることで行方向の複数の画素に発光層23を一括して成膜することができる。
発光層23の乾燥後、補助電極ライン16dの一部表面が露出するように正孔輸送層22及び発光層23にコンタクトホール51を形成する。
次に、図33に示すように、蒸着等の気相成長法によって、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属等の低仕事関数の材料からなる電子注入層と、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))を有する透明導電層との二層構造の共通電極24をカソード電極として一面に成膜する。電子注入層は10nm〜200nmの厚さで可視光が透過する程度に薄いために、電流源ライン18やELライン19の段差によって切断されてもよいが、共通電極24の透明導電層は、複数の画素の有機EL素子26の一方の電極を互いに等電位にするため、電流源ライン18表面の電流源ライン絶縁膜21上に跨り且つELライン19表面のELライン絶縁膜441上に跨るように成膜されている。共通電極24はコンタクトホール51を介して補助電極ライン16d及びELライン19に接続されている。このように、発光層23は共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、更にELライン19も共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、有機EL素子26が形成される。
次に、スピンコート法、ディップコート法、気相成長法によって透明なオーバーコート絶縁層25を一面に成膜し、そのオーバーコート絶縁層25に接着樹脂によって封止ガラス基板を貼り合わせる。
以上により、アクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルが完成する。
第5の実施形態においても、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9を構成する導電膜とは異なる膜で形成されているので、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9のドレイン、ソース、ゲートや電流線3、走査線4等よりも厚膜にすることができる。
〔第6の実施の形態〕
第1の実施形態では、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ層(基板2の表面から絶縁膜11の表面までの間の多層膜)の上に形成したが、本実施形態ではトランジスタ層の下に電流源ライン18及びELライン19を形成している。具体的には、図34〜図39に示すような製造方法となっている。
図34〜図40を用いて、第6の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの製造方法について説明する。図34〜図39は製造方法における各工程の断面図であり、工程順序は図34〜図39の順になっている。なお、図34〜図39では、第1の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの各部に対応する部分に対して同一の符号を付す。
まず、図34に示すように、電解メッキを行うことにより、5μm〜50μm幅で且つ2〜100μmの膜厚である複数の電流源ライン18及び複数のELライン19を基板2上にパターニングする。電流源ライン18及びELライン19をパターニングするにあたって、電流源ライン18をELライン19に対して平行に設け、電流源ライン18及びELライン19を基板2の縁まで延在するよう、且つ、電流源ライン18及びELライン19が基板2の横方向に延在するよう、電流源ライン18及びELライン19をパターニングする。電流源ライン18及びELライン19は、後述するトランジスタ7,8,9のソース、ドレイン、ゲートより厚く堆積されているため、これら電極よりも単位配線の長さ当たりの抵抗が低く設定されている。
次に、層間絶縁膜501を基板2上にべた一面に成膜し、電流源ライン18及びELライン19を層間絶縁膜501で被覆する。次に、一画素につき、電流源ライン18まで通じるコンタクトホール502と、ELライン19まで通じるコンタクトホール503とを層間絶縁膜501に形成する。
次に、図35に示すように、気相成長法といった成膜工程、フォトリソグラフィー法といったマスク工程、エッチングといった形状加工工程を適宜行うことにより、一画素につき三つのトランジスタ7,8,9をパターニング形成する。ここで、トランジスタ7,8,9のゲートのもととなる導電性薄膜が、コンタクトホール502に埋設するようにパターニングされたゲート下地膜511aが形成され、コンタクトホール503に埋設するようにパターニングされたゲート下地膜511bが形成される。またゲート下地膜511aが露出するようなコンタクトホール及びゲート下地膜511aが露出するようなコンタクトホールをゲート絶縁膜41に一括して設け、トランジスタ7,8,9のソース、ドレインのもととなる導電性薄膜をパターニングしてそれぞれに、電流制御トランジスタ9のドレイン9D及びソース、ドレイン下地膜504が埋設される。トランジスタ7,8,9のゲートのもととなる導電性薄膜はの一部が電流線3としてパターニング形成される。。
次に、絶縁膜11に対してフォトリソグラフィー法、エッチング法等を施すことにより、各電流制御トランジスタ9のソース9Sに通じるコンタクトホール12及び下地膜504に通じるコンタクトホール505を絶縁膜11に形成する。
次に、図36に示すように、気相成長法等の成膜工程、フォトリソグラフィー法等のマスク工程、エッチング等の形状加工工程をこの順に行うことによって、画素ごとに反射金属膜15dをパターニング形成する。次に、気相成長法を施すことによって反射金属膜15dを被覆するように絶縁膜131をべた一面に成膜する。
次に、絶縁膜131にもコンタクトホール12及びコンタクトホール505に合わせてコンタクトホールを形成する。
次に、気相成長法によって透明金属酸化物膜を絶縁膜131上の一面に成膜する。透明金属酸化物膜は、コンタクトホール12,505内においても表面に成膜され、電流制御トランジスタ9のソース9S及び下地膜504に接する。
次に、図37に示すように、透明金属酸化物膜に対してフォトリソグラフィー法、エッチング法を施すことにより、コンタクトホール12を介して電流制御トランジスタ9のソース9Sと接続される画素電極16aを形成するとともに、コンタクトホール505を介して補助電極ライン16eを形成する。なお、図37は図40の(XXXVII)−(XXXVII)線に沿って厚さ方向に切断したときの略断面図である。
次に、図38に示すように、フォトリソグラフィー法によってポリイミド等の感光性樹脂からなる網目状の隔壁506をパターニングする。ここで、画素電極16aが隔壁506による網目の間に囲繞されるよう、隔壁506をパターニングする。
次に、PEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなる正孔輸送層22を液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、ディップコート法等の湿式成膜法によって成膜する。正孔輸送層22は、トランジスタアレイ基板1の一面に形成して全ての画素に共通させても良いし、画素ごとに独立するよう形成しても良い。
正孔輸送層22の乾燥後、第1の実施形態と同様に、湿式成膜法によって画素ごとにパターニングする。ここで、正孔輸送層22の膜厚や発光層23の膜厚は隔壁506の膜厚よりも薄い。そして画素領域に被覆した時の発光層23を含む溶液又は懸濁液の高さは隔壁506の高さよりも低い。したがって、発光層23を含む溶液又は懸濁液は、隔壁506を越えて隣の行の画素に流出することはない。このように、隔壁506は、発光層23を含む溶液又は懸濁液の流出を防止する隔壁として機能する。したがって、隔壁506に囲まれた各画素は所定の色に発光する発光層のみを充填することができる。
発光層23の乾燥後、補助電極ライン16eの一部表面が露出するように正孔輸送層22及び発光層23にコンタクトホール51を形成する。
次に、図39に示すように、蒸着等の気相成長法によって、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属等の低仕事関数の材料からなる電子注入層と、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、カドミウム−錫酸化物(CTO))を有する透明導電層との二層構造の共通電極24をカソード電極として一面に成膜する。電子注入層は10nm〜200nmの厚さで可視光が透過する程度に薄いために、隔壁506の段差によって切断されてもよいが、共通電極24の透明導電層は、複数の画素の有機EL素子26の一方の電極を互いに等電位にするため、隔壁506表面の電流源ライン絶縁膜21上に跨り且つ隔壁506表面のELライン絶縁膜441上に跨るように成膜されている。共通電極24はコンタクトホール51を介して補助電極ライン16eに接続されている。このように、発光層23は共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、更に隔壁506も共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆され、有機EL素子26が形成される。
次に、図39に示すように、スピンコート法、ディップコート法、気相成長法によって透明なオーバーコート絶縁層25を一面に成膜し、そのオーバーコート絶縁層25に接着樹脂によって封止ガラス基板を貼り合わせる。
以上により、アクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルが完成する。
第6の実施形態においても、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9とは別工程でトランジスタ7,8,9のソース、ドレイン、ゲートとは異なる導電膜をパターニングしてなるので、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9のドレイン、ソース、ゲートや電流線3、走査線4等よりも厚膜にすることができ、電流源ライン18やELライン19の電気抵抗を低くすることができる。そのため、電流源ライン18やELライン19における信号遅延や電圧降下を抑えたりすることができる。
〔第7の実施の形態〕
図41〜図42を用いて、第7の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの製造方法について説明する。図41〜図42は製造方法における各工程の断面図であり、工程順序は図41〜図42の順になっている。なお、図41〜図42では、第6の実施形態におけるエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルの各部に対応する部分に対して同一の符号を付す。また第7の実施形態においては、画素電極が形成される工程までは第6の実施形態の図34〜図37と同一工程であるので、その説明を省略する。
画素電極16aを形成後、図41に示すように、フォトリソグラフィー法によって電流源ライン18に沿って隔壁507をパターニングするとともに、隔壁507の形成と同じ工程でELライン19に沿って隔壁508,509を形成する。ここで、画素電極16aが隔壁507と隔壁508の間に位置するように隔壁507,508が形成され、更に、下地膜504の上に残留した補助電極ライン16eが、平面視して、隔壁508と隔壁509との間に位置するように、隔壁508及び隔壁509が形成されている。
次に、隔壁508と隔壁509との間に、導電性ペースト510を埋め込む。これにより、下地膜504の上に残留した補助電極ライン16eに対して導電性ペースト510が密着する。
導電性ペースト510の乾燥後、第6実施形態と同様に正孔輸送層22、発光層23を成膜する。このとき、隔壁507及び隔壁508は、第6実施形態の隔壁506と同じ機能を有する。
次に、図42に示すように、第6実施形態と同様に共通電極24を一面に成膜する。これにより、発光層23は共通電極24に密着した状態で共通電極24によって被覆される。更に導電性ペースト510も共通電極24に密着する。したがって、共通電極24は、導電性ペースト510、補助電極ライン16e、ソース、ドレイン下地膜504、ゲート下地膜511bを介してELライン19に接続される。
次に、スピンコート法、ディップコート法、気相成長法によって透明なオーバーコート絶縁層25を一面に成膜し、そのオーバーコート絶縁層25に接着樹脂によって封止ガラス基板を貼り合わせる。
以上により、アクティブマトリクス駆動方式のエレクトロルミネッセンスディスプレイパネルが完成する。
第7の実施形態においても、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9とは別工程でパターニングしたので、電流源ライン18及びELライン19をトランジスタ7,8,9のドレイン、ソース、ゲートや電流線3、走査線4等よりも厚膜にしてトランジスタ7,8,9よりも相対的に低抵抗にすることができ、電流源ライン18やELライン19の電気抵抗を低くすることができる。そのため、電流源ライン18やELライン19における信号遅延や電圧降下を抑えたりすることができる。
上記各実施形態では、反射金属膜15を設けて共通電極24側から発光層23の発光を出射させたが、これに限らず、反射金属膜15を設けずに、画素電極16側から発光層23の発光を出射させてもよい。この場合、共通電極24は不透明又は光反射性であることが好ましく、特に低仕事関数の電子放出膜と、電子放出膜を被覆して保護する高仕事関数の導電膜と、の複数層構造であることが好ましい。