JP4420593B2 - 内視鏡用バイポーラ型高周波処置具 - Google Patents

内視鏡用バイポーラ型高周波処置具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、先端部分に正極と負極の両電極が設けられて内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱して使用される内視鏡用バイポーラ型高周波処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用高周波処置具は一般に、電極が一個のいわゆるモノポーラ型が普通であり、もう一つの電極となる対極板が患者の体表面に接触配置されている。
【0003】
しかし、そのようなモノポーラ型の内視鏡用高周波処置具では、電極と対極板との間の患者の身体を導電体として高周波電流が流れるので、万一患者が他の導電体に触れていると高周波電流がその導電体を伝わって漏れることにより、処置に有効に利用される電流が減少してしまったり、術者やその周辺の人が火傷をする危険性がある。
【0004】
そこで、例えば特開2000−271128等に示されるように、手元側からの遠隔操作によって嘴状に開閉自在に可撓性シースの先端に設けられた一対の電極のうち、一方を高周波電源の正極に接続し、他方を負極に接続した内視鏡用バイポーラ型高周波処置具がある。
【0005】
このような内視鏡用バイポーラ型高周波処置具では、一般に、可撓性のシースチューブ内に軸線方向に進退自在に挿通配置された一対の導電性操作ワイヤの先端が、シースチューブの先端に開閉自在に配置された一対の電極に連結され、一対の電極が一対の導電性操作ワイヤを介して高周波電源の正極と負極とに分かれて接続されると共に、一対の導電性操作ワイヤを手元側から進退操作することにより上記一対の電極が開閉動作をするように構成されている。
【0006】
図5は、そのような従来の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具のシースチューブ90の軸線に垂直な断面の断面図であり、一対の導電性操作ワイヤ91が各々電気絶縁性被覆92により被覆されて、シースチューブ90内に並んで挿通配置されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シースチューブ90は内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱されるものであって太さに厳格な制限があるので、そのシースチューブ90内に二本並んで挿通された導電性操作ワイヤ91の電気絶縁性被覆92は、肉厚を十分に確保するのが困難であり、高周波電流の通電量を大きくすると二本の導電性操作ワイヤ91の間の電気絶縁性が不十分になる場合があった。
【0008】
また、導電性操作ワイヤ91は、体内に挿入されるものであって格別の耐蝕性等が必要とされることから、単純な電気コード等を用いることができず、ステンレス鋼撚り線の所定の範囲に電気絶縁性被覆を被せる等の製造工程が必要となるため、非常にコストの高いものになっていた。
【0009】
そこで本発明は、一対の導電性操作ワイヤの間の電気絶縁性を十分に確保することができ、しかも低コストで製造することができる内視鏡用バイポーラ型高周波処置具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具は、可撓性シース内に軸線方向に進退自在に挿通配置された一対の導電性操作ワイヤの先端が、可撓性シースの先端に開閉自在に配置された一対の電極に連結され、一対の電極が一対の導電性操作ワイヤを介して高周波電源の正極と負極とに分かれて接続されると共に、一対の導電性操作ワイヤを手元側から進退操作することにより一対の電極が開閉動作をするように構成された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具において、可撓性シースとして、電気絶縁性の細長い可撓性中実棒状部材に一対の導電性操作ワイヤを各々独立して挿通するための一対のガイド孔が軸線方向に貫通して形成されたマルチルーメンチューブを用いたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の側面部分断面図、図3は平面断面図である。ただし、図2及び図3においては、各々断面位置が相違する複数の部分を一つの図面に図示してある。
【0012】
1は、図示されてない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される、直径が2〜3mm程度で長さが1〜2m程度の可撓性シースであり、例えば四フッ化エチレン樹脂又はシリコン樹脂等のような可撓性のある電気絶縁性の合成樹脂材により形成されている。
【0013】
可撓性シース1はいわゆるマルチルーメンチューブであり、全体として可撓性を有する電気絶縁性の細長い中実棒状部材であって、図2におけるI−I断面を図示する図1にも示されるように、一対の導電性操作ワイヤ8を各々独立して挿通するための一対のガイド孔1aが軸線方向に貫通して形成されている。
【0014】
ガイド孔1aは、互いの間に少なくとも0.5mm程度の間隔をあけて可撓性シース1の軸を挟んで対称の位置に形成され、それによって、各々に挿通配置されている一対の導電性操作ワイヤ8どうしが可撓性シース1内において確実に電気絶縁されている。
【0015】
導電性操作ワイヤ8としては、ステンレス鋼撚り線が被覆せずに用いられており、ガイド孔1aの内径(直径)は導電性操作ワイヤ8の直径より0.1〜0.3mm程度太く形成されている。
【0016】
その結果、導電性操作ワイヤ8は可撓性シース1内で軸線方向に極めてスムーズに進退し、余分な隙間がないので、過度の力が作用した場合でも座屈することなく極めて良好に進退する。
【0017】
可撓性シース1の先端には、電気絶縁性の例えば硬質プラスチック又はセラミック等からなる支持本体2が連結固着されており、その支持本体2には、先側に開口するスリット3が一定の幅で形成されている。
【0018】
スリット3の先端部分には、支持本体2の中心軸線を挟んでその両側に離れた位置において各々スリット3を横断する状態に、ステンレス鋼棒製の二つの支軸5が平行に固着されている。
【0019】
そして、ステンレス鋼等のような導電性金属からなる一対の嘴状電極4が、嘴状に開閉自在に二つの支軸5によって互いに独立して支持本体2に支持されている。嘴状電極4の嘴状に開閉する部分は、開口部どうしが対向するカップ状に形成されているが、腕状その他どの様な形状であっても差し支えない。
【0020】
スリット3の先端部分内には、一対の嘴状電極4の間を電気的に絶縁するための絶縁スペーサ6が両嘴状電極4の間に位置するように配置され、支軸5によってそこに支持されている。
【0021】
各嘴状電極4の後方部分は、支軸5による回転支持部より後方に駆動腕部4aが一体に延出形成されており、その突端近傍に形成された通孔7に、各導電性操作ワイヤ8の先端が通されて連結されている。
【0022】
二本の導電性操作ワイヤ8は、一本ずつ独立して可撓性シース1のガイド孔1a内に軸線方向に進退自在に全長にわたって挿通配置されていて、図4に示されるように、可撓性シース1の基端に連結された操作部10において操作輪11により軸線方向に進退操作される。
【0023】
二本の導電性操作ワイヤ8の基端部は、操作部10において高周波電源20の正極と負極の電源コードに分かれて接続されており、高周波電源20をオンにすることによって、一対の嘴状電極4の一方が高周波電流の正電極になり、他方が負電極になる。
【0024】
このように、導電性操作ワイヤ8は、手元側から進退操作することにより嘴状電極4を開閉させる操作ワイヤであると同時に、一対の嘴状電極4に高周波電源20の正極と負極とを独立して導通させるための導線として機能している。
【0025】
このように構成された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具は、一対の嘴状電極4を開いてその間に粘膜を挟み、嘴状電極4を閉じながら高周波電流を通電することにより、一対の嘴状電極4の間に位置する生体組織に高周波電流が流れて、粘膜の焼灼凝固や切開等を行うことができる。
【0026】
そして、一対の嘴状電極4の間に位置する生体組織以外の部分には高周波電流が流れないので、嘴状電極4に通電したままの状態で処置を進めても周辺の生体組織が破壊されない。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性シースとして、電気絶縁性の細長い可撓性中実棒状部材に一対の導電性操作ワイヤを各々独立して挿通するための一対のガイド孔が軸線方向に貫通して形成されたマルチルーメンチューブを用いたことにより、一対の導電性操作ワイヤの間の電気絶縁性を十分に確保することができ、しかも動作が円滑で導電性操作ワイヤの座屈も発生し難く、低コストで製造することができる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の可撓性シースの軸線に垂直な断面における断面図(図2におけるI−I断面図)である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の側面複合断面図である。
【図3】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の平面複合断面図である。
【図4】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の全体構成図である。
【図5】従来の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具のシースチューブの軸線に垂直な断面における断面図である。
【符号の説明】
1 可撓性シース
1a ガイド孔
4 嘴状電極
5 支軸
8 導電性操作ワイヤ
20 高周波電源

Claims (1)

  1. 可撓性シース内に軸線方向に進退自在に挿通配置された一対の導電性操作ワイヤの先端が、上記可撓性シースの先端に支軸により嘴状に開閉自在に支持された一対の電極の各々から上記支軸の後方に延出する駆動腕部に連結され、上記一対の電極が上記一対の導電性操作ワイヤを介して高周波電源の正極と負極とに分かれて接続されると共に、上記一対の導電性操作ワイヤを手元側から進退操作することにより上記一対の電極が開閉動作をするように構成された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具において、
    上記導電性操作ワイヤとして無被覆の金属撚り線が用いられると共に、
    上記可撓性シースとして、電気絶縁性の合成樹脂製の細長い可撓性中実棒状部材に上記一対の導電性操作ワイヤを各々独立して挿通するための一対のガイド孔が軸線方向に貫通して形成されたマルチルーメンチューブが用いられて、
    上記ガイド孔の直径が上記導電性操作ワイヤの直径より0.1〜0.3mm大きく形成されると共に、上記一対のガイド孔が、上記可撓性シースの軸線方向に見たとき、上記一対の電極の開閉方向とそれに直交する方向の双方において上記可撓性シースの軸線を間に挟んで分かれた位置に形成され
    上記可撓性シースの先端部分において上記駆動腕部に向かう上記導電性操作ワイヤの位置が上記マルチルーメンチューブの一対のガイド孔の位置により規制されていることを特徴とする内視鏡用バイポーラ型高周波処置具。
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