JP4130942B2 - 内視鏡用バイポーラ型高周波処置具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、先端部分に正極と負極の両電極が設けられて内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱して使用される内視鏡用バイポーラ型高周波処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用高周波処置具は一般に、電極が一個のいわゆるモノポーラ型が普通であり、もう一つの電極となる対極板が患者の体表面に接触配置されている。
【0003】
しかし、そのようなモノポーラ型の高周波処置具では、電極と対極板との間の患者の身体を導電体として高周波電流が流れるので、万一患者が他の導電体に触れていると高周波電流がその導電体を伝わって漏れることにより、処置に有効に利用される電流が減少してしまったり、術者やその周辺の人が火傷をする危険性がある。
【0004】
そこで、手元側からの遠隔操作によって嘴状に開閉自在にシースの先端に設けられた一対の電極のうち、一方を高周波電源の正極に接続し、他方を負極に接続した内視鏡用バイポーラ型高周波処置具がある(例えば、特許文献1)。
【0005】
このようなバイポーラ型高周波処置具では、嘴状に開閉される一対の電極の間を電気的に絶縁する必要があるので、特許文献1に記載されたものでは、電極の基材を電気絶縁性のプラスチックや陶磁器等で形成して、その表面に部分的に導電性金属皮膜を蒸着させた構造をとっている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−271128公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、嘴状に開閉自在する電極を非金属材料で形成すると強度不足のため作動不良になったり壊れ易く、また、そのような部材に導電性金属皮膜が蒸着されている構造では、使用中に内視鏡の部材等と擦れ合うことによって導電性金属皮膜が電極から剥がれてしまう場合もあり、実用性に乏しかった。
【0008】
そこで本発明は、使用を繰り返しても作動が良好で壊れ難く、十分な耐久性を得ることができる実用性の高い内視鏡用バイポーラ型高周波処置具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具は、手元側からの遠隔操作によって嘴状に開閉自在にシースの先端に設けられた一対の電極のうち、一方が高周波電源の正極に接続され他方が負極に接続された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具において、一対の電極を支持するためにシースの先端部分に設けられた電気絶縁材からなる支持本体に、一対の電極を個別に回転自在に支持する二つの支軸を互いの間の間隔をあけて平行に設けると共に、一対の電極間を電気的に絶縁するための絶縁スぺーサを、支持本体と一体に一部品で形成したものである。
【0010】
なお、絶縁スペーサが、支軸付近の位置において一対の電極の間に配置されたスペーサ部と、一対の電極の開閉動作と干渉しない位置においてスペーサ部を間にしてその両側で支持本体とつながる連結部とからなるように構成してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の斜視図であり、図3はその側面部分断面図、図4は平面断面図である。ただし、図3及び図4においては、各々断面位置が相違する複数の部分を一つの図面に図示してある。
【0012】
1は、図示されてない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される、直径が2〜3mm程度で長さが1〜2m程度の可撓性シースであり、例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ等のような電気絶縁性のチューブによって形成されている。
【0013】
可撓性シース1の先端には、電気絶縁性の例えば硬質プラスチック又はセラミック等からなる支持本体2が連結固着されており、その支持本体2には、一定の幅のスリット3が長手方向に形成されている。
【0014】
支持本体2の先端近傍には、一対の軸孔10が、スリット3の向きに対して直交する向きに、支持本体2の中心軸線を挟んでその両側に離れた位置に平行に形成されて、各軸孔10にステンレス鋼棒製の支軸5が挿通固定されている。
【0015】
そして、ステンレス鋼等のような導電性金属からなる一対の嘴状電極4が、嘴状に開閉自在に二つの支軸5によって互いに独立して支持本体2に支持されている。なお、図3においては、一対の嘴状電極4が閉じている状態が実線で示され、開いた状態が二点鎖線で示されている。
【0016】
9は、支軸5が回転自在に嵌合するように各嘴状電極4に形成された回転支持孔であり、各嘴状電極4の後方部分は、回転支持孔9より後方に駆動腕部4aが一体に延出形成されており、その突端近傍に形成された通孔7に、二本の導電線8の先端が通されて連結されている。
【0017】
なお、この実施例においては、各嘴状電極4の嘴状に開閉する部分は開口部どうしが対向するカップ状に形成されているが、腕状その他どの様な形状であっても差し支えない。
【0018】
支持本体2の先端部分には、一対の嘴状電極4の間を電気的に絶縁するための絶縁スペーサ6が、図3におけるI−I断面を図示する図1にも示されるように、両嘴状電極4の間に位置するように配置されている。
【0019】
絶縁スペーサ6は、支持本体2を単体で図示する図5にも示されるように、支持本体2と一体に一部品で形成されている。したがって絶縁スペーサ6は支持本体2と同じ材料で形成され、モールド成形で製造する場合には支持本体2と絶縁スペーサ6を同じ金型に加工して、非常に低コストで製造することができる。
【0020】
絶縁スペーサ6には、図1及び支持本体2の側部を部分的に切除して図示する図6に示されるように、2本の支軸5が個別に通される軸孔10が平行にスリット3に対して垂直の向きに貫通形成されている。
【0021】
絶縁スペーサ6は、軸孔10の周辺において一対の嘴状電極4の間に位置するスペーサ部6aと、一対の嘴状電極4の開閉動作と干渉しない位置においてスペーサ部6aを間にしてその両側で支持本体2とつながる連結部6bとからなっている。
【0022】
その結果、スリット3の先端部分が絶縁スペーサ6によって閉じられた形状になり、絶縁スペーサ6自体が支持本体2と一体となって優れた強度を得ると同時に支持本体2の補強にもなっている。
【0023】
しかも、このように構成された絶縁スペーサ6には一対の嘴状電極4を閉じるための力がほとんど作用しないので、使用を繰り返しても絶縁スペーサ6が破損し難くて優れた耐久性を得ることができる。
【0024】
このような絶縁スペーサ6が設けられていることにより、一対の嘴状電極4は、閉じた状態のときに当接し合う以外はお互いが絶縁スペーサ6によって電気的に完全に隔離された状態で各支軸5を中心に回動し、支持本体2に不規則な外力等が作用しても一対の嘴状電極4の開閉動作が妨げられない。
【0025】
図3及び図4に戻って、可撓性シース1内に挿通配置されている各導電線8には、電気絶縁被覆が全長にわたって施されており、先端部分においてだけ露出した導線8aが、各々嘴状電極4に電気的に接触する状態で通孔7に係合している。
【0026】
二本の導電線8は、軸線方向に進退自在に可撓性シース1内に全長にわたって挿通配置されていて、図7に示されるように、可撓性シース1の基端に連結された操作部20において操作輪21により軸線方向に進退操作される。
【0027】
したがって、導電線8は嘴状電極4を遠隔操作によって開閉させるための操作ワイヤとしても機能しており、可撓性シース1内においては二本の導電線8を一体的に結束しておくとよい。
【0028】
二本の導電線8の基端部は、操作部20において高周波電源30の正極と負極の電源コードに分かれて接続されており、高周波電源30をオンにすることによって、一対の嘴状電極4の一方が高周波電流の正電極になり、他方が負電極になる。
【0029】
このように構成された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具は、一対の嘴状電極4を開いてその間に粘膜を挟み、嘴状電極4を閉じながら高周波電流を通電することにより、一対の嘴状電極4の間に位置する生体組織に高周波電流が流れて、粘膜の焼灼凝固等を行うことができる。
【0030】
そして、一対の嘴状電極4の間に位置する生体組織以外の部分には高周波電流が流れないので、嘴状電極4に通電したままの状態で処置を進めても周辺の生体組織が破壊されない。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、一対の電極間を電気的に絶縁するための絶縁スぺーサを、一対の電極を支持するためにシースの先端部分に設けられた電気絶縁材からなる支持本体と一体に一部品で形成したことにより、絶縁スペーサと支持本体とが共に優れた強度を確保することができ、しかも、一対の電極を閉じる力が絶縁スペーサにかからないので、使用を繰り返しても作動が良好で壊れ難く、部品コスト及び組み立てコストもかからない優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の正面断面図(図3におけるI−I断面図)である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の斜視図である。
【図3】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の側面複合部分断面図である。
【図4】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の先端部分の平面複合断面図である。
【図5】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の支持本体の単体斜視図である。
【図6】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の支持本体の側部を部分的に切除して示す単体斜視図である。
【図7】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具の全体構成図である。
【符号の説明】
1 可撓性シース
2 支持本体
3 スリット
4 嘴状電極
5 支軸
6 絶縁スペーサ
6a スペーサ部
6b 連結部
9 回転支持孔
10 軸孔

Claims (2)

  1. 手元側からの遠隔操作によって嘴状に開閉自在にシースの先端に設けられた一対の電極のうち、一方が高周波電源の正極に接続され他方が負極に接続された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具であって
    上記一対の電極を支持するために上記シースの先端部分に設けられた電気絶縁材からなる支持本体に、上記一対の電極を個別に回転自在に支持する導電金属製のの支軸互いの間の間隔をあけて平行に設けられると共に、上記一対の電極間を電気的に絶縁するための絶縁スぺーサ、上記支持本体と一体に一部品で形成された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具において、
    上記各電極が上記導電金属製の二本の支軸の中間部分で個別に支持されると共に、上記各支軸が通される軸孔が上記絶縁スペーサを貫通して形成されて、その軸孔の両端部分が上記支持本体に形成されていることを特徴とする内視鏡用バイポーラ型高周波処置具。
  2. 上記絶縁スぺーサが、上記支軸付近の位置において上記一対の電極の間に配置されたスペーサ部と、上記一対の電極開閉動作をする際にその動作の妨げにならない位置において上記スペーサ部を間にしてその両側で上記支持本体とつながる連結部とからなる請求項1記載の内視鏡用バイポーラ型高周波処置具。
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