JP4130943B2 - 内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、先端部分に正極と負極の両電極が設けられて内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱して使用される内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡用高周波処置具は一般に、電極が一個のいわゆるモノポーラ型が普通であり、もう一つの電極となる対極板が患者の体表面に接触配置されている。
【0003】
しかし、そのようなモノポーラ型の高周波処置具では、電極と対極板との間の患者の身体を導電体として高周波電流が流れるので、万一患者が他の導電体に触れていると高周波電流がその導電体を伝わって漏れることにより、処置に有効に利用される電流が減少してしまったり、術者やその周辺の人が火傷をする危険性がある。
【0004】
そこで、手元側からの遠隔操作によって嘴状に開閉自在にシースの先端に設けられた一対の電極のうち、一方を高周波電源の正極に接続し、他方を負極に接続した内視鏡用バイポーラ型高周波処置具がある(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−271128公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
出血源である血管を一対の電極の間に挟んで止血を行う高周波止血鉗子は、電極が大きく開くと余分な組織まで電極間に挟み込んで止血効果が減少してしまうので、電極の開き幅を2〜3mm程度に限定するのが望ましい。
【0007】
しかし、上述の特許文献1に記載されたバイポーラ型高周波処置具は本来、組織採取を目的とする生検鉗子なので、電極ができるだけ大きく開くようになっている。
【0008】
そのため、出血源である血管を一対の電極の間に挟んで止血を行おうとすると、余分な組織まで電極間に挟み込んでしまうため、十分な止血効果が得られないだけでなく、目的とする組織以外にも熱影響が及んでしまう場合がある。
【0009】
そこで本発明は、一対の電極の間に余分な組織を挟み込むことなく出血源だけを適切に挟み込んで安全に止血を行うことができ、そのための十分な強度を有する開度規制ストッパをコスト増を招くことなく容易に組み込むことができる内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子は、手元側からの遠隔操作によって嘴状に開閉自在にシースの先端に設けられた一対の電極のうち、一方が高周波電源の正極に接続され他方が負極に接続された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具において、一対の電極の最大開度を規制するための開度規制ストッパが、一対の電極間を電気的に絶縁するための絶縁スぺーサに形成されて、それらが、一対の電極を支持するためにシースの先端部分に設けられた電気絶縁材からなる支持本体と一体に一部品で形成されているものである。
【0011】
なお、絶縁スペーサが、一対の電極の間を絶縁するスペーサ部と、一対の電極の開閉動作と干渉しない位置においてスペーサ部と支持本体とを連結する連結部とからなり、開度規制ストッパが連結部に形成されていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図3は本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の先端部分の斜視図であり、図4はその側面部分断面図、図5は平面断面図である。ただし、図4及び図5においては、各々断面位置が相違する複数の部分を一つの図面に図示してある。
【0013】
1は、図示されてない内視鏡の止血鉗子挿通チャンネルに挿脱される、直径が2〜3mm程度で長さが1〜2m程度の可撓性シースであり、例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ等のような電気絶縁性のチューブによって形成されている。
【0014】
可撓性シース1の先端には、電気絶縁性の例えば硬質プラスチック又はセラミック等からなる支持本体2が連結固着されており、その支持本体2には、一定の幅のスリット3が長手方向に形成されている。
【0015】
支持本体2の先端近傍には、一対の軸孔10が、スリット3の向きに対して直交する向きに、支持本体2の中心軸線を挟んでその両側に離れた位置に平行に形成されて、各軸孔10にステンレス鋼棒製の支軸5が挿通固定されている。
【0016】
そして、ステンレス鋼等のような導電性金属からなる一対の嘴状電極4が、嘴状に開閉自在に二つの支軸5によって互いに独立して支持本体2に支持されている。なお、図4においては、一対の嘴状電極4が閉じている状態が実線で示され、開いた状態が二点鎖線で示されている。
【0017】
9は、支軸5が回転自在に嵌合するように各嘴状電極4に形成された回転支持孔であり、各嘴状電極4の後方部分は、回転支持孔9より後方に駆動腕部4aが一体に延出形成されており、その突端近傍に形成された通孔7に、二本の導電線8の先端が通されて連結されている。
【0018】
なお、この実施例においては、各嘴状電極4の嘴状に開閉する部分は開口部どうしが対向するカップ状に形成されているが、腕状その他どの様な形状であっても差し支えない。
【0019】
支持本体2の先端部分には、一対の嘴状電極4の間を電気的に絶縁するための絶縁スペーサ6が、図4におけるVI−VI断面を図示する図6にも示されるように、両嘴状電極4の間に位置するように配置されている。
【0020】
絶縁スペーサ6は、支持本体2を単体で図示する図7にも示されるように、支持本体2と一体に一部品で形成されている。したがって絶縁スペーサ6は支持本体2と同じ材料で形成され、モールド成形で製造する場合には支持本体2と絶縁スペーサ6を同じ金型に加工して、非常に低コストで製造することができる。
【0021】
絶縁スペーサ6には、図6及び支持本体2の側部を部分的に切除して図示する図2に示されるように、2本の支軸5が個別に通される軸孔10が平行にスリット3に対して垂直の向きに貫通形成されている。
【0022】
絶縁スペーサ6は、軸孔10の周辺において一対の嘴状電極4の間に位置するスペーサ部6aと、一対の嘴状電極4の開閉動作と干渉しない位置においてスペーサ部6aを間にしてその両側で支持本体2とつながる連結部6bとからなっている。
【0023】
その結果、スリット3の先端部分が絶縁スペーサ6によって閉じられた形状になり、絶縁スペーサ6自体が支持本体2と一体となって優れた強度を得ると同時に支持本体2の補強にもなっている。
【0024】
しかも、このように構成された絶縁スペーサ6には一対の嘴状電極4を閉じるための力がほとんど作用しないので、使用を繰り返しても絶縁スペーサ6が破損し難くて優れた耐久性を得ることができる。
【0025】
このような絶縁スペーサ6が設けられていることにより、一対の嘴状電極4は、閉じた状態のときに当接し合う以外はお互いが絶縁スペーサ6によって電気的に完全に隔離された状態で各支軸5を中心に回動し、支持本体2に不規則な外力等が作用しても一対の嘴状電極4の開閉動作が妨げられない。
【0026】
また、絶縁スペーサ6の連結部6bの後端部近傍には、図2に示されるように、スペーサ部6aの側面から突出する壁部分が、一対の嘴状電極4の最大開度を規制するための開度規制ストッパ6cとして形成されている。開度規制ストッパ6cは、一対の嘴状電極4の各々が個別に当接するように、スペーサ部6aの左右両面の連結部6bの各々に形成されている。
【0027】
そのような開度規制ストッパ6cが設けられていることにより、一対の嘴状電極4が最大に開いた状態を拡大して図示する図1に示されるように、嘴状電極4が支軸5を中心に開き方向に回動していくと、絶縁スペーサ6に形成された開度規制ストッパ6cに各嘴状電極4の駆動腕部4aが当接することにより、各嘴状電極4がそれ以上開き方向に回動できない状態になる。
【0028】
図4及び図5に戻って、可撓性シース1内に挿通配置されている各導電線8には、電気絶縁被覆が全長にわたって施されており、先端部分においてだけ露出した導線8aが、各々嘴状電極4に電気的に接触する状態で通孔7に係合している。
【0029】
二本の導電線8は、軸線方向に進退自在に可撓性シース1内に全長にわたって挿通配置されていて、図8に示されるように、可撓性シース1の基端に連結された操作部20において操作輪21により軸線方向に進退操作される。
【0030】
したがって、導電線8は嘴状電極4を遠隔操作によって開閉させるための操作ワイヤとしても機能しており、可撓性シース1内においては二本の導電線8を一体的に結束しておくとよい。
【0031】
二本の導電線8の基端部は、操作部20において高周波電源30の正極と負極の電源コードに分かれて接続されており、高周波電源30をオンにすることによって、一対の嘴状電極4の一方が高周波電流の正電極になり、他方が負電極になる。
【0032】
このように構成された内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子は、一対の嘴状電極4を開いてその間に粘膜を挟み、嘴状電極4を閉じながら高周波電流を通電することにより、一対の嘴状電極4の間に位置する組織だけに高周波電流が流れて、血管を焼灼凝固して止血することができる。
【0033】
その結果、嘴状電極4の最大開き幅Aが例えば2〜3mm程度に規制されて、一対の嘴状電極4の間に余分な組織を挟み込むことなく出血源だけを適切に挟み込んで止血を行うことができる。
【0034】
そして、開度規制ストッパ6cが絶縁スペーサ6に形成されて、それらが支持本体2と一体に一部品で形成されているので、開度規制ストッパ6c及び絶縁スペーサ6として特別に部品を設けることなく十分な強度の開度規制ストッパ6cを形成することができ、組み立ても極めて容易である。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、一対の電極の最大開度を規制するための開度規制ストッパが、一対の電極間を電気的に絶縁するための絶縁スぺーサに形成されて、それらが、一対の電極を支持するためにシースの先端部分に設けられた電気絶縁材からなる支持本体と一体に一部品で形成されていることにより、一対の電極の間に余分な組織を挟み込むことなく出血源だけを適切に挟み込んで安全に止血を行うことができ、そのための十分な強度を有する開度規制ストッパをコスト増を招くことなく容易に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の先端部分の部分拡大側面図である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の支持本体の側部を部分的に切除して示す単体斜視図である。
【図3】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の先端部分の斜視図である。
【図4】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の先端部分の側面複合部分断面図である。
【図5】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の先端部分の平面複合断面図である。
【図6】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の図4におけるVI−VI断面図である。
【図7】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の支持本体の単体斜視図である。
【図8】本発明の実施例の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子の全体構成図である。
【符号の説明】
1 可撓性シース
2 支持本体
3 スリット
4 嘴状電極
4a 駆動腕部
5 支軸
6 絶縁スペーサ
6a スペーサ部
6b 連結部
6c 開度規制ストッパ
30 高周波電源
Claims (3)
- 手元側からの遠隔操作によって嘴状に開閉自在にシースの先端に設けられた一対の電極のうち、一方が高周波電源の正極に接続され他方が負極に接続された内視鏡用バイポーラ型高周波処置具において、
上記一対の電極の最大開度を規制するための開度規制ストッパが、上記一対の電極間を電気的に絶縁するための絶縁スぺーサに形成されて、それらが、上記一対の電極を支持するために上記シースの先端部分に固定的に連結された電気絶縁材からなる支持本体と一体に一部品で形成されていることを特徴とする内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子。 - 上記絶縁スペーサが、上記一対の電極の間を絶縁するスペーサ部と、上記一対の電極が開閉動作をする際にその動作の妨げにならない位置において上記スペーサ部と上記支持本体とを連結する連結部とからなり、上記開度規制ストッパが上記連結部に形成されている請求項1記載の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子。
- 上記一対の電極は各々が支軸を中心に回転して前方に向かって開閉するように設けられ、上記開度規制ストッパは、上記一対の電極が所定の状態まで開いた時に上記電極の上記支軸より後方に延出する部分が当接するように上記スペーサ部の側面から突出する壁部分で形成されている請求項2記載の内視鏡用バイポーラ型高周波止血鉗子。
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