JP4419347B2 - 冷凍冷蔵庫 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、野菜室のような新鮮な食品を保存する収納室を冷蔵室や冷凍室と共に設けた冷凍冷蔵庫において、生物である野菜を冷却する際、このような野菜室内に直接冷気を入れずに冷却する輻射冷却により野菜室内温度変動を抑えるような冷凍冷蔵庫に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の冷蔵庫は、野菜室を冷却する際、冷気を野菜室内に直接冷気を入れて冷却していた。このことにより野菜室内の温度変動が大きくなり、また野菜室内の対流が発生し、野菜室内の食品の乾燥化が進み、食品鮮度維持期間が短かった。例えば、図１６に示すのは最上部に冷蔵室１００、その下に切替室４００と製氷室５００、最下部に冷凍室２００がありその上部に野菜室３００のレイアウトの冷蔵庫である。その野菜室３００は、引き出し扉を備えた野菜室において野菜ケース３０１およびフルーツケース３０２を配置している。これらのケースは中にいれるものを取り出しやすいように上部を開放している。図１７に示すのは野菜室の構造図で野菜室冷却用の冷気４が野菜室天井部から野菜室内に吹出し野菜室用帰還路９にて冷却器室３に戻る構造になっている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造では野菜の乾燥および氷結を防止するため野菜ケースおよびフルーツケースの内側には直接冷気を吹きこむ構造にはしていないが、このケースに蓋があろうと無かろうと野菜室内には冷気の対流が発生し野菜の乾燥を促進させていたと同時に、野菜室内の温度変動が大きかった。一方野菜室を間接的に冷却して食品の変質を防ぐ技術として特開昭６１−１９１８６０号公報や特開平４−７６３７２号公報のようなものが知られている。しかしながら前者は冷蔵室の戻り冷気温度による間接冷却では扉の開閉などによる温度上昇に対し冷却効果が得られず中空冷却室のような特別な構造や余計なスペースを必要とし複雑で高価なものであった。また後者は庫内の温度を１゜Ｃという低い温度に保とうとして激しい呼吸作用を押さえるため外箱の周囲にエバポレータを設け冷却し、空気層を介した内箱の中にファンを設けて内箱内の温度を一定にしようというもので、大掛かりな装置が必要になるという問題があった。更に冷気を動かすので乾燥が促進されるという問題があった。
【０００４】
本発明は、家庭用の冷蔵庫などに簡単な構造で野菜のような生物を長期保存可能な冷凍冷蔵庫を得ることを目的とする。また、野菜等の食品収納室に冷気を吹き込まずに冷却する輻射冷却で温度変動の減少による野菜の鮮度維持向上を目的とする。更に本発明は使い勝手の良い冷凍冷蔵庫をえることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷凍冷蔵庫は、冷蔵庫本体の最上部に設けられた冷蔵室と、この冷蔵室の下方に位置し、冷凍温度帯に切り替え可能な切替室と、冷蔵室の下方で切替室と並列に配置された製氷室と、冷蔵庫本体の最下部に設けられた冷凍室と、並列する切替室および製氷室と冷凍室とに上下を挟まれて配置される野菜室と、この野菜室の背面側に設けられ、庫内を循環する冷気を冷却する冷却器室と、それぞれプラスチックの外皮の中に断熱材を有して構成され、並列する切替室および製氷室と野菜室とを仕切る野菜室天井の仕切り部品、野菜室と冷却器室とを仕切る野菜室背面の仕切り部品、野菜室と冷凍室とを仕切る野菜室床面の仕切り部品と、野菜室天井の仕切り部品内で野菜室側に設けられ、入口が冷蔵室の戻り冷気が流れる冷蔵室用帰還路の出口と接続する野菜室天井の野菜室冷却風路と、野菜室背面の仕切り部品内で野菜室側に設けられ、入口が野菜室天井の野菜室冷却風路の出口と接続する野菜室背面の野菜室冷却風路と、野菜室床面の仕切り部品内で野菜室側に設けられ、入口が野菜室背面の野菜室冷却風路の出口と接続する野菜室床面の野菜室冷却風路と、入口がこの野菜室床面の野菜室冷却風路の出口と接続し、出口が冷却器室に接続する野菜室用帰還路と、を備え、冷蔵室用帰還路を流れる冷蔵室の戻り冷気すべてを、野菜室天井の野菜室冷却風路、野菜室背面の野菜室冷却風路、野菜室床面の野菜室冷却風路の順で循環させ、野菜室内に冷蔵室の戻り冷気を直接流入させることなく、冷蔵室の戻り冷気によってそれぞれの仕切り部品のプラスチックの外皮を通して野菜室を輻射冷却させるとともに、野菜室床面の野菜室冷却風路から野菜室用帰還路を介して冷却器室に戻すものである。
【０００８】
本発明に係る冷凍冷蔵庫は、いずれかの仕切り部品が、野菜室側でその仕切り部品に設けられた野菜室冷却風路に面する位置に開口を有し、この開口を塞ぐようにステンレスもしくはアルミ製の金属板が固定されているものである。
【０００９】
本発明に係る冷凍冷蔵庫は、いずれかの仕切り部品が、野菜室側でその仕切り部品に設けられた野菜室冷却風路に面する位置に開口を有し、この開口を塞ぐように水の分子を保有する空間を有した多孔質材の透湿板が固定されているものである。
【００１１】
本発明に係る冷凍冷蔵庫は、野菜室内に、野菜などの食品の収納が可能な上部が開放された収納ケースが設置されているものである。
【００１４】
【発明の実施の形態】
実施の形態１．
以下、本発明に係わる冷蔵庫の実施例を図にて説明する。なお、同一部位は同一符号をもって示し重複した説明を省略する。図１は本発明に係わる冷蔵庫の実施の形態の例であり、冷蔵庫の野菜室説明図である。１は冷蔵庫本体であり、冷蔵庫１の最上部に開閉ドアを備えて配置される冷蔵室１００と冷蔵室１００の下方に冷凍温度帯（−１８℃）から冷蔵、野菜、チルドの温度帯に切り替えることの出来引き出しドアを備える切替室４００、切替室と並列に引き出しドアを備える製氷室５００があり、最下部に配置される引き出しドアを備えた冷凍室２００、冷凍室２００と切替室、製氷室との間に引き出しドアを備えた野菜室３００とからで構成される。野菜室３００には野菜ケース３０１およびフルーツケース３０２が設置されており野菜等の食品を収納することができる。
【００１５】
図２は第一の実施例の野菜室構造図の側面断面図、図３，４は冷気風路構成図である。２は冷却室３の冷気４を循環させるファン、５は野菜室３００を冷却する冷却室と野菜室との仕切り部品１４及び製氷室切り替え室と野菜室との仕切り部品１５及び冷凍室と野菜室との仕切り部品１６に設けられた野菜室冷却用風路、８は冷蔵室様帰還路、９は野菜室用帰還路、１３は各仕切り部品から野菜室内を冷却する輻射冷却、２０は各仕切り部品内で断熱を行う断熱材である。野菜室３００の背面には冷却器室３と野菜室との断熱および野菜室冷却用風路５を設けた仕切り部品１４が冷蔵庫に組み込んであり、同様に野菜室天面には製氷室５００および切替室４００と野菜室との断熱および野菜室冷却用風路を設けた仕切り部品１５、野菜室床面には冷凍室２００と野菜室との断熱および野菜室冷却用風路５を設けた仕切り部品１６にて構成されている。冷却器室３で冷却された冷気４はファン２によって冷蔵室１００に循環される。野菜室３００は冷蔵室１００の戻り冷気を冷蔵室用帰還路８より循環させ冷却される。そして、野菜室用帰還路９より冷却器室３に戻される。このとき野菜室内に戻り冷気を直接吹き込まずに野菜室天井、背面、床面のすべてもしくはいずれかに設置してある野菜室冷却用風路５に冷気を流して野菜室内を輻射冷却１３している。
【００１６】
各仕切り部品１４、１５、１６はプラスチックの外皮の中に野菜室３００側に野菜室冷却用風路が、反対側に断熱材２０が設けられ、野菜室の上下のほかの冷凍室などから冷熱が伝わるのを防止している。この場合プラスチックの外皮を通して野菜室は輻射冷却される。また冷却室との間も同様である。但し、冷凍室のように−１８゜Ｃ以下の温度帯や冷却室のように更に低い温度の部屋から野菜室冷却風路５へ冷熱が伝わり冷蔵庫もどり冷気を冷やしてもかまわない。図２−４では野菜室冷却用風路を野菜室の上面部、下面部、背面部のすべてに設けたが温度が低い冷気により必要な輻射冷却が得られるならば何処か一つの面でも良い。このことにより野菜室内に冷気が直接流入しないため野菜室内の温度変動を最小限に抑えることができ、安定した野菜室温度の環境を提供することができると同時に従来のフルーツケース３０２や野菜ケース３０１のように直接冷気が野菜に当たらないように側面や床面を構成する必要がなくケースを格子状にしたり穴形状を追加したり設計・意匠の自由度が向上する。またケースを格子状にしたり穴形状を追加したりすることにより多方向からの輻射冷却を可能とする。
【００１７】
このように図２は本発明に係わる冷蔵庫の野菜室構造図の側面断面図で、冷却器室３で冷却された冷気４はファン２によって冷蔵室１００に循環される。野菜室３００は冷蔵室１００の戻り冷気を冷蔵室用帰還路８より循環させ冷却される。そして、野菜室用帰還路９より冷却器室３に戻される。このとき野菜室内に戻り冷気を直接吹き込まずに野菜室天井、背面、床面のすべてもしくはいずれかに設置してある野菜室冷却用風路５に冷気を流して野菜室内を輻射冷却しているため野菜室内が完全に密閉化されて野菜室内の対流が最小限に抑えられて野菜室内に冷気を流入させる方式に比べた野菜の乾燥度を約２５〜５０％改善でき、野菜の乾燥度を最小限に防ぐことができ食品の高湿度維持が可能となる。以上の説明は野菜室を対象とし冷蔵室の戻り風路で輻射冷却する構造を説明してきたが、野菜だけでなく生物、例えば肉類や魚などを０゜Ｃ程度に冷却する場合でも良いことは当然であるし、その場合冷蔵室の戻り風路以外の例えばマイナス５゜Ｃ乃至マイナス８゜Ｃ等の温度帯の室から戻る冷気を使用しても良いことは当然である。また図１の構造では冷蔵室と野菜室の間に切替室などを挟む構成で説明してきたが、直接冷蔵室と野菜室が断熱材の存在しない仕切りで仕切られていても良い。野菜室冷却用風路５は天井、背面、床面の内の１面でも良いが食品収納室の温度を早く一定にし、室内の対流を押さえるためには２面のように複数の面が望ましい。
【００１８】
この発明では野菜室のような生物を収納する食品収納室を冷蔵庫を使う人が使いやすい、重い野菜の収納や取りだしに無理な姿勢や無理な力を入れる必要が無かったり、しょっちゅう出し入れするに便利な位置に設け、すなわち最下段部や最上段部ではないので食品収納室の上部と下部に冷凍室など別の室が存在するので、仕切り部品の面全体が輻射冷却が可能となるように輻射冷却を行う面積を自由に取れるので、必要な輻射冷却が得やすく野菜室を冷却する構造が非常に簡単になる。更に冷却室を野菜室の背面に設けることにより野菜室の周囲全体から冷気を得ることが出来一層輻射冷却を行う面積を増やすことが出来る。なお一つの仕切りの中の野菜室冷却用風路５は仕切り部品の面全体でも良いし部分的な風路によっても良い。
【００１９】
次に野菜室を輻射冷却して野菜室内の温度を一定に保つ構成について説明する。図５は圧縮機の運転と温度の関係を説明する図で、圧縮機を４０−６０分動作させて冷却器で庫内を循環させる冷気を冷却し停止する。この運転により庫内を循環する冷気は冷却され冷蔵室温度が約３゜Ｃに冷蔵室に供給される冷気がダンパーなどにより制御され、外気を約３０゜Ｃとすると冷蔵室戻り冷気温度はマイナス１．５゜Ｃ乃至３゜Ｃの範囲で図のようにコントロールされる。このとき輻射冷却により野菜室内の温度は６゜Ｃ乃至６．５゜Ｃ程度の一定温度にコントロールされることになる。
【００２０】
このような一定温度状態で扉開閉が行われたときの温度の変化を図６の温度変化説明図で説明する。扉が開放されると庫内に冷気を循環させるファン２は停止し輻射冷却にも影響することになる。また開放された扉部より外気が侵入する。図では扉開３０秒の時と１分間の時の野菜室内の温度上昇とその後輻射冷却により野菜室内が冷却されてほぼ一定状態に落ち着く様子を示している。このように輻射冷却の構造を使用しても扉を開き温度が７゜Ｃ程度もしくはそれ以上にあがったとしてもコントロールする所定の温度に維持されるまでの復帰速度は冷気を直接野菜室に導く従来の構造と同程度であった。
【００２１】
図７に輻射冷却による生物を長期保存した場合の効果を示す。図７は食品としてほうれん草を保存した場合の水分が減少し重量が低減するデータであり、野菜室に冷気を吹出させ循環させると室内の冷気対流が大きく野菜から水分を奪い早く乾燥させるので水分の低下は大きい。輻射冷却させる場合は室内の冷気の対流が小さく重量減少率は従来構造の半分程度で済む。このように本発明の構造で野菜室内の冷気の対流を押さえることにより生物の長期保存が可能になる。更に生物を収納する収納室を冷蔵庫として使いやすい中央側の位置に配置し、周囲から輻射冷却を行うという構造により温度変動の減少による野菜の鮮度維持向上を可能にしている。
【００２２】
図８は本発明に係わる冷蔵庫の別の野菜室構造図の側面断面図で、６は金属板である。冷却器室３で冷却された冷気４はファン２によって図１や図３の如く冷蔵室１００に循環される。野菜室３００は冷蔵室１００の戻り冷気を冷蔵室用帰還路８より循環させ冷却される。そして、野菜室用帰還路９より冷却器室３に戻される。このとき野菜室内に戻り冷気を直接吹き込まずに野菜室天井、背面、床面のすべてもしくはいずれかに設置してある野菜室冷却用風路５に冷気を流して野菜室内を輻射冷却１３しているがこの野菜室天井、背面、床面のすべてもしくはいずれかにおいて構成部品の一部に熱伝導性に優れているステンレスやアルミのように金属板６を設置することにより輻射冷却効果を向上させるだけでなく野菜室内の温度分布を改善することができ安定した温度の野菜室を提供することができる。またこの金属板６を野菜室天井、背面、床面のすべてもしくはいずれかの壁面に組み込む際、溶着・ネジ固定等行なわずにプラスチック部品にツメ固定することによりリサイクル時の分解性もそこなうことはない。
【００２３】
図９は本発明に係わる冷蔵庫の別の野菜室構造図の側面断面図で、７は透湿板である。冷却器室３で冷却された冷気４はファン２によって冷蔵室１００に循環される。野菜室３００は冷蔵室１００の戻り冷気を冷蔵室用帰還路８より循環させ冷却される。そして、野菜室用帰還路９より冷却器室３に戻される。このとき野菜室内に戻り冷気を直接吹き込まずに野菜室天井、背面、床面のすべてもしくはいずれかに設置してある野菜室冷却用風路５に冷気を流して野菜室内を輻射冷却しているため野菜室内が完全に密閉化されて野菜室内の対流が最小限に抑えられて野菜の乾燥度を最小限に防ぐことができ食品の高湿度維持が可能となるが、野菜室の天井部、背面部、床面部の全て、もしくはいずれかに多孔質の親水性に優れた透湿板７を用いることによりその透湿板からの水分放射にてさらに野菜室を高湿化することができ、食品の長期保管が可能となる。高湿度を維持する透湿板７は高密度ポリエチレンにゼオライトを含有したもので水の分子を保有する空間を有し親水性に富んだ多孔質材であって、上記金属板６と同様に壁面に組み込まれる。これによって野菜室内で発生した水分は透質板に吸収されると共に室内に戻されるという循環により室内の湿度も維持される。
【００２４】
図１０は本発明に係わる冷蔵庫の別の野菜室構造図の側面断面図である。冷却器室３で冷却された冷気４はファン２によって冷蔵室１に循環される。野菜室３００は冷蔵室１００の戻り冷気を冷蔵室用帰還路８より循環させ冷却される。そして、野菜室用帰還路９より冷却器室３に戻される。このとき野菜室内に戻り冷気を直接吹き込まずに野菜室天井、背面、床面のすべてもしくはいずれかに設置してある野菜室冷却用風路５に冷気を流して野菜室内を輻射冷却しているが上記野菜室の天井、背面、床面のすべてもしくはいずれかを風路５側の金属板６と野菜室３００側の多孔質材の親水性に優れた透湿板７を組み合わせた物を用いることに輻射冷却の効果と水分放射による高湿化の両立が可能になるだけでなく、高湿化に伴うその金属部における熱容量差による結露をその透湿板が吸水し、野菜室内における結露を防止すると同時にその吸収した水分を放射することにより野菜室をさらに高湿化することが可能となる。
【００２５】
図８、９、１０で説明した金属板６、透湿板７などを仕切り部品１４、１５、１６に固定する構造についてを図１１で説明する。図１１は輻射冷却手段取り付け説明図で、２２はガイドリブである。図２に示すように仕切り部品１５、１６は仕切り部品１４とデバイダー２１に挟まれて固定されている。この仕切り部品１５、１６は通常は内箱発泡の前に内箱に形成されたデバイダーと固定された仕切り部品１４の間にセットされて発泡により固定される。このセットされる前の単体の時点で図１１の如く仕切り部品１５に設けられたガイドリブ２２に金属板を挿入する。仕切り部品１５、１６は断熱材２０のスチロールの上辺と下辺をプラスチックで覆い冷蔵庫内に組み込まれて各室間の仕切りをデバイダーと背面部材の間に挟みこまれて形成する。野菜室側で冷却風路５に面する位置に穴形状を設け、この穴をふさぐように金属板６などを穴周囲のガイドリブに取り付ける。直仕切り部品１４にも野菜室冷却用風路５に面する位置に開口があり庫の開口を塞ぐように金属板６や透湿板７等が内箱発泡前にリブのつめに引っ掛けられて固定される。金属板６と透湿板７を重ねて使用するときも同様である。これにより風路５の冷気の冷熱は金属板６などを介して野菜室内に輻射冷却１３され、プラスチック板を介しての輻射冷却より冷却能力が一層向上する。また多孔湿材である透湿板７だけを設置するときは風路５との間の開口はあっても無くてもよい。すなわち多孔湿材により野菜湿内の水分を吸収し保持する役目であり室内が輻射冷却により低温になったときに食品から出てくる水分を保持し風路５内の冷気の流れが止まったりした時などに放出することになる。
【００２６】
実施の形態２．
図１２は本発明に係わる冷蔵庫の別の実施の形態の例であり、図１−４で説明した野菜室構造図の側面断面図である。３０１は野菜室３００に配置された野菜ケース、３０２は野菜ケースの上にスライド可能に設けられたフルーツケースである。このように野菜ケース３０１およびフルーツケース３０２の一部に金属板６を用いることによりその金属板からの輻射にてさらに野菜室を冷却する輻射冷却効果を向上させるだけでなく野菜ケースおよびフルーツケース内の温度分布を改善することができ安定した温度の野菜室内のケースを提供することができる。床面の金属板はケースのプラスチック部品と一体成形、もしくはネジなどの部材で固定しても良い。この場合金属板が室内に露出しているので輻射冷却１３による室内冷気により効果的にケース内に冷熱が伝えられる。
【００２７】
図１３は本発明に係わる冷蔵庫の例であり、同様な野菜室構造図の側面断面図である。このように野菜ケース３０１およびフルーツケース３０２の一部に多孔質の親水性に優れた透湿板７を用いることによりその透湿板からの水分放射にて野菜ケースおよびフルーツケース内をさらに安定した高湿度の野菜ケースおよびフルーツケースを提供することができる。多孔湿材を床面に使用する場合はプラスチック床面の上に敷くと良い。金属板６や透湿板７は床面でなくケースの側面に設けても良い。この場合は荷重のような負荷が少ないので金属板も多孔湿材もケース側面に溝形状ガイドリブや爪などにより嵌めこむ形態を取ればよい。
【００２８】
図１４は本発明に係わる冷蔵庫の例であり、同様な野菜室構造図の側面断面図である。１０、１１はスライド可能であってケースを密閉する蓋構造である。このように野菜ケースおよびフルーツケースにフタ構造１０、１１を設けることにより、野菜ケースまたはフルーツケース内を密閉化し、野菜等の水分を野菜室全体でなく区切られた小空間にて保つことにより、さらに高湿度化するだけでなく野菜室扉開閉時の野菜ケースおよびフルーツケース内の温度変動および湿度変動を最小限に抑えることができ食品保存環境の安定した野菜室を提供することができる。
【００２９】
図１５は本発明に係わる冷蔵庫の例であり、同様な野菜室構造図の側面断面図である。１２はケース３０１、３０２を密閉するパッキン構造であって、野菜室天井面に固定されており、ケースを引き出したときにケースから外れ、ケースをきっちり戻されて扉がしまったときに自動的にケースを密閉する様にケースの上部が外周部四周にて接触するパッキンからなる構造である。なおパッキン構造は蓋と一体でも良いし、蓋はケースについてくる構造でも良い。このように野菜ケースまたはフルーツケースにフタ構造を設けるさいにパッキンで閉鎖できるようにして、この閉鎖に対しパッキンがケース内部に入り込んでケース内壁に接触しても良いしその逆でも良い。このように蓋の内週または外周にパッキン構造１２を設けることにより、野菜ケースまたはフルーツケース内を密閉化し、野菜等の水分を野菜室全体でなく区切られた小空間にて保つことにより、更に高湿化するだけでなく野菜室扉開閉時の野菜ケースおよびフルーツケース内の野菜の出し入れがフタ構造がないため容易に行なうことができて、使い勝手と高湿化の両立をおこなうことができる。蓋１０、１１やパッキン構造１２により野菜室３００の中に冷気を流さない構造に更にケースを密閉化して、２重化することにより室内を輻射冷却して冷気の流れを遮断するだけでなく、ケース内からの熱による室内対流による冷気循環を防ぐ食品保存が出来る。更にケース側面や底面からの対流を押さえられるし、特にパッキン構造では蓋よりもケース上面からの対流を押さえることが出来る。
【００３０】
冷蔵庫における野菜室上部に冷凍温度帯（−１８℃）から冷蔵、野菜、チルドの温度帯に切り替えることの出来る切替室、切替室と並列に製氷室を設け、野菜室の下部に冷凍室、背面に冷却器室を設けた冷凍冷蔵庫において、冷蔵室の戻り冷気にて野菜室を冷却する際、野菜室内に直接冷気を入れずに冷却する輻射冷却により野菜室内の温度変動を最小限に抑える機能を備えた野菜室を搭載したので野菜の保存をより高品質に長期間維持できる。
【００３１】
冷蔵庫における野菜室上部に冷凍温度帯（−１８℃）から冷蔵、野菜、チルドの温度帯に切り替えることの出来る切替室、切替室と並列に製氷室を設け、野菜室の下部に冷凍室、背面に冷却器室を設けた冷凍冷蔵庫において、冷蔵室の戻り冷気にて野菜室を冷却する際、野菜室内に直接冷気を入れずに冷却することより、野菜室内を完全密閉化することによる高湿機能を備えたので新鮮さを保つ野菜室を搭載した冷凍冷蔵庫が得られる。
【００３２】
野菜室の天井部、背面部、床面部の全て、もしくはいずれかに金属製の材質を用いることによりその金属板からの輻射にて野菜室を冷却することにより性能が良い冷凍冷蔵庫が得られる。
【００３３】
野菜室の天井部、背面部、床面部の全て、もしくはいずれかに高密度ポリエチレンにゼオライトを含有したものを主材料とする多孔質の親水性に優れた透湿板を用いることによりその透湿板からの水分放射にて野菜室を高湿化することにより新鮮な野菜が長期間保存できる冷凍冷蔵庫が得られる。
【００３４】
野菜室の天井部、背面部、床面部、側面部の全て、もしくはいずれかに金属製の材質と多孔質の親水性に優れた透湿板を組み合わせた物を用いることによりその金属部における熱容量差による結露をその透湿板が吸水し、水分放射にて野菜室を高湿化すると同時に野菜室内における結露を防止するので性能が良く使いやすい冷蔵庫が得られる。
【００３５】
野菜ケースおよびフルーツケースの一部に金属製の材質を用いることによりその金属板からの輻射にてケース内を冷却することにより一層効率の良い冷凍冷蔵庫が得られる。
【００３６】
野菜室ケースおよびフルーツケースの一部に多孔質の親水性に優れた透湿板を用いることによりその透湿板からの水分放射にてケース内を高湿化することにより高湿化を長期間維持できる。
【００３７】
野菜室ケースおよびフルーツケースにフタ構造を設けることにより、野菜ケースおよびフルーツケース内を密閉化し、更に高湿化している。
【００３８】
野菜ケースおよびフルーツケース外周にパッキン構造を設けることにより、野菜ケースおよびフルーツケース内を密閉化し、更に高湿化している。このように野菜室内に直接冷気を入れずに冷却する輻射冷却により野菜室内温度変動を最小限に抑えると同時に、野菜室内を密閉化することにより高湿保持出来るようにしている。また輻射冷却時に野菜室の天井、背面、床面のすべてもしくはいずれか、あるいは野菜ケースおよびフルーツケースの一部に金属板を用いて輻射冷却効果を高めることができる。さらに野菜室密閉時に野菜室の天井、背面、床面のすべてもしくはいずれか、あるいは野菜ケースおよびフルーツケースの一部に多孔質の親水性に優れた透湿板を用いることによりその透湿板からの水分放射にて野菜室を高湿化できるようにしている。
【００３９】
以上のように野菜室内に冷気を直接吹き込まずに野菜室内を輻射冷却しているので野菜室内の温度変動を最小限に抑えることができ、安定した野菜室温度の冷蔵庫が提供される。また野菜室内を密閉化することにより野菜室内の食品の乾燥度を最小限に防ぐことができ野菜室の食品の高湿度維持が可能となる冷蔵庫が提供される。野菜室壁面を金属部品にて構成することにより野菜室内を輻射冷却効果を向上させるだけでなく野菜室内の温度分布にも優れた冷蔵庫が提供される。野菜室壁面を多孔質の親水性に優れた透湿板にて構成することによりその透湿板からの水分放射にてさらに高湿な野菜室の冷蔵庫が提供される。野菜室壁面を金属部品と多孔質の親水性に優れた透湿板にて構成することにより輻射冷却と高湿度が両立できるだけでなく野菜室内結露防止の冷蔵庫が提供される。野菜ケースおよびフルーツケースの一部に金属製の材質を用いることにより輻射冷却効果を向上させるだけでなく野菜ケースおよびフルーツケース内の温度分布を改善することができ安定した野菜保存温度の冷蔵庫が提供される。野菜ケースおよびフルーツケースの一部に多孔質の親水性に優れた透湿板を用いることによりその透湿板からの水分放射により野菜ケースおよびフルーツケース内の高湿化を実現することができ食品鮮度期間の長い冷蔵庫が提供される。野菜ケースおよびフルーツケースにフタ構造を設けることにより、ケース内を密閉化し高湿度化するだけでなく野菜室扉開閉時のケース内の温度および湿度変動を最小限に抑えることができ食品保存環境の安定した冷蔵庫が提供される。野菜ケースまたはフルーツケースにフタ構造を設けるのではなく、外周にパッキン構造を設けケース内を密閉化し高湿化を実現するだけでなく、野菜の出し入れが容易に行えて、使い勝手と高湿化の両立を実現した冷蔵庫が提供される。
【００４０】
【発明の効果】
本発明に係る冷凍冷蔵庫は、野菜室内に直接冷気を吹き込まずに野菜室の天井と背面と床面から野菜室を輻射冷却するので、野菜室内の温度変動を抑え、安定した野菜室の温度環境を提供することが出来るとともに、野菜室内の冷気の対流を抑え、収納されている野菜の高湿度を維持して長期保存が可能となる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の野菜室配置図。
【図２】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の野菜室構造図。
【図３】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の冷気風路構成図。
【図４】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の冷気風路構成図。
【図５】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の温度特性説明図。
【図６】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の扉動作特性説明図。
【図７】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の水分維持説明図。
【図８】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の野菜室構造図。
【図９】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の野菜室構造図。
【図１０】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の野菜室構造図。
【図１１】 本発明に係わる冷蔵庫の第一の実施の形態の野菜室部分構造説明図。
【図１２】 本発明に係わる冷蔵庫の第ニの実施の形態の野菜室構造図。
【図１３】 本発明に係わる冷蔵庫の第ニの実施の形態の野菜室構造図。
【図１４】 本発明に係わる冷蔵庫の第ニの実施の形態の野菜室構造図。
【図１５】 本発明に係わる冷蔵庫の第ニの実施の形態の野菜室構造図。
【図１６】 従来の冷蔵庫の野菜室配置図。
【図１７】 従来の冷蔵庫の野菜室構造図。
【符号の説明】
１ 冷蔵庫本体、 ２ ファン、 ３ 冷却器室、 ４ 冷気、 ５ 野菜室冷却用風路、 ６ 金属板、 ７ 透湿板、 ８ 冷蔵室用帰還路、 ９ 野菜室用帰還路、 １０ 野菜ケースフタ、 １１ フルーツケースフタ、 １２ パッキン、 １３ 輻射冷却、 １４ 冷却器室と野菜室との仕切り部品、 １５ 製氷室・切替室と野菜室との仕切り部品、 １６ 冷凍室と野菜室との仕切り部品、 ２０ 断熱材、 ２１ ディバイダー、 ２２ ガイドリブ、 １００ 冷蔵室、 ２００ 冷凍室、 ２５０ 冷凍室、 ３００ 野菜室、 ３０１ 野菜ケース、 ３０２ フルーツケース、 ４００ 切替室、 ５００製氷室。

Claims (4)

1. 冷蔵庫本体の最上部に設けられた冷蔵室と、
   この冷蔵室の下方に位置し、冷凍温度帯に切り替え可能な切替室と、
   前記冷蔵室の下方で前記切替室と並列に配置された製氷室と、
   前記冷蔵庫本体の最下部に設けられた冷凍室と、
   前記並列する切替室および製氷室と前記冷凍室とに上下を挟まれて配置される野菜室と、
   この野菜室の背面側に設けられ、庫内を循環する冷気を冷却する冷却器室と、
   それぞれプラスチックの外皮の中に断熱材を有して構成され、前記並列する切替室および製氷室と前記野菜室とを仕切る野菜室天井の仕切り部品、前記野菜室と前記冷却器室とを仕切る野菜室背面の仕切り部品、前記野菜室と前記冷凍室とを仕切る野菜室床面の仕切り部品と、
   前記野菜室天井の仕切り部品内で前記野菜室側に設けられ、入口が前記冷蔵室の戻り冷気が流れる冷蔵室用帰還路の出口と接続する野菜室天井の野菜室冷却風路と、
   前記野菜室背面の仕切り部品内で前記野菜室側に設けられ、入口が前記野菜室天井の野菜室冷却風路の出口と接続する野菜室背面の野菜室冷却風路と、
   前記野菜室床面の仕切り部品内で前記野菜室側に設けられ、入口が前記野菜室背面の野菜室冷却風路の出口と接続する野菜室床面の野菜室冷却風路と、
   入口がこの野菜室床面の野菜室冷却風路の出口と接続し、出口が前記冷却器室に接続する野菜室用帰還路と、を備え、
   前記冷蔵室用帰還路を流れる前記冷蔵室の戻り冷気すべてを、前記野菜室天井の野菜室冷却風路、前記野菜室背面の野菜室冷却風路、前記野菜室床面の野菜室冷却風路の順で循環させ、前記野菜室内に前記冷蔵室の戻り冷気を直接流入させることなく、前記冷蔵室の戻り冷気によってそれぞれの前記仕切り部品のプラスチックの外皮を通して前記野菜室を輻射冷却させるとともに、前記野菜室床面の野菜室冷却風路から前記野菜室用帰還路を介して前記冷却器室に戻すことを特徴とする冷凍冷蔵庫。
2. いずれかの前記仕切り部品が、前記野菜室側でその仕切り部品に設けられた前記野菜室冷却風路に面する位置に開口を有し、この開口を塞ぐようにステンレスもしくはアルミ製の金属板が固定されていることを特徴とする請求項１に記載の冷凍冷蔵庫。
3. いずれかの前記仕切り部品が、前記野菜室側でその仕切り部品に設けられた前記野菜室冷却風路に面する位置に開口を有し、この開口を塞ぐように水の分子を保有する空間を有した多孔質材の透湿板が固定されていることを特徴とする請求項１に記載の冷凍冷蔵庫。
4. 前記野菜室内に、野菜などの食品の収納が可能な上部が開放された収納ケースが設置されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の冷凍冷蔵庫。

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