JP4416736B2 - 医用画像診断支援装置及びプログラム - Google Patents
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Description
しかし、上記検査は、患者の管状臓器部位へ内視鏡を挿管することから患者に苦痛を与えるなど、患者に対し負担をかけていた。
そこで、特許文献1に開示されている仮想内視鏡は、X線CT画像のデータを用いて内視鏡に相当する画像を提供するものであるから、患者の管状臓器部位へ内視鏡を挿管することが不要となるため、上記患者の負担の問題は解消される。
これにより、臓器部位が疾患により変形した箇所だけを選択的に診断し、その診断部位の形状変化を画像表示などの検者の視覚や音声などの検者の聴覚で通知できるようになるから、診断の効率を向上できる。
これにより、複数のテンプレートとの比較対象が明確となり、病変の進行度が検者にとって把握しやすくなる。
これにより、前記臓器部位の内腔に出現する腫瘍や狭窄などの隆起性病変を検出できるようになる。
これにより、検者にとって前記病変の存在が色等で視覚的に識別できるようになるために、病変部の判定が容易にできる。
これにより、検者にとって前記状態が音や声で聴覚的に識別できるようになるために、病変部の判定が容易にできる。
これにより、設定された閾値により臓器領域が適切に抽出され、その抽出された臓器領域より正確な3次元画像を構成することができるようになる。
これにより、芯線に基づきマルチ・プランナー・リコンストラクション(MPR)による画像を見る際に、MPR像のための軸設定を容易にすることができるようになる。
これにより、臓器部位が疾患により変形した箇所だけを選択的に診断し、その診断部位の形状変化を画像表示などの検者の視覚や音声などの検者の聴覚で通知できるようになるから、診断の効率を向上できる。
図1は本発明の各実施形態に共通する医用画像表示装置の一例を示すブロック図である。
医用画像表示装置は、図1に示されるように、CPU11と、CPU11とデータ転送バス1Cを介してそれぞれ電気的に接続される表示メモリ12、CRT13、主メモリ14、スピーカ15、磁気ディスク16、コントローラ17、マウス18、キーボード19、ローカルエリアネットワーク(LAN)1A、及びLAN1Aと電気的に接続されるモダリティ1Bとを有する。
CPU11は、データ転送バス1Cに電気的に接続される構成要素である表示メモリ12、CRT13、主メモリ14、スピーカ15、磁気ディスク16、コントローラ17、マウス18、キーボード19を統括制御し、LAN1Aへのデータ送信、LAN1Aからのデータ受信を制御する。
表示メモリ12は、CRT13に表示出力する画像データを一時記憶する。
CRT13は、表示メモリ12に記憶された画像データを読み出して表示する表示装置である。この表示装置はCRTを例示しているが、プラズマや液晶などの各種ディスプレイもここでいう表示装置に含まれるものとする。
スピーカ15は、図示しないが音声出力するための音声データを記憶する記憶部を有しており、その記憶部に記憶された音声データを読み出して音声を発生することができるようになっている。
磁気ディスク16は、主メモリ14と同様にCPU11で処理するデータを格納したり、CPU11で実行するプログラムを記憶したりするもので、主メモリ14より記憶容量が大きい外部記憶装置である。外部記憶装置には、磁気ディスクの他にCD、MD、DVDなどの媒体やRAMディスクなどを置換したり、共用したりしてもよい。
マウス18は、検者がCRT12に表示された画像の任意の領域を指定したり、CRT11の画面上に表示されたボタンを選択入力したりする。
キーボード19は、マウス18と同様な機能を持つ他、主に患者IDなどの文字情報を入力する。
モダリティ1Bは、X線装置、X線CT装置、MRI装置、超音波装置などの医用画像診断装置である。ここでは、X線CT装置を例示する。
データ転送バス1Cは、標準化されたPCI(Peripheral Component Interconnect)バスのなどの他、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394などの規格に準拠するデータ転送バスを採用してもよい。
図2は第1及び第2の実施形態を説明するための図1のコントローラの詳細例を示すブロック図である。ここでは管状臓器部位を気管支とする。
コントローラ17は、図2に示すように、マウス18、キーボード19及び主メモリ14と電気的に接続される気管支分岐部検出部20と、気管支分岐部検出部20及び主メモリ14と電気的に接続される分岐部断面像作成部21と、分岐部断面像作成部21と電気的に接続される分岐部断面像記憶部22と、分岐部断面像記憶部22と電気的に接続される距離測定部23と、距離測定部23と電気的に接続される距離情報記憶部24と、距離情報記憶部24と電気的に接続される正常/異常判定部25とを有する。
分岐部断面像作成部21は、主メモリ14等に記憶されている医用画像あるいは気管支領域抽出画像から気管支分岐部の断面像を作成する。
分岐部断面像記憶部22は、分岐部断面像作成部21によって作成された気管支分岐部断面像を記憶する。
距離情報記憶部24は、距離値測定部23によって測定された分岐後の気管支間の距離情報を記憶する。
正常/異常判定部25は、距離情報記憶部24に記憶された2気管支間の距離情報を元に分岐部の形状が正常か異常かについて基準値(テンプレート)を参照して判定し、CRT13に分岐部形状の判定結果を元に正常か異常かを表示する。ここでいうテンプレートとは、病変のない正常な症例に基づく距離情報から作成した正常テンプレート、軽度の病変が認められる症例に基づく距離情報から作成した軽症テンプレート、中度の病変が認められる症例に基づく距離情報から作成した中症テンプレート、重度の病変が認められる症例に基づく距離情報から作成した重症テンプレートなど、複数のテンプレートが基準として記憶されている。そして、そのテンプレートに近いものが判定結果となるが、その間のものは、各正常、軽症、中症、重症のテンプレートのデータを補間して求める。例えば、軽症、中症の間にあれば、軽中症に判別されることになる。
(第1の実施形態)
図3は第1の実施形態の動作例を説明するフローチャート、図4〜図8はそれぞれ図3のステップS31〜S36の説明図である。
検者(操作者)は、マウス18等を操作し、コントローラ17に主メモリ14から読み出した医用画像データを入力する。
(ステップS31)
操作者は、マウス18等を操作し、コントローラ17に主メモリ14等から気管支分岐部情報を入力する。ここで分岐部情報とは、分岐部の座標、分岐部の方向ベクトルのことである。分岐部の方向ベクトルとは図4の矢印41のように分岐直前の気管支の走向方向を示すベクトルである。
(ステップS32)
コントローラ17は、入力された医用画像データと気管支分岐部情報をもとに、図4の断面像群42のように分岐部の方向ベクトルに直交する数枚の断面像を作成する。
コントローラ17は、作成された断面像における気管支領域間の距離を算出する。ここで距離は気管支領域辺縁間の最小距離でもよいし、あるいは図5のように気管支領域50,51の重心52,53を結ぶ線分54上での気管支間距離55でもよい。
(ステップS34)
コントローラ17は、気管支間距離データを用いて図6に示すように気管支間距離の断面像位置に対するグラフを作成する。
(ステップS35)
コントローラ17は、作成したグラフを基に気管支分岐部の形状が正常か異常かを判定する。正常であれば図6の曲線60や曲線61のように鋭い形状になる。一方腫瘍などの病変が存在すれば曲線62のように広がった形状になる。図7のように基準曲線70(正常テンプレート)を設定し、作成したグラフの曲線71が基準曲線70よりも外側に広がっていれば病変候補と判断し、基準曲線よりも内側であれば正常と判断する。実際には求めた気管支間距離を示す曲線71で囲まれる領域の面積と領域70の外側にはみ出した領域72の面積比rを算出する。また、この面積比rの正常/異常を判定するための閾値Tを設定しておく。算出された面積比rが閾値Tを超える場合には形状が異常であると判断し、得られた面積比rが閾値Tを超えない場合には形状が正常であると判断する。ここで基準曲線と閾値Tは、多数の臨床データによって得られた統計的に算出される量である。閾値Tはマウス18やキーボード19の入力装置で任意に設定可能としてもよい。
コントローラ17は、分岐部が病変により変形したと判断された場合には図8に示すように注目断面像80上で、気管支81の分岐部分を丸印82で囲んで強調表示し、検者の注意を促す。また、強調表示の態様は、丸印82の代わりに分岐部のみを色づけして表示してもよい。
また、たとえば仮想内視鏡を用いて気管支内腔を観察するときに、あらかじめ病変候補のある分岐部を異なる色で表示してもよい。色を変えるかわりに、仮想内視鏡の視点が分岐部付近を通過するときに音や音声を出して検者に知らせるようにしてもよい。もちろん色づけと音出しの両方を行ってもよい。
図9は第2の実施形態の動作例を説明するフローチャート、図10は図9のステップS92の説明図、図11,12はいずれも図9のステップS93の説明図、図13は図9のステップS95の説明図である。
操作者はマウス18等を操作し、コントローラ17に主メモリ14等から読み出した医用画像データを入力する。
(ステップS91)
操作者はマウス18等を操作し、コントローラ17に主メモリ14等から気管支分岐部情報を入力する。ここで分岐部情報とは、分岐部の座標、分岐部の方向ベクトルのことである。
(ステップS92)
コントローラ17は、入力された医用画像データと気管支分岐部情報を基に、図10のように分岐部の方向ベクトル100を含む断面像101を作成する。
コントローラ17は、図11に示すように、作成された断面像110において基準点111から気管支分岐部各点までの距離112を算出する。ここで算出する距離は図12のように基準線121に垂直に測った距離122でもよい。
(ステップS94)
コントローラ17は気管支間距離データを用いて気管支分岐部各点に対して基準からの距離をプロットした曲線を図13のように算出する。
(ステップS95)
コントローラ17は、作成した曲線を基に気管支分岐部の形状が正常か病変候補かを判定する。図13のように基準曲線130を設定し、作成したグラフの曲線131が基準曲線130よりも外側に広がっていれば病変候補と判断し、基準曲線よりも内側であれば正常と判断する。実際には求めた距離を示す曲線131で囲まれる領域の面積と領域130の外側にはみ出した領域132の面積比rを算出する。また、この面積比rの正常/病変候補を判定するための閾値Tを設定しておく。算出された面積比rが閾値Tを超える場合には形状が異常であると判断し、得られた面積比rが閾値Tを超えない場合には形状が正常であると判断する。ここで基準曲線と閾値は統計的に算出される量である。閾値Tはマウス18やキーボード19の入力装置で任意に設定可能としてもよい。
コントローラ17は、分岐部が病変候補と判断された場合には注目断面像上で、気管支分岐部分を丸印で囲んで強調表示し、医師の注意を促す。また、強調表示の態様は、丸印の代わりに分岐部のみを色づけして表示してもよい。
また、例えば仮想内視鏡を用いて気管支内腔を観察するときに、あらかじめ異常のある分岐部を異なる色で表示してもよい。色を変えるかわりに、仮想内視鏡の視点が分岐部付近を通過するときに音や音声を出して検者に知らせるようにしてもよい。もちろん色づけと音出しの両方を行ってもよい。
図15は第3及び4の実施形態を説明するための図1のコントローラの詳細例を示すブロック図である。
コントローラ17は、図15に示すように、マウス18、キーボード19および主メモリ14と電気的に接続される管腔臓器抽出部150と、マウス18、キーボード19および管腔臓器抽出部150と電気的に接続される注目領域設定部151と、注目領域設定部151と電気的に接続される管腔臓器断面像作成部152と、管腔臓器断面像作成部152と電気的に接続される病変候補検出部153と、病変候補検出部153と電気的に接続される病変候補検出結果記憶部154とを有する。
注目領域設定部151は、管腔臓器抽出結果に対して病変候補検出処理を行う範囲を設定する。この設定処理は検者がCRT13を見ながらマウス18等を操作して任意に行ってもよいし、また、抽出した全領域を注目領域としてもよい。
管腔臓器断面像作成部152は、抽出した管腔領域内の各点において、前記管腔臓器の長手方向血管や腸管では走行方向に当たる)と直交する断面像を作成する。
気管/気管支を例に第3の実施形態での動作について図16を用いて説明する。
図16は第3の実施形態の動作例を説明するフローチャート、図17、図18はそれぞれ図16のステップS165を説明するフローチャートおよび原理図、図19、図20はそれぞれ図16のステップS166を説明するフローチャートおよび原理図である。
操作者はマウス18等を操作し、コントローラ17に主メモリ14等から読み出した医用画像データを入力する。
(ステップS161)
コントローラ17は入力された医用画像データから気管および気管支領域を抽出する。ここで、主メモリ14等にあらかじめ気管/気管支領域を抽出したデータが格納されている場合、前記抽出処理を省略し格納されているデータをコントローラ17へ入力してもよい。
(ステップS162)
操作者はマウス18等を操作し、抽出された気管/気管支領域のうち病変候補検出処理を行う範囲を設定する。ここで、設定する範囲とは抽出した気管/気管支領域の一部または全部を指す。
コントローラ17は前記設定した注目範囲内で気管/気管支の走行方向に直交する断面像を管腔臓器断面像作成部152に作成させる。
(ステップS164)
コントローラ17は管腔臓器断面像作成部152に作成された断面像を気管/気管支領域について二値化する。この二値化処理では、例えば気管/気管支内腔領域の画素に画素値1を、それ以外の画素に画素値0を割り当てる。作成した気管/気管支領域二値画像では、気管/気管支領域の輪郭は正常であれば円に近い楕円形をしており、腫瘍や狭窄などの隆起性病変があれば内側に突起した部分が生じると判定可能となる。
(ステップS165)
コントローラ17は二値化処理された気管/気管支断面像について病変候補検出処理(I)を行う。
(ステップS170)
操作者は気管/気管支領域辺縁上に一定間隔の点を設定する。
(ステップS171)
コントローラ17は、前記気管/気管支領域辺縁上に設定された点のうち2点を線分で結ぶ。ここで隣り合う2点については線分で結ばない。
(ステップS172)
コントローラ17は、線分上にある各画素の画素値の和(sum)を算出する。
(ステップS173)
コントローラ17は、前記画素値の和がsum=0となるかどうかの判定処理を行う。
sum=0ならばステップS174へ進み、sum<0又はsum>0ならばステップS171へ戻る。ここで、腫瘍や狭窄などの隆起性病変が存在する場合を考えると、図18の気管支領域180において任意の2点を結ぶ線分のうち気管支内腔を通る線分181では線分上の画素値の和がsum<0又はsum>0となり、隆起性病変部位上の2点を結ぶ線分62では線分上の画素値の和はsum=0となる。
コントローラ17は、前記線分上の画素値の和がsum=0となる線分両端の2点を隆起性病変部位辺縁上の点と見なして座標を記憶する。
(ステップS175)
コントローラ17は、ステップS170において設定した気管/気管支領域辺縁上すべての2点の組み合わせについて、前記線分上画素値の和の判別処理が終了したかどうか判定する。まだ終了していなければステップS171へ戻り、終了したらステップS174にて記憶された座標に囲まれる領域を病変候補領域として検出する。
以上で病変候補検出処理(I)が終了する。
病変候補検出処理(I)が終了したら次に、コントローラ17は病変候補検出処理(II)を行う。
ここで病変候補検出処理(II)について図19、図20を用いて説明する。
(ステップS190)
操作者は、気管/気管支領域辺縁上に一定間隔の点を設定する。
(ステップS191)
コントローラ17は、前記一定間隔に設定された各点で気管/気管支辺縁の接線に垂直な法線ベクトルを算出する。ここで法線ベクトルの方向は気管/気管支の内部から外部へ向くようにする。
(ステップS192)
操作者は、気管/気管支断面内で基準方向ベクトルを設定する。ここで基準方向ベクトルは気管/気管支断面内の任意の方向に定めてよい。
コントローラ17は、基準方向ベクトルと前記各法線ベクトルのなす角度を算出する。ここで角度算出はたとえば、図20に示すように、気管支断面200に対して任意に定められた基準方向ベクトル201と注目する法線ベクトル202の間で基準方向ベクトル201から反時計回りとした角度203とする。角度の算出はもちろん時計回りとしてもよいが、すべての法線ベクトルについて反時計回りか時計回りのどちらか一方に統一する。
(ステップS194)
コントローラ17は、隣り合う法線ベクトル間で前記測定した基準方向ベクトルからの角度の変化を算出する。ここで、注目する2つの法線ベクトルがいずれも正常部位、すなわち気管/気管支内部に突起していない部位辺縁上の法線ベクトルであれば法線ベクトル204,法線ベクトル205のように法線ベクトルを反時計回りに見た場合、前記測定した角度の大小関係は(角度206)<(角度207)となり角度変化は増加傾向を示す。一方、隆起性病変部位であれば法線ベクトル208,209のように前記測定した角度の大小関係は(角度20A)>(角度20B)となり角度変化は減少傾向を示す。前記角度変化の違いから病変候補の検出が可能である。角度変化が減少傾向を示す場合はステップS196へ進み、増加傾向を示す場合はステップS197へ進む。
(ステップS195)
コントローラ17は、角度変化が減少傾向を示す部分を病変候補として座標を記憶する。コントローラ17は、すべての隣り合う法線ベクトルについて、前記角度変化の測定が終了していなければステップS194へ戻り、終了していればステップS195において記憶された座標に囲まれる領域を病変候補領域として検出する。
コントローラ17は病変候補検出処理(I)により得られた結果と病変候補検出処理(II)により得られた結果との論理積を演算する。この演算により病変候補検出処理(I)および病変候補検出処理(II)の両方で病変候補として検出された領域のみが残り、この残った領域を病変候補領域として検出する。
(ステップS168)
コントローラ17は前記検出された病変候補領域を強調してCRT13に表示する。表示の仕方はたとえば、気管/気管支断面像の病変候補領域部を丸印で囲んでもよい。もちろん丸印以外にも矢印などを使って印付けしてもよい。また、病変候補領域のみを色づけして表示しても良い。
(ステップS169)
コントローラ17はステップS162において設定した注目領域のうちすべての点について前期病変候補検出処理が終了したかどうかの判定をする。まだ終了していなければステップS163へ戻る。
気管/気管支を例に第4の実施形態での動作を説明する。図21は第4の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
第4の実施形態では第3の実施形態と同様に気管/気管支の走行方向に直交する断面像を作成し、病変候補検出処理(I)及び病変候補検出処理(II)の検出結果とを出すまでのステップS160〜ステップS166とステップS210〜ステップS216とは共通するのでそれら共通部分の説明は省略し、相違部分のみを説明する。
コントローラ17は、病変候補検出処理(I)の検出結果と病変候補検出処理(II)の検出結果との論理和を演算する。この論理和演算により病変候補検出処理(I)および病変候補検出処理(II)により検出されたすべての病変候補を検出結果として得る。
(ステップS218)
コントローラ17は、検出された病変候補検出処理(I)および病変候補検出処理(II)により病変候補領域を強調してCRT13に表示する。表示方法はたとえば、気管/気管支断面像の病変候補領域部を丸印で囲んでもよい。もちろん丸印以外にも矢印などを使って印付けしてもよい。また、病変候補領域のみを色づけして表示しても良い。
はじめに、コントローラ17は、ポリープや狭窄などの病変を有する管腔臓器断面像220に対して、病変部位の輪郭を算出する。病変部位の輪郭は例えば病変領域端点221および222を結んだ線分223としてもよい。この場合病変領域は224になる。あるいは、病変領域付近の管腔臓器輪郭上の点225,226,227,228,229,22Aを用いてスプライン補間などの補間処理を施すことにより、病変部位の輪郭線22Bおよび病変領域22Cを求めてもよい。図22では6点を使ってスプライン補間する方法を説明したが、利用する点の数はもちろん任意に設定してよい。以上により病変領域224あるいは22Cが抽出される。
C=4πS/R2 (1)
ここで、円形度Cは真円で1になり、形状が複雑になるにつれ1よりも小さな値となる。従って閾値Tを設定してC>Tならばポリープなどの円形に近い病変、C<Tならば狭窄などの病変であると判別する。
コントローラ17は、判別された病変部位について、病変の種類に応じた強調処理を施してCRT13に表示してもよい。コントローラ17は、例えばポリープならば赤色の丸印を施し、狭窄ならば青色の丸印を施してCRT13に表示する。コントローラ17は、丸印の変わりにもちろん色分けされた矢印で病変部位を指し示してもよいし、また、病変領域を直接色づけしてCRT13に表示してもよい。
第3の実施形態では病変候補検出処理(I)および病変候補検出処理(II)の結果の論理積を演算する。これによって、病変候補の見落としが減少できる。
一方、第4の実施形態では病変候補検出処理(I)および病変候補検出処理(II)の結果の論理和を演算する。これによって高精度の病変候補の検出が可能となる。
結果画像241はあらかじめ抽出しておいた気管/気管支の3次元画像である。3次元画像上には前記病変候補検出処理によって病変候補として検出された部位が色付きの線245〜247で表示される。3次元画像241はもちろん任意の角度に回転して表示することが可能である。
操作者がマウス18等を操作しボタン249を押すことで、画像強調処理248の表示/非表示の切り替えが可能である。
操作者はマウス18等を操作してボタン24Aを押すことにより断面像243中の病変候補周辺を拡大表示することが可能である。拡大された画像はそのまま断面像243の位置に表示してもよいし、あるいは画像表示領域244に表示しても良い。
操作者がマウス18等を操作して、3次元画像121上に直接病変候補検出位置を指定する方法の代わりに、スクロールバー24Cを操作することで病変候補検出結果が順番に表示されるようにしてもよい。スクロールバーの上部にある数値表示領域に表示される数値は現在表示されている病変候補の番号を示す。3次元画像241上の病変候補位置にあらかじめ数値表示領域に表示される数値に対応する番号を表示してもよいし、数値表示領域に現在表示されている数値に対応する病変候補位置245を他の病変候補246や247と異なる色線で表しても良い。
操作者はマウス18等を操作することでスクロールバー24Dおよびスクロールバー24Eを操作し、断面像243のウィンドウレベルやウィンドウ幅を設定することができる。設定されるウィンドウレベルやウィンドウ幅の値は各スクロールバーの上部の数値表示領域に表示される。
また、上記一連の病変候補検出処理および病変種類判別処理、病変候補領域表示はもちろん、血管や腸管など気管/気管支以外の管腔臓器について行っても良い。
第1〜4の実施形態のいずれかにより検出した病変候補について、仮想内視鏡を用いて病変の位置と大きさなどを確認する場合には、検者に病変の有無を通知してもよい。
コントローラ17は、表示している仮想内視鏡像上で病変領域に着色する。また、検者は、視点を更新しながら仮想内視鏡像を観察する時に、視点が病変部分を通過する直前、直後で視点の方向を病変の方へ向け、病変を通過したら視点方向をまた元に戻す。
操作者は仮想内視鏡の視点位置の初期化を行う。ここで初期化とは仮想内視鏡による観察を行う時の開始位置の設定である。開始位置の設定は、例えば、操作者がマウス18などの入力装置を用いて、CTやMRなどの断層画像上で観察対象となる管腔臓器内の1点をクリックすることにより行う。
(ステップS261)
CPU11は仮想内視鏡像を作成する。
(ステップS262)
CPU11は上記病変検出法によりあらかじめ検出した病変の情報を用いて、作成した仮想内視鏡像内に病変領域があるかどうかを判別する。病変領域が存在する場合にはステップS263へ進み、存在しない場合にはステップS268へ進む。
CPU11はステップS261において作成した仮想内視鏡像上の病変領域に着色する。例えば、図27の領域270のように着色する。
(ステップS264)
CPU11は視点位置と病変位置との距離Lを測定する。
(ステップS265)
CPU11は前記測定した距離値Lとあらかじめ設定しておいた閾値Tを比較する。L<Tの場合、即ち視点が病変に接近した位置にある場合、ステップS265へ進み、L>Tの場合、即ち視点が病変から遠い位置にある場合にはステップS268へ進む。
CPU11は視点の方向を病変のある方向へ変更する。
(ステップS267)
CPU11は前記変更した視点方向の仮想内視鏡像を作成する。
(ステップS268)
CPU11は前記作成した仮想内視鏡像を、表示メモリ12を用いてCRT13に表示する。
操作者は仮想内視鏡の視点を更新する。例えば、マウスの左ボタンを押しつづけると仮想内視鏡の視点が前進し、右ボタンを押しつづけると視点が後退するようにする。マウスを動かすと視点の方向が変わるようにする。これにより視点の更新が可能となる。
CPU11は視点を更新したら再びステップS261に戻って病変存在通知のための仮想内視鏡画像の作成と、その作成された仮想内視鏡画像をCRT13に表示する。
視点の方向を変えるかわりに、画面全体を一瞬光らせるようにしてもよいし、病変領域を通過する際に、視点の更新時間をわざと遅くしたり、あるいは不連続に視点を更新したりして、仮想内視鏡表示画像の変化を用いて、病変の存在を操作者に通知するようにしてもよい。また、視点と病変との距離を用いて視覚的通知を行うかどうかの判断をするかわりに、病変が仮想内視鏡の視野のn%を占めるようになったら、視点方向の変更、画面の発光、視点更新時間の遅延、視点更新の不連続化などの視覚的通知を行うようにしてもよい。
第1〜4の実施形態のいずれかにより検出した病変候補について、仮想内視鏡を用いて病変の位置と大きさなどを確認する場合には、以下に示す方法により操作者に病変の有無を通知してもよい。
第6の実施形態について図を用いて説明する。図28の280〜285はそれぞれ仮想内視法により、管腔臓器内部を、視点位置を更新しながら観察している様子である。280から285へと順番に視点位置が更新される。286は管腔臓器内にできる病変を示している。仮想内視鏡像280から282までは徐々に病変に近づき、282と283の間で病変を通り越し、283〜285へと徐々に病変から遠ざかる。仮想内視鏡像の視点位置が病変に近くなったら音を発生する。病変に近づくにつれ音量を徐々に大きくし、病変から遠ざかるにつれ音量を徐々に小さくする。また病変を通り過ぎる時に音の周波数を変換し、ドプラー効果により病変を通り過ぎたことを操作者に通知する。
(ステップS290)
操作者は仮想内視鏡の視点位置の初期化を行う。ここで初期化とは仮想内視鏡による観察を行う時の開始位置の設定である。開始位置の設定は、例えば、操作者がマウス18などの入力装置を用いて、CTやMRなどの断層画像上で観察対象となる管腔臓器内の1点をクリックすることにより行う。
(ステップS291)
CPU11は仮想内視鏡像を作成し、表示メモリ12を用いてCRT13に表示する。
(ステップS292)
CPU11は現在の視点座標(Xi,Yi,Zi)を取得し、主メモリ14に記憶する。
CPU11は視点位置と病変位置との距離値Liを取得し、主メモリ14に記憶する。
(ステップS294)
CPU11は上記求めた距離値Liとあらかじめ設定しておいた閾値Tを比較する。Li<Tの場合、即ち視点と病変との距離が近い場合にはステップS295へ進む。視点と病変との距離が遠い場合にはステップS29Bへ進む。
(ステップS295)
CPU11は上記求めた距離値Liと、1つ前の視点と病変との距離Li−1を比較する。Li<Li−1の場合、即ち視点が病変に近づいている場合にはステップS296へ進む。一方、Li>Li・1の場合、即ち視点が病変から遠ざかっている場合にはステップS298へ進む。
CPU11は音程を設定する。視点が病変に近づいている場合は高音に設定する。これは、視点が病変から遠ざかる場合に低音を与え、視点が病変を通り過ぎるときに高音と低音を切り替えてドプラー効果を用いて音を発生させることで、検者が移動させている視点は病変付近を通っていることを知らせるためである。
(ステップS297)
CPU11は音量を設定する。視点が病変に近づいている場合は音量を上げる。これは音量が上がったことで、視点が病変に近づいていることを検者に通知するためである。
(ステップS298)
CPU11は音程を低音に設定する。ドプラー効果により視点が病変から遠ざかっている状態であることを表す。
CPU11は音量を設定する。視点が病変から遠ざかっているため、音量を下げる。
(ステップS29A)
CPU11は上記ステップS296,S297またはステップS298,S299により設定した音程、音量の音を、スピーカ15を通じて発生させる。
(ステップS29B)
操作者は仮想内視鏡の視点を更新する。例えば、マウスの左ボタンを押しつづけると仮想内視鏡の視点が前進し、右ボタンを押しつづけると視点が後退するようにする。マウスを動かすと視点の方向が変わるようにする。これにより視点の更新が可能となる。視点を更新したら再びステップS291に戻って仮想内視鏡画像の表示と病変の存在通知のための音発生を行う。
以上、ドプラー効果と音量の変化によって、病変の存在とその位置を検者に聴覚的に通知することで、病変の見落としを削減することが可能となる。
一方、第6の実施形態では病変領域を聴覚的に通知する方法について説明した。これらの通知法はそれぞれ単独で用いてもよいし、もちろん併用してもよい。様々な通知法を併用することにより、検者の疲労などに伴い注意力が低下している場合においても、気管や気管支、血管、腸管などの管腔臓器内部にできる病変について見落としの軽減が可能となる。
本発明の表示例を図30に示す。これは以下で説明する第7〜第11の実施形態に共通するユーザインターフェイスである。
医用画像診断支援装置は図1に示すように、領域抽出演算を行うCPU11、医用画像装置1Bにより撮影された医用断層画像をLAN1Aなどのネットワークを介して受け取り記憶する磁気ディスク16、領域抽出演算時に医用断層画像データや演算の途中経過を記憶する主メモリ14、操作者が領域抽出に必要なパラメータなどを入力するためのコントローラ17につながれたマウス18やキーボード19、そして領域抽出結果表示に用いる表示メモリ12と表示装置(CRT)13からなる。
本発明の第7の実施形態を、図32〜38を用いて説明する。図32は第7の実施形態の処理の流れを示す。
本実施形態では気管支の走行方向に直交する断面を抽出していきそれらを集めることで気管支全体を抽出する。
(ステップ300)
操作者はマウス18やキーボード19などの入力装置を操作して、ユーザインターフェイス上の画像入力ボタン200を押し、モダリティ1Bにより撮影された医用断層画像を、LAN1Aを介して主メモリ14に入力したり、磁気ディスク16から入力したりする。
操作者はマウス18やキーボード19などの入力装置を操作して、スライス番号設定スクロールバー201、ウィンドウレベル設定スクロールバー202、ウィンドウ幅設定スクロールバー203を動かし、画像表示領域204に所望のスライス画像を表示させる。ここで表示スライスの設定はもちろん、スライス番号表示領域205、ウィンドウレベル表示領域206、ウィンドウ幅表示領域207に直接数値を入力しても良い。その後、操作者はマウス18やキーボード19などの入力装置を操作して気管支抽出に用いる各パラメータの値を設定する。ここで、気管支抽出に用いる各パラメータとは例えば、後で説明する二値化に用いる閾値や、ROI設定閾値、領域が正しく抽出されたかを判定する時に用いる面積閾値、円形度閾値、面積比閾値、くびれ度閾値、エッジ比閾値などのことである。気管支抽出に用いる各パラメータの詳細は後で説明する。パラメータの設定は前記説明したように操作者が二値化閾値表示領域208、209、ROI設定閾値表示領域210、面積閾値表示領域211、円形度閾値表示領域212、面積比閾値表示領域213、くびれ度閾値表示領域214、エッジ比閾値表示領域215に直接数値を入力しても良いし、もちろん経験的に求められた値をあらかじめ設定しておきその値を用いても良い。あらかじめ設定した値を用いる場合には、ユーザインターフェイス上に各パラメータ値を表示してもよい。また、ユーザインターフェイス上に各パラメータ値の表示は省略できる。
操作者はマウス18やキーボード19などの入力装置を操作して前記入力した医用断層画像のうち任意の画像上に領域抽出の開始点を選択する。ここで領域抽出の開始点は前記入力した医用断層画像上の抽出したい気管支上の点であり、例えば図30の画像表示領域上の点216のように設定する。次のステップで用いる通常の領域拡張を行うための開始点である。
CPU11は前記設定した開始点を元に前記選択した任意の医用断層画像上で領域拡張を行い、前記断層画像上の気管支断面を抽出する。ここで抽出された気管支断面は親領域と呼ぶ。親領域には画素値1がその他の領域には画素値0が割り当てられるとする。
CPU11は前記親領域について面積値Sp、円形度Cp、重心座標Gp、領域を円近似したときの半径rp(あるいは親領域を囲む矩形の長軸の長さ)などの物理量を演算する。ここで円形度Cとは例えば(2)式で与えられる量であり、注目領域がどのくらい円に近い形状をしているかを示す指標となる。
C=4πS/(L×L) (2)
ここで、Sは注目領域の面積値でありLは注目領域の外周の長さである。
CPU11は前記求めた親領域の面積値や円形度などの各物理量についてそれぞれの気管支断面として適切かどうかを判断する。気管支の走行方向に直交する断面像は円に近い楕円形をしていると考えられる。従って円形度を測定すると1に近い値となる。そこで気管支断面として適切かどうかの判断は、前記設定した各閾値と前記求めた各物理量との比較を行い、各物理量が閾値により設定された条件を満たすかどうかにより行う。親領域の各物理量のうちどれか一つでも条件を満足しないものがあればステップ306へ進み、すべての物理量が条件を満たす場合にはステップ307へ進む。
親領域が不適切と判断された場合にはエラーメッセージを出力して管腔臓器抽出処理を終了する。
CPU11は次の管腔臓器断面を抽出するための方向ベクトルを決定または更新する。親領域重心Gpから更新された方向ベクトルの方向へ単位長さだけ移動した点を、次に抽出する領域の仮中心Oとする。
CPU11は領域抽出を行うときの関心領域(以下ROIと呼ぶ)の半径Rを決定する。ここで、半径Rは前記算出した親領域の半径(あるいは親領域を囲む矩形の長軸の長さ)rの定数倍である。後で説明するようにROIは適切なものが見つかるまで決められた範囲内で半径を変更させる。適切なROIについては後で説明する。決められた範囲内とは例えば、親領域半径rを用いてar<R<brで表される範囲である。ここでa,bはあらかじめ設定しておいた比率である。具体的には例えばa=0.6,b=1.4と設定する。Rを0.6rから1.4rまで適切なROIが見つかるまで例えば、0.2r刻みで増加させる。
CPU11は前記設定した仮中心Oを中心とし方向ベクトルに直交する半径RのROIを設定し、前記入力医用断層画像を用いてROI内の画像を作成する。なお、CPU11はROI内の各画素に画素値を割り当てるために入力医用断層画像の断層間を、線形補間法などを用いて補間演算する。
CPU11は前記求めたROI内画像に対して前記設定した二値化の閾値を用いて二値化する。ここで、CPU11は閾値条件を満たす気管支領域候補に画素値1を、その他の領域には画素値0を割り当てる。
CPU11は前記求めた二値画像内の各領域のうち親領域とつながりのある領域のみを残し、他の領域には画素値0を割り当てる。
CPU11は前記設定したROIが適切かどうかを判断する。図32に示すようにROI400について二値化により気管支候補領域401が得られた場合と気管支候補領域402が得られた場合について考える。ROI400およびROI401の外周の長さをLROIとし、ROIの外周のうち二値化により得られた気管支候補領域402、403と接していない部分の長さをそれぞれL402、L403とする。ROIの周囲長LROIと、ROIの外周のうち気管支候補領域と接していない部分の長さL402、L403の比RLが前記設定した領域抽出パラメータの一つであるROI設定閾値TROIと比較してRL>TROIの場合には設定したROIが適切であると判断してステップ313へ進み、RL<TROIの場合には設定したROIが不適切であると判断してステップ308へ戻る。例えばTROI=0.7とするとROI400は適切であると判断され、ROI401は不適切であると判断される。
CPU11は適切と判断されたROI中で二値化により得られた気管支候補領域(以下、子領域候補と呼ぶ)の面積Scや円形度Cc、親領域との面積比RS、変形度(くびれ度)W、エッジ比E、重心座標Gcを算出する。ここでくびれ度とは図35に示すようにROI500中の子領域候補501のうちくびれている部分502の面積をSwとした時に子領域候補の面積Scを用いてW=Sw/Scで表される量である。領域503のようにくびれている部分が存在しない場合にはくびれ度はW=0となる。ただし、領域504のようにROIの外周と接する部分がない場合にはくびれ度をW=1とする。また、エッジ比とは図34に示すようにROI600の外周と子領域候補601が接する部分の長さLEとし、ROI600の外周の長さLROIを用いてE=LE/LROIで表される量である。
CPU11は前記算出した子領域候補の面積Sc、円形度Cc、親領域との面積比Rs、くびれ度W、エッジ比Eなどの物理量とそれぞれ前記設定した領域抽出パラメータとを比較して気管支領域として適切かどうかを判別する。ここで使用する領域抽出パラメータは面積閾値TS、円形度閾値TC、面積比閾値TR1(下側)、TR2(上側)、くびれ度閾値TW、エッジ比閾値TEである。面積閾値TSは気管支領域断面として適切でない大きさの領域が見つかった場合にこれを除外するために用いる。面積比閾値TR1、TR2は親領域との連続性を保障するパラメータである。くびれ度閾値は図33の領域503のように、例えば、子領域候補として肺野領域の一部などを子領域候補として抽出した場合にこれをはじくために用いる。エッジ比についてもくびれ度と同様である。これらすべての物理量が閾値による条件を満足している場合にその子領域候補を気管支領域断面として採用する。採用された子領域候補を子領域と呼ぶ。採用されなかった子領域候補には画素値0を割り当てる。ここで、子領域候補が気管支領域断面として適切かどうかの判別には前記すべての物理量を用いてもよいし、また前記物理量のうちの一部を用いてもよい。
CPU11はステップ314の子領域候補判別処理により気管支領域として適切であると判断された子領域の数を数える。
CPU11は前記求めた子領域数が0かどうか判別し、子領域が0でない場合はステップ317へ進み、子領域数が0の場合はステップ321へ進む。
CPU11は前記求めた子領域数が1個か2個以上かを判別し、子領域数が2個以上の場合はステップ318へ進み、子領域数が1個の場合はステップ320へ進む。
CPU11は子領域数が2個以上あった場合に気管支分岐部であると判断し、この時の親領域の重心座標Gp、面積Sp、円形度Cp、親領域内の各画素の座標、方向ベクトル、ROIの半径Rなどの各変数を主メモリ14上の分岐情報格納配列に記憶する。
CPU11は(子領域の数・1)だけ気管支枝総数Ntを増やす。気管支枝総数Ntとは抽出の過程で分岐により見つけられた気管支枝の総数であり、すべての枝について抽出処理が終了したら全気管支抽出処理を終了するためのものである。
CPU11は抽出された子領域内の各画素の座標を抽出領域座標格納配列に格納する。
子領域が抽出されなかった場合に、CPU11は、すべてのROI半径についてROIを作成し子領域候補の抽出処理を行ったかを判断し、すべてのROI半径について抽出処理を終了していればステップ322へ進み、まだすべてのROI半径についてROIを作成していなければステップ308へ戻ってROI半径を更新し、抽出処理を行う。
CPU11はすべての角度の方向ベクトルについて抽出処理を行ったかを判断し、すべての角度の方向ベクトルについて抽出処理が終了している場合にはステップ323へ進み、まだすべての方向ベクトルについて抽出処理を終了していない場合にはステップ307へ戻って方向ベクトルを更新する。ここですべての方向ベクトルの意味について説明する。図35に示すように、親領域700の重心701から親領域に直交するベクトル702に対して、角度703および704によって定義されるベクトル705を求める。角度703,704がとり得るすべての組み合わせについて得られるベクトル705がすべての方向ベクトルである。実際には例えば、角度703,704をそれぞれ0°から360°まで10°刻みでとってもよい。あるいは10°刻みではなく5°刻みにしてもよい。あるいは角度703は5°刻みでとり、角度704は10°刻みでとってもよい。あるいは角度703は0°から90°までとり、角度704は0°から360°までとるようにしてもよい。
CPU11は抽出済み枝数Nfの値を1増やす。抽出済み枝数とは気管支の各枝のうちすでに抽出処理が終了した枝の数を指す。
CPU11は抽出済み枝数Nfと枝総数Ntを比較する。Nf<Ntの場合にはステップ325へ進み、Nf=Ntの場合にはステップ326へ進む。
CPU11はステップ314で抽出した子領域の重心座標Gc、面積Sc、円形度Ccを新たな親領域重心座標Gp、面積Sp、円形度Cpとし、ステップ307へ戻って抽出処理を繰り返す。ステップ314において子領域が抽出されていない場合は分岐情報格納配列から親領域情報を取得し、今まで抽出処理を行ってきた枝とは別の枝の抽出処理を開始する。
CPU11は抽出領域情報記憶配列に格納された情報を元に抽出した気管支の3次元画像を作成し、表示メモリを用いて表示器に表示する。抽出気管支3次元画像は例えば図36に示すようにユーザインターフェイス上の画像表示領域800に表示される。
例えば図38に示すように基準方向ベクトル1000からの角度を0°から角度1001まで変化させる場合に、基準方向ベクトルにはROI設定閾値としてTROI1を与え、角度1001傾いた方向ベクトル1002にはTROI2を与える。図39に第7の実施形態による気管支各枝の抽出順番を示す。
TROI(θ)=TROI1+(TROI2−TROI1)×sinθ/sinθmax (3)
あるいは角度1001をθmaxとして、方向ベクトル1003のROI設定閾値TROI(θ)を(4)式のように与えてもよい。
TROI(θ)=TROI1+(TROI2−TROI1)×θ/θmax (4)
ROI設定閾値は、親領域面積値Spに比例して決定してもよい。
操作者はROI設定閾値の下限値TROI1と上限値TROI2を与える。これらの値は操作者がユーザインターフェイス上で直接設定できるようにしもよいし、もちろんあらかじめ内部で設定した値を保持しておいてもよい。
TROI(Sp)=TROI1+(TROI2−TROI1)×(Sp−S1)/(S2−S1) (5)
ここでS1,S2は操作者が与えてもよいし、あらかじめ内部で設定しておいてもよい。
上記式(4)や式(5)で与えられるROI設定閾値TROIは、上記式(4)あるいは式(5)を用いてあらかじめ計算し参照テーブル化しておくことにより演算の高速化が可能である。また、上記式(4),式(5)を用いずに経験的に求めたROI設定閾値TROIを参照テーブル化してもよい。
次に第8の実施形態を、図39,図40を用いて説明する。
第8の実施形態は気管支各枝の抽出順番が第7の実施形態と異なり、第7の実施形態では抽出途中での左右の対称性について配慮されていない。
第7,第8の実施形態では抽出結果を全領域の抽出処理が終了したあとに表示していた。しかし、抽出途中に常に抽出経過を3次元表示してもよい。
抽出経過を見ながら操作者が抽出終了ボタンを押すとその時点で抽出が終了するようにしてもよい。末梢の気管支まで抽出する必要がない場合には途中で抽出を終了することにより、抽出時間の短縮が可能である。
第7,第8の実施形態では各末梢の枝を気管支として適切な領域が存在しなくなるまで抽出処理を続ける。しかし、面積終了条件閾値TSfinを設定し抽出中の子領域面積がSc<TSfinとなったらその枝の抽出処理を終了し、分岐点に戻ってまだ抽出が行われていない枝の抽出を行うようにしてもよい。TSfinの設定はあらかじめ内部で定義しておいてもよいし、操作者がユーザインターフェイス上の面積終了条件閾値表示領域に直接数値を入力してもよい。
第7および第8の実施形態で抽出した気管支領域から気管支の芯線を抽出することも可能である。図41に示すように、第7,第8の実施形態では気管支領域1300を求める時に、気管支走行方向に直交する断面1301〜1311を求めながら抽出を行った。各断面を抽出した際に同時に、各断面の重心座標1312〜1322を取得している。取得した重心座標1312〜1322をつないだ線1323を芯線とみなすことができる。重心座標1312〜1322を結ぶ時には、隣り合う重心間を直線で結んでもよい。あるいは、スプライン補間などの補間により結んでもよい。
第7〜第10の実施形態ではX線CT断層装置で得られたボリュームデータを対象にした抽出について説明した。しかし、本発明は、レントゲン画像などの2次元画像中の管腔臓器抽出にも適用可能である。
本発明を2次元画像への適用例を、図42,図43を用いて説明する。
採用した子領域を親領域として上記の処理を繰り返し適用することにより頭部血管の一部または全部を抽出することが可能である。
Claims (10)
- 医用画像装置によって得られた被検者の医用画像から臓器部位を設定する臓器部位設定手段と、
この臓器部位設定手段によって設定された臓器部位の分岐部分を検出する手段と、
この検出手段によって検出された分岐部分の複数の断面像を作成する手段と、
それぞれ作成された複数の分岐部分の断面像間の辺縁部分同士の最短距離を臓器部位の変形度として算出する変形度算出手段と、
前記臓器部位の変形度の指標を基準値として記憶する基準値記憶手段と、
この基準値記憶手段によって記憶された基準値と前記変形度算出手段によって算出された変形度とを比較し、その比較結果からの前記臓器部位の病変の存在を判別する病変判別手段と、
この病変判別手段によって判別された前記臓器部位の病変の存在を検者の視覚、聴覚の少なくとも一つの感覚に通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像診断支援装置。 - 請求項1に記載の医用画像診断支援装置において、前記基準値記憶手段は、前記臓器部位の変形度に応じた複数のテンプレートを記憶することを含む。
- 請求項1に記載の医用画像診断支援装置において、前記変形度算出手段は、前記臓器部位の体軸方向に直交する断面像を算出する断面像算出手段と、この断面像算出手段によって算出された断面像から前記臓器部位の内腔と外部を抽出する抽出手段とを備え、前記抽出手段によって抽出された前記臓器部位の内腔と外部の変形度を算出することを含む。
- 請求項1に記載の医用画像診断支援装置において、前記変形度算出手段は、前記臓器部位設定手段によって設定された臓器部位のうちの管腔臓器を抽出する手段と、この抽出手段によって抽出された管腔臓器に注目領域を設定する注目領域設定手段と、この注目領域設定手段によって設定された注目領域に基づき前記抽出手段によって抽出された管腔臓器の断面像を作成する手段とを備え、前記病変判別手段は前記作成手段によって作成された管腔臓器の断面像の変形度に基づき前記臓器部位の病変の存在を判別することを含む。
- 請求項1に記載の医用画像診断支援装置において、前記通知手段は、前記判別手段により判別された病変の存在が色や表示画像の動きによって表示されることで検者の視覚に通知することを含む。
- 請求項5に記載の医用画像診断支援装置において、前記検者の視覚への通知は、前記臓器部位設定手段によって設定された臓器部位の断面像を表示し、その断面像上に前記病変判別手段によって判別された病変候補部分を強調表示することを含む。
- 請求項1に記載の医用画像診断支援装置において、前記通知手段は、前記判別手段により判別された病変の存在が音や声、及び音や声の変化によって出力されることで検者の聴覚に通知することを含む。
- 請求項1に記載の医用画像診断支援装置において、前記医用画像装置によって得られた断層画像内の管腔臓器の特徴量からその断面を抽出する断面抽出手段と、この抽出手段によって抽出された管腔臓器断面でその管腔臓器の半径や円形度、重心を含む物理量を演算する物理量演算手段と、この物理量演算手段によって演算された物理量に基づき関心領域を算出する関心領域算出手段と、この関心領域算出手段によって算出された関心領域内で前記断面抽出手段によって抽出された管腔臓器断面を含む断層画像から管腔臓器の3次元画像を作成する3次元画像作成手段と、この3次元画像作成手段によって作成された3次元画像を表示する画像表示手段とをさらに備えたことを含む。
- 請求項8に記載の医用画像診断支援装置において、前記物理量演算手段によって演算された管腔臓器断面の重心に基づき前記管腔臓器の芯線を演算する芯線演算手段をさらに備え、前記画像表示手段は、前記芯線演算手段によって演算された芯線と前記3次元画像作成手段によって作成された3次元画像と共に表示することを含む。
- 医用画像装置によって得られた被検者の医用画像から臓器部位を設定する臓器部位設定手段と、
この臓器部位設定手段によって設定された臓器部位の分岐部分を検出する手段と、
この検出手段によって検出された分岐部分の複数の断面像を作成する手段と、
それぞれ作成された複数の分岐部分の断面像間の辺縁部分同士の最短距離を臓器部位の変形度として算出する変形度算出手段と、
前記臓器部位の変形度の指標を基準値として記憶する基準値記憶手段と、
この基準値記憶手段によって記憶された基準値と前記変形度算出手段によって算出された変形度とを比較し、その比較結果からの前記臓器部位の病変の存在を判別する病変判別手段と、
この病変判別手段によって判別された前記臓器部位の病変の存在を検者の視覚、聴覚の少なくとも一つの感覚に通知する通知手段と、
を機能させることを特徴とする医用画像診断支援装置のプログラム。
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