JP4414273B2 - 感熱記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、感熱記録媒体及びその製造方法に関する。
従来、1枚の感熱記録媒体で複数のフォームを実現する多色感熱記録媒体が知られている。この多色感熱記録媒体は、異なる発色温度で異なる色調を発色させる少なくとも2つの感熱発色層を紙等の基材上に積層して形成した記録媒体が知られている。(例えば、特許文献1参照)
このような多色感熱記録媒体をサーマルヘッドで加熱して印字を行なった場合、加熱温度を変えることにより異なった色相の画像が得られる。例えば、低温で加熱した場合には青色に発色し、高温で加熱した場合には黒色に発色するという具合である。このような多色感熱記録媒体を印字するには、サーマルヘッドの温度制御が必要になる。また、高温に制御されたサーマルヘッドでも、その周辺部は低温に制御された温度になるため、混色したように見える。
このような問題を解決するため、異なった色相に発色する2色以上の感熱発色層を基材上に部分的に形成し、これを発色させる画素のみ選択的に加熱して多色画像を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
記録媒体としてロール紙のような記録媒体を用いた場合に、その長さ方向に連続的にストライプ状のパターンを印刷法で形成することができる。その感熱記録媒体の記録層の幅方向のサイズやパターンを比較的容易に変更できる。しかしながら、印刷法で形成した感熱発色層および感熱記録媒体は幾つかの課題がある。
第一に、感熱記録媒体に印刷法で複数の感熱発色層を形成すると、図16のようにサイズ等全く同じ定型フォームとしては利用可能であるが、例えば、長さの異なる感熱記録媒体の形成が難しいことが挙げられる。
第二に、感熱発色層の作製時の問題が挙げられる。感熱記録媒体の作製に用いられる感熱インキとしては、水に、電子受容性化合物として、例えば、顕色剤、電子供与性化合物として、例えば、ロイコ染料、増感剤等の顔料成分を界面活性剤等の分散剤を用いて分散させた水分散感熱インキが広く使用されている。
この水分散感熱インキを、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リップコーター等の塗工装置を用いて塗工した場合には、基材上に均等な膜厚に塗工できるが、凸版、凹版、孔版等の版を用いた印刷法で水分散感熱インキを基材上に印刷して感熱発色層を形成した場合において、印刷インキを用いて通常の印刷物を形成する印刷法に比べて、所定濃度を得るためには印刷膜厚を大幅に厚く形成する必要があるため、水分散感熱インキが塗布された感熱記録媒体をオーブンなどに入れて加熱して乾燥させた場合には、図17に示すような縞模様Aが発生することが本発明者によって確認された。この縞模様Aは、印刷時に版と基材とが離反したとき、水分散感熱インキが滑らかに広がらずに波打ち状態になる「泳ぎ」と呼ばれる現象である。この現象は、顔料を含有する水分散感熱インキが有する性質のために生じやすいと考えられる。
このような現象が発生した感熱発色層が形成された感熱記録媒体を用い、サーマルヘッドなどで熱エネルギーを印加して画像を形成した場合、その画像には縞模様Aに対応する部分が濃度ムラとなって現れ、画像品質が低下する。
一方、水分散感熱インキに代えて、有機溶媒中に、顕色剤、ロイコ染料等を分散させた有機溶媒系感熱インキを用いた場合には、印刷された有機溶媒系感熱インキは水分散感熱インキに比べてレベリング性が良く、図17に示したような縞模様の発生は生じにくい。しかし、有機溶媒は、感熱インキの構成成分として用いられる顕色剤、ロイコ染料等の物質を溶解しやすく、地肌かぶりを起こし易いという問題や、地肌かぶりを少なくしようとすれば使用できる顕色剤やロイコ染料等の種類が限定されるので、種々の色を発色させる材料の選択範囲が制限され、カラー化が困難になることやコスト高になるという問題がある。
そこで、本出願人は、基材上に水分散感熱インキを含浸させ、所定濃度を確保するための膜厚を保持するためのインキ受理層を設け、さらに、水分散感熱インキの表面張力を低減させて、より基材への浸透性やリベリング性を高め「泳ぎ」の現象を問題ないレベルに低減する発明を特願2003−99356で提案した。
水分散感熱インキの浸透性やリベリング性を高めると、隣合う異なる色相の感熱発色層の混色が発生しやすくなる。特に、凹版印刷の場合、ドクターブレードで余分なインクを除去するが、水系の分散インクを用いるとドクターブレードの摩耗が溶剤系に比べ発生しやすいこと、基材や水分散感熱インキの浸透性が高められていることから、印刷される水分散感熱インキの量も多いことから隣合う感熱発色層の混色の問題が発生しやすい。
特開昭57−178791号公報 特開昭60−208283号公報 特開2000−301835号公報
本発明の目的は、感熱記録媒体のサイズ的制約をフレキシブルに対応できるようにするようにし、さらに版を用いた印刷法で感熱発色層を形成する感熱記録媒体を作製した場合に生ずる前記した泳ぎの問題を解決することである。また、異なる色相の感熱発色層を形成する感熱記録媒体を作製した場合の混色を生じにくくすることである。
材上に印刷版を用いた印刷法により少なくとも2つ以上の異なる色相で発色するn個(nは2以上)の感熱発色層が長手方向に連続的に形成されたロール状の感熱記録媒体の製造方法において、前記基材上にインキ受理層を設ける工程と、前記基材の長手方向に対して連続的かつ幅方向に少なくともm個(mは2以上)の前記感熱記録媒体を形成するために、1番目の色相からn番目の色相まで順次配列されたn個の長手方向に平行なストライプ状であり、少なくとも電子供与性化合物と電子受容性化合物を含有する水分散感熱インキを前記インキ受理層に印刷して一体的に形成された前記感熱発色層を複数形成する印刷工程と、前記n番目の色相の感熱発色層上を長手方向に沿ってカットすることによりm個の前記感熱記録媒体に分割する工程とを有するようにした。
本発明によれば、感熱記録媒体のサイズ的制約をフレキシブルに対応できるようにすることができ、さらに版を用いた印刷法で感熱発色層を形成する感熱記録媒体を作製した場合に生ずる泳ぎがない記録媒体を提供することができる。また、異なる色相の感熱発色層を形成する感熱記録媒体を作製した場合に生じやすい混色を生じにくくすることができる。
本発明の一実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
図1は感熱記録媒体を示す平面図、図2は図1の断面図、図3は印字状態を示す平面図である。
この感熱記録媒体1は、基材2と、基材2の表面に形成されたインキ受理層3と、インキ受理層3に形成された発色色相がそれぞれ異なる感熱発色層4a、4b、4cと、必要に応じて保護層5が形成されている。
発色の色相が異なる感熱発色層4a、4b、4cは、印刷法で形成され長手方向に平行なストライプ状に形成されている。長手方向とは、印刷法で形成する場合の基材2の送り方向を意味し、プリンタでの印字送り方向と一致する。
感熱発色層4a、4b、4cは、ストライプ状に印刷方向に切れ目なく形成可能な印刷法で形成される。このような連続的印刷が可能な印刷法としては、グラビア印刷がある。
グラビア印刷法で形成する感熱発色層4a、4b、4cは、図2で示したようにインキ受理層3に浸透させ一体的に形成されている。印刷法で形成した場合、「泳ぎ」が発生しやすいためで、一体的に形成することでその発生を抑えることが可能である。感熱発色層4a、4b、4cをインキ受理層3に一体的に形成するとは、印字品質的に泳ぎの影響が発生しない範囲で、感熱発色層4a、4b、4cがインキ受理層3に完全に浸透せず、上部に出ていても良い。
連続的にストライプ状に形成された感熱記録媒体1は、例えば図3で示すように、プライスカード等のPOPに利用可能である。感熱発色層4aには広告の品、SALE等の強調文字、感熱発色層4bには商品の説明やバーコード、感熱発色層4cは特売等の価格等を異なる色調で印字することにより、視覚的に顧客にPRできるPOPになる。
ストライプ状に連続的に感熱発色層4a、4b、4cを設けたことにより、図3で示すように印字長が代わっても対応可能で、切り取って使用することができる。ここで示した、図1〜図3の感熱記録媒体1は図4で示すようなロール上に形成された感熱記録媒体ロール10の一部を示したもので、感熱発色層4a、4b、4cが連続的にストライプ状に形成されている。
感熱発色層4aは、例えば青色に発色する感熱発色層4で強調文字等の印字に適している。感熱発色層4bは黒色に発色する感熱発色層4で、商品説明やその他に、バーコード等の印字に利用する。感熱発色層4cは赤色に発色する感熱発色層4で特に価格等のPRしたい項目を印字することに有効であり、重要な感熱発色層4である。
ストライプ状に形成された感熱発色層4の組合せとして青色に発色する感熱発色層4a、黒色の発色する感熱発色層4b、赤色に発色する感熱発色層4cが色合いとして好まれるが、さらに、この組合せで赤色の感熱発色層4cは、強調する意味合いが強く大事な情報を印字する場合が多く、他の感熱発色層4よりも幅が広い方が、視覚的により効果的である。
また、ストライプ状に形成された感熱発色層4の幅があまり狭いと、異なる色調で視覚的に強調するには効果が少ないことやプリンタの印字位置精度から、例えば10mm程度以上が望ましい。特に、黒色や青色の感熱発色層4に求められるバーコード印字を考慮すると10mm程度は必要となる場合が多い。(バーコードのJAN規格値では、最小倍率0.8倍において、バーコード高さが18.29mmであるが、実際にはこの数値の半分までは十分読み取り範囲でこの数値から考えると10mm以上が望ましいことになる)
また、多色の感熱記録媒体1は視覚的に目立つようにすることが多く、このためには、感熱発色層4の各色調のバランスも重要である。このため、例えば、各感熱発色層4のストライプの幅は全体の1/10以上であるとよい。より好ましくは、凡そ均等分に分割されていることがより視覚的には効果的である。
基材2としては、例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム、金属箔等が挙げられるが、本発明の目的を妨げないものであれば、これらに限定されるものではない。
インキ受理層3は、印刷法で形成する感熱発色層4の泳ぎを防止するために、水系感熱分散インキを吸収しやすくするために、顔料を主成分として、顔料とバインダー樹脂とから構成されている。顔料としては、例えば、クレー、焼成クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ等の無機顔料や、スチレン系、スチレン・アクリル系、アクリル系等の樹脂のビーズ状、中空樹脂等の有機顔料が使用可能である。さらに、1次粒子が凝集した凝集体である多孔性顔料が好ましく、例えば、炭酸カルシウムや合成シリカ等が使用可能である。インキ受理層3に用いられるバインダー樹脂としては、水溶性高分子、水溶性高分子エマルジョンが利用可能である。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩等が挙げられる。水溶性高分子エマルジョンとしては、スチレン・ブタジエン共重合体等のラテックスや、酢酸ビニル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。また必要に応じて、インキ受理層3に、ステアリン酸亜鉛、ワックス等の滑剤や、ヒンダードフェノール類等の添加剤を添加しても良い。
インキ受理層3の形成方法としては、まず、親水性顔料とバインダー樹脂、必要に応じて添加剤を水に分散混合して塗工液を作製する。この時、必要に応じて、ポリアクリル酸ソーダ、ヘキサメタクリル酸ソーダ、スルホン酸変性ポリビニルアルコール等の顔料分散剤や消泡剤、紫外線吸収剤、防腐剤等の各種添加剤を併用しても良い。
作製した塗工液を塗工機により、乾燥後の重量として1〜50g/m、好ましくは3〜10g/m塗布し、インキ受理層3を形成する。塗工機としては、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等の塗工装置を用いることができる。また、必要に応じ、キャレンダー等により平滑化処理を行っても良い。
感熱発色層4a、4b、4cは、それぞれ発色色相が異なり、グラビア印刷法により、インキ受理層3と一体的に形成されている。グラビア印刷法は図5で示すように、インキパン116、126、136の中の水分散感熱インキ115、125、135はグラビア版113、123、133により掻き揚げられる。余分な水分散感熱インキ115、125、135は、ドクターブレード114、124、134によりかき取られる。グラビア版113、123、133は、図6a〜図6cに示すように印刷送り方向に平行にグラビア版113、123、133のシリンダー118、128、138の1周にストライプ状に溝117、127、137が形成されている。この溝117、127、137内に各色の水分散感熱インキ115、125、135が入り込み、圧胴112、122、132と狭さまれ搬送されるインキ受理層3が設けられた基材2に転写され、各色調の感熱発色層4a、4b、4cは連続的にストライプ状に印刷される。グラビア版113、123、133は、線数175線で深さが40μmの腐食版で印刷した。線数や深さは、線数を小さくすればするほど、深さを深くするほど発色させたときの濃度は濃くなるが、「泳ぎ」が発生しやすく、濃度むらが発生しやすいので、発色濃度と濃度むらの両立できるグラビア版の線数や深さを選択する必要がある。ストライプ状に連続的に印刷することにより、印刷長手方向(プリンタの印字方向と一致)の感熱記録媒体1としての制限がなくなる。
感熱発色層4の印刷する順番は、色相の淡い色から順次印刷することが望ましい。これは、水系のインクを用いた場合、一般的にドクターブレードの摩耗が多い。ドクターブレードが摩耗すると、水分散感熱インキが本来印刷されないところに印刷されることになる。しかしながら、インキ受理層3に淡い色の水分散感熱インキが印刷された感熱発色層4上には、次に印刷される濃い色の水分散感熱インキがドクターブレードの不良により少し漏れたとしても、インキ受理層3では無いため混色は軽減する。
図1〜図3に示す青色感熱発色層4a、黒色感熱発色層4b、赤色感熱発色層4cの場合、赤色感熱発色層4cをグラビア印刷の第1の印刷ユニット110で印刷し、青色感熱発色層4aをグラビア印刷の第2の印刷ユニット120で印刷し、黒色感熱発色層4bをグラビア印刷の第3の印刷ユニット130で印刷する。
印刷物である感熱記録媒体1には図7に示すように、ストライプ状の各感熱発色層4が形成される。グラビア版の溝117a、bは感熱発色層119a、b、グラビア版の溝127a、bは、感熱発色層129a、b、グラビア版の溝137a、bは感熱発色層139a、bになる。
1つの基材上にストライプ状で形成された印刷物は、必要に応じて保護層5を設けた後、必要なサイズになるよう切断ライン150でスリッターにより分離し、必要な長さに巻かれて感熱記録媒体ロール10として完成する。切断ライン150は、感熱発色層129aと119b上である。このラインを切断することにより、感熱記録媒体1a、1b、1cに分離する。
同一の感熱記録媒体1を1つの基材から形成する場合、印刷法でストライプ状に部分的感熱発色層4a、4b、4cを印刷し、図8(a)で示すように、1つの基材2の原反から切断ライン150で切断し、複数の感熱記録媒体1を形成する場合、一般的に、隣合う感熱記録媒体1の感熱発色層4の間には、感熱発色層4の無い隙間部152を設けるので、隙間部152の無駄なエリアが発生する。
そこで、インキ受理層3が設けられた基材2上に、感熱発色層4a、4b、4cを印刷法でストライプ状に設ける。その際、図8(b)で示すように、隣合う感熱記録媒体1の感熱発色層4と共通で形成し、その共通の感熱発色層4上の切断ライン150で分離して感熱記録媒体1を作製する。共通の感熱発色層4は、例えば、全ての感熱発色層4が同じ幅で形成されるとすれば、共通の感熱発色層4は、2倍の幅で印刷する。
図8bで示すように、異なる色相の感熱発色層4a、4b、4cを左端から見ていくと、共通部は感熱発色層4a、感熱発色層4b、感熱発色層4c、感熱発色層4aと続く。その場合、感熱記録媒体1の感熱発色層4の順番は、左端から見ていくと、cba→acb→bacと変わり、
次の感熱記録媒体1でcbaと最初に戻る。このように、感熱発色層4の並びの異なる感熱記録媒体1が3種類できるが、図8(a)で示したように無駄なエリアは発生しない。
図8(b)のように複数の種類の感熱記録媒体1が不要で同一の感熱記録媒体1が複数必要な場合、図7のように、隣合う感熱記録媒体1の感熱発色層4(119a、119b、129a、129b、139a、139b、139c)の並びを交互にすると、感熱発色層4の順番は左右反転するだけで済む。この場合、サーマルプリンタでデータの転送方向を変えるだけで同一のパターンが印字できるので、図8(b)のように複数の感熱記録媒体1が不要な場合でも、同一の印字可能な感熱記録媒体1が得られる。具体的には、互いに隣合う感熱記録媒体1(例えば1aと1b)ではストライプ状の感熱発色層4の並びが逆になっている。例えば、感熱記録媒体1aは、下側に赤色の感熱発色層119a、真中に黒色の感熱発色層139a、上側に青色の感熱発色層129aであるが、隣合う感熱記録媒体1bは下側に青色の感熱発色層129a、真中に黒色の感熱発色層139b、上側に赤色の感熱発色層119bである。
また、感熱発色層4のパターンが限定されるが、感熱記録媒体1の幅方向の中心に異なる色調の感熱発色層4が対称的に印刷形成されている場合、隣合う感熱記録媒体1の共通に印刷された感熱発色層4の中心位置を分離することで、同時に同一の感熱記録媒体1が製造できる。
このように感熱発色層4上を分離することで、複数の感熱記録媒体1を製造するようにすると、ストライプ状に接する感熱発色層4の境界の箇所を減らすことができるため、先述したドクターブレードの摩耗による混色の発生確率を減らすことが可能になる。
基材2として紙を用い、通常のグラビア印刷機を用いて感熱発色層4を印刷する場合、水分散感熱インキを用いるので、基材2にしわが発生しやすい。通常のグラビア印刷機で使用してもしわが発生しない基材2の厚さとして坪量が90g/m以上必要で、より好ましくは100g/m以上の紙を用いる。
感熱発色層4a、4b、4cを、インキ受理層3中にインキ受理層3と一体的に形成することが「泳ぎ」を減少させることに繋がる。感熱発色層4a、4b、4cはそれぞれの発色色相が異なり電子受容性化合物、電子供与性化合物、バインダー樹脂を含有している。
ここでは、連続する基材2上に設けられたインキ受理層3に電子供与性化合物と電子受容性化合物を含有する水分散感熱インキを連続版によりストライプ状に形成する実施の形態に関して述べたが、インキ受理層3に電子受容性化合物を含有させ、少なくとも電子供与性化合物を含有する水分散インキを連続版によりストライプ状に形成した方が、「泳ぎ」
の防止により効果的である。
電子受容性化合物としては、例えば顕色剤が挙げられ、具体的には、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等の酸化物等が使用可能である。もちろん一種類の材料ではなく混合して用いても良い。
電子供与性化合物としては、例えばロイコ染料が挙げられ、具体的には、<黒系>:PSD−150、PSD−184、PSD−300、PSD−802、PSD−290(以上、日本曹達社製)、CP−101、BLACK−15、ODB、ODB2(以上、山本化成社製)、BLACK−100、S−205、BLACK−305、BLACK−500(以上、山田化学社製)、TH−107(以上、保土ヶ谷化学社製)、<青系>:CVL、BLUE−63、BLUE−502(以上、山本化成社製)、BLUE−220(以上、山田化学社製)、BLUE−3(以上、保土ヶ谷化学社製)、<赤系>:PSD−HR、PSD−P、PSD−O(以上、日本曹達社製)、Red−3、Red−40(以上、山本化成社製)、Red−500、Red−520(以上、山田化学社製)、Vermilion−DCF、Red−DCF(以上、保土ヶ谷化学社製)等の材料が使用可能である。また、一種類の材料ではなく複数のものを混合して用いても良い。
その他の色としては、<緑系>:PSD−3G(日本曹達社製)、ATP(山田化学社製)、Green−DCF(保土ヶ谷化学社製)、<黄系>:F. Color Yellow−17(山本化成社製)、<オレンジ系>:PSD−O(日本曹達社製)、Orange100(山田化学社製)等があり、これらの色以外の染料も使用可能である。
本実施の形態では、感熱発色層4a、4b、4cに青、赤、黒色を用いた例を説明したがこれに限るものではないが、多色の感熱記録媒体1においては、この組合せのバランスが良い。
バインダー樹脂としては、デンプン類、セルロース類、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂や、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル等の樹脂ラテックス等の樹脂が使用可能である。もちろん一種類の材料ではなく混合して用いても良い。
その他必要に応じて、ワックス類、ナフトール誘導体、ビフェニル誘導体、ポリエーテル誘導体、炭酸ジエステル誘導体等の増感剤や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、炭酸カルシウム等のヘッド磨耗防止剤、スティッキング防止剤等を使用することが可能である。
感熱発色層4a、4b、4cの形成方法としては、まず、顕色剤(電子受容性化合物)、ロイコ染料(電子供与性化合物)、バインダー樹脂、必要に応じて増感剤やヘッド磨耗防止剤、スティッキング防止剤等の顔料を水に分散混合して水分散感熱インキを作製する。この時、必要に応じて、スルホン酸変性ポリビニルアルコール等の変性樹脂や界面活性剤等の分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、防腐剤等の各種添加剤を併用しても良い。
増感剤は、使用する電子受容性化合物や感熱発色層4で使用する電子供与性化合物により、理想的な材料が異なるが、電子受容性化合物および電子供与性化合物の結合による発色する感度を向上させる材料である。例えば、大日本インキ化学社製のHS−3520などを使用することができる。
本実施の形態では、望ましくは感熱発色層4が10mm以上、感熱記録媒体1の幅に対して1/10以上の幅であると述べたが、用途等に応じて狭くても差し支えない場合があり、適宜寸法に関しては選択できる。
また、本実施の形態では、最終の感熱記録媒体1のサーマルプリンタ(図示せず)への適用のために感熱記録媒体ロール10に関して述べてきた。感熱記録媒体ロール10から図9で示すミシン目の加工により折状感熱記録媒体11に適合できる。この場合、通常の印刷法で形成した感熱記録媒体1であれば、1つの感熱記録媒体ロール10から、1つの長さの折状の感熱記録媒体11しかできないが、印刷長手方向が自由であるため、折状の長さを容易に変更可能である。
また、本実施の形態では、1つの感熱記録媒体1に色相の異なる感熱発色層4をそれぞれ1つづつのストライプ状について説明したが、少なくとも2種類の異なる色相の感熱発色層があれば、同一の色相の感熱発色層4が複数であってもよい。
以下に実施例を挙げて本発明の感熱記録媒体1の具体的な構成を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、重量部を表わす。
<実施例1>
◎インキ受理層の形成
・焼成カオリン(インキ受理層3の顔料) 100部
(白石カルシウム社製、商品名:カオカル)
・親水性シリカ(インキ受理層3の顔料) 11部
(東ソー・シリカ社製、商品名:Nipsil E−220A)
・分散剤:ポリアクリル酸ソーダ 1部
・水 280部
上記組成物をホモジナイザーで分散し、親水性シリカの顔料分散液を作製した。そしてこの顔料分散液に、
・スチレン・ブタジエン共重合ラテックス 55部
(JSR社製、48%SBR分散液)
・リン酸エステル化デンプン 37部
(日本食品化工社製、商品名:MS−4600、20%水溶液)
を加え、ホモジナイザーで分散混合し、インキ受理層3の塗工液を作製した。
この塗工液を重量90g/mの基材(上質紙)2に、マイクログラビアコーターで搬送速度50m/min、乾燥温度100℃で、乾燥後の重量が8g/mとなるように塗布乾燥することにより、インキ受理層3を基材2上に形成した。
◎感熱発色層の形成
・ロイコ染料分散液(固形分30%) 50部
青(CVL、山本化成社製)
黒(ODB−2、山本化成社製)
赤(Vermilion−DCF、保土谷化学社製)
ロイコ染料分散液は、水に分散剤としてゴーセランL−3266(日本合成化学工業社製)を5%用い、ロイコ染料をサンドミルで平均粒子径0.8μmになるように分散した。
・顕色剤分散液(固形分40%) 75部
(D−8、中京油脂社製、商品名:F−647)
・増感剤分散液(固形分30%) 100部
(HS−3520、大日本インキ化学社製)
増感剤分散液は、水に分散剤としてゴーセランL−3266(日本合成化学工業社製)を5%用い、増感剤をサンドミルで平均粒子径0.8μmになるように分散した。
・滑剤分散液(固形分30%) 32部
(ステアリン酸亜鉛、中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7−30)
・再結晶防止剤分散液(固形分35%) 20部
(DH43、中京油脂社製、商品名:ハイドリンF−165)
・炭酸カルシウム分散液(固形分30%) 50部
(カルライトーKT:白石カルシウム社製)
炭酸カルシウム分散液は、水に分散剤としてゴーセランL−3266(日本合成化学工業社製)を5%用い、炭酸カルシウムをサンドミルで平均粒子径0.8μmになるように分散した。
・PVA10%溶液 53部
(クラレ社製PVA110)
・界面活性剤(固形分10%) 33部
(アデカコールEC4500、旭電化社製)
・水 25部
上述した青、黒、赤の各ロイコ染料分散液に対し、上述した顕色剤分散液、増感剤分散液、滑剤分散液、再結晶防止剤分散液、炭酸カルシウム分散剤、PVA10%溶液、界面活性剤、水を混合することにより、発色色相が青、黒、赤と異なる水分散感熱インキを作製する。
各水分散感熱インキの粘度は、30〜40cps(東京計器社製、E型粘度計で測定)、表面張力は約30mN/m(クルス社製、K12−Mk5表面張力計で測定)以下に調整した。特に凹版による印刷は、インキの表面張力が大きいと印刷版にインキが入らないため、界面活性剤等でインキの表面張力を小さくする必要がある。
これらの水分散感熱インキをグラビア印刷機(グラビア印刷版150線、セル深さ40μmの腐食版)によりインキ受理層3上に印刷し、感熱記録媒体1の感熱発色層4を作製した。このときに使用するグラビア印刷版は線数が150線、セルの深さが40μmで、図6a〜図6cで示すような各色ストライプ状に連続的に印刷可能な腐食版を用いた。なお、印刷の条件としては乾燥温度80℃(乾燥長11m)、搬送速度50m/minで、印刷する順番としては、前述したように、赤色感熱発色層4c、青色感熱発色層4a、黒色感熱発色層4bである。図6a〜図6cで示すような各色ストライプ状に連続的に印刷可能な腐食版を用い、赤色感熱発色層119a、b、青色感熱発色層129a、b、黒色感熱発色層139a、b、cが順次印刷される。
このような順番で印刷することで、通常ドクターブレード114、124、134の摩耗が原因で発生する筋状の版かぶりによる感熱発色層4a、4b、4cの混色が、15000m〜20000m程度の印刷で生じていたが、20000m〜25000m程度の印刷まで、ストライプ状の感熱発色層4a、4b、4cに混色が発生せず、ドクターブレード114、124、134の交換回数を減らすことができる。これは、色相の淡い感熱発色層4が、版かぶりにより生じても、その量が少ない場合には、色相の濃い感熱発色層4がその上部に印刷されるので目立ちにくい。
また、後に印刷される色相の濃い感熱発色層4は、その隣接するエリアがインキ受理層3でなくストライプ状の感熱発色層4であるので、版かぶりによる色相の濃い水分散感熱インキが少量である場合、転写される量が少なくなり混色が目立ちにくい。
また、隣合う感熱記録媒体1のストライプ状のパターンが逆であり、1つの感熱発色層4が共通で印刷されるため(例えば感熱記録媒体1aと感熱記録媒体1bのストライプ状の順番が逆であり、1つの感熱発色層129aが共通に印刷される。)版かぶりによる混色する箇所が減少していることもドクターブレードの交換頻度を減らしている結果に繋がっていると思われる。
このようにして得られた感熱発色層4を印刷した感熱記録媒体1に保護層(OCA−5:日本化薬社製)を乾燥後の重量が1g/mとなるようにバーコーターを用いて塗布した。さらに、図10で示したように、切断ライン150をスリット加工により分離し、さらにキャレンダー加工して複数のストライプ状の感熱記録媒体1を得た。
実施例1の感熱記録媒体1を図10に示す。なお、実施例1の感熱記録媒体1は下記に示す通りである。
・全体のパターン :連続ストライプ状
・全体幅寸法 :100mm
・各感熱発色層の寸法:赤40mm、黒30mm、青30mm
・印刷順序 :赤→青→黒
このようにして得られた感熱記録媒体1は、連続のストライプ状の感熱発色層4a、4b、4cであるため、印刷方向に対して連続であるため、長さを可変に印字することができる。
また、切断ライン150を挟んでストライプ状のパターンを逆にすることにより、異なる色相の感熱発色層4の境界数を減らすことができる。また、淡い色から印刷することにより、ドクターブレードの交換時期を減らすことができる。
また、各感熱発色層4は印刷方向に対して垂直の方向(幅方向)の寸法が全体の1/10以上であり、1つの感熱発色層4が10mm以上であることから、視覚的にバランスがよく、特に黒色又は青色の感熱発色層4a、4bにバーコードを印字した場合の読取が良好である。
切断ライン150を挟んで、ストライプ状のパターンが逆であるため、この切断ラインで分離しながら必要な長さに巻き取り、感熱記録媒体ロール10を製造するときに、ストライプ状の感熱発色層4の配置を示すようなマークを感熱記録媒体1を巻き取る巻芯等に設けると便利である。
<実施例2>
図11で示すように、実施例2では、感熱記録媒体1の幅方向の寸法を50mmにし、各色の感熱発色層4a、4b、4cを下記に示すようにした以外は実施例1と同じである。
・全体のパターン :連続ストライプ状
(隣合う感熱記録媒体1のストライプ状の感熱発色層4は並びが逆
・全体幅寸法 :50mm
・各感熱発色層の寸法:赤20mm、黒20mm、青10mm
・印刷順序 :赤→青→黒
バーコードの読取りおよび異なる色相の感熱発色層4の寸法的バランスが良好であって、ドクターブレードの摩耗による混色等に関しても実施例1と同様な効果が得られた。
<実施例3>
図12で示すように、実施例3では、感熱記録媒体1の赤色感熱発色層4c層と黒色感熱発色層4bとは逆側に感熱発色層4dを青色感熱発色層4aと同時に印刷して形成した。感熱記録媒体1は、感熱発色層4d上と青色感熱発色層4aの切断ライン150を分離して形成したことと、感熱発色層4dを設けるため赤色感熱発色層4bの寸法を変更した以外は、実施例2と同じ。
・全体のパターン :連続ストライプ状
(隣合う感熱記録媒体1のストライプ状の感熱発色層4は並びが逆)
・全体幅寸法 :50mm
・各感熱発色層の寸法:青色5mm、赤20mm、黒15mm、青10mm、
・印刷順序 :赤→青(下線ライン用含む)→黒
感熱発色層4dを設けた以外は実施例2と同じであることから、青色、赤色、黒色の感熱発色層4a、4b、4cの効果は実施例2と同様である。感熱発色層4dは、バーコード等に利用できないが、ライン等に利用可能であり、10mm以下でも十分である。ドクターブレードの摩耗等による混色等に関しても実施例2と同様な効果が得られる。すなわち、感熱記録媒体1に同一の感熱発色層4が設けられても同じ効果が得られる。
<実施例4>
図13で示すように、実施例4では、実施例1の青色感熱発色層4aの代わりに、緑色感熱発色層4eにした。
緑色感熱発色層4eを得るために、ロイコ染料をCVLからGreen DCF(保土ヶ谷化学社製)を用いた以外は、実施例1と同じ。
・全体のパターン :連続ストライプ状
・全体幅寸法 :100mm
・各感熱発色層の寸法:赤40mm、黒30mm、緑30mm
・印刷順序 :赤→緑→黒
実施例1と比べ、青色の感熱発色層4aを緑色の感熱発色層4e以外同じであることから、バーコードの読取りおよび異なる色相の感熱発色層4の寸法的バランスが良好であって、ドクターブレードの摩耗等による混色等に関しても実施例1と同様な効果が得られる。
<実施例5>
図8(b)で示すように、実施例5では、青色の感熱発色層4a、黒色の感熱発色層4b、赤色の感熱発色層4cの並びは全ての感熱記録媒体1で同じであるが、感熱発色層4上を分離する切断ライン150が左側から感熱発色層4a、4b、4c、4a、4b、4c・・・と変わる。この切断ライン150で分離され、得られる感熱記録媒体1の感熱発色層4は、左側から4c4b4a、
4a4c4b、4b4a4c、4c4b4a・・・となる以外は実施例1と同じ。
・全体のパターン :連続ストライプ状
・全体幅寸法 :100mm
・各感熱発色層の寸法:赤40mm、黒30mm、緑30mm
・印刷順序 :赤→緑→黒
実施例1と比べ、得られる感熱記録媒体1のパターンが3種類1つの基材2から分離されるが、バーコードの読取りおよび異なる色相の感熱発色層4の寸法的バランスが良好であって、ドクターブレードの摩耗等による混色等に関しても実施例1と同様な効果が得られる。
この場合、異なる色相の感熱発色層4の配置が3種類できるので、感熱記録媒体1に分離した後、感熱発色層4を発色する前は見分けることが難しくなるので感熱記録媒体1の個別に分離し必要な長さに巻き取るときに、巻き取る巻き芯や巻き取りの最終部の感熱記録媒体1の表面又は裏面にマーク等を設け、感熱発色層4の配置を認識できるよう工夫すると便利である。
<比較例1>
図14で示すように、比較例4では、感熱記録媒体1に印刷不連続領域151が存在する。(非連続ストライプ状)それ以外は実施例1と同じ。
・全体のパターン :断続的ストライプ状
(隣合う感熱記録媒体1のストライプ状の感熱発色層4は並びが逆)
・全体幅寸法 :100mm
・各感熱発色層の寸法:赤40mm、黒30mm、青30mm、
・印刷順序 :赤→青→黒
不連続のストライプ状の感熱発色層4a、4b、4cであることから、長手方向に制限を受ける。それ以外は、実施例1と同じ性能である。
<比較例2>
図15で示すように、比較例2では、感熱記録媒体1の印刷時のストライプ状パターンを隣合う感熱記録媒体1と全く同じで、切断ライン150が感熱記録媒体1の感熱発色層4aと隣の感熱記録媒体1の感熱発色層4cの境界にあること以外は実施例1と同じ。
・全体のパターン :連続ストライプ状
(隣合う感熱記録媒体1と全く同一パターンで、スリット位置は、感熱発色層4aと感熱発色層4cの間の切断ライン150)
・全体幅寸法 :100mm
・各感熱発色層の寸法:赤40mm、黒30mm、青30mm、
・印刷順序 :赤→青→黒
バーコードの読取り、異なる色相の感熱発色層4の寸法的バランス、長手方向の自由度等は実施例1と同じであるが、実施例1と比べ、異なる色の感熱発色層4a、4b、4cの境界が多くなっていることから、早く混色が発生する。また、切断ライン150の分離に精度を要する。
<比較例3>
比較例3では、感熱記録媒体1の印刷する順番が異なる(印刷順序が逆)以外は実施例1と同じ。
・全体のパターン :連続ストライプ状
・全体幅寸法 :100mm
・各感熱発色層の寸法:赤40mm、黒30mm、青30mm、
・印刷順序 :黒→青→赤
バーコードの読取りおよび異なる色相の感熱発色層4の寸法的バランスは比較例2同様に、実施例1と同じ性能であるが、印刷の順番が異なることから、黒色の部分のドクターブレードが少しでも版かぶりが発生すると、隣合う感熱発色層4との混色が生じるため、ドクターブレードの交換頻度が実施例1よりも増える。
<比較例4>
比較例4は、図8(a)のようにストライプ状の異なる複数の色相からなる感熱記録媒体1を基材2上に複数印刷し、切断ライン150で分離するために、切断ライン150が、感熱発色層4を完全に逃げた基材2上の隙間部152に形成されている。この場合、実施例と隙間部152が存在しているため、無駄な基材2が必要でありコスト高になる。
これら、実施例1〜実施例4と比較例1〜比較例4および比較をまとめた結果を表1に示した。
表1で、ストライプ状の連続は連続版で印刷したサンプル、不連続は不連続領域151(図14に示す)が存在してしまう印刷法又は印刷版で印刷した場合のサンプルを示す。
ストライプ順とは、隣合う感熱記録媒体1のストライプの順番を示し、これが逆であれば、感熱発色層4の境界数を減らすことができ、ドクターブレードの交換時期を延ばすことができる。
印刷順は、淡い順に印刷すれば、淡い色が版かぶりを起こしても、濃い色の感熱層で上部を覆うことができれば混色も目立たなくできるので、ドクターブレードの交換時期を延ばすことができる。
切断位置とは切断ライン150の位置を意味し、実施例では感熱発色上、比較例2では感熱発色層4と隣合う感熱発色層4の間、比較例4では、基材2上の隙間部である。
印刷順とは、感熱発色層4を印刷する色相の順番を意味している。淡い順とは、濃度の薄い色から濃度の濃い方へ印刷するという意味である。
印字長自由度とは、サーマルプリンタで、印字する際の感熱記録媒体送り方向の長さの自由度を意味する。
ブレード交換時期とは、グラビア印刷のドクターブレードの交換時期を意味する。
切断精度の必要性とは、スリッターによる切断に通常よりも精度を要するかどうかを意味する。通常印刷後巻取り必要な幅に切断するため、〜1mm程度の誤差が生じるが、これを許容できるかどうかである。
総合評価とは、上記判断項目をどの程度満足するかを○△×で示したものである。
比較した結果から、実施例1から実施例5は比較例1から比較例4に比べて、印字長自由度(○:自由設定可能、×:長さ制限あり)、ブレード交換時期(○:20000m以上で混色のため交換、△:20000m以下で混色のため交換)切断精度の必要性(不要、必要で判断)、総合評価(実施例1を○として、印字長の自由度、ドクターブレードの寿命時期、切断精度の制約とから△、×と主観的に判断した)で優れることがわかる。
今回の実施例および比較例では基材2に90g/mの上質紙を使用したが、これよりも坪量の少ない基材2を用いると、感熱発色層4を形成後、乾燥させる工程でしわが発生しやすくなるという問題が発生する。
通常印刷工程には、水蒸気を裏側から当てることにより、しわの発生を防止するための「浸し水」装置がない。通常の印刷工程でしわが発生せずに安定した品質を得るには、坪量90g/m程度の厚さが必要である。より好ましくは100g/m程度以上であるが、厚くすると基材2のコストが高くなるので、しわが発生しない下限で用いることが望ましく、100g/m程度が最適と言える。
今回の実施例および比較例ではグラビア印刷法を用いたが、これに限るものでなく、他の印刷法でも固形分30%程度の水系感熱分散インキが印刷可能であり、かつ、連続的に印刷可能であれば使用可能である。
本発明の一実施の形態の感熱記録媒体を示す平面図である。 図1における断面図である。 感熱記録媒体への印字例を示す平面図である。 本発明の感熱記録媒体ロールを示す概念図である。 本発明の感熱記録媒体ロールを製造するための工程の模式図である。 本発明の感熱記録媒体ロール製造に使用する印刷版の模式図である。 本発明の感熱記録媒体の平面図である。 本発明の感熱記録媒体の説明のための、一般技術例(a)および本発明実施例5の変形例(b)を表す平面図である。 本発明の感熱記録媒体の変形例(折状)を表す、斜視図および側面図である。 本発明感熱記録媒体の実施例1を表す平面図である。 本発明感熱記録媒体の実施例2を表す平面図である。 本発明感熱記録媒体の実施例3を表す平面図である。 本発明感熱記録媒体の実施例4を表す平面図である。 感熱記録媒体の比較例1を表す平面図である。 感熱記録媒体の比較例2を表す平面図である。 従来の多色の感熱記録媒体を示す平面図である。 従来の感熱記録媒体の課題(泳ぎ)を示す画像である。
符号の説明
1 感熱記録媒体
2 基材
3 インキ受理層
4a、4b、4c 感熱発色層
5 保護層
10 感熱記録媒体ロール
11 折状の感熱記録媒体
100 グラビア印刷機
101 基材の巻き出しロール
102 基材の巻き取りロール
110 第1の印刷ユニット
120 第2の印刷ユニット
130 第3の印刷ユニット
111、121、131 熱風乾燥装置
112、122、132 圧胴
113、123、133 グラビア印刷版
114、124、134 ドクターブレード
115、125、135 水分散感熱インキ
116、126、136 インキパッド
117、127、137 各色のグラビア版の溝部
118、128、138 各版のシリンダ
119、129、139 各色の感熱発色層
150 切断ライン
151 印刷不連続領域
152 隙間部

Claims (8)

  1. 基材上に印刷版を用いた印刷法により少なくとも2つ以上の異なる色相で発色するn個(nは2以上)の感熱発色層が長手方向に連続的に形成されたロール状の感熱記録媒体の製造方法において、
    前記基材上にインキ受理層を設ける工程と、
    前記基材の長手方向に対して連続的かつ幅方向に少なくともm個(mは2以上)の前記感熱記録媒体を形成するために、1番目の色相からn番目の色相まで順次配列されたn個の長手方向に平行なストライプ状であり、少なくとも電子供与性化合物と電子受容性化合物を含有する水分散感熱インキを前記インキ受理層に印刷して一体的に形成された前記感熱発色層を複数形成する印刷工程と、
    前記n番目の色相の感熱発色層上を長手方向に沿ってカットすることによりm個の前記感熱記録媒体に分割する工程と、
    を有することを特徴とする感熱記録媒体の製造方法。
  2. 前記印刷工程は、n個の前記感熱発色層が1番目からn番目に順次配置された前記感熱記録媒体と隣接する前記感熱記録媒体の前記感熱発色層はn番目から1番目に逆に順次配置され、互いに前記隣接する前記感熱記録媒体のストライプ状の前記感熱発色層は共通感熱発色層として形成し、
    前記共通感熱発色層上を分割することを特徴とする請求項記載の感熱記録媒体の製造方法。
  3. 前記インキ受理層は電子受容性化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の感熱記録媒体の製造方法。
  4. 前記感熱発色層は異なる3色以上の色相で発色するとを特徴とする請求項1乃至3記載の感熱記録媒体の製造方法
  5. 前記感熱発色層は少なくとも赤系色および黒色で発色する層を有していることを特徴とする請求項4記載の感熱記録媒体の製造方法
  6. 前記感熱発色層は少なくとも青系色で発色する層を有していることを特徴とする請求項4または請求項5記載の感熱記録媒体の製造方法
  7. 前記赤系色の感熱発色層が他の異なる色相の前記感熱発色層よりも幅が広く設けられたことを特徴とする請求項5記載の感熱記録媒体の製造方法
  8. 前記基材の厚さが90g/m以上であることを特徴とする請求項乃至請求項記載の感熱記録媒体の製造方法。
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