JP4408231B2 - 硬質積層皮膜および硬質積層皮膜の形成方法 - Google Patents

硬質積層皮膜および硬質積層皮膜の形成方法 Download PDF

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本発明は、耐摩耗性や耐酸化性に優れた硬質積層皮膜および硬質積層皮膜の形成方法に関するものである。
近年、切削工具や自動車向け摺動部材などの、耐摩耗性改善のニーズが高まっており、これらの部材表面に使用されていた耐摩耗性皮膜の改善が検討されている。
この耐摩耗性皮膜としては、従来から、TiN やTiCN、TiとAlの複合窒化皮膜であるTiAlN 等の硬質皮膜を、前記基材上(部材上)にコーティングすることが行われている。
これら耐摩耗性皮膜の耐摩耗性改善は、これまで、主として、第3元素を添加して、皮膜の結晶粒子を微細化し、特性を改善する試みがなされてきた。例えば、切削工具の場合には、TiAlN 皮膜にSiやB を添加することで、耐酸化性が向上すると共に結晶粒子の微細化により高硬度化することが報告されている(特許文献1、2参照)。また、自動車のピストンリングを代表として摺動部材に使用されているCrN 膜にB を添加して、高硬度化することにより耐摩耗性を改善する方法も提案されている(特許文献3参照)。
更に、従来の硬質皮膜への元素添加により特性改善を目的として、アークおよびスパッタ蒸発源を有する装置にてTiN をアーク蒸発源で成膜しながら、スパッタでSiを添加し、TiSiN 膜を形成することで硬度を増加させるなどの特性改善が試みられている例もある(非特許文献1参照)。
特開平7-310174号公報 (請求項) 特許2793696 号公報 (請求項) 特開2000-144391 号公報 (請求項) K.H.Kim et al.Surf.Coat.Technol.298(2002) 243 〜244 、247 頁
また、高硬度であって耐摩耗性に優れた切削工具用硬質皮膜として、結晶構造が岩塩構造型を主体とするものを好ましい形態とする硬質皮膜も提案されている(特許文献4 、5 、6 、7 参照)。これらの硬質皮膜組成は、例えば、(Tia ,Alb ,Vc) (C1-dNd)、但し、0.02≦a≦0.3、0.5<b≦0.8、0.05<c、0.7≦b+c、a+b+c=1、0.5≦d≦1(a,b,cはそれぞれTi,Al,V の原子比を示し、dはN の原子比を示す)などからなる。
一般に岩塩構造型の硬質皮膜はθ−2θ法によるX線回折で測定できる。例えば、(TiAlV)(CN) などの硬質皮膜は、岩塩構造型の結晶構造を有し、岩塩構造型のTi NのTiのサイトにAl、V が置換して入った岩塩構造型の複合窒化物を構成する。この場合、岩塩構造型のAl N(格子定数4.12Å)は、高温高圧相であり、高硬度物質であるから、岩塩構造を維持しながら(TiAlV)(CN) 中のAlの比率を高めれば、(TiAlV)(CN) 膜の硬度をさらに高めることができる。
特開2003- 34858 号公報 (請求項) 特開2003- 34859 号公報 (請求項) 特開2003-71610号公報 (請求項) 特開2003-71611号公報 (請求項)
これら従来の方法や手段にて形成した硬質皮膜は、ますます要求が過酷になる切削工具や摺動部品に対しては十分な性能を有しているとは言えず、更なる耐摩耗性などの耐久性改善が求められている。
例えば、前記した耐摩耗性皮膜中にSiやB などの元素を添加して、皮膜の結晶粒子を微細化する方法では、結晶粒子の微細化の度合いは元素の添加量によって定まり、添加量を変化させることでのみ皮膜の粒子径の制御が可能である。従って、異なる粒子径の皮膜を作製するためには、元素の添加量を変化させたターゲットを複数個作製する必要が生じる。このため、目的に合わせた粒子径のサンプル、即ち、目的に合わせた特性を有する皮膜を作成するのは極めて煩雑となる実用的な問題があり、実際に得られる硬質皮膜の耐摩耗性向上には限界がある。
また、前記した結晶構造が岩塩構造型を主体とする硬質皮膜においても、成膜条件によって、岩塩構造型硬質皮膜の結晶粒子径 (以下、結晶粒径とも言う) が粗大となった場合、高硬度化による耐摩耗性向上には限界がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、耐摩耗性や耐酸化性に優れた硬質積層皮膜および硬質積層皮膜の形成方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するための、本発明硬質積層皮膜の要旨は、特定組成からなる層A と層B とを、層A と層B との組成が互いに異なるように交互に積層した硬質積層皮膜であって、層A は、次式1 または2 の、いずれかの組成からなり、
式1:(Ti1-x-y Al x M y )(B a C b N1-a-b-c O c ) [但し、Tiを原子比で少なくとも0.1 含有し、x 、y 、a 、b 、c は各々原子比を示し、0.4 ≦x ≦0.8 、0 ≦y ≦0.6 、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1 、また、M はCr、V 、Si、Zr、Nb、Taの1種以上より選ばれる金属元素] 、
式2:(Cr1- α Xα)(B a C b N1-a-b-c O c )e [ 但し、α、a 、b 、c 、e は各々原子比を示し、0 ≦α≦0.9 、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1 、0.2 ≦e ≦1.1 、また、X はTi、Al、Siのいずれか1種以上より選ばれる金属元素] 、
層B は次式3 の組成からなり、
式3:M(B a C b N1-a-b-c O c ) [但し、M はW 、Mo、V 、Nbのいずれか1種以上より選ばれる金属元素、a 、b 、c は各々原子比を示し、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1]、
かつ、一層当たりの層A の厚みが一層当たりの層B の厚みの2 倍以上であって、一層当たりの層B の厚みが0.5nm 以上で、一層当たりの層A の厚みが200nm 以下であることとする。
また、上記目的を達成するための、本発明の硬質積層皮膜の形成方法の要旨は、上記硬質積層皮膜を形成する方法であって、アーク蒸発源とスパッタ蒸発源とを同一真空容器内に各々1台以上備えられた成膜装置を用い、反応ガスを含む成膜雰囲気中で、アーク蒸発源とスパッタ蒸発源とを同時に作動させることで、アーク蒸発源より層A の成分を、また、スパッタ蒸発源より層B の成分を各々蒸発させるとともに、基板を前記各蒸発源に対して相対的に移動させて、基板上に層A と層B とを交互に積層することである。
本発明においては、上記要旨のように、硬質皮膜を、特定組成からなる層A と層B とを組み合わせ、これら層A と層B との組成が互いに異なるように交互に積層した積層構造とする。
また、これら互いに積層する、層A を上記式1 の(TiAlM)(BCNO) 系か、上記式2 の(CrX)(BCNO) 系のの特定の組成からなるものとし、層B を上記式3 のM(BCNO) 系の特定の組成とする。
これによって、例えば、層A のような単一の組成からなる硬質皮膜や、層A の積層からなる硬質皮膜に比して、耐摩耗性や耐酸化性を大幅に向上させることができる。
先ず、本発明硬質積層皮膜の要件について、以下に実施態様を説明する。
(層A の成分組成)
本発明硬質積層皮膜の主相である層A の成分組成は、特に、切削工具などの摺動部分が高温になる用途に対して、高い酸化性を有することが必要である。また、層A には硬質皮膜に要求される高硬度、耐摩耗性などの基本特性を有することが必要である。このために、層A の成分組成としては、Ti系かCr系の、特定組成の化合物から選択される。
(Ti系化合物)
この内、Ti系の層A は次式1 の組成からなるものとする。
式1:(Ti1-x-y Al x M y )(B a C b N1-a-b-c O c ) [但し、Tiを原子比で少なくとも0.1 含有し、x 、y 、a 、b 、c は各々原子比を示し、0.4 ≦x ≦0.8 、0 ≦y ≦0.6 、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1 、また、M はCr、V 、Si、Zr、Nb、Taの1種以上より選ばれる金属元素] 、
なお、上記式1 において、(TiAlM) と(BCNO)との原子比、言い換えると、金属元素グループと非金属元素グループとの二つの括弧同士の原子比は、通常は1:1 であるが、必ずしも1:1 の場合のみに限定されない。下記のように例示する、実際に成膜されるTi系化合物では、成膜条件の違いなどにもより、(TiAlM) と(BCNO)との原子比は、当然、1:1 の場合のみには限らず、例えば、0.8 〜1.2:0.8 〜1.2 などの振れ幅を有している。したがって、上記式1 において、(TiAlM) と(BCNO)との原子比、金属元素グループと非金属元素グループとの原子比は、これらの実際に成膜されるTi系化合物の原子比の振れ幅を当然許容するものである。
この層A の成分組成の内、先ず、Tiの窒化物、炭窒化物、硼窒化物、炭硼窒化物は、TiAlN 、TiAlCrN 、TiAlVN、TiAlNbN 、TiAlBN、TiAlCrCN、などのTi系化合物に代表されるように、硬質皮膜として、高硬度、高耐摩耗性などの特性を有しており、本発明の層A 部分のベースとなる成分として最適である。
(Al)
このTi系成分に対し、上記成分組成式の通り、Alを含むことによって、層A の硬度と耐酸化性とが向上する。この効果は、Alを原子比x で0.4〜0.8の範囲 (前記0.4 ≦x ≦0.8 の範囲) 、好ましくは0.5〜0.8の範囲(0.5≦x ≦0.8 の範囲) で含む時に特に大きく発揮される。一方、Alを含んでも、この成分範囲から外れる場合には、硬度と耐酸化性の向上効果が無いか小さく、Alを含む意味が無い。
(金属元素M)
上記成分組成式の通り、更に、Mで表される、Cr、V 、Si、Zr、Nb、Taのいずれか1種以上より選択される金属元素を選択的に含有する場合には、更に層A の硬度、耐酸化性が改善される。この効果は、金属元素Mを原子比y で0.6 以下 (前記0 ≦y ≦0.6 の範囲) で含む時に特に大きく発揮される。この理由は、Mを原子比で0.6を超えて含有する場合、ベースとなるTi、Alの合計含有量が原子比で0.4未満となり、層A の硬度、耐酸化性ともに、却って低下するからである。
また、上記効果を発揮する金属元素Mとして好ましいのは、Cr、V 、Siの1種以上からなる組み合わせであり、効果を発揮する好適な含有範囲は、原子比で0.06〜0.6の範囲、より好ましくは0.1〜0.3の範囲である。
(非金属元素)
上記層A の成分組成式のB、C 、N から選ばれる非金属元素の内、窒素 (N)は、窒化物、炭窒化物、硼窒化物、炭硼窒化物を形成するために必須である。この窒素の含有量は、他の選択的に含有されるB、C の含有量 (上記成分組成式中のa やb の値) や、あるいはOの含有量 (上記成分組成式中のc の値) によって、上記層A の成分組成式の通り、N1-a-b-cと規定される。
硼素 (B) は硼窒化物、炭硼窒化物を形成するために選択的に含有される。ただ、含有する場合でも、過度に添加すると軟質なB化合物が析出して、層A の硬度、耐酸化性ともに低下させる。このため、原子比a で上限を0.15 (前記0 ≦a ≦0.15) 、好ましくは上限を0.1以下 ( 0≦a ≦0.1)とする。
炭素(C)は炭化物、炭窒化物を形成するために選択的に含有される。ただ、含有する場合でも、過度に添加すると層A の軟質化に繋がり、層A の硬度、耐酸化性ともに低下させる。このため、原子比b で上限を0.3 (前記0 ≦b ≦0.3 ) 、好ましくは上限を0.2以下 (前記0 ≦b ≦0.2 ) とする。
また、酸素(O)に関しては、微量の含有により、層A の硬度増加が図れる場合もあるが、原子比c で0.1を超えて含有すると、皮膜中に占める酸化物の割合が多くなり、皮膜の靭性が損なわれる。このことから、上限を0.1以下 (前記0 ≦c ≦0.1)とする。
(Cr 系化合物)
また、Cr系の層A は次式2 の組成からなるものとする。
式2 :(Cr1-α Xα)(B a C b N1-a-b-c O c )e [ 但し、α、a 、b 、c 、e は各々原子比を示し、0 ≦α≦0.9 、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1 、0.2 ≦e ≦1.1 、また、X はTi、Al、Siのいずれか1種以上より選ばれる金属元素]
層A のCr系成分組成の内、Crの窒化物、炭窒化物、硼窒化物、炭硼窒化物も、CrN 、Cr2N、CrSiN 、CrAlN 、CrBN、CrSiBN、などのCr系化合物に代表されるように、硬質皮膜として、高硬度、高耐摩耗性などの特性を有しており、本発明の層A 部分のベースとなる成分として最適である。
このCr系成分組成は、Cr量が少ない場合には、Ti系成分組成に比して、硬度は低い。しかし、摺動部材に使用された場合、Ti系成分組成に比して、相手材に対する攻撃性が低い特徴があり、摺動部材に好適である。また、Cr量が少ない場合でも、添加元素によっては高硬度が得られ、切削工具にも好適である。
(添加元素X)
この高硬度化のための添加元素X は、Ti、Zr、Hf、V 、Nb、Ta、Mo、W 、Al、Siから選択される特定の金属元素である。これらの金属元素X を、原子比αで0.9 以下 (前記0 ≦α≦0.9 の範囲) で含む時に特に大きく発揮される。この理由は、金属元素X を原子比で0.9 を超えて含有する場合、ベースとなるCrの含有量が原子比で0.1 未満となり、層A の硬度、耐酸化性ともに、却って低下するからである。
特に、摺動部材に使用する場合には、Cr量が少ないと、相手材に対する攻撃性が増すために、ある程度のCr量の確保が必要である。このため、摺動部材に使用する場合には、好適には上記原子比αを0.5 以下、より好ましくは0.3 以下として、Cr量を確保する。また、切削工具に使用する場合には、逆に、好適には上記原子比αを0.5 以上、より好ましくは0.7 以上として、硬度を高める。
(非金属元素)
上記層A の成分組成式のB 、C 、N から選ばれる非金属元素の規定の数値および意味は、前記したTi系化合物と同じである。但し、前記3 式中の(B a C b N1-a-b-c O c ) e の原子比e については、0.2 〜1.1 ( 前記0.2 ≦e ≦1.1)の範囲とする。e が0.2 未満では、B 、C 、N から選ばれる非金属元素量が不足し、層A の硬度、耐酸化性ともに低下する。一方、e が1.1 を超えても、Crや Xなどの金属元素が不足し、層A の硬度、耐酸化性ともに、却って低下する。
(層B の成分組成)
層B は、層A が有しない高温での潤滑性などの特性を付与する、あるいは耐酸化性など層A の特性をより改善させる役割を基本的に有している。このような特性は、層B が次式3 の組成からなる際に発揮される。
式3:M(B a C b N1-a-b-c O c ) [但し、M はW 、Mo、V 、Nbのいずれか1種以上より選ばれる金属元素、a 、b 、c は各々原子比を示し、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1]、
なお、上記式3 において、M と(BCNO)との原子比、言い換えると、金属元素M と非金属元素グループとの二つの括弧同士の原子比は、通常は1:1 であるが、必ずしも1:1 の場合のみに限定されないのは、上記式1 の場合と同様である。したがって、金属元素M と非金属元素グループとの二つの括弧同士の原子比は、0.8 〜1.2:0.8 〜1.2 などの振れ幅を許容するものである。
上記式3 の組成式で表される化合物は、前記した層A のTi系かCr系の特定組成の化合物とは異なる結晶構造を有している。このため、硬質積層皮膜の硬度を著しく増加させるなど、層A の特性を向上させることが出来る。
即ち、前記した層A の化合物は、通常は立方晶岩塩型結晶構造を有し、元素の含有量にもよるが、0.41〜0.43nm程度の格子定数を有する。これに対して、上記式3 の組成式で表されるW 、Mo、V 、Nbを含む化合物は、0.44nm以上の比較的大きな格子定数を有する。このため、これらの化合物を層B として、前記した層A の化合物と積層 (成膜) する際に、層A と層B との界面に大きな歪みが導入される。この結果、皮膜使用時に、皮膜外部より変形が加わり、皮膜のクラックなどが皮膜の上下 (厚み方向) に走った場合においても、前記界面の歪みにより、皮膜のクラックが、その部分で阻止される確率が高い。このため、前記した通り、層A の硬度や耐久性などの特性を向上させるものと推考される。
上記式3 の組成式で表される化合物の内、W 、Mo、Nbを含む化合物は、層A と積層した場合、層A の耐酸化性を向上させることができる。W 、Mo、Nbを含む化合物は、単体での酸化開始温度は、600 〜700 ℃と低い。しかし、層B の2 倍以上の厚みを有する層A と積層した場合、層A 中に含まれる、Ti、Al、Crなどが形成する酸化膜中に、上記W 、Mo、Nbの元素が拡散して、前記酸化膜を緻密化し、結果、層A の耐酸化性を向上させる。
上記式3 の組成式で表される化合物の内、V を含む化合物は、層A の耐酸化性は向上させないが、層A の高温での潤滑性を向上させることができる。V は高温で軟質な酸化物(V2O5 等) を形成し、この酸化物が層A の高温での潤滑性を向上させる。
上記式3 の組成式において、これらW 、Mo、V 、Nbを2 種以上含む場合には、上記した効果を発揮させるために必要な組成比率を適宜選択すれば良い。
上記式3 の組成式における(B a C b N1-a-b-c O c ) の非金属元素の規定の数値および意味は、前記したA 層の場合と同じである。即ち、窒素 (N)は、窒化物、炭窒化物、硼窒化物、炭硼窒化物を形成するために必須である。この窒素の含有量は、他の選択的に含有されるB、C の含有量 (上記成分組成式中のa やb の値) や、あるいはO の含有量 (上記成分組成式中のc の値) によって、上記層B の成分組成式の通り、N1-a-b-cと規定される。
硼素は硼窒化物、炭硼窒化物を形成するために選択的に含有される。ただ、含有する場合でも、過度に添加すると軟質なB化合物が析出して、層B 、ひいてはA の硬度、耐酸化性ともに低下させる。このため、原子比a で上限を0.15 (前記0 ≦a ≦0.15) 、好ましくは上限を0.1以下 ( 0≦a ≦0.1)とする。
炭素(C)は炭化物、炭窒化物を形成するために選択的に含有される。ただ、含有する場合でも、過度に添加すると層B 、ひいては層A の軟質化に繋がり、皮膜の硬度、耐酸化性ともに低下させる。このため、原子比b で上限を0.3 (前記0 ≦b ≦0.3 ) 、好ましくは上限を0.2以下 (0 ≦b ≦0.2 ) とする。
また、酸素(O)に関しては、微量の含有により、層B 、ひいては層A の硬度増加が図れる場合もあるが、原子比c で0.1を超えて含有すると、皮膜中に占める酸化物の割合が多くなり、皮膜の靭性が損なわれる。このことから、上限を0.1以下 (前記0 ≦c ≦0.1)とする。
(層B の金属元素M の別の金属元素M1による置換)
前記層B の組成式3 において、金属元素M を、Ti、Siの1種以上より選ばれる金属元素M1で、置換しても良い。これは、金属元素M の効果を阻害しない範囲で、金属元素M1の含有を許容する意味と、金属元素M1を含有させることによって、金属元素M との組み合わせによっては、層B に選択する金属元素M1の性質を付加あるいは層B の (ひいては層A や皮膜の) 性能を向上させることができる意味がある。
例えば、金属元素M としてW 、Mo、V を、金属元素M1としてTi、Siのいずれかで置換することによって、皮膜硬度を向上できる。
これら置換する場合の量的割合は、M1-bM1 bにおいて、原子比b を0.3 以下( 前記0 <b ≦0.3)の範囲とする。金属元素M1が原子比b で0.3 を超えて置換された場合、却って、金属元素M である、W 、Mo、Nb、V の、層A の硬度や耐久性向上効果、W 、Mo、Nbの前記耐酸化性向上効果や、Nbの前記高温潤滑性向上効果を阻害する。
(硬質積層皮膜の厚み)
本発明硬質積層皮膜全体の膜厚は、切削工具、摺動部品などの用途によって、その必要性は異なる。切削工具の場合には概ね1〜5μm程度、摺動部材の場合には3〜50μm程度が目安である。したがって、これらの硬質積層皮膜の厚みになるように、以下に述べる基準で、層A 、Bの厚みを各々決定後、積層数を変化させることで、膜厚を制御すればよい。
(層A の膜厚と層B の膜厚との関係)
本発明硬質積層皮膜において、一層当たりの層A の厚みは、一層当たりの層B の厚みの2 倍以上とする。本発明硬質積層皮膜の主相である層A は、本発明硬質積層皮膜に要求される、高硬度、耐摩耗性、高酸化性などの特性を主として規定する。層A が層B の厚みの2倍未満の薄い厚みとなった場合、層B の特性が硬質積層皮膜の特性において支配的になり、前記要求特性を満たさなくなる。このため、層A の厚みを層B の厚みの2倍以上とする。
(層A の膜厚)
一層当たりの層A の厚み (膜厚) は200nm 以下、好ましくは100nm 以下、より好ましくは50nm以下とする。一層当たりの層A の厚みが200nm 未満など、これら上限を超えて厚くなった場合、積層膜としての複合効果が無く、層B を設けないで層A のみを積層して成膜する場合と大差なくなる。この結果、層A 単独の性質が発現されるのみとなり、層A の特性を層B が補完することは出来ない。
一方、一層当たりの層A の厚みは2nm 以上とすることが好ましい。層A の厚みが2 nm未満では、層A の積層数を増しても、硬質積層皮膜として層A の特性を確保できない可能性がある。
(層B の膜厚)
一層当たりの層B の厚みは0.5nm 以上、好ましくは1nm 以上とする。層B の厚みは層A の厚みによっても変化するが、0.5nm 未満など、これらの下限未満の厚みの場合、層B を設けないで層A のみを積層して成膜する場合と大差なくなる。この結果、層A 単独の性質が発現されるのみとなり、層A の特性を層B が補完することは出来ない。
一方、一層当たりの層B の厚みの上限は、層A の厚みの1/2 以下とすることが好ましい。層B の厚みが層A の厚みの1/2 を超えた場合、層A の厚みを薄くした場合に、硬質積層皮膜全体の特性が大きく層B に影響され、層A の特性が発揮されにくくなる可能性がある。
(層A と層B との積層態様)
本発明硬質積層皮膜の層の構成としては、基本的には、層A と層B との組成を互いに異なるものとすれば、層A/層B/層A/層B なる、層A と層B との交互の積層(層A/層B )を一つの単位として、この単位を複数(多数)繰り返しての積層(多層化)が好ましい。ただ、層A/層A/層B/層B あるいは層A/層B/層B/層A 、層B/層B/層A/層A 、層B/層A/層A/層B 、などを一つの単位として、これらの単位を各々組み合わせて、交互に積層を行っても良い。なお、これら積層する層A 同士や層B 同士を、必ずしも同じ組成とする必要は無い。即ち、本発明範囲内で、目的に応じて、積層する層A 同士や層B 同士の組成を、例えば、層A1/ 層B1/ 層A2/ 層B2のように、互いに異ならせて良い。また、これら単位の積層数は、前記した目的とする硬質積層皮膜の厚みに合わせて、20〜1000など任意の積層数が選択できる。
(硬質積層皮膜の成膜方法)
次に、以上説明した本発明硬質積層皮膜の好ましい形成方法 (成膜方法) について、以下に説明する。
本発明の硬質積層皮膜の他の形成方法としては、例えば、図2 に示すように、複数のスパッタリング蒸発源2 、3 を組み合わせて、基板1 上に、各層A とB とを各々形成する方法がある。この場合、例えば、スパッタリング蒸発源2 からの蒸発物2aとして層A 成分を、スパッタリング蒸発源3 からの蒸発物3bとして層B 成分を、基板1 上に蒸着する。
また、図3 に示すように、複数の電子ビーム蒸発源5 、6 を用いて、基板1 上に、各層A とB とを各々形成する方法がある。形成する方法等がある。この場合、例えば、電子ビーム7 による電子ビーム蒸発源5 からの蒸発物5aとしてA 成分を、電子ビーム7 による電子ビーム蒸発源6 からの蒸発物6bとして層B 成分を、基板1 上に蒸着する。
ただ、本発明では、後述する図1に示すように、アーク蒸発源とスパッタ蒸発源とを同一真空容器内に各々1台以上備えられた成膜装置を用い、反応ガスを含む成膜雰囲気中で、アーク蒸発源とスパッタ蒸発源とを同時に作動させることで、アーク蒸発源より層A の成分を、また、スパッタ蒸発源より層B の成分を各々蒸発させるとともに、基板を前記各蒸発源に対して相対的に移動させて、基板上に層A と層B とを交互に積層する方法が最も好ましい。
その理由の一つは、スパッタリング法の成膜レートの遅さによる。前記した複数のスパッタリング蒸発源のみを用いて、基板上に層A とB とを各々形成する場合、各層A とB との厚みは各々のスパッタリング蒸発源の作動時間あるいは前面にあるシャッターを用いて成膜時間を制御することにより可能である。しかし、スパッタリング法では成膜レートが遅いため、層B の2 倍以上の膜厚が必要な層A を形成するのに時間がかかり、効率的とは言えない。
また、層B は、前記式3 の組成のように、W 、Mo、V 、Nbを含み、これらの元素を主体とするターゲットは高融点であり、アーク放電では、電圧の上昇により放電が不安定になる可能性がある。この点からも、層B の成膜をスパッタリング蒸発源により行い、層A の成膜をアーク蒸発源により行なうことが好ましい。
また、前記した電子ビームのみを用いて、基板上に層A とB とを各々形成する場合には、電子ビーム蒸発原5 、6 (坩堝) 中の蒸発材料の残量により、蒸発レートが変化するために、各々の層A とB との膜厚制御が困難である。
これに対して、図1 に示すアーク蒸発源とスパッタ蒸発源とを同一真空容器内に各々1台以上備えられた成膜装置では、チャンバ8 内に、基板1 を複数個( 図5 では4 個対称に) 回転盤9 上に配置し、その周囲に円周状(円周上)に、スパッタリング蒸発源2 、3 とアーク蒸発源5 、6 とを、スパッタリング蒸発源2 、3 同士、アーク蒸発源5 、6 同士、各々対向して配置している。そして、スパッタリング蒸発源とアーク蒸発源とは、互いに隣り合うように交互に配置されている。なお、各蒸発源の配列数は自由に選択できる。
そして、回転盤9 の回転により、各基板1 を回動させて、基板1 が交互にアーク蒸発源5 、6 とスパッタリング蒸発源2 、3 の前を通過するようにしている。この場合、回転盤9 や基板1 の方を回転させずに、アーク蒸発源5 、6 とスパッタリング蒸発源2 、3 の方を、基板1 の回りを回転するようにしても良く、要は、成膜する基板を、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源との間で、順次相対的に移動させる手段を有していれば良い。
また、他の態様として、スパッタリング蒸発源2 、3 とアーク蒸発源5 、6 とを、チャンバ8 内に、円周状には配置せず、直線状など直列的に交互に配列し、成膜する基板を、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源との間で、順次相対的に移動させても良い。
そして、チャンバ8 内の反応性ガスを含む雰囲気中で、アーク蒸発源5 、6 を用いて層A の成分を、スパッタリング蒸発源2 、3 を用いて層B の成分を、各々蒸発させて、交互にかつ順次基板1 上に積層させ、本発明の硬質積層皮膜を形成する。
層A としてTiAlN 、層B としてWNとした場合を例とすると、本発明では層A の成分であるTi、Alをアーク蒸発源5 、6 で蒸発させ、層B の成分であるW をスパッタリング源2 、3 で蒸発させる。そして、スパッタリングガスのAr+反応ガスの窒素中で成膜を行い、上記した通り、基板1 を回動させて、基板が交互にアーク蒸発源とスパッタリング蒸発源の前を通過するようにすることにより、TiAlN とWNとを、交互にかつ順次基板上に積層させ、本発明の積層構造の硬質皮膜を容易に形成できる。
このような、図1 に示すアーク蒸発源とスパッタ蒸発源とを同一真空容器内に各々1台以上備えられた成膜装置では、前記したスパッタのみ、あるいはアークのみの皮膜形成方法に比して以下の利点がある。
アーク蒸発はスパッタリング蒸発に比べて成膜レートが速い。このため、アーク蒸発源により層A の成分を成膜することで、層B の2 倍以上の膜厚が必要な層A を高速に成膜出来る。また、スパッタリング蒸発源はアーク蒸発源よりも成膜レートの調整が容易であり、非常に小さい投入電力(例えば0.1 kW )から作動するために、層B などの薄膜の皮膜層の厚みを正確に制御できる特性がある。
更に、これらアーク蒸発とスパッタリング蒸発との特性を組み合わせることで、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源の投入電力の比により、層A と層B の厚みの比率を好ましい範囲に設定した後に、基板の回転数 (回動速度、移動速度) を変化させることで、任意に層A +層B の繰り返しの周期を決定可能である。
ここで、図1 に示す成膜装置は、アーク蒸発源及びスパッタリング蒸発源ともに、各々具備する磁場印加機構11により発生および制御される磁場10を利用している。即ち、図1 に示した成膜装置は、磁場印加機構11により発生および制御される両蒸発源の磁場10同士が、お互いにつながるように成膜する態様を示している。
図1 の成膜装置のように、両蒸発源の磁場10同士が、お互いにつながっている場合、両蒸発源からのイオンの指向性が向上し、基板へのイオン照射を増加させ、より特性に優れた皮膜を形成することが可能となる。即ち、同一成膜チャンバ8 内の磁場10(磁力線)は閉じた状態(閉磁場構造)となっている。このため、前記蒸発源からの放出電子が、この閉磁場構造内にトラップされ、基板1と同じくアノードとなるチャンバ8に安易に誘導されない。この結果、放出電子の濃度が高まり、スパッタリングガスや反応性ガスとの衝突が多くなり、高効率でガスのイオン化を実施することができる。
一方、両蒸発源の磁場10同士が、お互いにつながらず、独立している場合、同一成膜チャンバ8 内の磁場10(磁力線)は開いた状態(開磁場構造)となっており、前記蒸発源からの放出電子は、各々の磁場10(磁力線)の方向に沿って、速やかに(安易に)、チャンバ8に安易に誘導さる。この結果、放出電子の濃度が薄まり、スパッタリングガスや反応性ガスとの衝突が少なくなり、ガスのイオン化効率が低くなる。即ち、両蒸発源からのイオンの指向性が緩慢となって、基板へのイオン照射量が減り、皮膜特性あるいは成膜効率を阻害する可能性が高くなる。
(反応ガス分圧)
以上説明した本発明成膜方法において、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて、窒素を含有する硬質皮膜を形成するに際しては、前記成膜雰囲気を、窒素、メタン、アセチレンなどの反応性ガス(反応ガス)と、Ar(アルゴン)、Ne(ネオン)、Xe(キセノン)などのスパッタ用不活性ガスとの混合ガスとする。
そして、混合した反応性ガスの分圧を0.5Pa以上とすることが好ましい。混合させる反応性ガスの分圧が0.5Pa未満の低い条件で成膜した場合、硬質皮膜中への窒素などの添加が不十分となり、硬質皮膜中のマクロパーティクルも多くなる。このため、緻密な皮膜ができにくくなる。
これに対して、硬質皮膜中への窒素の添加を十分に行い、硬質皮膜中のマクロパーティクル発生を抑制して、緻密でかつ表面性状に優れる皮膜を成膜するためには、スパッタリングガス中に混合させる反応性ガスの分圧を、上記した通り、0.5Pa以上とすることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
種々の条件の硬質積層皮膜および単層硬質皮膜を成膜して皮膜硬度を調査し、本発明における層A とBとを交互に積層する効果、層A とBとの各厚みの効果を評価した。
この際、アーク成膜方法の場合は、前記図1 に示したアークおよびスパッタ蒸発源を有する成膜装置の、アーク蒸発源のみを用いて成膜した。スパッタ成膜方法の場合は、前記図2 に示した2 元のスパッタ蒸発源のみを有する成膜装置にて成膜した。そして、アーク+スパッタの成膜方法の場合は、前記図1 に示した、アークおよびスパッタ蒸発源を有する成膜装置を用いて、表1に示す組成の各皮膜を形成した。
これら成膜装置共に、共通して、基板を装置に導入後、基板温度を400〜500℃程度に加熱しながら、3×10−3Pa以下の真空に排気し、Arイオンによるクリーニング(圧力0.6Pa、基板電圧500V、処理時間5分)を実施後、成膜を行った。
また、これら成膜装置共に、共通して、成膜時の温度はいずれも400〜500℃の間とした。基材には鏡面研磨した超硬合金を用いた。層A の皮膜を形成するときには、表1の層A 組成中の金属成分を含有するターゲットを用い、層B を形成するときにはB4 C、C、Si、Cuの各ターゲットを用いた。
この際に各例とも、積層皮膜厚み (膜厚) は、ほぼ3μm (3000nm) で一定とした。なお、層A の厚みを2〜250nm、層B の厚みは0.2〜30nm、の各範囲で各々変化させた。
前記図2 のスパッタ成膜装置の場合、成膜時に、金属膜を形成する場合は純Ar雰囲気中で、窒化物を形成する場合、Arと窒素の混合ガス(混合比65:35)、炭窒化物の場合Arと窒素とメタンの混合ガス(混合比65:30:5)、全圧力0.6Paとして成膜し、層A と層B の厚みは各々の蒸発源を作動させる時間で調節した。
前記図1 の複合成膜装置の場合は、Arと窒素の混合ガス(混合比50:50)、炭窒化物の場合Arと窒素とメタンの混合ガス(混合比50:45:5)、全圧力2.66Paとして成膜した。更に、層A はアーク蒸発源にて、層B はスパッタ蒸発源にて形成した。また、層A と層B の厚みは各蒸発源に投入する電力比で決定し、層A +層B の合計の積層皮膜厚みは基板の回転周期で決定した。
これら形成した各皮膜に対して、皮膜のビッカース硬度をマイクロビッカース硬度計(測定荷重25gf:Hv0.25 )で評価した。
また断面TEM写真で積層周期および層A と層B の厚みを確認した。また組成はオージェ電子分光法で各皮膜の深さ方向に分析を実施した。これらの結果を表1に示す。
表1に示すように、番号が1〜6の比較例は、層B を設けない、層A のみの単層の場合である。これに対して、比較例1と発明例8〜10、比較例3と発明例13〜15、比較例4と発明例18〜20など、層A が同じ組成同士の比較において、これら各発明例は、各比較例に比して、高硬度を確保している。したがって、先ず、本発明における層A とBとを交互に積層する効果が裏付けられる。
次ぎに、番号が7〜16の例は層B の膜厚の効果を示している。同じ組成の層A と層B とを各々設けた、番号が7〜11と、12〜16との各グループ内での比較において、比較例7、12は、層B の厚みが下限の0.5nm 未満である。また、比較例11、16は、層A の厚みが層B の厚みの2倍未満である。この結果、これら比較例は、層A 、層B の厚みや、層A と層B との厚みの関係が本発明の規定を満たす、同じグループの発明例8〜10や、発明例13〜15に比して、硬度が比較的低い。
次ぎに、番号が7〜16の例は層B の膜厚の効果を示している。同じ組成の層A と層B とを各々設けた、番号が7〜11と、12〜16との各グループ内での比較において、比較例7、12は、層B の厚みが下限の0.5nm 未満である。また、比較例11、16は、層A の厚みが層B の厚みの2倍未満である。この結果、これら比較例は、層A 、層B の厚みや、層A と層B との厚みの関係が本発明の規定を満たす、同じグループの発明例8〜10や、発明例13〜15に比して、硬度が比較的低い。
次ぎに、番号が17〜26は層A の膜厚の効果を示している。同じ組成の層A と層B とを各々設けた、番号が17〜21と、22〜26との各グループ内での比較において、比較例17、22は、層A の厚みが層B の厚みの2倍未満である。また、比較例21、26は、層A の厚みが上限の200nm を超えている。この結果、これら比較例は、層A の厚みや、層A と層B との厚みの関係が本発明の規定を満たす、同じグループの発明例18〜20や、発明例23〜25に比して、硬度が比較的低い。
なお、層A がCr系成分組成の発明例23〜25は、Ti系成分組成の発明例8〜10、13〜15、18〜20などに比して、硬度は低い。しかし、前記した通り、摺動部材に使用された場合、Ti系成分組成に比して、相手材に対する攻撃性が低い特徴がある。
したがって、これらの結果から、本発明における層A 、層B の組成や厚み、層A と層B との厚みの関係の規定、更には好ましい規定の意義が裏付けられる。
Figure 0004408231
次ぎに、種々の組成の層A を成膜して皮膜硬度を調査し、本発明における層A の組成の皮膜硬度への影響 (効果) を評価した。
前記実施例1と同じ成膜条件で、表2に示す種々の組成の皮膜を形成した。形成した皮膜に対して、実施例1同様の皮膜ビッカース硬度をマイクロビッカース硬度計(測定荷重25gf)で評価した。また断面TEM写真で積層周期および層A 、Bの厚みを確認した。また組成はオージェ電子分光法で皮膜の深さ方向に分析を実施した。これらの結果を表2、表3(表2の続き)に示す。
表2、3に示すように、番号が1〜7の比較例は、層B を設けない、層A のみの単層の場合である。これに対して、比較例1と発明例11、比較例2と発明例18、比較例3と発明例14、比較例4と発明例23、など、層A が同じ乃至類似略の組成同士の比較において、これら各発明例は、各比較例に比して、高硬度を確保している。また、同じ比較例同士の比較ながら、層A をTiN とした、比較例6、7同士の比較では、層B を設けない層A のみの単層の比較例6の方が、層A と層B とを交互に積層した比較例8よりも硬度が低い。したがって、これら表2の結果からも、本発明における層A と層B とを交互に積層する効果が裏付けられる。
本発明で層A は、前記した通り、(Ti1-x-y Al x M y )(B a C b N1-a-b-c O c ) [但し、0.4 ≦x ≦0.8 、0 ≦y ≦0.6 、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1 、また、M は4A、5A、6A、Siの1種以上より選ばれる金属元素] の組成からなる。
ここで、表2の内、同じ成分系同士の例を比較する。先ず、(TiAl)N 系で、Alの含有量が前記0.4 ≦x ≦0.8 の規定範囲から外れて低過ぎるか、高過ぎる比較例9、13は、Alの含有量が範囲内である発明例10〜12に比して、硬度が低い。
(TiAlCr)N 系で、Alの含有量が前記0.4 ≦x ≦0.8 の規定範囲から外れて低過ぎる比較例17は、Crの含有量が前記0 ≦y ≦0.6 の規定範囲を外れて高過ぎることもあり、Alの含有量x が0.45〜0.65と、0.4 〜0.8 の上記規定範囲内であって、かつ、より好ましい0.55〜0.75の規定範囲内でもある発明例14〜16に比して、硬度が低い。
したがって、これらの結果から、本発明における層A のAlの含有量x の規定、あるいはより好ましい規定の意義が裏付けられる。
(TiAl)(BN)系で、B の含有量が前記0 ≦a ≦0.15の規定範囲から外れて高過ぎる比較例26は、B の含有量a が、上記0.15以下の規定範囲内であって、かつより好ましい0.1 以下の規定範囲内でもある発明例24、25に比して、硬度が低い。
したがって、これらの結果から、本発明における層A のB の含有量a の規定、あるいはより好ましい規定の意義が裏付けられる。
(TiAlCr)(CN)系で、C の含有量が前記0 ≦b ≦0.3 の規定範囲から外れて高過ぎる比較例29は、C の含有量が0.3 以下の規定範囲内であって、より好ましい0.1 以下の規定範囲内でもある発明例27、28に比して、硬度が低い。
したがって、これらの結果から、本発明における層A のC の含有量b の規定、あるいはより好ましい規定の意義が裏付けられる。
(TiAlV)(ON) 系で、O の含有量が前記0 ≦c ≦0.1 の規定範囲から外れて高過ぎる比較例31は、O の含有量が0.1 以下の規定範囲内である発明例30に比して、硬度が低い。
したがって、これらの結果から、本発明における層A のO の含有量の規定の意義が裏付けられる。
更に、表2の発明例14〜16、18〜23は、添加元素Mとして、Cr、Si、Zr、Nb、Ta、Vを含有している。これらの元素Mの内でも、特に、Cr、Si、Vなどを含有した例の硬度が高くなっている。したがって、これらの元素Mの硬度向上効果が裏付けられる。なお、層A がCr系成分組成の発明例32〜37は、Ti系成分組成の上記発明例に比して、硬度は低い。しかし、前記した通り、摺動部材に使用された場合、Ti系成分組成に比して、相手材に対する攻撃性が低い特徴がある。
Figure 0004408231
Figure 0004408231
次ぎに、種々の組成の層B を成膜して皮膜硬度を調査し、本発明における層A の組成の皮膜硬度への影響 (効果) を評価した。
前記実施例1と同じ成膜条件で、表3に示す種々の組成の皮膜を形成した。形成した皮膜に対して、実施例1、2と同様に、皮膜のビッカース硬度を評価した。また断面TEM写真で積層周期および層A 、Bの厚みを確認した。また組成はオージェ電子分光法で皮膜の深さ方向に分析を実施した。これらの結果を表4に示す。
また、本実施例では、各皮膜の摺動特性の評価を、ボールオンプレートタイプの往復摺動型摩耗摩擦試験機にて評価した。評価条件は相手材(ボール)を直径9.53mmのベアリング鋼(SUJ2、HRC60 )、室温、摺動速度0.1m/s、荷重2N、摺動距離250mでドライ環境下にて摺動試験を実施し、試験中の摩擦係数 (μ) を評価した。
更に、本実施例では、各皮膜の耐酸化性を、酸化開始温度から評価した。即ち、白金箔に約3μm形成した皮膜サンプルを、熱天秤を用いて室温から1100℃まで乾燥空気中で4℃/分の速度で加熱し、この酸化重量増加曲線から、酸化開始温度を決定した。これらの結果も表4に示す。
表4に示すように、番号が1〜7の比較例は、層B を設けない、層A のみの単層の場合である。これに対して、比較例1と、発明例8〜10あるいは比較例11との比較、比較例3と発明例12、13、15、16、19〜20、参考例17との比較において、これら各発明例は、各比較例に比して、高硬度を確保している。したがって、これら表4の結果からも、本発明における層A とBとを交互に積層する効果が裏付けられる。
本発明で層B は、前記した通り、下記式3で表される組成である。
式3:M(B a C b N1-a-b-c O c ) [但し、M はW 、Mo、V 、Nbのいずれか1種以上より選ばれる金属元素、a 、b 、c 、e は各々原子比を示し、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1]
ここで、表4の内、層B が同じ成分系同士の例を比較する。先ず、W(CN) 系で、C の含有量b が前記0 ≦b ≦0.3 の規定範囲から外れて高過ぎる比較例11は、C の含有量が規定範囲内である発明例8〜10に比して、硬度および耐酸化性が低い。
V(NO) 系で、O の含有量c が前記0 ≦c ≦0.1 の規定範囲から外れて高過ぎる比較例14は、O の含有量c が規定範囲内である発明例12、13に比して、硬度および耐酸化性が低い。
Nb(BN)系で、B の含有量a が前記0 ≦a ≦0.15の規定範囲から外れて高過ぎる比較例18は、O の含有量c が規定範囲内である発明例15、16参考例17に比して、硬度が低い。
層B の組成としてNbを含む、Nb(BN)系の発明例16(比較例18も)、Moを含む(MoNb)(CN)系の発明例20、(MoNb)(CN)系の発明例22は、皮膜の硬度も高いが、耐酸化性が特に向上している。また、(WV)N 系の発明例19は、皮膜の硬度が高い。
層B の組成として Vを含む発明例12、13、26は(比較例14も)特に摩擦係数が低くなっている。
更に、発明例22、23、25は、前記層B の組成式3 において、金属元素M を、前記W 、Mo、V 、Nbを除く、これらとは別の、4A、5A、6A、Siの1種以上より選ばれる金属元素M1で、原子比を0.3 以下の範囲で置換した発明例である。発明例22はMoをSiで置換している。発明例23はV をTiで置換している。この結果、皮膜硬度が高くなっている。
なお、層A がCr系成分組成の発明例24〜28は、Ti系成分組成の上記発明例に比して、硬度は低い。しかし、前記した通り、摺動部材に使用された場合、Ti系成分組成に比して、相手材に対する攻撃性が低い特徴がある。
したがって、これらの結果から、本発明における層B の各組成規定の意義が裏付けられる。
Figure 0004408231
以上説明したように、本発明によれば、耐摩耗性や耐酸化性に優れた硬質積層皮膜および硬質積層皮膜の形成方法を提供できる。したがって、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼などを基材とする切削工具や自動車向け摺動部材などの、耐摩耗性皮膜に適用できる。
本発明硬質積層皮膜を成膜する装置の一態様を示す説明図である。 本発明硬質積層皮膜を成膜する装置の別の態様を示す説明図である。 本発明硬質積層皮膜を成膜する装置の別の態様を示す説明図である。
符号の説明
1:基板、2 、3 :スパッタリング蒸発源、4:シャッター、5 、6 :電子ビーム蒸発源、7:電子ビーム、8:チャンバ、9:回転盤、10: 磁場、11: 磁場印加機構

Claims (5)

  1. 特定組成からなる層A と層B とを、層A と層B との組成が互いに異なるように交互に積層した硬質積層皮膜であって、層A は、次式1 または2 の、いずれかの組成からなり、
    式1:(Ti1-x-y Al x M y )(B a C b N1-a-b-c O c ) [但し、Tiを原子比で少なくとも0.1 含有し、x 、y 、a 、b 、c は各々原子比を示し、0.4 ≦x ≦0.8 、0 ≦y ≦0.6 、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1 、また、M はCr、V 、Si、Zr、Nb、Taの1種以上より選ばれる金属元素] 、
    式2:(Cr1- α Xα)(B a C b N1-a-b-c O c )e [ 但し、α、a 、b 、c 、e は各々原子比を示し、0 ≦α≦0.9 、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1 、0.2 ≦e ≦1.1 、また、X はTi、Al、Siのいずれか1種以上より選ばれる金属元素] 、
    層B は次式3 の組成からなり、
    式3:M(B a C b N1-a-b-c O c ) [但し、M はW 、Mo、V 、Nbのいずれか1種以上より選ばれる金属元素、a 、b 、c は各々原子比を示し、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1]、
    かつ、一層当たりの層A の厚みが一層当たりの層B の厚みの2 倍以上であって、一層当たりの層B の厚みが0.5nm 以上で、一層当たりの層A の厚みが200nm 以下であることを特徴とする硬質積層皮膜。
  2. 前記層A が、(Ti1-x-yAl x M y )(B a C b N1-a-b-c O c )[但し、Tiを原子比で少なくとも0.1 含有し、x 、y 、a 、b 、c は各々原子比を示し、0.5 ≦x ≦0.8 、0.05≦y ≦0.6 、0 ≦a ≦0.15、0 ≦b ≦0.3 、0 ≦c ≦0.1 、また、M はCr、V 、Siの1種以上より選ばれる金属元素] で表される請求項1に記載の硬質積層皮膜。
  3. 前記層B の金属元素M が、Ti、Siの1種以上より選ばれる金属元素M1で、M1-bM1 b[ 但し、b は各々原子比を示し、0 <b ≦0.3]のように置換されている請求項1または2に記載の硬質積層皮膜。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の硬質積層皮膜を形成する方法であって、アーク蒸発源とスパッタ蒸発源とを同一真空容器内に各々1台以上備えられた成膜装置を用い、反応ガスを含む成膜雰囲気中で、アーク蒸発源とスパッタ蒸発源とを同時に作動させることで、アーク蒸発源より層A の成分を、また、スパッタ蒸発源より層B の成分を各々蒸発させるとともに、基板を前記各蒸発源に対して相対的に移動させて、基板上に層A と層B とを交互に積層することを特徴とする硬質積層皮膜の形成方法。
  5. 前記成膜雰囲気を、前記反応ガスと、スパッタ用不活性ガスとの混合ガスとするとともに、この反応ガスの分圧を0.5Pa 以上とする請求項4に記載の硬質積層皮膜の形成方法。
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