JP4382396B2 - 電磁波シールド筐体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器等が収納され、シールド材をインサート成形した部材により形成される電磁波シールド筐体、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体モジュール等の電子機器を筐体に収納する場合に、電子機器が発生する電磁波の外部への漏れ防止や外部からの電磁波の侵入防止等を考慮して、筐体としてシールド筐体が用いられることがある。シールド筐体においては、筐体内への電磁波の侵入や筐体外部への電磁波の放出を防止するために、筐体壁にシールド部材が用いられる。例えば、樹脂材の内部に網状のシールド材をインサート成形したものを筐体壁に用いるシールド筐体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−134977号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した筐体壁をインサート成形する場合、次のような工程で成形が行われる。まず網状のシールド材を射出成形型にセットし、その後、型内に成形樹脂を射出成形する。この成形の際に、樹脂の射出圧等によって網状のシールド材が変形し、筐体壁である樹脂成形部材の表面にシールド材が露出する可能性がある。シールド材が樹脂成形部材の表面に露出した場合、水等がシールド材と樹脂部分との境界面を通って外部環境から筐体内部に侵入する可能性がある。そのような筐体内部への水の侵入があると、筐体内の電子機器に寿命低下が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、外部環境からの水の侵入をより確実に防止できる電磁波シールド筐体、およびその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電磁波シールド筐体の製造方法では、一次成形工程と二次成形工程との2種類の成形工程により電磁波シールド材の表裏両面を樹脂でモールド成形する。一次成形工程では、成形の間電磁波シールド材の一方の面が保持部材で常に保持されている。二次成型においては、電磁波シールド材の他方の面に一次成形工程で成形された第1樹脂層がすでに形成されている。そのため、一次および二次成型時には、電磁波シールド材は保持部材または第1樹脂層のいずれかによって保持され、成形時における電磁波シールド材の変形を防止できる。
本発明に係る電磁波シールド筐体の製造方法により形成された電磁波シールド筐体において、第1突出部および第2突出部の少なくとも一方の突出部の一部は、径寸法が貫通孔の直径寸法よりも大きく形成されるようにしたものである。それによって、第1樹脂層と第2樹脂層との結合がより強固となる。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、成形時における電磁波シールド材の変形を防止することができ、電磁波シールド材が筐体表面に現れるようなことがない。そのため、電磁波シールド材と樹脂との接合面を介して外部環境から水が侵入するような事態を避けることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明による電磁波シールド筐体の一実施の形態を示す分解斜視図であり、側壁部1の一部を破断面で示した。図1に示すシールド筐体は側壁部1とカバー2とを有し、カバー2と側壁部1、および側壁部1と冷却部3との間の固定はネジ止め等により行われる。冷却部3は熱伝導性に優れたアルミ系や銅系の金属で形成され、電子機器(不図示)は冷却部3上に配設される。例えば、パワーモジュール等の発熱量の大きい電子部品は冷却部3上に面実装される。
【0009】
図1に示すシールド筐体は、例えば、車両等に搭載される電力変換装置の筐体として用いられ、エンジンルーム内等に設けられる。そのため、雨水等の水分やエンジンの温度の影響を受けやすく、シールド筐体には電磁波シールド性に加えて、水分や環境温度に対する密閉性や断熱性が要求される。なお、カバー2,側壁部1および冷却部3の相互間のシールに関しては図示していないが、Oリングやガスケット等を用いてシールを行う。その際、カバー2,側壁部1および冷却部3の接触を十分に行わせ、磁気シールド性および熱伝導性を確保する。また、Oリングやガスケットに導電性のものを使用しても良い。
【0010】
上述したように冷却部3は電子機器を冷却するためのヒートシンクとして機能するものであって、液冷仕様であれば冷却部3の内部や下面にエチレングリコール水溶液などの冷却液を循環させる水路が形成され、空冷仕様であれば冷却部3の下面に冷却フィン等が形成されている。側壁部1は、シールド材として機能するインサート材4を樹脂材の内部にインサート成形したものである。すなわち、側壁部1はインサート材4を挟んで、樹脂製の内壁5と外壁6とを有している。側壁部1の詳細は後述する。
【0011】
図1に示す例では、インサート材4は複数の貫通孔41が形成された金属板から成る。複数の貫通孔41はインサート材4の全面に一様に散らばるように形成されている。電磁シールドとして機能するインサート材4に用いられる金属板としては、アルミニウム、銅、真鍮、鋼板など種々のものがあるが、高伝熱性能が必要であることも考慮して、例えば、200W/m・K程度の熱伝導率を有するアルミニウム系や銅系の材料を用いるのが好ましい。
【0012】
このような熱伝導率の金属材料をインサート材4に用いることにより、筐体内の熱をインサート材4を介して効率よく冷却部3に輸送することができ、筐体内に配置された電子機器の冷却の効率化が図れる。なお、伝熱性能がやや劣るものの、パンチングメタルや金網、さらにはハニカムやエキスパンドメタルなどもインサート材4として使用することができる。
【0013】
シールド筐体の内壁5および外壁6に用いる樹脂としては、筐体内部に収納される電子部品が高発熱部品である場合が多いことや、筐体自体に冷却作用を必要とされることから、PA(polyamide)、PBT(polybutylene terephthalate)、PPS(polyphenylene sulfide)等の比較的耐熱性に優れた樹脂が良い。さらに、外部から筐体内部へ侵入する熱を遮断するように外壁6の樹脂には熱伝導率の低いものを使用し、また、筐体内部で発生した熱をインサート材4を介して放熱するように内壁5の樹脂には熱伝導率の高いものを使用するのが好ましい。例えば、外壁6にはエラストマ入りPPS(熱伝導率:約0.2W/mK)を使用し、内壁5にはガラス強化型PPS(熱伝導率:約0.3W/mK)を使用する。
【0014】
カバー2は金属板をプレス加工したものであるが、側壁部1と同様にインサート材を樹脂でインサート形成したものを用いても良い。側壁部1のインサート材4は金属製のカバー2および冷却部3と電気的に接触しており、その結果、筐体内が電磁シールドされる。
【0015】
図2は側壁部1の詳細構造を示す図であり、(a)は側壁部1の外表面の一部、すなわち外壁6側の一部を示す図で、(b)は(a)のII−II断面図である。図2(b)において、インサート材4の右側の樹脂部材が内壁5を構成し、インサート材4の左側の樹脂部材が外壁6を構成している。インサート材4の上端部および下端部には折り返し42,43が形成されていて、インサート材4とカバー2および冷却部3との接触が十分に保たれるような構造となっている。
【0016】
インサート材4に形成された貫通孔41は、2種類の孔41a,41bに分けられる。そして、内壁5を構成する樹脂部材の一部は孔41aを介してインサート材4の左側に突出し、外壁6を構成する樹脂部材の一部がインサート材4の孔41bを介してインサート材4の右側に突出している。孔41aから突出して外壁6に嵌入している突出部5aは外壁6を内側から外側に貫通していて、突出部5aの先端は図2(a)に示すように外壁6の表面に露出している。一方、孔41bから突出して内壁5内に嵌入している突出部6aは、内壁5を外側から内側に貫通している。
【0017】
突出部5aおよび6aは円柱状に形成されており、それらの直径d1は孔41a,41bの直径d2よりも大きく設定されている。すなわち、突出部5aおよび6aは、孔41a,41bの断面を底面とする柱状領域の外側にまで拡がっている。その結果、突出部5a,6aによって内壁5と外壁6とがインサート材4を挟んで強固に結合され、樹脂部材である内壁5および外壁6が金属部材のインサート材4から剥離するのを防止している。
【0018】
なお、図2に示す例では突出部5aは円柱形状であるが、孔41aから直線的に拡がった円錐台形状であっても、円錐台形状の突出部5aが外壁6と結合することにより、内壁5と外壁6とが相互に結合される。
【0019】
図3は側壁部1の成形工程を説明する図である。本実施の形態では、成形を一次と二次の2回に分けて行う。図3(a)は一次成形作業を示し、図3(b)は側壁部1の一次成形品を示し、図3(c)は二次成形作業を示している。まず、図3(a)に示すようにインサート材4を一次成形用金型10A,10Bに装着して一次成形を行う。
【0020】
金型10Aには外壁6を形成するための凹部100と、突出部5aが嵌入する領域を形成するための円柱状凸部101とが形成されている。一方、金型10Bには、外壁6の突出部6aを形成するための円柱状凹部102が形成されている。凸部101および凹部102の各直径は、図2(b)に示した突出部5a,6aの直径d1と等しく設定されている。凸部101はインサート材4の孔41aと対向する位置にそれぞれ形成されており、凹部102はインサート材4の孔41bと対向する位置にそれぞれ形成されている。
【0021】
金型10Aの凹部100内に一次成形用樹脂を注入すると、凹部100内が樹脂で隙間無く満たされるとともに、凹部100内の樹脂が孔41bを通って金型10Bの凹部102に流れ込んで凹部102を満たす。このとき、インサート材4の背面は金型10Bの表面108によって支持されているので、注入された一次成形用樹脂の圧力によってインサート材4が変形するようなことは無い。樹脂が固化した後に金型10A,10Bを外すと、図3(b)に示すようなインサート材4と外壁6とから成る側壁部1の一次成形品が得られる。
【0022】
インサート材4の孔41bの部分には一次成形用樹脂による円柱状突出部6aが形成され、外壁6の孔41aに対向する部分には円柱状空洞6bが形成される。突出部6aおよび空洞6bの直径はd1となり、孔41a,41bの直径d2(図2(b)参照)よりも大きい。そのため、図3(b)の状態においても、外壁6からインサート材4が外れることがなく、二次成形作業が行いやすくなる。
【0023】
次に、図3(c)に示すように、側壁部1の一次成形品を二次成形用金型11A,11Bに装着して二次成形作業を行う。一次成形品の外壁6は金型11Aの凹部103に収納される。金型11Bには内壁5を形成するための凹部104が形成されており、突出部6aはこの凹部104内に収納される。金型11Bの凹部104に二次成形用樹脂を注入すると、凹部104内が二次成形用樹脂で隙間無く満たされる。さらに、凹部104内の樹脂が孔41aを通って外壁6の円柱状空洞6b内に流れ込み、空洞6bが二次成形用樹脂で満たされる。二次成形用樹脂は一次成形用樹脂と同一であっても良いし、異なっていても良い。二次成形用樹脂が固化した後に金型11A,11Bを外すと、図1に示すような内壁5,インサート材4および外壁6で構成される側壁部1が得られる。
【0024】
上述した実施の形態では、複数の貫通孔41a,41bが形成された金属板をインサート材4としたが、金網等のメッシュ部材をインサート材として用いても良い。図4はインサート材14として金属メッシュ14aを用いた場合の成形方法を説明する図であり、(a)〜(c)にその手順を示す。インサート材14は、金属メッシュ14aと、金属メッシュ14aの上下両端に設けられたエンド部材14bとから成る。金属メッシュ14aおよびエンド部材14bには、上述したインサート材4と同様に熱伝導性に優れたアルミ材や銅材が用いられる。エンド部材14bは金属メッシュ14aとカバー2および冷却部3との間の電気的及び熱的接触を十分に行わせるために設けたものであり、ロー付けや圧着等によりメッシュ14aに固定される。
【0025】
図4(a)に示すように、インサート材14を用いた場合も図3の場合と同様の一次成形用金型10A,10Bが用いられる。このとき、メッシュ14aは金型10Aに形成された平面105に密着するように配設される。金型10Aの円柱状凸部101および金型10Bの凹部102の各直径d1は、メッシュ14aの隙間(孔径)よりも大きく設定されている。金型10Aの凹部100内に一次成形用樹脂を注入すると、凹部100内が樹脂で隙間無く満たされる。さらに、一次成形用樹脂がメッシュ14aの隙間を通り抜けることによって、金型10Bの凹部102内が一次成形用樹脂により満たされる。また、凸部101が対向する領域を除いて、メッシュ14aの隙間には一次成形用樹脂が充填されることになる。
【0026】
一次成形用樹脂が固化した後に金型10A,10Bを外すと、図4(b)に示すような側壁部1の一次成形品が得られる。上述したインサート材4を用いたものでは、孔41bを通り抜けた一次成形用樹脂は、孔41bの直径d2よりも大きな直径d1の円柱状突出部6aを形成する。そのため、突出部6aは孔41bの部分でくびれている(図3(b)参照)。一方、インサート材14を用いた場合には、一次成形用樹脂がメッシュ14aの隙間から染み出るように凹部102を満たすため、突出部6aは上述したようなくびれ部を形成せずに、メッシュ14aから直径d1で立ち上がるように形成される。その結果、メッシュ14aと一次成形樹脂とが確実に固定される。
【0027】
次に、図4(c)に示すように、側壁部1の一次成形品を二次成形用金型11A,11Bに装着して二次成形作業を行う。金型11Bの凹部104に二次成形用樹脂を注入すると、凹部104内が二次成形用樹脂で隙間無く満たされるとともに、その二次成形用樹脂がメッシュ14aの隙間を通って外壁6の円柱状空洞6b内に流れ込む。その結果、内壁5,インサート材14および外壁6を有する側壁部1が形成される。インサート部材14のようにメッシュ14aを用いた場合、突出部5a,6aの基部ではメッシュ14aの隙間を埋め尽くすように樹脂が充填されているため、内壁5および外壁6とインサート材14との固定が確実に行われ、内壁5や外壁6がインサート材14から剥離するようなことが無い。
【0028】
ところで、従来のシールド筐体においてインサート材として金属メッシュ等を用いる場合には、金型の中心位置付近にメッシュを配設して、1回の樹脂注入で内壁と外壁とを成形するようにしている。そのため、樹脂注入時に樹脂の流れによってメッシュが変形し、図9に示すようにメッシュが壁面付近に達するような場合もあった。このような場合、メッシュと樹脂部材との接触面に介して水分等が筐体内部に侵入するおそれがあった。
【0029】
しかしながら、本実施の形態では、図3,4に示したようにメッシュ14aは一次成形工程では金型10Bの平面105に密着するように配設され、二次成形工程では外壁6の内表面に固着されている。そのため、樹脂を金型内に圧入する際にメッシュ14aが変形するようなことはなく、確実に内壁5と外壁6との間に配設される。
【0030】
[第1変形例]
図5は上述した電磁波シールド筐体の第1変形例を示す図であり、図2(b)と同様に側壁部1の断面を示した図である。図5に示した側壁部1では、内壁5および外壁6の突出部50a,60aの形状が図2(b)に示した側壁部1と異なっており、その他の部分は同一である。突出部50a,60aは、直径の異なる2つの円柱体を重ねた段付柱状突出部を形成している。突出部50aの場合には、先端部分の直径がd3で根本部分の直径d4はd3よりも小さくなっている。一方、突出部60aの場合、金型からの取り出しを考慮して、突出部50aとは逆に先端部分の直径d4の方が根本部分の直径d3よりも小さくなっている。
【0031】
図6は成形工程を示す図であり、まず、図6(a)に示すように一次成形用金型12A,12Bにインサート材4を装着する。金型12Aには外壁6を形成するための凹部105が形成されている。凹部105には、インサート材4の貫通孔41aに対向する位置に、内壁5の突出部50aを形成するための凸部106がそれぞれ形成されている。一方、金型12Bには、インサート材4の貫通孔41bに対向する位置に、外壁6の突出部60aを形成するための凹部107がそれぞれ形成されている。
【0032】
図6(b)は側壁部1の一次成形品であり、図6(a)の金型12A,12Bに一次成形用樹脂を注入することによって得られたものである。外壁6の貫通孔41aに対向する位置には空洞6cが形成され、貫通孔41bの部分にはインサート材4の内壁側(図示右側)に突出する突出部60aが形成されている。
【0033】
図6(c)は二次成形工程を示す図であり、図3(c)の場合と同一の金型11A,11Bを用いて二次成形を行う。金型11A,11Bに図6(b)の一次成形品を装着して、金型11Bの凹部104に二次成形用樹脂を注入すると、インサート材4の貫通孔41aを通して外壁6の空洞6cに二次成形用樹脂が流れ込む。その結果、図5に示すような側壁部1が形成される。
【0034】
図5に示す側壁部1において、突出部50a,60aの部分は内壁5と外壁6とが直接接する接合部になっている。この側壁部1では、各突出部50a,60aに段差を設けたことにより接合部における接合面積をより大きくして、内壁5と外壁6との結合をより確実なものとしている。さらに、接合面に隙間が生じた場合の水分の侵入に関しても、図2(b)の場合と比べて侵入経路が長くなるため侵入が困難となる。なお、突出部50a,60aの段差は1段に限らず2段以上であっても良く、また、突出部50a,60aを円錐台形状として接合面積および進入経路の拡大をはかっても良い。
【0035】
[第2変形例]
上述した図5,2に示す側壁部1においては、突出部50a,5aの先端面を外壁6の表面に露出させ、突出部60a,6aの先端面を内壁5の表面に露出させていたが、図7の(a),(b)に示すように突出部50a,60a,5a,6aの突出量を小さくして表面に露出させないようにしても良い。
【0036】
[第3変形例]
図8(a)はシールド筐体の第3変形例を示す断面図であり、第1変形例の突出部50a,60aを変形したものである。第1変形例では突出部50a,60aを段差のある段付柱状突出部としたが、図8(a)に示す第3変形例では、各突出部50a,60aの直径d4を有する大径部51,61に、小径部53,63方向に延びる伸延部54,64を形成した。図8(a)に示す例では、伸延部54,64は直径d3の小径部51,61を囲むようにリング状に形成されており、その結果、伸延部54,64と小径部51,61の周面との間にはリング状の窪み(隙間)52,62が形成される。窪み52内には外壁6を構成する一次成形用樹脂が入り込んでおり、窪み62内には内壁5を構成する二次成形用樹脂が入り込んでいる。
【0037】
図8(b)は突出部60aの部分を拡大したものであり、突出部60aの機能を説明する図である。内壁5を構成する二次成形用樹脂が固化時に収縮すると、突出部60a部分では、矢印20で示すように内壁5が突出部60aから離れるように収縮する。しかし、第3変形例では、大径部61の窪み62に内壁5の一部であるリング状部55が嵌入しているため、このリング状部55が窪み62の外側にある伸延部64と干渉して、内壁5が矢印20方向に収縮するのを妨げる働きをする。そして、この内壁5を構成する樹脂の収縮によりリング状部55と伸延部64との接合面における面圧が発生し、外壁6の突出部60aと内壁5との接合強度が増加する。
【0038】
一方、突出部50aの部分においては、二次成形用樹脂の固化の際に突出部50aの伸延部54が大径部51の中心方向に収縮することになり、窪み52内の外壁樹脂部材が収縮を妨げる働きをする。その結果、突出部50aの伸延部54と外壁6との接合強度が増加する。このように突出部50a,60aの大径部51,61に伸延部54,64を形成したことにより内壁5と外壁6との結合強度を向上させることができる。
【0039】
さらに、内壁5や突出部50aの固化時の収縮が抑制されるので、内壁5と突出部60aとの接合面および外壁6と突出部50aとの接合面に隙間が生じ難くなり、防水性の向上が図れる。なお、図8に示す例では突出部50a,60aの両方に伸延部54,64を形成したが、いずれか一方だけに伸延部を形成しても十分な接合強度を得ることができる。
【0040】
上述した接合強度の向上は二次成形樹脂の固化時の収縮に起因しているので、内壁5を構成する二次成形用樹脂として外壁6を構成する一次成形用樹脂よりも高収縮率な樹脂材料を用いることにより、より一層接合強度の向上を図ることができる。さらに、二次成形樹脂として低ヤング率の樹脂材料を用いることにより、収縮時の接合部における圧力の分散が向上し、接合部の信頼性を高めることができる。
【0041】
例えば、一次成形樹脂として線膨張係数が約1.5×10−5/℃でヤング率が約2.5×1010Pa、熱伝導率が約0.3W/mKであるガラス強化型PPSを用い、二次成形樹脂として線膨張係数が約3.0×10−5/℃でヤング率が約5.7×109Pa、熱伝導率が約0.2W/mKであるエラストマ入りPPSを用いる。このように樹脂材料を選択することにより、樹脂の接合部における相性を損なうことを避けることができ、使用する環境による両方の樹脂の特性の違いも僅かなものにすることができる。
【0042】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、インサート材4は電磁波シールド材を、金型10Bは保持部材を、外壁6は第1樹脂層を、内壁5は第2樹脂層を、貫通孔41bは第1の貫通孔を、貫通孔41aは第2の貫通孔を、突出部6aは第1突出部を、突出部5aは第2突出部を、大径部51,61は第1の柱状体を、小径部53,63は第2の柱状体をそれぞれ構成する。
【0043】
なお、上述した実施の形態では貫通孔41a,41bを円形であるとして説明したが、円形に限らず種々の形状の孔にも適用することができる。突出部5a,6aについても円柱状に限らず様々な形状が可能である。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電磁波シールド筐体の一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】側壁部1の詳細構造を示す図であり、(a)は側壁部1の外表面の一部を示す図で、(b)は(a)のII−II断面図である。
【図3】側壁部1の成形工程を説明する図であり、(a)〜(c)にその手順を示す。
【図4】インサート材14として金属メッシュ14aを用いた場合の成形工程を説明する図であり、(a)〜(c)にその手順を示す。
【図5】電磁波シールド筐体の第1変形例を示す図である。
【図6】第1変形例における成形工程を説明する図であり、(a)〜(c)にその手順を示す。
【図7】第2変形例を示す図であり、(a)は突出部50a,60aを示す図で、(b)が突出部5a,6aを示す図である。
【図8】第3変形例を示す図であり、(a)は側壁部1の断面図で、(b)は突出部60aの部分の拡大図である。
【図9】比較例を示す図である。
【符号の説明】
1 側壁部
2 カバー
3 冷却部
4,14 インサート材
5 内壁
5a,6a,50a,60a 突出部
6 外壁
6b,6c 空洞
10A,10B,12A,12B 一次成形用金型
11A,11B 二次成形用金型
41,41a,41b 貫通孔
51,61 大径部
53,63 小径部
54,64 伸延部
Claims (9)
- 電磁波シールド材の表裏両面を樹脂でモールド成形した電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記電磁波シールド材は第1の貫通孔と第2の貫通孔とを有し、
前記電磁波シールド筐体の外壁を形成するための凹部が形成され、この凹部内であって前記第2の貫通孔に対向する位置に凸部が形成された一次成形用の下型と、前記第1の貫通孔に対向する位置に凹部が形成された一次成形用の上型とを用い、前記シールド材の一方を前記一次成形用の上型の表面で支持するとともに前記シールド材の他方面を前記一次成形用の下型の凸部で支持しながら、前記一次成形用の下型の凹部内に一次成形用の第1の樹脂を注入し、その電磁波シールド材の他方の面に第1の樹脂から成る第1樹脂層を成形する一次成形工程と、
前記一次成形工程の後に、前記一次成形工程で得られた一次成形品を収納する凹部が形成された二次成形用の下型と、前記電磁波シールド筐体の内壁を形成するための凹部が形成された二次成形用の上型とを用い、前記二次成形用の上型の凹部内に二次成形用の第2の樹脂を注入し、前記電磁波シールド材の一方の面に第2の樹脂から成る第2樹脂層を成形する二次成形工程と、を有することを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。 - 請求項1に記載の電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記一次成形用の下型の凸部及び前記一次成形用の上型の凹部の少なくとも一方の一部は、その径寸法が前記対向する貫通孔の直径寸法よりも大きく形成されていることを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。 - 請求項2に記載の電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記一次成形用の下型の凸部又は前記一次成形用の上型の凹部の形状を、断面積の異なる2つの柱状体である第1の柱状体と第2の柱状体とを重ねた段付柱状体の形状とすることを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。 - 請求項3に記載の電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記一次成形用の下型の凸部又は前記一次成形用の上型の凹部の形状を、断面積の大きな第1の柱状体から断面積の小さな第2の柱状体の方向に伸延し、前記第2の柱状体の周面に隙間を有して対向する伸延部を、前記第1の柱状体に形成した前記段付柱状体の形状とすることを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。 - 請求項4に記載の電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記第2の樹脂の線膨張係数が前記第1の樹脂の線膨張係数よりも大きいことを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。 - 請求項5に記載の電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記第2の樹脂のヤング率が前記第1の樹脂のヤング率よりも大きいことを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記シールド材の熱伝導率は、前記第1および第2の樹脂の熱伝導率よりも高いことを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記電磁波シールド筐体の筐体外壁を前記一次成形工程により構成し、筐体内壁を前記二次成形工程により構成して、前記一次成形工程において用いる前記第1の樹脂の熱伝導率を前記二次成形工程において用いる前記第2の樹脂の熱伝導率よりも小さくしたことを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の電磁波シールド筐体の製造方法において、
前記電磁波シールド材は、金属メッシュであることを特徴とする電磁波シールド筐体の製造方法。
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