JP3762738B2 - 車載電子機器の筐体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、環状フレーム部材と該環状フレーム部材の下端面を閉鎖するベースと上端面を閉鎖するカバーによって電子基板を密閉収納する車載電子機器の筐体構造に関するものであり、特に耐熱性・耐水性・耐振性・量産性に優れた筐体構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント基板を固定した高伝熱性のベースに対して、樹脂製の環状フレーム部材とカバーを組み合わせ、更に接着シール材によって電子基板を密閉した3ピース構成の筐体構造がある(例えば、特許文献1参照)。
また、環状フレーム部材に相当するケース本体を、アルミダイキャスト製とし、プリント基板をケース本体に取付け固定させた後、ケース本体の上下開放端面を板金カバーで封鎖するとともに、プリント基板上の発熱部品がケース本体に圧接されて熱放散する構成を有する筐体構造がある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
更に、プリント基板を固定した中間フレームに上下カバーを設けた3ピース構成の筐体構造において、板金製の中間フレームと上下カバーは紫外線硬化型粘着性樹脂によって接合面のシールを行うようになっているものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
また、車載用電気・電子部品として、ポリブチレンテレフタレート樹脂にガラス繊維強化材を配合した難燃性樹脂を使用するものがある(例えば、特許文献4参照)。
更に、発熱部品の熱放散構造に関連して、両面基板の一方の面に固定された発熱部品の発生熱をスルーホールメッキ穴を介して他方の面に伝熱させるとともに、当該基板を熱伝導性を有した弾性絶縁シートを介して熱伝導性筐体の一部に固定するものがある(例えば、特許文献5参照)。
また、電子基板のスルーホールメッキ穴に充填材を充填し、この充填材を導体層で被覆するような多層基板の製造方法もある(例えば、特許文献6照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−332868号公報
【特許文献2】
特開平8−181471号公報
【特許文献3】
特開平6−318790号公報
【特許文献4】
特開2000−178417号公報
【特許文献5】
特開平8−204072号公報
【特許文献6】
特開平11−266078号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電子基板の小型化、高密度化に伴って、発熱部品に対する熱放散性の向上が重要となる一方で、自動車用車載電子機器にあっては、耐熱性・防水性・耐振性・量産性等の様々の要件を満たす製品が要求されている。
【0007】
しかし、上記特許文献1では、ベース・環状フレーム部材・カバーを単に接着固定しているだけの簡略構造であるために、十分な耐振性が得られず、更には製品の耐熱性並びに接着シール性に問題があった。
また、上記特許文献2のものでは、発熱部品の半田付け部のストレスを低減させることが必要となり、電子基板に弾性を持たせることができず、更には、発熱部品の取付け位置が電子基板の外周部に制限されるという問題があった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたものであり、発熱部品の熱放散性及び耐振性を向上させ、量産することができ、更には小型化並びに高密度化された電子基板を収納することができるとともに、自動車のエンジンルームにも設置可能な耐熱性・防水性にも優れた筐体構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1による車載電子機器の筐体構造は、環状フレーム部材と、この環状フレーム部材の下端面を閉鎖するベースと、上端面を閉鎖するカバーによって電子基板を密閉収納するものであって、相手側コネクタが挿入され多数の接続ピンが圧入されるコネクタハウジングを環状フレーム部材と難燃性樹脂で一体成形するとともに、環状フレーム部材の内壁に設けた圧入突起部を電子基板に設けた取付穴に圧入することで、電子基板が仮固定されるよう構成され、ベースは高熱伝導性素材で成形されるとともに、ベースの上面外周には密封シール材が挿入される第一の環状溝が形成され、この第一の環状溝には環状フレーム部材の下端外周に設けられた環状突起部が嵌合するよう構成され、カバーの周縁部には環状フレーム部材の上端外周に設けられた第二の環状溝に嵌合する外周折曲部が設けられるとともに、第二の環状溝には密封シール材が挿入されるよう構成され、環状フレーム部材の外壁に設けられた嵌合突起部が、カバーの外周折曲部に設けられた嵌合弾性部に嵌合され、嵌合弾性部の先端に設けられた変形折曲部を嵌合突起部の下部に設けられた窪み部内に折曲加工し、ベースには、車体に設置固定するための複数の取付け足を設けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施の形態1による車載電子機器の筐体構造を示す平面図、図2はカバーを取り除いた状態を示す平面図、図3は図1のA−A線断面図、図4は図3のB部拡大図、図5は図2のC−C線断面図、図6は筐体構造を示す側面図、図7は図6のD−D線断面図、図8は図3におけるコネクタハウジング部を示す拡大図、図9は図8のE部を示す拡大図、図10は発熱部品の取付状態を示す拡大図である。
【0011】
図において、環状フレーム部材1と、この環状フレーム部材1の下端面を閉鎖するベース2と、上端面を閉鎖するカバー3によって、電子基板4を密閉収納している。環状フレーム部材1と、相手側コネクタ5が挿入され、多数の接続ピン6a,6bが圧入されるコネクタハウジング7とは、難燃性樹脂で一体成形されるとともに、環状フレーム部材1の内壁には、多数の接続ピン6a,6bが接続される電子基板4が仮固定されるよう構成されている。
【0012】
ベース2は高熱伝導性素材で形成されるとともに、ベース2の上面外周には密封シール材8が挿入される第一の環状溝9が形成され、この第一の環状溝9には、環状フレーム部材1の下端外周に設けられた環状突起部1aが嵌合するよう構成されている。
カバー3の周縁部には、環状フレーム部材1の上端外周に設けられた第二の環状溝1bに嵌合する外周折曲部10が設けられるとともに、第二の環状溝1bには密封シール材8が挿入されるよう構成されている。
【0013】
各密封シール材8による接合部は、電子基板4を挟んで、環状フレーム部材1とベース2間を固定する第一の一体化手段と、環状フレーム部材1とカバー3間を固定する第二の一体化手段とによって一体化される。
電子基板4に設けられた発熱部品11の発生熱は、ベース2に対して伝熱放散させる関係に取付けられていて、ベース2は環状フレーム部材1の外方向に突出しており、ベース2に設けられた複数の取付け足12a〜12dを介して車体に設置固定されるものである。
【0014】
以上のように、電子基板4を挟み込んで、高熱伝導性のベース2と環状フレーム部材1間を固定した後にカバー3を取付けるようになっているので、電子基板4に設けられた発熱部品11から発生する熱を、ベース2に確実に伝達できるよう取付けることができるとともに、重量体であるベース2を車体に取付けることにより、耐振性が向上する効果がある。
また、難燃性樹脂による環状フレーム部材1と、ベース2やカバー3間の密封シール材8は上記第一・第二の一体化手段によって一体化されているので、耐熱性・耐振性を向上させ、更には確実に防水密閉することができる効果がある。
【0015】
なお、密封シール材8は上記第一の環状溝9及び第二の環状溝1bに挿入されるので、組み付け性が良く、しかも薄い肉厚の環状フレーム部材1であっても、シール接触面積を拡大することができ、密封性能が向上する効果がある。
更に、カバー3を装着する前段階において、電気的性能に関しては完成品となっているので、電子基板4上のチェック端子や、相手側コネクタ5を用いた製品試験を行うこともできる効果がある。
【0016】
コネクタハウジング7と一体化された環状フレーム部材1は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を基材として、重量比で15〜40%のガラスフィラーを充填した難燃性樹脂で構成される。
また、ベース2はアルミダイキャストで製作され、更にカバー3は金型加工された板金で製作され、密封シール材8は室温硬化型の液状シリコンゴムによる接着シール材が使用されている。
【0017】
従って、コネクタ部の成型寸法が安定するとともに、接続ピン6a,6bをコネクタハウジング7に圧入しても柔軟に対処することができる。
また、PBT(ポリブチレンテレフタレート)は、密封シール材8を構成する液状シリコンゴムによる接着性を阻害する窒素・硫黄を含まないので、ベース2やカバー3に対する接着性にも問題がない。
【0018】
電子基板4は、環状フレーム部材1の内壁に設けた圧入突起部13を電子基板4に設けた取付穴14に圧入することで仮固定されるものである。また、上記第一の一体化手段は、環状フレーム部材1の内壁に設けた複数の取付突起部15a〜15dと、ベース2間に電子基板4を圧接保持し、更には複数の固定ねじ16で締付固定するものである。
【0019】
このように、環状フレーム部材1に設けた圧入突起部13に電子基板4の取付穴14を圧入することで仮固定されるようになっているので、ねじ等の余分な部品を用いることなく、本固定までのハンドリング等で電子基板4が抜け落ちないように仮固定できるようになる。
また、電子基板4の外周は固定ねじ16によってベース2に圧接されており、環状フレーム部材1に発生する熱変形によるストレスや、振動荷重が電子基板4に作用しなくなるので、信頼性を向上させることができる。
【0020】
上記第二の一体化手段は、環状フレーム部材1の外壁に設けられた嵌合突起部17a,17bと、カバー3の外周折曲部10に設けられ、嵌合突起部17a,17bに嵌合する嵌合弾性部18a,18bによって構成されている。
従って、カバー3の取り付けねじが不要であって、しかも環状フレーム部材1とカバー3を手軽に一体化することができる効果がある。
【0021】
また、上記第二の一体化手段における嵌合突起部17a,17bの下部には窪み部19が設けられるとともに、嵌合弾性部18a,18bの先端には変形折曲部20a,20bが設けられ、嵌合弾性部18a,18bを嵌合突起部17a,17bに嵌合させた後に、変形折曲部20a,20bを窪み部19内に折曲加工する。
これにより、一体化された環状フレーム部材1とカバー3が容易に分解されないようになる。
また、嵌合弾性部18a,18bの弾性力のみに依存せず、嵌合弾性部18a,18bの寸法が短くても確実に一体化されるので、カバー3の小型化を図ることができる。
【0022】
電子基板4に対して折曲リード線21を介して垂直方向に半田付けされた発熱部品11a〜11hは、ベース2から立ち上げた伝熱リブ22の壁面に弾性体23a,23bを用いて密着させることにより、発熱部品11a〜11hの発生熱を高熱伝導性のベース2に伝熱させるものである。
従って、発生熱によるリード線の伸縮に伴う半田付け部のストレスを吸収でき、確実に熱放散を行うことができるとともに、多数の発熱部品11a〜11hの取付け面積を削減することができる。
【0023】
次に上記に示した構成を、図を参照しながら更に詳しく説明する。
図1,図2に示すように、例えばアルミダイキャスト製の高熱伝導性ベ−ス2には、その四方に取付け足12a〜12dが設けられており、この四方の取付け足12a〜12dには取付け穴24a〜24dが設けられている。
【0024】
図4において、ベース2の4隅には、固定ねじ16が挿入されるねじ穴が螺設された取付座25d(取付座25a〜25cは図示しない)が設けられ、また、図2に示すように、電子基板4の中央部には、電子基板4をベース2にねじ止め固定するための取付座26が設けられている。ベース2の外周上面部には第一の環状溝9が設けられ、また、伝熱リブ22はベース2の底面から直角方向に突出している。
【0025】
コネクタハウジング7は、PBT(ポリブチレン・テレフタレート)を基材として、重量比で15〜40%のガラスフィラーを充填した難燃性樹脂で成形されており、一対の環状突起部27a,27bを有し、この環状突起部27a,27b内に圧入された多数の折曲形(ライトアングルタイプ)の接続ピン6a,6bを備えている。
環状フレーム部材1はコネクタハウジング7と一体成型されており、第二の環状溝1bが環状フレーム部材1の上端部に設けられるとともに、環状突起部1aが環状フレーム部材1の下端部に設けられ、上記第一の環状溝9に嵌合するようになっている。
【0026】
次に図4に示すように、取付突起部15a〜15dが環状フレーム部材1の内壁の4隅に設けられており、また、抜き穴28a〜28dが取付突起部15a〜15dに設けられ、取付座25a〜25d上のねじ穴に対向している。そして、固定ねじ16が環状フレーム部材1側の抜き穴28a〜28dと、図示しない電子基板4の4隅に設けられた取付け穴を貫通して、ベース2側の取付座25a〜25dに設けられたねじ穴に挿入され、取付座25a〜25dに設けられたねじ穴は、外気が侵入しない袋ねじ状に構成されている。
同様に、電子基板4の中心部を固定する固定ねじ(図示しない)は、取付座26に設けられた袋ねじ穴に挿入されるようになっている。
【0027】
板金製等のカバー3は外周折曲部10を有し、第二の環状溝1bに嵌合するようになっている。
ガラスエポキシ材等からなる電子基板4には、発熱部品11a〜11hが半田付けされており、電子基板4の両面には多数の電子部品が半田付け装着されている。
図5において、圧入突起部13は環状フレーム部材1を電子基板4に仮固定するためのものであり、電子基板4に設けられた取付穴14に圧入されるように構成されている。
【0028】
次に、図6,図7において、嵌合突起部17a〜17d(17c,17dは図示されず)が環状フレーム部材1に設けられているとともに、窪み部19が嵌合突起部17a〜17dの下部に設けられ、カバー3に設けた嵌合弾性部18a〜18d(18c,18dは図示されず)は嵌合突起部17a〜17dに嵌合するように構成されている。
また、変形折曲部20a〜20dが嵌合弾性部18a〜18dの先端部に設けられており、変形折曲部20a〜20dは図示しない折曲治具によって折曲加工され、窪み部19内に押し込まれるようになっている。
【0029】
コネクタ部の拡大図である図8にいて、相手側コネクタ5は環状壁部27a,27bに挿入され、コネクタ5内部には図示しない多数のメスピンが挿入されていて、接続ピン6a,6bと接触嵌合するように構成されている。
また、環状溝5aが相手側コネクタ5に設けられており、環状溝5aは環状壁部27a,27bを挟み込むように構成され、その内部外周面には、例えばゴム材による弾性パッキン29が装着されている。
【0030】
図9(a)に示すように、カバー3の外周折曲部10の先端部は折り曲げられ、その斜面部30はプレス加工で打ち抜き断裁された周縁断裁部31と、複数の切り欠き部32を備えている。
図9(b)は外周折曲部10の先端部を示す正面図である。斜面部30は、上記第二の環状溝1bに挿入され、接着シール材8が充填されているが、環状溝1bの外周面と周縁断裁部31間には隙間Gが設けられている。
これは、接着シール材8が第二の環状溝1b内で流動して、斜面部30の内部及び外部に接着シール材8を均一に分布させるためのものである。
【0031】
次に図10において、電子基板4の切り欠き部4aを貫通して、伝熱リブ22が突出しており、電子基板4に半田付けされたトランジスタ等の発熱部品11dは弾性体23aによって、伝熱リブ22に圧着されている。
なお、発熱部品11dは折曲リード線21を介して電子基板4に半田付けされるので、温度変化に伴うリード線21の伸縮があっても、半田部に無理なストレスを与えることがないようになっている。
【0032】
以上のとおり構成されたものにおいて、電子基板4には発熱部品11a〜11hを含む多くの電子部品が実装され、続いてコネクタハウジング7部に多数の接続ピン6a,6bが圧入された環状フレーム部材1の圧入突起部13に対して、電子基板4の取付穴14を圧入仮固定した上で、噴流半田付け装置等を用いて接続ピン6a,6bを電子基板4に半田付けする。
【0033】
続いて、ベース2の第一の環状溝9の中に、例えば室温硬化型の液状シリコンゴムである接着シール材8を注入した上で、電子基板4が設置された環状フレーム部材1が載せられて、固定ねじ16を用いて、電子基板4とともにベース2に締付け固定される。
その後、弾性体23a,23bによって発熱部品11a〜11hを伝熱リブ22に圧着する。
【0034】
さらに、第二の環状溝1bの中に接着シール材4を注入した上で、カバー3が載せられて、大気放置することによってベース2,コネクタハウジング7,カバー3が一体化されるものである。
上記のような組立工程において、電子基板4は固定ねじ16でベース2に対して、環状フレーム部材1によって圧接固定されるので、環状フレーム部材1の熱変形ストレスが作用しても、電子基板4に対するひずみが発生しないようになっている。
【0035】
完成品を車体に装着する時には、機械的強度が強くて重量も重いベース2の取付け足12a〜12dを介して取付け固定され、続いて相手側コネクタ5を環状壁部27a,27bに挿入することによって配線作業が行われる。
なお、発熱部品11a〜11hが折曲リード線21を介して電子基板4に半田付けされたり、コネクタ5の接続ピン6a,6bが折り曲げられているのは、温度変化に伴うリード線21や接続ピン6a,6bの伸縮に対して、電子基板4の半田付け部に加わるストレスを低減するためのものである。
【0036】
以上で説明した例では、密封シール材8として液状シリコンゴムによる接着シール材を使用したものを示したが、これに代わって環状ゴム紐材等による弾性パッキンを用いることも可能であり、この場合には余分の部品等が必要となるが、保守点検が容易となる効果がある。
また、電子基板4の圧接用固定ねじ16を用いる代りに、リベットをベース2に圧入し、リベットの頭で環状フレーム部材1を押さえるようにしたり、あるいはベース2と一体成形されたピンをカシメるようにしてもよい。
【0037】
更に、固定ねじ16を環状フレーム部材1の外部に設けて、カバー3の取付け後であっても、環状フレーム部材1とベース2間の固定を解除することができるようにすることもできる。
【0038】
また、図5で説明したように、電子基板4と環状フレーム部材1の仮固定に関しては、圧入を用いる代りにねじを用いるようにしても良い。
【0039】
実施の形態2.
図11はこの発明の実施の形態2による車載電子機器の筐体構造を示す一部断面図であり、伝熱突起41がベース2の底面に設けられており、電子基板4の切り欠き部4bを貫通して伝熱突起41が突出している。
電子基板4に半田付けされた折曲リード線21付きのトランジスタ等の発熱部品11iは、固定ねじ42によって伝熱突起41の表面に平行方向に固定されていることにより、発熱部品11iから発生した熱をベース2に伝達するものである。
【0040】
なお、発熱部品11iは折曲リード線21を介して電子基板4に半田付けされるので、温度変化に伴うリード線の伸縮があっても、半田部に無理なストレスを与えることがないようになっている。
また、上記のように構成することにより、熱放散を確実に行なうことができるとともに、筐体の高さを低く抑えることができる。
尚、発熱部品11iを固定するための固定ねじ42の代わりに、リベットやカシメ方式を採用することもできる。
【0041】
実施の形態3.
図12はこの発明の実施の形態3による車載電子機器の筐体構造を示す一部断面図、図13は同じく平面図であり、伝熱面51がベース2の底面に設けられており、シリコン材等よりなる軟質・熱伝導性の絶縁シート52が伝熱面51に密着して配置されている。
また、放熱電極としてのコレクタ端子53aが、平面構造のパワートランジスタ等からなる発熱部品11jに設けられ、第二・第三電極としてのエミッタ端子53c,ベース端子53dも同様に設けられている。上記放熱電極としてのコレクタ端子53aは発熱部品11jの略全面にわたって設けられている。
【0042】
銅箔パターン54a,54bはコレクタ端子53aに接続され、多数のスルーホールメッキ穴55a〜55i(55d〜55iは図示されていない)が電子基板4に設けられている。銅メッキ等からなる第一のメッキ層56a,56bは銅箔パターン54a,54bを連結しており、その周りには半田レジスト層57a,57bが設けられ、エポキシ樹脂等からなる充填材58a〜58iがスルーホールメッキ穴55a〜55iに充填されている。
【0043】
例えば、銅メッキ等による第二のメッキ層59a,59bは、充填材58a〜58iを封鎖しており、放熱電極53aに対する半田層60が設けられている。
また、第二・第三電極53c、53dに対する半田層61c、61d(61dは図示されず)や、第二のメッキ層59c,59d、第一のメッキ層56c,56d(56dは図示されず)、或いは銅箔パターン54c,54d(54dは図示されず)などは、放熱電極53aとは電気的に分離して構成されている。
【0044】
上記のように、電子基板4は上下両面に設けられた銅箔パターン54a,54bと、銅箔パターン54a,54b間を接続する複数のスルーホールメッキ穴55a〜55iを生成する第一のメッキ層56a,56b、及びスルーホールメッキ穴55a〜55iの充填材58a〜58iを封鎖する第二のメッキ層59a,59bを備えている。
そして、電子基板4の上面に半田付けされた発熱部品11jの発生熱は、第二のメッキ層59aからスルーホールメッキ穴55a〜55iを通じて下面の第二のメッキ層59bに伝熱され、更に下面の第二のメッキ層59bと取付けベース2の伝熱面の間に設けた伝熱性絶縁層52を介して取付けベース2に伝熱される。
【0045】
このような筐体構造によれば、平面取付け構造の発熱部品11jの発生熱を、充填材58a〜58iを含む電子基板4のスルーホールメッキ穴55a〜55iを利用してベース2に伝熱させるようになっているので、第二のメッキ層59a,59bによってスルーホールメッキ穴55a〜55iに半田が流れ込むことを防止して、伝熱面との接触平面を確保するとともに、多数のスルーホールメッキ穴55a〜55iを設けて熱伝導性を向上させることができ、その結果、発熱部品11jの温度上昇を低減することができる効果がある。
尚、伝熱シート52の代わりに、伝熱性,絶縁性を有する接着材を使用することも可能である。
【0046】
【発明の効果】
この発明の請求項1に係る車載電子機器の筐体構造によれば、環状フレーム部材と、この環状フレーム部材の下端面を閉鎖するベースと、上端面を閉鎖するカバーによって電子基板を密閉収納するものであって、相手側コネクタが挿入され多数の接続ピンが圧入されるコネクタハウジングを環状フレーム部材と難燃性樹脂で一体成形するとともに、環状フレーム部材の内壁に設けた圧入突起部を電子基板に設けた取付穴に圧入することで、電子基板が仮固定されるよう構成され、ベースは高熱伝導性素材で成形されるとともに、ベースの上面外周には密封シール材が挿入される第一の環状溝が形成され、この第一の環状溝には環状フレーム部材の下端外周に設けられた環状突起部が嵌合するよう構成され、カバーの周縁部には環状フレーム部材の上端外周に設けられた第二の環状溝に嵌合する外周折曲部が設けられるとともに、第二の環状溝には密封シール材が挿入されるよう構成され、環状フレーム部材の外壁に設けられた嵌合突起部が、カバーの外周折曲部に設けられた嵌合弾性部に嵌合され、嵌合弾性部の先端に設けられた変形折曲部を嵌合突起部の下部に設けられた窪み部内に折曲加工し、ベースには、車体に設置固定するための複数の取付け足を設けたので、第一の重量体であるベースを車体に直接取付けし、第二の重量体である電子基板をベースに直接取付けすることにより、発熱部品の伝熱放散を行わせるとともに、取付けの耐振性を向上させ、しかも成型材料である環状フレーム部材の熱変形ストレスが電子基板に加わらないようにすることができ、更にベース・環状フレーム部材・カバー間を密封シール材で防水させることができるとともに、耐振性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による車載電子機器の筐体構造を示す平面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1によるカバーを取り除いた状態の車載電子機器の筐体構造を示す平面図である。
【図3】 図1のA−A線断面図である。
【図4】 図3のB部拡大図である。
【図5】 図2のC−C線断面図である。
【図6】 筐体構造を示す側面図である。
【図7】 図6のD−D線断面図である。
【図8】 図3におけるコネクタハウジング部を示す拡大図である。
【図9】 図8のE部を示す拡大図である。
【図10】 発熱部品の取付状態を示す拡大図である。
【図11】 この発明の実施の形態2による車載電子機器の筐体構造を示す一部断面図である。
【図12】 この発明の実施の形態3による車載電子機器の筐体構造を示す一部断面図である。
【図13】 この発明の実施の形態3による車載電子機器の筐体構造を示す平面図である。
【符号の説明】
1 環状フレ−ム部材、1a 環状突起部、1b 第二の環状溝、2 ベース、
3 カバー、4 電子基板、5 相手側コネクタ、6a,6b 接続ピン、
7 コネクタハウジング、8 密封シール材、9 第一の環状溝、10 外周折曲部、
11a〜11h,11i,11j 発熱部品、12a〜12d 取付け足、
13 圧入突起部、14 取付穴、15a〜15d 取付突起部、16 固定ねじ、
17a,17b 嵌合突起部、18a,18b 嵌合弾性部、19 窪み部、
20a,20b 変形折曲部、21 折曲げリード線、22 伝熱リブ、
23a,23b 弾性体、25a〜25d 取付座、41 伝熱突起、
54a,54b 銅箔パタ−ン、55a〜55i スルーホールメッキ穴、
56a,56b 第一のメッキ層、58a〜58i 充填材、
59a,59b 第二のメッキ層、52 伝熱性絶縁層。

Claims (6)

  1. 環状フレーム部材と、この環状フレーム部材の下端面を閉鎖するベースと、上端面を閉鎖するカバーによって電子基板を密閉収納する車載電子機器の筐体構造において、相手側コネクタが挿入され多数の接続ピンが圧入されるコネクタハウジングを上記環状フレーム部材と難燃性樹脂で一体成形するとともに、上記環状フレーム部材の内壁に設けた圧入突起部を上記電子基板に設けた取付穴に圧入することで、電子基板が仮固定されるよう構成され、上記ベースは高熱伝導性素材で成形されるとともに、上記ベースの上面外周には密封シール材が挿入される第一の環状溝が形成され、この第一の環状溝には上記環状フレーム部材の下端外周に設けられた環状突起部が嵌合するよう構成され、上記カバーの周縁部には上記環状フレーム部材の上端外周に設けられた第二の環状溝に嵌合する外周折曲部が設けられるとともに、上記第二の環状溝には密封シール材が挿入されるよう構成され、上記環状フレーム部材の外壁に設けられた嵌合突起部が、上記カバーの外周折曲部に設けられた嵌合弾性部に嵌合され、上記嵌合弾性部の先端に設けられた変形折曲部を上記嵌合突起部の下部に設けられた窪み部内に折曲加工し、上記ベースには、車体に設置固定するための複数の取付け足を設けたことを特徴とする車載電子機器の筐体構造。
  2. 上記コネクタハウジング及び上記環状フレーム部材はポリブチレンテレフタレート樹脂を基材として、重量比で15〜40%のガラスフィラーを充填した難燃性樹脂で構成するとともに、上記ベースはアルミダイキャストで構成し、また、上記カバーは金型加工された板金で構成するとともに、上記密封シール材として室温硬化型の液状シリコンゴムによる接着シール材を使用したことを特徴とする請求項1記載の車載電子機器の筐体構造。
  3. 上記環状フレーム部材の内壁に複数の取付突起部を設けるとともに、上記ベースには複数の取付座を設け、固定ねじを上記取付突起部と上記電子基板とを通して上記取付座に設けた袋ねじ穴に螺入させたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車載電子機器の筐体構造。
  4. 上記電子基板に対して折曲リード線を介して垂直方向に半田付けされた発熱部品を、上記ベースから突出して設けた伝熱リブの壁面に弾性体を用いて密着させたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載電子機器の筐体構造。
  5. 上記電子基板に対して折曲リード線を介し平行方向に半田付けされた発熱部品を、上記ベースに設けられた伝熱突起の表面に固定したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載電子機器の筐体構造。
  6. 上記電子基板は上下両面に設けられた銅箔パターンと、この銅箔パターン間を接続する複数のスルーホールメッキ穴を生成する第一のメッキ層と、上記スルーホールメッキ穴の充填材を封鎖する第二のメッキ層と、上記第二のメッキ層と上記ベースの伝熱面の間に介在させた伝熱性絶縁層とから構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載電子機器の筐体構造。
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