JP4381113B2 - アンテナ共用器 - Google Patents

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Description

本発明は、携帯電話機等に装備されるアンテナ共用器に関するものである。
図５に示す如く、アンテナ共用器(80)は、アンテナが接続されるべきアンテナ端子ＡＮＴと、送信回路が接続されるべき送信側信号端子Ｔｘと、受信回路が接続されるべき受信側信号端子Ｒｘとを具え、アンテナ端子ＡＮＴは分岐点(10)を介して送信側信号端子Ｔｘと受信側信号端子Ｒｘに繋がっており、分岐点(10)から送信側信号端子Ｔｘに繋がる信号線には、弾性表面波素子からなる送信用フィルター(51)が介在すると共に、分岐点(10)から受信側信号端子Ｒｘに繋がる信号線には、弾性表面波素子からなる受信用フィルター(41)が介在している(特許文献１参照)。
又、分岐点(10)と受信用フィルター(41)の間には、位相を回転させるための位相整合用ストリップ線路(７)が介在し、送信用フィルター(51)と受信用フィルター(41)の間の位相の整合を図ることが行なわれている(特許文献２参照)。
尚、位相整合用ストリップ線路(７)は、送信用フィルター(51)と受信用フィルター(41)の内、通過周波数帯域が高い方のフィルターと分岐点(10)の間に介装される。
図６は、パッケージ化したアンテナ共用器(80)の構成を示しており、複数のセラミック層(81)を積層してなる多層セラミックパッケージ(82)の表面に凹部が形成されて、該凹部の底面に送信用フィルター(51)と受信用フィルター(41)が搭載され、その周囲に、複数の信号入出力パッド(９)及びグランドパッド(91)が配列されている。
又、パッケージ(82)を構成する下部４層のセラミック層(81)の表面にはそれぞれ、下層から順に、グランド層(71)、前述の位相整合用ストリップ線路(７)、コンデンサ等の必要な回路素子パターン(６)、及びグランド層(61)が形成されている。位相整合用ストリップ線路(７)は、例えば図７に示す如きパターンを有している。
更にパッケージ(82)の側面には、図７に示す如く、アンテナ端子ＡＮＴ、送信側信号端子Ｔｘ及び受信側信号端子Ｒｘを含む複数のキャスタレーション(84)が形成されている。
特開平１１−３４０７８１号公報 特開２０００−３０７３８３号公報
アンテナ共用器においては、信号送信時に、送信側信号端子Ｔｘに入力された信号が送信用フィルター(51)を通過した後、アンテナ端子ＡＮＴからアンテナへ出力されるが、このとき、送信側信号端子Ｔｘに入力された信号が受信側信号端子Ｒｘに回り込む現象に対し、十分なアイソレーション対策を施す必要がある。
そこで、従来のアンテナ共用器においては、送信側信号端子Ｔｘから送信用フィルター(51)及び受信用フィルター(41)を経て受信側信号端子Ｒｘに至る信号経路に対して種々のアイソレーション対策が施されている。
しかし、従来のアンテナ共用器においては依然として十分なアイソレーション効果が得られておらず、更なる改善の余地が残されていた。
本発明の目的は、従来よりも更に高いアイソレーション効果を得ることが出来るアンテナ共用器を提供することである。
そこで本発明者らは、鋭意研究の結果、従来のアンテナ共用器において十分に高いアイソレーション効果が得られていなかった原因を究明し、その結果に基づいて、従来よりも更に高いアイソレーション効果を得ることの出来るアンテナ共用器の開発に成功した。
即ち、従来のアンテナ共用器においては、図７に示す如く位相整合用ストリップ線路(７)が形成されたセラミック層(81)において、その両側に送信側信号端子Ｔｘと受信側信号端子Ｒｘが配備されていたため、送信側信号端子Ｔｘに入力された信号の一部が、直接に位相整合用ストリップ線路(７)を経て受信側信号端子Ｒｘに回り込み、受信側信号端子Ｒｘから受信回路へ出力されていたのである。
本発明に係るアンテナ共用器は、複数のセラミック層(81)を積層してなるパッケージ(83)の表面に送信用フィルター(51)及び受信用フィルター(41)を搭載して構成され、パッケージ(83)を構成する少なくとも一つのセラミック層(81)の表面には位相整合用ストリップ線路(７)が形成されている。
又、パッケージ(83)には、前記位相整合用ストリップ線路(７)を挟んで上下のセラミック層(81)(81)の表面にそれぞれグランド層(61)(71)が形成されると共に、位相整合用ストリップ線路(７)の周囲には、両グランド層(61)(71)を互いに連結する複数本の導体線路が形成されている。
上記本発明のアンテナ共用器においては、位相整合用ストリップ線路(７)の周囲に複数本の導体線路が形成されると共に、各導体線路の両端は上下のグランド層(61)(71)にそれぞれ連結されているので、位相整合用ストリップ線路(７)の周囲にシールドが施されることとなり、送信側信号端子Ｔｘから位相整合用ストリップ線路(７)を経て受信側信号端子Ｒｘに至る信号の回り込み経路が遮断され、この結果、高いアイソレーション効果が得られる。
具体的構成において、前記複数本の導体線路はそれぞれ、両グランド層(61)(71)間のセラミック層(81)を垂直に貫通する孔の内周面に導体を成膜し、若しくは該孔に導体を充填してなるビアホール(４)によって構成されている。
又、パッケージ(83)の側面には、アンテナ端子ＡＮＴ、送信側信号端子Ｔｘ及び受信側信号端子Ｒｘを含む複数のキャスタレーション(84)が配備され、前記導体線路は、送信側信号端子Ｔｘと位相整合用ストリップ線路(７)の間、及び／又は、受信側信号端子Ｒｘと位相整合用ストリップ線路(７)の間に介在している。
該具体的構成によれば、送信側信号端子Ｔｘと位相整合用ストリップ線路(７)の間にシールドが施され、或いは、受信側信号端子Ｒｘと位相整合用ストリップ線路(７)の間にシールドが施されることとなり、この結果、送信側信号端子Ｔｘから位相整合用ストリップ線路(７)を経て受信側信号端子Ｒｘへ至る信号の伝達経路が遮断されて、アイソレーション特性が改善される。
更に具体的な構成において、前記複数本の導体線路は、位相整合用ストリップ線路(７)が形成されている領域の全周を包囲して配列されている。
これによって、位相整合用ストリップ線路(７)の全周囲に対してシールドが施されることとなり、外部からの不要な信号の入力を阻止することが出来る。
本発明に係るアンテナ共用器によれば、従来のアンテナ共用器よりも高いアイソレーション効果が得られる。
以下、本発明の実施形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係るアンテナ共用器は、図２に示す如く、複数のセラミック層(81)を積層してなる直方体状のパッケージ(83)を具え、最上層のセラミック層(81)の表面には凹部を形成して、該凹部の底面に送信用フィルター(51)と受信用フィルター(41)を搭載している。
パッケージ(83)を構成する下部４層のセラミック層(81)の表面にはそれぞれ、下層から順に、グランド層(71)、位相整合用ストリップ線路(７)、コンデンサ等の必要な回路素子パターン(６)、及びグランド層(61)が形成されている。
又、パッケージ(83)には、図２及び図３に示す如く、位相整合用ストリップ線路(７)を包囲して、上下のグランド層(61)(71)を互いに連結する複数本のビアホール(４)が一定ピッチで繰り返し形成されている。例えば５ｍｍ×５ｍｍのパッケージ寸法においてビアホール(４)の直径は０.１〜０.２ｍｍであり、ピッチは約０.５ｍｍである。
尚、ビアホール(４)としては、両グランド層(61)(71)間のセラミック層(81)を垂直に貫通する孔の内周面に導体をメッキしたした構造や、該孔に導体を充填した構造を採用することが出来る。
図１に示す如く、パッケージ(83)の表面には、送信用フィルター(51)及び受信用フィルター(41)の両側に、送信側信号入力パッド(９ａ)、送信側信号出力パッド(９ｂ)、受信側信号入力パッド(９ｃ)、受信側信号出力パッド(９ｄ)及び複数のグランドパッド(91)が、前記凹部の互いに平行な２つの垂直壁に沿って、二列に配列されている。
そして、図２に示す如く上述の複数のパッド(９)(91)がボンディングワイヤー(90)によって送信用フィルター(51)及び受信用フィルター(41)と接続されている。
図１に示す如くパッケージ(83)の四方の側面には、アンテナ端子ＡＮＴ、送信側信号端子Ｔｘ及び受信側信号端子Ｒｘを含む複数のキャスタレーション(84)が形成されており、送信側信号入力パッド(９ａ)は送信側信号端子Ｔｘに接続され、受信側信号出力パッド(９ｄ)は受信側信号端子Ｒｘに接続され、送信側信号出力パッド(９ｂ)はアンテナ端子ＡＮＴに接続されている。
尚、キャスタレーション(84)としては、図４(ａ)に示す如くパッケージ(83)の側面に形成した断面半円状の凹部の内周面に導体をメッキした構造に限らず、図４(ｂ)に示す如く断面半円状の凹部に導体を充填した構造を採用することも可能である。
図８は、図２に示す本発明のアンテナ共用器(８)において送信側信号端子Ｔｘから受信側信号端子Ｒｘに回り込む信号のアイソレーション特性を示し、図９は、図６に示す従来のアンテナ共用器(80)における同様のアイソレーション特性を示している。
特に図中の周波数帯域Ａにおいて、図９に示す従来のアンテナ共用器のアイソレーション特性よりも図８に示す本発明のアンテナ共用器のアイソレーション特性の方が約５ｄＢだけ減衰量が大きくなっており、アイソレーション特性が改善されていることが明らかである。
上述の如く本発明に係るアンテナ共用器(８)によれば、位相整合用ストリップ線路(７)を包囲して複数本のビアホール(４)を配列した構造によって、高いアイソレーション効果を得ることが出来る。
又、上下のグランド層(61)(71)を、キャスタレーション(84)によって互いに連結すると共に、複数本のビアホール(４)によって互いに連結した構成により、グランドがより強化されることになる。
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図３に示す如く位相整合用ストリップ線路(７)の全周囲にビアホール(４)を配列する構成に限らず、送信側信号端子Ｔｘと位相整合用ストリップ線路(７)に挟まれた一部の領域、及び／又は、受信側信号端子Ｒｘと位相整合用ストリップ線路(７)に挟まれた一部の領域のみにビアホール(４)を配列した構成も採用可能である。
本発明に係るアンテナ共用器の平面図である。 該アンテナ共用器の断面図である。 位相整合用ストリップ線路が形成されたセラミック層の平面図である。 キャスタレーションの構造を示す拡大断面図である。 アンテナ共用器の電気的な構成を示すブロック図である。 従来のアンテナ共用器の断面図である。 該アンテナ共用器における位相整合用ストリップ線路が形成されたセラミック層の平面図である。 本発明のアンテナ共用器のアイソレーション特性を示すグラフである。 従来のアンテナ共用器のアイソレーション特性を示すグラフである。
符号の説明
(８) アンテナ共用器
(81) セラミック層
(83) パッケージ
ＡＮＴ アンテナ端子
Ｔｘ 送信側信号端子
Ｒｘ 受信側信号端子
(４) ビアホール
(７) 位相整合用ストリップ線路

Claims (2)

  1. 複数のセラミック層(81)を積層してなるパッケージ(83)の表面に送信用フィルター(51)
    及び受信用フィルター(41)を搭載して構成され、パッケージ(83)を構成する少なくとも一
    つのセラミック層(81)の表面には位相整合用ストリップ線路(７)が形成されているアンテ
    ナ共用器において、
    前記位相整合用ストリップ線路（７）が形成されたセラミック層（81）の同一表面では、
    前記位相整合用ストリップ線路（７）を挟んで送信側信号端子Ｔｘのキャスタレーション
    （84）と受信側信号端子Ｒｘのキャスタレーション（84）とが、位相整合用ストリップ線
    路（７）の近傍に配置され、
    パッケージ(83)には、送信用フィルター(51)及び受信用フィルター(41)よりも下に、前記
    位相整合用ストリップ線路(７)を挟んで上下のセラミック層(81)(81)の表面にそれぞれグ
    ランド層（61)(71)が形成され、
    前記位相整合用ストリップ線路(７)を挟んで上下の前記両グランド層(61)(71)を互いに連
    結する複数本の導体線路が形成され、
    前記位相整合用ストリップ線路（７）が形成されたセラミック層（81）の同一表面では、
    前記複数本の導体線路は互いに接続されておらず、
    前記複数本の導体線路は、前記送信側信号端子Ｔｘと前記位相整合用ストリップ線路(７)
    に挟まれた領域と前記受信側信号端子Ｒｘと前記位相整合用ストリップ線路(７)に挟まれ
    た領域とに配列され、且つ、前記位相整合用ストリップ線路(７)が形成されている領域の
    近傍の全周を包囲して配列されていることを特徴とするアンテナ共用器。
  2. 前記複数本の導体線路はそれぞれ、両グランド層(61)(71)間のセラミック層(81)を垂直
    に貫通する孔の内周面に導体を成膜し、若しくは該孔に導体を充填してなるビアホール(
    ４)によって構成されている請求項１に記載のアンテナ共用器。
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