JP4377030B2 - 難燃剤及び難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定組成を有するオルガノシロキサン化合物からなる難燃剤、及び、該難燃剤により難燃化された難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
難燃性樹脂組成物は、火災に対する安全性を確保するため、電気電子分野、建材分野、など種々の分野に利用されている。これら樹脂組成物は一般に、塩素系や臭素系などのハロゲン系化合物を難燃剤として用いていたが、近年のヨーロッパを中心とした環境問題に関する関心の高まりから、リン系難燃剤をはじめとしてハロゲンを含まない難燃剤の使用が種々検討されている。
しかしながら、リン系難燃剤である燐酸エステル系化合物、赤燐などを用いて難燃化した場合、押出・成形加工時に臭気が発生したり、機械的特性や熱的特性に悪影響を及ぼすなどの問題があるため、ハロゲン化合物やリン化合物に変わる難燃剤が各種検討されている。
【0003】
ハロゲンやリンを含まない難燃剤としては、シリコーン化合物が知られている。特開昭54−36365では、非シリコーンポリマーをT単位主体のシルセスキオキサン樹脂にて難燃化した樹脂組成物が開示されており、特開平10−139964では、芳香環を含有する非シリコーン樹脂をT単位及びD単位を有するシリコーン樹脂にて難燃化した樹脂組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭54−36365にて開示されたシルセスキオキサン樹脂では、難燃化のために高価なシルセスキオキサン樹脂を多量に添加する必要があるため、現実的ではない。また特開平10−139964に示されたシリコーン樹脂では、ポリカーボネートに対しては有効であるが、その他の樹脂に対しては難燃化効果が小さいため、十分に難燃化することができない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の組成を有するシリコーン化合物にてさまざまな検討を実施した結果、難燃剤として用いるシリコーン化合物の組成を厳密に制御することにより、少量の添加量にて高い難燃化効果を有するシリコーン化合物の合成に成功し本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、下記平均組成式(1)を有し、23℃にて流動せず、200℃では流動し、200℃にて30分間加熱攪拌してもゲル化せず、数平均分子量が2000以上であり、かつ、23℃でトルエン溶媒1L中100g以上溶解する芳香族基含有オルガノシロキサン化合物からなる難燃剤、及び、(B)分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂100重量部に対し、(A)上記難燃剤0.2〜20重量部を含有する難燃性樹脂組成物に関する。
R1 mR2 nSiO(4−m−n)/2 (1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)
以下に本発明を詳述する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の難燃剤は、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物からなる。芳香族基含有オルガノシロキサン化合物とは、Q単位(SiO2)、T単位(RSiO1.5)、D単位(R2SiO)及びM単位(R3SiO0.5)という4種類の構成単位のうち少なくとも1種から形成される重合体である。ここでRは、芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基を表す。
【0008】
本発明における芳香族基含有オルガノシロキサン化合物は、下記(1)〜(5)の条件を全て満足するものである。
(1)下記平均組成式(1)を有する。
R1 mR2 nSiO(4−m−n)/2 (1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。)
(2)23℃にて流動しない。
(3)200℃では流動する。
(4)200℃にて30分間加熱攪拌してもゲル化しない。
(5)数平均分子量が2000以上であり、かつ、23℃でトルエン溶媒1L中100g以上溶解する。
以下、順に説明する。
【0009】
(1)平均組成式(1)を有するとは、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が、分子内に炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1及び炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2の両方を有すること、これら全炭化水素基とSi原子数とのモル比m+nが1.1≦m+n≦1.7という範囲内であること、炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1と炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2とのモル比n/mが0.4≦n/m≦2.5という範囲内であること、を満たす。なお、各元素および各炭化水素基の割合は、水素、炭素およびケイ素のNMRを用いて算出する。
【0010】
炭素数が1〜4の脂肪族炭化水素基R1としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、等が例示される。これらの中で難燃化効果に優れるため好ましいのは、メチル基及びエチル基であり、より好ましいのはメチル基である。これら複数のR1は、全て同一であってもよいし、異なる基が混在していてもよい。脂肪族炭化水素基の炭素数が5以上になると、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物自体の難燃性が低下するため難燃化効果が低くなる。
【0011】
炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2としては特に限定されず、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、等が例示される。これらの中で難燃化効果に優れるため好ましいのは、芳香族環上に置換基を有しない芳香族基であり、より好ましいのはフェニル基である。これら複数のR2は、全て同一であってもよいし、異なる基が混在していてもよい。
【0012】
全炭化水素基とSi原子数とのモル比m+nは、1.1≦m+n≦1.7という範囲内である。m+nの値は好ましくは1.15≦m+n≦1.65、より好ましくは1.18≦m+n≦1.6、さらに好ましくは1.20≦m+n≦1.55の範囲である。m+nの値が1.1未満であっても1.7より上であっても、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の難燃化効果が低下するため好ましくない。
【0013】
本発明における芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が上記(2)〜(5)の条件を満足するためには、一般に、M単位を分子中に相当数含んでいる必要がある。したがって1.1≦m+n≦1.7の式を満足する組成を得るためには、M単位のほかに、主にT単位からなる構造が好ましい。また、D単位が存在する場合にはQ単位を存在させると、1.1≦m+n≦1.7の式を満足する組成を得ることができる。
【0014】
炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1と炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2とのモル比n/mは、0.4≦n/m≦2.5という範囲内である。n/mが0.4未満であると、分子内に一価の脂肪族炭化水素基R1が多くなるが、この時には芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の耐熱性が低下して室温にて液体の化合物が得られやすくなったり、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物自体の難燃性が低下したりするため、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の難燃化効果が低下する原因となる。またn/mが2.5以上であると、分子内に一価の芳香族炭化水素基R2が多くなるが、この時には芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の耐熱性が向上しすぎることになり、200℃にて固体の化合物が得られたり、液体であっても非常に高粘度のものとなり、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の難燃化効果が低下する原因となる。n/mの値は、好ましくは0.43≦n/m≦2.3、より好ましくは0.45≦n/m≦2.1、さらに好ましくは0.47≦n/m≦2.0である。
【0015】
さらにn/mの値は、一般に樹脂中での芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の分散性を変化させる。最適な分散性を得るためのn/mの値は、樹脂の種類により異なるが、樹脂中に存在する芳香環の割合が多い場合にはn/mの値を上記範囲内でより大きく設定し、また、樹脂中に存在する芳香環の割合が少ない場合にはn/mの値を上記範囲内でより小さく設定することにより、樹脂中での芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の分散性が向上し、高い難燃化効果を得ることができる。
【0016】
(2)23℃にて流動しないことは、樹脂中に芳香族基含有オルガノシロキサン化合物を混合した際に、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の樹脂中での分散性を良好に均一化させるために重要である。23℃にて流動すると、樹脂中に芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が均一に存在しにくくなり、一部に偏在したり、オルガノシロキサン相が連続して存在したりするため、得られた組成物の難燃性が低下する。なお、「流動する」とは、所定の温度にて本化合物が液体であることを示すが、本化合物の組成や分子量によっては、本化合物が液体か固体かの判定が困難である場合がある。液体か固体かの判定が困難である場合、以下の判定基準による判定を行った。本サンプルを10g採取して全粒子の粒径が1mm以下となるよう細かく粉砕して粉体状とする。この粉体をガラス製容器内で流動性を判定する温度に保ち10分間静置した後に、再度本化合物の状態を観察した後、本化合物全量が一体化して固着している状態となっている場合、「流動する」ものと判定する。また、23℃にて粘着性を有しない固体であることがさらに好ましい。
【0017】
芳香族基含有オルガノシロキサン化合物を23℃にて流動しない化合物とする一般的な方法としては、全炭化水素基とSi原子とのモル比m+nを1.1≦m+n≦1.7という範囲内でより小さく設定する方法、1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1と炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2とのモル比n/mを0.4≦n/m≦2.5という範囲内でより大きく設定する方法、及び、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の分子量を好ましい範囲内でできるだけ大きく設定する方法、等が挙げられる。
【0018】
(3)芳香族基含有オルガノシロキサン化合物は、200℃で流動する化合物である。200℃にて流動しないオルガノシロキサン化合物は実質上難燃化効果をほとんど有しない。良好な難燃性を得るためには、好ましくは170℃以上で流動化すること、さらに好ましくは150℃以上で流動化することである。さらに、200℃で測定される溶融粘度は低いほうが難燃性が向上するため好ましい。200℃にて測定される粘度は好ましくは1000000cSt以下、さらに好ましくは100000cSt以下、最も好ましくは10000cSt以下である。
【0019】
芳香族基含有オルガノシロキサン化合物を200℃で流動する化合物とする一般的な方法としては、全炭化水素基とSi原子とのモル比m+nを1.1≦m+n≦1.7という範囲内でより大きく設定する方法、1〜4の一価の脂肪族炭化水素基R1と炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基R2とのモル比n/mを0.4≦n/m≦2.5という範囲内でより小さく設定する方法、及び、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の分子量を下記範囲内でより小さく設定する方法、等が挙げられる。
【0020】
(4)芳香族基含有オルガノシロキサン化合物は、200℃にて30分間加熱攪拌してもゲル化しない化合物である。200℃にて加熱攪拌して30分未満でゲル化するオルガノシロキサン化合物は、難燃化効果をほとんど有しない。好ましくは200℃にて60分間加熱攪拌してもゲル化しないこと、さらに好ましくは200℃にて120分間加熱攪拌してもゲル化しないことである。ここで、「ゲル化」の判断は以下の方法により行った。ゲル化判定温度にて真空状態で指定された時間攪拌した後、23℃まで冷却、粉砕した粉体状のサンプル200gを23℃にてトルエン1L中に投入し、23℃にて24時間攪拌後、不溶分を濾過した。濾過された成分を23℃にて6時間真空乾燥した後、重量を測定し、不溶分の重量が100g以上の場合にはゲル化したと判断する。ただし、加熱攪拌時に酸性やアルカリ性の化合物、シリコーンの分解触媒、等が共存していると、好ましい芳香族基含有オルガノシロキサン化合物であってもゲル化する場合があるため、本試験は実質上このような不純物が存在しない条件下で実施する必要がある。
【0021】
芳香族基含有オルガノシロキサン化合物を200℃にて30分間加熱攪拌してもゲル化しないものとする一般的な方法としては、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の分子中に存在する反応性基の存在量をできる限り減らす方法が挙げられる。ここで、反応性基とは、シラノール基、アルコキシケイ素基などの縮合性基をいう。分子内に反応性基が存在すると、加熱攪拌時にこれらの反応性基同士が反応するため、ゲル化が生じやすい。
【0022】
(5)芳香族基含有オルガノシロキサン化合物は、数平均分子量が2000以上であり、かつ、23℃でトルエン溶媒1L中100g以上溶解する化合物である。ここでいう数平均分子量とは、一般的なGPC分子量測定装置により、クロロホルム溶媒、RI検出器、にて測定された測定値を、分子量既知のポリスチレンの測定値から換算して得られる値を表す。数平均分子量は大きすぎても小さすぎても好ましくない。数平均分子量が2000未満であると、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物自体の熱安定性が低下するため難燃性が低下する。芳香族基含有オルガノシロキサン化合物は、分子量が大きくなるにつれて溶媒に対する溶解度が低下する。樹脂に難燃性を付与するためには、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が、23℃でトルエン溶媒1L中100g以上という溶解度を持つ必要がある。溶媒に溶解しない程度の高分子量体は、樹脂に添加してもほとんど難燃性を示さない。好ましい数平均分子量の範囲は2400〜50000、より好ましくは2700〜10000、さらに好ましくは2900〜7000である。
【0023】
このような芳香族基含有オルガノシロキサン化合物は既知のシリコーン合成法により容易に合成することができる。すなわち、R3SiXで表される一官能性ケイ素化合物、R2SiX2で表される二官能性ケイ素化合物、RSiX3で表される三官能性ケイ素化合物、四ハロゲン化ケイ素、テトラアルコキシシラン、水ガラス、金属ケイ酸塩などの四官能性ケイ素化合物のなかから必要に応じて選択した少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種のケイ素化合物を縮合反応させることにより合成できる。なお、式中、Rは、芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を表す。Xは、ハロゲン、水酸基、アルコキシ基などの、縮合してシロキサン結合を形成しうる基を表す。
【0024】
反応条件は、用いる基質や目的化合物の組成および分子量によって異なる。反応は、一般的に、必要により水、酸及び/又は有機溶媒の存在下で、必要により加熱しながらケイ素化合物を混合することにより行うことができる。各ケイ素化合物の使用割合は、得られる芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が上記条件を満たすよう、各単位の含量、芳香族炭化水素基と脂肪族炭化水素基の比率を考慮して、適宜設定すればよい。上述のように反応性基の存在量をできる限り減らすためには、上記縮合反応の後、さらに、R3SiXで表される一官能性ケイ素化合物を過剰量加えて縮合反応を行うことが好ましい。
【0025】
本発明で使用する(B)分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂は、合成されたものであっても、天然の樹脂であってもよい。また熱可塑性であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、熱可塑性樹脂であるほうが難燃性樹脂組成物の難燃性が向上するため好ましい。
【0026】
このような樹脂としては様々なものがあるが、例えば、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ビニル/アルキル(メタ)アクリレート共重合樹脂、芳香族ビニル/無水マレイン酸共重合樹脂、芳香族ビニル/アルキル(メタ)アクリレート/ゴム状重合体共重合樹脂、N−フェニルマレイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、芳香族ポリケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族エポキシ系樹脂、芳香族フェノキシ樹脂、等が特に好適である。これら分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂は1種単独あるいは2種以上組み合わせて用いても良い。
【0027】
また、分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂と、それ以外の樹脂との混合物であってもよい。分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂と混合する樹脂としては特に限定はなく、一般的に用いられるさまざまな樹脂が使用可能である。分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂と、それ以外の樹脂との混合物である場合には、両者の混合割合は(分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂)/(それ以外の樹脂)が0.3以上であることが好ましく、0.5以上がさらに好ましく、1.0以上であることがもっとも好ましい。
【0028】
良好な難燃性を示すための、樹脂に対する芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の添加量は、0.2〜20重量部である。好ましい添加量は0.3〜15重量部、さらに好ましい添加量は0.5〜10重量部である。添加量が0.2重量部未満では得られた組成物が十分な難燃性を示さない。添加量が20重量部を超えた場合には、物性上特に問題がない場合が多いが、一般的には経済的に不利な組成物となる。
【0029】
本発明の難燃剤を添加した樹脂組成物は、分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂中で、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が数平均分散粒径0.01μm〜0.5μmの範囲で分散していることが好ましい。芳香族基含有オルガノシロキサン化合物がここまでに記したような構造を有することにより、このような範囲でオルガノシロキサン化合物を分散させることが可能となる。このように微粒子状となって分散することにより、きわめて良好な難燃性を示すことができる。なお、本発明で言う数平均分散粒径とは、得られた樹脂組成物を厚さ3.2mmの成形体としたときの、成形体厚み方向のほぼ中心部分を透過型電子顕微鏡にて約16000倍に拡大して観察したときの芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の各粒子を、円形とみなした場合に算出される分散粒径を数平均で算出した値である。数平均分散粒径のより好ましい範囲は0.02μm〜0.4μm、さらに好ましい範囲は0.03μm〜0.3μmの範囲である。なお数平均分散粒径は、芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の添加量に影響され、添加量が多いほど分散粒径は大きくなる傾向がある。
【0030】
本発明の難燃性樹脂組成物には、さらに難燃性を高めるために、フッ素系樹脂、本発明で用いられる芳香族基含有オルガノシロキサン化合物以外のケイ素含有重合体、等を用いることができる。
【0031】
フッ素系樹脂とは樹脂中にフッ素原子を有する樹脂である。具体的には、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などを挙げることができる。また、得られた成形品の難燃性などの物性を損なわない程度で必要に応じ、該フッ素樹脂の製造に用いる単量体と、共重合可能な他の単量体とを共重合してえられた共重合体を用いてもよい。これらのフッ素系樹脂は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。フッ素系樹脂の分子量は、100万〜2000万が好ましく、さらに好ましくは200万〜1000万である。これらフッ素系樹脂の製造方法に関しては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などの通常公知の方法によりえることができる。
【0032】
本発明で用いられる芳香族基含有オルガノシロキサン化合物以外のケイ素含有重合体とは、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン、等のジオルガノシロキサン化合物、トリメチルシルヘミオキサン、トリフェニルシルヘミオキサン、等のオルガノシルヘミオキサン化合物、及びこれらを重合して得られる共重合体、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシラザン、ケイ素−ホウ素共重合体、ケイ素−金属共重合体、等が挙げられる。分子中の一部がエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、エーテル、等により置換された変性ケイ素重合体も用いることができる。中でも数平均分子量が200以上、更に好ましくは数平均分子量が1000〜5000000の範囲の重合体であることが、難燃性をより高めることができるため好ましい。シリコーンの形状には特に制限はなく、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット状、等の任意のものが利用可能である。これらの中でも、ケイ素−ホウ素共重合体が難燃化効果を著しく高める効果があるため好ましい。
【0033】
フッ素系樹脂、ケイ素含有重合体の添加量は、本発明の特性(耐薬品性、耐熱性など)を損なわない限り制限はないが、樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.03〜8重量部、特に好ましいのは、0.05〜6重量部である。添加量が0.01未満では、難燃性向上効果が小さくなり、10重量部を越えると成形性などが低下する場合がある。
【0034】
また本発明の難燃性樹脂組成物をより高性能な物にするため、フェノール系安定剤、チオエーテル系安定剤、リン系安定剤、等の熱安定剤を1種または2種類以上併せて使用することが好ましい。さらに必要に応じて、通常良く知られた、滑剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤、等の添加剤を1種または2種類以上併せて使用することが出来る。ただし、これら添加剤として芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の分解や反応を促進するものを用いると、得られた組成物の難燃性が低下するため、このようなものを用いるのは好ましくない。
【0035】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されるものではない。例えば上記成分、及び他の添加剤、樹脂、等を必要に応じて乾燥後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混練機にて、溶融混練する方法等により製造することができる。芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が樹脂中で数平均分散粒径0.01μm〜0.5μmの範囲内で分散するためには、特に2軸押出機などの溶融混練装置を用いて、溶融状態で剪断力を与えながら混練する方法により製造すればよい。
本発明で製造された難燃性樹脂組成物の成形加工法は特に限定されるものではなく、一般に用いられている成形法、例えば射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、発泡成形、等が適用できる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、種々の用途に好適に使用される。好ましい用途としては、家電、OA機器部品、自動車部品などの射出成形品、ブロー成形品、押出成形品、発泡成形品、などが挙げられる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下では特にことわりがない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。
なお、樹脂組成物の評価は下記の方法で行った。
芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の分析方法は以下の方法を用いた。
【0037】
平均組成式:溶媒重クロロホルムにてサンプルを溶解し、水素、炭素、ケイ素のNMRにて、それぞれの割合を算出した。
流動性:23℃または200℃にて、明らかに液体であるものは「流動」とした。各温度にて液体と固体との区別が困難である場合には、以下の判定を実施した。各サンプルを10g採取して全粒子の粒径が1mm以下となるよう細かく粉砕して粉体状とする。この粉体をガラス製容器内で流動性を判定する温度に保ち10分間静置した後に、再度本化合物の状態を観察した際、本化合物が一体化して固着している状態となっている場合、「流動」と判定した。本化合物が粉体形状を保っている場合や、一部固着しているものの全サンプルが一体とはなっていない場合には「流動せず」と判断した。
【0038】
23℃でのトルエン1Lへの溶解度:トルエン1L中に、23℃にて6時間真空乾燥した粉体状のサンプル200gを投入し、23℃にて24時間攪拌後、不溶分を濾過した。濾過された成分を23℃にて6時間真空乾燥した後、重量を測定した。溶解度は200−(不溶分の重量)の式により算出した。なお、不溶分が全く無かったサンプルについては、溶解度200g以上とした。
【0039】
200℃でのゲル化の有無:200℃にて真空状態で30分間攪拌した後、23℃まで冷却、粉砕した粉体状のサンプル200gを23℃にてトルエン1L中に投入し、23℃にて24時間攪拌後、不溶分を濾過した。濾過された成分を23℃にて6時間真空乾燥した後、重量を測定し、不溶分の重量が100g以上の場合には「ゲル化」と判定した。また、上記試験にて「ゲル化」と判断されなかったサンプルについては、200℃での加熱時間を60分、120分、と順次変化させて同様の測定を実施した。60分攪拌にてゲル化したものは「60分ゲル化」、120分攪拌にてゲル化したものは「120分ゲル化」、と判定した。120分攪拌でもゲル化しなかったサンプルについては「ゲル化無し」と判定した。なお、「23℃でのトルエン1Lへの溶解度」試験にて溶解度が100g以下であった場合は、この判定は実施しなかった。
【0040】
数平均分子量:Warters510型GPCシステム、カラム:ShodexK−80M、K−802.5、カラム温度:35℃、移動相:クロロホルム(和光HPLC用)、流速:1mL/min、インジェクション量:50μL(約0.3wt%)、標準試料:ポリスチレン(昭和電工ShodexStandard)の条件にて、RI検出器で検出を行い、数平均分子量を算出した。また、同時に重量平均分子量も算出し、(重量平均分子量)/(数平均分子量)の式により分子量分布も算出した。なお、クロロホルム溶媒に溶解しないものについては上記分析を行わず、23℃でのトルエンへの溶解度を測定するのみの評価とした。
【0041】
(製造例1):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A1)の製造
テトラクロロシラン1.0部、メチルトリクロロシラン12.0部、フェニルトリクロロシラン64.0部、溶媒メチルイソブチルケトン200部を反応容器に氷温下にて仕込み、イオン交換水75部を攪拌しながら0〜10℃の範囲に調節しつつ6時間かけて徐々に添加した。添加終了後室温にて12時間攪拌した後、室温にてトリメチルクロロシラン23.0部を滴下し、室温にて12時間攪拌した。レジンの洗浄水が中性になるまで水洗し、分離した有機相からエバポレートにより溶媒と低分子副生成物を除去し、固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A1)を得た。
【0042】
(製造例2):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A2)の製造
フェニルトリメトキシシラン1.16mol、テトラエトキシシラン0.58mol、純水4.93mol、35%塩酸40ppm、を反応容器に仕込み、23℃にて1時間、40℃にて1時間、60℃にて1時間、攪拌した。その後95℃に昇温し、アルコールを系外に除去しながら、アルコール発生が無くなるまで加熱した。得られたレジンをメチルイソブチルケトンに溶解し、室温にて1日攪拌したのち、トリメチルクロロシラン0.83molを滴下し60℃で1時間加熱した。レジンの洗浄水が中性になるまで水洗し、分離した有機相からエバポレートにより溶媒と低分子副生成物を除去し、固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A2)を得た。
【0043】
(製造例3):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A3)の製造
ジフェニルジメトキシシラン1.0mol、純水5.1mol、35%塩酸400ppm、を反応容器に仕込み、60℃にて3時間攪拌後、60℃にてテトラエトキシシラン1.0molを滴下した。その後90℃にてアルコールを系外に除去しながら、120℃まで昇温しアルコール発生が無くなるまで加熱した。アルコール発生が止まった後140℃にて2時間攪拌した。得られたレジンをメチルイソブチルケトンに溶解し、室温にて1日攪拌したのち、トリメチルクロロシラン1.5molを滴下し60℃で1時間加熱した。レジンの洗浄水が中性になるまで水洗し、分離した有機相からエバポレートにより溶媒と低分子副生成物を除去し、固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A3)を得た。
【0044】
(製造例4):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A4)の製造
テトラクロロシラン0.5部、メチルトリクロロシラン21.5部、フェニルトリクロロシラン62.0部、溶媒メチルイソブチルケトン260部、イオン交換水70部、トリメチルクロロシラン16.0部、とした以外は製造例1と同様の方法にて、固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A4)を得た。
【0045】
(参考製造例1):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′1)の製造
テトラクロロシラン1.0部、メチルトリクロロシラン22.0部、フェニルトリクロロシラン62.0部、溶媒メチルイソブチルケトン180部を反応容器に氷温下にて仕込み、イオン交換水45部を攪拌しながら0〜30℃の範囲に調節しつつ0.5時間かけて添加した。添加終了後溶媒に溶けないゲル状物が生成した。室温にて12時間攪拌した後、室温にてトリメチルクロロシラン15.0部を滴下し、室温にて12時間攪拌した。レジンの洗浄水が中性になるまで水洗し、ろ過及び真空乾燥し固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′1)を得た。
【0046】
(参考製造例2):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′2)の製造
メチルトリクロロシラン15.0部、フェニルトリクロロシラン80.0部、溶媒メチルイソブチルケトン180部を反応容器に氷温下にて仕込み、イオン交換水75部を攪拌しながら0〜20℃の範囲に調節しつつ1時間かけて徐々に添加した。添加終了後60℃にて4時間、室温にて12時間攪拌した後、室温にてトリメチルクロロシラン5.0部を滴下し、室温にて12時間攪拌した。レジンの洗浄水が中性になるまで水洗し、分離した有機相をエバポレートにより溶媒、低分子副生成物を除去し固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′2)を得た。
【0047】
(参考製造例3):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′3)の製造
イオン交換水85部、溶媒メチルイソブチルケトン250部を反応容器に氷温下にて仕込み、メチルトリクロロシラン33.0部、フェニルトリクロロシラン51.0部を攪拌しながら0〜5℃の範囲に調節しつつ8時間かけて徐々に添加した。添加終了後室温にてトリメチルクロロシラン16.0部を滴下し、室温にて12時間攪拌した。レジンの洗浄水が中性になるまで水洗し、分離した有機相をエバポレートにより溶媒、低分子副生成物を除去し固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′3)を得た。
【0048】
(参考製造例4):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′4)の製造
テトラエトキシシラン1.5mol、純水3.0mol、メタノール3.0mol、35%塩酸40ppm、を反応容器に仕込み、製造例2と同様に反応、溶媒へ溶解した。その後ジメチルフェニルクロロシラン2.0molを滴下した以外は製造例2と同様にして、固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′4)を得た。
【0049】
(参考製造例5):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′5)の製造
メチルトリクロロシラン31.0部、フェニルトリクロロシラン36.0部、ジフェニルジクロロシラン10.0部、溶媒メチルイソブチルケトン180部、イオン交換水75部、トリメチルクロロシラン23.0部とした以外は製造例1と同様の方法にて、固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′5)を得た。
【0050】
(参考製造例6):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′6)の製造
イオン交換水120部、溶媒メチルイソブチルケトン300部、テトラクロロシラン0.5部、メチルトリクロロシラン64.0部、フェニルトリクロロシラン15.5部、トリメチルクロロシラン20.0部、とした以外は参考製造例3と同様の方法にて、固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′6)を得た。
【0051】
(参考製造例7):芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′7)の製造
テトラクロロシラン5.0部、フェニルトリクロロシラン65.0部、溶媒メチルイソブチルケトン200部、イオン交換水75部、ジメチルフェニルクロロシラン30.0部、とした以外は製造例1と同様の方法にて、固形の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A′7)を得た。
各芳香族基含有オルガノシロキサン化合物の分析結果を表1に、合成に用いたシラン化合物を表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
なお、表1中、「測定不可」は、サンプルがクロロホルムに溶解しなかったために、各分析が実行できなかったことを表す。
【0054】
【表2】
【0055】
(実施例1)
芳香族ビスフェノールA型ポリカーボネート(出光石油化学製タフロンA−2200)100部、製造例1にて製造された芳香族基含有オルガノシロキサン化合物(A1)3部、テトラフルオロエチレン(ダイキン工業製ポリフロンFA−500)0.3部、フェノール系安定剤(旭電化工業製アデカスタブAO−60)0.1部、ホスファイト系安定剤(旭電化工業製アデカスタブHP−10)0.1部、を混合後、先端温度280℃に設定された同方向2軸押し出し機のホッパーに原料を投入し、溶融混連することにより樹脂組成物を得た。
【0056】
(実施例2〜6、比較例1〜7)
実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。但し用いる樹脂及び芳香族基含有オルガノシロキサン化合物については、表3に示すとおり変更した。
なお、用いた樹脂は以下のとおりである。
PET:対数粘度0.70のポリエチレンテレフタレート樹脂
PPE:対数粘度が0.50のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル樹脂
HIPS:スチレン・ブタジエン共重合体(新日鐵化学製エスチレンHI H−65)
ABS:スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(鐘淵化学工業製カネカMUH 85000H)
【0057】
評価方法1:難燃性
得られたペレットから厚み1.6mm、幅12.7mm、長さ127mmのバーを作成し、UL−94 V規格にしたがって厚み1.6mmのバーの難燃性を評価した。
【0058】
評価方法2:分散粒系
得られたペレットから厚み3.2mm、幅12.7mm、長さ127mmのバーを作成し、厚み方向の中心部分を切削した後、透過型電子顕微鏡により断面を観察し、画像処理により数平均分散粒系を算出した。
評価結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
また、実施例1の透過型電子顕微鏡写真を図1に、実施例2の透過型電子顕微鏡写真を図2に、比較例1の透過型電子顕微鏡写真を図3に、比較例6の透過型電子顕微鏡写真を図4に、それぞれ添付する。図1はグレー色のPC中に黒く濃い芳香族基含有オルガノシロキサン化合物A1が分散している。図2はグレー色のPC中に白いPETと黒く濃い芳香族基含有オルガノシロキサン化合物A1が分散している。図3はグレー色のPC中に濃い芳香族基含有オルガノシロキサン化合物A′1が分散している。図4はグレー色のPC中に薄いグレー色の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物A′6が分散している。
【0061】
表3にあるとおり、本発明の難燃剤を用いた実施例ではいずれも良好な難燃性が得られているのに対し、本発明の範囲外の難燃剤を用いた比較例ではいずれも難燃性が劣る結果となっている。また、実施例ではいずれも芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が細かく分散しているのに対し、比較例では分散粒径が大きすぎたり小さすぎたりしている。
【0062】
【発明の効果】
以上示すとおり、本発明の難燃剤を用いた樹脂組成物は、ハロゲン化合物やリン化合物を用いることなく、少量の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物を添加するだけで良好な難燃性が得られることがわかる。これらは工業的に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1から得られたバー断面の透過型電子顕微鏡写真
【図2】 実施例2から得られたバー断面の透過型電子顕微鏡写真
【図3】 比較例1から得られたバー断面の透過型電子顕微鏡写真
【図4】 比較例6から得られたバー断面の透過型電子顕微鏡写真
Claims (3)
- 下記平均組成式(1)を有し、SiO2単位およびR 2 SiO単位(式中、Rは芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基を表す)を含み、
23℃にて流動せず、200℃では流動し、200℃にて30分間加熱攪拌してもゲル化せず、数平均分子量が2000以上10000以下であり、かつ、23℃でトルエン溶媒1L中100g以上溶解する芳香族基含有オルガノシロキサン化合物からなる難燃剤。
R1 mR2 nSiO(4−m−n)/2 (1)
(式中、R1は炭素数が1〜4の一価の脂肪族炭化水素基を表し、R2は炭素数が6〜24の一価の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2はそれぞれ2種類以上存在していても良い。mとnは、1.1≦m+n≦1.7、及び、0.4≦n/m≦2.5を満たす数を表す。) - (B)分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂100重量部に対し、(A)請求項1記載の芳香族基含有オルガノシロキサン化合物からなる難燃剤0.2〜20重量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
- (B)分子中に酸素または硫黄原子と芳香環とを有する樹脂中で、(A)芳香族基含有オルガノシロキサン化合物が数平均分散粒径0.01μm〜0.5μmの範囲で分散している請求項2記載の難燃性樹脂組成物。
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