JP2007231078A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハロゲン、リン、窒素等の原子を実質的に含有せず、高い難燃化効果を広い成形条件で安定的に発現できる、難燃性と耐衝撃性に優れた難燃性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】RSiO3/2単位(式中、RはSiに結合可能な有機基を示し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい)を90モル%以上含有し、水系溶媒中で乳化剤を用いて体積平均粒子径が0.3〜5μmの粒子状に合成されたポリオルガノシロキサン粒子(A)、および樹脂(B)を含有することを特徴とする、難燃性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハロゲン、リン、窒素等の原子を含有せず、かつ高度な難燃性能と耐衝撃性を発揮する新規な難燃性樹脂組成物に関する。
難燃性樹脂組成物は、火災に対する安全性を確保するため、電気電子分野、建材分野など種々の分野に利用されている。これら樹脂組成物は一般に、塩素系や臭素系などのハロゲン系化合物を難燃剤として用いていたが、近年のヨーロッパを中心とした環境問題に関する関心の高まりから、リン系難燃剤が種々検討されている。しかしながら、リン系難燃剤である燐酸エステル系化合物、赤燐などを用いて難燃化した場合には、押出・成形加工時に臭気が発生したり、機械的特性や熱的特性に悪影響を及ぼしたりする問題があるため、ハロゲン化合物やリン化合物に代わる難燃剤が各種検討されている。
ハロゲンやリンを含まない難燃剤としては、シリコーン化合物が知られている。例えば、非シリコーンポリマーを、RSiO3/2単位主体のシルセスキオキサン樹脂により難燃化した樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)や、R3SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり単位当たり0.3〜4単位のM単位の平均比をもつMQシリコーン樹脂とシリコーンおよび第IIA族金属塩により難燃化した熱可塑性プラスチック組成物(例えば、特許文献2参照)が開示されている。また、芳香環を含有する非シリコーン樹脂をRSiO3/2単位及びR2SiO2/2単位を有するシリコーン樹脂により難燃化した樹脂組成物も開示されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に示されたシリコーン樹脂では、ポリカーボネートに対する大きな難燃性改良効果を示すことが開示され、一方、芳香環を有するR2SiO2/2単位とSiO4/2単位からなる特定分子量のDQシリコーン(例えば、特許文献4参照)もポリカーボネート等の難燃性を向上させることが開示されている。
しかしながら、これらのシリコーン系難燃剤はポリカーボネート等の特定の樹脂に対してしか大きな難燃効果をもたなかったり、特定の大きさの架橋粒子を持たないために成形条件によって難燃性が大きく変動したりする課題を残していた。さらにこれらシリコーン系難燃剤が有する特性は、難燃化の効果に限定されるものが多く、耐衝撃性などの機械的特性を改良させる効果は不充分であった。
特開昭54−36365号公報 特公平3−48947号公報 特開平10−139964号公報 特開2001−316671号公報
本発明は、ハロゲン、リン、窒素等の原子を実質的に含有せず、高い難燃化効果と高い耐衝撃性を広い成形条件で安定的に発現しうる難燃性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、主としてRSiO3/2単位(式中、RはSiに結合可能な有機基を示し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい)からなり、水系溶媒中で乳化剤を用いて粒子状に合成されたポリオルガノシロキサン粒子(A)および樹脂(B)を含有する難燃性樹脂組成物が、高い難燃性と良好な耐衝撃性を発現しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、RSiO3/2単位(式中、RはSiに結合可能な有機基を示し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい)を90モル%以上含有し、水系溶媒中で乳化剤を用いて体積平均粒子径が0.3〜5μmの粒子状に合成されたポリオルガノシロキサン粒子(A)、および樹脂(B)を含有することを特徴とする、難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、ポリオルガノシロキサン粒子(A)の重量平均分子量が300,000以上であることを特徴とする、前記の難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、樹脂(B)100重量部に対して、ポリオルガノシロキサン粒子(A)を0.1〜50重量部含有することを特徴とする、前記いずれかの難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、樹脂(B)が芳香族系樹脂であることを特徴とする、前記いずれかの難燃性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、樹脂(B)が、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、N−芳香族置換マレイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらのうちの少なくとも2種からなるポリマーアロイからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、前記いずれかの難燃性樹脂組成物に関する。
粒子状に合成された主としてRSiO3/2単位からなる本願発明のポリオルガノシロキサン粒子は、樹脂に対し、広い成形条件で安定的に高い難燃性と良好な耐衝撃性を付与することができる。
本発明は、RSiO3/2単位(式中、RはSiに結合可能な有機基を示し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい)を90モル%以上含有し、水系溶媒中で乳化剤を用いて体積平均粒子径が0.3〜5μmの粒子状に合成されたポリオルガノシロキサン粒子(A)を用いて、樹脂(B)に高い難燃性と良好な耐衝撃性を付与する技術を提供するものである。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)は、RSiO3/2単位を主成分とし、この構造のポリオルガノシロキサン化合物は、適度の架橋度とゴム的性質を併せもつことから、難燃性と耐衝撃性の双方を向上させる働きをもつ。ポリオルガノシロキサン粒子組成中のRSiO3/2単位の好ましい含有率は90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。RSiO3/2単位が90モル%より少なく、例えばSiO4/2単位の比率が多い場合にはポリオルガノシロキサンのゴム的性質が失われ、本発明に係る組成物の最終形態である成形体の耐衝撃性が低下する場合がある。またRSiO3/2単位が90モル%より少なく、例えばR3SiO1/2単位やR2SiO2/2単位の比率が多い場合には、樹脂中で粒子構造を維持できなくなる可能性があり、最終成形体の難燃性が十分でない場合がある。
RSiO3/2単位の原料としては、RSiX3で示されるシラン化合物が用いられうる。式中、Rは炭素原子数1〜20の有機基であり、これはたとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシルなどのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基;ビニル、アリルなどの不飽和アルキル基;β−フェニルプロピルなどのアラルキル基;これら有機基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した、トリフロロプロピル、β−(パーフロロブチル)エチル、β−(パーフロロオクチル)エチルなどのハロゲン化有機基;これら有機基の水素原子の一部または全部をアミノ、エポキシ、アクリロキシ、メタクリロキシ、メルカプト、シアノなどの基で置換した有機基の中から選択されうる。この中でも原料の全部、あるいは一部にメチル基やフェニル基を有するシラン化合物を用いることが好ましい。RSiO3/2単位にメチル基やフェニル基が含まれないときには、融点が低いために樹脂中で粒子形態を保てないか、ゴム的な柔軟性を発現できないために、最終成形体の難燃性や耐衝撃性が十分でない場合がある。
前記式RSiX3中、Xは、同一又は異なってもよく、ハロゲン、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基などから選択されうる。この中でも原料の安定性や生産性の高さから、メトキシ基、あるいはエトキシ基を選択することが好ましい。
RSiX3で示されるシラン化合物の具体例としては、たとえば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシランなどがあげられ、上記RとXと同様の選択理由から、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランを用いることが好ましい。またこれらシラン化合物は単独でも、あるいは2種以上を併用することもできる。
またポリオルガノシロキサン粒子(A)には、架橋度および分子量を増加する目的で少量のSiO4/2単位を含んでもよく、さらに粒子の柔軟性や分散性を向上させる目的で少量のR2SiO2/2単位やR3SiO1/2単位を含んでもよい(式中、Rは、RSiO3/2単位で示したRと同じ基から選択されうる。複数のRがある場合は、必ずしも同一である必要はない。)。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)に含まれうるSiO4/2単位は、ポリオルガノシロキサン粒子を架橋させ、樹脂中での粒子形態保持能力を向上させる働きをもつ。ポリオルガノシロキサン粒子中のSiO4/2単位の好ましい含有率は0〜10モル%、さらに好ましくは0〜5モル%である。SiO4/2単位が10モル%よりも多い場合には、ポリオルガノシロキサンのゴム的性質が失われ、最終形態である成形体の耐衝撃性が低下する場合がある。
SiO4/2単位の原料は、例えば、四塩化ケイ素、テトラアルコキシシラン、水ガラスおよび金属ケイ酸塩からなる群より選択されうる。テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、およびそれらの縮合物などが挙げられる。これらシラン化合物は単独でも、あるいは2種以上を併用することもできる。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)に含まれうるR2SiO2/2単位は、ポリオルガノシロキサン粒子のゴム的性質を増加させ、耐衝撃性を向上させる働きをもつ。ポリオルガノシロキサン粒子(A)の組成中におけるR2SiO2/2単位の好ましい含有率は0〜10モル%、さらに好ましくは0〜5モル%である。R2SiO2/2単位が10モル%よりも多い場合には、樹脂中で粒子構造を維持できなくなる可能性があり、最終成形体の難燃性が十分でない場合がある。
2SiO2/2単位の原料は、R2SiX2(式中、RおよびXは、前記RSiX3で示したものと同じ基から選択されうる。複数のR若しくはXがある場合は、必ずしも同一である必要はない。)や、直鎖状、分岐状または環状構造を有するオルガノシロキサンからなる群より選択されうる。具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシランなど、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらシラン化合物は単独でも、あるいは2種以上を併用することもできる。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)に含まれうるR3SiO1/2単位は、ポリオルガノシロキサン粒子(A)の粒子表面を改質し、合成時の分散媒体や樹脂中でポリオルガノシロキサンを均一に分散させる働きをもつ。R3SiO1/2単位の好ましい含有率は0〜10モル%、さらに好ましくは0〜5モル%である。R3SiO1/2単位が10モル%より多い場合、可燃成分である有機機の増加に伴い、最終成形体の難燃性が低下する場合がある。
3SiO1/2単位の原料は、R3SiXやR3Si−O−SiR3(式中、RおよびXは、RSiX3で示したものと同じ基から選択されうる。複数のR若しくはXがある場合は、必ずしも同一である必要はない。)で示されるシラン化合物から選択されうる。具体的には、ヘキサメチルジシロキサンなどが挙げられる。これらシラン化合物は単独でも、あるいは2種以上を併用することもできる。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)は、液状の分散媒体中でシラン化合物を縮合してRSiO3/2単位を主成分にもち、特定の大きさの粒子形態に合成したもが用いられうる。本発明に必要なポリオルガノシロキサン粒子の大きさは、体積平均粒子径で0.3〜5μm、好ましくは0.4〜3μm、さらに好ましくは0.5〜2μmである。ポリオルガノシロキサン粒子の体積平均粒子径が0.3μmより小さいと、最終成形体中でのポリオルガノシロキサン粒子の分散性が低下し、最終成形体において十分な難燃性と耐衝撃性が得られない場合がある。またポリオルガノシロキサンの体積平均粒子径が5μmより大きいと、最終成形体の外観が悪化する可能性がある。なお、体積平均粒子径は、例えば、日機装株式会社粉体技術カンパニー社製のマイクロトラックUPA150粒度分析計を用いることにより測定することができる。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)の合成方法は特に限定されないが、粒子径分布が狭くでき難燃性が良好になる利点などから、水系溶媒で乳化剤を用いて合成することが好ましい。具体的には、たとえば以下のような合成方法を用いることができる。
RSiO3/2単位の原料となるシラン化合物に水、必要に応じて乳化剤を加え、この混合液をラインミキサーやホモジナイザーで機械的剪断によって乳化し、シラン化合物のエマルジョン、あるいはシラン加水分解物の分散液を作成する。これを水、酸触媒、乳化剤からなる分散媒体に滴下あるいは一括追加し、一定の温度で保持した状態で攪拌を続けることにより縮合を進め、ポリオルガノシロキサン粒子(A)を得ることができる。このときにポリオルガノシロキサン粒子の安定性や粒子径コントロールのために、非常に小粒子径のシードポリマーを酸触媒と水の混合液に少量加えてもよい。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)の製造に用いられる分散媒体は特に限定されないが、上記乳化剤を用いたO/W系エマルジョンを得る上で、水を主成分とするものが好ましい。使用される水の量は制限されるものではないが、例えば、RSiO3/2単位の原料となるシラン化合物の総和を100重量部とした場合に300〜1000重量部が用いられうる。シラン化合物原料に対する水の量が多くなるほど粒子径は小さくなる傾向を示すが、シラン化合物原料の総和100重量部に対して水の量が300重量部より少なくなると粒子径分布が広くなる傾向にあり、逆に水の量が1000重量部より多くなると0.3μm以上の体積平均粒子径を得ることが難しくなる傾向があることから、この場合は、共に最終成形体で十分な難燃性と耐衝撃性が得られない場合がある。
本発明における乳化剤としては、アニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤が好適に使用されうる。アニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムなどが挙げられるが、特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好適に用いられうる。ノニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルやポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。本発明に使用されうる乳化剤の量は適宜設定できるが、RSiO3/2単位の原料の総和に対して0.1〜5重量部が好ましく、更には0.5〜3重量部がより好ましい。乳化剤量が0.1重量部より少ないとエマルジョンの安定性が低下して粒子径制御が困難となり、逆に乳化剤量が5重量部を超えると余分な可燃性物質が増加し、共に最終成形体の難燃性が低下する可能性がある。
本発明に用いることのできる酸触媒は、例えば、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類、および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの中では、オルガノシロキサンの乳化安定性に優れる観点から、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。酸触媒の量は適宜設定できるが、RSiO3/2単位の原料の総和に対して0.1〜10重量部が好ましく、更には0.5〜5重量部がより好ましい。酸触媒の量が0.1重量部より少ないと縮合反応が遅いために生産性が低下し、安定した粒子径を得ることが難しくなる場合がある。逆に酸触媒量が10重量部を超えると反応が早過ぎるために制御されない粒子が発生したり、余分な可燃性物質の増加から最終成形体の難燃性が低下する可能性がある。
ポリオルガノシロキサン粒子(A)の合成のための反応温度は適宜設定できるが、20〜70℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。反応温度が20℃より低いと反応時間が長くなるため生産性が低下する場合がある。逆に反応温度が70℃を超えるとRSiO3/2の縮合が急激に進む為に粒子径の制御が困難となり、ポリオルガノシロキサン粒子を含有する樹脂組成物の最終成形体の難燃性が十分でない場合がある。
ポリオルガノシロキサン粒子(A)の合成において、乳化液に加えることのできるシードポリマーは通常の乳化重合でも得ることができるが、合成法は特に限定されるものではない。シードポリマーは、例えば、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエン系ゴム、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体等のゴム成分であっても良く、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等の硬質重合体でも問題ない。中でも、ポリオルガノシロキサン粒子の粒子径分布を狭くするという観点から、分子量は低く粒子径が小さいことが好ましい。上記シードポリマーの粒子径については、最終粒子径に応じて適宜設定することができるが、通常は、体積平均粒子径で0.01〜0.1μmの範囲に設定するのが好ましい。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)は、樹脂中で合成時の粒子構造を保持したまま分散する必要がある。このためポリオルガノシロキサン粒子の重量平均分子量は300,000以上であることが好ましく、さらには500,000以上であることがより好ましい。ポリオルガノシロキサン粒子(A)の分子量の測定方法としては、たとえば、ポリオルガノシロキサン粒子(A)をクロロホルムなどの溶剤に溶かし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。また、重量平均分子量が30〜50万を超えるポリオルガノシロキサン粒子は、クロロホルムに溶解しない性質となるので、適宜溶媒を選択して測定することができる。また高度に架橋した粒子はほとんどの溶媒に溶解しない性質となることから、この場合は分子量を∞とみなすこととする。
本発明より得られるラテックス状のポリオルガノシロキサンから、最終的に粉体としてポリオルガノシロキサン粒子(A)を分離する方法としては特に限定無く、例えば、ラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩を添加することによりラテックスを凝固し、NaOH水溶液等を用いて中和後、脱水、水洗し、乾燥する方法などが挙げられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。さらに必要に応じて、ポリオルガノシロキサンをメタノール等の有機溶剤で洗浄することもできる。
本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)は、樹脂(B)100重量部に対して、0.1〜50重量部添加することで所期の目的を達成することができる。ポリオルガノシロキサン粒子(A)の添加量が0.1重量部未満では難燃性の改善効果が得られない場合があり、逆に50重量部を超えると、最終成形体の表面性や成形加工性等が悪化する傾向がある。ポリオルガノシロキサン粒子(A)の添加量は、好ましくは0.3〜30重量部であり、より好ましくは0.5〜20重量部である。したがって、10重量部以下という極少量の使用であっても難燃性の効果を発揮することが可能である。なお、本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)と、他の公知の各種難燃剤とを組み合わせて使用することにより、さらに高度な難燃性を得ることができるが、そのときには上記使用量に限定されず、さらに少量の添加量でも難燃性組成物を得ることが可能である。
本発明で用いられる樹脂(B)は特に限定されず、難燃剤を混合することが可能な各種高分子化合物を用いることができるが、本発明のポリオルガノシロキサン粒子(A)を用いて難燃化させることが容易であることから、樹脂として芳香族系樹脂を用いるのが好ましい。芳香族系樹脂とは、分子内に少なくとも1個以上の芳香環を有する樹脂を示す。芳香族系樹脂の中でも、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、N−芳香族置換マレイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらのうちの少なくとも2種からなるポリマーアロイからなる群より選択される少なくとも1種を用いるのが好ましい。これらの樹脂を単独または2種以上混合して用いてもよく、さらにこれら以外の他の各種樹脂とのアロイとして用いてもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物には、さらに難燃性を高めるために、必要に応じて、フッ素系樹脂、本発明で用いられるポリオルガノシロキサン粒子(A)以外の珪素含有重合体、公知の各種難燃剤、などを組み合わせることもできる。
フッ素系樹脂とは樹脂中にフッ素原子を有する樹脂である。具体的には、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などを挙げることができる。また、得られた成形品の難燃性などの物性を損なわない程度で必要に応じ、該フッ素樹脂の製造に用いる単量体と、共重合可能な他の単量体とを共重合してえられた共重合体を用いてもよい。これらのフッ素系樹脂は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。フッ素系樹脂の重量平均分子量は、例えば、100万〜2000万が好ましく、さらに好ましくは200万〜1000万である。これらフッ素系樹脂の製造方法に関しては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などの通常公知の方法を用いることができる。
本発明で用いられうるポリオルガノシロキサン粒子(A)以外の珪素含有重合体とは、ジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のジオルガノシロキサン化合物、トリメチルシルヘミオキサン,トリフェニルシルヘミオキサン等のオルガノシルヘミオキサン化合物、及びこれらを重合して得られる共重合体、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシラザン、珪素−ホウ素共重合体、珪素−金属共重合体等が挙げられる。分子中の一部がエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、エーテル、等により置換された変性珪素重合体も用いることができる。
フッ素系樹脂、珪素含有重合体の添加量は、他の特性(耐薬品性,耐熱性など)を損なわない限り制限はないが、樹脂(B)100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは0.03〜8重量部、特に好ましいのは0.05〜6重量部である。添加量が0.01重量部未満では、難燃性向上効果が小さくなり、10重量部を越えると成形性などが低下する場合がある。
また本発明の難燃性樹脂組成物をより高性能にするため、フェノール系安定剤、チオエーテル系安定剤、リン系安定剤等の熱安定剤を1種または2種類以上併せて使用することが好ましい。さらに必要に応じて、通常良く知られた、滑剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等の添加剤を1種または2種類以上併せて使用することができる。ただし、これら添加剤として、ポリオルガノシロキサン粒子の分解や反応を促進するものを用いると、得られた組成物の難燃性が低下するため、このようなものを用いるのは好ましくない。
更に本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の特性(難燃性等)を損なわない範囲で強化充填剤を組み合わせることにより、強化材料としてもよい。すなわち、強化充填剤を添加することで、更に耐熱性や機械的強度等の向上を図ることができる。このような強化充填剤としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の繊維状充填剤;ガラスビーズ、ガラスフレーク;タルク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、スメクタイト、珪藻土等のケイ酸塩化合物;炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。なかでも、ケイ酸塩化合物及び繊維状充填剤が好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物を製造するための方法としては特に限定されない。例えば、上述したような成分を必要に応じて乾燥させた後、単軸、二軸等の押出機のような溶融混練機にて、溶融混練する方法等により製造することができる。また、配合剤が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて二軸押出機に途中添加して製造することもできる。
本発明の難燃性樹脂組成物の成形加工法としては特に限定されず、一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、発泡成形等を利用することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、種々の用途に好適に使用することができる。好ましい用途としては、家電、OA機器部品、自動車部品等の射出成形品、ブロー成形品、押出成形品、発泡成形品等が挙げられる。
本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されない。なお、以下の実施例および比較例における測定および試験は、次のように行った。
[体積平均粒子径]
ポリオルガノシロキサン粒子の体積平均粒子径をラテックスの状態で測定した。測定装置として、日機装株式会社粉体技術カンパニー社製のマイクロトラックUPA150粒度分析計を用いて、光散乱法により体積平均粒子径(μm)を測定した。
[重量平均分子量]
ポリオルガノシロキサン粒子をクロロホルムに溶解した上でGPCの測定を行ない、ポリスチレン標準試料で作成した検量線を基に、重量平均分子量を求めた。なお、クロロホルムでポリオルガノシロキサン粒子が溶解しなかったものは重量平均分子量を∞とした。
[難燃性]
1/16インチバーを用い、UL94 V試験に準じて評価した。
[耐衝撃性]
JIS K7110に準じて、1/8インチバーで2号A型の試験試料を用いて、10℃でのアイゾット強度試験により評価した。
(製造例1〜4、比較製造例1〜2)
メチルトリメトキシシラン(MTMS)、純水を、表1に示す重量部計量し、それらを混合したのち、ホモジナイザーにより7000rpmで5分間撹拌してシラン化合物の分散液を得た。次にこの分散液を撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに投入し、液温が60℃に安定するまで攪拌した。次に酸触媒兼乳化剤であるドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)を表1に示す重量部添加して、3時間攪拌を続けて加水分解・縮合反応を進行させた。その後、25℃に冷却して20時間放置し、ラテックス状のポリオルガノシロキサン化合物を得た。このラテックスの体積平均粒子径と、重量平均分子量を表1に示す。
つづいて、ラテックス状ポリオルガノシロキサンを純水で希釈したのち、NaOH水溶液によりpH=7に中和した。さらに固形分濃度を約5重量%にした後、25重量%塩化カルシウム水溶液5重量部(固形分)を添加して、凝固スラリーを得た。凝固スラリーを80℃まで加熱したのち、脱水してポリオルガノシロキサン化合物を分離し、さらにポリオルガノシロキサン化合物の10倍量のメタノールと混合・撹拌した後、再び脱水、乾燥させてポリオルガノシロキサン粒子(SP−1〜6)を得た。
(比較製造例3)
メチルトリメトキシシラン100重量部と純水100重量部を計量し、それらを混合したのち、ホモジナイザーにより7000rpmで5分間撹拌してシラン化合物の分散液を得た。次に純水400重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1重量部を混合した液体を撹拌機、還流冷却器、窒素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに投入し、液温が60℃に安定するまで攪拌した。その後、先に作成したシラン化合物の分散液を1時間かけて滴下添加し、さらに3時間攪拌を続けて加水分解・縮合反応を進行さた。その後、25℃に冷却して20時間放置し、ラテックス状のポリオルガノシロキサン化合物を得た。このラテックスの体積平均粒子径と重量平均分子量を表1に示した。その後、製造例1と同様の方法でポリオルガノシロキサン粒子(SP−7)を得た。
Figure 2007231078
(実施例1〜4、比較例1〜3)
ポリカーボネート樹脂(出光石油化学株式会社製 タフロンFN1900A)(PC)、ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製 ポリフロンFA−500)(PTFE)、および上記ポリオルガノシロキサン粒子のSP−1〜7を用いて表2に示す組成で配合した。
得られた配合物を2軸押出機(日本製鋼社製TEX44SS)で270℃にて溶融混錬し、ペレットを製造した。得られたペレットをシリンダー温度280℃に設定した株式会社ファナック(FANUC)製のFAS100B射出成形機で1/16インチと1/8インチ厚のテストバーを作成し、その成形体を加工して難燃性評価用試験片、および耐衝撃性評価用試験片を作成した。得られた試験片を用いて難燃性と耐衝撃性を評価した結果を表2に示した。
(比較例4)
ポリカーボネート樹脂との配合においてポリオルガノシロキサン粉体を無添加にする以外は実施例1と同様に配合・成形・評価を行った。その結果を表2に示した。
Figure 2007231078
実施例および比較例の結果から、本願発明の特定のポリオルガノシロキサン粒子(A)は、樹脂に高い難燃性と耐衝撃性を付与することができることがわかる。

Claims (5)

  1. RSiO3/2単位(式中、RはSiに結合可能な有機基を示し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい)を90モル%以上含有し、水系溶媒中で乳化剤を用いて体積平均粒子径が0.3〜5μmの粒子状に合成されたポリオルガノシロキサン粒子(A)、および樹脂(B)を含有することを特徴とする、難燃性樹脂組成物。
  2. ポリオルガノシロキサン粒子(A)の重量平均分子量が300,000以上であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 樹脂(B)100重量部に対して、ポリオルガノシロキサン粒子(A)を0.1〜50重量部含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 樹脂(B)が芳香族系樹脂であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 樹脂(B)が、芳香族ポリカーボネート系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、N−芳香族置換マレイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびこれらのうちの少なくとも2種からなるポリマーアロイからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
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