JP2002080710A - 流動性に優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

流動性に優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物

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JP2002080710A
JP2002080710A JP2000269998A JP2000269998A JP2002080710A JP 2002080710 A JP2002080710 A JP 2002080710A JP 2000269998 A JP2000269998 A JP 2000269998A JP 2000269998 A JP2000269998 A JP 2000269998A JP 2002080710 A JP2002080710 A JP 2002080710A
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JP2000269998A
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Tadashi Shinomiya
忠司 四之宮
Naoyoshi Kawamoto
直義 川本
Masatoshi Ichi
正年 位地
Shin Serizawa
慎 芹澤
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Sumika Polycarbonate Ltd
NEC Corp
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NEC Corp
Sumitomo Dow Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50〜
99重量%と流動開始温度が180〜270℃の液晶ポ
リエステル(B)50〜1重量%とからなる樹脂混合物
100重量部に対し、主鎖が分岐構造でかつ含有する有
機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化
水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物
(C)0.01〜8重量部および芳香族硫黄化合物の金
属塩(D)0.01〜5重量部あるいはパーフルオロア
ルカンスルホン酸の金属塩(F)0.01〜5重量部を
配合してなることを特徴とする流動性に優れる難燃性ポ
リカーボネート系樹脂組成物。 【効果】塩素、臭素化合物等のハロゲン系難燃剤を含ま
ないことから燃焼時に当該難燃剤に起因するハロゲンを
含むガスの発生の懸念もなく、環境保護の面でも優れた
性能を持ち、高度な難燃性と高流動性を備えた薄肉ハウ
ジング用の電気・電子部品用の素材として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動性の改良され
た難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。更に
詳しくは、芳香族ポリカーボネート樹脂と特定の流動開
始温度を有する液晶ポリエステルとを用いた難燃性ポリ
カーボネート系樹脂組成物に関し、主鎖が分岐構造でか
つ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳
香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリ
コーン化合物と、芳香族硫黄化合物の金属塩あるいはパ
ーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩と、あるいはこ
れらと繊維形成型の含フッ素ポリマーとを併用すること
により、塩素、臭素化合物等のハロゲン系難燃剤ならび
にりん系難燃剤を含有せずに、芳香族ポリカーボネート
樹脂よりも高い流動性を示しながら高度な難燃性を有す
るポリカーボネート系樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0002】本発明において、用語「流動開始温度」と
は、毎分4℃の昇温速度で加熱された液晶ポリエステル
を100kgf/cm2の荷重下で、内径1mm、長さ
10mmのノズルから押出したときに、溶融粘度が48
000ポイズを示す温度として定義される。
【0003】本発明の流動性に優れた難燃性ポリカーボ
ネート系樹脂組成物は、その前述の特徴から難燃性を要
求されるコンピュータ、周辺機器等の電子機器のハウジ
ング、とりわけ高流動性が求められる薄肉のハウジング
用途に好適に使用される。
【0004】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃
性、耐熱性などに優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電
子、機械、自動車などの分野に広く用いられている。し
かしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂はガラス転移
温度が高く耐熱性が高いという特徴を有する反面、加工
時に充分な流動性が得られない場合が多いという問題が
あった。一方、芳香族ポリカーボネート樹脂が有するこ
れらの優れた性能に加えて、電気・電子・OA分野では
安全上の要求を満たすためより一層高い難燃性が求めら
れている。そこで、芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃
性を向上するために有機臭素化合物などのハロゲン系化
合物を配合する方法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機臭
素化合物などのハロゲン系化合物を配合することから、
燃焼時に当該ハロゲンを含むガスが発生する懸念もあ
り、環境面でも塩素、臭素等を含有しない難燃剤の使用
が望まれている。
【0006】これに対して、シリコーン化合物は耐熱性
が高く、燃焼時に有害ガスを発生しにくく、それ自体の
安全性も高いため、これを難燃剤として利用しようとす
る試みもなされてきた。難燃剤としてのシリコーン化合
物は、以下に示す4つのシロキサン単位(M単位、D単
位、T単位、Q単位)の少なくともいずれかが重合して
なるポリマーである。
【0007】M単位(ここで、Rは官能基を表わ
す。)
【化1】
【0008】D単位(ここで、Rは有機官能基を表わ
す。)
【化2】
【0009】T単位(ここで、Rは有機官能基を表わ
す。)
【化3】
【0010】Q単位
【化4】
【0011】この内、特にT単位および/またはQ単位
を含有すると分岐状構造となる。
【0012】シリコーン化合物を難燃剤として使用する
方法としては、特開平11−158363号公報、特開
平9−143369号公報等に記載される如き様々な有
機官能基を持つシリコーン化合物が試されてきた。しか
しながら、これらは単独の添加では大きな難燃効果を持
つものは極めて少なく、電気電子機器関係の厳しい難燃
基準を満たすには他の難燃剤を併用する必要があった。
これについては、高分子シロキサンとホウ素およびリン
含有物質並びに有機クレイ(特開平11−158363
号公報)、ポリシロキサンと金属硫化物および元素態硫
黄からなる群から選択される少なくとも一種と金属ホウ
酸塩、金属ホウリン酸塩および金属リン酸塩からなる群
から選択される少なくとも一種(特開平9−14336
9号公報)等の併用が挙げられるが、ホウ素化合物は燃
焼時に有害なホウ酸化合物が発生する懸念があり、さら
にリン化合物も環境への影響といった懸念がある。
【0013】これに対して、ホウ素化合物およびリン化
合物を併用せずに、シリコーン化合物の難燃効果を向上
させる試みとして、シリコーン化合物と金属塩を併用す
る方法も報告されている。これについては、ポリカーボ
ネート樹脂に対して、ポリジメチルシリコーンと金属水
酸化物と亜鉛化合物(特開平2−150436号公
報)、ポリジメチルシリコーンと有機酸のIIa族金属
塩(特開昭56−100853号公報)、シリコーンレ
ジン特にM単位とQ単位で表されるものとシリコーンオ
イルおよび有機酸のIIa族金属塩(特公平3−489
47号公報)等の併用が挙げられるが、いずれも難燃性
の面で効果に劣り、添加量の大幅な削減も困難であると
いう根本的な問題があった。
【0014】さらに、エポキシ基(γ−グリシドキシプ
ロピル基)とフェニル基および/またはビニル基を持つ
オルガノポリシロキサンと有機スルホン酸のアルカリ金
属塩およびアルカリ土類金属塩等を併用させたもの(特
開平8−176425号公報)も報告されているが、こ
のシリコーン化合物の場合、反応性の高いエポキシ基や
ビニル基があるため、プラスチックス、特にポリカーボ
ネート樹脂と混練中にシリコーン化合物同士の反応が起
こり高分子化(ゲル化)してしまうので、ポリカーボネ
ート樹脂と均一な混練ができにくく、また全体的な粘度
も上昇してしまい、その結果、芳香族ポリカーボネート
樹脂の成形性、特に成形体表面の剥離やヒケ、ムラが生
じてしまうといった課題がある。さらに、このゲル化の
ため、シリコーン化合物の芳香族ポリカーボネート樹脂
中での分散性が不十分となって、その結果、顕著な難燃
効果を発現するのが困難であり、また成形体の衝撃強度
等の強度特性も低下してしまう問題も生じる。
【0015】これらに対し、主鎖が分岐構造でかつ含有
する有機官能基中に芳香族基を持つシリコ−ン樹脂(特
開平10−139964)が芳香族ポリカーボネート樹
脂などの、芳香環を有する非シリコーン樹脂の難燃化に
有効であると記載されているが、芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の流動性を向上するまでには至っていない。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点に鑑み鋭意研究した結果、芳香族ポリカーボネート
樹脂に特定の流動開始温度を有する液晶ポリエステルを
配合し、さらに特定のシリコ−ン化合物からなる難燃剤
と特定の金属塩化合物とを併用し、さらに所望によって
はこれらに繊維形成型の含フッ素ポリマーを使用するこ
とにより、芳香族ポリカーボネート樹脂よりも高い流動
性を有しながら、高度な難燃性を備えた薄肉ハウジング
用途に適するポリカーボネート系樹脂組成物を得ること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】また、本発明の流動性に優れた難燃性ポリ
カーボネート系樹脂組成物は臭素系難燃剤等のハロゲン
系難燃剤を含有しないことから、燃焼時に当該ハロゲン
系難燃剤に起因するハロゲンを含むガスの発生の懸念も
なく、環境保護の面においても優れた性能を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0019】本発明に使用される芳香族ポリカーボネー
ト樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合
物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒド
ロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなど
の炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって
得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェ
ノールA)から製造された芳香族ポリカーボネート樹脂
が挙げられる。
【0020】上記ジヒドロキシジアリール化合物として
は、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オク
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチ
ルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロ
キシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒド
ロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−
3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒド
ロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリール
スルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスル
ホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチ
ルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリ
ールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメ
チルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリー
ルスルホン類等が挙げられる。
【0021】これらは、単独または2種類以上混合して
使用されるが、ハロゲンで置換されていない方が燃焼時
に懸念される当該ハロゲンを含むガスの環境への排出防
止の面から好ましい。これらの他に、ピペラジン、ジピ
ペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒ
ドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0022】さらに、上記のジヒドロキシアリール化合
物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混
合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロ
ログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−
(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−
ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシ
フェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒ
ドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−
[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シ
クロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
【0023】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度
平均分子量は通常10000〜100000、好ましく
は15000〜35000である。かかる芳香族ポリカ
ーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒
等を必要に応じて使用することができる。
【0024】本発明にて使用される特定の流動開始温度
を有する液晶ポリエステル(B)とは、サーモトロピッ
ク液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。具体的
には、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳
香族ヒドロキシカルボン酸との組み合わせからなるも
の、(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸の組み合
わせからなるもの、(3)芳香族ジカルボン酸と核置換
芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの、(4)ポ
リエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族
ヒドロキシカルボン酸を反応させて得られるものなどが
挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成す
るものである。なお、これらの芳香族ジカルボン酸、芳
香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わ
りに、それらのエステル形成性誘導体が使用されること
もある。
【0025】本発明においては、液晶ポリエステル
(B)の流動開始温度は180〜270℃の範囲にある
ことを要件とする。流動開始温度が180℃未満の場合
には、耐熱性および難燃性が低下し、また270℃を超
えると流動性の低下や機械的強度の低下、さらには成形
品表面に剥離やムラが発生するので好ましくない。より
好ましくは、200〜250℃の範囲である。
【0026】該液晶ポリエステル(B)の製法について
は、例えば特公昭47−47870号公報、特公昭63
−3888号公報、特公昭63−3891号公報、特公
昭56−18016号公報、特開平2−51523号公
報などに記載されている。
【0027】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と特定
の流動開始温度を有する液晶ポリエステル(B)の使用
割合は、(A)/(B)重量比で99/1〜50/5
0、好ましくは98/2〜60/40、さらに好ましく
は95/5〜65/35である。芳香族ポリカーボネー
ト樹脂(A)の使用割合が99重量%を超えると得られ
る組成物の成形流動性が不充分である場合が多く、50
重量%未満であると優れた難燃性が得られない場合があ
り、好ましくない。
【0028】本発明にて使用されるシリコーン化合物
(C)としては、下記一般式(1)に示されるような、
主鎖が分岐構造でかつ有機官能基が芳香族基からなる
か、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)と
からなるものである。
【0029】一般式(1)
【化5】
【0030】すなわち、分岐単位として T単位および
/またはQ単位を持つことを特徴とする。これらは全体
のシロキサン単位の20モル%以上含有することが好ま
しい。20モル%未満であると、シリコーン化合物
(C)の耐熱性が低下してその難燃性の効果が下がり、
またシリコーン化合物(C)自体の粘度が低すぎてポリ
カーボネート樹脂(A)および/または特定の流動開始
温度を有する液晶ポリエステル(B)との混練性や成形
性に悪影響を及ぼす場合がある。さらに好ましくは30
〜95モル%である。30モル%以上だとシリコーン化
合物(C)の耐熱性が一層上がり、これを含有した芳香
族ポリカーボネート樹脂(A)と特定の流動開始温度を
有する液晶ポリエステル(B)の混合物からなる芳香族
ポリカーボネート系樹脂の難燃性が大幅に向上する。し
かし、95モル%を越えるとシリコーンの主鎖の自由度
が減少して、燃焼時の芳香族基の縮合が生じにくくなる
場合があり、顕著な難燃性を発現しにくくなる場合があ
る。
【0031】また、シリコーン化合物(C)は、含有さ
れる有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上である
ことが好ましい。この範囲以下であると、燃焼時に芳香
族基同士の縮合が起こりにくくなり難燃効果が低下する
場合がある。さらに好ましくは40〜95モル%であ
る。40モル%以上だと燃焼時の芳香族基が一層効率的
に縮合できると同時に、芳香族ポリカーボネート樹脂
(A)と特定の流動開始温度を有する液晶ポリエステル
(B)の混合物からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂
組成物中でのシリコーン化合物(C)の分散性が大幅に
改良され、極めて良好な難燃効果を発現できる。しかし
95モル%を超えると芳香族基同士の立体障害により、
これらの縮合が生じにくくなる場合があり、顕著な難燃
効果を発現できにくくなる場合がある。
【0032】この含有される芳香族基としては、フェニ
ル、ビフェニル、ナフタレンまたはこれらの誘導体であ
るが、シリコーン化合物(C)の安全面からは特にフェ
ニル基が好ましい。
【0033】シリコーン化合物(C)中の有機官能基
で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち芳香族基以
外の有機基としては、炭素数4以下の炭化水素基が難燃
化効果の点から好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0034】さらに、末端基はメチル基、フェニル基、
水酸基の内から選ばれた1種またはこれらの2種から3
種までの混合物であることが好ましい。これらの末端基
の場合、反応性が低いため芳香族ポリカーボネート樹脂
(A)および特定の流動開始温度を有する液晶ポリエス
テル(B)とシリコーン化合物(C)の混練時に、シリ
コーン化合物(C)のゲル化(架橋化)が起こりにくい
ので、シリコーン化合物(C)が芳香族ポリカーボネー
ト系樹脂組成物中に均一に分散でき、その結果、一層良
好な難燃効果を持つことができ、さらに成形性も向上す
る。特に好ましくは、メチル基である。これの場合、極
端に反応性が低いので、分散性が極めて良好になり、難
燃性をさらに向上することができる。
【0035】シリコーン化合物(C)の平均分子量(重
量平均)は、好ましくは3000〜50万である。30
00未満だと難燃性の効果が低下し、さらに溶融粘度が
低すぎて成形時に芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と
特定の流動開始温度を有する液晶ポリエステル(B)の
混合物からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の
成形体表面にシリコーン化合物が浸み出して成形性を低
下させる場合があり、また50万を超えると溶融粘度が
増加して芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物中での均
一な分散が損なわれ難燃性の効果や成形性が低下する場
合がある。特に好ましくは5000〜27万である。こ
の範囲ではシリコーン化合物(C)の溶融粘度が最適と
なるため、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と特定の
流動開始温度を有する液晶ポリエステル(B)の混合物
からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物中でシリ
コーン化合物(C)が極めて均一に分散でき、一層良好
な難燃性と成形性を達成できる。
【0036】シリコーン化合物(C)の配合量は、芳香
族ポリカーボネート樹脂(A)と特定の流動開始温度を
有する液晶ポリエステル(B)とからなる樹脂混合物1
00重量部あたり0.01〜8重量部が好ましい。配合
量が0.01重量部未満では難燃効果が不十分な場合が
あり、また8重量部を超えると成形品表面に表層剥離が
発生し外観に劣る場合がある。より好ましくは、0.1
〜5重量部、更に好ましくは0.5〜2重量部の範囲で
ある。この範囲では、難燃性と成形性、さらに衝撃強度
のバランスが一層良好となる。
【0037】本発明にて使用される芳香族硫黄化合物の
金属塩(D)としては、下記一般式(2)または一般式
(3)に示される芳香族スルホンアミドの金属塩または
下記一般式(4)に示される芳香族スルホン酸の金属塩
である。
【0038】一般式(2)
【化6】 (一般式(2)において、Arはフェニル基または置換
フェニル基を、Mは金属陽イオンを表わす。)
【0039】一般式(3)
【化7】 (一般式(3)において、Arはフェニル基または置換
フェニル基を、R'はスルホニルまたはカルボニルを含
む有機基を、Mは金属陽イオンを表わす。ただし、Ar
とRとが結合しても良い。)
【0040】一般式(4)
【化8】 (一般式(4)において、R' およびR'' は炭素原子
が1〜6個の脂肪族基あるいは1〜2個のフェニル基ま
たは置換フェニル基を、AはSO3M(Mは、金属陽イ
オン)基を表わす。)
【0041】芳香族スルホンアミドの金属塩の好ましい
例としては、サッカリンの金属塩、N−(p−トリルス
ルホニル)−p−トルエンスルホイミドの金属塩、N−
(N′−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミ
ドの金属塩およびN−(フェニルカルボキシル)−スル
ファニルイミドの金属塩が挙げられる。また、芳香族ス
ルホン酸の金属塩としては、ジフェニルスルホン−3−
スルホン酸の金属塩、ジフェニルスルホン−3,3′−
ジスルホン酸の金属塩およびジフェニルスルフォン−
3,4′−ジスルホン酸の金属塩が挙げられる。これら
は、一種もしくはそれ以上を併用して使用しても良い。
【0042】好適な金属としては、ナトリウム、カリウ
ム等のI族の金属(アルカリ金属)、またはII族の金
属ならびに銅、アルミニウム等が挙げられ、特にアルカ
リ金属が好ましい。
【0043】これらのうちでも特に、N−(p−トリル
スルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム
塩、N−(N′−ベンジルアミノカルボニル)スルファ
ニルイミドのカリウム塩またはジフェニルスルホン−3
−スルホン酸のカリウム塩が好適に用いられ、さらに好
ましくは、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエ
ンスルホイミドのカリウム塩、N−(N′−ベンジルア
ミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩であ
る。
【0044】芳香族硫黄化合物の金属塩(D)の配合量
は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と特定の流動開
始温度を有する液晶ポリエステル(B)とからなる樹脂
混合物100重量部に対し0.01〜5重量部好まし
い。配合量が0.01重量部未満の場合には顕著な難燃
効果を得るのが困難な場合があり、また5重量部を超え
ると射出成形時の熱安定性に劣る場合があるため、その
結果、成形性および衝撃強度に悪影響を及ぼす場合があ
る。より好適には、0.01〜2重量部、更に好適には
0.02〜0.4重量部の範囲である。この範囲では特
に、難燃性、成形性および衝撃強度のバランスが一層良
好となる。
【0045】本発明にて使用される、繊維形成型の含フ
ッ素ポリマー(E)としては、芳香族ポリカーボネート
樹脂(A)と特定の流動開始温度を有する液晶ポリエス
テル(B)とからなる樹脂混合物中で繊維構造(フィブ
リル状構造)を形成するものがよく、ポリテトラフルオ
ロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例え
ば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体、等)、米国特許第4379910号に示さ
れる様な部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノール
から製造されるポリカーボネート等が挙げられる。
【0046】これらは、本発明のシリコーン化合物
(C)と芳香族硫黄化合物の金属塩(D)またはシリコ
ーン化合物(C)とパーフルオロアルカンスルホン酸の
金属塩(F)の併用系に併せて使用した場合、従来のド
リッピング防止効果だけでなく、特異的に燃焼時間の低
減にも効果がある。
【0047】繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)の配
合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と特定の流
動開始温度を有する液晶ポリエステル(B)とからなる
樹脂混合物中100重量部に対し、0.05〜5重量部
である。配合量が0.05重量部未満では燃焼時のドリ
ッピング防止効果に劣る場合があり、かつ5重量部を超
えると造粒が困難となることから安定生産に支障をきた
す場合がある。より好適には、0.05〜1重量部、更
に好適には0.1〜0.5重量部の範囲である。この範
囲では、難燃性、成形性および衝撃強度のバランスが一
層良好となる。
【0048】本発明にて使用されるパーフルオロアルカ
ンスルホン酸の金属塩(F)としては、下記一般式
(5)に示されるパーフルオロアルカンスルホン酸の金
属塩である。
【0049】一般式(5)
【化9】 (一般式(5)において、Mは金属陽イオン、nは1〜
8の整数を表わす。)
【0050】パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩
(F)の好ましい例としては、パーフルオロメタンスル
ホン酸の金属塩、パーフルオロエタンスルホン酸の金属
塩、パーフルオロプロパンスルホン酸の金属塩、パーフ
ルオロブタンスルホン酸の金属塩、パーフルオロメチル
ブタンスルホン酸の金属塩、パーフルオロヘキサンスル
ホン酸の金属塩、パーフルオロヘプタンスルホン酸の金
属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸の金属塩が挙げ
られる。これらは、一種もしくはそれ以上を併用して使
用しても良い。また、パーフルオロアルカンスルホン酸
の金属塩(F)は、前述の芳香族硫黄化合物の金属塩
(D)と併用して使用しても良い。
【0051】パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩
(F)に用いられる好適な金属としては、ナトリウム、
カリウム等のI族の金属(アルカリ金属)、またはII
族の金属ならびに銅、アルミニウム等が挙げられ、特に
アルカリ金属が好ましい。
【0052】これらのうちでも特に、パーフルオロブタ
ンスルホン酸のカリウム塩が好適に用いられる。
【0053】パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩
(F)の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)
と特定の流動開始温度を有する液晶ポリエステル(B)
とからなる樹脂混合物中100重量部に対し、0.01
〜5重量部が好ましい。配合量が0.01重量部未満の
場合には顕著な難燃効果を得るのが困難な場合があり、
また5重量部を超えると射出成形時の熱安定性に劣る場
合があるため、その結果、成形性および衝撃強度に悪影
響を及ぼす場合がある。より好適には、0.01〜2重
量部、更に好適には0.02〜0.4重量部の範囲であ
る。この範囲では特に、難燃性、成形性および衝撃強度
のバランスが一層良好となる。
【0054】更に、本発明の効果を損なわない範囲で、
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)と特定の流動開始温
度を有する液晶ポリエステル(B)とからなる樹脂混合
物中に各種の熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、蛍光増白
剤、充填材、分散助剤、離型剤、軟化材、帯電防止剤等
の添加剤、衝撃性改良材、他のポリマーを配合しても良
い。
【0055】熱安定剤としては、例えば硫酸水素ナトリ
ウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素リチウム等の硫酸水
素金属塩および硫酸アルミニウム等の硫酸金属塩等が挙
げられる。これらは、芳香族ポリカーボネート樹脂
(A)と特定の流動開始温度を有する液晶ポリエステル
(B)からなる樹脂混合物100重量部に対して、通常
0〜0.5重量部の範囲で用いられる。
【0056】充填材としては、例えばガラス繊維、ガラ
スビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレ
イ粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラスト
ナイト粉、シリカ粉、アルミナ粉等が挙げられる。
【0057】分散助剤としては、りん化合物、りん酸化
合物、亜りん酸化合物、エポキシ樹脂、熱可塑性エラス
トマー、アイオノマーなど、ポリカーボネート樹脂中で
の液晶ポリエステルの分散性を向上できる公知の分散助
剤が挙げられる。
【0058】衝撃性改良材としては、例えばアクリル系
エラストマー、ポリエステル系エラストマー、コアシェ
ル型のメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共
重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ス
チレン共重合体、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレ
ン・プロピレン・ジエン系ゴム等が挙げられる。
【0059】他のポリマーとしては、例えばポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ
リエステル;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレ
ン、アクリロニトリル・スチレン共重合体とこれのアク
リルゴム変成物、アクリロニトリル・ブタジエン・スチ
レン共重合体、アクリロニトリル・エチレン−プロピレ
ン−ジエン系ゴム(EPDM)・スチレン共重合体等の
スチレン系ポリマー、ポリプロピレン、さらにポリカー
ボネートとアロイ化して通常使用されるポリマーが挙げ
られる。
【0060】さらに必要に応じて、他の難燃剤、例えば
りん化合物、金属水和物、窒素化合物等も添加できる
が、これらの添加量は通常の使用よりも大幅に削減でき
る。
【0061】本発明の流動性に優れた難燃性ポリカーボ
ネート系樹脂組成物中の各種配合成分の混合方法には、
特に制限はなく、公知の混合機、例えばタンブラー、リ
ボンブレンダー等による混合や押出機による溶融混練が
挙げられる。
【0062】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はそれら実施例に制限されるものではな
い。尚、「部」は重量基準に基づく。
【0063】(実施例1〜16および比較例1〜13)
ビスフェノールAから製造された芳香族ポリカーボネー
ト樹脂(住友ダウ社製カリバー200−20、粘度平均
分子量19000、以下PCと略記)と、各種液晶ポリ
エステルの樹脂混合物100部に対し、硫酸水素カリウ
ム0.03部と各種配合物を表2〜4に示す配合量に基
づき37mm径の二軸押出機(神戸製鋼所製KTX−3
7)を用いて、シリンダー温度280℃にて溶融混練
し、各種ペレットを得た。
【0064】使用された配合成分の詳細は、それぞれ次
のとおりである。 1.液晶ポリエステル(以下、LCPと略記) 液晶ポリエステルは、一般的な製造方法に従って、以下
の2種類からなるものを製造した。 窒素ガス雰囲気下で適量のp−アセトキシ安息香酸、
および2−アセトキシ−6−ナフトエ酸(p−アセトキ
シ安息香酸と2−アセトキシ−6−ナフトエ酸の混合比
率は、モル比で60/40)を混合して、所定温度で加
熱しながら重縮合した後に、高真空下で所定時間加熱処
理して、流動開始温度が291℃(LCP−1)、2
26℃(LCP−2)、189℃(LCP−3)、
164℃(LCP−4)の液晶ポリエステルをそれぞ
れ製造した。 上記と同様に、窒素ガス雰囲気下で適量のp−アセ
トキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸および
4,4’−ジアセトキシジフェニル(p−アセトキシ安
息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸および4,4’−
ジアセトキシジフェニルの混合比率は、モル比で60/
15/5/20.2)を混合して、所定温度で加熱しな
がら重縮合した後に、高真空下で所定時間加熱処理し
て、流動開始温度が、311℃(LCP−1)、26
1℃(LCP−2)、218℃(LCP−3)の液
晶ポリエステルをそれぞれ製造した。
【0065】2.シリコーン化合物(C) シリコーン化合物(C)は、一般的な製造方法に従って
製造した。すなわち、シリコーン化合物成分の分子量お
よびシリコーン化合物を構成するM単位、D単位、T単
位およびQ単位の割合に応じて、適量のジオルガノジク
ロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテト
ラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物
を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部
分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリ
オルガノクロロシランを添加して反応させることによっ
て重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。
上記方法で合成された9種のシリコーン化合物の構造特
性を表1に示す。
【0066】
【表1】 *:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単
位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単
位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さ
らにフェニル基が残余する場合に2個付く。末端基を除
き、有機官能基は、フェニル基以外は全てメチル基であ
る。 **:重量平均分子量は、有効数字2桁。
【0067】3.芳香族硫黄化合物の金属塩(D) N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイ
ミドのカリウム塩(以下、D−1と略記) ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム(以下、
D−2と略記)
【0068】4.繊維形成型の含フッ素ポリマー(E) ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン社製ポリフロン
FA−500)(以下、PTFEと略記)
【0069】5.パーフルオロアルカンスルホン酸の金
属塩(F) パーフルオロブタンスルホン酸のカリウム塩(以下、F
と略記)
【0070】得られた各種ペレットを125℃で4時
間、乾燥した後に、射出成形機(日本製鋼社製J100
−E−C5)を用いて300℃、射出圧力1600Kg
/cm 2にて難燃性評価用の試験片(125x13x
0.8mmおよび125x13x1.2mm)を成形し
た。
【0071】該試験片を温度23℃、湿度50%の恒温
室の中で48時間放置し、アンダーライターズ・ラボラ
トリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラ
スチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を
行った。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさ
の試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時
間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以下
のクラスに分けられる。 V−0 V−1 V−2 各試料の残炎時間 10秒以下 30秒以下 30秒以下 5試料の全残炎時間 50秒以下 250秒以下 250秒以下 ドリップによる綿の着火 なし なし あり 上に示す残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片
が有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる
綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある
標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によっ
て着火されるかどうかによって決定される。
【0072】また、成形品の外観についても、難燃性を
評価する前に、試験片(125x13x0.8mm)を
目視で判定し、表層剥離や表面のムラの有無を評価し
た。
【0073】さらに、各種ペレットを125℃で4時
間、乾燥した後に、射出成形機(日本製鋼社製J100
−E−C5)を用いて300℃、射出圧力1600Kg
/cm 2にて1mm厚み、10mm幅でのスパイラルフ
ロー値を測定し、流動性を評価した。結果をそれぞれ表
2〜4に示す。
【0074】尚、表2〜4において、シリコーン、金属
塩およびPTFEの数値は、PCとLCPの混合物10
0部に対する添加部数を示す。成形性は、成形試験片の
表層剥離や表面のムラ、ヒケの発生を評価した。(評価
基準:◎は発生せず、○は5試料中1〜2試料で発生、
×は5試料中3試料以上で発生。)
【0075】
【表2】
【0076】実施例1〜4および比較例1〜5に示すよ
うに、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に、流動開始
温度が180〜270℃である液晶ポリエステル
(B)、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳
香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香
族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)および
芳香族硫黄化合物の金属塩(D)、さらに所望によって
これらに繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)を添加し
たポリカーボネート系樹脂組成物は、これらの添加剤の
全てを含まない芳香族ポリカーボネート樹脂(比較例
1)、流動開始温度が270℃を超える液晶ポリエステ
ルを含む組成物(比較例2および4)および流動開始温
度が180℃未満の液晶ポリエステルを含む組成物(比
較例3)よりも極めて大きな難燃効果を発揮した。ま
た、比較例1、2および4に示すように、液晶ポリエス
テルを含まない芳香族ポリカーボネート樹脂や流動開始
温度が270℃を超える液晶ポリエステルを含む組成物
の場合は、実施例1〜5の実験例よりも明らかに難燃
性、流動性に劣っていた。一方、比較例3の流動開始温
度が180℃未満の液晶ポリエステルを含む組成物の場
合には、流動性の改良は認められるものの、難燃性およ
び成形性に劣っていた。
【0077】
【表3】 *:上段:種類 下段:流動開始温度
【0078】
【表4】 *:上段:種類 下段:流動開始温度
【0079】
【表5】 *:上段:種類 下段:流動開始温度
【0080】実施例6〜16および比較例5〜13に示
すように、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)に、流動
開始温度が180〜270℃である液晶ポリエステル
(B)、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳
香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香
族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)および
芳香族硫黄化合物の金属塩(D)、またはパーフルオロ
アルカンスルホン酸の金属塩(F)、さらに所望によっ
てこれらに繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)を添加
してなることを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成
物は、これらの添加剤のうち、シリコーン化合物と金属
塩を併せ持たない組成物(比較例6)、金属塩を含まな
い組成物(比較例7)、シリコーン化合物を含まない組
成物(比較例8〜10)および本発明以外の構造のシリ
コーン化合物を添加した組成物(比較例11〜13)よ
りも極めて大きな難燃効果を発揮すると共に、成形性の
面でも改良が認められた。一方、比較例5の液晶ポリマ
ーを含まない組成物の場合は、難燃性、成形性に優れる
ものの、流動性は極めて劣っていた。さらに、実施例6
〜7、15〜16の組成物について、0.8mm厚みで
の難燃性を評価した。その結果、含フッ素ポリマー
(E)を併用した実施例6、15の組成物については燃
焼試験時にドリップはしなかったが、含フッ素ポリマー
を含まない実施例7、16の組成物は5本中2本がドリ
ップした。
【0081】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の流動性に
優れる難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物は、塩素、
臭素化合物等からなるハロゲン系難燃剤を含まないこと
から燃焼時に当該難燃剤に起因するハロゲンを含むガス
の発生の懸念もなく、環境保護の面においても優れた性
能を持ち、高度な難燃性と高流動性を備えた薄肉ハウジ
ング用の電気・電子部品用の素材として好適に用いるこ
とができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83:06) C08L 83:06) (C08L 69/00 (C08L 69/00 27:18) 27:18) (72)発明者 位地 正年 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 芹澤 慎 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 4J002 BD15Z CF032 CG001 CP05Y EV286 FD206 GQ00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50〜
    99重量%と流動開始温度が180〜270℃である液
    晶ポリエステル(B)50〜1重量%とからなる樹脂混
    合物100重量部に対し、主鎖が分岐構造でかつ含有す
    る有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と
    炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化
    合物(C)0.01〜8重量部および芳香族硫黄化合物
    の金属塩(D)0.01〜5重量部を配合してなること
    を特徴とする流動性に優れた難燃性ポリカーボネート系
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50〜
    99重量%と流動開始温度が180〜270℃である液
    晶ポリエステル(B)50〜1重量%とからなる樹脂混
    合物100重量部に対し、主鎖が分岐構造でかつ含有す
    る有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と
    炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化
    合物(C)0.01〜8重量部、芳香族硫黄化合物の金
    属塩(D)0.01〜5重量部および繊維形成型の含フ
    ッ素ポリマー(E)0.05〜5重量部を配合してなる
    ことを特徴とする流動性に優れた難燃性ポリカーボネー
    ト系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50〜
    99重量%と流動開始温度が180〜270℃である液
    晶ポリエステル(B)50〜1重量%とからなる樹脂混
    合物100重量部に対し、主鎖が分岐構造でかつ含有す
    る有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と
    炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化
    合物(C)0.01〜8重量部およびパーフルオロアル
    カンスルホン酸の金属塩(F)0.01〜5重量部を配
    合してなることを特徴とする流動性に優れた難燃性ポリ
    カーボネート系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)50〜
    99重量%と流動開始温度が180〜270℃である液
    晶ポリエステル(B)50〜1重量%とからなる樹脂混
    合物100重量部に対し、主鎖が分岐構造でかつ含有す
    る有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と
    炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化
    合物(C)0.01〜8重量部、パーフルオロアルカン
    スルホン酸の金属塩(F)0.01〜5重量部および繊
    維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.05〜5重量部
    を配合してなることを特徴とする流動性に優れた難燃性
    ポリカーボネート系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】液晶ポリエステル(B)の流動開始温度が
    200〜250℃であることを特徴とする請求項1〜4
    に記載の流動性に優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基
    が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基
    (芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)
    が、式RSiO1. 5の単位(T単位)および/または式
    SiO2.0の単位(Q単位)を全体のシロキサン単位
    (R3 0SiO2 0.5)に対して20モル%以上含有す
    ることを特徴とする請求項1〜4に記載の流動性に優れ
    た難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物。(Rは有機官
    能基を表わす。)
  7. 【請求項7】主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基
    が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基
    (芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)
    が、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%
    以上であることを特徴とする請求項1〜4または請求項
    6に記載の流動性に優れた難燃性ポリカーボネート系樹
    脂組成物。
  8. 【請求項8】主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基
    が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基
    (芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)
    が、含有される有機官能基のうち芳香族基がフェニル基
    であり、残りがメチル基であり、また末端基がメチル
    基、フェニル基、水酸基の内から選ばれた1種またはこ
    れらの2種から3種までの混合物であることを特徴とす
    る請求項1〜4、請求項6または請求項7に記載の流動
    性に優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】芳香族硫黄化合物の金属塩(D)が、芳香
    族スルホンアミドの金属塩または芳香族スルホン酸の金
    属塩であることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の流動性に優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組
    成物
  10. 【請求項10】芳香族硫黄化合物の金属塩(D)が、サ
    ッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエ
    ンスルホイミド、N−(N′−ベンジルアミノカルボニ
    ル)スルファニルイミドおよびN−(フェニルカルボキ
    シル)−スルファニルイミド、ジフェニルスルホン−3
    −スルホン酸、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスル
    ホン酸およびジフェニルスルホン−3,4′−ジスルホ
    ン酸から選択される1種もしくは2種以上の金属塩であ
    る請求項1、請求項2または請求項9に記載の流動性に
    優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物。
  11. 【請求項11】芳香族硫黄化合物の金属塩(D)の金属
    が、アルカリ金属であることを特徴とする請求項1、請
    求項2、請求項9または請求項10に記載の流動性に優
    れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物。
  12. 【請求項12】繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)
    が、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とす
    る請求項2または請求項4に記載の流動性に優れた難燃
    性ポリカーボネート系樹脂組成物。
  13. 【請求項13】パーフルオロアルカンスルホン酸の金属
    塩(F)の金属が、アルカリ金属であることを特徴とす
    る請求項3または請求項4に記載の流動性に優れた難燃
    性ポリカーボネート系樹脂組成物。
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