JP2007284463A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【構成】ポリカーボネート樹脂(A)80〜97重量%、スチレン系樹脂(B)3〜20重量%及びマイカ(C)3〜20重量%からなる成分100重量部に対し、有機酸(D)0.01〜0.6重量部、アミド化合物(E)0.4〜1.0重量部、有機金属塩(F)0.005〜2重量部および繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)0.05〜5重量部、更に所望によっては特定のシリコーン化合物(H)0.001〜1重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品。
【効果】本発明は、ポリカーボネート樹脂の特徴である耐熱性、熱安定性等を損なわないまま流動性、難燃性、剛性を特異的かつ顕著に改善し得るポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供するものであって、電機、電子、ITE等各種分野における製品の筐体や部品として好適に使用することができ、工業的に利用価値が極めて高い。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物ならびにそれからなる成形品に関する。更に詳しくは、ポリカーボネート樹脂の特徴である耐熱性、熱安定性等を損なわないまま流動性、難燃性、剛性を特異的かつ顕著に改善し得るポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供するものである。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、透明性、耐熱性、熱安定性等に極めて優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、ITE、機械、自動車などの分野にて広く用いられている。一方、当該樹脂が有するこれらの優れた性能に加えて、前述の各分野では、安全上や意匠面等の要求を満たすため、高度な難燃性と流動性(成形性)を具備した材料が求められている。
従来は、有機臭素化合物やリン系化合物などの難燃剤が使用されていたが、最近では環境面への影響を配慮し、これら難燃剤を使用しない難燃材料が要望されている。
一方、当該ポリカーボネート樹脂の流動性を改善させる手法として、過去から様々な技術が提案されてきたが、いずれも一長一短があり、必ずしも満足できる材料が提案されているわけではない。
特開2001−226576号公報 特開2000−319497号公報 特開2000−103951号公報
前述したようにポリカーボネート樹脂の流動性を改善する一般的な方法として、低分子量の可塑剤や良流動性のポリマーを配合する技術が提案されているが、これらの技術では、ポリカーボネート樹脂が持つ耐熱性が大きく損なわれてしまうといった根本的な問題を孕んでおり、従来からその改善が強く望まれていた。又、低分子量の可塑剤の配合は難燃性が低下し、特に高度な難燃性が要求される電気、電子、ITE分野での使用は困難であり、その改善も併せて望まれていた。
本発明者らは、かかる問題点に鑑み鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂に、有機酸とアミド化合物を特定量配合することにより、ポリカーボネート樹脂の流動性を特異的かつ顕著に改善し、更に有機金属塩、繊維形成型の含フッ素ポリマーとマイカ、更に所望によっては特定のシリコーン化合物を特定量配合する事により、高度な難燃性を併せ持つことに成功し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の第一の態様は、ポリカーボネート樹脂(A)80〜97重量%、スチレン系樹脂(B)3〜20重量%及びマイカ(C)3〜20重量%からなる成分100重量部に対し、有機酸(D)0.01〜0.6重量部、アミド化合物(E)0.4〜1.0重量部、有機金属塩(F)0.005〜2重量部および繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)0.05〜5重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供するものである。
また、本発明の第二の態様は、ポリカーボネート樹脂(A)80〜97重量%、スチレン系樹脂(B)3〜20重量%及びマイカ(C)3〜20重量%からなる成分100重量部に対し、有機酸(D)0.01〜0.6重量部、アミド化合物(E)0.4〜1.0重量部、有機金属塩(F)0.005〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)0.05〜5重量部および主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(H)からなるポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供するものである。
本発明は、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた耐熱性、熱安定性等の性能を維持したまま流動性を顕著に改善させ、高度な難燃性を得る技術であり、得られたポリカーボネート樹脂組成物は電機、電子、ITE等各種分野における製品の筐体や部品として好適に使用することが可能であって、工業的利用価値が極めて高い。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4‘−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3‘−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4‘−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3‘−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4‘−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4‘−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。
3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4‘−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは15000〜30000、さらに好ましくは17000〜26000である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
ポリカーボネート樹脂(A)の配合量としては(A)、(B)、(C)からなる成分を基準として80〜97重量%である。
配合量が80重量%未満では難燃性に劣り、配合量が97重量%を越えると流動性に劣るので好ましくない。さらに好ましくは80〜90重量%の範囲である。
本発明にて使用されるスチレン系樹脂(B)とは、芳香族ビニル単量体成分、シアン化ビニル単量体成分を共重合体の構成成分として含む共重合体から構成されることを特徴とする樹脂である。好ましいスチレン系樹脂の例としてはSAN樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)が挙げられる。
芳香族ビニル単量体成分としては、例えばスチレン、α―メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、これらを一種または二種以上使用することができる。好ましくはスチレンが使用される。
シアン化ビニル単量体成分としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、これらを一種または二種以上使用することができる。好ましくは、アクリロニトリルが使用される。
スチレン系樹脂(B)の配合量としては、(A)、(B)、(C)からなる成分を基準として3〜20重量%である。
配合量が3重量%未満では流動性の改善効果に劣り、配合量が20重量%を越えると難燃性の低下が顕著になるので好ましくない。より好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは4〜12重量%の範囲である。
本発明に使用されるマイカ(C)はケイ酸塩鉱物であり、白雲母、黒雲母、金雲母、人工金雲母などが挙げられ、形状は薄片状をなす。これらの中から樹脂用フィラーとして剛性強化及び低ソリ化を目的に幅広く使用されているマイカが好適に用いられる。これらは、本発明の有機金属塩(F)や繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)と併用して使用した場合、特異的に燃焼時間の低減にも効果がある。
マイカ(C)の配合量としては(A)、(B)、(C)からなる成分を基準として3〜20重量%である。
配合量が3重量%未満では難燃性に劣り、かつ20重量%を超えると衝撃強度に劣るので好ましくない。より好ましくは、3〜15重量%、さらに好ましくは4〜12重%量の範囲である。この範囲では、難燃性が一層良好となる。
本発明で用いられる有機酸(D)としては、種々のタイプのものを使用することができる。例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、無水マレイン酸、酸変性のシロキサンなどが代表的な化合物として例示される。とりわけカプリン酸が好適に用いられる。
有機酸(D)の配合量は、(A)、(B)、(C)からなる成分の合計100重量部あたり0.01〜0.6重量部である。配合量が0.01重量部未満の場合には流動性に劣り、また0.6重量部を超えると衝撃強度が劣るので好ましくない。
本発明で用いられるアミド化合物(E)として、下記一般式(1)で示される化合物等が挙げられる。
一般式(1)
R1−CONH−(CH2)n−NHCO−R2
(R1、R2は、炭素数6〜30である直鎖または分岐鎖アルキル基からなり、nは2〜6の整数を表わす。)
これらアミド化合物(E)としては、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド等が代表的な化合物として例示される。とりわけエチレンビスステアリルアミドが好適に使用される。
アミド化合物(E)の配合量は、(A)、(B)、(C)からなる成分の合計100重量部あたり0.4〜1.0重量部である。配合量が0.4重量部未満の場合には流動性に劣り、また1.0重量部を超えると衝撃強度が劣るので好ましくない。
本発明にて使用される有機金属塩(F)としては、下記一般式(2)または一般式(3)に示される芳香族スルホンアミドの金属塩または下記一般式(4)または一般式(5)に示される芳香族スルホン酸の金属塩である。
一般式(2)
Figure 2007284463
(一般式(2)において、Arはフェニル基または置換フェニル基を、Mは金属陽イオンを表わす。)
一般式(3)
Figure 2007284463
(一般式(3)において、Arはフェニル基または置換フェニル基を、R’はスルホニルまたはカルボニルを含む有機基を、M+は金属陽イオンを表わす。尚、ArとR‘とが結合しても良い。)
一般式(4)
Figure 2007284463
(一般式(4)において、R’’およびR’’’は炭素原子が1〜6個の脂肪族基あるいは1〜2個のフェニル基または置換フェニル基を、AはSO3M(Mは、金属陽イオン)基を表わす。)
一般式(5) Am−R−(SOM)n

(一般式(5)において、Rはフェニル基またはナフチル基、Aはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ビニル基、アルコキシ基、アミノ基、メチルエステル基およびエチルエステル基から選択される1種またはそれ以上からなる置換基、Mはアルカリ金属を表す。また、Rがフェニル基の場合、mおよびnはそれぞれ0〜5および1〜2の整数(m+n=<6)を、Rがナフチル基の場合、mおよびnはそれぞれ0〜7および1〜2の整数(m+n=<8)を表わす。)
一般式(3)の芳香族スルホンアミドの金属塩の好ましい例としては、サッカリンの金属塩、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドの金属塩、N−(N′−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドの金属塩およびN−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミドの金属塩が挙げられる。
また、一般式(4)の芳香族スルホン酸の金属塩としては、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸の金属塩、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホン酸の金属塩、ジフェニルスルフォン−3,4′−ジスルホン酸の金属塩等が挙げられる。一般式(1)〜一般式(4)の好適な金属としては、ナトリウム、カリウム等のI族の金属(アルカリ金属)、またはII族の金属ならびに銅、アルミニウム等が挙げられ、特にアルカリ金属が好ましい。
これら一般式(4)の芳香族スルホン酸の金属塩のうち特に、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N′−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩またはジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩が好適に用いられ、さらに好ましくは、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N′−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩が好適に使用できる。
一般式(5)の芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩としては、例えばp−トルエンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、2,4,6−トリクロロ−5−スルホイソフタル酸ジメチル、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、p−ヨードベンゼンスルホン酸、7−アミノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸などのアルカリ金属塩が挙げられ、これらは1種もしくはそれ以上併用して使用することができる。
有機金属塩(F)の配合量は、(A)、(B)、(C)からなる成分の合計100重量部あたり0.005〜2重量部である。配合量が0.005重量部未満の場合には難燃性に劣り、また2重量部を超えると射出成形時の熱安定性が劣り、又、衝撃強度の低下をもたらすので好ましくない。より好ましくは、0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.01〜0.4重量部の範囲である。この範囲では特に、難燃性、成形性のバランスが一層良好となる。
本発明にて使用される、繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)としては、樹脂成分中で繊維構造(フィブリル状構造)を形成するものがよく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、等)、米国特許第4379910号に示される様な部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート等が挙げられる。これらは、本発明の有機金属塩(F)と併用して使用した場合、従来のドリッピング防止効果だけでなく、特異的に燃焼時間の低減にも効果がある。
繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)の配合量は(A)(B)(C)からなる成分の合計100重量部あたり0.05〜5重量部である。配合量が0.05重量部未満では燃焼時のドリッピング防止効果に劣り、かつ5重量部を超えると造粒が困難となることから安定生産に支障をきたすので好ましくない。より好ましくは、0.1〜1重量部、さらに好ましくは0.2〜0.5重量部の範囲である。この範囲では、難燃性、成形性のバランスが一層良好となる。
主鎖が分岐構造でかつ有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(H)としては、下記一般式(6)に示されるようなものである。
一般式(6)
Figure 2007284463
一般式(6)において、R1、R2およびR3は主鎖の有機官能基を、Xは末端の官能基を表わす。
シリコーン化合物(H)は、分岐単位としてT単位(RSiO1.5)および/またはQ単位(SiO2.0)を持つことを特徴とする。これらは全体のシロキサン単位(R3〜0SiO2〜0.5)の20モル%以上含有することが好ましい。(Rは有機官能基をあらわす。)また、シリコーン化合物(H)は、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上であることが好ましい。
この含有される芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレンまたはこれらの誘導体であるが、フェニル基が好適に使用できる。
シリコーン化合物(H)中の有機官能基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち芳香族基以外の有機基としては、炭素数4以下の炭化水素基が好ましく、メチル基が好適に使用できる。さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基の内から選ばれた1種またはこれらの2種から3種までの混合物であることが好ましい。
シリコーン化合物(H)の平均分子量(重量平均)は、好ましくは3000〜500000であり、更に好ましくは5000〜270000である。
シリコーン化合物(H)の配合量は、(A)、(B)、(C)からなる成分計100重量部あたり0.001〜1重量部である。配合量が当該範囲外においては、いずれの場合も難燃効果が不十分であるので好ましくない。より好ましくは0.01〜0.1重量部の範囲である。
これら(A)〜(H)を混合する方法や添加順序には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等で混合し、通常の一軸またはニ軸押出機等で容易に溶融混練することができる。
また、混合時、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば離型剤、紫外線吸収剤、充填剤、衝撃改良剤、帯電防止剤、酸化防止剤、リン系熱安定剤、染顔料、添着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)等を配合することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、「%」、「部」は特に断りのない限り重量基準に基づく。
使用した配合成分の詳細は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂(以下、「PC」と略記):
住友ダウ社製・カリバー200−20(分子量:18600)
スチレン・アクリロニトリル共重合体(以下、「SAN」と略記):
日本A&L社製 MD1
3.マイカ:
山口雲母工業所製 A41
4.有機酸:
日本油脂社製・カプリン酸 NAA−102
5.アミド化合物(以下、「EBS」と略記):
日本油脂社製・エチレンビスステアリルアミド アルフロー H−50TF
6.有機金属塩(以下、金属塩と略記):
パラトルエンスルホン酸ナトリウム
7.繊維形成型含フッ素ポリマー(以下、PTFEと略記):
ダイキン工業社製、ネオフロンFA500
8.シリコーン化合物(以下、Si難燃剤と略記):
シリコーン化合物は、一般的な製造方法に従って製造した。すなわち、適量のジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテトラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリオルガノクロロシランを添加して反応させることによって重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。上記方法で合成したシリコーン化合物の構造特性は、以下のとおり:
・主鎖構造のD/T/Q単位の比率:40/60/0(モル比)
・全有機官能基中のフェニル基の比率(*):60モル%
・末端基:メチル基のみ
・重量平均分子量(**):15000
*:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さらにフェニル基が残余する場合に2個付く。末端基を除き、有機官能基は、フェニル基以外は全てメチル基である。
**:重量平均分子量は、有効数字2桁
前述の各種原料を表2〜4に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度280℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットから、日本製鋼所製・J100E−C5射出成形機を用いて各種試験片を作成し、下記方法により各種データーを採取した。
(1)アルキメデススパイラルフロー流動性:溶融温度280℃の条件下、アルキメデススパイラルフロー金型を使用して、流路厚み1mmでの流動長を測定した。流動長が145mm以上を合格とした。
(2)耐熱性(荷重たわみ温度:HDT):溶融温度280℃の条件下、耐熱性試験用試験片を作成し、ASTM D648に準拠し、荷重たわみ温度(HDT)を測定した。 ファイバーストレスは18.5Kg/cm2に設定し、測定用試験片のアニール処理は行わなかった。試験片の厚みは6.4mmである。HDT値が110℃以上を合格とした。
(3)熱安定性:溶融温度280℃の条件下、プレート金型(50(W)×90(L)×1,2,3(t)mm )を使用して試験片を作成し、プレート表面の外観を観察した。銀状が発生すれば熱安定性に劣ると評価した。
(4)難燃性:下記のUL94V垂直燃焼試験法に準拠して燃焼性を評価した。1.6mm厚又は1.2mm厚の試験片を温度23℃湿度50%の恒温室の中で48時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を行った。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以下のクラスに分けられる。以下のクラスに適合しない場合は不適合と評価される。
Figure 2007284463
表1に示す残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の試験片が有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。評価の基準は、本発明の第一の態様においては1.6mm厚の試験片においてV−0以上を合格とした。また、本発明の第二の態様においては1.2mm厚の試験においてV−0以上を合格とした。
Figure 2007284463
Figure 2007284463
表2のとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成を満足する場合(実施例1〜3)にあっては、全ての評価項目にわたりその規格を満足していた。
表3で示したとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、SANが配合されていないポリカーボネート樹脂であるため、流動性が規格を満足しなかった。
比較例2においては、金属塩の配合量が規定量に足りず難燃性が規格を満足しなかった。
比較例3においては、マイカの配合量が規定量に足りず難燃性が規格を満足しなかった。
比較例4においては、PTFEの配合が配合されておらない場合で難燃性が規格を満足しなかった。
比較例5においては、EBSが含まれていないため、流動性が規格を満足しなかった。
比較例6においては、SANの配合量が規定量を超えていることより難燃性が規格を満足しなかった。
比較例7においては、マイカの配合量が規定量を超えていることより熱安定性に劣り規格を満足しなかった。
Figure 2007284463
表4のとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成を満足する場合(実施例4〜6)にあっては、全ての評価項目にわたりその規格を満足していた。
一方比較例8に示す様に、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例8は、本発明のSi難燃剤の配合量が規定量を超えているため難燃性の規格を満足しなかった。



Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)80〜97重量%、スチレン系樹脂(B)3〜20重量%及びマイカ(C)3〜20重量%からなる成分100重量部に対し、有機酸(D)0.01〜0.6重量部、アミド化合物(E)0.4〜1.0重量部、有機金属塩(F)0.005〜2重量部および繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)0.05〜5重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート樹脂(A)80〜97重量%、スチレン系樹脂(B)3〜20重量%及びマイカ(C)3〜20重量%からなる成分100重量部に対し、有機酸(D)0.01〜0.6重量部、アミド化合物(E)0.4〜1.0重量部、有機金属塩(F)0.005〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)0.05〜5重量部および主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(H)0.001〜1重量部からなるポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 有機酸(D)の炭素数が6〜30の脂肪酸である請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. アミド化合物(E)が下記一般式(1)で示される化合物である請求項1又は2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
    一般式(1)
    R1−CONH−(CH2)n−NHCO−R2
    (R1、R2は、炭素数6〜30である直鎖または分岐鎖アルキル基からなり、nは2〜6の整数を表わす。)
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。


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