JP2009062498A - 流動性の改良された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【構成】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部、特定の流動性向上剤(B)2〜12重量部、シリコーン化合物(C)0.01〜5重量部、有機金属塩化合物(D)0.01〜0.3重量部および繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.05〜5重量部を配合したものからなる樹脂組成物およびそれからなる成形品。
【効果】本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲンやリンなどを含有する従来の難燃剤を使用することなく優れた難燃性を有している。このため、環境面からも優れている。さらに、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた衝撃強度、耐熱性、熱安定性等性能を維持したまま流動性を特異的かつ顕著に改善させることが可能であるため、種々の大型若しくは薄肉成形品や各種難燃性工業部品材料として利用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物ならびにそれから成形されてなる成形品に関する。更に詳しくは、ポリカーボネート樹脂の特徴である耐衝撃性、耐熱性、熱安定性等を保持したまま、外観、流動性および難燃性を向上させたポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供するものである。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、熱安定性等に優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、ITE、機械、自動車などの分野で広く用いられている。一方、当該樹脂が有するこれらの優れた性能に加えて、前述の各分野では、意匠面やデザイン上の要求を満たすため、高度な流動性(成形性)を具備した材料が求められている。特に近年では、製品の軽量化の傾向が著しく、ポリカーボネート樹脂に対する流動性改善の要求はますます顕著化しているのがその実態である。
一方、当該ポリカーボネート樹脂組成物の流動性を改善させる手法として、過去より様々な技術が提案されてきたが、いずれも一長一短があり、必ずしも満足できる材料が提案されているわけではない。例えば、ポリカーボネート樹脂の分子量に着目して高い分子量のものと低い分子量のものを併用し、かつどちらかに分岐したポリカーボネート樹脂を用いる方法(特許文献1)、ポリカーボネート樹脂にABS樹脂やMBS樹脂を配合する方法(特許文献2)あるいはポリカーボネート樹脂にABS樹脂やリン酸エステルを配合する方法(特許文献3)などが提案されているが、これらの技術では、ポリカーボネート樹脂が持つ前述の優れた特徴の内いずれか1種以上が大きく損なわれてしまうといった問題を孕んでおり、従来からその改善が強く望まれてきた。
また、ポリカーボネート樹脂に脂肪酸を配合することで流動性を改良する方法(特許文献4)が提案されているが、この場合、流動性は向上するものの、脂肪酸によるポリカーボネート樹脂の分解が起こり機械的強度の低下を招く等の根本的問題があった。
特開2001−226576号公報 特開2000−319497号公報 特開2000−103951号公報 特開昭61−162520号公報
流動性に加えて、電気・電子・OAの分野では、パーソナルコンピュータ外装部品のように高度な難燃性(UL94V)や耐衝撃性を要求される部品が少なくない。ポリカーボネート樹脂は、自己消火性を備えた難燃性の高いプラスチック材料ではあるが、電気・電子・OA分野では安全上の要求を満たすため、UL94V−0やV−1相当の一層高い難燃性が求められている。そこでポリカーボネート樹脂の難燃性を向上するために、従来、難燃剤としてハロゲン系化合物やリン系化合物を配合する方法が採用されている。これらの中で特に臭素や塩素等のハロゲン系化合物については、環境面からこれらを含有しない難燃剤の使用が望まれている。
前述のように、従来技術ではポリカーボネート樹脂が本来有する優れた特徴である耐衝撃性、耐熱性、熱安定性等の性能のうち、一種もしくは二種以上を犠牲にして流動性を改良するものであった。本発明は、上記の諸性能を保持したまま流動性を改良し、かつ、臭素や塩素等のハロゲン系化合物からなる難燃剤を使用せずに難燃性能を高めたポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意研究を行った結果、ポリカーボネート樹脂に、特定の流動改質剤、有機金属塩化合物、シリコーン化合物、ならびに繊維形成型の含フッ素ポリマーを特定量配合することにより、ポリカーボネート樹脂が有する種々の優れた性能を損なうことなく、難燃性が付与され、さらに流動性が特異的かつ顕著に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部、流動性向上剤(B)2〜12重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)0.01〜5重量部、有機金属塩化合物(D)0.01〜0.3重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.05〜5重量部からからなる樹脂組成物であって、当該流動性向上剤(B)が芳香族ビニル系単量体とフェニルメタクリレートとの共重合体であることを特徴とする流動性の改良された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供するものである。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、ハロゲンやリンなどを含有する従来の難燃剤を使用することなく優れた難燃性を有している。このため、燃焼時に当該難燃剤に起因するハロゲンやリンを含むガスの発生の懸念もなく、環境面からも優れている。さらに、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた衝撃強度、耐熱性、熱安定性等性能を維持したまま流動性を特異的かつ顕著に改善させることが可能であるため、種々の大型若しくは薄肉成形品や各種難燃性工業部品材料として利用できる。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量には特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは15000〜30000、さらに好ましくは17000〜26000の範囲である。また、かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
本発明にて使用される流動性向上剤(B)とは、芳香族ビニル系単量体とフェニルメタクリレートとの共重合体である。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、αメチルスチレン、p−tert.ブチルスチレンなどが挙げられ、これらは単独もしくは2種以上で使用することができる。好ましい流動性向上剤(B)としては、スチレン/フェニルメタクリレート共重合体またはスチレン/αメチルスチレン/フェニルメタクリレート共重合体が挙げられる。
また、流動性向上剤(B)の重合方法は、乳化重合、懸濁重合、塊状重合が挙げられ、特に乳化重合が好ましく用いられる。
流動性向上剤(B)は、商業的に入手可能であり、三菱レイヨン社のメタブレンTP003が挙げられる。
流動性向上剤(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、2〜12重量部である。配合量が2重量部未満であると流動性の改善効果に劣り、配合量が12重量部を越えると難燃性が低下するので好ましくない。より好ましくは3〜10重量部、更に好ましくは4〜8重量部である。
本発明にて使用されるシリコーン化合物(C)は、主鎖が分岐構造でかつ有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなり、下記一般式(1)にて示される。
一般式(1)
Figure 2009062498
ここで、R1、R2およびR3は主鎖の有機官能基を、Xは末端の官能基を表わす。
すなわち、分岐単位としてT単位(RSiO1.5)および/またはQ単位(SiO2.0)を持つことを特徴とする。これらは全体のシロキサン単位(R3〜0SiO2〜0.5)の20モル%以上含有することが好ましい。(Rは有機官能基をあらわす。)また、シリコーン化合物(C)は、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上であることが好ましい。
この含有される芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレンまたはこれらの誘導体であるが、フェニル基が好適に使用できる。
シリコーン化合物(C)中の有機官能基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち芳香族基以外の有機基としては、炭素数4以下の炭化水素基が好ましく、メチル基が好適に使用できる。さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基の内から選ばれた1種またはこれらの2種から3種までの混合物であることが好ましい。
シリコーン化合物(C)の平均分子量(重量平均)は、好ましくは3000〜500000であり、更に好ましくは5000〜270000である。
シリコーン化合物(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.01〜5重量部である。配合量がこの範囲外であると何れも充分な難燃効果が得られないので好ましくない。より好ましくは0.03〜2重量部の範囲である。
本発明にて使用される有機金属塩化合物(D)としては、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩があげられる。金属の種類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3−3´−ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等が使用できる。
有機金属塩化合物(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、0.01〜0.3重量部である。配合量が0.01重量部未満では、難燃性が低下するので好ましくない。また、0.3重量部を超えると、難燃性が低下するといった問題が発生するので好ましくない。好ましくは0.02〜0.2重量部、より好ましくは0.02〜0.1重量部である。
本発明にて使用される、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)としては、ポリカーボネート樹脂(A)中で繊維構造(フィブリル状構造)を形成するものがよく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、等)、米国特許第4379910号に示される様な部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート等が挙げられる。とりわけ、分子量1000000以上で二次粒子径100μm以上のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好適に使用される。
繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、0.05〜5重量部である。配合量が0.05重量部未満では、燃焼時のドリッピング防止効果に劣るので好ましくない。また、5重量部を超えると造粒が困難となることから安定生産に支障をきたすので好ましくない。この配合量は、好ましくは、0.05〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部の範囲である。この範囲では、難燃性、成形性のバランスが一層良好となる。
本発明の各種配合成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の配合方法には特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等によりこれらを混合し、通常の一軸または二軸押出機等で容易に溶融混練することができる。また、これらの配合順序についても特に制限はない。
また、混合時、必要に応じて他の公知の添加剤、例えば離型剤、紫外線吸収剤、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、リン系熱安定剤、染顔料、添着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)等を配合することができる。
充填剤としては、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレー粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミウィスカー、ワラストナイト粉、シリカ粉等が挙げられる。マイカとしては、白雲母、黒雲母、金雲母、人工金雲母などが挙げられ、形状は薄片状をなすものが好適である。マイカの配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、2〜25重量部が好ましく、より好ましくは5〜15重量部の範囲である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、特に断りのない限り重量基準に基づく。
使用した配合成分の詳細は、以下のとおりである。
ポリカーボネート樹脂:
住友ダウ社製 カリバー200−20(粘度平均分子量:19000)
(以下、PCと略記)
流動性向上剤:
スチレン/フェニルメタクリレート共重合体
三菱レイヨン社製 TP003(以下、流動性向上剤と略記)
シリコーン化合物:(以下「シリコーン化合物」と略記)
シリコーン化合物は、一般的な製造方法に従って製造した。すなわち、適量のジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテトラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリオルガノクロロシランを添加して反応させることによって重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。上記方法で合成したシリコーン化合物の構造特性は、以下のとおり:
・主鎖構造のD/T/Q単位の比率:40/60/0(モル比)
・全有機官能基中のフェニル基の比率(*):60モル%
・末端基:メチル基のみ
・重量平均分子量(**):15000
*:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さらにフェニル基が残余する場合に2個付く。末端基を除き、有機官能基は、フェニル基以外は全てメチル基である。
**:重量平均分子量は、有効数字2桁。
有機金属塩化合物:
パラトルエンスルホン酸ナトリウム(以下、金属塩と略記)
繊維形成型の含フッ素ポリマー:
ダイキン工業社製ネオフロンFA500(ポリテトラフルオロエチレン)
(以下、PTFEと略記)
前述の各種原料を表2〜3に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼所製KTX37)を用いて、溶融温度280℃にて混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットから、射出成形機(日本製鋼所製J100E−C5)を用いて各種試験片を加工し、下記方法により各種データを採取した。
(1)アルキメデススパイラルフロー流動性
溶融温度280℃、射出圧力1600kg/cmの条件下、アルキメデススパイラルフロー金型を使用して、流路厚み1mmでの流動長さを測定した。流動長さが140mm以上を合格とした。
(2)耐熱性(荷重たわみ温度:HDT)
溶融温度280℃の条件下、耐熱性試験用試験片を加工し、ASTM D648に準拠し、荷重たわみ温度(HDT)を測定した。ファイバーストレスは18.5Kg/cmに設定し、測定用試験片のアニール処理は行わなかった。試験片の厚みは6.4mmである。HDTが130℃以上を合格とした。
(3)造粒性
造粒性は造粒中のストランドの状態を目視にて観察し、良/不良の判定を行った。
(4)外観
得られた各種ペレットを125℃で4時間乾燥した後に、射出成型機(日本製鋼所製J−100SAIIを用いて245℃、射出圧力1600kg/cmにて難燃性評価用試験片(125x13x3.0mm)を成型し、該試験片の成形品外観を目視にて観察した。
(5)難燃性
得られた試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で72時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を行った。UL94によるクラスを表1に示す。
Figure 2009062498

残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の試験片が、有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。V−1以上を合格とした。
Figure 2009062498
Figure 2009062498
*NR:No Ratingの略。V−0、V−1、V−2に属さない。
表2のとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足する場合(実施例1〜6)にあっては、全ての評価項目にわたり良好な結果を示した。
一方、表3で示したとおり、ポリカーボネート樹脂組成物が本発明の構成要件を満足しない場合においては、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、流動性向上剤が配合されていないため、流動性に劣っていた。
比較例2は、流動性向上剤が規定量よりも少ない場合であり、流動性に劣っていた。
比較例3は、金属塩の配合量が規定量よりも少ない場合であり、難燃性に劣っていた。
比較例4は、金属塩が規定量よりも多い場合であり、難燃性に劣っていた。
比較例5は、シリコーン化合物の配合量が規定量よりも多い場合であり、外観および難燃性に劣っていた。
比較例6は、PTFEが規定量よりも多い場合であり、難燃性および造粒性、外観に劣っていた。
比較例7は、流動性向上剤が規定量よりも多い場合であり、難燃性、耐熱性および造粒性に劣っていた。

Claims (4)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100重量部、流動性向上剤(B)2〜12重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)0.01〜5重量部、有機金属塩化合物(D)0.01〜0.3重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.05〜5重量部およびからなる樹脂組成物であって、当該流動性向上剤(B)が芳香族ビニル系単量体とフェニルメタクリレートとの共重合体であることを特徴とする流動性の改良された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 流動性向上剤(B)が、スチレン/フェニルメタクリレート共重合体またはスチレン/αメチルスチレン/フェニルメタクリレート共重合体である請求項1に記載の流動性の改良された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 流動性向上剤(B)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり3〜10重量部であることを特徴とする請求項1の流動性の改良された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の流動性の改良された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から成形されてなる成形品。
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