JP3891382B2 - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。更に、詳しくはポリカーボネート樹脂が本来有する優れた耐衝撃性等の機械的性質、流動性ならびに成型品の外観等の性能を損なうことなく難燃性を向上させ、かつ塩素、臭素化合物等のハロゲン系難燃剤を含有しない超薄肉成形用の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性および電気的特性に優れたエンジニアリングプラスチックとして電気・電子・OA分野を始め、広範な分野にて使用されている。
【0003】
これら電気・電子・OAの分野では、リチウム電池用バッテリーケースのように高度な難燃性(UL94V)、耐衝撃性、流動性、耐熱性を要求される部品が少なくない。ポリカーボネート樹脂は、自己消火性を備えた難燃性の高いプラスチック材料ではあるが、電気・電子・OA分野では安全上の要求を満たすため、UL94V−0や94V−1相当の一層高い難燃性が求められており、ポリカーボネート樹脂単独では市場のニーズを十分満足させることはできなかった。
【0004】
そこでポリカーボネート樹脂の難燃性を向上するために、従来よりレゾルシンポリフォスフェート等の燐系難燃剤を多量に配合する方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レゾルシンポリフォスフェート等の燐系化合物を難燃剤として多量に配合した場合には、確かにポリカーボネート樹脂の難燃性や流動性は向上するが、耐衝撃性や耐熱性が低下してしまうといった致命的な欠点があった。
【0006】
前述の耐衝撃性については、エラストマーを多量配合することにより改善できなくもないが、得られた組成物の難燃性や耐熱性が低下するといった新たな問題が発生してしまい、市場でのニーズを十分満足する高度な難燃性、耐衝撃性、流動性、耐熱性をバランス良く具備した材料は得られていなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題点に鑑み鋭意研究した結果、ポリカーボネート樹脂に配合する難燃剤として、燐系難燃剤と特定のシリコーン化合物を併用し、さらにこれらに加えて繊維形成型の含フッ素ポリマーおよび適量のエラストマーを配合することにより、耐衝撃性、成形性、流動性を低下させることなく高度な難燃性を具備した難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、下記一般式1に示す燐系難燃剤(B)5〜15重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機置換基中に芳香族基を持つシリコーン化合物(C)0.05〜8重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)0.05〜5重量部およびエラストマー(E)0.5〜10重量部を配合してなることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供するものである。
一般式1:
【化7】
式中、Xは
【化8】
、
【化9】
または、
【化10】
を表し、R1〜R4およびm1〜m4はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基および0〜2の整数を表わし、同一あるいは異なっていてもよい。
nは1〜5の整数を表わす。
【0009】
また、本発明は、そのもう一つの態様として、上記(A)〜(E)からなる配合物に対して、更に芳香族スルホイミド、芳香族スルホンスルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸および芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩の中から選択される1種もしくはそれ以上の有機アルカリ金属塩(F)を0.5重量部以下((A)100重量部あたり)配合してなることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供するものである。
以下に、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物につき、詳細に説明する。
【0010】
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0011】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
【0012】
これらは、単独または2種類以上混合して使用されるが、ハロゲンで置換されていない方が燃焼時に懸念される当該ハロゲンを含むガスの環境への排出防止の面から好ましい。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0013】
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。
【0014】
3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
【0015】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000である。かかるポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0016】
本発明にて使用される燐系難燃剤(B)は、下記一般式1に示される化合物である。
一般式1:
【化11】
式中、Xは
【化12】
、
【化13】
または、
【化14】
を表し、R1〜R4およびm1〜m4はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基および0〜2の整数を表わし、同一あるいは異なっていてもよい。
nは1〜5の整数を表わす。
【0017】
とりわけ、下記一般式2および3に示される化合物が好適に用いられる。
一般式2:
【化15】
式中nは1〜5の整数を表わす。
一般式3:
【化16】
式中nは1〜5の整数を表わす。
【0018】
燐系難燃剤(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり5〜15重量部である。配合量が5重量部未満では難燃効果が不十分な場合があり、また15重量部を超えると衝撃強度が大幅に低下する場合がある。より好ましくは、6〜14重量部、更に好ましくは8〜12重量部の範囲である。この範囲では難燃性、成形性、衝撃強度、さらに耐熱性のバランスが一層良好となる。また、燐系難燃剤(B)にモノ燐酸エステル化合物を併用してもよい。
【0019】
本発明にて使用されるシリコーン化合物(C)としては、下記一般式4に示されるような、主鎖が分岐構造でかつ有機置換基として芳香族基を含有するものである。
【0020】
一般式4:
【化17】
ここで、R1、R2およびR3は主鎖の有機置換基を、Xは末端の置換基を、n、mおよびlはそれぞれのユニットのモル数を表わす。
【0021】
難燃剤として用いられているシリコーン化合物は、以下に示す4つのシロキサン単位(M単位、D単位、T単位、Q単位)から構成されている。
【0022】
ここで、Rは有機置換基を表わす。
【0023】
ここで、Rは有機置換基を表わす。
【0024】
ここで、Rは有機置換基を表わす。
【0025】
【0026】
この内、特にT単位および/またはQ単位を含有すると分岐状構造となる。本発明にて使用されるシリコーン化合物(C)は、その分岐単位としてT単位および/またはQ単位を持つことを特徴とする。これらは全体のシロキサン単位の20mol%以上含有することが好ましい。20mol%未満であると、シリコーン化合物(C)の耐熱性が低下してその難燃性の効果が下がり、またシリコーン化合物(C)自体の粘度が低すぎてポリカーボネート樹脂(A)との混練性や成形性に悪影響を及ぼす場合がある。さらに好ましくは30〜95mol%である。30mol%以上だとシリコーン化合物(C)の耐熱性が一層上がり、これを含有したポリカーボネート樹脂の難燃性が大幅に向上する。しかし95mol%を越えるとシリコーンの主鎖の自由度が減少して、燃焼時の芳香環の縮合が生じにくくなる場合があり、顕著な難燃性を発現しにくくなる場合がある。
【0027】
また、シリコーン化合物(C)は、含有される有機置換基のうち芳香族基が20mol%以上であることが好ましい。この範囲以下であると、燃焼時に芳香族基同士の縮合が起こりにくくなり難燃効果が低下する場合がある。さらに好ましくは40〜95mol%の範囲である。40mol%以上だと燃焼時の芳香族基が一層効率的に縮合できると同時に、ポリカーボネート樹脂(A)中でのシリコーン化合物(C)の分散性が大幅に改良され、極めて良好な難燃効果を発現できる。しかし95mol%を超えると芳香族基同士の立体障害により、これらの縮合が生じにくくなる場合があり、顕著な難燃効果を発現できにくくなる場合がある。
【0028】
この含有される芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレン、またはこれらの誘導体であるが、シリコーン化合物(C)の健康上の安全面からは、特にフェニル基が好ましい。本シリコーン化合物(C)中の有機置換基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち、芳香族基以外の有機基としてはメチル基が好ましく、さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基、アルコキシ基(特にメトキシ基)の内から、選ばれた1種またはこれらの2種から4種までの混合物であることが好ましい。これらの末端基の場合、反応性が低いため、ポリカーボネート樹脂(A)とシリコーン化合物(C)の混練時に、シリコーン化合物(C)のゲル化(架橋化)が起こりにくいので、シリコーン化合物(C)がポリカーボネート樹脂(A)中に均一に分散でき、その結果、一層良好な難燃効果を持つことができ、さらに成形性も向上する。特に好ましくはメチル基である。これの場合、極端に反応性が低いので、分散性が極めて良好になり、難燃性をさらに向上することができる。
【0029】
シリコーン化合物(C)の平均分子量(重量平均)は、好ましくは5000〜500000である。5000未満だとシリコーン化合物自体の耐熱性が低下して難燃性の効果が低下し、さらに溶融粘度が低すぎて成形時にポリカーボネート樹脂(A)の成形体表面にシリコーン化合物が浸み出して成形性を低下させる場合があり、また500000を超えると溶融粘度が増加してポリカーボネート樹脂(A)中での均一な分散が損なわれ難燃性の効果や成形性が低下する場合がある。さらに特に好ましくは10000〜270000である。この範囲ではシリコーン化合物(C)の溶融粘度が最適となるため、ポリカーボネート樹脂(A)中でシリコーン化合物(C)が極めて均一に分散でき、表面への過度な浸みだしもないため、一層良好な難燃性と成形性を達成できる。
【0030】
シリコーン化合物(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.05〜8重量部である。この場合、シリコーン化合物(C)は難燃性の改善のみにとどまらず、衝撃強度をも改良するという利点も併せ持つ。配合量が0.05重量部未満では難燃効果が不十分な場合があり、また8重量部を超えると成形品表面に表層剥離が発生し外観に劣る場合がある。より好ましくは、0.1〜5重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部の範囲である。この範囲では難燃性と成形性、さらに衝撃強度のバランスが一層良好となる。
【0031】
本発明にて使用される繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)としては、ポリカーボネート樹脂(A)中で繊維構造(フィブリル状構造)を形成するものがよく、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、等)、米国特許第4379910号に示される様な部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート等が挙げられる。これらは、本発明の燐系難燃剤(B)とシリコーン化合物(C)およびエラストマー(E)の併用系に併せて使用した場合、ドリッピング防止効果を発現するものである。
【0032】
繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、0.05〜5重量部である。配合量が0.05重量部未満では燃焼時のドリッピング防止効果に劣る場合があり、かつ5重量部を超えると造粒が困難となることから安定生産に支障をきたす場合がある。より好適には、0.05〜1重量部、更に好適には0.1〜0.5重量部の範囲である。この範囲では、難燃性、成形性、衝撃強度、および造粒性のバランスが一層良好となる。
【0033】
本発明にて使用されるエラストマー(E)としては、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・ブタジエンゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・グリシジルメタアクリレート・スチレン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・シリコン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・アクリロニトリル・アクリル酸エステルゴム、エチレン・プロピレン・ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン・メチレンゴム、ポリエステル系エラストマー、ポリエステル・ポリエーテル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリイソプレン、水添ポリイソプレン、スチレン・水添ポリイソプレンブロック共重合体、ポリアミド系エラストマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・グリシジルメタアクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸エステルゴム・無水マレイン酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル・グリシジルメタアクリレート共重合体、水添スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、エチレン・ポリアクリル酸エステル・一酸化炭素系共重合体等が挙げられる。これらは、単独または併用して使用してもよい。
【0034】
好適には、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・ブタジエンゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・グリシジルメタアクリレート・スチレン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・シリコン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・アクリロニトル・アクリル酸エステルゴム、スチレン・水添ポリイソプレンブロック共重合体が用いられる。
【0035】
エラストマー(E)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、0.5〜10重量部である。配合量が0.5重量部未満では衝撃強度の改善効果が得られず、配合量が10重量部を超えると衝撃強度はより良好となるものの、難燃性が著しく低下するので好ましくない。より好適には、1〜8重量部、更に好適には2〜6重量部の範囲である。この範囲では、難燃性、成形性、および衝撃強度のバランスが一層良好となる。
【0036】
本発明にて使用される有機アルカリ金属塩(F)は、芳香族スルホイミド、芳香族スルホンスルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸および芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩の中から選択される1種もしくはそれ以上の有機アルカリ金属塩であり、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムおよびp−トルエンスルホン酸ナトリウムが好適に使用できる。
【0037】
有機アルカリ金属塩(F)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.5重量部以下である。配合量が0.5重量部を超えると射出成形時の熱安定性に劣る場合がある。
【0038】
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリカーボネート樹脂(A)に各種の熱安定剤、酸化防止剤、酸化チタンやカーボンブラックをはじめとする着色剤、蛍光増白剤、充填材、離型剤、軟化材、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤、他のポリマーを配合しても良い。
【0039】
熱安定剤としてはフォスファイト、フォスフォナイト系等化合物を、また酸化防止剤としてはフェノール系化合物を配合しても良い。
【0040】
着色剤として使用される酸化チタンとしては、塩素法、硫酸法どちらの製造方法で製品化されたものでもよく、その結晶構造はルチル型、アナターゼ型のどちらであってもかまわない。また、これらの酸化チタンは、特定のシリコーン化合物、例えば各種のシランカップリング剤やポリメチル水素シロキサン等により表面処理されたものを使用しても良い。
【0041】
充填材としては、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレー粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト粉、シリカ粉等が挙げられる。
【0042】
他のポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリプロピレン、さらにポリカーボネート樹脂とアロイ化して通常使用されるポリマーが挙げられる。
【0043】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物中の各種配合成分の混合方法には、特に制限はなく、公知の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー 等による混合や押出機による溶融混練が挙げられる。
【0044】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法としては、特に制限はなく、公知の射出成形法、射出・圧縮成形法等を用いることができる。
【0045】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」は重量基準に基づく。
【0046】
(実施例1〜39および比較例1〜24)
ビスフェノールAから製造されたポリカーボネート樹脂100部に対し、各種配合物を表2〜8に示す配合量に基づき37mm径の二軸押出機(神戸製鋼所製KTX−37)を用いて、シリンダー温度280℃にて溶融混練し、各種ペレットを得た。
【0047】
使用された原料の詳細は、それぞれ次のとおりである。
1.ポリカーボネート樹脂(A):
住友ダウ社製カリバー 200−10(粘度平均分子量 22,4000)
【0048】
2.燐系難燃剤(B):
・旭電化工業社製 アデカスタブPFR(以下、B−1と略記)
【化18】
式中nは1〜5の整数を表わす。
・旭電化工業社製 アデカスタブFP500(以下、B−2と略記)
【化19】
式中nは1〜5の整数を表わす。
【0049】
3.シリコーン化合物(C):
シリコーン化合物(C)は、一般的な製造方法に従って製造した。すなわち、シリコーン化合物成分の分子量およびシリコーン化合物を構成するM単位、D単位、T単位およびQ単位の割合に応じて、適量のジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテトラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリオルガノクロロシランを添加して反応させることによって、重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。上記方法で合成された19種のシリコーン化合物の構造特性を表1に示す。
【0050】
【表1】
*:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さらにさらにフェニル基が残余する場合に2個付く。
末端基を除き、有機置換基は、フェニル基以外は全てメチル基である。
**:重量平均分子量は、有効数字2桁。
【0051】
4.繊維形成型の含フッ素ポリマー(D):
ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン社製ポリフロンFA−500)
(以下、PTFEと略記)
【0052】
5.エラストマー(E):
・呉羽化学工業社製 パラロイドEXL2602(以下、E−1と略記)
(コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・ブタジエンゴム)
・呉羽化学工業社製 パラロイドEXL2314(以下、E−2と略記)
(コアーシェル型メチルメタアクリレート・グリシジルメタアクリレート・スチレン・アクリル酸エステルゴム)
・武田薬品工業社製 スタフィロイドAC1013(以下、E−3と略記)
(コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・アクリロニトル・アクリル酸エステルゴム)
・三菱レイヨン社製 メタブレン S2001(以下、E−4と略記)
(コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・シリコン・アクリル酸エステルゴム)
【0053】
5.有機アルカリ金属塩(F):
・N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩(以下、F−1と略記)
・ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム(以下、F−2と略記)
・パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(以下、F−3と略記)
・p−トルエンスルホン酸ナトリウム(以下、F−4と略記)
【0054】
得られた各種ペレットを90〜125℃で8時間、乾燥した後に、射出成形機(日本製鋼社製J100−E−C5)を用いて270〜300℃の溶融温度下、難燃性評価用の試験片(127x12.7x0.75mm)を成形した。
【0055】
該試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠して難燃性の評価を行った。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以下のクラスに分けられる。
上に示す残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片が有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。結果を表2〜9に示す。
【0056】
また、得られた各種ペレットを用いて、同様に射出成形を行い、衝撃強度評価用試験片(3.2x12.7x63.5mm)を作成した。この試験片を用いて、ASTM D−256に準じて23℃におけるノッチ付き衝撃強度を測定し、数値が35以上を合格とした。また、成形品の外観についても衝撃強度測定の前に試験片を目視判定し、表層剥離や表面のヒケの有無を評価した。さらに、押出機内で溶融混練した樹脂がストランド状に押し出されペレットへ加工される際の状態を目視判定した。結果をそれぞれ表2〜9に示す。
【0057】
尚、表2〜9においては、
・燐系難燃剤、シリコーン化合物、PTFE、エラストマーおよび有機金属塩の
数値は、ポリカーボネート樹脂100部に対する添加量(部)を示す。
・表中の難燃性の評価結果で、( )値は5試料の残炎時間(着火後の燃焼時間)の合計(秒)を示す。また、表中の[ ]値はドリップによる標識綿の着火発生の個数(5試料中の発生試料数)を示す。難燃性UL94がV0を合格とした。
・成形性は、成形試験片の表層剥離や表面のムラ、ヒケの発生を下記のとおり評価し、○と△のレベルを合格とした。
○:発生せず。
△:5試料中1〜2試料で発生。
×:5試料中3試料以上で発生。
・造粒性は、押出機内で溶融混練した樹脂がストランド状に押し出されペレットへ加工される際の状態を目視判定した。○と△のレベルを合格とした。
○:問題なくペレット化できた。
△:ペレット化がやや困難である。
×:ペレット化できない。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
実施例1〜34に示すように、燐系難燃剤(B)5〜15部、主鎖が分岐構造でかつ芳香族基を持つシリコーン化合物(C)0.05〜8部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)0.05〜5部およびエラストマー(E)0.5〜10部を添加してなるポリカーボネート樹脂組成物は、燐系難燃剤(B)、シリコーン化合物(C)、繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)およびエラストマー(E)を併せ持たないポリカーボネート樹脂組成物(比較例3〜5、7、9、12、16、19)または本発明以外の構造のシリコーン化合物を添加したポリカーボネート樹脂組成物(比較例1、2)よりも極めて優れた難燃性と衝撃強度を示した。さらに、比較例10、12〜15、19、24に示すような、燐系難燃剤の添加した際に問題となっているポリカーボネート樹脂組成物の衝撃強度の低下については、本実施例に示すように著しく改善されている。
【0067】
燐系難燃剤(B)とシリコーン化合物(C)の添加量については、実施例18〜25と比較例5〜15に示すように、それぞれ5〜15部および0.05〜8部で、良好な難燃性と衝撃強度を兼ね備えるためには、燐系難燃剤(B)とシリコーン化合物(C)をかかる範囲において併用することが必須条件である。実施例18、19と比較例5〜10の比較から明らかなように、燐系難燃剤(B)とシリコーン化合物(C)の添加量がそれぞれ5部および0.05部よりも少ないと(比較例5)難燃性に劣り、シリコーン化合物(C)の添加量が規定範囲内で燐系難燃剤(B)の添加量が5部未満であると(比較例3、4、6)、難燃性が低下し、燐系難燃剤(B)の添加量が規定範囲内でシリコーン化合物の添加量が0.05部未満であると(比較例7〜10)、難燃性または衝撃強度が低下する。また、燐系難燃剤(B)の添加量が規定範囲内でシリコーン化合物(C)の添加量が8部よりも多くなると(比較例11)、特に成形性に劣るので好ましくない。一方、燐系難燃剤(B)の添加量が15部よりも多くなると(比較例12〜14)、特に衝撃強度の低下が著しく、さらに燐系難燃剤(B)の添加量およびシリコーン化合物(C)の添加量がそれぞれ15部および8部よりも多くなると(比較例15)、衝撃強度のみならず成形性までも低下する。
【0068】
繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)は、燃焼時におけるポリカーボネート樹脂のドリップ防止効果が著しく改善され、難燃性向上のために必要不可欠な添加剤である。実施例26〜28と比較例16〜18に示すように、繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)の添加量は0.05〜5部であり、0.05部未満であると(比較例16、17)、燃焼時にドリップが発生し、難燃性が低下する。また、本含フッ素ポリマー(D)を7部添加した組成物を作成しようとしたところ(比較例18)、造粒が極めて困難となり、ペレット化することができなかった。
【0069】
燐系難燃剤(B)の添加によって、著しく低下する衝撃強度を向上させるためには、シリコーン化合物(C)の添加だけでは十分ではなく、さらにエラストマー(E)を0.5〜10部の範囲において添加することが必須である。実施例29〜31と比較例19〜24の比較から明らかなように、エラストマー(E)の添加量が0.5部未満であると(比較例19、20)、難燃性は良好であるものの、衝撃強度の低下が著しく、10部よりも多くなると(比較例21、22、23)、衝撃強度は良好であるものの、難燃性の著しい低下が見られ、さらに燐系難燃剤(B)およびシリコーン化合物(C)を規定範囲を超えて添加した場合(比較例24)、難燃性のみならず衝撃強度と成形性が低下した。また、実施例4、32〜34に示すように、エラストマー(E)の種類を変更した場合においても、良好な難燃性と衝撃性を兼ね備えた組成物が得られた。
【0070】
シリコーン化合物(C)の構造としては実施例1〜17と比較例1に示すように、主鎖の分岐単位、すなわち式RSiO1.5の単位(T単位)および/または式SiO2.0の単位(Q単位)が含まれると、これらが含まれないシリコーンに比べ(比較例1)、添加したポリカーボネート樹脂組成物の難燃性、成形性および衝撃強度が大幅に向上し、特に全体のシロキサン単位(R3 〜 0SiO2 〜 0.5)に対して20mol%以上含有するもの(実施例9〜12)では、難燃性が一層良好となる。さらに、特に実施例9と12の比較から明らかなように、これらの分岐単位が特に30mol%以上含有するシリコーン化合物(実施例9)は、難燃性がさらに向上する。また、これらの分岐単位が95mol%より多くなると顕著な難燃効果が発現しにくくなることがある。このように、分岐単位すなわち、式RSiO1.5の単位(T単位)および/または式SiO2.0の単位(Q単位)は、全体のシロキサン単位(R3 〜 0SiO2 〜 0.5)に対して20mol%以上が好ましく、特に30mol%以上95mol%以下が難燃性、成形性および衝撃強度に対して好ましい。さらに、実施例10に示すように、分岐単位として式SiO2.0の単位(Q単位)を含むものは、式RSiO1.5の単位(T単位)だけのものと同等の難燃性を示す。
【0071】
また、シリコーン化合物(C)の有機置換基中の芳香族基(フェニル基)は、実施例14〜17および比較例2に示すように、これらが含有されると、含有されないものに比べ(比較例2)添加したポリカーボネート樹脂組成物の難燃性、成形性および衝撃強度が向上し、特に20mol%以上含有(実施例14〜16)されると難燃性、成形性および衝撃強度は一層良好となり、さらに実施例14、15と実施例16、17に示すように、40mol%(実施例14、15)で難燃性を大幅に向上することができる。また、有機置換基中の芳香族基(フェニル基)が95mol%より多くなると顕著な難燃効果が発現しにくくなる場合がある。このようにシリコーン化合物(C)の有機置換基中の芳香族基(フェニル基)は、20mol%以上が好ましく、特に40mol%以上95mol%以下が、難燃性、成形性および衝撃強度から好ましい。
【0072】
シリコーン化合物(C)の末端基については、実施例1〜17に示すように、メチル基(実施例1〜6、8〜10、15〜17)、フェニル基(実施例14)、水酸基(実施例7)、アルコキシ基(メトキシ基)(実施例11)を含むものが良好な難燃性、成形性および衝撃強度を示すことがわかる。さらに、実施例5と実施例7の比較から、末端基が水酸基よりもメチル基が、また、実施例9と実施例11に示すように、アルコキシ基よりもメチル基が難燃性に良好である。さらに、フェニル基よりもメチル基が難燃性に良好である。また、エポキシ基(γ−グリシドキシプロピル基)やビニル基を含むものは、特に反応性が強いため、ポリカーボネート樹脂との混練の際に反応が起こり、シリコーン化合物(C)がゲル化してしまい、ポリカーボネート樹脂の成形性が大幅に低下し、さらにポリカーボネート樹脂中での分散性も低下するため、十分な難燃効果や衝撃強度が得られなくなる。よって、シリコーン化合物(C)の末端基はメチル基が最も好ましい。
【0073】
本シリコーン化合物(C)の分子量は、実施例2、3、5、6からわかるように、成形性と難燃性の点から5000〜500000、特に10000〜270000が好ましい。
【0074】
実施例4の配合物に、有機アルカリ金属塩(F)を0.5部以下配合することにより難燃性の向上がみとめられた。(実施例35〜39)
【0075】
【発明の効果】
本発明における難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、燐系難燃剤の添加による衝撃強度の著しい低下を改善し、これまで極めて困難であった難燃性、衝撃強度の両立を達成し、超薄肉成形品用途へ好適に使用可能な難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することができる。
Claims (11)
- 燐系難燃剤(B)の配合量が6〜14重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機置換基中に芳香族基を持つシリコーン化合物(C)の配合量が0.1〜5重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)の配合量が0.05〜1重量部およびエラストマー(E)の配合量が1〜8重量部である請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 主鎖が分岐構造でかつ含有する有機置換基中に芳香族基を持つシリコーン化合物(B)が、式RSiO1.5の単位(T単位)および/または式SiO2.0の単位(Q単位)を全体のシロキサン単位(R3 〜 0SiO2 〜 0.5)に対して20mol%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。(Rは有機置換基を表わす。)
- 主鎖が分岐構造でかつ含有する有機置換基中に芳香族基を持つシリコーン化合物(B)が、含有される有機置換基のうち芳香族基が20mol%以上であることを特徴とする請求項1または2あるいは請求項5に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 主鎖が分岐構造でかつ含有する有機置換基中に芳香族基を持つシリコーン化合物(B)が、含有される有機置換基のうち芳香族基がフェニル基であり、残りがメチル基であり、また末端基がメチル基、フェニル基、水酸基、アルコキシ基の内から、選ばれた1種、またはこれらの2種から4種までの混合物であることを特徴とする請求項1または2あるいは請求項5または6に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 繊維形成型の含フッ素ポリマー(D)が、ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- エラストマー(E)が、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・ブタジエンゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・グリシジルメタアクリレート・スチレン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・シリコン・アクリル酸エステルゴム、コアーシェル型メチルメタアクリレート・スチレン・アクリロニトリル・アクリル酸エステルゴム、スチレン・水添ポリイソプレンブロック共重合体から選ばれた1種またはそれ以上である請求項1または2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に、芳香族スルホイミド、芳香族スルホンスルホン酸、パーフルオロアルカンスルホン酸および芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩の中から選択される1種もしくはそれ以上の有機アルカリ金属塩(F)を0.5重量部以下(ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり)配合してなることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 有機アルカリ金属塩(F)がN−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムおよびp−トルエンスルホン酸ナトリウムの中から選択される1種もしくはそれ以上であることを特徴とする請求項10記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
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