JP2004203998A - 光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる光反射板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、芳香族ビニル単量体成分(a)およびシアン化ビニル単量体成分(b)を共重合体の構成成分として含む共重合体(B)1〜15重量部、酸化チタン(C)5〜25重量部、ポリオルガノ水素シロキサン(D)0.01〜3重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(E)0.01〜1重量部、有機金属塩(F)0.01〜2重量部および繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)0.01〜2重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、およびこれを用いて成形してなる光反射板。
【選択図】なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、芳香族ビニル単量体成分とシアン化ビニル単量体成分を共重合体の構成成分として含む共重合体、酸化チタン、ポリオルガノ水素シロキサン、シリコーン系難燃剤、有機金属塩および滴下防止剤が配合された光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、および該組成物より成形されてなる光反射板に関する。本発明に係わる樹脂組成物は、光反射性に優れ、さらには、成形時の流動性や熱安定性、機械的強度、難燃性、外観にも優れていることから、特に液晶バックライト等の光反射板に好適に使用できる。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性などに優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、機械、自動車などの分野に広く用いられている。一方、ポリカーボネート樹脂が有するこれらの優れた性能に加えて、電気、電子、OA分野では安全上の要求を満たすため、高い難燃性を具備した材料が求められている。そこで、最近ではポリカーボネート樹脂の難燃性を向上するために、従来から使用されてきた有機臭素化合物やリン系化合物などに替わって、より環境面への影響を配慮したシリコーン系難燃剤を使用する難燃化の方法が種々提案され、採用されつつある。液晶バックライト等の光反射板の用途でも同様の状況である。(例えば、特許文献1、2、3、4参照)
【0003】
【特許文献1】
特開平11−263903号
【特許文献2】
特開2000−159996号
【特許文献3】
特開2002−146171号
【特許文献4】
特開2002−194198号
【0004】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂にシリコーン系難燃剤を配合してなる難燃ポリカーボネート樹脂にあっては、ベースとなる樹脂がポリカーボネートであるが故に、成形時の加工性(樹脂流動性)がリン系難燃ポリカーボネート樹脂やリン系難燃のポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂とのアロイ等材料に比べかなり劣るといった指摘がなされており、特に年々薄肉化傾向にある液晶バックライト等の光反射板用途においては材料の成形性の改善が強く求められてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光反射性に優れるとともに、難燃手法として環境面への影響を十分配慮したシリコーン系難燃剤を使用し、さらには成形時の流動性を大きく改良した液晶バックライト等の光反射板に好適に使用できるポリカーボネート樹脂を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂に、流動性改質剤として芳香族ビニル単量体成分とシアン化ビニル単量体成分を共重合体の構成成分として含む共重合体を用い、難燃剤として特定構造のシリコーン化合物を配合し、これらと酸化チタン、ポリオルガノ水素シロキサン、有機金属塩および繊維形成型の含フッ素ポリマーとを併用することにより、驚くべきことに、高度の光反射性や難燃性を維持しつつ、成形性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(A)ポリカーボネート樹脂:100重量部あたり、
(B)芳香族ビニル単量体成分(a)とシアン化ビニル単量体成
分(b)を共重合体の構成成分として含む共重合体:1〜
15重量部
(C)酸化チタン:5〜25重量部、
(D)ポリオルガノ水素シロキサン:0.01〜3重量部、
(E)主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基から
なるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)
とからなるシリコーン化合物:0.01〜1重量部、
(F)有機金属塩:0.01〜2重量部、および
(G)繊維形成型の含フッ素ポリマー:0.01〜2重量部
からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、ならびにこれを成形してなる光反射板を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0010】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
【0011】
これらは、単独または2種類以上混合して使用されるが、ハロゲンで置換されていない方が燃焼時に懸念される当該ハロゲンを含むガスの環境への排出防止の面から好ましい。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0012】
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
【0013】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は通常10000〜100000、好ましくは15000〜35000である。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0014】
芳香族ビニル単量体成分(a)とシアン化ビニル単量体成分(b)を共重合体の構成成分として含む共重合体(B)は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の成形性および流動性の改善に寄与する。また、共重合体(B)の重合方法については塊状重合、懸濁重合、乳化重合、これらの組合せがあげられ、塊状重合、懸濁重合で得られたものが好適に使用できる。
【0015】
芳香族ビニル単量体成分(a)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−、m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等を挙げることができ、これらを一種または二種以上使用することができる。好ましくは、スチレンが使用される。
【0016】
シアン化ビニル単量体成分(b)としては、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができ、これらを一種または二種以上使用することができる。好ましくは、アクリロニトリルが使用される。
【0017】
これら(a)、(b)成分の組成比は特に制限されず、用途に応じて選択されるが、共重合体(B)成分中において好ましくは(a)が95〜50重量%、(b)が5〜50重量%であり、さらに好ましくは(a)が90〜65重量%、(b)が10〜35重量%である。共重合体(B)の好ましい例としては、例えばSAN樹脂(スチレン−アクリロニトリル共重合体)が挙げられる。
【0018】
共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は20000〜200000が好ましく、更に好ましくは20000〜120,000である。
【0019】
共重合体(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり1〜15重量部である。配合量が1重量部未満では、流動性の改良効果という面で劣り、また15重量部を越えると、難燃性が悪化するので好ましくない。
【0020】
本発明で使用される酸化チタン(C)としては、塩素法、硫酸法どちらで製造されたものでもよく、その結晶形態としてはルチル型、アナターゼ型のどちらであっても構わない。また、酸化チタンの粒径としては0.1〜0.5μm程度のものが好適である。とりわけ、ポリエンのリン酸化物により表面処理されている酸化チタンが好適に用いられる。
【0021】
酸化チタンがリン酸化ポリエンにより処理される度合いとしては、酸化チタンに対し少なくとも0.02重量%のリンを含むことが望ましく、より好適には0.04〜0.1重量%のリンを含むよう処理された酸化チタンが好ましい。
【0022】
ポリエンとは、その分子構造内に複数の不飽和結合を有する高級脂肪酸であって、その炭素数は最低が10、好適には18程度、最大で28ものが使用される。より具体的なポリエンの例としては、リノレン酸やリノール酸が挙げられる。
【0023】
また、分子中に1個の不飽和結合しか有さない脂肪酸、例えばオレイン酸や飽和の脂肪酸、例えばステアリン酸等との混合物の形態であってもよく、さらには、脂肪酸の種々の誘導体のリン酸化物等が含まれていても構わない。これらの誘導体のより具体的な例としては、アルキル脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類等を挙げることができる。
【0024】
ポリエンのリン酸化方法としては種々の方法が挙げられるが、最も一般的な手段としては、フリーデルクラフツ触媒を使用する方法が挙げられ、その詳細手順に関しては下記の公知文献等において開示されている。
・E. Jungermann and J.J. McBridge,J.Org.Chem.26,4182(1961)
・E. Jungermann and J.J. McBridge,R. Clutter and
A.Masis,J.Org.Chem.27,606(1962) 等
【0025】
その他の有効なポリエンとしては、パラメンタンのジホスホン酸もしくはジホスホン酸エステル類が挙げられる。その構造としては、
一般式▲1▼
【化1】
【0026】
一般式▲2▼
【化2】
一般式▲1▼および▲2▼において、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ水素原子またはC1〜C10のアルキル基をあらわす。
【0027】
酸化チタン(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり5〜25重量部である。配合量が5重量部未満では光反射性に劣り、また25重量部を超えると外観や難燃性が悪化するので好ましくない。より好適な配合量は 9〜16重量部の範囲である。
【0028】
本発明にて使用されるポリオルガノ水素シロキサン(D)としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシクロシロキサン等が挙げられ、とりわけ下記一般式▲3▼〜▲5▼の構成単位から選択された化合物が好ましい。
【0029】
一般式▲3▼
【化3】
(式中、Rは脂肪族不飽和を含まない一価の炭化水素基、
aは1.00〜2.10、
bは0.1〜1.0、
(a+b)は2.00〜2.67である。)
【0030】
一般式▲4▼
【化4】
【0031】
一般式▲5▼
【化5】
【0032】
これら以外のポリオルガノ水素シロキサンを使用すると、高温下での溶融混練時にポリカーボネート樹脂の分子量低下や黄色度の上昇がみられたり、成形加工時に多量のガスの発生や成形品へのシルバーストリーク等が発生することがある。
【0033】
前記酸化チタン(C)とポリオルガノ水素シロキサン(D)は、そのままの状態で直接ポリカーボネート樹脂(A)に配合することも可能である。また、ポリカーボネート樹脂(A)に配合する前に、酸化チタン(C)を一旦ポリオルガノ水素シロキサン(C)で表面処理し、これをポリカーボネート樹脂(A)に配合しても良い。
【0034】
前記の表面処理の方法としては、湿式、乾式いずれの方法を用いても良い。湿式法としては、ポリオルガノ水素シロキサン(D)と低沸点溶媒との混合溶液に酸化チタン(C)を添加し、これを攪拌後、脱溶媒処理を行う方法等が挙げられる。その後、さらに120〜200℃の温度で熱処理しても良い。乾式法としては、ポリオルガノ水素シロキサン(D)と酸化チタン(C)をスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、V型タンブラー等の混合装置により混合攪拌処理する方法等が挙げられる。この際に、120〜200℃の温度条件で熱処理しても良い。
【0035】
本発明にて使用されるシリコーン化合物(E)としては、下記一般式▲6▼に示されるような、主鎖が分岐構造でかつ有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるものである。
【0036】
一般式▲6▼
【化6】
【0037】
すなわち、分岐単位としてT単位(RSiO1. 5)および/またはQ単位(SiO2.0)を持つことを特徴とする。これらは全体のシロキサン単位(R3〜0SiO2〜0.5)の20モル%以上含有することが好ましい。(Rは有機官能基をあらわす。)また、シリコーン化合物(E)は、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上であることが好ましい。
【0038】
この含有される芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレンまたはこれらの誘導体であるが、フェニル基が好適に使用できる。
【0039】
シリコーン化合物(E)中の有機官能基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち芳香族基以外の有機基としては、炭素数4以下の炭化水素基が好ましく、メチル基が好適に使用できる。さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基の内から選ばれた1種またはこれらの2種から3種までの混合物であることが好ましい。
【0040】
シリコーン化合物(E)の平均分子量(重量平均)は、好ましくは3000〜50万であり、更に好ましくは5000〜27万の範囲である。
【0041】
シリコーン化合物(E)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜1重量部である。配合量が当該範囲外においてはいずれの場合も難燃効果が不十分であるので好ましくない。更に好ましくは0.5〜0.9重量部の範囲である。
【0042】
本発明にて使用される(F)有機金属塩とは、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩があげられ、好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン-3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン-3−3'―ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等が使用できる。
【0043】
有機金属塩(F)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜2重量部である。配合量が0.01重量部未満では、難燃性が低下するので好ましくない。また、2重量部を超えると、機械物性や難燃性が得られなかったり、表面外観が悪化するといった問題が発生する。より好適な配合量は、0.2〜1重量部の範囲である。
【0044】
本発明にて使用される滴下防止剤(G)としては、ポリカーボネート樹脂(A)中でフィブリル状構造を形成するものがよく、例えばポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、等)、米国特許第4379910号に示される様な部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート等が挙げられる。とりわけ、分子量1000000以上で二次粒子径100μm以上のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好適に使用される。
【0045】
滴下防止剤(G)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり0.01〜2重量部である。配合量が0.01重量部未満では滴下防止性に劣り、また2重量部を超えると表面外観や機械物性(衝撃強度)が悪化するので好ましくない。より好適には、0.2〜1重量部の範囲である。
【0046】
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に各種の熱安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、充填材、離型剤、軟化材、帯電防止剤、展着剤等の添加剤、他のポリマーを配合しても良い。
【0047】
充填材としては、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレイ粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト粉、シリカ粉、アルミナ粉等が挙げられる。
【0048】
他のポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系ポリマー、さらにポリカーボネートとアロイ化して通常使用されるポリマーが挙げられる。
【0049】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に制限されるものではない。尚、「部」は断りのない限り重量基準に基づく。
【0050】
実施例にて使用された材料の詳細は以下のとおりである:
1.ポリカーボネート樹脂(住友ダウ社製・カリバー200−2
0 分子量:18600)
2.芳香族ビニル単量体成分とシアン化ビニル単量体成分を共重合体の構成成分として含む共重合体(日本A&L社製の塊状重合AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン共重合樹脂:BS−218)
3.酸化チタン:
ポリエンリン酸化物(ポリエンにはリノレン酸を用い、これをリン酸化した。)により表面処理された酸化チタン。
(酸化チタン中のリン濃度は0.06%であった。)
上記酸化チタンの無機表面処理剤はアルミナを使用した。
3.ポリオルガノ水素シロキサン:
信越化学工業社製KF99(粘度:20cSt、25℃)
4.シリコーン化合物
シリコーン化合物は、一般的な製造方法に従って製造した。
すなわち、適量のジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテトラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリオルガノクロロシランを添加して反応させることによって重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。上記方法で合成したシリコーン化合物の構造特性は、
以下のとおり:
・主鎖構造のD/T/Q単位の比率: 40/60/0(モル比)
・全有機官能基中のフェニル基の比率(*): 60モル%
・末端基: メチル基のみ
・重量平均分子量(**): 15,000
*:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さらにフェニル基が残余する場合に2個付く。末端基を除き、有機官能基は、フェニル基以外は全てメチル基である。
**:重量平均分子量は、有効数字2桁。
5.有機金属塩:
パラトルエンスルホン酸ナトリウム
6.ポリテトラフルオロエチレン:ダイキン工業社製・ネオフロンFA500
【0051】
配合方法としては、前述の各種原料を表1〜2に示す配合比率にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機(神戸製鋼製KTX37)を用いて、溶融温度280 ℃にて溶融混練し、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0052】
得られたペレットから、日本製鋼社製・J100E−C5射出成形を用いて溶融温度:270℃の条件下、ASTM仕様の機械物性評価用試験片とUL94燃焼性評価用の試験片(1.6mm厚み)を作成した。
【0053】
評価方法はそれぞれ下記のとおりである。
1.燃焼性:下記のUL94V垂直燃焼試験法に準拠して燃焼性を評価した。該試験片を温度23℃湿度50%の恒温室の中で48時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価を行った。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、以下のクラスに分けられる。
上に示す残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の試験片が有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。評価の基準は、1.6mm厚さの試験においてV−0を合格とした。
2.光反射性
長さ90mm、幅40mmの3段プレート(厚み3、2、1mm)状試験片を作成し、厚み1mmの部分につき波長400〜800nmにおけるY値を分光光度計(村上色彩技術研究所製CMS−35SP)により測定した。Y値が94%以上となるものを合格とした。
4.流れ性
日本製鋼社製・J100E−C5射出成形を用いて、溶融温度:280℃、射出圧力:1600Kg/CM2の条件下、スパイラル流動長(流路厚み:1mm)を測定した。
流動長が130mm以上を合格とした。
5.表面外観
長さ90mm、幅40mmの3段プレート(厚み3、2、1mm)状試験片を作成し、その表面外観の状態(シルバーストリークの状態)を目視にて観察した。
シルバーストリークの発生がみられない:○
シルバーストリークが発生:×
【0054】
【表1】
表−1 配合比率と評価結果
【0055】
【表2】
表−2 配合比率と評価結果
注;難燃性がNRとは、No Ratingの略。
【0056】
実施例1〜5に示すように、本発明の必須成分および各配合成分の配合量の規定値範囲を満足するものについては、難燃性、光反射性、流動性等全ての性能の規格を満たしていた。一方、比較例1〜6に示すように、本発明の必須成分および各配合成分の配合量の規定値範囲を満足しないものについては、それぞれ欠点を有していた。
●AS樹脂:比較例1においては、AS樹脂が全く配合されていないため、流動性が規格を満足していない。比較例2においては、AS樹脂が規定範囲より少ないため、やはり流動性が規格を満足していない。 さらに、比較例3においては、AS樹脂が規定の範囲を大きく越えるため、難燃性が規格を満足しなかった。
●酸化チタン:
比較例4においては、酸化チタンの配合量が規定範囲の上限よりさらに多いため、難燃性や表面外観が規格を満足しなかった。●シリコーン化合物:
比較例5、6のように、シリコーン化合物の配合量が規定範囲の上限、下限から外れる場合には、いずれも難燃性が規格を満足しなかった。
【0057】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、塩素、臭素化合物等からなるハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤を含まないことから、環境保護の面において優れた性能を持ち、さらに高度な難燃性と成形性および流動性を具備しており、とりわけ液晶バックライト用途等の反射板の素材として好適に用いることができる。
Claims (10)
- ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、芳香族ビニル単量体成分(a)およびシアン化ビニル単量体成分(b)を共重合体の構成成分として含む共重合体(B)1〜15重量部、酸化チタン(C)5〜25重量部、ポリオルガノ水素シロキサン(D)0.01〜3重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(E)0.01〜1重量部、有機金属塩(F)0.01〜2重量部および繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)0.01〜2重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 酸化チタン(C)がポリエンのリン酸化物で表面処理されており、酸化チタン(C)の表面処理される度合が、酸化チタンに対し少なくとも0.02重量%のリンを含むことを特徴とする請求項1記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 酸化チタン(C)がポリエンのリン酸化物で表面処理されており、酸化チタン(C)の表面処理される度合が、酸化チタンに対し0.04〜0.1重量%のリンを含むことを特徴とする請求項1記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(E)が、式RSiO1. 5の単位(T単位)および/または式SiO2.0の単位(Q単位)を全体のシロキサン単位(R3〜0SiO2〜0.5)に対して20モル%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。(Rは有機官能基を表わす。)
- 主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(E)が、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(E)が、含有される有機官能基のうち芳香族基がフェニル基であり、残りがメチル基であり、また末端基がメチル基、フェニル基、水酸基の内から選ばれた1種またはこれらの2種から3種までの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
- 有機金属塩(F)が、芳香族スルホン酸の金属塩またはパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩であることを特徴とする請求項1記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 繊維形成型の含フッ素ポリマー(G)が、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜8記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形されてなる光反射板。
- 請求項1〜8記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形されてなる液晶バックライト用光反射板。
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