JP4371207B2 - 脂環式スピロ型ポリイミド - Google Patents

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Description

光学材料用可溶性ポリイミドに関する。
ポリイミド樹脂はその特徴である高い機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性のために、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料などの電子材料として広く用いられている。また、最近では光導波路用材料等の光通信用材料としての用途も期待されている。
近年、この分野の発展は目覚ましく、それに対応して用いられる材料に対しても益々高度な特性が要求される様になっている。即ち、単に耐熱性、耐溶剤性に優れるだけでなく、用途に応じた性能を多数あわせもつことが期待されている。
しかし、特に、全芳香族ポリイミド樹脂においては、濃い琥珀色を呈し着色するため、高い透明性を要求される用途においては問題が生じてくる。また、全芳香族ポリイミドは有機溶剤に不溶であるため、実際にはその前駆体であるポリアミド酸を熱による脱水閉環によって得る必要がある。
透明性を実現する一つの方法として、脂環式テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応によりポリイミド前駆体を得て、該当前駆体をイミド化しポリイミドを製造すれば、比較的着色が少なく、高透明性のポリイミドが得られることは知られている(特許文献1及び2参照。)。
特開昭60−188427号公報(特許請求の範囲) 特開昭58−208322号公報(特許請求の範囲)
近年、光を用いた電子材料分野等にも耐熱性の高いポリイミドの使用が要望されて来た。本発明の目的は、紫外線領域に吸収がなく光透過性が高く、更に加工性が改善され、溶媒に対する溶解性に優れた液晶配向膜や光通信用光導波路等の光学材料用ポリイミドの原料モノマーとなり得る脂環式テトラカルボン酸二無水物の新規ポリイミドの提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題の特に有機溶媒に対する溶解性を解決する目的でスピロ構造を有する新規脂環式テトラカルボン酸二無水物の合成研究を鋭意重ねた結果、シクロオレフィンジカルボン酸無水物とアセチレンジカルボン酸ジアルキルからシクロテトラカルボン酸誘導体を得て、その酸二無水物である式[3]
Figure 0004371207
で表される4−オキサテトラシクロ[5.4.0.02,6.18,11]ドデカン−3,5−ジオン−9−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)(ODSFと略記する。)と各種のジアミン化合物から新規ポリイミドヘ誘導する方法を見い出した。
即ち、本発明では、まず以下の(A)及び(B)二つのルートでODSFモノマーが製造できる。
(A)第1工程:式[4]
Figure 0004371207
で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)(BHSFと略記する。)と式[5]
Figure 0004371207
(式中、各Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
で表されるアセチレンジカルボン酸ジアルキルをルテニウム触媒を用いて式[6]
Figure 0004371207
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
で表されるトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナ−3−エン−3,4−ビス(アルコキシカルボニル)−7−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)化合物(NESF化合物と略記する。)を製造する。
第2工程:NESF化合物を還元し式[7]
Figure 0004371207
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
で表されるトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4−ビス(アルコキシカルボニル)−7−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)化合物(NASF化合物と略記する。)を製造する。
第3工程:NASF化合物を、加水分解又は有機酸分解して式[8]
Figure 0004371207
で表されるトリシクロ[4.2.1.0]ノナン−3,4−ジカルボキシ−7−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)(NCAFと略記する。)又は式[9]
Figure 0004371207
で表されるトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−7−カルボキシメチル−3,4,7−トリカルボン酸(NATCと略記する。)を製造する。
第4工程:NATCまたはNCAFを脱水することによってODSFを製造する方法。
(B)第5工程:第1工程で得られたNESF化合物を、加水分解、又は有機酸分解し、式[10]
Figure 0004371207
で表されるトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナ−3−エン−3,4−ジカルボキシ−7−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)(NECFと略記する。)又は式[11]
Figure 0004371207
で表されるトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナ−3−エン−7−カルボキシメチル−3,4,7−トリカルボン酸(NETCと略記する。)を製造する。
第6工程:NECFまたはNETCを還元してNCAFまたはNATCを製造する。
NCAFまたはNATCは、第4工程の脱水反応によってODSFに誘導することができる。
次に、本発明の第一実施態様は、このODSFモノマーと種々のジアミン類との重縮合反応から得られる式[1]
Figure 0004371207
(式中、Rは2価の有機基を表し、mは整数を表す。)
で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有し、数平均分子量が少なくとも5000であるポリアミック酸に関する。そして、本発明の第二実施態様は、前記のポリアミック酸を熱または化学的に脱水閉環することにより得られる式[2]
Figure 0004371207
(式中、R及びmは前記と同じ意味を表す。)
で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有し、数平均分子量が少なくとも5000であるポリイミドに関する。
液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料などの電子材料、更に光導波路等の光通信用材料としての用途が期待される、紫外線領域に吸収がなく光透過性が高く、溶媒に対する溶解性に優れて、加工性が改善された光学材料用ポリイミドが提供できる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のテトラカルボン酸二無水物モノマーであるODSFの製造法は、下記のルートで表される。
Figure 0004371207
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
第1工程の付加反応から順に説明する。
式[4]のビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)(BHSFと略す)は、イタコン酸無水物とシクロペンタジエン又はジシクロペンタジエンとのディ−ルズ・アルダ−反応による公知の方法で容易に製造される(Ann.,1928,460,98;J.Am.Chem.Soc.,1957,79,6519)。
式[5]のアセチレンジカルボン酸ジアルキル化合物(DMA化合物と略す)としては、種々の化合物が使用できる。例えば、具体的には、ジメチルアセチレンジカルボキシレート、ジエチルアセチレンジカルボキシレート、ジプロピルアセチレンジカルボキシレート、ジブチルアセチレンジカルボキシレート、ジペンチルアセチレンジカルボキシレート、ジヘキシルアセチレンジカルボキシレート、ジシクロペンチルアセチレンジカルボキシレート及びジシクロヘキシルアセチレンジカルボキシレート等が挙げられる。
触媒として用いる周期律表第8族金属としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、鉄、ニッケル及びコバルト等である。特に好ましいのはルテニウムである。触媒の形態としては、金属錯体、金属塩、金属単身、担持金属及び金属酸化物等が使用できる。
金属錯体としては、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)金属、ジヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)金属、ジヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)金属、ハロゲノヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)金属、ジハロゲノトリス(トリフェニルホスフィン)金属、ジハロゲノテトラキス(トリフェニルホスフィン)金属、ジハロゲノビスベンゾニトリル金属、トリス(アセチルアセトナト)金属、ジハロゲノシクロジエン金属、ホルマトジカルボニル金属、ドデカカルボニル三金属、カルボニルビス(トリフェニルホスフィン)金属及びテトラキストリフェニルホスフィン金属等が使用できる。
更に、具体的にはジヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジブロモトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヨウドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、ジクロロ(η−1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム、ホルマトジカルボニルルテニウム及びドデカカルボニル三ルテニウム、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、カルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等が挙げられる。
これらの金属錯体の触媒の中で好ましいのは、空気中で安定で経済的な式[12]
Figure 0004371207
(式中、Xはハロゲン原子を表し、nは3又は4を表す。)
で表されるジハロゲノトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、又はジハロゲノテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムであり、より具体的にはジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジブロモトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヨウドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジブロモテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム及びジヨウドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。
金属塩としては、塩酸、硫酸、硝酸及び燐酸等の鉱酸塩、蟻酸、酢酸及びプロピオン酸等の有機酸塩が挙げられる。中でも工業的に好ましいのは、式[13]
Figure 0004371207
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるトリハロゲノルテニウムで、具体的には三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、三沃化ルテニウム等が挙げられる。実用的には安価な三塩化ルテニウム及び三臭化ルテニウムが挙げられる。
担持金属としては、炭素、アルミナ及び珪藻土等の担体に担持させた金属が使用できる。具体的にはルテニウム/活性炭、ルテニウム/アルミナ、パラジウム/活性炭等である。金属単身としては、ルテニウム黒及びパラジウム黒である。
更に金属酸化物としては、ルテニウム黒及びパラジウム黒である。
触媒の使用量は、原料のノルボルナジエンに対し、0.1〜30モル%、特には、0.5〜20モル%が好ましい。
また、前記式[13]で表されるトリハロゲノルテニウムはトリフェニルホスフィン存在下で使用することもできる。トリハロゲノルテニウムとしては、三塩化ルテニウム及び三臭化ルテニウムが好ましい。トリフェニルホスフィンの添加量は、トリハロゲノルテニウムに対して1〜10モル当量が好ましく、特には3〜6モル当量が好ましい。
本反応では溶媒を使用しなくとも、反応は進行するが、使用する事もできる。溶媒としては例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等のアミド類、ベンゼン、トルエン、キシレン及びキュメン等の芳香族炭化水素類及びテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、12−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル等の環状エーテル類等が特に好ましいが、他の溶媒例えばヘキサンやヘプタン等の脂肪族炭化水素類でも進行する。特にはアミド系溶媒が好ましい。更にこれらの溶媒を組み合わせて使用することもできる。
その使用量は、溶媒量が多くなると反応進行が遅くなるが、無溶媒では、反応進行に伴い高粘稠になることから、BHSFに対し1〜20質量倍、特には1〜10質量倍が経済的にも好ましい。また、本反応の原料であるBHSFやジアルキルアセチレンジカルボキシレートの反応中の重合を抑制するために重合禁止剤を添加することもできる。
重合禁止剤としては例えば、ジフェニルピクリルヒドラジン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ニトロベンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィド、ヒドロキノン、p−メトキシフェノール、2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール及び塩化銅(II)等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、BHSFやジアルキルアセチレンジカルボキシレートに対して0.01〜1モル%が好ましい。
前記式[6]で表されるNESF化合物を得る反応方法は、反応溶媒中にルテニウム触媒と、前記式[4]で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン(BHSF)を加えて反応温度に昇温してから前記式[5]で表されるアセチレンジカルボン酸ジアルキル(DMA化合物)を滴下して仕込む方法が好ましい。その理由は、反応熱の制御とDMA化合物の重合副生物の抑制のためである。基質や触媒と同時にDMA化合物を仕込んでから昇温すると、重合物を副生し発熱が激しく危険な場合があり好ましくない。
反応温度は、高温ほど反応が速いが重合等の副反応を伴うので、通常50〜200℃の範囲、好ましくは60〜180℃の範囲であり、特に好ましくは80〜120℃の範囲で高選択的に目的物が得られる。
このBHSF1モルとジアルキルアセチレンジカルボキシレート1モルの付加反応で得られる目的の前記式[6]で表されるNESF化合物とジアルキルアセチレンジカルボキシレート3モルから得られるヘキサ(アルコキシカルボニル)ベンゼンや未反応原料との分離は、再結晶法やカラムクロマトグラフィー法で精製した後、次の第2工程の還元反応や第5工程の加水分解反応に用いられる。
次に第2工程のNESF化合物(前記式[6])の前記式[7]のNASF化合物への還元反応は、二重結合を単結合に変換する種々の一般的還元法が適用できる。
例えば、(1)金属および金属塩による還元、(2)金属水素化物による還元、(3)金属水素錯化合物による還元、(4)ジボランおよび置換ボランによる還元、(5)ヒドラジンによる還元、(6)ジイミド還元、(7)リン化合物による還元、(8)電解還元及び(9)接触還元等を挙げることができる。
これらの中で、最も実用的方法は接触還元方法である。本発明で採用できる接触還元法は以下の通りである。触媒金属としては、周期律表第8族のパラジウム、ルテニウム、ロジウム、白金、ニッケル、コバルト及び鉄、又は第1族の銅等が使用できる。これらの金属は単独で、又は他の元素と複合させた多元系で使用される。それらの使用形態は、各金属単身、ラネー型触媒、ケイソウ土、アルミナ、ゼオライト、炭素及びその他の担体に担持させた触媒及び錯体触媒等が挙げられる。
具体的には、パラジウム−炭素、ルテニウム−炭素、ロジウム−炭素、白金−炭素、パラジウム−アルミナ、ルテニウム−アルミナ、ロジウム−アルミナ、白金−アルミナ、還元ニッケル、還元コバルト、ラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネー銅、酸化銅、銅クロマト、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、クロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム及びヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものはパラジウム−炭素及びルテニウム−炭素等である。
触媒の使用量は、5%金属担持触媒として基質に対し0.1〜30質量%が、特には、0.5〜20質量%が好ましい。溶媒は、メタノール、エタノール及びプロパノール等に代表されるアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等に代表されるエーテル類及び酢酸エチル及び酢酸プロピル等に代表されるエステル類等が使用できる。
その使用量は、原料に対し1〜50質量倍の範囲が、特には、3〜10質量倍の範囲が好ましい。水素圧は常圧から10MPa(100kg/cm)の範囲が、特には、常圧から5MPa(50kg/cm)の範囲が好ましい。反応温度は、0〜150℃の範囲が、特には、10〜100℃の範囲が好ましい。
反応は、水素吸収量によって追跡することができ、理論水素量の吸収後サンプリングしガスクロマトグラフィーで分析し確認することができる。本反応は、回分式でも連続反応でも可能である。反応後は、濾過により触媒を除いた後、濃縮後、再結晶法又はカラムクロマトグラフィー法で精製することができる。
また、第6工程の前記式[11]のトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナ−3−エン−7−カルボキシメチル−3,4,7−トリカルボン酸(NETCと略す)又は前記式[10]のNECFの還元反応も上記と同様に行うことができ、前記式[9]のトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−7−カルボキシメチル−3,4,7−トリカルボン酸(NATCと略す)又は前記式[8]のNCAFが高収率で得られる。
次に第3工程の前記式[7]のNASF化合物より前記式[9]のNATCへの加水分解反応条件は、通常のアルキルエステルを加水分解してアルキルカルボン酸にする方法が適用できる。一法として、塩基による方法がある。塩基としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物を用いるのが経済的に好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウム等であり、特には、水酸化ナトリウムが最も好ましい。
その使用量は、基質に対し2〜3当量が、特には2〜2.4当量が好ましい。溶媒としては、アルコールと水の混合系が一般的である。アルコールの種類としては、メタノール、エタノール及びプロパノール等の低級アルコールが好ましい。その使用量は、基質に対し、1〜20質量倍が、特には、2〜10質量倍が好ましい。水の添加量は、基質に対し0.1〜20質量倍が、特には、1〜10質量倍が好ましい。アルコールと水の混合比は、質量比で1対20から20対1の間で選択でき、特には1対5から5対1間で選択するのが好ましい。
反応後は、アルコールを留去した後、水を加えてから酸沈させてNATCの粗結晶が得られる。これを再結晶法又はカラムクロマトグラフィー法で精製することにより、NATCの純品が得られる。
もう一法として、酸による方法であるが、第2工程で得られたNASFの炭素骨格の立体構造(3−エンド、4−エンド−ビス(アルコキシカルボニル)体)を保持したトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−7−エキソ−カルボキシメチル−3−エンド,4−エンド,7−エンド−トリカルボン酸(NATC)が高収率で得られる特徴がある。酸の種類としては、塩酸、硫酸及び燐酸等の無機酸類、蟻酸、酢酸及びプロピオン酸等の脂肪酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類が挙げられる。これらの中で、蟻酸による方法が簡便である。その使用量は、NASF化合物に対して2モル当量以上が好ましく、副生する蟻酸メチルを蟻酸の一部に同伴させて留出さることが反応促進させることから、蟻酸は10〜50モル当量の過剰量存在させることが好ましい。生成物のNATC又はNCAFは、結晶として析出するので、反応終了後ろ過により単離することができる。あるいは、反応終了後のNATC又はNCAF・蟻酸スラリーをそのまま次の脱水工程に供することができる。
また、第5工程のNESF化合物の塩基又は酸によるNETC又はNECFへの加水分解反応も同様にして行うことができ、NETC又はNECFが高収率で得られる。
次に、第4工程のNETC又はNECFのODSFへの脱水法について述べる。脱水剤としては、例えば脂肪族カルボン酸無水物、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCと略記)、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロライド(DMCと略記)等が用いられるが、好ましくは安価な脂肪族カルボン酸無水物、特に無水酢酸が用いられる。使用量は、NETC又はNECFに対し1〜20当量、好ましくは1〜5当量である。
溶媒は、脱水剤自身を過剰量加えて使用する場合もあるが、反応に直接関与しない有機溶媒を用いることもできる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素類、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類、更に1,4−ジオキサン等が挙げられる。使用量は、NATC(NCAF)に対し1〜20質量倍、好ましくは1〜10質量倍である。
反応温度は、通常脱水剤又は溶媒の沸点付近で行うのが一般的であるが、50〜200℃間で行うことができる。より好ましくは、60〜150℃である。反応時間は、反応温度との相関になるが、実用的には、1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。本反応は、常圧又は加圧で行うこともでき、また回分式又は連続式でも可能である。
反応後、脱水剤を、場合により溶媒も一緒に留去すると高純度のODSFが得られる。必要に応じ、再結晶法により精製することもできる。
また、前述した様に前工程で蟻酸を用いる場合は、その反応混合物であるNATC(NCAF)・蟻酸スラリーをそのまま次の脱水工程に供し、蟻酸や副生する酢酸(脱水剤として無水酢酸を用いた場合)を、場合により共存させた有機溶媒と共に留去させながら転化率を上げて、目的のODSFを得ることができる(第3工程・第4工程ワンポット法)。
次にODSFの重合評価結果について述べる。本発明により得られるテトラカルボン酸二無水物は、ジアミンとの重縮合反応によりポリアミド酸とした後、熱もしくは触媒を用いた脱水閉環反応により対応するポリイミドとすることができる。
一般に、ポリイミド樹脂はその特徴である高い機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性のために、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料などの電子材料として広く用いられている。また、最近では光導波路用材料等の光通信用材料としての用途も期待されている。
近年、この分野の発展は目覚ましく、それに対応して、用いられる材料に対しても益々高度な特性が要求される様になっている。即ち、単に耐熱性、耐溶剤性に優れるだけでなく、用途に応じた性能を多数合わせ持つことが期待されている。
しかし、特に、全芳香族ポリイミド樹脂においては、濃い琥珀色を呈し着色するため、高い透明性を要求される用途においては問題が生じてくる。また、全芳香族ポリイミドは有機溶剤に不溶であるため、実際にはその前駆体であるポリアミド酸を熱による脱水閉環によって得る必要がある。
透明性を実現する一つの方法として、脂環式テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応によりポリイミド前駆体を得て、該当前駆体をイミド化しポリイミドを製造すれば、比較的着色が少なく、高透明性のポリイミドが得られることは知られている(特開昭60−188427号公報及び特開昭58−208322号公報 参照。)。
これに対して、本発明者らの本発明により得られる式[1]化合物を用いて得られるポリイミドは、脂環式構造を有しているため、従来の脂環式ポリイミドと同様、比較的高い耐熱性と良好な透明性を有すると考えられる。更に、本発明により得られるテトラカルボン酸二無水物は、特定の脂環式構造を有しているため、従来の脂環式ポリイミド樹脂よりも複屈折が低くかつ優れた低誘電率等の特性を有するものと期待される。
以上述べた観点から、高透明性、高耐熱性、低複屈折性、低誘電性に優れたポリイミド樹脂を見出すべく、鋭意検討を進めた結果、新規なポリイミド樹脂を完成させるに至った。
即ち、一般式[14]
Figure 0004371207
(式中、Aは4価の有機基を、Rは2価の有機基を表す。また、pは整数を表す。)
で表されるポリイミド樹脂において、繰り返し単位の少なくとも10mol%が下記式[2]
Figure 0004371207
(式中、Rは2価の有機基を表し、mは整数を表す。)
の構成単位からなる新規なポリイミド樹脂を提供するものであり、更には、一般式[14]で表されるポリイミド樹脂において、少なくとも10mol%の式[3]で表されるODSFを含むテトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを重縮合させ、次いで、脱水閉環反応により得られる繰り返し単位の少なくとも10mol%が上記式[2]で示されるポリイミド樹脂の製造方法を提供するものである。
本発明において使用されるテトラカルボン酸二無水物の全モル数のうち、少なくとも10mol%は式[3]のODSFでなければならない。更には、本発明の目的である高い透明性と低い複屈折を達成するためには、望ましくは、テトラカルボン酸二無水物のうち90mol%以上はODSFでなければならない。
本発明において用いられる式[3]のODSF以外のテトラカルボン酸二無水物としては、通常のポリイミドの合成に使用されるテトラカルボン酸及びその誘導体を用いることは、何ら差し支えない。
その具体例としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサン酸、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸などの脂環式テトラカルボン酸及びこれら二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物などが挙げられる。
更には、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3‘,4−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3‘,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジンなどの芳香族テトラカルボン酸及びこれらの二無水物並びにこれらのジカルボン酸ジ酸ハロゲン化物なども挙げられる。
本発明において用いられるジアミンは、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されるものではない。その代表例を挙げれば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル −4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノナフタレン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5−ジアミノ−1,6−ジメトキシベンゼン、3,5−ジアミノ−1,6−ジメトキシトルエン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メチル−3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル等の芳香族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン及びテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。また、これらのジアミンの1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
本発明の新規ポリイミドは、酸二無水物とジアミンを溶媒中で反応させたポリアミド酸を経由し、その熱イミド化により用いることができる。また、ポリアミド酸を溶媒中でイミドに転化させ、溶剤可溶性のポリイミドとして用いることも可能である。
本発明のポリイミド前駆体を得る方法は、その製造法は特に限定されるものではないが、該テトラカルボン酸二無水物およびその誘導体と前記ジアミンを反応、重合させて得ることができる。この際のテトラカルボン酸二無水物とジアミンのモル数の比は0.8から1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様に、このモル比が1に近いほど生成する重合体の重合度は大きくなる。重合度が小さすぎるとポリイミド塗膜の強度が不十分であり、また重合度が大きすぎるとポリイミド塗膜形成時の作業性が悪くなる場合がある。従って、本反応における生成物の重合度は、ポリアミド酸溶液の還元粘度換算で、0.05〜5.0dl/g(温度30℃のN−メチルピロリドン中、濃度0.5g/dl)が好ましい。
溶液重合に使われる溶剤の具体例としては、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルカプトラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、およびブチルラクトンなどを挙げることができる。これらは、単独でも、また混合して使用してもよい。さらに、ポリイミド前駆体を溶解しない溶剤であっても、均一な溶液が得られる範囲内で上記溶媒に加えて使用してもよい。溶液重合の反応温度は、−20℃から150℃、好ましくは−5℃から100℃の任意の温度を選択することができる。
本発明の有機溶媒可溶性ポリイミドを得る方法は、その製造方法は特に限定されるものではないが、該テトラカルボン酸二無水物及びその誘導体とジアミンを反応、重合させて得られたポリアミド酸前駆体を、通常は加熱により脱水閉環させる方法が採用される。また、公知の脱水閉環触媒を使用して化学的に閉環する方法も採用することができる。加熱による方法では、100℃から300℃、好ましくは120℃から250℃の任意の温度を選択できる。化学的に閉環する方法では、たとえばピリジン、トリエチルアミンなどを無水酢酸など存在下で使用することができ、このときの温度は、−20℃から200℃の任意の温度を選択することができる。
このようにして得られたポリイミド溶液はそのまま使用することもでき、また、メタノール、エタノールなどの貧溶媒に沈殿単離させポリイミドを粉末として、あるいはそのポリイミド粉末を適当な溶媒に再溶解させて使用することができる。再溶解させる溶媒は、得られたポリイミドを溶解させるものであれば特に限定されないが、その具体例を挙げるならば、m−クレゾール、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
また、単独ではポリマーを溶解させない溶液であっても、溶解性を損なわない範囲であれば上記溶媒に加えて使用することができる。その具体例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。
また、ポリイミド膜と基板の密着性を更に向上させる目的で、得られたポリイミド溶液にカップリング剤等の添加剤を加えることはもちろん好ましい。
この溶液を基板に塗布し、溶媒を蒸発させることにより基板上にポリイミド被膜を形成させることができる。この際の温度は通常100℃から300℃で十分である。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例で用いた分析法は以下の通りである。
[1] [ガスクロマトグラフィー(GC)]
機種:Shimadzu GC−17A,Column:キャピラリカラム CBP1−W25−100(25mx0.53mmφx1μm),カラム温度:100℃(保持2min.)〜8℃/min.(昇温速度)〜290℃(保持10min.),注入口温度:290℃,検出器温度:290℃,キャリアガス:ヘリウム,検出法:FID法。
[2] [質量分析(MASS)]
機種:LX−1000 (JEOL Ltd.),検出法:FAB法。
[3] [H−NMR]
機種 :INOVA500 (VARIAN Corp.),測定溶媒:CDCl,d−DMSO
標準物質:tetramethylsilane(TMS)。
[4] [13C−NMR]
機種:INOVA500 (VARIAN Corp.),測定溶媒:CDCl,d−DMSO
標準物質:CDCl(δ:77.1ppm)。
[5] [融点(Mp.)]
ヤナコ機器開発研究所:MP−J3。
[6] [赤外吸収スペクトル] ニコレットインストルメント製NEXUS 670FT−IRを用い、ポリイミド粉末のKBrペレットを作成し測定を行った(図1〜6参照。)。吸収ピークから5員環イミド基を確認した。
[7] [分子量測定]センシュー科学常温GPC測定装置SSC−7200を用い、DMFを溶離液として用い分子量の測定を行った。
実施例1(第1工程)
Figure 0004371207
100mLガラス製四つ口反応器に、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−(テトラハイドロフラン−2’,5’−ジオン)(BHSF)5.34g(30mmol)、RuCl(PPh1.15g(4mol%)及び1,4−ジオキサン16gを仕込み110℃油浴で攪拌しながら加温した。内温91℃になってからジメチルアセチレンジカルボキシレート(DMA)4.69g(33mmol)を1.5時間かけて滴下した。7時間攪拌後、ガスクロマトグラフィー分析すると未反応BHSFが残余していた。そこで更にDMA4.69g(33mmol)を1.5時間かけて滴下し、内温91℃で16時間攪拌後、ガスクロマトグラフィー分析すると未反応BHSFが消失した。反応終了後濃縮してから残渣にメタノールを加え加温し溶解後、冷却した。結晶が晶析したので、濾過、メタノール洗浄、乾燥すると純度96.4%の褐色結晶7.00g(収率70.3%)が得られた。
この結晶を1,4−ジオキサンに溶解し、不溶分をセライト濾過除去してからやや濃縮後メタノールを加え冷却した。晶析した結晶を濾過、メタノール洗浄、乾燥すると純度99.6%の褐色結晶3.7gが得られた。
この結晶の構造は、下記の分析結果からトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナ−3−エン−3,4−ビス(メトキシカルボニル)−7−スピロ−3’−(テトラハイドロフラン−2’,5’−ジオン)(NESF)であることを確認した。
MASS(FAB,m/z):321([M+H],92),289(100),129(60).
H−NMR(500MHz,CDCl,δppm):1.23(dd,J=3.05Hz,J=12.82Hz,1H),1.51(d,J=11.91Hz,1H),2.16(d,J=11.91Hz,1H),2.35(dd,J=4.58Hz,J=12.82Hz,1H),2.42(d,J=4.28Hz,1H),2.53(s,1H),2.75(dd,J=7.64Hz,J=10.69Hz,2H),2.86(d,J=2.75Hz,1H),3.11(d,J=18.64Hz,1H),3.75(d,J=6.41Hz,6H).
13C−NMR(125MHz,CDCl,δppm):29.76,34.49,38.20,41.50,42.34,42.44,45.66,50.10,52.06(2),140.39,142.60,160.74,160.86,168.97,176.11.
Mp.(℃):130〜131。
実施例2(第1工程)
100mLガラス製四つ口反応器に、RuCl・3HO0.53g(4mol%)、トリフェニルホスフィン1.57g(12mol%)及び1,4−ジオキサン27gを仕込み内温84℃(油浴90℃)で2時間攪拌した。続いてBHSF8.90g(50mmol)を添加してから、DMA14.2g(100mmol)を2時間かけて滴下した。内温84℃(油浴90℃)で20時間攪拌後、ガスクロマトグラフィー分析すると未反応BHSF26.3%が残余しNESFが73.7%生成していた。そこで更に内温を103℃(油浴120℃)に昇温し20時間攪拌した結果、ガスクロマトグラフィー分析すると未反応BHSF9.4%が残余しNESFが90.6%生成していた。
実施例3(第1工程)
100mLガラス製四つ口反応器に、BHSF5.34g(30mmol)、RuCl・3HO0.314g(4mol%)及び1,4−ジオキサン17gを仕込み内温100℃(油浴130℃)でDMA8.5g(60mmol)を45分かけて滴下した。更に内温100℃(油浴130℃)で24時間攪拌後、ガスクロマトグラフィー分析すると未反応BHSF9.5%が残余し、NESFが90.5%生成していた。反応後濃縮してから得られた残渣にトルエンを加えて加温溶解させた。不溶分は濾過にて除去した後、濾液を濃縮すると油状物10.2gが得られた。酢酸エチルとn−ヘプタンから晶析させるとNESF4.12gが得られた。
実施例4(第1工程)
100mLガラス製四つ口反応器に、BHSF5.34g(30mmol)、RuCl・3HO0.314g(4mol%)及び1,4−ジオキサン48gを仕込み内温100℃(油浴120℃)でDMA6.4g(45mmol)を1時間かけて滴下した。更に内温100℃(油浴120℃)で6時間攪拌後、ガスクロマトグラフィー分析すると未反応BHSF26.9%が残余し、NESFが73.1%生成していた。そこで更にDMA2.13g(15mmol)を滴下し、内温100℃(油浴120℃)で20時間攪拌後、ガスクロマトグラフィー分析すると未反応BHSF6.2%が残余し、NESFが93.8%生成していた。反応後濃縮してから得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/n−ヘプタン)で主留分8.69gを得た。この留分を酢酸エチルとn−ヘプタンから晶析させるとNESF4.63gが得られた。
実施例5(第2工程)
Figure 0004371207
100mLハステロイ製オートクレーブに、NESF2.20g(6.87mmol)、5%Pd/C(54.4%含水品)0.20g(4.1質量%)、及び酢酸エチル22gを仕込んだ後、窒素置換後水素初圧3MPaで撹拌を開始しながら昇温し、80℃で4時間反応させた。室温まで冷却すると結晶が析出していたので、1,4−ジオキサンを加えて溶解してから、濾過により触媒を除去してから濃縮・乾燥させると、ガスクロマトグラフィー分析で原料と異なる単一成分の白色結晶1.80g(5.59mmol)(収率81.4%)が得られた。
この結晶の構造は、下記の分析結果からトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3−エンド,4−エンド−ビス(メトキシカルボニル)−7−スピロ−2’−エキソ−4’−エンド−3’−(テトラハイドロフラン−2’,5’−ジオン)(NASF)であることを確認した。
MASS(FAB,m/z):323([M+H],49),289(100),113(40).
H−NMR(500MHz,CDCl,δppm):1.09(dd,J=2.90Hz,J=12.98Hz,1H),2.18(dd,J=1.22Hz,J=12.23Hz,1H),2.21(dd,J=4.78Hz,J=13.03Hz,1H),2.31(d,J=12.22Hz,1H),2.52(t,J=7.33Hz,1H),2.65〜2.71(m,3H),2.85(s,1H),2.97(d,J=18.33Hz,1H),3.62(d,J=2.75Hz,6H),3.63〜3.66(m,3H).
13C−NMR(125MHz,CDCl,δppm):33.65,37.85,38.27,38.63,39.07,39.90,41.44,42.11,45.53,50.05,51.44,51.59,169.26,170.71,170.79,176.03.
Mp.(℃):136〜137。
実施例6(第2工程)
100mLハステロイ製オートクレーブに、NESF4.10g(12.8mmol)、5%Pd/C(54.4%含水品)0.36g(4.0質量%)及び酢酸エチル41gを仕込んだ後、窒素置換後水素初圧5MPaで撹拌を開始しながら昇温し、80℃で8時間反応させた。室温まで冷却すると結晶が析出していたので、1,4−ジオキサンを加えて溶解してから、濾過により触媒を除去してから濃縮、乾燥させると、NASF結晶4.08g(12.6mmol)(収率98.4%)が得られた。
実施例7(第3工程)
Figure 0004371207
50mLガラス製四つ口反応器に、NASF1.78g(5.5mmol)、パラトルエンスルホン酸0.089g(5質量%)及びギ酸17.8gを仕込んだ後、撹拌を開始しながら120℃油浴で1時間還流させた後、水分離器から生成したギ酸メチルとギ酸の一部を3時間かけて留去させた。一夜室温で放冷すると結晶が析出した。これを濾過後トルエン洗浄し、更に乾燥させると白色結晶1.24g(4.21mmol)(収率77.2%)が得られた。この結晶に水とメチルエチルケトン(MIBK)を加え加温溶解後、水層を濃縮、乾燥すると白色結晶1.20gが得られた。この結晶の構造は、下記の分析結果からトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−7−エンド−カルボキシメチル−3−エンド,4−エンド,7−エキソ−トリカルボン酸(NATC)であることを確認した。
MASS(FAB,m/z):311([M−H],72),171(100).
H−NMR(500MHz,CDCl,δppm):0.781(dd,J=2.14Hz,J=2.83Hz,1H),1.48(d,J=11.00Hz,1H),2.04(d,J=11.00Hz,1H),2.19(dd,J=4.73Hz,J=12.98Hz,1H),2.37〜2.51(m,4H),2.64(s,1H),2.74(t,J=7.79Hz,1H),3.50〜3.62(m,2H),12.08(brs,4H).
13C−NMR(125MHz,CDCl,δppm):32.79,36.75,37.36,38.76(2),39.59,40.18,40.99,44.36,49.38,172.25,172.58,172.87,177.28.
Mp.(℃):189〜190。
実施例8(第5工程)
Figure 0004371207
水分離器冷却管接続50mLガラス製四つ口反応器に、NESF1.80g(5.6mmol)、パラトルエンスルホン酸0.18g(5質量%)及びギ酸36gを仕込んだ後、撹拌を開始しながら130℃油浴で生成したギ酸メチルを逃がしながら4時間還流させた。続いて、濃縮により生成したギ酸メチルとギ酸を留去させると結晶が析出した。更にメチルエチルケトン30gを加えて室温で攪拌してから濾過し、更に乾燥させると白色結晶1.10g(3.76mmol)(収率67.3%)が得られた。この結晶の構造は、下記の分析結果からトリシクロ[4.2.1.02,5]ノネ−3−エン−3,4−ジカルボキシ−7−スピロ−3’−(テトラハイドロフラン−2’,5’−ジオン(NECF)であることを確認した。
MASS(FAB,m/z):293([M+H],80),275(46),185(100),92(100),74(87).
H−NMR(500MHz,CDCl,δppm):1.35〜1.39(m,2H),1.96(d,J=11.00Hz,1H),2.13(dd,J=4.74Hz,J=12.99Hz,1H),2.24(d,J=4.28Hz,1H),2.50(t,J=1.68Hz,1H),2.75(d,J=3.05Hz,1H),2.92〜2.97(m,2H),3.28(d,J=18.64Hz,1H),11.80(brs,2H).
13C−NMR(125MHz,CDCl,δppm):29.28,33.95,37.77,41.09,41.55,42.13,44.74,49.83,141.98,143.04,162.60,162.68,170.90,177.54.
Mp.(℃):270〜272。
実施例9(第5工程)
Figure 0004371207
水分離器冷却管接続100mLガラス製四つ口反応器に、NESF粗物6.74g(21.0mmol))、パラトルエンスルホン酸0.35g(5質量%)及びギ酸49g(5質量倍)を仕込んだ後、撹拌を開始しながら130℃油浴で生成したギ酸メチルを逃がしながら7時間還流させた。続いて、濃縮により生成したギ酸メチルとギ酸を留去させると粗物得られた。更にこの粗物に酢酸エチルを加えて加温してから氷冷し、濾過し、更に乾燥させるNETCの白色結晶5.7g(18.3mmol)(収率87.6%)が得られた。
MASS(FAB,m/z):309([M−H],100),65(39).
H−NMR(500MHz,d−DMSO,δppm):0.95(dd,J=2.14Hz,J=12.83Hz,1H),1.20(d,J=10.64Hz,1H),1.41(d,J=10.69Hz,1H),2.10(d,J=4.27Hz,1H),2.30(s,1H),2.32(dd,J=4.89Hz,J=14.14Hz,1H),2.59(dd,J=16.50Hz,J=27.49Hz,2H),2.71(d,J=3.06Hz,1H),2.97(d,J=2.75Hz,1H),9.42(brs,4H).
13C−NMR(125MHz,d−DMSO,δppm):29.24,34.01,38.13,38.99,40.79,41.75,45.34,49.60,142.50,143.03,162.80,162.88,172.90,177.11.
Mp.(℃):244〜246。
実施例10(第6工程)
Figure 0004371207
100mLハステロイ製オートクレーブに、NECF1.46g(5.00mmol)、5%Pd/C(4.4%含水品)0.16g(5.0質量%)、及び酢酸エチル44gを仕込んだ後、窒素置換後水素初圧5MPaで撹拌を開始しながら昇温し、80℃で6時間反応させた。室温まで冷却すると結晶が析出していたので、1,4−ジオキサンを加えて溶解してから、濾過により触媒を除去してから濃縮・乾燥させると、白色結晶1.40g(4.76mmol)(収率95.2%)が得られた。
この結晶の構造は、下記の分析結果からトリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3−エンド,4−エンド−ジカルボキシ−7−スピロ−3’−エンド−(テトラハイドロフラン−2’,5’−ジオン)(NCAF)であることを確認した。
MASS(FAB,m/z):293([M−H],100),249(36),177(25),111(15).
H−NMR(500MHz,d−DMSO,δppm):1.24(dd,J=1.83Hz,J=12.83Hz,1H),2.00(dd,J=4.58Hz,J=12.83Hz,1H),2.07(d,J=9.16Hz,1H),2.25(d,J=11.31Hz,1H),2.45〜2.49(m,2H),2.66(d,J=8.55Hz,1H),2.84(d,J=18.02Hz,2H),3.16(d,J=18.33Hz,1H),3.60(t,J=4.28Hz,2H),12.11(brs,2H).
13C−NMR(125MHz,d−DMSO,δppm):37.40,37.54,38.25,38.70,39.92,40.44,42.00,49.75,66.37,170.96,172.07,172.23,177.54.
Mp.(℃):213〜214。
実施例11(第6工程)
Figure 0004371207
200mLハステロイ製オートクレーブに、NETC14.3g(46.5mmol)、5%Pd/C(53.3%含水品)0.920g(3.0質量%)、及び1,4−ジオキサン114gを仕込んだ後、窒素置換後水素初圧4MPaで撹拌を開始しながら昇温し、100℃で5時間反応させた。60℃付近まで冷却してから脱圧してから、触媒を濾過・水洗してから、濾液を濃縮・乾燥させると、白色結晶13.6g(4.76mmol)(収率94.3%)が得られた。
この結晶の構造は、MASS、H−NMR、13C−NMRの分析結果からトリシクロ[4.2.1.02,5]ノネン−7−エンド−カルボキシメチル−3−エンド,4−エンド,7−エキソ−トリカルボン酸(NATC)であることを確認した。
実施例12(第4工程)
Figure 0004371207
200mLガラス製四つ口反応器に、NATC12.5g(40mmol)、無水酢酸50g(490mmol)及びトルエン75g(6質量倍)を仕込んだ後、撹拌を開始しながら昇温し130℃油浴で2時間スラリーのまま還流させた。終了後、氷冷し、結晶を濾過し、トルエン洗浄後乾燥させると、ODSFの純白色結晶8.12g(29.4mmol)(収率73.6%)が得られた。濾液を濃縮後すると粗結晶2.2gが得られ、これに酢酸エチルを加えて加温後、氷冷し、結晶を濾過し、酢酸エチル洗浄後乾燥させると、ODSFの純白色結晶1.20g(4.35mmol)(収率10.8%)が得られた。
この結晶の構造は、下記の分析結果から2−エンド,6−エンド−4−オキサテトラシクロ[5.4.0.02,6.18,11]ドデカン−3,5−ジオン−9−スピロ−2’−エキソ,4’−エンド−3’−(テトラハイドロフラン−2’,5’−ジオン)(ODSF)であることを確認した。
MASS(FAB,m/z):275([M−H],21),171(100).
H−NMR(500MHz,d−DMSO,δppm):1.29(dd,J=3.36Hz,J=13.14Hz,1H),1.65(d,J=13.14Hz,1H),2.00(dd,J=4.58Hz,J=12.13Hz,1H),2.19(d,J=12.83Hz,1H),2.33(d,J=3.28Hz,1H),2.68(s,1H),2.81(t,J=8.24Hz,1H),2.89(d,J=18.33Hz,1H),3.03(t,J=8.25Hz,1H),3.18(d,J=18.33Hz,1H),3.71〜3.77(m,2H).
13C−NMR(125MHz,d−DMSO,δppm):31.98,36.59,37.94,38.38,40.22,40.71,40.96,42.09,44.01,49.38,170.53,172.79,173.09,177.06.
Mp.(℃):253〜254。
実施例13(第4工程)
Figure 0004371207
50mLガラス製四つ口反応器に、NATC1.03g(3.30mmol)及び無水酢酸10.2g(100mmol)を仕込んだ後、撹拌を開始しながら昇温し120℃油浴で4時間還流させた。終了後、氷冷すると結晶が析出した。この結晶を濾過、トルエン洗浄後乾燥させると、ODSFの白色結晶0.520g(1.88mmol)(収率57.1%)が得られた。
実施例14(ODSF−DDEポリアミド酸及びポリイミドの合成)
Figure 0004371207
攪拌機付き四つ口反応器に、ODSF0.829g(3.0mmol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下DDEと略す)0.600g(3.0mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと省略する)3.39gを用い、室温で27時間攪拌し重合反応を行なうことにより、固形分15wt%のポリアミド酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分5wt%にし、GPC(Gel Permeration Chromatography)法により分子量を測定した結果、数平均分子量(Mn)は18,665で、重量平均分子量(Mw)は37,927であり、Mw/Mnは2.0319であった。
この溶液に無水酢酸0.735gを加え5分間攪拌した後、ピリジン1.092gを加えて100℃で2時間攪拌した。このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、更に1時間攪拌して白色粉末を析出させた。白色粉末を濾過後、DMAc溶液の4容量倍のメタノールで洗浄してから、60℃で3時間減圧乾燥した。1.28gのODSF−DDEポリイミドが得られ、GPC測定の結果、数平均分子量(Mn)は12,603で、重量平均分子量(Mw)は25,062であり、Mw/Mnは1.9886であった。
この白色粉末の赤外吸収スペクトル(ニコレットインストルメント製NEXUS 670FT−IRを用い、ポリイミド粉末のKBrペレットを作成し測定を行った。:添付チャート参照)から1709.80,1777.55cm−(5員環イミド)を確認した。また、H−NMRからイミド化率76.0%を算出した。
実施例15(ODSF−PDAポリアミド酸及びポリイミドの合成)
Figure 0004371207
攪拌機付き50mL4つ口フラスコに、ODSF2.76g(10.0mmol)、p−フェニレンジアミン(以下PDAと略す)1.08g(10.0mmol)、DMAc34.6gを用い、室温で46時間攪拌し重合反応を行なうことにより、固形分10wt%のポリアミド酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分5wt%にし、GPCにより分子量を測定した結果、数平均分子量(Mn)は22,855で、重量平均分子量(Mw)は61,138であり、Mw/Mnは2.6751であった。
この溶液に無水酢酸2.45gを加え5分間攪拌した後、ピリジン3.64gを加えて100℃で2時間攪拌した。このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のアセトニトリル中に滴下し、更に1時間攪拌して白色粉末を析出させた。白色粉末を濾過後、DMAc溶液の4容量倍のメタノールで洗浄してから、60℃で3時間減圧乾燥した。3.54gのODSF−PDAポリイミドが得られ、GPC測定の結果、数平均分子量(Mn)は17,456で、重量平均分子量(Mw)は34,849であり、Mw/Mnは1.9964であった。
この白色粉末の赤外吸収スペクトル(KBrにて測定:添付チャート参照)から1709.80,1774.83cm−(5員環イミド)を確認した。また、H−NMRからイミド化率81.4%を算出した。
実施例16(ODSF−DA4Pポリアミド酸及びポリイミドの合成)
Figure 0004371207
攪拌機付き50mL4つ口フラスコに、ODSF2.76g(10.0mmol)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下DA4Pと略す)2.92g(10.0mmol)、DMAc32.2gを用い、室温で40時間攪拌し重合反応を行なうことにより、固形分15wt%のポリアミド酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分5wt%にし、GPCにより分子量を測定した結果、数平均分子量(Mn)は20,241で、重量平均分子量(Mw)は44,755であり、Mw/Mnは2.2111であった。
この溶液に無水酢酸2.45gを加え5分間攪拌した後、ピリジン3.64gを加えて100℃で2時間攪拌した。このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、更に1時間攪拌して白色粉末を析出させた。白色粉末を濾過後、DMAc溶液の4容量倍のメタノールで洗浄してから、60℃で3時間減圧乾燥した。5.25gのODSF−DA4Pポリイミドが得られ、GPC測定の結果、数平均分子量(Mn)は7,994で、重量平均分子量(Mw)は17,113であり、Mw/Mnは2.1408であった。
この白色粉末の赤外吸収スペクトル(KBrにて測定:添付チャート参照)から1711.84,1773.56cm−(5員環イミド)を確認した。また、H−NMRからイミド化率80.1%を算出した。
実施例17(ODSF−DA5MGポリアミド酸及びポリイミドの合成)
Figure 0004371207
攪拌機付き50mL4つ口フラスコに、ODSF2.76g(10.0mmol)、ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン(以下DA5MGと略す)2.86g(10.0mmol)、DMAc32.2gを用い、室温で46時間攪拌し重合反応を行なうことにより、固形分15wt%のポリアミド酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分5wt%にし、GPCにより分子量を測定した結果、数平均分子量(Mn)は5,895で、重量平均分子量(Mw)は21,435であり、Mw/Mnは3.6361であった。
この溶液に無水酢酸2.45gを加え5分間攪拌した後、ピリジン3.64gを加えて100℃で2時間攪拌した。このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、更に1時間攪拌して白色粉末を析出させた。白色粉末を濾過後、DMAc溶液の4容量倍のメタノールで洗浄してから、60℃で3時間減圧乾燥した。5.00gのODSF−DA5MGポリイミドが得られ、GPC測定の結果、数平均分子量(Mn)は10,141で、重量平均分子量(Mw)は19,605であり、Mw/Mnは1.9332であった。
この白色粉末の赤外吸収スペクトル(KBrにて測定:添付チャート参照)から1708.79,1773.41cm−(5員環イミド)を確認した。また、H−NMRからイミド化率75.7%を算出した。
実施例18(ODSF−DADMBポリアミド酸及びポリイミドの合成)
Figure 0004371207
攪拌機付き50mL4つ口フラスコに、ODSF2.76g(10.0mmol)、3,5−ジアミノ−1,6−ジメトキシベンゼン(以下DADMBと略す)1.65g(9.80mmol)、DMAc25.0gを用い、室温で45時間攪拌し重合反応を行なうことにより、固形分15wt%のポリアミド酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分5wt%にし、GPCにより分子量を測定した結果、数平均分子量(Mn)は6,894で、重量平均分子量(Mw)は11,758であり、Mw/Mnは1.7055であった。
この溶液に無水酢酸2.45gを加え5分間攪拌した後、ピリジン3.64gを加えて100℃で2時間攪拌した。このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、更に1時間攪拌して白色粉末を析出させた。白色粉末を濾過後、DMAc溶液の4容量倍のメタノールで洗浄してから、60℃で3時間減圧乾燥した。4.00gのODSF−DADMBポリイミドが得られ、GPC測定の結果、数平均分子量(Mn)は5,440で、重量平均分子量(Mw)は9,361であり、Mw/Mnは1.7208であった。
この白色粉末の赤外吸収スペクトル(KBrにて測定:添付チャート参照)から1708.07,1773.39cm−(5員環イミド)を確認した。また、H−NMRからイミド化率71.6%を算出した。
実施例19(ODSF−DADMTポリアミド酸及びポリイミドの合成)
Figure 0004371207
攪拌機付き50mL4つ口フラスコに、ODSF2.70g(9.8mmol)、3,5−ジアミノ−1,6−ジメトキシトルエン(以下DADMTと略す)1.65g(9.0mmol)、DMAc17.4gを用い、室温で40時間攪拌し重合反応を行なうことにより、固形分15wt%のポリアミド酸溶液を得た。この溶液にDMAcを加えて固形分5wt%にし、GPCにより分子量を測定した結果、数平均分子量(Mn)は2,934で、重量平均分子量(Mw)は4,645であり、Mw/Mnは1.5829であった。
この溶液に無水酢酸2.45gを加え5分間攪拌した後、ピリジン3.64gを加えて100℃で2時間攪拌した。このDMAc溶液を室温に戻してから、3.5容量倍のメタノール中に滴下し、更に1時間攪拌して白色粉末を析出させた。白色粉末を濾過後、DMAc溶液の4容量倍のメタノールで洗浄してから、60℃で3時間減圧乾燥した。2.89gのODSF−DADMTポリイミドが得られ、GPC測定の結果、数平均分子量(Mn)は2,700で、重量平均分子量(Mw)は3,598であり、Mw/Mnは1.3326であった。
この白色粉末の赤外吸収スペクトル(KBrにて測定:添付チャート参照)から1715.32,1781.44cm−(5員環イミド)を確認した。また、H−NMRからイミド化率80.1%を算出した。
実施例20(ODSF−各ジアミンポリイミドの溶解性)
Figure 0004371207
本発明のポリイミドは、下記の表からわかる様に各種の有機溶媒に溶解する可溶性ポリイミドである。
Figure 0004371207
以上、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料などの電子材料、更に光導波路等の光通信用材料としての用途が期待される、紫外線領域に吸収がなく光透過性が高く、溶媒に対する溶解性に優れて、加工性が改善された光学材料用ポリイミドが提供できる。
実施例14で得られたODSF−DDEポリイミドの赤外吸収スペクトル 実施例15で得られたODSF−PDAポリイミドの赤外吸収スペクトル 実施例16で得られたODSF−DA4Pポリイミドの赤外吸収スペクトル 実施例17で得られたODSF−DA5MGポリイミドの赤外吸収スペクトル 実施例18で得られたODSF−DADMBポリイミドの赤外吸収スペクトル 実施例19で得られたODSF−DADMTポリイミドの赤外吸収スペクトル

Claims (2)

  1. 式[1]
    Figure 0004371207
    (式中、Rは2価の有機基を表し、mは整数を表す。)
    で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有し、数平均分子量が少なくとも5000であるポリアミック酸。
  2. 式[2]
    Figure 0004371207
    (式中、Rは2価の有機基を表し、mは整数を表す。)
    で表される繰り返し単位を少なくとも10モル%含有し、数平均分子量が少なくとも5000であるポリイミド。
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