JP4369418B2 - ホイールサスペンション - Google Patents

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Description

本発明は、ばね調節装置を備えた、自動車用のホイールサスペンションであって、車体と、この車体にコントロールアーム装置を介して可動に枢着されたホイールとを有しており、該ホイールが、ホイールキャリアと少なくとも1つの圧縮コイルばねとを備えており、該圧縮コイルばねが、一方では車体に支えられていて、他方ではホイールキャリア又はコントロールアーム装置に支えられており、ホイールの接地点に対する、車体支承装置のばね剛性が変えられるようになっている形式のものに関する。ばね剛性の変化は、立体的な位置関係つまり、コントロールアーム装置の回転軸線に対する圧縮コイルばねの力作用線、ひいてはホイールの接地点Pと力作用線との伝達比が変化せしめられることによって得られる。
ドイツ連邦共和国特許公開第2538103号明細書によれば、左右対称の圧縮コイルばねがばね受け(このばね受けによって圧縮コイルばねは車体に支えられ、かつコントロールアーム装置に支えられている)に対して偏心的にずらされている。この場合、圧縮コイルばねは、ばね中心線がばねの力作用線と合致している一般的なばねである。ばね受けをモータによって回転させることによって、ホイールの接地点に対する車体支承部のばね剛性が変化する。圧縮コイルばねのばね剛性自体は変化しない。ホイールの接地点に対する車体支承部のばね剛性の変化は、有効なてこ腕に作用するので、車両のサスペンションを「低剛性(柔らかく)」又は「高剛性(硬く)」に調節することができる。
ドイツ連邦共和国特許公開第3707085号明細書によれば、圧縮コイルばねの支持点が車体及び/又はホイールキャリア若しくはコントロールアーム装置に対して並進運動(平行移動運動)せしめられるようになっているホイールサスペンションが公知である。この並進移動運動は、特に相応のばね受けの中心線に対して垂直な方向で、この場合ホイールの接地点に関連した、ホイールに対する車体支承部のばね剛性も制御されて変化可能であるように、実施される。この場合も、圧縮コイルばね内部のばね剛性自体は変化しない。所望の作用は、有効てこ腕の変化に基づいている。
ドイツ連邦共和国特許第3743450号明細書並びにドイツ連邦共和国特許第10125503号明細書によれば、力作用線とばね中心線とが所定の角度を成している圧縮コイルばねを使用したホイールサスペンションが公知である。ホイールサスペンションはもっぱらマクファーソンの原理に従っており、この場合、相応のばね脚(スプリングストラット)の軸に対して少しだけずれている、力作用線とばね中心線との間の選択された角度位置によって、ばね脚のサスペンションにかかる横方向力が減少される。組み立てた状態でばね中心線に対する力作用線のずれを固定することは、次のようにして得られる。つまり、圧縮コイルばねが緊張解除された状態において、半径方向で見てほぼS字状に延びているか、若しくは半径方向の第1の方向で見てS字状でこの第1の方向に対して垂直な第2の方向で見てC字状に延びているか、若しくは第1の方向でS字状でこの第1の方向に対して垂直な第2の方向で見て同様にS字状に延びていることによって、得られる。
ドイツ連邦共和国特許第10125503号明細書に記載されているように、以上の例は、ホイールサスペンション内に組み立てた状態でばね中心線と力作用線との所定のずれを実現する唯一の技術的な可能性ではない。その他の可能性も挙げられている。
またドイツ連邦共和国特許第10125503号明細書に記載されているように、圧縮コイルばねのばね中心線の概念のための規則に従った基準は提供されていない。この公知の明細書に記載された、圧縮コイルばねのばね中心線を得るための形式について、以下に説明する。
圧縮コイルばねのばね中心線を得るための第1の方法は、まず圧縮コイルばねの包絡周面を形成し、次いでこの得られた包絡周面から、ばね中心線とみなされる包絡線を見つけ出す。この方法は、限定的に使用可能である。つまり、特に異なる巻条直径を有するばね巻条(Federwindung;スプリングコイル)が存在する箇所において限定的に使用することができる。圧縮コイルばねのばね中心線を規定するための別の方法によれば、ばね巻条の算術平均からばね巻条のそれぞれの湾曲中心点を規定し、かつそれによって規定されたばね巻条の所定の湾曲中心点を結んだ線がばね中心線を形成するようになっている。また、圧縮コイルばねのばね中心線は次のようにして規定することもできる。つまり、一平面上に投影させた各ばね巻条を観察して、ばね巻条に近似する円弧の中心点を、各ばね巻条の中心点とみなし、またこのようにして得られたばね巻条の中心点を互いに接続させることによって、規定することもできる。
圧縮コイルばねのばね中心線は、ばね中心線が圧縮コイルばねのばね力作用線のためにどのような意味を有しているかに基づいている。圧縮コイルばねが真っ直ぐなばね中心線を有している場合は、ばね力作用線(勿論常に真っ直ぐである)はばね中心線と合致する。ばね中心線が緊張解除された状態でほぼC字状に延びている圧縮コイルばねにおいては、組み付けられた状態でのばね力作用線は、組み付けられた状態で真っ直ぐに延びるばね中心線に対してずらされている(ドイツ連邦共和国特許第3743450号明細書、図5参照)。これに対して、ばね中心線が負荷されていない状態でほぼS字状に延びる圧縮コイルばねにおいては、組み付けられた状態でのばね力作用線は、組み付けられた状態で真っ直ぐに伸びるばね中心線に対して所定の鋭角を成して延びている(ドイツ連邦共和国特許第3743450号明細書、図6参照)。
圧縮コイルばねの力作用線は、圧縮コイルばねが支えられているばね受けに対する、一方では車体の力及び対抗力の方向によって規定され、他方ではホイールキャリア若しくはコントロールアーム装置の力及び対抗力によって規定される。圧縮コイルばねの端部とばね受けとの間の支承は、一般的に複数点支承例えば3点支承である。しかしながら線状の支承も可能である。
ドイツ連邦共和国特許公開第2538103号明細書 ドイツ連邦共和国特許公開第3707085号明細書 ドイツ連邦共和国特許第3743450号明細書 ドイツ連邦共和国特許第10125503号明細書
冒頭に述べた従来技術から主発して、本発明の課題は、ホイールの接地点に関連した車体サスペンションのばね剛性の改善された変化を可能にするようなホイールサスペンションを提供することである。このような適合可能性は、車両の種々異なる負荷状態のための簡単な、場合によってはマニュアル(手動)による適合可能性として設計することができる。しかしながら、ホイールサスペンションを特に互いに無関係な種々異なる走行状態にも適合させることができるような、簡単な技術的手段によって得られる、フルアクティブ(能動的)なシャーシを提供することが重要である。
この課題を解決した本発明によれば、ばね調節装置を備えた、自動車用のホイールサスペンションであって、車体と、この車体にコントロールアーム装置を介して可動に枢着されたホイールとを有しており、該ホイールが、ホイールキャリアと少なくとも1つの圧縮コイルばねとを備えており、該圧縮コイルばねが、一方では車体に支えられていて、他方ではホイールキャリア又はコントロールアーム装置に支えられており、ホイールの接地点に対する、車体支承装置のばね剛性が変えられるようになっている形式のものにおいて、組み付けられた状態での前記圧縮コイルばねの力作用線が幾何学的なばね中心線に対してずらされており、この場合、幾何学的なばね中心線に対する力作用線を三次元的に調節するための回転手段が設けられていて、該回転手段によって前記圧縮コイルばねがその幾何学的なばね中心線を中心にして回転されることにより、前記ばね剛性が変えられるようになっている。
本発明に基づく基本形状を有するホイールサスペンションによれば、圧縮コイルばねが車体に対して相対的に調節された時に、圧縮コイルばねはその形状が変化することはなく、幾何学的なばね中心線に対する力作用線の位置だけが変化するようになっている。これによって、圧縮コイルばねは、従来技術により公知の解決策と比較して、付加的な構造スペースを基本的に必要とすることがない。
この場合、それぞれの組み込み状況に応じて、力作用線と幾何的なばね中心線とは所定の角度を成すようになっているか、又は力作用線がばね中心線に対して平行にずらされている。本発明によって提案された可能性によれば、圧縮コイルばねの支承部を回転させることによって得られる効果は、偏心的に配置された一般的な中央の圧縮コイルばねが使用されている公知のホイールサスペンションに対して著しく増大せしめられる。つまり、相応の回転角度において得られる、車体サスペンションのばね剛性に関する効果が増大せしめられる。
実際の使用においては特に、圧縮コイルばねはその両端部がそれぞればね受けを介して、車体若しくはホイールキャリア又はコントロールアーム装置に支えられるようになっており、この場合さらに、少なくとも1つのばね受けがモータによって回転駆動せしめられるように構成されている。この場合、モータによって駆動される少なくとも1つのばね受けが回転可能に支承されている。それぞれ第2のばね受けが定置に固定されていて、圧縮コイルばねの対応する端部がこの定置のばね受けに緊締されていれば、圧縮コイルばねの調節時に圧縮コイルばねが付加的にねじれることによって、ばねの剛性がより高くなるという付加的な効果が得られる。しかしながら一般的には、2つのばね受けを回転可能に支承し、この場合一方のばね受けをモータによって回転駆動させるようになっている。
2つのばね受けがモータによって回転駆動せしめられるようになっていれば、ばね受けにおける圧縮コイルばねの両端部が相応に緊張解除された場合に、圧縮コイルばねは付加的にねじられ、車体に関するばね剛性に対して付加的に、ばね自体のばね剛性が変化せしめられる。
本発明の実施態様によれば、力作用線と幾何学的なばね中心線とが所定の角度を成している。
本発明の別の実施態様によれば、力作用線がばね中心線に対して平行にずらされている。
本発明の別の実施態様によれば、圧縮コイルばねの両端部が、それぞればね受けを介して、車体若しくはホイールキャリア又はコントロールアーム装置に支えられている。
本発明の別の実施態様によれば、ばね受けの少なくとも1つが、モータによって回転駆動せしめられる。
本発明の別の実施態様によれば、モータによって駆動されるばね受けの少なくとも1つが、回転可能に支承されている。
本発明の別の実施態様によれば、圧縮コイルばねが、回転駆動せしめられる少なくとも1つのばね受けの中心軸線に対して偏心的に、このばね受けで支えられている。
本発明の実施態様によれば、少なくとも1つのばね受けが、その中心軸線を中心にして傾倒可能に駆動されるように構成されている。これによって、力作用線に対するばね中心線の所定のずれと共に、ホイールサスペンションの幾何学形状に対するばね中心線の変化も得られ、この場合、ばねの回転によって得られる、力作用線に関する効果は、この回転の程度だけ増大せしめられる。
本発明の別の実施態様によれば、従来技術により公知であるように、少なくとも1つのばね受けが、その中心軸線に対してほぼ垂直に、並進運動で摺動可能に駆動されるようになっている。この調節によって、ホイールサスペンション全体の幾何学形状も同様に変化し、ばねの回転による車体サスペンションのばね剛性を変化させるための補足的な効果が得られる。
別の実施態様によれば、同様に従来技術により公知なように、圧縮コイルばねが、回転駆動せしめられる少なくとも1つのばね受けの中心軸線に対して偏心的に、このばね受けで支えられている。この場合も、ばねを回転させるだけによって得られる効果に対して付加的な調節可能性として、ホイールサスペンションに対するばね変化が得られる。この場合、ばね受けの回転作用を高めるために、圧縮コイルばねの配置は、ばね中心線に対する力作用線のずれと、ばね受けの回転軸線に対するばね中心線のずれとが加算されるように、選択されている。
使用された圧縮コイルばねは、緊張解除された状態で、緊張解除された状態でばね中心線のほぼS字状の形状を有している(ドイツ連邦共和国特許第3743450号明細書)か、又は緊張解除された状態で、第1の方向で見てほぼS字状に延びるばね中心線の形状を有していて、この第1の方向に対して垂直な第2の方向で見てほぼC字状に延びるばね中心線の形状を有している(ドイツ連邦共和国特許第10125503号明細書)か、若しくは緊張解除された状態で、第1の方向で見てほぼS字状に延びるばね中心線の形状を有していて、この第1の方向に対して垂直な第2の方向で見て同様にほぼS字状に延びるばね中心線の形状を有している(ドイツ連邦共和国特許第10125503号明細書)。
本発明の別の実施態様によれば、ホイールサスペンションがマクファーソン式ホイールサスペンションであって、該マクファーソン式ホールサスペンションが、互いに入れ子式に入り合う圧縮コイルばね装置/ダンパ装置と、下側の横方向コントロールアームとを有しており、この場合、ダンパは上端部でジョイントを介して車体に旋回可能に枢着されていて、下端部がホイールキャリアに堅固に結合されており、横方向コントロールアームが特に三角形の横方向コントロールアームであって、該コントロールアームが軸を中心にして車体に対して旋回可能に、かつホイールキャリアに対してほぼ平行な軸を中心にして旋回可能にホイールキャリアに結合されており、この場合、圧縮コイルばねが車体に及びホイールキャリアに支えられている。
本発明の別の実施態様によれば、ホイールサスペンションが横方向コントロールアーム装置であって、該横方向コントロールアーム装置が、少なくとも1つ、特に2つの互いに上下に位置する横方向コントロールアームを有しており、これらの横方向コントロールアームが回転軸を介して、一方では車体に結合され、他方ではホイールキャリアに結合されており、この場合、圧縮コイルばねが一方では車体に支えられ、他方では前記横方向コントロールアームに支えられている。
本発明の別の実施態様によれば、ホイールサスペンションが、長手方向コントロールアーム装置、複合コントロールアーム装置又は傾斜方向コントロールアーム装置であって、これらのコントロールアーム装置が、一方では回転軸を介して車体に結合されていて、他方ではホイールキャリアに結合されており、この場合、圧縮コイルばねが一方では車体に支えられていて、他方では1つの長手方向コントロールアームに支えられている。
車体に対する圧縮コイルばねの角度位置の調節は、有利な形式で電子式の調整ユニットによって、一方では、選択可能な車体レベルを得るために例えば負荷状態におけるそれぞれの車両静荷重に関連してばね剛性の適合が定常的に調節され、他方では、効果的な車体剛性が、すべての考えられ得る走行状態において道路間隔及び車体傾斜に関連してできるだけ一定な車体位置のために、変えられかつ適合せしめられるように、定常的(固定的)な基本位置からダイナミックに変化せしめられるように、定常的に調節される。
本発明の手段によれば、古典的な鋼ばねシステムによってフルアクティブ(全能動的)なシャーシが得られ、この場合、電子式のセンサ手段及び制御手段並びに電動モータ式の駆動手段を必要とするだけである。付加的なエネルギ消費は低く維持される。一般的に既に存在している、自動車の走行状態のための多くのセンサに基づいて、同様に、圧縮コイルばねの制御及びモータによる駆動のための付加的なコストは低い。この場合、フルアクティブなシャーシのためのコスト及び付加重量は、限界に維持される。
前記小さい構造スペースに基づいて、車軸構造を著しく変更することなしに、相応のフルアクティブなシャーシを存在するそれぞれの車両にほぼ適合させることができる。本発明によるホイールサスペンションを、存在する車両に機能範囲を減少させて後付し、それによって例えば少なくともレベル調整のための可能性を得ることも考えられる。一般的に本発明によって得られる機能範囲は、その他の市販されているフルアクティブなシャーシに劣っているものではない。
電動モータ式の駆動モータを使用することは容易に考えつくことであるが、勿論、その代わりに圧縮コイルばねのために空圧式又は液圧式の調節手段を使用してもよい。
使用されたセンサの形式及び使用された電子制御装置の形式に応じて、本発明による制御可能なホイールサスペンションが得られる。
カーブ走行時における車体のローリング角度は著しく減少される。
始動角度及び急ブレーキ角度は、通常の前後方向の加速度の範囲内で完全に補償される。
後車軸の固有振動数は負荷状態とは無関係に一定に維持される。
追加荷重が変化する場合に、完全なレベル補償が得られる。
圧縮コイルばねの基本的な設計は比較的低い剛性で行われる。何故ならばレベル調整及び車体のローリング角度は、車体剛性をより高く(高剛性)なるように制御することによって補償されるからである。
圧縮コイルばねを基本的に低剛性で設計することによって、走行安定性及び走行安全性の改善が得られる。
アクティブなローリングバランス(車両の両側において異なる圧縮コイルばねの調節)は、車両のスタビライザをより低剛性で設計することができる。これによってロール特性及び走行安全性が改善される。
車両の両側の圧縮コイルばねを別個に制御することによって、公知のトーションスタビライザにおけるような、車両の互いに反対側の側面におけるリパーカッションエフェクト(波及効果)は避けられる。
公知のトーションスタビライザが省かれたことによって、ロール特性の改善が得られる。
車高(最低地上高)は、オフロード運転及び悪路運転のために高くすることができる。
空気抵抗を減少させるために、又は積載を簡単にするために、車体レベルを著しく低く(最低地上高の低下)調節することができる。
車両の自己操舵特性は、可変なロールモーメント分割によって影響を受ける。
ホイールサスペンションのラバーマウント内の反力(横方向力)を変えることによって、アクティブなトーインに影響を及ぼすことができる。この場合、走行安定性が改善される。
歩行者を保護するために、衝突時に車高(最低地上高)を変えることができる。
本発明によるホイールサスペンション、特に車両のすべての車輪に本発明による形式のホイールサスペンションを備えたフルアクティブなシャーシは、その他のアクティブなシャーシに対して、構成部材の点数が少なく、パッケージが簡単で、エネルギ消費が少ないことを特徴としている。
本発明の有利な実施例が図面に記載されていて、以下に詳しく説明されている。
図1について説明する。図1にはホイールサスペンションが概略的に示されており、この場合、長手方向(縦方向)でホイール11を見た図が示されている。車体12が示されており、マクファーソン式スプリングストラット装置13及び下側の横方向コントロールアーム14を介してホイール11が車体12に結合されている。マクファーソン式スプリングストラット装置13及び横方向コントロールアーム14はホイールキャリア15に直接係合しており、このホイールキャリア15は、ホイールのための支承手段を有していて、ホイールが駆動される際に付加的に回転駆動継手を受容することができる。マクファーソン式スプリングストラット装置13は、テレスコープ式のダンパ16を有しており、このダンパ16はその上端部がジョイント17特にゴム継手を介して車体12に固定されていて、その下端部がホイールキャリア15に堅固に結合されている。ダンパ16は圧縮コイルばね18内に配置されており、この圧縮コイルばね18は上側のばね受け19を介して車体12に固定され、下側のばね受け20を介して詳しく図示していない形式でホイールキャリア15に支えられている。横方向コントロールアーム14は、ジョイント21,22を介して車体12及びホイールキャリア15に結合されている。圧縮コイルばね18の幾何学的な中心軸線若しくは幾何学的なばね中心線Lは、ばね受け19,20のほぼ中央を通って延びている。圧縮コイルばね18の力作用線W又は作用軸線は、圧縮コイルばね18の特別な製造形式若しくはその特別な形状に基づいて緊張解除された状態で、長手方向中心線Lに対して所定の角度を成している。回転矢印Dによって、車体12に対する圧縮コイルばね18の回転可能性が示されている。図1のa)に示した初期位置において中心軸線Lと力作用線Wとの間の角度β1が負(negativ)の角度であって、図1のb)に示した、例えば中心軸線を中心として圧縮コイルばねを180゜回転させた調節位置においてばね中心線Lと力の作用線との間の角度β2は前記角度β1とほぼ同じ大きさで正(positiv)の角度である。この角度を変えることによって、ホイール接地点Pに関連した車体12の支承部のばね剛性を変えることができる。
図2について説明する。図1に概略的に示したものと同様のホイールサスペンションが図示されており、この場合、ホイール11を長手方向で見た図が示されている。図1の実施例と同じ部材には同じ符号が付けられている。従って同じ部材についての説明は図1に関する説明を参照されたい。幾何学的な中心軸線若しくは幾何学的なばね中心線Lは、ばね受け19,20のほぼ中心を通って延びている。圧縮コイルばね18の作用軸線又は力作用線Wは、その特別な製造形式若しくはその特別な形状に基づいて緊張解除された状態で、長手方向中心線Lと所定の角度を成している。回転矢印Dによって、車体12に対する圧縮コイルばね18の回転可能性が示されている。図2のa)において長手方向中心軸線Lと力作用線Wとの間の角度β1が負の角度を成しており、これに対して図2のb)には例えば、長手方向中心軸線Lを中心として圧縮コイルばねを180゜回転させた後のばね中心線Lと力作用線Wとの間の角度β2が、前記角度β1とほぼ同じであるが逆の正の角度を成している状態が示されている。付加的な旋回矢印Sで示されているように、ばね中心線Lは図2のa)に示した初期位置からばね受け19,20を、図2のb)に示した調節位置に旋回させることによって旋回可能である。その旋回程度だけ、力作用線Wの位置の変化は、図2のa)に示した初期位置から図2のb)に示した調節位置へ向かって大きくなる。力作用線Wの位置の変化によって、ホイール接地点に関連した車体12のばね剛性が変化する。このような手段によって、ホイールの接地点Pに対する車体の支承部のばね剛性は、より大きい範囲で変化する。
図3について説明する。ホイール11を長手方向で見たホールサスペンションが示されている。ホイール11は2つの横方向コントロールアーム24,25を介して車体12に結合されている。横方向コントロールアームはそれぞれ、ジョイント26,28を介してホイールキャリア33に直接的に枢着され、またジョイント27,28を介して車体12に枢着されている。上側の横方向コントロールアーム24と車体12との間にはダンパ30が配置されており、このダンパ30は、ジョイント31を介して車体に結合され、ジョイント32を介して横方向コントロールアーム24に結合されている。また圧縮コイルばね34が設けられており、この圧縮コイルばね34はばね受け35を介して車体12に支えられ、ばね受け36を介して上側の横方向コントロールアーム24に支えられている。ばね中心線Lが、構造的にこのばね中心線Lに対して平行に摺動する、圧縮コイルばね34の力作用線Wと同様に示されている。図3のa)には、力作用線がばね中心線Lに関連してホイール11に向かって間隔aだけ摺動せしめられているのに対して、図3のb)には、例えば圧縮コイルばね34が回転矢印Dに沿って180゜回転せしめられることによって、力作用線Wが間隔aだけ車体に向かって若しくは車体に設けられた横方向コントロールアームの枢着ポイント(ジョイント)に向かって摺動せしめられた状態が示されている。より大きいてこ腕に基づいて、図3のa)には、ホイール11に対する車体支承部の低いばね剛性(低剛性)が得られ、これに対して図3のb)には、短い有効てこ腕に基づいて、ホイールに対する車体支承部の高いばね剛性(高剛性)が得られる。
図4について説明する。図4にはホイール11を横から見たホイールサスペンションが示されている。このホイール11は縦方向コントロールアーム38を介して車体12に結合されている。縦方向コントロールアーム38はホイールキャリア37に堅固に結合されていて、旋回軸39を介して車体に作用している。縦方向コントロールアーム38と車体12との間にはダンパ30が設けられており、このダンパ30は、枢着ポイント(ジョイント)31を介して車体に結合されていて、枢着ポイント32を介して縦方向コントロールアームに接続されている。さらにまた圧縮コイルばね34が設けられており、この圧縮コイルばね34はばね受け35を介して車体に支持されていて、ばね受け36を介した縦方向コントロールアーム38に支持されている。ばね中心線L及び、構造的にこのばね中心線Lに対して平行にずらされている、圧縮コイルばね34の力作用線Wが示されている。図4のa)には、力作用線がばね中心線に関連してホイール11に向かって間隔aだけ摺動せしめられている初期位置が示されており、これに対して図4のb)には、例えば回転矢印Dに従って圧縮コイルばねが180゜回転することによって力作用線Wが車体に設けられた縦方向コントロールアームの執着ポイントに向かって間隔aだけ摺動せしめられた状態が示されている。大きいてこ腕に基づいて図4のa)には、ホイールに対する車体支承部の低いばね剛性が得られ、これに対して図4のb)には短い有効てこ腕に基づいて、ホイール11に対する車体支承部のより高いばね剛性が得られる。
図5について説明する。図5には、ホイール11を横から見た、図4と同様のホイールサスペンションが図示されている。図4と同じ部材には同じ符号が付けられているので、それに関する説明は図4を参照されたい。ばね中心線L及び、構造的にこのばね中心線Lに対して平行にずらされている、圧縮コイルばね34の力作用線Wが示されている。図5のa)には、力作用線W1が中心線に関連してホイール11に向かって間隔aだけずらされている初期位置が示されており、これに対して図5のb)には、例えば圧縮コイルばねが180°回転せしめられることによって、力作用線W2が車体の縦方向コントロールアームの枢着ポイントに向かって間隔aだけずらされた状態が示されている。摺動矢印Vによって、圧縮コイルばね34が、その前記回転可能性に対して付加的に並進運動的な摺動可能性を有しており、この摺動可能性によって、ばね中心線Lがそのばね中心線に対して垂直な方向で、縦方向コントロールアーム38のほぼ長手方向で摺動可能である。これによって、ばねの回転によって生ぜしめられる作用はさらに高められる。何故ならばばねの力作用線W1の初期位置と力作用線W2の調節位置との間の差は、この並進運動的な摺動によってさらに増大せしめられるからである。より大きいてこ腕に基づいて、図5のa)においては、ホイールに対する車体支承部の低いばね剛性が得られ、これに対して図5のb)においては、短い有効てこ腕に基づいて、ホイールに対する車体支承部の、より高いばね剛性が得られる。
次に図6に示した参考形態について説明する。図6には、ホイール11を横から見た、図4と同様にホイールサスペンションが図示されている。図4と同一の部材には同一の符号が付けられているので、それに関する説明は図4を参照されたい。ばね中心線L及び、構造的にこのばね中心線Lに対して平行にずらされた、圧縮コイルばね34の力作用線Wが示されている。図6のa)には、力作用線Wが中心線に関連してホイール11に向かって間隔aだけずされた初期位置が示されており、これに対して図6のb)には、例えば圧縮コイルばねが180°回転せしめられることによって、力作用線Wが車体に設けられた縦方向コントロールアームの枢着ポイントに向かって間隔aだけずらされた状態が示されている。この位置において、圧縮コイルばね34がばね受け35′,36′に対して偏心的に配置されていることが分かる。この場合、回転矢印Dで示した回転運動は、ばね受けの中心軸線Mに直線的に関連しており、この場合、ばね受けの回転によって、圧縮コイルばねの長手方向軸線Lが調節され、力作用線Wをばね中心線Lに対してずらして配置したことによって、長手方向コントロールアームに対する摺動の効果はさらに高められる。何故ならば、ばね受けと共に圧縮コイルばね自体も回転せしめられるからである。より大きいてこ腕に基づいて、図6のa)には、ホイールに対する車体支承部内の低いばね剛性が得られ、これに対して図6のb)には、短い有効てこ腕に基づいて、ホイールに対する車体支承部の高いばね剛性が得られる。
図7には、図1乃至図2に示した実施例と同じ構成部材に同じ符号が記されている。従って詳細については図1乃至2を参照されたい。図7のa)〜c)において、ばね受け19,20のためのアキシャルベアリング41,42が設けられている。図7のa)では、ばね受け19の回転駆動装置軸43にサーボモータ45が作用している。図7のb)では、ばね受け20の回転駆動装置44にサーボモータ46が作用しており、また図7のc)では、ばね受け19の回転駆動装置軸43にサーボモータ45が作用していて、またばね受け20の回転駆動装置軸44にもサーボモータ46が作用している。
図8においては、図3に示した実施例と同じ構成部材に同じ符号が記されている。従って詳細については図3を参照されたい。この場合、図8のa)〜c)において、ばね受け35,36は、車体若しくは上側の横方向コントロールアームに対して回転可能に支えられている。図8のa)においては、上側のばね受け35の回転駆動装置ジャーナル49にサーボモータ51が作用している。図8のb)においては、下側のばね受け36の回転駆動装置ジャーナル50にサーボモータ52が作用しており、また図8のc)においては、上側のばね受け35の回転駆動装置ジャーナル及び下側のばね受け36の回転駆動装置ジャーナルにサーボモータ51,52が作用している。
図9においては、図4に示した実施例と同じ構成部材に同じ符号が記されている。従ってその詳細については図4を参照されたい。この場合、図9のa)〜c)において、ばね受け35,36は、アキシャルベアリング47,48を介して車体若しくは縦方向コントロールアームに回転可能に支えられている。図9のa)では、上側のばね受け35の回転駆動装置ジャーナルにサーボモータ51が作用している。図9のb)では、下側のばね受け36の回転駆動装置ジャーナルにサーボモータ52が作用しており、また図9のc)では、上側のばね受け35の回転駆動装置ジャーナルにも、また下側のばね受け36の回転駆動装置ジャーナルにもサーボモータ51,52が作用している。
マクファーソン式スプリングストラットを備えた本発明によるホイールサスペンションであって、a)は初期位置、b)は回転せしめられた位置の、それぞれ概略図である。 マクファーソン式スプリングストラットを備えた本発明によるホイールサスペンションであって、a)は初期位置、b)は回転せしめられ、かつ付加的に傾倒せしめられたばね位置の、それぞれ概略図である。 2重の横方向コントロールアーム装置を備えた本発明によるホイールサスペンションであって、a)は初期位置、b)は回転せしめられたばね位置の、それぞれ概略図である。 縦方向コントロール装置を備えた本発明によるホイールサスペンションであって、a)は初期位置、b)は回転せしめられたばね位置の、それぞれ概略図である。 縦方向コントロール装置を備えた本発明によるホイールサスペンションであって、a)は初期位置、b)は回転せしめられ、かつ並進運動(平行移動運動)せしめられたばね位置の、それぞれ概略図である。 縦方向コントロール装置を備えた本発明によるホイールサスペンションであって、a)は初期位置、b)は偏心的に回転可能なスプリングの回転せしめられたばね位置の、それぞれ概略図である。 ばね受けのモータ駆動装置を備えた、図1及び図2に示したマクファーソン式スプリングストラット装置であって、a)は上側のばね受けの駆動装置、b)は下側のばね受けの駆動装置、c)は2つのばね受けの駆動装置の、それぞれ概略図である。 ばね受けのモータ式の駆動装置を備えた、図3に示した横方向コントロールアームを有するホイールサスペンションであって、a)は上側のばね受けの駆動装置、b)は下側のばね受けの駆動装置、c)は2つのばね受けの駆動装置の、それぞれ概略図である。 ばね受けのモータ式の駆動装置を備えた、図4及び図5に示した横方向コントロール装置又は傾斜方向コントロール装置を備えたホイールサスペンションであって、a)は上側のばね受けの駆動装置、b)は下側のばね受けの駆動装置、c)は2つのばね受けの駆動装置の、それぞれ概略図である。
符号の説明
11 ホイール、 12 車体、 13 マクファーソン式スプリングストラット装置、 14 横方向コントロールアーム、 15 ホイールキャリア、 16 ダンパ、 17 枢着ポイント、 18 圧縮コイルばね、 19,20 ばね受け、 21,22 ジョイント、 24,25 横方向コントロールアーム、 26,27,28,29 ジョイント、 30 ダンパ、 31,32 ジョイント、 33 ホイールキャリア、 34 圧縮コイルばね、 35,36 ばね受け、 37 ホイールキャリア、 38 縦方向コントロールアーム、 39 旋回軸、 41,42 アキシャルベアリング、 43,44 回転駆動装置軸、 45,46 サーボモータ、 49,50 回転駆動装置ジャーナル、 51,52 サーボモータ

Claims (1)

  1. ホイールサスペンションであって、車体(12)と、この車体(12)にコントロールアーム装置を介して可動に枢着されたホイール(11)とを有しており、該ホイール(11)が、ホイールキャリア(15,33)と少なくとも1つの圧縮コイルばね(18,34)とを備えており、該圧縮コイルばねが、一方では車体(12)に支えられていて、他方ではホイールキャリア(15,33)又はコントロールアーム装置に支えられており、ホイール(11)の接地点(P)に対する、車体支承装置のばね剛性が変えられるようになっている形式のものにおいて、
    組み付けられた状態での前記圧縮コイルばね(18,34)の力作用線(W)が幾何学的なばね中心線(L)に対してずらされており、幾何学的なばね中心線(L)に対する力作用線(W)を三次元的に調節するための回転手段が設けられていて、該回転手段によって前記圧縮コイルばね(18,34)がその幾何学的なばね中心線(L)を中心にして回転されることにより、前記ばね剛性が変えられることを特徴とする、ホイールサスペンション。
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