JPH07164851A - 自動車用後輪サスペンション装置 - Google Patents

自動車用後輪サスペンション装置

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Publication number
JPH07164851A
JPH07164851A JP34183193A JP34183193A JPH07164851A JP H07164851 A JPH07164851 A JP H07164851A JP 34183193 A JP34183193 A JP 34183193A JP 34183193 A JP34183193 A JP 34183193A JP H07164851 A JPH07164851 A JP H07164851A
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JP
Japan
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force
rear wheel
link
shock absorber
axle housing
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Application number
JP34183193A
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English (en)
Inventor
Mitsuhiro Kashima
光博 加島
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KYB Corp
Original Assignee
Kayaba Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車体とアクスルハウジングとの間に介装した
伸縮油圧筒式ショックアブソーバの発生減衰力を利用し
て後輪をトーイン或いはトーアウト側に自動転舵するコ
ンプライアンス制御機能を備えた自動車用後輪サスペン
ション装置において、車体の上下振動に対する減衰作用
とコンプライアンス制御力の両方を、それぞれの値が最
適値を保つように独立して調整できるようにする。 【構成】 伸縮油圧筒式のショックアブソーバ13を、
後輪1の回転中心から水平方向でかつ転舵中心から垂直
方向にオフセットしたアクスルハウジング4の部分に対
し、車体3側に揺動可能に軸支したアーム15と当該ア
ーム15に連接したリンク16からなる連動機構を介し
て連結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の後輪を懸架
するサスペンション装置に関し、さらに詳しくは、伸縮
油圧筒式ショックアブソーバの発生減衰力を利用して後
輪を自動的にトーイン或いはトーアウト側にコンプライ
アンスステアする自動車用後輪サスペンション装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】この種の自動車用後輪サスペンション装
置として、後輪荷重の増加に伴う伸縮油圧筒式ショック
アブソーバの圧側減衰力を利用して後輪を自動的にトー
イン側にコンプライアンスステアさせるようにしたもの
が、例えば平成4年特許出願公開第362407号公報
において既に提案されている。
【0003】すなわち、このものは、コンプライアンス
制御機能を備えたダブルトレーリングリンク式の後輪サ
スペンション装置において、アクスルハウジングを揺動
可能に支持する支持リンクと車体の間に伸縮油圧筒式の
ショックアブソーバ(以下、ショックアブソーバとい
う)を斜めにして取り付けている。
【0004】かくして、後輪の荷重変化に伴うショック
アブソーバの作動時における圧側減衰力の反力を前記支
持リンクに入力し、この入力の車体前方向分力により支
持リンクを介してアクスルハウジングに前後方向のモー
メントを与え、当該アクスルハウジングを車体前方向に
コンプライアンスステアしつつ後輪をトーイン側に自動
転舵させる。
【0005】或いは、上記の代わりに、ショックアブソ
ーバの圧側減衰力に基づく車体横方向分力を支持リンク
の両端連結部に設けた前後のマウントインシュレータに
圧縮および伸展力として加え、これら前後のマウントイ
ンシュレータの横方向弾性力差を利用してアクスルハウ
ジングを車体前方向にコンプライアンスステアしつつ後
輪をトーイン側に自動転舵させるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来提案
されたこの種の自動車用後輪サスペンション装置にあっ
ては、モーメント制御および分力制御の如何を問わず、
ショックアブソーバの発生減衰力に基づく反力の水平方
向分力を用いて支持リンクを車体前方向にコンプライア
ンス制御し、この支持リンクからアクスルハウジングを
通して後輪をトーイン側にコンプライアンスステアさせ
るというものである。
【0007】したがって、言うまでもなく、上記ショッ
クアブソーバの圧側減衰力に基づく反力の水平方向分力
(コンプライアンス制御力)は、支持リンクとアクスル
ハウジングを通して後輪をトーイン側にコンプライアン
スステアさせるのに充分な大きさをもつものでなければ
ならない。
【0008】しかし、反面、ショックアブソーバの本来
の役目は、路面状況によって車体と車輪間に生じる上下
振動を制振して乗心地の向上或いは積荷の保護を図る点
にあり、その点から当該ダンパの圧側減衰力特性(圧縮
速度に応じた減衰力カーブ)は、車種や車重に対応して
最適値に設定してやらなければならない。
【0009】上記2つの点を満足させる手段としては、
ショックアブソーバの圧側減衰力を高く設定すると共に
その取付角度を大きくとり、当該圧側減衰力に基づく反
力の水平方向分力を大きくしつつ鉛直方向分力は小さく
して、所望の圧側減衰力特性を確保すると同時にコンプ
ライアンス制御力を充分にとり得るようにしてやること
が考えられる。
【0010】しかし、このようにすると、乗員や積荷の
増減による車高変化によってショックアブソーバの取付
角度が大きく変動することから、所期の取付角度範囲を
大きく逸脱してショックアブソーバ本来の最適な制振作
用を果たし得なくなる。
【0011】そうかと言って、車高変化がショックアブ
ソーバの圧側減衰力特性に極力悪影響を与えないように
取付角度を設定すると、元来、圧側減衰力特性は減衰作
用を効果的に発揮するために伸側減衰力特性に比べてに
低く設定されるのが普通であるため、圧側減衰力に基づ
く反力の水平方向分力が充分にとれないことになって所
期のコンプライアンス制御を行い得なくなるという不都
合を生じる。
【0012】このように、ショックアブソーバの取付角
度のみで圧側減衰力を、車体の上下振動に対する減衰作
用とコンプライアンス制御力の両方について最適の値を
保つように調整することが困難であった。
【0013】したがって、この発明の目的は、車体の上
下振動に対する減衰作用とコンプライアンス制御力の両
方について、それぞれが最適の値を保つように独立して
調整することのできる新規の構成を備えたこの種自動車
用後輪サスペンション装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明において、上記
した目的は、車体とアクスルハウジングとの間に介装し
た伸縮油圧筒式ショックアブソーバの発生減衰力に基づ
いて当該アクスルハウジングに加わるトー制御力を利用
して、ショックアブソーバの圧縮動作時には後輪をトー
イン側に、また、伸長動作時にはトーアウト側にそれぞ
れ自動転舵するコンプライアンス制御機能を備えた後輪
サスペンション装置において、上記ショックアブソーバ
を後輪の回転中心からオフセットしたアクスルハウジン
グ部分に対し、車体側に揺動可能に軸支したアームと当
該アームに連接したリンクからなる連動機構を介して連
結することによって達成される。
【0015】
【作用】すなわち、上記の構成をとることによって、例
えば、自動車が旋回を開始してロールモーメントにより
車体が外側に傾いたとすると、旋回方向外側の伸縮油圧
筒式ショックアブソーバはリンクとアームを通して圧縮
側に動作し、圧側減衰力を発生してその抵抗によりリン
クとアクスルハウジングの連結点に当該リンクの軸線方
向に沿う下向きの力(支持力)を加える。
【0016】また、旋回方向内側の伸縮油圧筒式ショッ
クアブソーバはリンクとアームを通して逆に伸長側に動
作し、伸側減衰力を発生してその抵抗によりリンクとア
クスルハウジングの連結点に当該リンクの軸線方向に沿
う上向きの力(引上力)を加える。
【0017】そのために、これらリンクの作動角に基づ
く上記支持力と引上力の鉛直方向分力がアクスルハウジ
ングの上下動を抑える抵抗力となって、ショックアブソ
ーバ本来の役目である車体と後輪間の上下振動を減衰す
る圧側および伸側減衰力として作用する。
【0018】一方、それと同時に、ショックアブソーバ
がアームとリンクを介してそれぞれの側のアクスルハウ
ジングの車軸中心から前後および上下にオフセットした
部分に連結されていることから、上記支持力と引上力の
鉛直方向分力と水平方向分力の両方がアクスルハウジン
グに作用して当該アクスルハウジングにトー方向の回転
モーメントを加える。
【0019】これにより、沈み込み側である旋回方向外
側の後輪は、支持力の鉛直方向分力によって圧側減衰作
用を受けつつ、かつ、当該鉛直方向分力と水平方向分力
の合力すなわち支持力そのものによってトーイン側に転
舵される。
【0020】また、同様に、旋回方向内側の浮き上がり
側の後輪は、引上力の鉛直方向分力によって伸側減衰作
用を受けつつ、かつ、当該鉛直方向分力と水平方向分力
の合力すなわち引上力そのものによってトーアウト側に
転舵されることになる。
【0021】かくして、後輪をトー方向に転舵させるト
ー制御力言い換えればコンプライアンス制御力は、ショ
ックアブソーバの圧側および伸側減衰力特性を適宜に選
定することで設定され、また、車体の上下振動を減衰す
る作用力は、上記ショックアブソーバの圧側および伸側
減衰力特性に基づいてリンクの作動角を適切に選定する
ことで設定可能となる。
【0022】このことから、ショックアブソーバの減衰
力特性を含めてリンクの作動角を適切に選ぶことによ
り、車体の上下振動制振作用力と後輪転舵のためのコン
プライアンス制御力の比を所定の値に選定して、理想的
なコンプライアンス機能を備えた後輪サスペンション装
置とすることができる。
【0023】
【実施例】以下、図面に基づいてこの発明を説明する。
なお、ここでの実施例は、ダブルトレーリングリンク式
サスペンション装置に当該発明を実施した場合について
例示している。
【0024】図1および図2において、左右の後輪1
は、ラテラルロッド2で車体3に結ばれたそれぞれのア
クスルハウジング4を介して回転自在に支架されてお
り、これらアクスルハウジング4は、車軸5を通して車
体3に支持されている。
【0025】左右のアクスルハウジング4は、車軸5を
挟んで上下左右に対角状に軸支した一対の支持リンクで
あるアッパリンク6とロアリンク7とで前方側の車体3
の部分に揺動可能に連結され、かつ、これらアッパリン
ク6とロアリンク7の各連結部分にはそれぞれゴムブッ
シュ8〜11が介装してある。
【0026】これらアクスルハウジング4の上面とその
上方の車体3の部分との間には懸架用スプリング12が
介装してあり、かくして、左右の後輪1をばね上側の車
体3に対し、アクスルハウジング4と、一対のアッパリ
ンク6とロアリンク7、および懸架用スプリング12を
介してそれぞれコンプライアンス可能に弾性支持してい
る。
【0027】この実施例の場合、上記構成からなるダブ
ルトレーリングリンク式の後輪サスペンション装置にお
いて、左右のアクスルハウジング4の後方における車体
3の部分に、伸縮油圧筒式のショックアブソーバ13の
一端を揺動可能に軸支してある。
【0028】また、アクスルハウジング4の後部には、
後輪1の回転中心から水平方向でかつ回転中心から鉛直
方向にオフセットした部分に位置してブラケット14が
取り付けてある。
【0029】そして、前記ショックアブソーバ13の先
端を車体3側に揺動可能に軸支したL型アーム15の一
端に回動可能にピン結合し、かつ、当該アーム15の他
端を上記アクスルハウジング4のブラケット14にリン
ク16を介して連結することにより、これらショックア
ブソーバ13とアクスルハウジング4を互いに結んでい
る。
【0030】上記構成の後輪サスペンション装置によれ
ば、自動車が旋回を開始すると、後輪1と路面間に発生
するコーナリングホースによりロールモーメントが発生
して車体3が外側に傾き、旋回方向外側のショックアブ
ソーバ13は、リンク16とアーム15を通して圧縮側
に動作され、このショックアブソーバ13の圧縮動作に
よって圧側減衰力を発生する。
【0031】それに対し、旋回方向内側のショックアブ
ソーバ13は、リンク16とアーム15を通して逆に伸
長側に動作され、このショックアブソーバ13の伸長動
作によって伸側減衰力を発生する。
【0032】そこで、今、図2において、左方に前進走
行している自動車が右に舵を切った場合につき、図3と
図4を用いて旋回方向外側と内側におけるアクスルハウ
ジング4とリンク16の連結点e、およびリンク16と
アーム15の連結点fに作用する力関係を考察してみ
る。
【0033】この場合、旋回方向外側となったアクスル
ハウジング4とリンク16の連結点eには、図3にみら
れるように、車体3のロールに伴う外力Cが鉛直方向上
向きに作用する。
【0034】この鉛直方向上向きの外力Cは、リンク1
6を通して当該リンク16とアーム15の連結点fに対
しそのときのリンク16の作動角θに応じた大きさの押
圧力Fを及ぼす。
【0035】この押圧力Fによる回転トルクによってア
ーム15が軸心回りに時計方向に回動し、当該アーム1
5を介して旋回方向外側のショックアブソーバ13を圧
縮側に動作させる。
【0036】これにより、上記リンク16とアーム15
の連結点fには、当該押圧力Fと共にアーム15を通し
てショックアブソーバ13の圧縮速度に応じた圧側減衰
力による抵抗力Gが加わる。
【0037】この押圧力Fと抵抗力Gとの合力Hは、ア
ーム15を軸線方向に押す力として当該アーム15の軸
により吸収される。
【0038】かくして、前記アクスルハウジング4とリ
ンク16の連結点eには、当該リンク16の軸線方向に
沿って前記押圧力Fの反力である支持力Fcが発生し、
この支持力Fcの鉛直方向分力Rcが外力Cに対する抵
抗力として車体3の上下振動を減衰する圧側減衰力とし
て作用する。
【0039】一方、上記支持力Fcの鉛直方向分力Rc
(圧側減衰力)は、連結点eがブラケット14でアクス
ルハウジング4に対し車軸5の中心から後方に距離rだ
けオフセットして設けられているため、このオフセット
量rに対応して図1に示すように、当該アクスルハウジ
ング4を車軸5の回りに後輪1の回転方向と逆の方向に
回そうとする回転モーメント「Mc=Rc×r」を加え
る。
【0040】この回転モーメントMcは、アクスルハウ
ジング4が車体3に対しアッパアーム6とロアアーム7
で上下左右にオフセット量m,n(図1および図2参
照)をもって対角状に連結されているので、アクスルハ
ウジング4とアッパリンク6の連結点aに対して後ろ向
きの力Qを加え、また、ロアリンク7の連結点bには前
向きの力Pを加える。
【0041】これにより、上記後ろ向きの力Qと前向き
の力Pとによってアクスルハウジング4には、上からみ
て時計回りの後輪1をトーイン側に転舵しようとするモ
ーメントMiが生じ、このモーメントMiが後輪1をト
ーイン側に転舵しようとするコンプライアンス制御力と
なる。
【0042】再び図3に戻って、上記支持力Fcのもう
一つ分力である水平方向分力Scもまた、連結点eがブ
ラケット14でアクスルハウジング4に対し車軸5の中
心から下方に距離sだけオフセットして設けられている
ため、当該アクスルハウジング4に対してこのオフセッ
ト量sに対応した後輪1の回転方向と逆回りの回転モー
メント「Md=Sc×s」を加える。
【0043】この回転モーメントMdは、先に述べた支
持力Fcの鉛直方向分力Rcに基づく回転モーメントM
cを助長する方向に作用するので、上記後輪1をトーイ
ン側に転舵しようとするモーメントMiに加算される。
【0044】その結果、後輪1を転舵させるコンプライ
アンス制御力は、支持力Fcの鉛直方向分力Rcと水平
方向分力Scの合力すなわちショックアブソーバ13自
体の圧側減衰力に基づく上記加算モーメントによって発
生され、この加算モーメントによって旋回方向外側の後
輪1がトーイン側に自動転舵されることになる。
【0045】上記に対し、旋回方向内側にあっては図4
にみられるように、角連結点e,fに作用する力関係の
方向が前記旋回方向外側の場合とは逆になる。
【0046】すなわち、アクスルハウジング4とリンク
16の連結点eには、先の外力Cと反対の方向に鉛直方
向下向きの外力Tが作用することから、この外力Tがリ
ンク16を通して当該リンク16とアーム15の連結点
fに対し、そのときのリンク16の作動角θに応じた大
きさの引張力Fを及ぼす。
【0047】この引張力Fによる回転トルクによってア
ーム15が軸心回りに反時計方向に回動し、当該アーム
15を介して旋回方向内側のショックアブソーバ13を
伸長側に動作させる。
【0048】これにより、リンク16とアーム15の連
結点fには、上記引張力Fと共にアーム15を通してシ
ョックアブソーバ13の伸長速度に応じた伸側減衰力に
よる抵抗力Gが作用し、これら引張力Fと抵抗力Gの合
力Hは、アーム15を軸線方向に引っ張る力として当該
アーム15の軸により吸収される。
【0049】したがって、前記アクスルハウジング4と
リンク16の連結点eには、当該リンク16の軸方向に
沿って前記引張力Fの反力である引上力Ftが発生し、
この引上力Ftの鉛直方向分力Rtが車体3の上下振動
を減衰する伸側減衰力として作用する。
【0050】かくして、この場合にあっては、オフセッ
ト量s,rにより上記引上力Ftの鉛直および水平方向
分力Rt,Ftでアクスルハウジング4に発生する車軸
5の中心回りの回転モーメントMt,Mu(図1参照)
が先の旋回方向外側の場合とは逆向きになる。
【0051】しかし、左右の後輪1,1では、アッパリ
ンク6とロアリンク7の取り付け関係およびブラケット
14の取り付け関係がそれぞれ対称(図2参照)になっ
ており、これによって、アクスルハウジング4とアッパ
リンク6の連結点aには前向きの力Qが、また、ロアリ
ンク7の連結点bには後ろ向きの力Pが加わる。
【0052】したがって、上記アクスルハウジング4に
発生する車軸5の軸心回りの回転モーメントMt,Mu
(図1参照)は、互いに合算されたかたちで後輪1を転
舵させるモーメントMo(図2参照)となり、しかも、
このモーメントMoは、先の旋回方向外側の場合と同じ
向きになる。
【0053】その結果、後輪1を転舵するコンプライア
ンス制御力は、引上力Ftの鉛直方向分力Rtと水平方
向分力Stの合力言い換えるならばショックアブソーバ
13自体の伸側減衰力に基づく上記加算モーメントMo
として発生し、この加算モーメントMoによって旋回方
向内側の後輪1がトーアウト側に自動転舵されることに
なる。
【0054】このようにして、後輪1をトー方向に転舵
させるコンプライアンス制御力は、ショックアブソーバ
13の圧側および伸側減衰力特性とアクスルハウジング
4に対するオフセット量を適宜に選定することで設定す
ることができる。
【0055】また、車体3の上下振動を減衰する作用力
は、上記ショックアブソーバ13の圧側および伸側減衰
力特性に基づいてリンク16の作動角およびアーム15
とリンク16の各長さをそれぞれ適切に選定することで
個々に設定することが可能になるのである。
【0056】図5および図6は、この発明の他の実施例
を示すもので、この実施例にあっては、ショックアブソ
ーバ13からアーム15とリンク16を通してアクスル
ハウジング4に負荷される支持力Fcと引上力Ftの鉛
直方向分力Rc,Rtである減衰力が、これらアーム1
5とリンク16の角度変化によって変わるプログレッシ
ブ性と、コンプライアンス制御力となる上記支持力Fc
と引上力Ftの水平方向分力Sc,Stの方向性とに着
目してアーム15とリンク16の取付角度を設定してあ
る。
【0057】すなわち、自動車の定常位置(停車状態)
において、アーム15の軸心と連結点fがほぼ水平位置
をとり、かつ、リンク16が前方に傾くようにこれらア
ーム15とリンク16の取付角度を設定してある。
【0058】これにより、定常位置からのショックアブ
ソーバ13の圧側および伸側作動に際して、アーム15
とリンク16の角度変化により減衰力特性に対してプロ
グレッシブ性を与えつつ、かつ、リンク16が前傾状態
から直立状態を経由して後傾状態に変化するのに伴い、
上記コンプライアンス制御力となる支持力Fcと引上力
Ftの水平方向分力Sc,Stが作動の途中で前向きか
ら後向きに切り換えわることになる。
【0059】このことから、当該実施例のものによれ
ば、先の実施例の場合に比べて、自動車の旋回初期に支
持力Fcと引上力Ftの水平方向分力Sc,Stによる
コンプライアンス制御力が鉛直方向分力Rc,Rtによ
るコンプライアンス制御力を打ち消す方向に作用する。
【0060】そして、リンク16が直立状態を経由して
後傾状態に変化した後において、先の実施例の場合と同
様に、上記水平方向分力Sc,Stによるコンプライア
ンス制御力が鉛直方向分力Rc,Rtによるコンプライ
アンス制御力を助長することになる。
【0061】その結果、操舵初期にあっては、旋回方向
外側および内側となるアクスルハウジング4に対して、
鉛直方向分力Rc,Rtにより加わる回転モーメントM
c,Mt(図1参照)が水平方向分力Sc,Stによる
回転モーメントMd,Muによって減殺され、後輪1に
対してトー方向に作用するモーメントMi,Mo(図2
参照)を低減してトーインおよびトーアウト側に自動転
舵される後輪1の転舵量を抑制し、操舵初期の車体の回
頭性を向上させる。
【0062】特に、この場合、「Mc<Md,Mt<M
u」になるように例えばそれぞれのオフセット量r,s
を設定しておけば、車体3のロール発生の初期において
旋回方向外側の後輪1はトーアウト側に、また、旋回方
向内側の後輪1はトーイン側へとそれぞれ前輪の転舵方
向と逆位相に転舵され、操舵初期の車体の回頭性はさら
に向上されることになる。
【0063】しかも、上記アクスルハウジング4とアー
ム15を結ぶリンク16は、車体3の定常位置からのロ
ールによるショックアブソーバ13の圧縮および伸長作
動の進展に連れて、作動角θが左右共に「+θ→零→−
θ」となって前傾状態から直立状態を経由して後傾状態
へと変化する。
【0064】そのために、連結点eに作用する上記水平
方向分力Sc,Stのうち、圧縮動作する旋回方向外側
の水平方向分力Scは「後向き→零→前向き」に、ま
た、伸長動作する旋回方向内側の前後方向分力Stは
「前向き→零→後向き」へと漸減しつつ零点を境にして
今度は漸増する。
【0065】したがって、車体3のロール量の増加に伴
い、リンク16が直立状態を越えて後傾状態になると、
水平方向分力Sc,Stによる回転モーメントMd,M
uが鉛直方向分力Rc,Rtによる回転モーメントM
c,Mtを助長するように作用し、これによって、旋回
方向外側の後輪1は急速にトーイン側に、また、旋回方
向内側の後輪1は同じく急速にトーアウタ側へと転舵さ
れることになる。
【0066】しかも、上記連結点eに加えられるショッ
クアブソーバ13の圧側および伸側減衰力特性のプログ
レッシブ性により圧縮および伸長動作の進展に連れて増
加する傾向にあり、したがって、圧縮および伸長動作の
進展による後輪1のトー変化はさらに大きくなる。
【0067】かくして、ショックアブソーバ13の発生
減衰力とリンク16の作動角θ,アッパアーム6とロア
アーム7の連結位置、および連結点eのオフセット量
r,s等を望ましいかたちで設定することにより、前輪
に対して後輪1を逆位相から同位相へと後輪1に作用す
るコーナリングホースに対応して自動的に切り換え、電
子制御と同様の四輪操舵特性を得ることが可能になる。
【0068】なお、これまでの何れの実施例にあって
も、自動車が右方向に転舵した場合を例にとって説明し
てきたが、左方向に転舵した場合にも左右での動作が逆
になるだけで、全く同様の操舵特性を得ることができる
ことは言うまでもない。
【0069】図7は、懸架用スプリング12をアクスル
ハウジング4と車体3との間に介装したこれまでの実施
例に代えて、当該懸架用スプリング12の代わりにL型
アーム15の軸を兼ねるトーションバ12aを用い、こ
のトーションバ12aの基端を車体3側に固定すること
により後輪1に対して車体3を懸架するようにした場合
の実施例を示している。
【0070】このものによれば、ショックアブソーバ1
3による減衰力に加えて懸架用トーションバ12aのス
プリング力も、アーム15とリンク16を通してアクス
ルハウジング4におけるブラケット14の部分に作用す
ることになる。
【0071】これにより、旋回方向外側にあっては、旋
回時の車体ロール速度によるショックアブソーバ13の
減衰力特性に基づく支持力Fcに対し、車体ロール角に
よるトーションバ12aのスプリング反力が加わったか
たちで後輪1を自動転舵させる。
【0072】また、旋回方向内側についても、ショック
アブソーバ13の減衰力特性に基づく引上力Ftにトー
ションバ12aのスプリング反力が上記とは逆に作用し
て後輪1を自動転舵することになる。
【0073】その結果、懸架用スプリング12をアクス
ルハウジング4と車体3との間に介装した先の各実施例
の場合に比べてコンプライアンス制御力が大きくなり、
より効果的にコンプライアンスステア制御を行うことが
可能になる。
【0074】図8は、アーム15の形状を変更してショ
ックアブソーバ13を斜め取り付けとした場合の例を示
すものであり、また、図9と図10は、ショックアブソ
ーバ13の取付方向を車体3に対して左右方向に配置し
た例をそれぞれ示すものである。
【0075】このように、アクスルハウジング4のブラ
ケット14に対するリンク16の関係を変更さえしなけ
れば、ショックアブソーバ13とアーム15の取付角度
および方向等に制限されずにコンプライアンス制御を行
うことができる。
【0076】特に、上記場合において、図9および図1
0にみられるように、ショックアブソーバ13を車幅方
向に取り付けてやれば、リンク16の作動角θに基づく
水平方向分力Fc,Ftが左右方向に向くことになる。
【0077】そのために、これら水平方向分力Fc,F
tは、アクスルブラケット4の車軸中心とリンク16の
連結点eのオフセット量rにより直接後輪1をトー方向
に自動転舵するコンプライアンス制御力としてアクスル
ハウジング4に作用し、リンク16の作動角θが小さく
てもコンプライアンス制御の効果が顕著に現れることに
なる。
【0078】以上、これまでは、各種の変形例について
個々に述べてきたが、これらを適宜に組み合わせて実施
し得ることは言うまでもない。
【0079】また、特に図示はしないが、アクスルハウ
ジング4とリンク16の連結点eを当該アクスルハウジ
ング4を含むばね下側の後輪支持機構であるアッパリン
ク6或いはロアリンク7に移したとしても、これらアッ
パリンク6或いはロアリンク7を通してコンプライアン
ス制御力がアクスルハウジング4に作用することから同
様の制御動作を行い得ることは明らかである。
【0080】さらに、後輪支持機構としては、これまで
の実施例で述べたダブルトレーリング式の後輪サスペン
ション装置に限らず、例えば、スイングアクスル式やウ
ィッシュボーン式等のその他の後輪サスペンション装置
にもこの発明を適用し得ることは勿論である。
【0081】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、後輪をトー方向に転舵させるコンプライアンス制御
力はショックアブソーバの圧側および伸側減衰力特性に
より、また、車体の上下振動を減衰する作用力は上記シ
ョックアブソーバの圧側および伸側減衰力特性に基づく
リンクの作動角によってそれぞれ設定することが可能に
なる。
【0082】したがって、ショックアブソーバの圧側お
よび伸側減衰力特性と当該減衰力特性に基づいてリンク
の作動角を適切に選定することで、コンプライアンス制
御力と車体の上下振動減衰力の両方をそれぞれ独立して
設定することができ、理想的な車体上下振動の減衰作用
とコンプライアンス制御による後輪自動転舵とを達成す
ることができる。
【0083】しかも、上記ショックアブソーバとして広
く一般に使用されている伸縮油圧筒式のショックアブソ
ーバを用いるにも拘らず、リンクによるプログレッシブ
性によって当該ショックアブソーバの減衰力特性に位置
依存等の特性をもたせることもできる。
【0084】さらに、ショックアブソーバの取り付け方
向についても自由度があるので車体へのレイアウトが極
めて容易となり、小スペースで車体の床下廻りに装着す
ることが可能になる。
【0085】また、請求項2の発明によれば、車体のロ
ール途中からリンクの作動角が反転するようにアームと
リンクの作動角を設定しておくという極めて簡単な手段
を用いるだけで、先の効果に加え、操舵初期における後
輪のトー変化を極力抑えるなり或いは前輪と逆位相に転
舵し、その後、車体のロール量の増加に伴って後輪のト
ー変化を同位相に切り換え、これにより、車体の回頭性
を向上させて操縦安定性を良好に保つ電子制御と同様の
四輪操舵特性を安価なコンプライアンス制御機構を用い
て実現することができる。
【0086】請求項3の発明によれば、アームとリンク
からなる連動機構の部分に車体懸架用のスプリングを配
設することにより、当該車体懸架用スプリングの力もコ
ンプライアンス制御力と車体の上下振動減衰力の両方に
寄与することになるので、上記の各効果をより一層効果
的に発揮できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明をダブルトレーリングリンク式の後輪
サスペンション装置に適用した場合の実施例を示す側面
図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】圧縮動作時における各部の力関係を示す説明図
である。
【図4】同じく、伸長動作時における各部の力関係を示
す説明図である。
【図5】他の実施例であるコンプライアンス制御力の変
更手段例の圧縮動作時における各部の力関係を示する説
明図である。
【図6】同上、伸長動作時における各部の力関係を示す
説明図である。
【図7】同じく、この発明の他の実施例を示す部分平面
図である。
【図8】アームの変形例を示す側面図である。
【図9】ショックアブソーバの他の取付例を示す正面図
である。
【図10】同上、平面図である。
【符号の説明】
1 後輪 3 車体 4 アクスルハウジング 5 車軸 12 懸架用スプリング 12a トーションバ(懸架用スプリング) 13 伸縮油圧筒式ショックアブソーバ 15 アーム 16 リンク Mc,Mt 鉛直方向分力による回転モーメント Md,Mu 水平方向分力による回転モーメント Rc,Rt 鉛直方向分力 Sc,St 水平方向分力

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体とアクスルハウジングとの間に介装
    した伸縮油圧筒式ショックアブソーバの発生減衰力に基
    づいて当該アクスルハウジングに加わるトー制御力を利
    用して、ショックアブソーバの圧縮動作時には後輪をト
    ーイン側に、また、伸長動作時にはトーアウト側にそれ
    ぞれ自動転舵するコンプライアンス制御機能を備えた後
    輪サスペンション装置において、上記ショックアブソー
    バを後輪の回転中心から後方にオフセットしたアクスル
    ハウジング部分に対し、車体側に揺動可能に軸支したア
    ームと当該アームに連接したリンクからなる連動機構を
    介して連結したことを特徴とする自動車用後輪サスペン
    ション装置。
  2. 【請求項2】 連動機構を構成するアームとリンクの取
    付角度を、ショックアブソーバの定常位置からの圧側お
    よび伸側動作の初期には、発生減衰力によってアクスル
    ハウジングに加わるトー制御力の水平方向分力が鉛直方
    向分力によるトー制御力を打ち消す方向に作用すると共
    に、途中から上記水平方向分力が逆向きに反転して、当
    該水平方向分力によるトー制御力で鉛直方向分力による
    トー制御力を助長するように設定したことを特徴とする
    請求項1記載の自動車用後輪サスペンション装置。
  3. 【請求項3】 アームとリンクからなる連動機構の部分
    に位置して車体懸架用スプリングを配設したことを特徴
    とする請求項1または2記載の自動車用後輪サスペンシ
    ョン装置。
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