JP3146301B2 - 自動車用後輪サスペンション装置 - Google Patents

自動車用後輪サスペンション装置

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JP3146301B2
JP3146301B2 JP27124893A JP27124893A JP3146301B2 JP 3146301 B2 JP3146301 B2 JP 3146301B2 JP 27124893 A JP27124893 A JP 27124893A JP 27124893 A JP27124893 A JP 27124893A JP 3146301 B2 JP3146301 B2 JP 3146301B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の後輪を懸架
するサスペンション装置に関し、さらに詳しくは、ショ
ックアブソーバの発生減衰力を利用して後輪をトーイン
或いはトーアウト側へと自動的にコンプライアンスステ
アさせる自動車用後輪サスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の自動車用後輪サスペンション装
置として、後輪荷重の増加に伴う伸縮油圧筒式ショック
アブソーバの圧側発生減衰力を利用して自動的に後輪を
トーイン側にコンプライアンスステアさせるようにした
ものが、例えば平成4年特許出願公開第362407号
公報において既に提案されている。
【0003】すなわち、このものは、コンプライアンス
機能を備えたダブルトレーリングリンク式の後輪サスペ
ンション装置において、アクスルハウジングを揺動可能
に支持する支持リンク(ロアアーム)と車体間に伸縮油
圧筒で構成したショックアブソーバを斜めにして取り付
けている。
【0004】かくして、後輪の荷重変化に伴う当該ショ
ックアブソーバの作動時における圧側発生減衰力の反力
を前記支持リンクに入力し、この入力の車体前方向への
分力により支持リンクを介してアクスルハウジングに車
軸周りの回転モーメントを与え、当該アクスルハウジン
グを車体前方向へとコンプライアンス制御しつつ後輪を
トーイン側に自動転舵させる。
【0005】或いは、上記の代わりに、支持リンクにコ
ンプライアンス機能を付与する前後のマウントインシュ
レータの横方向弾性力に差を与えておくと共に、前記シ
ョックアブソーバの圧側発生減衰力に基づく支持リンク
への入力の車体横方向への分力を利用し、この分力で前
後のマウントインシュレータに圧縮および伸展力を加え
て車体横方向に弾性変形させつつ、これら前後のマウン
トインシュレータの弾性力差により支持リンクを車体前
方向へとコンプライアンス制御し、アクスルハウジング
を通して後輪をトーイン側に自動転舵させるようにして
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来提案
されたこの種の自動車用後輪サスペンション装置にあっ
ては、モーメント制御および分力制御の如何を問わず、
伸縮油圧筒式ショックアブソーバの発生減衰力に基づく
反力の水平方向分力を用いて支持リンクを車体前方向へ
とコンプライアンス制御し、当該支持リンクからアクス
ルハウジングを通して後輪をトーイン側にコンプライア
ンスステアさせるというものである。
【0007】したがって、上記ショックアブソーバの圧
側発生減衰力に基づく反力の水平方向分力(コンプライ
アンス制御力)は、支持リンクとアクスルハウジングを
通して後輪をトーイン側にコンプライアンスステアさせ
るのに充分な大きさをもつものでなければならない。
【0008】しかし、反面、当該ショックアブソーバの
本来の役目は、路面状況によって車体と車輪間に生じる
上下振動を制振して乗心地の向上或いは積荷の保護を図
る点にあり、その点から、当該ショックアブソーバの圧
側発生減衰力特性(圧縮速度に応じた減衰力カーブ)
は、車種や車重に応じて最適値に設定してやらなければ
ならない。
【0009】上記2つの点を満足させる手段としては、
ショックアブソーバの圧側発生減衰力を高く設定すると
共にその取付角度を大きくとり、当該圧側発生減衰力に
基づく反力の水平方向分力を大きくしつつ垂直方向分力
は小さくして、所望の圧側発生減衰力特性を確保すると
同時にコンプライアンス制御力を充分にとり得るように
してやることが考えられる。
【0010】しかし、このようにすると、乗員や積荷の
増減による車高変化によってショックアブソーバの取付
角度が大きく変動することから、所期の取付角度範囲を
大きく逸脱してショックアブソーバ本来の最適な制振作
用を果たし得なくなる。
【0011】そうかと言って、上記車高変化がショック
アブソーバの圧側発生減衰力特性に極力悪影響を与えな
いようにその取付角度を設定すると、もともと圧側発生
減衰力特性は、減衰作用を効果的に発揮するために伸側
発生減衰力に比べてに低く設定されるのが普通であるた
め、圧側発生減衰力に基づく反力の水平方向分力が充分
にとれないことになって所期のコンプライアンスステア
を行い得なくなるという不都合を生じる。
【0012】このように、ショックアブソーバの取付角
度のみで圧側発生減衰力を、車体の上下振動に対する減
衰作用とコンプライアンスステア作用の両方について最
適の制御力を保つように調整することが困難であった。
【0013】また、この種のサスペンション機構を自動
車の後輪側に適用して四輪操舵を行おうとした場合、も
ともと四輪操舵式の自動車は、操舵開始初期に先ず後輪
を前輪の操舵方向と逆の方向にすなわち逆相に自動転舵
させるか、或いは少なくとも後輪の自動転舵量を極力小
さく抑えて車体の回頭性を図り、しかる後に、今度は一
時遅れをもって後輪を前輪と同相に自動転舵させること
が操縦安定性を向上させる上で望ましい。
【0014】その点において、前述した従来の後輪サス
ペンション装置は、車体のロール発生に伴うショックア
ブソーバの圧側減衰力を利用して後輪をトーイン側にコ
ンプライアンス制御させるだけのものであるため、上記
のような転舵方式をとることができない。
【0015】勿論、上記のような転舵方式は、これを電
子・油圧制御によって実現する手段が既に考えられては
いるが、このような手段ではコストが著しく高くなって
自動車自体のコストアップをもたらすことになる。
【0016】したがって、この発明の目的は、簡単な手
段によりコストアップをもたらすことなく操舵時の車体
の回頭性を向上させて操縦安定性に優れた自動車の四輪
操舵用後輪サスペンション装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の一つの手段は、ばね上側の車体とバネ下側
のアクスルハウジング間に介装したショックアブソーバ
の発生減衰力により当該アクスルハウジングに車軸周り
の回転モーメントを加えて、後輪を圧側ではトーイン側
にまた伸側ではトーアウト側にそれぞれ自動転舵するコ
ンプライアンス機構を備えた自動車用後輪サスペンショ
ン装置において、上記ショックアブソーバを車体の後部
側に結合したロータリダンパと、ロータリダンパーに結
合したアームと、アームの先端に上端を回転自在に軸支
したリンクとで構成し、上記アクスルハウジングの後方
に車軸と偏心した部分にブラケットを取り付け、自動車
の停車状態における定常位置において上記アームをほぼ
水平位置に設定し且つ上記リンクの下端を上記ブラケッ
トに回転自在に軸支させながら前方へ傾くように角度設
定させたことを特徴とするものである。同じく他の手段
は、ばね上側の車体とバネ下側のアクスルハウジング間
に介装したショックアブソーバの発生減衰力により当該
アクスルハウジングに車軸周りの回転モーメントを加え
て、後輪を圧側ではトーイン側にまた伸側ではトーアウ
ト側にそれぞれ自動転舵するコンプライアンス機構を備
えた自動車用後輪サスペンション装置において、上記シ
ョックアブソーバを車体の前部側に結合したロータリダ
ンパと、ロータリダンパーに結合したアームと、アーム
の先端に上端を回転自在に軸支したリンクとで構成し、
上記アクスルハウジングの前方に車軸と偏心した部分に
ブラケットを取り付け、自動車の停車状態における定常
位置において上記アームをほぼ水平位置に設定し且つ上
記リンクの下端を上記ブラケットに回転自在に軸支させ
ながら後方へ傾くように角度設定させたことを特徴とす
るものである。
【0018】
【0019】
【作用】すなわち、上記の構成をとることにより、自動
車が旋回を開始してロールモーメントにより車体の一方
側が沈み込み、他方側が浮き上がって車体が一方へと傾
いたとすると、沈み込み側と浮き上がり側のロータリダ
ンパがそれぞれのリンクを通して互いに反対方向に回動
し、これらロータリダンパの作動によって車体の沈み込
み側では圧側減衰力(圧側減衰トルク)が、また、浮き
上がり側では伸側減衰力(伸側減衰トルク)が発生す
る。
【0020】このとき、車体のロール開始初期にあって
は、これら圧側および伸側減衰力の上下方向分力による
アクスルハウジングの車軸周りの回転モーメントに対し
て前後方向分力によるアクスルハウジングの車軸周りの
回転モーメントが逆方向に作用し、後者の前後方向分力
による回転モーメントが前者の上下方向分力による回転
モーメントを減殺するように働く。
【0021】これにより、上記後者の前後方向分力によ
る回転モーメントが前者の上下方向分力による回転モー
メントに打ち勝てば、後輪が前輪の操舵方向に対して逆
相に自動転舵し、或いは打ち勝たないまでも少なくとも
後輪の自動転舵量を極力小さく抑えて車体を操舵方向に
向け、操舵時における車体の回頭性を向上させる。
【0022】しかる後、車体のロールに伴ってロータリ
ダンパの動作が進行すると、それに連れて車体とロータ
リダンパのアームを結ぶリンクの前傾角が次第に減少
し、当該前傾角が零を越えてさらに車体が外側に傾くよ
うになると、逆にリンクが後傾側に向かって角度を増し
ていく。
【0023】その結果、上記前後方向分力が逆向きに反
転して当該前後方向分力による回転モーメントが上下方
向分力による回転モーメントを助長するように働くよう
になる。
【0024】かくして、今度は後輪が前輪と同相に自動
転舵して車体の尻振り現象を防止しつつ旋回が行われ、
操舵時の操縦安定性を向上させることになる。
【0025】
【実施例】以下、図面に基づいてこの発明を説明する。
なお、ここでの実施例は、ダブルトレーリングリンク式
サスペンション装置に当該発明を実施した場合について
例示している。
【0026】図1および図2において、左右の後輪1
は、ラテラルロッド2で車体3に結ばれたそれぞれのア
クスルハウジング4を介して回転自在に支持されてお
り、これらアクスルハウジング4と当該アクスルハウジ
ング4に連結した車軸5を通して回転支持される。
【0027】上記アクスルハウジング4における前方側
の上部内方と下部外方には、車軸5の軸芯を挟んで斜め
にオフセットした一対の支持リンクであるアッパアーム
6とロアアーム7の先端側がゴムブッシュ8,9を介し
て揺動可能に連結してあり、かつ、これらアッパアーム
6とロアアーム7の基端側は、それぞれゴムブッシュ1
0,11を介して前方側の車体3の部分に同じく揺動可
能に連結してある。
【0028】また、アクスルハウジング4の上面とその
上方の車体3の部分との間には懸架用スプリング12が
介装してあり、かくして、左右の後輪1をばね上側の車
体3に対し、アクスルハウジング4と、一対のアッパア
ーム6とロアアーム7、および懸架用スプリング12を
介してそれぞれコンプライアンス可能に弾性支持してい
る。
【0029】そして、上記構成からなるダブルトレーリ
ングリンク式サスペンション装置において、この実施例
の場合にあっては、左右のアクスルハウジング4の後方
に位置して車体3側にロータリダンパ13を装着してあ
る。
【0030】また、アクスルハウジング4の車軸5から
後方に偏心した部分には、各ロータリダンパ13と対応
してブラケット14を取り付け、ロータリダンパ13に
おけるアーム15の先端をリンク16でそれぞれの側の
ブラケット14に連結することにより、ロータリダンパ
13とアクスルハウジング4を互いに結んでいる。
【0031】この場合、ロータリダンパ13からアーム
15とリンク16を通してアクスルハウジング4に負荷
される減衰力が、これらアーム15とリンク16の角度
変化によって変わるプログレッシブ性と、ロータリダン
パ13がアクスルハウジング4に与える減衰力の前後方
向分力の方向性とに着目してアーム15とリンク16の
取付角度を設定してある。
【0032】すなわち、自動車の定常位置(図1の停車
状態)において、上記ロータリダンパ13のアーム15
がほぼ水平位置をとり、かつ、リンク16が前方へと傾
くようにこれらアーム15とリンク16の取付角度を設
定してある。
【0033】これにより、定常位置からのロータリダン
パ13の圧側および伸側作動に際して、アーム15とリ
ンク16の角度変化による上記プログレッシブ性を発揮
しつつ、かつ、リンク16が前傾状態から直立状態を経
由して後傾状態へと変化し、ロータリダンパ13の減衰
力による前後方向分力を前向きから後向きに切り換える
ことになる。
【0034】かくして、上記構成の後輪サスペンション
装置によれば、自動車が旋回を開始して車体3に加わる
ロールモーメントにより当該車体3が外側に傾くと、旋
回方向外側のロータリダンパ13は、リンク16により
アーム15の先端を上方に押されて回動し、このロータ
リダンパ13の回動によって圧側減衰トルクを発生す
る。
【0035】また、旋回方向内側のロータリダンパ13
は、リンク16を通してアーム15の先端が下方に引っ
張られることにより上記とは逆の向きに回動し、このロ
ータリダンパ13の回動によって伸側減衰トルクを発生
する。
【0036】ここで、今、図3および図4を用いて上記
作動時におけるアーム15およびリンク16の各連結点
e,fに作用する力関係を考察してみると、旋回方向外
側のアクスルハウジング4とリンク16の連結点eに
は、図3のように車体3のロールに伴う外力Cが垂直方
向上向きに作用する。
【0037】この垂直方向上向きの外力Cは、リンク1
6を通して当該リンク16とロータリダンパ13のアー
ム15の連結点fに対しそのときのリンク16の作動角
θに応じた大きさの押圧力Fを及ぼす。
【0038】これにより、上記リンク16とロータリダ
ンパ13のアーム15との連結点fには、当該押圧力F
とこの押圧力Fを受けてロータリダンパ13のアーム1
5が時計回りに回動するときの当該アーム15の角速度
ωに対応したロータリダンパ13の圧側減衰トルクによ
る抵抗力Gが加わる。
【0039】なお、これら押圧力Fと抵抗力Gとの合力
Hは、ロータリダンパ13のアーム15を軸方向に引っ
張る力として作用する。
【0040】かくして、前記アクスルハウジング4とリ
ンク16の連結点eには、当該リンク16の軸線方向に
沿って前記押圧力Fに対抗する下向き反力Fcが発生
し、この下向き反力Fcによる上下方向分力Rcと前後
方向分力Scのうち、上下方向分力Rcが車体3の上下
振動を減衰する圧側発生減衰力として作用する。
【0041】上記に対し、旋回方向内側にあっては図4
にみられるように、各連結点e,fに作用する力関係の
方向が前記旋回方向外側の場合とは全く逆となる。
【0042】すなわち、アクスルハウジング4とリンク
16の連結点eには、先の外力Cと反対の方向に垂直方
向下向きの外力Tが作用することから、この外力Tがリ
ンク16を通して当該リンク16とロータリダンパ13
のアーム15の連結点fに対し、そのときのリンク16
の作動角θに応じた大きさの引張力Fを及ぼす。
【0043】これにより、リンク16とロータリダンパ
13のアーム15の連結点fには、上記引張力Fとこの
引張力Fを受けてロータリダンパ13のアーム15が反
時計回りに回動するときの当該アーム15の角速度ωに
対応したロータリダンパ13の伸側減衰トルクによる抵
抗力Gが作用し、これら引張力Fと抵抗力Gとの合力H
はロータリダンパ13のアーム15を軸方向に圧縮する
力として作用する。
【0044】したがって、前記アクスルハウジング4と
リンク16の連結点eには、当該リンク16の軸線方向
に沿って前記引張力Fに対抗する上向き反力Ftが発生
し、この上向き反力Ftの上下方向分力Rtと前後方向
分力Stのうち、上下方向分力Rtが車体3の上下振動
を減衰する伸側発生減衰力として作用するそこで、今、
図2において自動車が右方向に転舵したとすると、車体
3に作用するロールモーメントによって当該車体3が左
に傾き、前述したように、旋回方向外側(左側)のロー
タリダンパ13は、アクスルハウジング4とリンク16
の連結点eに作用する上下方向分力Rcに応じた圧側減
衰力を発生し、逆に、旋回方向内側(右側)のロータリ
ダンパ13は、上下方向分力Rtに応じた伸側減衰力を
発生する。
【0045】一方、これと同時に、左右のアクスルハウ
ジング4とリンク16の連結点eに作用する上下方向分
力Rc,Rtは、図1に示す車軸中心oに対する連結点
eのオフセット量rにより、旋回方向外側のアクスルハ
ウジング4には後輪1の回転方向と逆回りの回転モーメ
ント「Mc=r×Fc」を、また、旋回方向内側のアク
スルハウジング4には後輪1の回転方向と同じ向きの回
転モーメント「Mt=r×Ft」をそれぞれ加える。
【0046】これら回転モーメントMc,Mtは、アッ
パアーム6とロアアーム7で支持されることになるの
で、図2に示すように、旋回方向外側のアッパアーム6
には後方へと向う引張力Qが、また、ロアアーム7には
前方へと向う圧縮力Pが加わると共に、逆に、旋回方向
内側のアッパアーム6には前方へと向う圧縮力Qが、ま
た、ロアアーム7には後方へと向う引張力Pがそれぞれ
加わる。
【0047】これにより、左右のアクスルハウジング4
は、上記の引張および圧縮力P,Qをコンプライアンス
制御力としてアッパアーム6とロアアーム7の各連結部
分に介装したゴムブッシュ8〜11を変形させつつ図2
に矢印a,bで示すように共に水平方向に対して右回り
に回動し、旋回方向外側にあっては後輪1をトーイン側
に、また、旋回方向内側にあっては後輪1をトーアウト
側へと転舵させるように作用する。
【0048】それに対し、上記上下方向分力Rc,Rt
と共に左右のアクスルハウジング4とリンク16の連結
点eに作用する前後方向分力Sc,Stは、車体3のロ
ール発生の初期において、旋回方向外側にあっては前後
方向分力Scが後向き(図3参照)に加わるのに対し、
旋回方向内側の前後方向分力Stは逆に前向き(図4参
照)に加わる。
【0049】そのため、これら前後方向分力Sc,St
は、図1に示す車軸中心oに対する連結点eのオフセッ
ト量sにより、旋回方向外側のアクスルハウジング4に
対しては、先の上下方向分力Rcによる回転モーメント
Mcに抗する方向、すなわち後輪1の回転方向と同じ向
きの回転モーメント「Md=s×Sc」を、また、旋回
方向内側のアクスルハウジング4には、同じく上下方向
分力Rtによる回転モーメントMtに抗する後輪1の回
転方向と逆回りの回転モーメント「Mu=s×St」を
それぞれ加える。
【0050】その結果、旋回方向外側および内側のアク
スルハウジング4に対して上下方向分力Rc,Rtによ
り加わる回転モーメントMc,Mtは、これら前後方向
分力Sc,Stによる回転モーメントMd,Muによっ
て減殺され、前記上下方向分力Rc,Rtに基づく回転
モーメントMc,Mtによって発生する引張・圧縮力
P,Qに前後方向分力Sc,Stが加えられ、トーイン
およびトーアウト側に転舵される後輪1の転舵量を抑制
し、操舵初期の車体の回頭性を向上させる。
【0051】特にこの場合、「Mc<Md,Mt<M
u」になるように例えばそれぞれのオフセット量r,s
を設定しておけば、車体3のロール発生の初期において
旋回方向外側の後輪1はトーアウト側に、また、旋回方
向内側の後輪1はトーイン側へとそれぞれ前輪の転舵方
向と逆相に転舵され、操舵初期の車体の回頭性はさらに
向上されることになる。
【0052】しかも、上記アクスルハウジング4とロー
タリダンパ13のアーム15を結ぶリンク16は、車体
3の定常位置からの車体ロールによる上下動に伴うロー
タリダンパ13の圧側および伸側作動の進展に連れて、
図3,図5,図6および図4,図7,図8にみられるよ
うに、作動角θが左右共に「+θ→零→−θ」となって
前傾状態から直立状態を経由して後傾状態へと変化す
る。
【0053】そのために、連結点eに作用する上記前後
方向分力Sc,Stのうち、圧側動作する旋回方向外側
の前後方向分力Scは「後向き→零→前向き」に、ま
た、伸側動作する旋回方向内側の前後方向分力Stは
「前向き→零→後向き」へと漸減しつつ零点を境にして
今度は漸増する。
【0054】したがって、車体3のローリング量が増す
に従い、旋回方向外側の後輪1はトーイン側へと向って
転舵していき、また、旋回方向内側の後輪1はトーアウ
タ側へと向って転舵していく。
【0055】そして、リンク16が直立状態を越えて後
傾状態になると、前後方向分力Sc,Stによる回転モ
ーメントMd,Muが上下方向分力Rc,Rtによる回
転モーメントMc,Mtを助長するように作用し、これ
によって、旋回方向外側の後輪1は急速にトーイン側へ
と、また、旋回方向内側の後輪1は同じく急速にトーア
ウタ側へと転舵されることになる。
【0056】しかも、上記連結点eに加えられるロータ
リダンパ13の圧側および伸側の発生減衰力は、リンク
16のプログレッシブ特性により圧側および伸側動作の
進展に連れて増加する傾向にあり、したがって、圧側お
よび伸側動作の進展による後輪のトー変化はさらに大き
くなる。
【0057】かくして、ロータリダンパ13の発生減衰
力とリンク16の作動角θ,アッパアーム6とロアアー
ム7の連結位置、および連結点eのオフセット量r,s
等を望ましいかたちで設定することにより、前輪に対し
て後輪1を逆相から同相へと自動的に切り換えて電子制
御と同様の四輪操舵特性を得ることが可能になるのであ
る。
【0058】なお、これまでの説明にあっては、自動車
が右方向に転舵した場合について説明してきたが、左方
向に転舵した場合にも左右での動作が逆になるだけで、
全く同様の操舵特性を得ることができることは言うまで
もない。
【0059】また、ロータリダンパ13は、この実施例
のようにアクスルハウジング4の後部側に配置すること
なく、アクスルハウジング4とリンク16の連結点eと
共に前部側に配置し、かつ、リンク16を定常位置にお
いて後傾側に傾けておくことにより同一機能を果たすこ
とができる。
【0060】
【発明の効果】請求項1,2の発明によれば、自動車の
定常位置においてアームをほぼ水平に設定し且つリンク
を前方又は後方へ傾くように角度設定したのでロータリ
ダンパの定常位置からの圧側および伸側動作の初期には
発生減衰力のリンクとブラケットとの連結点における前
後方向分力によるアクスルハウジングの車軸周りの回転
モーメントが上記連結点における上下方向分力によるア
クスルハウジングの車軸周りの回転モーメントを打ち消
す方向に作用すると共に、途中からは上記前後方向分力
が逆向きに反転して当該前後方向分力による回転モーメ
ントで上下方向分力による回転モーメントを助長する。
これにより、操舵初期における後輪のトー変化を極力抑
えるなり或いは前輪と逆相に転舵し、その後、車体のロ
ール量の増加に伴って後輪のトー変化を同相に切り換え
ることが可能になる。
【0061】これにより、車体の回頭性を向上させて操
縦安定性を良好に保つ電子制御と同様の四輪操舵特性を
安価なコンプライアンスステア機構を用いて実現するこ
とができることになるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明をダブルトレーリングリンク式の後輪
サスペンション装置に適用した場合の実施例を示す側面
図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】圧側作動時における要部の力関係を示す説明図
である。
【図4】同じく伸側作動時における要部の力関係を示す
説明図である。
【図5】圧側作動時における要部の中間状態を示す説明
図である。
【図6】同じく圧側作動時の後半における要部の力関係
を示す説明図である。
【図7】伸側作動時における要部の中間状態を示す説明
図である。
【図8】同じく伸側作動時の後半における要部の力関係
を示す説明図である。
【符号の説明】
1 後輪 3 車体 4 アクスルハウジング 5 車軸 13 ロータリダンパ 15 アーム 16 リンク Mc,Mt 上下方向分力による回転モーメント Md,Mu 前後方向分力による回転モーメント Rc,Rt 上下方向分力 Sc,St 前後方向分力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田畑 充広 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 福山 修 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−278435(JP,A) 特開 平6−64427(JP,A) 特開 平2−144207(JP,A) 特開 平2−270616(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 1/00 - 25/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ばね上側の車体とバネ下側のアクスルハ
    ウジング間に介装したショックアブソーバの発生減衰力
    により当該アクスルハウジングに車軸周りの回転モーメ
    ントを加えて、後輪を圧側ではトーイン側にまた伸側で
    はトーアウト側にそれぞれ自動転舵するコンプライアン
    ス機構を備えた自動車用後輪サスペンション装置におい
    て、上記ショックアブソーバを車体の後部側に結合した
    ロータリダンパと、ロータリダンパーに結合したアーム
    と、アームの先端に上端を回転自在に軸支したリンクと
    で構成し、上記アクスルハウジングの後方に車軸と偏心
    した部分にブラケットを取り付け、自動車の停車状態に
    おける定常位置において上記アームをほぼ水平位置に設
    定し且つ上記リンクの下端を上記ブラケットに回転自在
    に軸支させながら前方へ傾くように角度設定させたこと
    を特徴とする自動車用後輪サスペンション装置。
  2. 【請求項2】 ばね上側の車体とバネ下側のアクスルハ
    ウジング間に介装したショックアブソーバの発生減衰力
    により当該アクスルハウジングに車軸周りの回転モーメ
    ントを加えて、後輪を圧側ではトーイン側にまた伸側で
    はトーアウト側にそれぞれ自動転舵するコンプライアン
    ス機構を備えた自動車用後輪サスペンション装置におい
    て、上記ショックアブソーバを車体の前部側に結合した
    ロータリダンパと、ロータリダンパーに結合したアーム
    と、アームの先端に上端を回転自在に軸支したリンクと
    で構成し、上記アクスルハウジングの前方に車軸と偏心
    した部分にブラケットを取り付け、自動車の停車状態に
    おける定常位置において上記アームをほぼ水平位置に設
    定し且つ上記リンクの下端を上記ブラケットに回転自在
    に軸支させながら後方へ傾くように角度設定させたこと
    を特徴とする自動車用後輪サスペンション装置。
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