JP2761044B2 - 車両のサスペンション装置 - Google Patents

車両のサスペンション装置

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は車両のサスペンション装置に係り、詳しく
は、ロアアームと、複数のアッパアームとで、車輪を車
体に対して上下方向に揺動自在に支持した自動車などの
車両に設けられるサスペンション装置に関するものであ
る。
(従来の技術) 自動車のサスペンション装置として、独立懸架式のも
のでは、例えば実開昭62−187904号公報に記載されてい
るように、上下に略平行に車幅方向に配置されるアッパ
アームとロアアームとで構成したリンクにより、車輪を
支持するいわゆるダブルウイッシュボーン式のサスペン
ション装置がある。この形式では、アッパアームとロア
アームは、それぞれ略A型に形成され、それぞれの寸法
形状や取付位置を適切に設定することによって、発進時
におけるスコットや、車輪の上下動によるキャンバ変化
やスカッフ変化を比較的に小さなものにできるという利
点を有している。
一方、この形式では、両アームがそれぞれ前後2点で
車体側に枢着されていることから、車体前後方向の支持
剛性が高くなっている。そのため、走行中に路面の起伏
や凹凸等により車輪に作用する車体前後方向の衝撃荷重
が、車体に影響を及ぼしやすいという難点があった。こ
のような難点を解消するためには、両アームの2点の枢
着部に、柔軟な弾性ブッシュを介装させ、車体の前後方
向の支持剛性を低下させる方法が考えられる。しかし、
そのようにすると、ホイールサポートの車軸まわりの支
持剛性をも低下させることとなり、その固有振動数が低
下し、制動時に、ホイールサポートが車輪やブレーキデ
ィスク等と共振する、いわゆるブレーキジャダーの発生
が懸念される。そのため、この形式では、乗心地か、ブ
レーキジャダーのいずれか一方を犠牲にするか、あるい
は両者の満足度を互いに均衡する程度まで抑えなければ
ならなかった。
この点に鑑み、例えば、実公昭62−1762号公報には、
ホイールサポートを車輪よりも上方に延ばし、その延長
部分に、後方へ偏位したアッパアームの先端部を取り付
けた、いわゆるハイマウント型のものが提案されてい
る。しかし、この例では、ホイールサポートが上方に延
長されているものの、アッパアームを車幅方向の荷重に
も対応できるような傾斜配置としているため、その車体
側の枢着点に弾性ブッシュを介装しても、外力の作用方
向が圧縮方向から剪断方向にずれる等により、前後コン
プライアンスの特性向上に寄与する作用効果が充分でな
いことが懸念される。また、制動時におけるブレーキジ
ャダーの発生防止についても、同様に、アッパアームの
偏向配置により、制動時にホイールサポートに作用する
車軸まわりの外力への対応が充分ではなく、その顕著な
効果は期待しがたい。
(発明が解決しようとする課題) ところで、車輪の上方には、車輪の上下動を許容する
ために、また車輪の内側には、種々の部品が配置される
ことから、車輪の上方および内側周囲には、比較的広い
スペースが必要とされる。そのため、上記した従来のハ
イマウント型では、アッパアームの寸法形状やレイアウ
トが制約され、前述したように、アッパアームそのもの
が比較的に短いものとなり、かつ傾斜した配置となって
いる。その結果、車輪の上下動ストロークが充分とれな
かったり、あるいは激しく揺動したときには、キャンバ
変化が過大となり、操向安定性に影響を及ぼすという別
の問題の発生も懸念される。
良好な操向安定性を得るためには、揺動時のキャンバ
変化が過大にならないことの他に、とくに、峠の下り道
とか、大曲りの道路をかなりの速度で走行するときなど
のいわゆる小転舵時に、充分なキャンバ剛性が発揮され
ることが望ましい。そのためには、アッパアームを、転
舵された外側の車輪の軸心線と略一致させるように配置
して、そのときの外側車輪に対する横方向の支持剛性を
向上させるようにすることが考えられる。この点につい
ては、先のハイマウント型では、アッパアームが後方に
偏位したものとなっているため効果的ではない。
また、特開昭58−67508号公報には、下方に配置され
るロアアームの先端部に形成される下部枢着点に対し
て、その上方に略同一平面に角度を有して配置される2
つのアッパアームにより形成される概念上の上部枢着点
を設けることにより、両者を結ぶ瞬間旋回軸を形成し、
旋回時に、外側の車輪が負キャンバとなるように構成し
て、旋回時の操向安定性の向上を図ろうとしたサスペン
ション装置が記載されている。しかし、この装置では、
2つのアッパアームを同一平面内に設けることから、前
述したようなアッパアームの長さや周囲のレイアウトが
制約されるという点においては、先に引用したハイマウ
ント型よりも厳しいものとなる。また、2つのアッパア
ームの軸心線の交点に概念上の上部枢着点を設けている
ため、車輪に前後方向のコンプライアンスを与えるよう
に、両アッパアームの車体側枢着部に柔軟な弾性ブッシ
ュ々を介装すると、各アッパアームが受ける衝撃の程度
如何により、上部枢着点の位置ずれが発生し、操向安定
性に影響を及ぼすことが懸念される。
本発明は以上述べたような事情を考慮してなされ、乗
心地の向上とブレーキジャダーの発生防止とを両立させ
るとともに、とくに、小転舵時における操向安定性の向
上をも図れるようにした車両のサスペンション装置を提
供することを課題としている。
(課題を解決するための手段) 上記課題を解決するため、本発明の解決手段は、操舵
輪である車輪を回転自在に支持して上方に延びるホイー
ルサポートを、ロアアームと、複数のアッパアームと
で、車体に対して上下方向に揺動自在となるように支持
した車輪のサスペンション装置において、上記複数のア
ッパアームを、上記ホイールサポートに対し、車体上下
方向に所定距離隔てて配置された、第1アッパアームと
第2アッパアームとで構成し、上方に配置される第1ア
ッパアームを、車体前後方向に、且つ、そのホイールサ
ポート側の枢着点を車輪の最上端より上方に位置させて
配置するとともに、下方に配置される第2アッパアーム
を、車幅方向に、且つ、そのホイールサポート側の枢着
点を車輪のホイルリム最上端より下方に位置させて配置
し、上記第1アッパアームは車体との間に弾性体を介装
して配置される一方、第2アッパアームは、その外端部
を前傾させて、略車幅方向に配置されているものとす
る。
(作用) これにより、本発明では、ロアアームの上方に、ホイ
ールサポート側枢着点(外端部)を車輪のホイルリム最
上端より下方に位置させて、かつその外端部を前傾させ
て略車幅方向に配置した第2アッパアームによって、ホ
イールサポートの車幅方向の変位を規制するようにして
いるので、特に良好な操向安定性が要求される小転舵時
に、上記第2アッパアームが、外側の車輪の軸心線に沿
うように対応して、キャンバ剛性を効果的に向上させる
ことができる。そして、この第2アッパアームを、第1
アッパアームと異なる下方の比較的にレイアウトの自由
度がある位置に配置しているので、第2アッパアームを
充分な長さに設定して、揺動時のキャンバ変化が過大に
ならないようにして直進時における良好な操向安定性を
得ることもできる。
ホイールサポートに対してその上方の位置にホイール
サポート側枢着点を車輪の最上端より上方に位置させて
車体前後方向に配置した第1アッパアームによって、ホ
イールサポートの車体前後方向の変位を効果的に規制で
きるので、上記第1アッパアームの車体側枢着点に柔軟
な弾性ブッシュを用いて車輪の前後コンプライアンスを
大きくとり、乗心地の向上を図ることができる。また、
上記弾性ブッシュの弾力特性によって、ホイールサポー
トの車軸まわりの固有振動を効果的に低減緩衝させ、ブ
レーキジャダーの発生の防止を図ることもできる。な
お、第2アッパアームは、その外端部が車体の前方に傾
斜した配置となっているが、比較的に低い位置でホイー
ルサポートと連結されているので、ブレーキジャダーに
よるホイールサポートの車幅方向の変位を小さく抑える
ことができ、走行安定性の低下を発生させる誘因とはな
らない。
第1アッパアームと第2アッパアームとを、それぞれ
異なる高さ位置に配置し、しかも、上方の第1アッパア
ームは車体前後方向に配置されているため、車輪の内側
上方辺りのスペースを必要とせず、レイアウトの自由度
が向上する。
第1アッパアームが車体との間に弾性体を介装されて
配置されているため、車輪に車体前後方向の荷重入力が
あった際には、第1アッパアームが後方に変位する。こ
の影響により、第2アッパアームの外端部が後方に変位
するが、第2アッパアームのホイールサポート側の枢着
点(外端部)が車輪のホイルリム最上端より下方に位置
するように配置されているため、キャンバ変化の影響を
低下させることができ、車輪にキャンバスラストが発生
せず、安定性を向上させる。
(発明の効果) 以上のように、本発明の車両のサスペンション装置に
よれば、操舵輪である車輪を回転自在に支持して上方に
延びるホイールサポートを、ロアアームと、複数のアッ
パアームとで、車体に対して上下方向に揺動自在となる
ように支持する場合、上記複数のアッパアームを、上記
ホイールサポートに対し、車体上下方向に所定距離隔て
て配置された、第1アッパアームと第2アッパアームと
で構成し、上方に配置される第1アッパアームを、車体
前後方向に且つ、そのホイールサポート側の枢着点を車
輪の最上端より上方に位置させて配置するとともに、下
方に配置される第2アッパアームを、車幅方向に、且
つ、そのホイールサポート側の枢着点を車輪のホイルリ
ム最上端より下方に位置させて配置し、上記第1アッパ
アームは車体との間に弾性体を介装して配置される一
方、第2アッパアームは、その外端部を前傾させて、略
車幅方向に配置されているので、乗心地の向上とブレー
キジャダーの発生防止とを両立させることができ、揺動
時のキャンバ変化を少なくして良好な直進時の操向安定
性を得ることができる。また、車輪の内側上方のレイア
ウトの自由度が向上し、低ボンネット化やエンジンルー
ムのコンパクト化、あるいはエンジンの大型化に対応で
きる。そして、とくに、操向安定性が要求される小転舵
時に旋回外輪のキャンバ剛性を向上させることができ
る。さらに、第1アッパアームが車体との間に弾性体を
介装させて配置されているため、車輪に車体前後方向の
荷重入力があった際には、第1アッパアームが後方に変
位し、この影響により第2アッパアームの外端部が後方
に変位するが、第2アッパアームのホイールサポート側
の枢着点(外端部)が車輪のホイルリム最上端より下方
に位置するように配置されているため、キャンバ変化の
影響を低下させることができ、車輪にキャンバトラスト
が発生せず、安定性を向上できる。
(実施例) 以下に、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明す
る。
本実施例に示す車両のサスペンション装置は、複数の
リンク部材を立体的に組み合わせたマルチリンク式のサ
スペンション装置で、乗心地の向上とブレーキジャダー
の発生防止とを両立させ、かつ小転舵時における操向安
定性の向上をも図るようにしたもので、以下のように構
成される。
第1図(a)および(b)に示すように、操舵輪であ
る車輪1を回転自在に支持して上方に延びるホイールサ
ポート2が、車体上下方向の異なる高さ位置に方向を異
にして配置される2つのアッパアーム3,4と、その下方
位置に配置されるロアアーム5とで車体6に対して上下
方向に揺動自在に支持されている。すなわち、上記ロア
アーム5の外端部5a(ホイールサポート側枢着点)は、
ホイールサポート2の下部に、その内端部5b(車体側枢
着点)が車体6側の下部高さ位置6aにそれぞれ枢着され
て、ロアアーム5が車幅方向に配置されている。一方、
上方に配置される第1アッパアーム3の一端部3a(ホイ
ールサポート側枢着点)が上記ホイールサポート2の上
部に、その他端部3b(車体側枢着点)が車体6側の上部
高さ位置6cにそれぞれ枢着されて、第1アッパアーム3
が略車体前後方向に配置されている。下方に配置される
第2アッパアーム4の外端部4a(ホイールサポート側枢
着点)は上記ホイールサポート2の中部に、その内端部
4b(車体側枢着点)が車体6の中部高さ位置6bにそれぞ
れ枢着されて、第2アッパアーム4が、外端部4aを前傾
させて略車幅方向に配置されている。
詳しく説明すると、ロアアーム5は軸部材51,52を組
み合わせて略V型状に形成され、その外端部5aが、ホイ
ールサポート2の下部に弾性ブッシュを介して略垂直な
軸回りに回動自在に枢着されている一方、その2つの内
端部5b,5cが、上記車体6側の下部高さ位置6aであるク
ロスメンバー7下部に設けられたブラケット8,9に、弾
性ブッシュを介して回動自在に枢着されており、その内
端部5b,5cを軸として外端部5aが上下方向に揺動自在と
なっている。そして、一方の軸部材51の外端部5aの近傍
位置に、コイルスプリング10を具備したダンパ11の下端
が、略車体前後方向の軸まわりに回動自在に枢着され、
該ダンパ11の上端がコイルスプリング10とともに、弾性
ブッシュ12を介してサスペンションタワー13に取り付け
られ、車輪1を弾発・緩衝支持するようになっている。
なお、図中、18はタイロッド、19はスタビライザであ
る。
第1アッパアーム3は、ホイールサポート2の車体前
後方向の変位を規制するものであり、その一端部3aが、
ホイールサポート2の延長部2aの上端に略垂直な軸まわ
りに回動自在に枢着されている一方、その他端部3bが、
ホイールハウスインナ14後部の上部位置に設けられたブ
ラケット20に、弾性ブッシュを介して略水平横方向の軸
まわりに回動自在に枢着されている。この第1アッパア
ーム3は、前輪懸架の場合、車輪1の最上端よりも上方
位置にて、ホイールサポート2から後方へ略車体前後方
向に延設され、ホイールサポート2側の枢着点2Aよりも
車体6側の枢着点6Aを低い位置に設定している〔図3参
照〕。これは、第1アッパアーム3とロアアーム5とで
決定される車輪1の瞬間揺動中心を、バンプ時に後方側
に向かわせるように設定することによって、制動時にお
けるアンチダイブ性を向上させるためである。
第2アッパアーム4は、第1アッパアーム3よりも下
方に配置され、ホイールサポート2の横方向の変位を規
制するために設けられたもので、直進時の車軸1aに対し
て小角度θだけ傾斜して、外端部4aがやや前傾して全体
として略車幅方向に延びており、その先端部4aが、ホイ
ールサポート2における車輪1のリム1bの上周近傍の位
置、つまり車輪のホイルリム最上端より下方の位置に、
略垂直な軸まわりに回動自在に弾性ブッシュを介して枢
着されている。一方、その内端部4bは、車体6の中部高
さ位置6bとなる、クロスメンバー7の上部に立設したブ
ラケット16に、略車体前後方向に水平な軸まわりに回動
自在に弾性ブッシュを介して枢着されている。
以上のように構成される車両のサスペンション装置の
作用効果について述べると、操向安定性について言え
ば、いわゆるローマウントアッパアーム方式のサスペン
ション装置の具備する作用効果を奏するとともに、乗心
地の向上とブレーキジャダーの発生防止との両立につい
ては、ハイマウントアッパアーム方式が有する作用効果
を発揮するものである。そして、さらに、小転舵時にお
ける旋回外輪のキャンバ剛性を向上させることにより、
良好な操向安定性が得られるようにしている。すなわ
ち、第2図に示すように、ロアアーム5とともに、ホイ
ールサポート2の車幅方向の変位を規制する第2アッパ
アーム4を、小転舵時の外側の車輪1の傾きに対応でき
るように、前述した如く、その先端部4aを前傾させて全
体をやや前方に、車軸1aに対してθだけ傾斜させて配置
している。このθは、操向安定性がもっとも要求される
いわゆる小転舵時に外側の車輪1から受ける外力を、第
2アッパアーム4でもっとも効果的に受けることができ
るような値に設定されている。つまり、小転舵時の転舵
角2θ位までの範囲において、とくに充分なキャンバ剛
性が得られるように、そのときの外力の作用方向となる
車軸1aの方向に略沿わせて第2アッパアーム4を配置し
ているのである。
次いで、本装置によって発揮されるマルチリンク方式
サスペンションの作用効果についてさらに詳細に説明す
ると、まず、車輪1を支持するホイールサポート2を上
方に延ばしたことにより、車体前後方向に比較的剛に車
体6と連結されるロアアーム5の外端部5aの下部枢着点
5Aから第1アッパアーム3の一端部3aの上部枢着点2Aま
での距離を大きくとり、車軸1aに対するレバー比を大と
するとともに、第1アッパアーム3の他端部3b側の枢着
点6Aに柔軟な弾性ブッシュを介装させたことにより、車
輪1の前後方向のコンプライアンス特性を向上させ、衝
撃をソフトに吸収して乗心地を向上させることができ
る。そして、長いレバー比を有する第1アッパアーム3
の車体前後方向の配置により、制動時には、ホイールサ
ポート2に作用する車軸1aまわりの外力を前記弾性ブッ
シュの圧縮方向に作用させて、ホイールサポート2の固
有振動を効果的に低減緩衝させ、ブレーキジャダーの発
生を防止することもできる。すなわち、より詳細には、
第4図に示すように、本発明のようなハイマウントアッ
パアーム方式では、制動時には、車輪1は地面から車軸
1aまわりのモーメントFを受け、ホイールサポート2に
おける第1アッパアーム3との枢着点である上部枢着点
2Aは前方へ、ロアアーム5との枢着点である下部枢着点
5Aは後方へ変位する。一方、石等に乗り上げたときに
は、上部枢着点2Aと下部枢着点5Aはともに後方に変位す
る。したがって、キングピン軸KからBまでブレーキジ
ャダーを許容させる場合、第1アッパアーム3のコンプ
ライアンスはx2に設定される。このコンプライアンス量
x2が乗心地を向上させるために作用し(C参照)、その
ときのホイールセンタ(車軸1aの中心)での後方移動量
はx4となる。
ローマウントアッパアーム方式(上部枢着点をHLで示
す)では、制動時におけるブレーキジャダーの許容度を
Bまでとした場合、アッパアームのコンプライアンスx1
が乗心地向上のために寄与しうるが、そのときのホイー
ルセンタでの後方移動量はx3となる。図より明らかなよ
うに、ハイマウントアッパアーム方式における後方移動
量x4が、ローマウントアッパアーム方式の後方移動量x3
よりも大となる。したがって、ブレーキジャダーの許容
度を同等とした場合、ハイマウントアッパアーム方式の
方が、上記後方移動量の差分(x4−x3)だけ、衝撃緩和
能力が優れていることとなる。つまり、乗心地の向上
と、ブレーキジャダーの発生防止との両立という、従来
のサスペンション装置では果たしえなかった課題を解決
している。なお、第2アッパアーム4は、その外端部4a
が車体前方にやや傾斜して配置されているが、第1アッ
パアーム3よりもかなり低い位置にてホイールサポート
2と連結されているため、ブレーキジャダーによるホイ
ールサポート2の車幅方向の変位を小さく抑えることが
でき、走行安定性の低下をもたらすようなことはない。
また、第2アッパアーム4を、第1アッパアームより
低い位置に配置したため、この部位では、エンジン等の
配置によるスペースの制約を受けず、クロスメンバー7
に沿う方向に比較的にレイアウトの自由度があり、第2
アッパアーム4を充分な長さに設定することができ、車
輪1が揺動したときの過大なキャンバ変化をなくして良
好な操向安定性を得ることができる。
さらに、第1アッパアーム3を、第2アッパアーム4
とは異なる高さ位置で、車体前後方向に配置したため、
車輪1の内側上方辺りのスペースを必要とせず、その部
分のレイアウトの自由度が向上し、低ボンネット化やエ
ンジンの大型化に対応できる。なお、図示しないが、第
1アッパアーム3と第2アッパアーム4に、それぞれタ
ーンバックルを組み込むことにより、キャスタ調整とキ
ャンバ調整とをそれぞれ互いに干渉することなく、各々
独立して容易に調整できるようなものとすることもでき
る。
このように、本発明によれば、とくに、小転舵時にお
ける操向安定性の向上を図り、かつ乗心地の向上とブレ
ーキジャダーの発生防止とを両立させることができる車
両のサスペンション装置を、車輪周囲のレイアウトの自
由度を損なうことなく構成することができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示し、第1図(a)は本発明の
前輪用の車両のサスペンション装置の平面図、第1図
(b)はその正面図、第2図は模式平面図、第3図は内
側から見た模式側面図、第4図は乗心地の向上とブレー
キジャダーの発生防止の両立を説明するための模式図で
ある。 1……車輪、2……ホイールサポート、3……第1アッ
パアーム、3a……一端部、3b……他端部、4……第2ア
ッパアーム、4a……外端部、4b……内端部、5……ロア
アーム、5a……外端部、5b,5c……内端部、6……車
体、6a……下部高さ位置、6b……中部高さ位置、6c……
上部高さ位置。
フロントページの続き (72)発明者 枝広 毅志 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−67508(JP,A) 特開 昭64−44308(JP,A) 特開 平2−185812(JP,A) 特開 昭48−31620(JP,A) 特開 平2−14907(JP,A) 特公 昭52−9889(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】操舵輪である車輪を回転自在に支持して上
    方に延びるホイールサポートを、ロアアームと、複数の
    アッパアームとで、車体に対して上下方向に揺動自在と
    なるように支持した車両のサスペンション装置におい
    て、上記複数のアッパアームを、上記ホイールサポート
    に対し、車体上下方向に所定距離隔てて配置された、第
    1アッパアームと第2アッパアームとで構成し、上方に
    配置される第1アッパアームを、車体前後方向に、且
    つ、そのホイールサポート側の枢着点を車輪の最上端よ
    り上方に位置させて配置するとともに、下方に配置され
    る第2アッパアームを、車幅方向に、且つ、そのホイー
    ルサポート側の枢着点を車輪のホイルリム最上端より下
    方に位置させて配置し、上記第1アッパアームは車体と
    の間に弾性体を介装して配置される一方、第2アッパア
    ームは、その外端部を前傾させて、略車幅方向に配置さ
    れていることを特徴とする車両のサスペンション装置。
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