JP4362765B2 - 光沢感の解消されたフルダル調高密度織物 - Google Patents

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Description

本発明は合成繊維で構成された高密度織物に関するものである。更に詳しくはスポーツ用の衣料素材として広く使用することが可能な、高強力、透湿防水性を有し、光沢感の解消されたフルダル感を有したソフトで軽量なポリエステルマルチフィラメント高密度織物に関するものである。
従来から、ポリエステル、ナイロンマルチフィラメントなどの合成繊維を使った高密度織物が製造、商品化され広く消費者に利用されている。該高密度織物は比較的、単糸繊度の細いマルチフィラメントを使用し、且つカバーファクターと呼ばれる織物の経糸、緯糸の単位密度間のすきまの度合いを示す係数を2000から3000クラスの高密度に製織することによって得ることが出来、該高密度織物は優れた高強力、透湿防水性を有し、尚且つソフトで柔軟な風合いを有しており、取り分けスポーツ衣料分野への用途展開はめざましいものである。
しかしながら、従来のスポーツ衣料用のポリエステル高密度織物においては繊維表面の屈折率の高さから光沢感が発生しており、消費者からは嫌われる要素となっていた。光沢感を解消した織物として仮撚加工された合成繊維で構成された高密度織物があるが、仮撚加工を施すとコストアップになることから、繊維内部に屈折率の高い無機微粒子を含有した、所謂フルダルと呼ばれたフィラメントを使って光沢感を解消する試みもされている。
しかしながら、フルダルでありなお且つ高密度織物に適した単糸繊度の細い合成繊維の製糸性は容易なことでなく、工業生産する上では多数の問題を抱えていた。その後、単糸繊度が0.8程度のフルダル糸がメーカから生産されるようになり、従来にない光沢感の軽減された高密度織物を得ることが可能となったが、消費者からは更にソフトで軽量な高密度織物を求め、メーカ側に要望する声が強く、技術課題として残っていた。
本発明の課題は、高強力、透湿防水性を有し、なお且つ光沢感のないフルダル感を有したソフトで軽量な合成繊維から構成された高密度織物を得ることである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち本発明は、下記の構成よりなる。
1.織物を構成する経糸と緯糸のカバーファクターの総和が2000以上の高密度織物において、経糸及び/又は緯糸は、平均粒子径が0.5μm以下である二酸化チタンを1.5〜5重量%含有し、総繊度が5〜60デシテックスで、単糸繊度が1.0デシテックス以下のポリエステルマルチフィラメントであり、引裂き強力が経方向、緯方向ともに10.1N以上であることを特徴とする光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
なお、カバーファクターとは式:{糸の繊度(デシテックス)}1/2×{織物密度(本/2.54cm)}
で表される。
2.二酸化チタンの平均粒子径が0.4μm以下であることを特徴とする上記第1記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
3.リエステルマルチフィラメントは、単糸繊度が0.01〜0.78デシテックスであり、直接紡糸延伸されたものであることを特徴とする上記第1又は2に記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
4.目付けが150g/m以下であることを特徴とする上記第1〜3のいずれかに記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
5.経糸と緯糸のカバーファクターの総和に対する経糸のカバーファクターの比率が50〜70%であることを特徴とする上記第1〜4のいずれかに記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
6.水圧が10.0kPa以上であることを特徴とする上記第1〜5のいずれかに記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
本発明のフルダル調の高密度織物は、スポーツ衣料用途に好適な高強力、透湿防水性を有し、ソフトで軽量であるという従来にはない効果を有する。
以下本発明を具体的に説明する。
本発明の合成繊維からなる高密度織物は経糸と緯糸のカバーファクターの総和が2000以上であり、織物を構成する経糸及び/又は緯糸は無機微粒子を1.5重量%以上含有した単糸繊度が1.0デシテックス以下であることが望ましい。また無機微粒子は平均粒径が0.5μm以下であることが好ましい。
先ず、カバーファクターとは単位面積間の糸断面の占める割合の程度を表す係数であって、式:{糸の繊度(デシテックス)}1/2×{織物密度(本/2.54cm)}で表され、カバーファクター値が高いと隙間が小さく、つまり緻密性が高いことを示す。
優れた防水性を有した高密度織物を得るためには、耐水圧8kPa以上が好ましく、さらに好ましくは10kPa以上である。但し、あまりにも耐水圧を高くしようとし過ぎると風合いが硬くなる場合があるので100kPa程度以下でよい。これらを満足させるためにはカバーファクターが2000以上必要である。但し、4000を越えると風合いが硬く織物が重たくなってあまり好ましくない。
また単糸繊度も緻密性を高めるためと風合いをソフトにするため比較的細いフィラメントが好ましく、1.0デシテックス以下が必要であり、さらに好ましくは0.7デシテックス以下、さらに望ましくは0.6デシテックス以下である。但し、あまりにも単糸繊度が細いと紡糸性や製織性に問題を生ずる場合があるので、0.01デシテックス以上としておくことが好ましい。総繊度も高密度織物の軽量感を得るためにスポーツ衣料に適した100デシテックス以下が好ましく、望ましくは90デシテックス以下、更に望ましくは60デシテックス以下である。但し、あまりにも総繊度が細いと引裂き強力が不足する場合があるので、5デシテックス以上であることが好ましい。
フィラメント数は特に言及されないが、緻密性を高めるために少なくとも70本以上が好ましく、より好ましくは100本以上であるが、織物設計において経緯単位密度間、即ち経方向、緯方向1インチ間のフィラメント数を各々少なくとも10000本以上することによって耐水、防水性に非常に優れた高密度織物に仕上げることができる。そして、経糸及び/又は緯糸には光沢感を解消するために平均粒径が0.5μm以下、屈折率の高い無機微粒子を1.5重量%以上含有することが必要であり、無機微粒子を含有することによって紫外線を吸収、反射したり、織物の落ち感、ドレープ性を高めることもできる。
屈折率の高い無機微粒子としては酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなど多くのものが存在するが、中でも白度が高く、光の遮光性が優れた二酸化チタンが好ましく使用され、製糸する上でも最も適した無機微粒子と言え、また繊維間の摩擦力を小さくすることができるので高密度織物の引裂き強力を高める効果もある。但し、平均粒径が0.5μmを超えた屈折率の高い無機微粒子、或いは過剰に添加することは後述する直接紡糸延伸時における製糸性を損ねる場合があるので、平均粒径は好ましくは0.4μm以下、無機微粒子の添加量は5重量%以下に止めることが好ましく、更に好ましくは4重量%以下である。
そして、本発明の合成繊維で構成された高密度織物はノンコートであることが好ましい。防水、撥水性を高めるためにラミネート或いはコーティングを施すことは、本発明の課題である織物の透湿性及びソフト感が損なわれる場合があり、あまり好ましくなく、また高密度織物の引裂き強力が低くなり本発明においてはあまり好ましくない。本発明の課題である高強力、透湿防水性なお且つ光沢感のないフルダル感を有したソフトな合成繊維からなる高密度織物を得るためにはノンコートであることが好ましい。
本発明の合成繊維で構成された高密度織物の目付けは150g/m以下が望ましい。スポーツ衣料を用途とするものは軽量化が求められ、逆に重いとスポーツ運動の妨げになり、軽快で俊敏なプレーができない。従って、目付けは150g/m以下が望ましく、より好ましくは120g/m以下である。また、本発明においては限定されないが、織物の厚みを0.15mm以下とすることによってスポーツ衣料には申し分のない薄くコンパクトで軽量感を有した高密度織物とすることが出来る。
本発明の合成繊維で構成された高密度織物の製造方法について、通常の経糸、緯糸準備工程に始まり、サイジング工程、整経、製織工程で製造可能である。より詳しくは、経糸には無撚若しくは撚係数が5000以下の甘撚を施していることが好ましく、次いで、サイジング、糊付けを行うことが好ましい。
高密度織物は染色工場にて通常、カレンダー工程にて織物を押圧し、繊維を偏平化させることによって組織間の隙間を小さくする。従って、経糸の撚数が高くなると繊維の集束性が増し、カレンダー工程において繊維が偏平化しにくくなるため、撚数は低いことが好ましく、より好ましい範囲は無撚若しくは撚係数が4000以下である。ここで、撚係数とは糸の繊度をD(デシテックス)とし、撚数をT(回/m)とするとき、T√Dで表される。一方、緯糸の撚数も前述に記載のとおり無撚、若しくは撚係数が5000以下の甘撚糸が好ましい。
そして、甘撚を施す際にはアップツイスターに分類されるイタリア撚糸機、ラージアップツイスター、ダウンツイスターに分類されるリング撚糸機、合撚機、またはダブルツイスターなどの一般の撚糸機を使用して製織準備され、取り分け汎用性に優れ、取り扱いが簡単な合撚機や生産性に優れたダブルツイスターが好ましく利用される。
なお、無撚で製織する際には合成繊維に混繊交絡を施すことが好ましく、混繊交絡度については20ケ/m以上、100ケ/m以下が好ましく、より好ましくは40ケ/m以上、80ケ/m以下であり、この範囲内においては撚糸、製織工程での工程通過性になんら問題は起きることは無い。しかし、100ケ/mを越えると風合い硬化と好ましくないムラ外観をもたらし、好ましくない。混繊交絡手段についてはエアー交絡ノズルが好ましく、インターレーサーノズルやタスランノズルなどが好適である。
サイジング、糊付け工程においては製織工程における織機或いは合成繊維の種類に応じてアクリル系糊とポリビニルアルコール糊を使い分け、糊剤の配合比も適切に行うことが肝要である。また、糊剤には平滑剤、柔軟剤、帯電防止剤、浸透剤などの添加も必要に応じて行われる。そして、糊付着量としては合成繊維の形態にもよるが10%以下を目安にサイジング、糊付けを行い、整経、製織される。
なお、全ての工程において共通することであるが、接糸部の摩耗が通常のブライト、セミダルと呼ばれる無機微粒子の少ない合成繊維と比べて激しくなる場合があるため、製糸、即ち直接紡糸延伸時に適切な油剤あるいは耐摩耗性に優れた接糸部品を選択する、また張力管理など適切な対策を施すことも好ましい。製織工程においては耐摩耗に優れた筬、ヘルドの選択、筬番手の適正化、或いは、サイジング糸・緯糸にオイリング処理をするなどの方策が必要に応じて立てられることを追記する。
本発明の合成繊維で構成された高密度織物はノンコートタイプとするため、経糸、緯糸の密度バランスを適切に設計する必要がある。即ち、経糸と緯糸のカバーファクターの総和に対する経糸のカバーファクターの比率を50%以上、70%以下とすることが好ましい範囲であり、この範囲を満たさない場合は、高密度織物において透湿防水性が低下したり、経緯の引裂き強力のバランスが崩れたりなど織物特性を損ねる場合があり、あまり好ましくない。より好ましくは50%以上、60%以下である。
また、本発明においては限定されないが、製織工程における筬番手も適切に選択する必要があり、織物規格にもよるが60番/3.79cm以下のような粗い筬を使うと生機において筬筋が発生しやすくなって生機の品位を下げることになり、仕上がり品の高密度織物における透湿防水性の特性をも下げる懸念があるので使用は避けたほうが好ましい。但し、筬番手が100番/3.79cm以上になると目が細かく、作業性の観点からあまり好ましくない。
本発明の合成繊維で構成された高密度織物の組織は特に限定されず、ヒラ組織、綾組織、朱子組織、または梨地、2重組織リップストップなど何れでも構わない。なお、織物の耐水圧を高めるためには、組織点の最も多いヒラ組織が好ましく、丈夫にするためには、石目、ナナコ組織とヒラ組織を組合したリップストップ組織も好ましく使用される。
本発明の合成繊維で構成された高密度織物はレピア織機、エアージェットルーム、ウータジェットルーム、フライ織機、グリッパ織機から選択されるいずれかで製織することできる。そして、高付加価値を付与できる多色自由交換装置を有した織機、変化組織に対応することが可能なドビー装置を有した織機などは更に好ましく使用することができる。中でも、生産性の高く、製造コストが比較的安価なウォータージェットルームが好ましく採用される。
生機の加工については通常の精練、染色加工を施す事によって仕上げることができる。
前述の様にして得られた合成繊維で構成された高密度織物は引裂き強力が経方向、緯方
向ともに10.1N以上、耐水圧が8.0kPa以上、更には10.0kPa以上を満たすことが好ましい。本発明品はスポーツ用途が中心であり、過酷なスポーツ運動、激しい競技にも耐え得る衣料とするためには実用上、経方向、緯方向ともに10.1N以上の引裂き強力を備えていることが好ましく、また風雨に晒される機会の多いスポーツ用途には耐水圧が10.0kPa以上が好ましい。
本発明に用いられるポリエステルとしては主たる成分がポリエチレンテレフタレートからなるポリエステルを挙げることが出来、通常の公知の方法で重合することにより得られるが、本発明の目的を損なわない程度の範囲内で他の第3成分を共重合してもよい。具体的にはアジピン酸、シュウ酸、セバシン酸、イソフタル酸、5−ソジュームスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、ビスフェノールAまたはそのエチレンオキサイド付加物、ヒドキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを単独あるいは2種以上を組み合わて用いることができる。また本発明の目的を損なわない範囲で、つや消し剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、制電剤、難燃剤などの添加物を配合しても良い。
そして、本発明に用いられる合成繊維の断面形状は丸、三角、四角などの多角形、偏平、中空、星、歯車型などどんな形状でも構わず、本発明には限定されない。また、合成繊維は溶融紡糸されたものを延伸機で延伸する方法によって得ることが出来るが、直接紡糸延伸した、所謂、スピンドロー方式で得ることが好ましく、得られたスピンドロー糸はコスト合理化され、更には高い品質品位を有した合成繊維であり本発明の高密度織物には最適である。更には混繊機で収縮率の異なる繊維を混繊した異収縮混繊糸、自発伸長混繊糸、タスラン加工糸など糸加工を施したタイプでも構わない。
また、合成繊維の乾熱収縮率は衣料用を目的にしたものであれば40%以下、更に好ましくは20%以下であり、通常15%以下の合成繊維が使用される。ポリエステルに代表される合成繊維マルチフィラメントの破断強度は織物の引裂き強力を大きくする目的で大きいことが好ましく、3cN/デシテックス以上であることが好ましい。更に好ましくは4cN/デシテックス以上であり、重合度を高めたポリマーによる5cN/デシテックス以上のものも好ましい。
但し、破断強度が高くても破断伸度が小さければ、織物の引裂き強力は小さくなる場合があるので、破断強度は破断伸度が20%以上を保持できる範囲でよく、通常10cN/デシテックス以下である。破断伸度は前記のように20%以上であることが好ましく、更に好ましくは30%以上である。但し、あまりにも破断伸度が大きいと、破断強度が小さく、織物の引裂き強力が小さくなる場合があるので、55%以下であることが好ましい。
次に、本発明で使用した引裂き強力は下記の方法によって測定した。
[耐水圧]
JIS L−1092に記載される耐水度試験装置(低水圧用)に準じて測定した。
[引裂き強力]
JIS L−1096に記載されるペンジュラム法に準じて測定した。
[目付け]
織物から50cmの円形試料を2枚作成し、2枚合わせて重量を測定し、100倍した数値を用いた。
次に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1)
(実施例1)
平均粒径が0.3μmの二酸化チタンを2.0重量%含有したポリエチレンテレフタレートフルダルレジンを使用し、直接紡糸延伸方法によって得られた56デシテックス108フィラメント丸断面のスピンドロー糸を得た。先ず経糸準備として、(株)ヤマダ製の一本糊付機YS−6型にて速度200m/分、乾燥温度70℃、糊液温度40℃、付着量を7.0重量%に設定し糊付けを行った。
なお、糊は互応化学工業(株)製のアクリル酸エステル共重合体アンモニウム塩タイプのプラスサイズ(R)J−60と、日本合成化学工業(株)製のポリビニルアルコール糊としてゴーセノール(R)GL−05を使用し、各々の混合比率を6:4に調整した濃度が8%、粘度が5mPaの混合糊を使用した。
また混合糊には平滑剤、柔軟剤、浸透剤として互応化学工業(株)製のサイテックスK−380(有効成分25%)、サイテックスT−190(同35%)、サイテックス24(同40%)を添加し、帯電防止剤として大日本インキ化学工業(株)製のAS−20(同35%)を用い、各々2%、2%、0.2%、0.2%添加した。次いで得られた各々の糊付糸を(有)スズキワーパー製NAS SUPER−130W型を用いて筬入巾130cm、経糸本数9300本で整経を行った。
次いで、(株)石川製作所製2001Sレピア織機に整経ビームを仕掛け、織機調整を行い、緯糸も経糸と同じ56デシテックス108フィラメントを打ち込み、製織した。製織性は非常に良好であり、毛羽発生による経糸切れはなく、接糸品、筬などの摩耗は問題にならない程度であった。そして、得られた生機品質は高いものであり、筬筋などは見られなかった。
該生機を通常の精練リラックス、染色、カレンダー、仕上げ工程に通し、染色加工布を得た。なお、染色加工布のカバーファクターは2570であり、経緯のカバーファクター総和に対する経糸のカバーファクターの比率は60%、目付けは82g/mであった。該染色加工布の引裂き強力は経糸方向13.6N、緯糸方向10.5Nであり、また耐水圧が10.2kPaを有した高強力、透湿防水性、ソフト感で軽量感に優れた光沢感のないフルダル調ポリエステルマルチフィラメント高密度織物でありスポーツ衣料用途に最適なものであった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、二酸化チタンを0.4重量%含有したポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを用いて直接紡糸延伸し、以下、実施例1と全く同様にして、染色加工布を得た。該染色加工布はスポーツ用途に好適なポリエステルマルチフィラメント高密度織物であり高強力、透湿防水性、ソフト感で軽量感に優れているが、実施例1の高密度織物と比較して光沢感がありやや消費者には敬遠されがちな高密度織物であった。結果を表1に示す。
参考例
実施例1において、得られた生機を通常の精練リラックス、染色、カレンダー加工を施し、親水性樹脂にてコーティング処理仕上げを行った。得られた高密度織物は実施例1と比較して高い耐水性、防水性を示したが、逆に透湿性、引裂き強力が低くなり又ソフト感も無くなり、スポーツ衣料にはやや不満が残る高密度織物であった。結果を表1に示す。
(実施例
実施例1において、平均粒径が0.3μmの二酸化チタンを2.0重量%含有したポリエチレンテレフタレートフルダルレジンを使用し、直接紡糸延伸方法によって得られた56デシテックス72フィラメント丸断面のスピンドロー糸を得た。得られた生機を通常の精練リラックス、染色、カレンダー加工を施し染色加工布を得た。得られた高密度織物は実施例1と同様に高強力、透湿防水性を示したが、ソフト感が若干、足りないスポーツ衣料の高密度織物であった。結果を表1に示す。
Figure 0004362765
本発明によるとスポーツ衣料用途に好適な高強力、透湿防水性を有し、ソフトで軽量な従来にないフルダル調の高密度織物を提供することを可能とした。

Claims (6)

  1. 織物を構成する経糸と緯糸のカバーファクターの総和が2000以上の高密度織物において、経糸及び/又は緯糸は、平均粒子径が0.5μm以下である二酸化チタンを1.5〜5重量%含有し、総繊度が5〜60デシテックスで、単糸繊度が1.0デシテックス以下のポリエステルマルチフィラメントであり、引裂き強力が経方向、緯方向ともに10.1N以上であることを特徴とする光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
    なお、カバーファクターとは式:{糸の繊度(デシテックス)}1/2×{織物密度(本/2.54cm)}
    で表される。
  2. 二酸化チタンの平均粒子径が0.4μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
  3. ポリエステルマルチフィラメントは、単糸繊度が0.01〜0.78デシテックスであり、直接紡糸延伸されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
  4. 目付けが150g/m以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
  5. 経糸と緯糸のカバーファクターの総和に対する経糸のカバーファクターの比率が50〜70%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
  6. 耐水圧が10.0kPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光沢感の解消されたフルダル調高密度織物。
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