JP2003268643A - 高強力繊維および高強力を有した織物 - Google Patents

高強力繊維および高強力を有した織物

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JP2003268643A
JP2003268643A JP2002067295A JP2002067295A JP2003268643A JP 2003268643 A JP2003268643 A JP 2003268643A JP 2002067295 A JP2002067295 A JP 2002067295A JP 2002067295 A JP2002067295 A JP 2002067295A JP 2003268643 A JP2003268643 A JP 2003268643A
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polyester multifilament
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polyester
woven fabric
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JP2002067295A
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Hiroyuki Miyano
裕行 宮野
Hideki Kawabata
秀樹 川端
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】衣料資材用素材として使用することのできる、
取り分けスポーツ競技中において容易に引裂かれること
がなく、且つファッション性、審美性に優れた発色性、
鮮明性を有し、尚且つソフトな風合いを有した高密度織
物を提供すること。 【解決手段】ポリ−p−フェニレンベンズビスオキサゾ
ール繊維、等の引張強度が15cN/dtex以上の合成繊維
(A)がポリエステルマルチフィラメント(B)によって
被覆された高強力繊維であって、ポリエステルマルチフ
ィラメント(B)の単糸繊度が1.5デシテックス以
下、フィラメント本数が70本以上の高強力繊維、及び
当該高強力繊維をポリエステル繊維織物の一部に配した
高密度織物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】ポリエステルマルチフィラメ
ントによって被覆された高強力繊維およびその高強力繊
維を経糸及び/又は緯糸の一部に使用された織物に関す
るものである。更に詳しくはスポーツ衣料および資材用
素材として広く使用することが可能であり、尚且つソフ
トで審美性に優れた高強力繊維およびその織物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来からポリエステル、ナイロンマルチ
フィラメントなどの合成繊維を使った高密度織物が製
造、商品化され広く消費者に利用されている。該高密度
織物は比較的、単糸繊度の細いマルチフィラメントを使
用し、且つカバーファクターと呼ばれる織物の経糸、緯
糸の単位密度間のすきまの度合いを示す係数を2000
から3000クラスの高密度に製織することによって得
ることが出来、該高密度織物は優れた透湿性、耐水圧、
引裂き強力を有し、尚且つソフトで柔軟な風合いを有し
ており、取り分けスポーツ衣料分野への用途展開はめざ
ましいものである。しかしながら、スポーツ衣料用のポ
リエステル、ナイロンマルチフィラメント高密度織物は
約1000cN以上の引裂き強力を有しているものの、鋭
利な物や金属片に対しては容易に穴が空いたり、裂いた
りする。例えば、野球、サッカーなどの屋外スポーツ競
技においてはスパイク、スキーなどにおいてはストック
やスキー板、ボードのエッジ部分などと接触することに
よって基布が引裂かれ、人体に危険を及ぼす可能性も十
分考えられる。また、スポーツウェアーを用途とするも
のはファッション性、審美性にも考慮する必要があり、
取り分け発色性豊かで、鮮明なウェアーが求められる
が、発色性を付与するべく金属スルホン酸基を有するジ
カルボン酸成分を共重合させた改質ポリエステルマルチ
フィラメントを使用したポリエステルマルチフィラメン
ト高密度織物はマルチフィラメント自体の強度が低くな
って織物の引裂き強力が低くなる問題が発生し、着用す
るには問題があるのが現状である。
【0003】織物の引裂き強力を向上させる目的で強度
の高い繊維を織物の経糸若しくは緯糸に用いる技術は特
開2000−234236号公報、特表平11−503
796号公報などに開示されているが、いずれも短繊維
を用いた織物における引裂き強力を改善する目的のもの
であり、薄地織物には前述の特許番号の技術発明は応用
困難である。従って、先ず、ポリエステルマルチフィラ
メント織物に適した高強力繊維の開発およびそれを使用
した高い引裂き強力を有した織物開発を進め、スポーツ
衣料に適した織物提供を行う必要性があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、衣料
資材用素材として使用することのできる、取り分けスポ
ーツ競技中において容易に引裂かれることがなく、且つ
ファッション性、審美性に優れた発色性、鮮明性を有
し、尚且つソフトな風合いを有した高強力ポリエステル
マルチフィラメント高密度織物、及びかかる高密度織物
を得るための高強力繊維を得ることである。
【0005】
【発明が解決するための手段】即ち、本発明は下記の構
成からなる。 1.引張強度が15cN/dtex以上の合成繊維(A)がポリ
エステルマルチフィラメント(B)によって被覆された
高強力繊維であって、ポリエステルマルチフィラメント
(B)の単糸繊度が1.5デシテックス以下、フィラメ
ント本数が70本以上であることを特徴とする高強力繊
維。 2.繊度が350デシテックス以下であることを特徴と
する上記第1に記載の高強力繊維。 3.引張強度が15cN/dtex以上の合成繊維(A)を芯糸
とし、ポリエステルマルチフィラメント(B)によって
カバリング被覆され、その被覆度が70%以上であるこ
とを特徴とする上記第1又は2に記載の高強力繊維。 4.ポリエステルマルチフィラメント(B)が仮撚加工
糸であることを特徴とする上記第1〜3のいずれかに記
載の高強力繊維。 5.ポリエステルマルチフィラメント(B)の40重量
%以上が金属スルホン酸基を有するジカルボン酸成分を
含有する共重合ポリエステルであることを特徴とする上
記第1〜4のいずれかに記載の高強力繊維。 6.ポリエステルマルチフィラメント(B)が直接紡糸
延伸方法によって得られたものであることを特徴とする
上記第1〜5のいずれかに記載の高強力繊維。 7.合成繊維(A)がポリ−p−フェニレンベンズビス
オキサゾール(PBO)繊維であることを特徴とする上
記第1〜6のいずれかに記載の高強力繊維。 8.主としてポリエステルマルチフィラメントから構成
されてなる経糸と緯糸のカバーファクターの総和が20
00以上の高密度織物であって、該高密度織物の経糸及
び/又は緯糸の一部に上記第1に記載の高強力繊維を配
してなることを特徴とする高強力ポリエステルマルチフ
ィラメント高密度織物。
【0006】以下本発明について詳細に説明する。本発
明の引張強度が15cN/dtex以上を有する合成繊維(A)
がポリエステルマルチフィラメント(B)によって被覆
された高強力繊維(C)であって、該ポリエステルマル
チフィラメント(B)の単糸繊度が1.5デシテックス
以下、フィラメント本数が70本以上であることが肝要
であり、該高強力繊維(C)の繊度は350デシテック
ス以下であることが望ましい。引張強度が15cN/dtex
以上を有する合成繊維とは例えば剛直性高分子に分類さ
れ、パラ系アラミドの種類である「ケブラー」、「テク
ノーラ」またはポリ−p−フェニレンベンズビスオキサ
ゾール(PBO)繊維、また全芳香族ポリエステルの種
類である「ベクトラン」、屈曲性高分子に分類され、ポ
リエチレンの種類である「ダイニーマ」、「テクミロ
ン」、無機繊維に分類され、PAN系炭素繊維の種類で
ある「トレカ」、「ベスファイト」などが例示できる。
取り分け、最も高い引張強度を有していると言われるP
BO繊維である東洋紡績(株)製「ザイロン」が好まし
い。但し、このような非常に高い引張強度を有する繊維
は染色性に劣るためにファッション性、審美性を損ね、
また耐光性に劣り紫外線劣化を引き起こすものが多いた
め、屋外における長期間暴露は繊維の機能性を低下させ
ることになる。そこで、本発明では引張強度が15cN/d
tex以上を有する合成繊維(A)を単糸繊度が1.5デシ
テックス以下、フィラメント本数が70本以上で構成さ
れたポリエステルマルチフィラメント(B)を用いて被
覆する必要がある。単糸繊度が1.5デシテックスを超
え、フィラメント本数が70本未満では、引張強度が1
5cN/dtex以上を有する合成繊維(A)を効果的に被覆す
ることはできない。つまり、きれいに包み込むためには
単糸繊度が1.5デシテックス以下、フィラメント本数
が70本以上で構成されたポリエステルマルチフィラメ
ント(B)でなけらばならない。なお、好ましくは単糸
繊度が1.2デシテックス以下、フィラメント本数は8
0本以上が好ましく、さらに好ましくは0.9デシテッ
クス以下、フィラメント本数90本以上である。そし
て、高強力繊維(C)は衣料資材を主用途とするために
繊度は350デシテックス以下にすることが望ましく、
350デシテックスを超えて太くなると衣料資材用の素
材として硬くなるので好ましくない。好ましくは、30
0デシテックス以下であり、さらに好ましくは250デ
シテックス以下である。
【0007】本発明のポリエステルマルチフィラメント
(B)は仮撚加工糸が望ましく、カバリングによって、
引張強度が15cN/dtex以上を有する合成繊維(A)を被
覆することが望ましい。仮撚加工糸は見かけの繊度が太
いため効果的に引張強度が15cN/dtex以上を有する合
成繊維(A)を被覆する。仮撚加工糸はソフトで暖かみ
があるために、触感的、風合い的にソフトタッチの高強
力繊維(C)とする事が出来、勿論、その高強力繊維
(C)で構成された織物もソフトタッチにすることが出
来る。カバリングによれば高強力繊維(C)はトルクを
発現するもなく効果的に被覆できるが、勿論、カバリン
グ以外の方法でも別に構わない。例えば、ポリエステル
マルチフィラメント(B)と合成繊維(A)を引き揃え
て合撚する方法、流体交絡装置を使ってポリエステルマ
ルチフィラメント(B)と合成繊維(A)を混繊または
交絡せしめ混繊糸、タスラン加工糸とする方法などが例
示できる。
【0008】そして、単糸繊度が1.5デシテックス以
下、フィラメント本数が70本以上であるポリエステル
マルチフィラメント(B)で構成された高密度織物の経
糸及び/または緯糸の一部に高強力繊維(C)を使用し
ていることが望ましい。好ましくは経糸及び緯糸に高密
度織物の幅10cm当たり少なくとも1本以上配列するこ
とが望ましく、更に好ましくは織物の経緯間隔が少なく
とも1in間に1本以上、つまり大きくとも縦、横1in
間隔の格子状とすることが好ましいと思われる。要する
にポリエステルマルチフィラメントが30本から600
本毎に高強力繊維(C)を1本配列させることによっ
て、該高密度織物の引裂き強力を著しく向上させること
ができる。例えば、野球、サッカーシューズなどのスパ
イクや、スキーにおけるストックなどの鋭利物、またス
キー板、ボードなどエッジ部分で従来の高密度織物は引
裂かれたり、穴が空いたりして鋭利物やエッジ部分が身
体にまで及んだりする危険を有していたが、本発明品で
は高強力繊維(C)が鋭利物やエッジ部分の更なる侵入
を食い止め、身体への危害を最小限にすることができ、
この様な背景から高強力繊維cの引張強度は15cN/dtex
以上が必要である。より好ましくは20cN/dtex
以上であり、さらに好ましくは30cN/dtex以上で
ある。また、後述するがポリエステルマルチフィラメン
ト(B)が金属スルホン酸基を有するジカルボン酸成分
を共重合させた改質ポリエステルを使った高密度織物で
は引裂き力が弱いものとなるが、高強力繊維(C)を配
列させることによって引裂き力を向上させることが可能
となり、高強力、発色性をともに有した高密度織物を得
る事ができる。但し、高強力繊維(C)の本数を多くし
ずぎると、衣料布帛としては硬く、ソフトでなくなるの
で、好ましくは縦、横5mm間隔の格子状とすることが
望ましい。
【0009】そして、引張強度が15cN/dtex以上を有
する合成繊維(A)にはポリエステルマルチフィラメン
ト(B)よって被覆され、その被覆度が70%以上であ
ることが望ましい。被覆する理由としては引張強度が1
5cN/dtex未満の合成繊維(A)は染色性には乏しいも
のが多く、スキーウェアーなどカラフルなイメージがあ
って、発色性、鮮明性が求められる商品には審美的に好
ましくなく、またこれらの高強力合成繊維(A)は耐光
性に劣るものが多い。そこでポリエステルマルチフィラ
メント(B)を用いて被覆することによって高強力合成
繊維(A)が高密度織物の表面に現れないようにする工
夫が望ましい。但し、その被覆度は70%以上が望まし
く、さらに好ましくは80%以上である。なお、被覆度
の測定方法については後述する。
【0010】なお、ポリエステルマルチフィラメント
(B)によって構成された高密度織物は経糸と緯糸のカ
バーファクターの総和が2000以上であることが望ま
しい。カバーファクターとは単位密度間のすきまの程度
を表す係数であってマルチフィラメントの繊度の平方根
と織物密度の積で表され、カバーファクター値が高いと
隙間が小さく、つまり緻密性が高いことを示す。優れた
防水性を得るためには、耐水圧が800kPa、さらに
好ましくは1000kPaが必要であり、これらを満足
させるためにはカバーファクターが2000以上である
ことが望ましく、さらに望ましくは2500以上であ
る。しかしながら、4000を越えると風合いが硬く
織物が重たくなり好ましくない。
【0011】本発明の高強力ポリエステルマルチフィラ
メント高密度織物の目付けは特に言及されないが150
g/m2以下が望ましい。スポーツウェアーを用途とす
るものは軽量化が求められ、逆に重いとスポーツ運動の
妨げになり、軽快で俊敏なプレーができない。従って、
目付けは150g/m2以下が望ましく、好ましくは1
20g/m2以下である。またポリエステルマルチフィ
ラメント(B)のトータル繊度も緻密性を高めるためと
風合いをソフトにするため比較的細いフィラメントが好
ましく40デシテックス以上、340デシテックス以下
が必要であり、さらに好ましくは50デシテックス以
上、170デシテックス以下である。そして、単糸繊度
についても緻密性を高めるために1デシテックス以下、
更に好ましくは0.7デシテックス以下である。そし
て、上記のような観点から、つまり緻密性、軽量性、柔
らかさの理由から本発明の高強力繊維(C)の繊度は3
50デシテックス以下が望ましく、350デシテックス
を超えると、高強力繊維(C)を経糸及び/または緯糸
の一部に使用した高密度織物は緻密性が下がり、また風
合いが硬くなり好ましくない。
【0012】本発明の高密度織物の好ましい形態につい
て説明するが、経糸は無撚若しくは撚係数が5000以
下の甘撚を施していることが好ましい。高密度織物は染
色工場にて通常、カレンダー工程にて織物を押圧し、繊
維を偏平化させることによって組織間の隙間を小さくす
る。従って、経糸の撚数が高くなると繊維の集束性が増
し、カレンダー工程において繊維が偏平化しにくくなる
ため、撚数は低いことが好ましく、より好ましい範囲は
無撚若しくは撚係数が4000以下である。緯糸の撚数
は特に言及されないが、前述に記載のとおり無撚、若し
くは撚係数が5000以下の甘撚糸が好ましい。そし
て、甘撚を施す際にはアップツイスターに分類されるイ
タリア撚糸機、ラージアップツイスター、ダウンツイス
ターに分類されるリング撚糸機、合撚機、またはダブル
ツイスターなどの一般の撚糸機を使用して製織準備さ
れ、取り分け汎用性に優れ、取り扱いが簡単な合撚機や
生産性に優れたダブルツイスターが好ましく利用され
る。なお、無撚で製織する際にはポリエステルマルチフ
ィラメントに混繊交絡を施すことが好ましく、混繊交絡
度については20ケ/M以上、100ケ/M以下が好ま
しく、より好ましくは40ケ/M以上、80ケ/M以下
であり、この範囲内においては撚糸、製織工程での工程
通過性になんら問題は起きることは無い。しかし、10
0ケ/Mを越えると風合い硬化と好ましくないムラ外観
をもたらし、好ましくない。混繊交絡手段についてはエ
アー交絡ノズルが好ましく、インターレーサーノズルや
タスランノズルなどが好適である。
【0013】本発明の高強力繊維(C)を配したポリエ
ステルマルチフィラメント高密度織物の組織は特に限定
されず、ヒラ組織、綾組織、朱子組織、または梨地、2
重組織、、リップストップなど何れでも構わない。な
お、織物の耐水圧を高め、丈夫にするためには組織点の
最も多いヒラ組織が好ましく、石目、ナナコ組織とヒラ
組織を組合したリップストップ組織も好ましく使用され
る。生機の加工について通常の精錬、染色加工を施すこ
とによって仕上げることができ、必要に応じて高密度織
物に樹脂をコーティング、ラミネートを施すことが出来
る。
【0014】本発明のポリエステルマルチフィラメント
高密度織物はレピア織機、エアージェットルーム、ウオ
ータジェットルーム、フライ織機、グリッパ織機から選
択されるいずれかで製織することできる。そして、緯糸
にも高強力合成繊維を使用する場合は多色自由交換装置
を有した織機、変化組織に対応することが可能なドビー
装置を有した織機などは更に好ましく使用することがで
きる。
【0015】本発明に用いられるポリエステルとしては
主たる成分がポリエチレンテレフタレートからなるポリ
エステルを挙げることが出来、通常の公知の方法で重合
することにより得られるが、本発明の目的を損なわない
程度の範囲内で他の第3成分を共重合してもよい。具体
的にはアジピン酸、シュウ酸、セバシン酸、イソフタル
酸、5−ソジュームスルホイソフタル酸などのジカルボ
ン酸類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ルなどのグリコール類、ビスフェノールAまたはそのエ
チレンオキサイド付加物、ヒドキシ安息香酸などのオキ
シカルボン酸などを単独あるいは2種以上を組み合わて
用いることができる。取り分け金属スルホン酸基を有す
るジカルボン酸成分を共重合させることが望ましく、5
―ソジュームスルホイソフタル酸を共重合させた改質ポ
リエステルは好適である。織物を主として構成するポリ
エステルマルチフィラメントの全て(100重量%)が
5―ソジュームスルホイソフタル酸を共重合させたポリ
エステルマルチフィラメント(B)の場合、優れた発色
性・鮮明性を得る事ができ、40重量%から60重量%
の範囲であれば、分散染料に染まるポリエステルマルチ
フィラメントと染め分けすることによってことによって
メランジ調、異色効果、玉虫調を有した高密度織物とす
ることができる。また本発明の目的を損なわない範囲
で、つや消し剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、紫外線吸収
剤、制電剤、難燃剤などの添加物を配合しても良い。
【0016】そして、本発明に用いられるポリエステル
マルチフィラメント(B)の断面形状は丸、三角、四角
などの多角形、偏平、中空、星、歯車型などどんな形状
でも構わず、本発明には限定されない。また、ポリエス
テルマルチフィラメント(B)は溶融紡糸されたものを
延伸機で延伸したものを用いても良いが、コスト合理化
されたスピンドロー方式と呼ばれる直接紡糸延伸方法に
よってポリエステルマルチフィラメント(B)を得る事
が望ましい。 そして、直接紡糸延伸したフィラメント
を仮撚機で仮撚した仮撚加工糸、混繊機で収縮率の異な
るマルチフィラメントを混繊した異収縮混繊糸、タスラ
ン加工糸などポリエステルマルチフィラメントに糸加工
を施したものでも構わない。また、ポリエステルマルチ
フィラメントの乾熱収縮率は衣料用を目的にしたもので
あれば40%以下、更に好ましくは20%以下であり、
通常15%以下のポリエステルマルチフィラメントが使
用される。
【0017】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
発明するが、勿論本発明はこれらによって限定されるも
のではない。なお、本発明で使用した引裂き強力は下記
の方法によって測定した。 [引裂き強力]ペンジュラム法を用いてJIS−L109
6法に準じて測定を行い、5回の平均値を測定値とし
た。 [被覆度]高強力繊維(C)の断面写真を撮影し、断面写
真において最外層に位置するフィラメントを調べ、ポリ
エステルマルチフィラメント(B)の本数:Nbとその
単糸繊度:Db、合成繊維(A)の本数:Naとその単
糸繊度:Daとして、式:Nb×Db/(Nb×Db+N
a×Nb)に代入し、百分率で被覆度を求めた。
【0018】(実施例1)ポリエチレンテレフタレート
セミダルレジンを使用し、溶融紡糸によって得られた未
延伸糸を延伸機で延伸し78デシテックス216フィラ
メント丸断面のポリエステルマルチフィラメント(B)
を得た。延伸糸には仮撚加工が施され仮撚加工糸とし
た。次いで、経糸用として該仮撚加工糸に村田機械
(株)製309型ダブルツイスターを用いてZ撚り方向
に撚数230T/Mで撚糸を行った。一方、合成繊維
(A)は引裂き強力が36cN/dtexを有した55
デシテックスの東洋紡績(株)製の「ザイロン」を用い
て芯糸とし、該78デシテックス216フィラメントの
仮撚加工糸を鞘糸に用いてZ撚り方向に撚数800T/
Mのカバリングを行い、高強力繊維(C)を得た。な
お、被覆度は88%であった。次いで、仮撚加工された
ポリエステルマルチフィラメント(B)および高強力繊
維(C)を(株)ヤマダ製の一本糊付機YS−6型にて
速度200M/分、乾燥温度70℃、糊液温度40℃、
付着量を各々5.5重量%、5.0重量%に設定し糊付
けを行った。なお、糊は互応化学工業(株)製のアクリ
ル酸エステル共重合体アンモニウム塩タイプのプラスサ
イズJ−60と、日本合成化学工業(株)製のポリビニ
ルアルコール糊としてゴーセノールGL−05を使用
し、各々の混合比率を6:4に調整した濃度が8%、粘
度が5mPasの混合糊を使用した。また混合糊には平滑
剤、柔軟剤、浸透剤として互応化学工業(株)製のサイ
テックスK−380(有効成分25%)、サイテックス
T−190(同35%)、サイテックス24(同40
%)を添加し、帯電防止剤として大日本インキ科学工業
(株)製のAS−20(同35%)を用い、夫々2%、
2%、0.2%、0.2%添加した。次いで得られた各
々の糊付糸を(有)スズキワーパー製NAS SUPER
−130W型を用いて筬入巾130cm、経糸本数96
08本で整経を行った。なお、ポリエステルマルチフィ
ラメント(B)と高強力繊維(C)は経糸本数54に対
して1本配列させた。差し入れの後、(株)石川製作所
製レピア織機2001Sタイプにビームを仕掛けた後、
緯糸として無撚の仮撚加工されたポリエステルマルチフ
ィラメント(B)および高強力繊維(C)を40:1で
打ち込み、平組識で製織した。製織性は非常に良好であ
り、毛羽発生による経糸切れは問題にならない程度であ
った。そして、得られた生機品質は高いものであり、生
機密度は(195本/in,130本/in)であり、縦横
7mm程度の格子状柄の高密度織物が得られた。該生機
を通常のリラックス精練、染色、仕上げ工程に通し、染
色加工布を得た。なお、染色加工布のカバーファクター
は2985であり、目付けは111g/m2であった。該
染色加工布の引裂き強力は経糸方向3.2g、緯糸方向
1.5gであり、エッジの鋭い、又は鋭利な部分を要す
るスポーツ用具に対して容易に引裂かれることも無く、
耐久性に優れたポリエステルマルチフィラメント高密度
織物であった。
【0019】(比較例1)実施例1において、Z撚り方
向に撚数230T/Mで撚糸を施した78デシテックス
216フィラメント丸断面の仮撚加工されたポリエステ
ルマルチフィラメント(B)のみを織物の経糸、緯糸に
使用して高密度織物を製織し、高強力繊維(C)は全く
使わなかった。以下、実施例1と全く同様にして、生機
をリラックス精練、染色、仕上げ工程に通して染色加工
布を得た。該染色加工布はスポーツ用途に好適なポリエ
ステルマルチフィラメント高密度織物であり高い耐水圧
を有しているが、引裂き強力は実施例1と比較すると低
く、エッジの鋭い、又は鋭利な部分を有するスポーツ用
具に対して容易に引裂かれ、破れたりするポリエステル
マルチフィラメント高密度織物であった。
【0020】(実施例2)実施例1において、溶融紡糸
によって得られた5―ソジュームスルホイソフタル酸を
共重合させた90デシテックス216フィラメント丸断
面のポリエステルマルチフィラメント(B)に、経糸用
として村田機械(株)製309型ダブルツイスターを用
いてS撚り方向に撚数250T/Mで撚糸を行った。一
方、合成繊維(A)は実施例1と同じ「ザイロン」を使
用して芯糸とし、該90デシテックス216フィラメン
トのポリエステルマルチフィラメント(B)を鞘糸に用
いて800T/mでカバリングを行った高強力繊維
(C)を経糸に用いた。なお、被覆度は85%であっ
た。糊付け、整経は全く実施例1と同様にして経糸準備
を行い、織機に仕掛けた後、緯糸に該90デシテックス
216フィラメントのポリエステルマルチフィラメント
(B)および高強力繊維(C)を用いて、40:1の割
合で緯糸挿入し、平組識で製織した。なお、生機密度は
(195本/in,121本/in)であり、縦横7mm程
度の格子状柄の高密度織物が得られた。該生機を通常の
リラックス精練、染色、仕上げ工程に通し、染色加工布
を得た。該染色加工布の引裂き強力は経糸方向3.2
g、緯糸方向1.5gであり、エッジの鋭い、又は鋭利
な部分を要するスポーツ用具に対して容易に引裂かれる
ことも無く、ファッション的に発色性の優れたポリエス
テルマルチフィラメント高密度織物であった。結果を表
1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明によると紫外線劣化を軽減し、染
色審美性に優れたソフトな風合いを有するし、スポーツ
競技中におけるアクシデントに対して身体への危害を最
小限に食い止めることができる高強力繊維及び高密度織
物を提供することを可能とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L036 MA05 MA33 MA39 PA05 PA12 PA33 PA43 PA46 RA25 UA01 UA06 4L048 AA19 AA20 AB07 AB19 AC09 CA01 CA08 CA15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】引張強度が15cN/dtex以上の合成繊維
    (A)がポリエステルマルチフィラメント(B)によって
    被覆された高強力繊維であって、ポリエステルマルチフ
    ィラメント(B)の単糸繊度が1.5デシテックス以
    下、フィラメント本数が70本以上であることを特徴と
    する高強力繊維。
  2. 【請求項2】繊度が350デシテックス以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の高強力繊維。
  3. 【請求項3】引張強度が15cN/dtex以上の合成繊維
    (A)を芯糸とし、ポリエステルマルチフィラメント
    (B)によってカバリング被覆され、その被覆度が70
    %以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    高強力繊維。
  4. 【請求項4】ポリエステルマルチフィラメント(B)が
    仮撚加工糸であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の高強力繊維。
  5. 【請求項5】ポリエステルマルチフィラメント(B)の
    40重量%以上が金属スルホン酸基を有するジカルボン
    酸成分を含有する共重合ポリエステルであることを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載の高強力繊維。
  6. 【請求項6】ポリエステルマルチフィラメント(B)が
    直接紡糸延伸方法によって得られたものであることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高強力繊維。
  7. 【請求項7】合成繊維(A)がポリ−p−フェニレンベ
    ンズビスオキサゾール(PBO)繊維であることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載の高強力繊維。
  8. 【請求項8】主としてポリエステルマルチフィラメント
    から構成されてなる経糸と緯糸のカバーファクターの総
    和が2000以上の高密度織物であって、該高密度織物
    の経糸及び/又は緯糸の一部に請求項1に記載の高強力
    繊維を配してなることを特徴とする高強力ポリエステル
    マルチフィラメント高密度織物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103409887A (zh) * 2013-08-21 2013-11-27 南通汇能环保建材有限公司 一种高强度高耐碱玻璃纤维网格布

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